JPH10179703A

JPH10179703A - サツマイモ由来消臭有効成分を含有する消臭剤

Info

Publication number: JPH10179703A
Application number: JP8357209A
Authority: JP
Inventors: Masatoshi Yamada; 雅敏山田; Toshio Maezawa; 捷夫前澤
Original assignee: Nippo Shokuhin Kogyo Co Ltd
Current assignee: Nippo Shokuhin Kogyo Co Ltd
Priority date: 1996-12-26
Filing date: 1996-12-26
Publication date: 1998-07-07

Abstract

(57)【要約】【課題】メチルメルカプタンなどの悪臭の原因に対す
る消臭効果が高く、かつ消臭力が長期にわたって持続
し、色を薄く香りを弱く調製することが可能な消臭剤を
提供すること。【解決手段】サツマイモ由来消臭有効成分を含有する
ことを特徴とする消臭剤。消臭有効成分はサツマイモ抽
出物である。消臭有効成分はサツマイモ発酵産物であ
る。サツマイモ発酵産物はサツマイモの焼酎である。さ
らに通常の消臭剤用の成分を配合する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、各種生鮮野菜など
の保管場所や食品工場などにおける“移り香”の問題を
解決するための消臭剤に関する。

【０００２】

【従来の技術】ニンニクはユリ科の多年草、特有の辛味
があり古来色々な料理、漬物、アルコール漬けなど、広
く食品として使用されている。主として使用される部分
は鱗茎であるが、強壮剤、精力剤などの薬用成分として
も重宝されている。一方、ニンニクはいわゆる悪臭成分
が強く、これの除去のため料理では油熱などの処理が行
われているが、生鮮ニンニクの悪臭は現在消臭対応技術
がほとんど皆無の状況にある。ニンニクの悪臭は極めて
特有で消臭は困難であり、倉庫運営管理上はもちろん、
一般家庭においてもお手上げの実態である。倉庫では各
種生鮮野菜を含め種々の委託保管物から、「移り香」の
問題があり、特にニンニク（ｇａｒｉｃ）の有する香気
成分のうち悪臭といわれるＳ−硫化物ジアリルスルファ
イド、メチルメルカプタン成分を除去することが求めら
れている。

【０００３】このように悪臭の原因はメルカプタン類、
アミン類その他種々の有機および無機化合物によるもの
で、各種生鮮野菜などの保管場所や食品工場などにおい
ては移り香を特に嫌うため、香りを発生させるタイプの
もの、香りが強すぎるものなどは実用的ではない。この
ため、悪臭の原因を、活性炭などの吸着剤による方法、
アルカリ性物質、酸性物質、それらの水溶液などと接触
させて中和、吸収させる方法、酸化処理、還元処理して
悪臭をなどを中和、吸収し易くすることが行われる。セ
ージ、ローズマリー、その他のシソ科の植物やチョウジ
の溶媒抽出物を消臭有効成分として使用することも提案
されている（特開昭５７−２０３４４５号、特開昭５７
−２０４２７８号、特開昭５８−３９６１６号）が、さ
らに色が薄く、香りの弱い消臭有効成分が望まれる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に鑑
みてなされたもので、メチルメルカプタンなどの悪臭の
原因に対する消臭効果が高く、かつ消臭力が長期にわた
って持続し、色を薄く香りを弱く調製することが可能な
消臭剤を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意検討を行った結果、サツマイモ由来
の成分が悪臭の原因に対して優れた消臭効果を有し、色
が薄い上、香りが弱く、各種生鮮野菜などの保管場所や
食品工場などにおいて“移り香”の問題がなく消臭用途
に有効成分として好適に使用し得ることを知見し、本発
明をなすに至ったものである。すなわち、ニンニクの有
する香気成分のうち悪臭といわれるＳ−硫化物ジアリル
スルファイド、メチルメルカプタン成分を溶解吸着、分
解、マスキングなどの実験を通じ、悪臭成分を除去する
ことを試みた。使用薬品は全て食品添加物として制限が
ない安全なものを選択した。薬効が持続し、かつ取扱い
が可能な限り簡易であり、消臭と並行して充分な殺菌、
抗菌、除菌が可能であるオリジナルなものを探索して、
サツマイモ由来の成分の消臭効果を見いだした。

