JPH10179649A - 安全装置付車椅子 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 グリップ構造、さらに足置台の改良をはか
り、車椅子利用者の手及び足を衝撃などから防ぎ、怪我
をなくし、車椅子利用の安全性を高める。 【解決手段】 座部１側部に肘当て部２と、下部に足置
台３を備えた車椅子において、肘当て部２前端側にグリ
ップ杆６を垂直方向に添設し、該グリップ杆６上部を内
方に屈曲させ、かつその前端側を更に外側に連結部分を
もつ横Ｕ字状に彎曲せしめるか、肘当て部２を前方へ延
長してその前端部をＵ字状をなして折り返し屈曲させ、
かつ更にその先端部を内方側へ彎曲させてグリップ７と
して形成せしめる。また足置台３に足先保護部９を設け
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は車椅子、特に肘当て
部に添えた手指の怪我損傷を防止せしめた安全装置付車
椅子に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】車椅子は身体の不自由な人達の日常生活
にとって重要な補助器具であり、特に脚の不自由な人の
移動手段としては欠かせない道具である。

【０００３】この車椅子は通常、図４に示すように背も
たれ付きの座部１の両側に手を添えて身体を支持する肘
当て部２と、図８に示すような足置台３が取り付けられ
ていると共に、座部１にフレームが組まれ、このフレー
ムに大小の車輪４、５を取り付けた構造からなってお
り、搭乗者が自分で車輪を操作するか、モータによって
車輪を回転させて走行がなされている。

【０００４】ところが、このような車椅子において、こ
れに搭乗者が搭乗し、走行するとき、例えば、食卓、机
などに近接し、食事や読書、書き物等をしようとすれ
ば、車椅子両側の肘当て部をそれら食卓、机の下部に挿
入しなければ、より以上の接近ができないときがある。

【０００５】このようなとき、車椅子の肘当て部に自然
に手を添えておれば、高さ的に丁度、手の位置と机など
が同じ位置にあるため、思わず添えた手が食卓や机にあ
たり、怪我をし痛手を受けることがある。そのため、こ
のような痛手をなくするため、肘当て部の前端部に当た
りを設け、添えた手が直接当たらないようにしたものが
一部に試みられている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかし、現在、試みら
れている上記の如き当たりは肘当て部に添えた手が当た
らないため、手の損傷をある程度防ぐことはできるが、
却ってそれが邪魔となって食卓、机などへの接近がより
難しくなり、食卓や机などの利用に不便を有している。
また、当たりが食卓や机などに当たったとき、その衝撃
によって肘当て部に添えた手が浮き怪我をすることもあ
る。しかも手を添える部分は大きなパイプであり、すべ
り易い上に感触も冷たい有様である。しかも、上記のよ
うに肘当て部の前端が障碍物に当たるとき、足置台に載
せている足が衝撃により動揺し、怪我することがある
が、これに対する充分な保護はなされていない。

【０００７】本発明は上述の如き実状に対処し、車椅子
利用の安全対策の一環としてグリップ構造の改良、さら
に足置台の改良を見出すことにより前述の問題を解決
し、車椅子利用者の手及び足を衝撃などから防ぎ、怪我
をなくし、車椅子の安全性を高めることを目的とするも
のである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】即ち、上記目的に適合す
る本発明は先ず、請求項１に記載したように、座部側部
に肘当て部を備えた車椅子において、肘当て部前端側に
グリップ杆を垂直方向に添設し、該グリップ杆上部を内
方に屈曲させ、前端側を更に外側に連結部分をもつ横Ｕ
字状に彎曲させてグリップに形成せしめたものである。

【０００９】また請求項２記載の発明は、同様な目的の
下に直接、肘当て部を前方へ延長せしめ、その前端部を
上方又は下方側へＵ字状をなして折り返し屈曲させ、か
つ更にその先端部を内方側へ彎曲させてグリップに形成
せしめた構成である。

【００１０】請求項３記載の発明は上記各構成に付随
し、さらに足先の保護を加え足置台に足先保護部を設け
たこと、請求項４記載の発明はグリップに滑り止めを施
し、触感を高めたことを夫々特徴とする。

