JPH10179159A - モノクローナル抗体、免疫吸着剤としての使用およびヒトプラスミノーゲンの製造方法 - Google Patents

モノクローナル抗体、免疫吸着剤としての使用およびヒトプラスミノーゲンの製造方法

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JPH10179159A
JPH10179159A JP35630696A JP35630696A JPH10179159A JP H10179159 A JPH10179159 A JP H10179159A JP 35630696 A JP35630696 A JP 35630696A JP 35630696 A JP35630696 A JP 35630696A JP H10179159 A JPH10179159 A JP H10179159A
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JP
Japan
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plasminogen
human
monoclonal antibody
human plasminogen
antibody
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JP35630696A
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English (en)
Inventor
Masahiro Ishizuka
昌宏 石塚
Yasunobu Ueda
康信 上田
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COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
Original Assignee
COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヒトプラスミノーゲンの免疫吸着体として使
用し得る抗ヒトプラスミノーゲンモノクローナル抗体、
およびそれを用いる、高純度、高回収率でかつ簡便にヒ
トプラスミノーゲンを製造する方法の提供。 【解決手段】ヒトプラスミノーゲンのクリングルK1+
K2+K3ドメインを認識し、かつε−アミノカプロン
酸によって競合阻害を受ける、ヒトプラスミノーゲンに
対するモノクローナル抗体、該モノクローナル抗体の、
ヒト血漿からのヒトプラスミノーゲンの製造における免
疫吸着剤としての使用、および該モノクローナル抗体と
ヒト血漿とを接触させてヒトプラスミノーゲンを吸着さ
せ、ついで洗浄後、EACE含有緩衝液で脱着すること
を特徴とするヒトプラスミノーゲンの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はヒトプラスミノーゲ
ンを抗原として作製されたハイブリドーマの産生するモ
ノクローナル抗体、ヒトプラスミノーゲンの製造におけ
る該モノクローナル抗体の使用、およびヒトプラスミノ
ーゲンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスミノーゲンは肝臓で生産され、ヒ
ト血漿中には10〜17mg/dl、すなわち1.2〜
2μM含まれ、791個のアミノ酸からなる一本鎖糖蛋
白質で糖含量は約2%と報告されている。プラスミノー
ゲンにはN−末端にグルタミン酸をもつGlu−プラス
ミノーゲン(Glu−Pg)とN−末端にリジンをもつ
Lys−プラスミノーゲン(Lys−Pg)があるが、
前者は天然のプラスミノーゲンで、後者は、活性化の過
程でN−末端のペプチドがプラスミンにより切り出され
た中間的産物である。詳細には、Glu−プラスミノー
ゲンのN−末端から76番目のLysと77番目のLy
sの結合箇所が、プラスミンによって切断される。1〜
76番目のペプチドが遊離され、77番目以降のものが
Lys−プラスミノーゲンである。一方、プラスミノー
ゲンは、組織型プラスミノーゲンアクチベータ(t−P
A)あるいはウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベ
ータ(u−PA)などのアクチベータにより、Glu−
プラスミノーゲンのアミノ酸配列番号として560番目
のArgと561番目のValの結合箇所が限定分解を
受け、2本鎖のプラスミンになる。
【0003】このプラスミンのN−末端側をH鎖、C−
末端側をL鎖と呼び、H鎖にそれぞれが35%近いホモ
ロジーを有し、3個のS−S結合で結ばれた5つの繰り
返し構造(クリングル(kringle)構造、K1、
K2、K3、K4、K5)が存在する(Wirn,E.
S.et al.,Eur.J.Biochem.10
4,579〜586,1980)。このクリングル構造
はプラスミノーゲン(Glu−PgおよびLys−P
g)にも存在する。K1〜K4には、リジンセファロー
スなどに強い親和性のあるリジン結合部位(LBS)が
あり、フィブリンの特定のリジン残基、プラスミノーゲ
ンの活性化に伴い遊離されるペプチド、あるいはα2−
プラスミンインヒビターなどと結合する(Mori,
M.andAoki,N.,J.Biol.Chem.