【０００６】本発明はサツマイモ由来消臭有効成分を含
有することを特徴とする消臭剤である。本発明のサツマ
イモ由来消臭有効成分はメチルメルカプタンなどの硫黄
化合物に対して消臭効果を発揮し、さらにアンモニア
系、アミン系低級脂肪酸にも消臭効果を有する。上記消
臭有効成分はサツマイモ抽出物あるいはサツマイモ発酵
産物である。サツマイモ発酵産物としては、サツマイモ
の焼酎が好ましい態様として例示される。さらに通常の
消臭剤用の各種成分を配合することができる。

【０００７】本発明の消臭剤は、特に各種生鮮野菜、切
り干しだいこんなどの加工食品の保管場所や食品工場な
どにおいて有効に使用される。さらに、生ゴミ用、冷蔵
庫用、室内用、下駄箱用、車内用、トイレ用などの家庭
用消臭剤、汚水処理場、魚類加工場、魚粉製造場、家畜
糞や鶏粉乾燥場、パルプ工場などから発生する悪臭を除
去する工業用消臭剤などとして使用される。以下、本発
明についてさらに詳しく説明する。

【０００８】

【発明の実施の形態】本発明のサツマイモ由来消臭有効
成分はサツマイモ抽出物あるいはサツマイモ発酵産物で
ある。原料となるサツマイモから抽出により消臭有効成
分を得る場合、好ましくはサツマイモを水洗し、皮付の
まますりおろししたものを使用し、あるいは、サツマイ
モを水洗し、皮付のまま蒸煮しねり潰ししたものを使用
し、これをエチルアルコールで抽出するものである。こ
の場合、抽出操作としては通常の方法を採用でき、例え
ばエチルアルコールに温浸するなどの方法が採用でき
る。上記抽出操作で得られた抽出液は、水とかエチルエ
タノールを留去したものを消臭剤に配合するのが通常で
あるが、留去せずにそのまま消臭剤に配合することもで
きる。

【０００９】原料となるサツマイモを発酵させた発酵産
物から消臭有効成分を得る場合、通常、サツマイモ焼酎
の作り方に準じて製造される。

【００１０】また、本発明においては、消臭有効成分と
して抽出物の１種を単独でまたは発酵産物を単独で用い
てもよく、あるいはこれらを組合わせて用いてもよい。
さらにまた、通常の消臭剤用の各種成分を配合すること
ができる。本発明の消臭有効成分の配合量はサツマイモ
抽出物または醗酵産物とすると３〜５０％で有効であ
る。

【００１１】本発明の消臭剤は、種々の剤型に調製し得
る。例えば、本発明消臭有効成分を適宜な溶媒に溶解し
た溶液状のもの、あるいはペースト状、粉粒状、ブロッ
ク状などの所望の形態に調製し得る。この場合、本発明
消臭有効成分は、水溶液状態、有機溶媒に溶解した状態
などの種々の形態においてその消臭効果が非常に安定に
持続し、このため剤型の選択に制限がないものである。

【００１２】なお、本発明の消臭剤のその他の成分（通
常の消臭剤用の各種成分）としては、その消臭剤の種
類、剤型などに応じた適宜な成分が配合され得る。家庭
用、工業用消臭剤の場合、その種類などに応じた通常の
消臭剤に用いられる成分を配合でき、例えば過ホウ酸ナ
トリウム、次亜塩素酸、二酸化マンガン、過マンガン酸
塩、ベンゾキノン、ナフトキノンなどの酸化剤、グリオ
キザール、アクロレインなどのアルデヒド類、ケトン
類、１，２−プロピレンオキサイド、１，２−ｎ−ブチ
レンオキサイドなどのエポキシ化合物、メタクリル酸エ
ステル、マレイン酸誘導体などのα，β−不飽和化合
物、硫酸銅、硫酸亜鉛などの金属塩、活性炭、シリカゲ
ル、アルミナなどの吸着剤などを配合することができ
る。次亜塩素酸は液体にして、使用簡易であるが保管性
・（ＣｌＯ）持続性に問題点が有るため、粒状固体であ
りあらかじめ溶解・調製が必要であるが、目的濃度
（ｐ．ｐ．ｍ）に正確に調製ができるし、保管性・（Ｃ
ｌＯ）持続性があるので、ＮａＣｌＯ、Ｃａ（ＣｌＯ）
₂として用いることが好ましい。