【００１１】

【作用】上記の如き本発明車椅子によれば、搭乗者がグ
リップを握り車椅子に搭乗して机等に接近したとして
も、グリップ杆上部あるいは肘当て部延長前端がそれら
机等に当接して肘当てに添えた手が直接あたることがな
く、従って、安心して机等に接近することができる。ま
た、グリップの高さを考慮することにより、机等の下部
へ挿入も可能で、机等の近くまで接近が可能となる。し
かも、本発明車椅子は単に肘当てに手を添えるだけでな
く、グリップであるから確実に握ることができるので支
持がより安定である。

【００１２】また請求項３及び４のように足先保護部を
設けたり、グリップに滑り止めを施せば、足先の保護も
充分となり、握りも一層確実となる。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、更に添付図面を参照し、本
発明の具体的な実施形態を説明する。

【００１４】図１は本発明に係る車椅子の全体の概要図
で、図２（イ）（ロ）（ハ）はそのグリップ部の１例を
示す詳細図である。図に示す如く、本発明車椅子は座部
１の側部に肘当て部２が設けられ、足部に足置台３が設
けられていること、前後に大小の車輪４、５が取り付け
られ、人手あるいは電動式による車輪４、５の回転によ
り走行がなされることは一般の車椅子構成と同様である
が、その特徴として図においてグリップ杆６が肘当て部
２の前端側に垂直方向に添接されており、その上部にグ
リップ７が形成されている。

【００１５】グリップ７は図２（イ）（ロ）（ハ）に示
すように、グリップ杆６上部を内方に、即ち車椅子搭乗
者側に屈曲させ、その前端側を更に外側に連結部分７ａ
をもつ横Ｕ字状に彎曲させることによって形成されてお
り、彎曲後、内方に向かう部分は握り部分７ｂとなっ
て、この部分には滑り止めのため、滑り止め８が被着さ
れている。 この握り部分７ｂは車椅子搭乗者が握り易
い位置ならびに高さになるように配慮される。なお、上
記グリップ７において、グリップ杆６が外側で連結部分
７ａを形成しているのは体力のない車椅子利用者の手が
外側にズレ落ちるのを防止するためである。また、上記
グリップ杆６は通常、金属パイプで形成されるが、屈曲
加工容易であれば樹脂パイプの如き他のパイプや帯状材
を用いることもできる。

【００１６】一方、握り部分７ｂの上記滑り止めは通
常、フェルト、ゴム等を被着することによって行われ、
肘当て部２にも触感をやわらげるため緩衝材を適宜、被
着するのが効果的である。

【００１７】以上はグリップ７の構成を図にもとづき説
明してきたが、図２では車椅子利用者の左手側のみを示
しており、右手側も同様な構成を有することは勿論であ
る。また、グリップの構成は上記に限らず、適宜、改変
することが可能である。

【００１８】図３は本発明におけるグリップの他の実施
の態様であり、前述のリップが別にグリップ杆６を添接
してその上部にグリップ７を形成しているのに対し、肘
当て部２を延長して直接グリップ７′を形成した場合で
あり、図示の如く、肘当て部２を前方へ延長２′して、
その前端部を図では上方側へＵ字状をなして折り返し屈
曲２ａさせ、更にその先端を内方へかつ斜め下方へ向か
って彎曲させて握り部２ｂとし、グリップ７′を形成し
ている。なお、この場合、上方側でなく、下方側へ屈曲
せさせて握り部２ｂに形成してもよい。そして、これら
の場合には何れも更に握りを確実にするため握り部２ｂ
に滑り止め８′を施し、あるいは把持用凹部や把持用穴
１０などを設けるようにすればより有効である。更に、
上記はグリップ７に関してであるが、上記グリップ７の
外、足部においても足置台３に載せた足先が衝突し怪我
する場合もある。そのため、本発明においては更に足置
台３に図１の如く足先保護部９を設けて足先を保護する
ようにしている。勿論、この足先保護部９は常に必須の
ものではなく、必要に応じ設ければよい。