251,5956〜5965,1976)。
【0004】プラスミノーゲンはウォーレンとウィーマ
ンの方法(Wallen & Wiman,Bioch
em.Biophys.Acta.257,122−1
34,1972)に従い、リジンーセファロースカラム
クロマトとイオン交換カラムクロマトによりヒト血漿中
から分離精製されている。抗線溶薬のε−アミノカプロ
ン酸(EACA)はリジンと類似した構造をもち、プラ
スミノーゲンのLBSに結合してその分子構造を変化さ
せ、プラスミノーゲンのフィブリンへの結合およびα2
−プラスミンインヒビターへの結合を阻止する(Mar
kus,G.et al.,J.Biol.Chem.
253,727〜732,1978)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ヒト血漿を上
記分離精製法で処理すると、リジンーセファロースとプ
ラスミノーゲンとの特異的結合が充分でなく、高純度の
プラスミノーゲンを取得することは困難であり、加えて
工程が長く回収率も満足のいくものではなかった。そこ
で、高純度のプラスミノーゲンを簡便に高回収率で取得
する特異的製造方法の開発が望まれていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる課題は、ヒトプラ
スミノーゲンのクリングルK1+K2+K3ドメインを
認識し、かつε−アミノカプロン酸によって競合阻害を
受ける、ヒトプラスミノーゲンに対するモノクローナル
抗体、該モノクローナル抗体の、ヒト血漿からのヒトプ
ラスミノーゲンの製造における免疫吸着剤としての使
用、および固相化した該モノクローナル抗体とヒト血漿
とを接触させてヒトプラスミノーゲンを吸着させ、つい
で洗浄後、EACA含有緩衝液で脱着することを特徴と
するヒトプラスミノーゲンの製造方法によって解決され
た。上記モノクローナル抗体としては、それへのヒトプ
ラスミノーゲンの結合が、5mMのε−アミノカプロン
酸の存在下で、50%以上阻害されるものが好適に使用
される。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のモノクローナル抗体は、
ケーラーとミルシュタインの方法(Kohler &
Milstein,Nature 256,495−4
97,1975)によって産生することができる。すな
わち、ヒトプラスミノーゲンで免疫した動物の脾細胞と
骨髄腫細胞(以下、「ミエローマ細胞」という)とを細
胞融合させ、得られたハイブリドーマからヒトプラスミ
ノーゲンに対して特異的な抗ヒトプラスミノーゲンモノ
クローナル抗体を産生するハイブリドーマを選択し、選
ばれたハイブリドーマからヒトプラスミノーゲンのクリ
ングルK1+K2+K3ドメインを認識し、かつEAC
Aによって競合阻害を受ける抗ヒトプラスミノーゲンモ
ノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを選択し、
このハイブリドーマを大量培養あるいは動物の腹腔内で
増殖させ、この培養液あるいは腹水から該モノクローナ
ル抗体を分離することにより製造することができる。
【0008】以下、本発明のモノクローナル抗体を得る
ための方法について詳細に説明する。 (1)抗原と免疫工程 抗原ヒトプラスミノーゲンはウオーレンとウイーマンの
方法(文献名:前出)に従い、リジンセファロースカラ
ムクロマトグラフィーとイオン交換カラムクロマトグラ
フィーにより、ヒト血漿中から分離精製される。ただ
し、抗原は必ずしも精製標品である必要はない。上記の
ようにして得られるヒトプラスミノーゲンは通常ヒトー
Glu−プラスミノーゲンである。ヒトーLys−プラ
スミノーゲンを得るには、ヒトーGlu−プラスミノー
ゲンをプラスミンと混合すればよい。なお、ヒト−Gl
u−プラスミノーゲンもヒトーLys−プラスミノーゲ