【００１３】

【実施例】本願発明の詳細を実施例で説明する。本願発
明はこれら実施例によって何ら限定されるものではな
い。

【００１４】実施例１（１）基礎試験食品添加物として制限がない安全なものを選択し、ニン
ニクの悪臭の消臭と並行して充分な殺菌、抗菌、除菌が
可能である成分を探索する基礎試験を行った。エチルア
ルコールは無水と７０％の二種類を使用した。クエン酸
は結晶より調製した。官能検査は５名の野菜の倉庫管理
の専門家により実施した。結果を表１に示した。表１
中、無水エチルアルコールは「無水ＥＡ」と、７０％エ
チルアルコールは「７０％ＥＡ」と表示した。サツマイ
モ由来成分は「Ｓ」と、レモン油は「Ｌｏ」と、緑茶は
「ＧＴ」と、次亜塩素酸ソーダは「ＮａＣｌＯ」、高度
サラシコ（ＣａｌｃｉｕｍＨｙｐｏｃｈｌｏｒｉｄ
ｅ）は「Ｃａ（ＣｌＯ）₂」と省略して表示した。評価
は、官能検査の平均で、×△〇で表示した。 ×…効果なし △…効果あるが残臭あり〇…効果
あり残臭皆無

【００１５】

【表１】

【００１６】基礎試験において、次亜塩素酸およびエチ
ルアルコールの組み合わせが、さらにサツマイモ由来成
分を組み合わせたものが、アリルトリサルファイドの分
解、脱臭に有効であることが見いだされた。

【００１７】（２）実用試験基礎試験の結果から実用化に最適区分を選別し、濃度試
験をはじめ実用化のための配合効果を調べる実用試験を
実施した。サツマイモ由来成分としてサツマイモ焼酎を
使用した。官能検査は合計１０名の野菜の倉庫管理の専
門家、専業主婦、開発者により実施した。結果を表２に
示した。

【００１８】

【表２】

【００１９】区分６〜区分１で評価〇を得た。さらに応
用試験を行った結果、実用として、区分６〜区分４で最
適な結果を得た。区分６はビン、ポリ容器で、区分５お
よび区分４は倉庫、室内で使用するのが最適である。

【００２０】実施例２（１）サツマイモ抽出物の調製１．品種、紅東を使用２．方法（Ａ）水洗→すりおろし（皮付）→アルコー
ル浸漬→濾過（Ｂ）蒸煮→ねり潰し（皮付）→アルコール浸漬→濾過３．実施例１のサツマイモ焼酎に代替して、２（Ａ）お
よび２（Ｂ）を用いて消臭剤を調製し、実施例１と同様
の官能テストを実施した。結果を表３に示した。

【００２１】

【表３】

【００２２】（２）結果ニンニクなど硫化アリル系脱臭効果は焼酎とサツマイモ
抽出物との差は焼酎を効果１００とした場合、２回ス
プレーで消臭したとき、抽出物２（Ａ）は約５０％、抽
出物２（Ｂ）は約６０％程度の効果であった。アルコ
ール＋次亜塩素酸成分が消臭の基本部分を占め、「サツ
マイモ」を原料とする発酵蒸溜物が微妙に消臭効果に寄
与しているといえるが、所謂、発酵を伴わないアルコー
ル抽出物の添加であっても効果があることが確認され
た。例えば、Ｃ₂Ｈ₅ＯＨ＋Ｃａ（ＣｌＯ）₂では消臭不
能部分に対してサツマイモ抽出物では効果があった。

【００２３】

【発明の効果】本発明の消臭剤は、サツマイモの抽出物
を消臭有効成分としていることにより、メチルメルカプ
タンなどに対して優れた消臭効果を有し、またその消臭
効果が長期間安定に持続する。また、本発明消臭有効成
分は色が薄く、臭いも弱いので、製品配合の上で問題が
少なく、さらに使用上の安全性も高いものである。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】サツマイモ由来消臭有効成分を含有する
ことを特徴とする消臭剤。
【請求項２】上記消臭有効成分がサツマイモ抽出物で
ある請求項１の消臭剤。
【請求項３】上記消臭有効成分がサツマイモ発酵産物
である請求項１の消臭剤。
【請求項４】サツマイモ発酵産物がサツマイモの焼酎
である請求項３の消臭剤。
【請求項５】さらに通常の消臭剤用の成分を配合した
請求項１ないし４のいずれかの消臭剤。