【００１９】図５〜図７は上記足先保護部９の具体的な
構造例であり、従来の足置台３が図８に示すように単に
足を載せるだけであったのを滑り止めを施した足置部１
１ａの前端に爪先保護部１１ｃ、後端に足後部が落ちて
地面に足がつくのを防止する足止め部１１ｂを夫々設け
た足置台１１となしている。そして、図６（イ）（ロ）
では足置台１１の爪先保護部１１ｃと足止め部１１ｂは
ともに保護を効果的ならしめるため彎曲状に形成されて
おり、特に前端側の爪先保護部１１ｃは図（ロ）に見ら
れる如く前へ開けるよう回動可能に構成され、上面に滑
り止め細溝を設けて前へ開けるとき、押すのに便利なよ
うに作成していると共に、内面側にはクッション性素材
を張り、衝撃を緩和できるようになしている。また、爪
先保護部１１ｃは図６（イ）（ロ）のように半円形に限
らず、図７の如く丸味を帯びた三角形状にしてもよく、
このようにしだ場合が却って爪先の当りに対して有効な
ときがある。

【００２０】かくして、図６（イ）及び図７に示す使用
においては麻痺があったり、体力のない患者の場合、爪
先の保護と共に足が後部へ落ちて地面につくのが防止さ
れ、一方、足関節の座屈位の拘縮のために曲がらない尖
足患者の場合、従来の足置台では爪先を傷つけ易かった
が図６（ロ）の如く使用することにより爪先の保護を良
好ならしめることができる。

【００２１】以上、グリップ７、７′及び足置台３につ
いて夫々本発明における改良構造を説明したきたが、本
発明はこれに限らず、目的、要旨を逸脱しない限りにお
いて種々の設計が可能であることは言うまでもない。

【００２２】

【発明の効果】本発明は以上のように車椅子に安全用の
グリップを設けたものであり、車椅子搭乗者が机などに
接近した場合でも机などとの間に手を挟んだり、机など
に手が触れて怪我をすることがなく、搭乗者が安心して
机などに接近することができ、種々の動作を安全かつ安
心してスムースに行うことができる顕著な効果を有して
いる。特に、本発明車椅子ではその器具は机等にあたる
先端より内方に形成され、握って把持できるため、車椅
子利用者の如き体力のない人でも充分、把持が確実であ
り、しかも外側に彎曲しているので手のずれ落ちも防止
することができる。更に、本発明請求項３の構成によ
り、足置台の足先部の保護も達成され、また請求項４の
発明ではグリップの握りをより確実とする効果を有す
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る車椅子の概要側面図である。

【図２】本発明の要部をなすグリップの１例を示し、
（イ）は車椅子正面よりみた正面図、（ロ）は側面部、
（ハ）は平面図である。

【図３】グリップの他の実施例に係り、（イ）は側面
図、（ロ）は正面図である。

【図４】従来の車椅子の概要側面図である。

【図５】改良された足置台の概要斜視図である。

【図６】図５の足置台の詳細図で、（イ）は通常時、
（ロ）は爪先保護部を前へ開けた状態である。

【図７】足置台の他の実施形状を示す概要図である。

【図８】従来の足置台の概要斜視図である。

【符号の説明】

１ 座部 ２、２′ 肘当て部 ２ａ 折返し屈曲部分 ２ｂ 握り部分 ３、１１ 足置台 ６ グリップ杆 ７、７′ グリップ ７ａ 連結部分 ７ｂ 握り部分 ８、８′滑り止め ９ 足先保護部

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 座部側部に肘当て部を備えた車椅子にお
   いて、肘当て部前端側にグリップ杆を垂直方向に添設
   し、該グリップ杆上部を内方に屈曲させ、かつその前端
   側を更に外側に連結部分をもつ横Ｕ字状に彎曲させてグ
   リップに形成せしめたことを特徴とする安全装置付車椅
   子。
2. 【請求項２】 座部側部に肘当て部を備えた車椅子にお
   いて、肘当て部を前方へ延長してその前端部をＵ字状を
   なして折り返し屈曲させ、かつ更にその先端部を内方側
   へ彎曲させてグリップに形成せしめたことを特徴とする
   安全装置付車椅子。
3. 【請求項３】 車椅子が肘当て部と共に足置台を有して
   おり、該足置台前端部に足先保護部を設けた請求項１ま
   たは２記載の安全装置付車椅子。
4. 【請求項４】 グリップに滑り止めを施した請求項１，
   ２または３記載の安全装置付車椅子。