ンも市販品(例えばアメリカンダイアグノスティカ社
製)があり、抗原として用いることができる。上記から
明らかなように抗原ヒトプラスミノーゲンはヒトーGl
u−プラスミノーゲンであってもヒトーLys−プラス
ミノーゲンであってもそれらの任意割合の混合物であつ
ても良い。免疫される哺乳動物は、細胞融合しようとす
るミエローマ細胞株との組み合わせを配慮して、一般に
は、マウス、ラット等が好ましい。
【0009】抗原は、哺乳動物の皮下、皮内、腹腔ある
いは静脈等に注射等により投与することができる。具体
的には、ヒトプラスミノーゲンをリン酸塩緩衝液や生理
食塩水等で適当な濃度に希釈し、これに通常はアジュバ
ントを混合し、1〜3週間毎に数回投与する。投与量
は、毎回1匹当たり、ヒトプラスミノーゲンとして、1
〜200μg程度とすることが好ましい。また、最終投
与は、融合に使用する3〜5日前に、アジュバントを用
いない静脈注射による投与とすることが好ましい。最終
免疫の数日後に脾臓細胞を取り出す。
【0010】(2)細胞融合工程 この工程においては、免疫した動物の脾臓から取り出し
た抗体産生細胞とミエローマ細胞とを融合させ、融合細
胞を生じさせる。上記の脾細胞と融合させるミエローマ
細胞としては、公知の細胞株、例えば、マウスでは、
「NS−1/1−Ag−1」(Eur.J.Immun
ology6,511〜519(1976))、「SP
−2/O−Ag14」(Nature 276,269
〜270(1978))、「FO」(J. Immun
ol.Methods 35,1〜21(198
0))、「P3−X63−Ag8−U1」(Curre
nt Topics in Microbiology
and Immunology 81,1〜7(197
8))等、ラットでは、「YB2/0」(Method
s Enzymol.73B,1(1981))等のミ
エローマ細胞を使用できる。細胞混合比は、脾細胞:ミ
エローマ細胞=3〜20:1、好ましくは5〜10:1
で行うのが適している。
【0011】融合の際には、通常、融合促進剤としてポ
リエチレングリコール(PEG)、センダイウイルス等
が使用され、また同じ目的でさらにジメチルスルホキシ
ド等を適宜添加することもできる。このPEGの分子量
は、通常、1000〜6000位のものが好ましい。融
合時の培地としては、牛胎児血清(FCS)等を含有し
ない、ミエローマ細胞の増殖に使用されるMEM(Ea
gle´s Minimum Essential M
edium)培地、RPMI−1640(Roswel
l ParkMemorial Institute´
s Medium 1640)培地等が用いられる。融
合操作は、上記した混合比による脾細胞とミエローマ細
胞の所定量と、例えば37℃に温めておいた、30〜5
0%(w/v)程度のPEGを含有する、血清無添加の
培地とを混合し、数分間攪拌することにより行う。
【0012】(3)ハイブリドーマの選択 上記操作で得られた細胞を、例えば数枚の96穴マイク
ロプレートに分注し、HAT培地(例えば、MEM培地
あるいはRPMI−1640培地に、ヒポキサンチン1
00μM、アミノプテリン0.4μM、チミジン16μ
MおよびFCS約15%(v/v)となるように含有さ
せた培地)で培養することにより融合細胞を選択し、さ
らにそれらの培養上清から、ヒトプラスミノーゲンを固
相化したマイクロプレートによるELISA(Enzy
me Linked Immunosorbent A
ssay)により、ヒトプラスミノーゲンに特異的な抗
体を産生する細胞(ハイブリドーマ)をスクリーニング
することができる。
【0013】(4)クローニング 前記ハイブリドーマを限界希釈法または寒天法(例え
ば、96穴マイクロプレートまたは寒天入りシャーレで
希釈して培養し、陽性のものを選ぶ)等に付して、モノ
クローンのハイブリドーマを取得することができる。こ
こで取得したハイブリドーマの培養上清を用いて、ヒト
プラスミノーゲンをエラスターゼ処理して得られる、ク
リングルK1+K2+K3ドメイン、クリングルK4お
よびそれ以外のmini−Pg(クリングルK5ドメイ
ンを含有する)についてもアッセイを行い、培養上清中
の抗体の認識部位を確認することができる。また、これ
らのイムノグロブリンのタイプを、市販のアイソタイピ
ングキットを用いて、決定することができる。
【0014】(5)モノクローナル抗体の調製 上記のようにして得られた抗体産生ハイブリドーマを動
物の腹腔内に接種し、約10〜15日後に腹水を採取
し、その上清から、あるいはこのハイブリドーマを適当
な培地で培養し、その培養上清から、本発明のモノクロ
ーナル抗体を調製することができる。この際、必要に応
じて、モノクローナル抗体を塩析、アフィニティカラ
ム、ゲル濾過等により精製してもよい。
【0015】このようにして得られた、ヒトプラスミノ
ーゲン(ヒトーGlu−プラスミノーゲンおよびヒトー
Lys−プラスミノーゲン)のクリングルK1+K2+
K3ドメインを認識する、ヒトプラスミノーゲンに対す
るモノクローナル抗体中に、後述の実施例に示すごと
く、これらのヒトプラスミノーゲンへの結合がEACA
によって競合阻害を受けるモノクローナル抗体F11P
5が見出された。上述のごとく、本発明のモノクローナ
ル抗体は、ヒトプラスミノーゲンのクリングルK1+K
2+K3ドメインを認識し、かつε−アミノカプロン酸
によって競合阻害を受けるという性質を必須要件として
有するが、好ましくはさらに該モノクローナル抗体への
ヒトプラスミノーゲンの結合が、5mMのEACAの存
在下で、50%以上阻害されるものであることが好まし
い。
【0016】本発明のモノクローナル抗体の上記性質を
利用して、これをヒト血漿からのプラスミノーゲンの製
造における免疫吸着剤として使用することができる。す
なわち、本発明のモノクローナル抗体を固相化し、これ
にヒト血漿からのプラスミノーゲンを吸着させ、ついで
洗浄後、EACAにて脱着させることによりヒトプラス
ミノーゲンを製造することができる。
【0017】本発明のモノクローナル抗体の固相化は、
公知の手法にしたがって、例えばデキストランゲル、ア
ガロースゲル、ポリビニルゲル等の不溶性担体に担体結
合法、架橋法、包括法等により固定化することにより行
うことができる。固定化後、通常、非特異的結合を防止
するためブロッキングを行う。具体例を実施例5に示
す。得られる免疫吸着剤としての固相化抗体は通常緩衝
液に懸濁させ、カラムに充填し、緩衝液で平衡化する。
懸濁に使用する緩衝液としてはヒト血漿と同程度のpH
(例えばpH6.0〜8.0)を示す緩衝液であれば良
く、例えばリン酸塩緩衝液、トリス塩酸緩衝液、グッド
緩衝液等が挙げられる。平衡化に使用する緩衝液として
は、懸濁に使用する緩衝液と同様のものを挙げることが
でき、通常懸濁に使用したものと同じものを使用する
が、異なっていても良い。
【0018】ヒトプラスミノーゲン原料としてのヒト血
漿については特に制限はなく、例えば健常人の血漿を用
いれば良い。ヒト血漿が新鮮血漿であればそのまま、上
記で調製したカラムに充填した固相化抗体に通液して良
いが、通常血漿は凍結して保存するため、融解後、高分
子の不純物が発生する(血漿では、血液凝固因子、例え
はフィブリノーゲンが含まれていて、これが凝集を起こ
す)。したがって、これを取り除くため、通常ヒト血漿
を分子ふるい、例えばセファロース4B等の分子ふるい
にかける。ついで、通過液を固相化抗体カラムに通液す
る。固相化抗体に対するヒト血漿の使用量は、特に制限
ないが、通常抗体に対するヒトプラスミノーゲン量とし
て過剰に使用し、例えば本発明のモノクローナル抗体1
mg当り0.5〜5mlが適当である。ついでカラムを
緩衝液で十分洗浄する。この緩衝液としては、前記懸
濁、平衡化に使用する緩衝液と同様のものを挙げること
ができ、通常懸濁、平衡化に使用したものと同じものを
使用するが、異なっていても良い。
【0019】ついでEACA含有緩衝液でヒトプラスミ
ノーゲンを溶出する。この緩衝液としては、前記懸濁、
平衡化に使用する緩衝液と同様のものを挙げることがで
き、通常懸濁、平衡化に使用したものと同じものを使用
するが、異なっていても良い。この緩衝液中におけるE
ACA濃度としては0.003〜0.05Mが適当であ
る。EACA含有緩衝液の使用量は溶出液中の蛋白量を
チェックすることによって定めることができる。得られ
るヒトプラスミノーゲンはEACAと結合している。使
用目的によってはそのまま用いることもできるが、EA
CAを外す必要がある場合には、溶出液を緩衝液に対し
て透析すれば良い。この緩衝液としては、前記懸濁、平
衡化に使用する緩衝液と同様のものを挙げることができ
る。以下実施例によって本発明をさらに具体的に説明す
るが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0020】
【実施例】
実施例1 (モノクローナル抗体産生ハイブリドーマの作製) (1)抗原ヒトプラスミノーゲンの取得 抗原ヒト−Glu−プラスミノーゲンはウオーレンとウ
イーマンの方法(文献名:前出)にしたがって分離、精
製した。すなわち、100mlのヒト血漿(健常人)
を、トリス0.05M、NaCl 0.1M、pH7.
4緩衝液(以下、「TBS」という)で平衡化したセフ
ァロース4Bカラム(5mlベッド容)に通し、通過し
たヒト血漿をリジンーセファロースカラム(30mlベ
ッド容)に通し、TBSでカラムを十分に洗浄後、0.
025M EACA含有TBSでヒト−Glu−プラス
ミノーゲンを溶出させ、イオン交換クロマト法(DEA
E−セルロースカラム)で精製して、ヒト−Glu−プ
ラスミノーゲン8mgを得た。
【0021】(2)モノクローナル抗体産生ハイブリド
ーマの作製 上記(1)で得たヒト−Glu−プラスミノーゲン10
0μgとフロイント完全アジュバント等容量との混合物
をマウス(BALB/c)1匹、1回当たりの投与量と
し、これを2週間毎に計3回背部に皮下注射した。抗体
価の上昇を、抗原ヒトプラスミノーゲンを固相化したプ
レートを用いて、免疫マウス血清のELISAにより確
認した。皮下免疫終了後、最終免疫として、生理食塩水
に溶解したヒト−Glu−プラスミノーゲン50μgを
尾静脈に投与し、免疫感作脾細胞を作製した。3日後に
脾臓を取り出し、20%(v/v)牛胎児血清入りDM
EM培地にほぐして懸濁し、洗浄した。
【0022】一方、細胞融合に供するミエローマ細胞と
してマウスミエローマ細胞株SP−2/O−Ag14を
使用し、これを20%(v/v)牛胎児血清入りDME
M培地中で増殖させた。得られた2種類の細胞を次の要
領で融合した。すなわち、40%(w/v)ポリエチレ
ングリコール(分子量1540)と12.5%(v/
v)ジメチルスルホキシドとを含有するDMEM培地
0.5ml中で、遠心分離で集めた上記脾細胞2×10
個と、遠心分離で集めた対数増殖期にある上記ミエロー
マ細胞4×10 個とを混合して細胞融合を行った。細胞
融合の温度は37℃近傍で時間は4分であった。
【0023】融合された細胞から融合用培地を除去後、
96穴マイクロプレート4枚に分注して、ハイブリドー
マの選択培養を行った。すなわち、融合細胞を各2%
(w/v)のヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチ
ミジンを添加した20%(v/v)牛胎児血清入りDM
EM培地で培養した。1〜3日間隔で培地交換を行い、
2週間でハイブリドーマのコロニーの形成を認めた。培
養上清を、ヒトプラスミノーゲン5μg/ml濃度で固
相化したプレートにおけるELISA(第二抗体として
パーオキシダーゼ標識化ヤギ抗マウス抗体(TAGO社
製)を使用)によって検査し、ヒトプラスミノーゲンに
強い反応性を示すコロニー6個を選択した。こうして得
られたコロニーを拡大培養した後、プレートのウェル1
穴当たり細胞が1個となるようDMEM培地で限界希釈
を行った。2週間後、コロニーの形成を確認し、再びE
LISAにより、培養上清に産生された抗体のヒトプラ
スミノーゲンに対する反応性を確認した。さらに、ハイ
ブリドーマの限界希釈によるクローニングをもう一度行
うことにより得られるハイブリドーマを単一のハイブリ
ドーマ株であるとみなし、また産生した抗体のアイソタ
イピングを行った。その結果を表1に示す。
【0024】
【表1】 表1 産生抗体のアイソタイピング
【0025】実施例2 (モノクローナル抗体の反応性)実施例1で得られたハ
イブリドーマ株のそれぞれをマウス(BALB/c)の
腹腔内に接種し、12日後に腹水を採取し、遠心分離
し、上清をアフィニティクロマトグラフィー(Mab・
TrapG、ファルマシア社製)にて精製し、モノクロ
ーナル抗体を得た。得られた各モノクローナル抗体を用
いてELISAを行った。すなわち、ヒト−Glu−プ
ラスミノーゲンを5μg/ml濃度、50μl/ウェル
で固相化したプレートに、ヒトプラスミノーゲンのリジ
ン結合部位LBSI(K1+K2+K3ドメイン:SI
GMA社製)、LBSII(K4ドメイン:SIGMA
社製)またはmini−Pg(K1〜K4ドメインを含
まず、K5ドメインとL鎖の一部を含むヒトプラスミノ
ーゲン:American Diagnostica社
製)を5μg/mlになるよう、50mM EACAを
含むTBSまたはそれを含まないTBSで希釈し、希釈
液をそれぞれ50μl/ウェルで添加した。
【0026】さらに、0.1μg/ml濃度に希釈した
精製モノクローナル抗体溶液を50μl/ウェルで添加
し、室温で2時間反応させた。洗浄後、1%牛血清アル
ブミンを含むTBSを用いて2000倍希釈したペルオ
キシダーゼ標識化ヤギ抗マウス抗体(TAGO社製)を
50μl/ウェルで添加し、室温で1時間反応させた。
洗浄後、1mg/mlのペルオキシダーゼ基質溶液を5
0μl/ウェルで添加し、5分経過後、1N硫酸を50
μl/ウェルで添加し、波長490nmにおける吸光度
を測定した。なお、発色される場合は、モノクローナル
抗体が固相ヒトプラスミノーゲンと結合し、LBSI、
LBSIIまたはmini−Pgとは結合しないことを
意味する。 この結果、ヒトプラスミノーゲンのクリン
グルK1+K2+K3ドメインを認識し、かつEACA
によって結合が阻害されるモノクローナル抗体F11P
5を得た。その結果を表2に示す。表2中のモノクロー
ナル抗体F11P5が本発明の抗体であり、他は本発明
外の抗体である。モノクローナル抗体F11P5を産生
したハイブリドーマは工業技術院生命工学工業技術研究
所に、寄託番号FERM P−15952として寄託さ
れている。
【0027】
【表2】 表2 モノクローナル抗体のヒトプラスミノーゲンのク
リングルドメインとの反応性
【0028】実施例3 (ウェスタンブロットした各種抗原に対するモノクロー
ナル抗体F11P5の反応性)ウオーレンとウイーマン
の方法(文献名:前出)に準じて、ヒトプラスミノーゲ
ンから、クリングルK1+K2+K3ドメイン、K4ド
メインおよびmini−Pgを分離精製した。すなわ
ち、ヒト−Lys−プラスミノーゲン 180μMをブ
タ膵臓由来のエラスターゼ150単位(CALBIOC
HEM社製)で室温で4時間半処理し、フルオロリン酸
ジイソプロピル(和光純薬工業社製)を終濃度1mMに
なるように添加して、反応を停止させた。これを、リジ
ンーセファロースカラムおよびセファクリルS−200
カラム(Pharmacia社製)を用いて、K1+K
2+K3ドメイン、K4ドメインおよびmini−Pg
に分離精製した。
【0029】これらの各試料(タンパク質量0.5μ
g)を、非還元処理液[終濃度で、1%(w/v)SD
S(ドデシル硫酸ナトリウム)、10mMトリス緩衝液
(pH6.8)、20%(v/v)グリセリン]または
還元処理液[終濃度で、1%(v/v)2−メルカプト
エタノール、1%(w/v)SDS、10mMトリス緩
衝液(pH6.8)、20%(v/v)グリセリン]と
1:1(v/v)で混合し、95℃で5分間煮沸した。
ついで各反応液を、12.5%(w/v)ゲル濃度のS
DS−ポリアクリルアミド電気泳動で展開し、ついでポ
リフッ化ビニリデン(PVDF)膜(MILLIPOR
E社製)に、電気的に50V、1時間で、ブロッティン
グした。このPVDF膜を、5%(w/v)カゼインを
含むTBSを用いて室温で1時間ブロッキングし、10
μgの1次抗体としてのモノクローナル抗体F11P5
を、室温で2時間反応させ、0.05%(v/v)Tr
itonX100および0.5%(w/v)カゼインを
含むTBSで3回洗浄し、2次抗体として、0.05%
(v/v)TritonX100および0.5%(w/
v)カゼインを含むTBSで2000倍希釈したペルオ
キシダーゼ標識化ヤギ抗マウス抗体(TAGO社製)を
添加し、室温で1時間反応させ、同様に洗浄した。洗浄
後、ペルオキシダーゼ基質溶液で発色させた。この結
果、モノクローナル抗体F11P5はK1+K2+K3
ドメインを非還元処理した場合も還元処理した場合も認
識することが判明した。結果を発色バンドの位置として
図1に示す。
【0030】実施例4 (ヒト−Glu−プラスミノーゲンのモノクローナル抗
体への結合に及ぼすEACAの影響)ヒト−Glu−プ
ラスミノーゲン200μgを、IodoBeads(P
ierce社製)を用いて、125−Iodine(放
射活性単位17Ci/mg)で標識した。得られたI−
標識ヒト−Glu−プラスミノーゲン(終濃度5nM)
を、固相化したモノクローナル抗体F11P1、F11
P4、F11P5およびF11P6に添加し、種々の濃
度のEACAの共存下で、4℃で16時間反応させた。
結合したI−標識ヒト−Glu−プラスミノーゲン量
を、EACA非存在下での結合量に対するパーセントで
表示した。その結果を図2に示す。図2から、F11P
5は、3mMのEACAが存在すると、ヒト−Glu−
プラスミノーゲンとの結合が50%阻害されることが分
る。
【0031】実施例5 (免疫吸着クロマトグラフィーによるヒトプラスミノー
ゲンの製造)1gのブロムシアン活性化セファロース4
B(ファルマシア社製)を、1mM塩酸中で15分間膨
潤させ、グラスフィルター(G3)上で1mM塩酸20
0mlを用いて洗浄し、ついで0.1M重炭酸ナトリウ
ム−0.5M塩化ナトリウム(pH8.9)緩衝液で洗
浄した。他方、モノクローナル抗体F11P5 10m
gに0.1M重炭酸ナトリウム−0.5M塩化ナトリウ
ム(pH8.9)緩衝液1mlを加えて溶解し、これを
上記洗浄後のブロムシアン活性化セファロース4B(以
下、「ゲル」という)に添加し、室温で2時間振とうし
てカップリングを行った。2時間後、ゲルをグラスフィ
ルター(G3)で脱水し、0.1M重炭酸ナトリウム−
0.5M塩化ナトリウム(pH8.9)緩衝液および
0.1M酢酸−0.5M塩化ナトリウム(pH4.0)
緩衝液で交互に3回洗浄し、0.2Mグリシン(pH
8.0)50mlを加え、室温で2時間振とうしてブロ
ッキングを行った。得られたゲルを0.1M重炭酸ナト
リウム−0.5M塩化ナトリウム(pH8.9)緩衝液
および0.1M酢酸−0.5M塩化ナトリウム(pH
4.0)緩衝液で交互に3回洗浄し、TBSで平衡化し
て免疫吸着担体(3mlベッド容)を得た。
【0032】次に、10mlのヒト血漿(健常人)を、
TBSで平衡化したセファロース4Bカラム(5mlベ
ッド容)に通し、通過したヒト血漿を上記免疫吸着担体
(3mlベッド容)に通し、TBSでカラムを十分に洗
浄後、0.025M EACA含有TBSでヒトプラス
ミノーゲンを溶出させ、溶出液をTBSに対して透析す
ることによりヒトプラスミノーゲン0.56mgを得
た。得られたヒトプラスミノーゲンの活性を従来のウォ
ーレンとウィーマンの方法(文献名:前出)で得たヒト
プラスミノーゲンの活性と比較し表3に示した。ヒトプ
ラスミノーゲンの活性は、テストチームPLG・2キッ
ト(第一化学薬品社製)を用いて測定した。また、実施
例3と同様にして非還元処理を施し、電気泳動を行い、
電気泳動ゲルをクマシーブルー染色液(第一化学薬品社
製)に30分浸した。得られた電気泳動図を図3に示
す。上記結果から、本製造法によれば、高純度、高回収
率でヒトプラスミノーゲンが得られ、操作も簡便化され
ることが分る。
【0033】
【表3】
【0034】
【発明の効果】本発明の、ヒトプラスミノーゲンのクリ
ングルK1+K2+K3ドメインを認識し、かつEAC
Aによって競合阻害を受けるヒトプラスミノーゲンに対
するモノクローナル抗体を、ヒトプラスミノーゲンの免
疫吸着体として用いて、ヒト血漿からヒトプラスミノー
ゲンを製造する場合には、従来法に比し、高純度、高回
収率でヒトプラスミノーゲンが得られ、操作も簡便化さ
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒトプラスミノーゲンのクリングルK1+K2
+K3ドメイン、K4およびmini−Pgをそれぞれ
非還元処理または還元処理したものを電気泳動し、ウェ
スタンブロットし、ついでモノクローナル抗体F11P
5と反応させ、発色させた場合のバンドを示す図である
(実施例3)。
【図2】モノクローナル抗体F11P1、F11P4、
F11P5およびF11P6をそれぞれ固相化し、I−
標識ヒト−Glu−ヒトプラスミノーゲンを種々の濃度
のEACAの共存下で反応させ、その結合率を示した図
である(実施例4)。
【図3】本製造方法と従来法によって得られたヒトプラ
スミノーゲンをそれぞれ非還元処理したものを電気泳動
し、染色した場合のバンドを示す図である(実施例
5)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C12P 21/08 C12R 1:91)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒトプラスミノーゲンのクリングルK1
    +K2+K3ドメインを認識し、かつε−アミノカプロ
    ン酸によって競合阻害を受ける、ヒトプラスミノーゲン
    に対するモノクローナル抗体。
  2. 【請求項2】 該モノクローナル抗体へのヒトプラスミ
    ノーゲンの結合が、5mMのε−アミノカプロン酸の存
    在下で、50%以上阻害される請求項1記載のモノクロ
    ーナル抗体。
  3. 【請求項3】 F11P5ハイブリドーマ(工業技術院
    生命工学工業技術研究所の寄託番号FERM P−15
    952)から得られる請求項1または2記載のモノクロ
    ーナル抗体。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載のモ
    ノクローナル抗体の、ヒト血漿からのヒトプラスミノー
    ゲンの製造における免疫吸着剤としての使用。
  5. 【請求項5】 固相化した請求項1ないし3のいずれか
    に記載のモノクローナル抗体とヒト血漿とを接触させて
    ヒトプラスミノーゲンを吸着させ、ついで洗浄後、EA
    CA含有緩衝液で脱着することを特徴とするヒトプラス
    ミノーゲンの製造方法。
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