JPH1033171A - モノクローナル抗体および抗線溶剤 - Google Patents

モノクローナル抗体および抗線溶剤

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JPH1033171A
JPH1033171A JP8210571A JP21057196A JPH1033171A JP H1033171 A JPH1033171 A JP H1033171A JP 8210571 A JP8210571 A JP 8210571A JP 21057196 A JP21057196 A JP 21057196A JP H1033171 A JPH1033171 A JP H1033171A
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JP
Japan
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plasminogen
human
monoclonal antibody
glu
plasmin
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JP8210571A
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English (en)
Inventor
Masahiro Ishizuka
昌宏 石塚
Yasunobu Ueda
康信 上田
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COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
Original Assignee
COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規有用なモノクローナル抗体および抗線溶
剤の提供 【解決手段】 ヒトーGlu−プラスミノーゲンおよび
ヒトーLys−プラスミノーゲンのミニ−プラスミノー
ゲンを認識し、ε−アミノカプロン酸によって結合を阻
害されず、かつヒトーGlu−プラスミノーゲンのプラ
スミンへの活性化を阻害するモノクローナル抗体、およ
び該モノクローナル抗体を有効成分として含有する抗線
溶剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はヒトプラスミノーゲ
ンを抗原として作製されたハイブリドーマの産生するモ
ノクローナル抗体、および該モノクローナル抗体を有効
成分として含有する抗線溶剤に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスミノーゲンは肝臓で生産され、ヒ
ト血漿中には10〜17mg/dl、すなわち1.2〜
2μM含まれ、791個のアミノ酸からなる一本鎖糖蛋
白質で糖含量は約2%と報告されている。プラスミノー
ゲンにはN−末端にグルタミン酸をもつGlu−プラス
ミノーゲン(Glu−Pg)とN−末端にリジンをもつ
Lys−プラスミノーゲン(Lys−Pg)があるが、
前者は天然のプラスミノーゲンで、後者は、活性化の過
程でN−末端のペプチドがプラスミンにより切り出され
た中間的産物である。詳細には、Glu−プラスミノー
ゲンのN−末端から76番目のLysと77番目のLy
sの結合箇所が、プラスミンによって切断される。1〜
76番目のペプチドが遊離され、77番目以降のものが
Lys−プラスミノーゲンである。一方、プラスミノー
ゲンは、組織型プラスミノーゲンアクチベータ(t−P
A)あるいはウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベ
ータ(u−PA)などのアクチベータにより、Glu−
プラスミノーゲンのアミノ酸配列番号として560番目
のArgと561番目のValの結合箇所が限定分解を
受け、2本鎖のプラスミンになる。
【0003】このプラスミンのN−末端側をH鎖、C−
末端側をL鎖と呼び、H鎖にそれぞれが35%近いホモ
ロジーを有し、3個のS−S結合で結ばれた5つの繰り
返し構造(クリングル(kringle)構造、K1、
K2、K3、K4、K5)が存在する(Wirn,E.
S.et al.,Eur.J.Biochem.10
4,579〜586,1980)。K1〜K4には、リ
ジンセファロースなどに強い親和性のあるリジン結合部
位(LBS)があり、フィブリンの特定のリジン残基、
プラスミノーゲンの活性化に伴い遊離されるペプチド、
あるいはα2−プラスミンインヒビターなどと結合する
(Mori,M.and Aoki,N.,J.Bio
l.Chem.251,5956〜5965,197
6)。抗線溶薬のε−アミノカプロン酸(EACA)は
リジンと類似した構造をもち、プラスミノーゲンのLB
Sに結合してその分子構造を変化させ、プラスミノーゲ
ンのフィブリンへの結合およびα2−プラスミンインヒ
ビターへの結合を阻止する(Markus,G.et
al.,J.Biol.Chem. 253,727〜
732,1978)。ヒトーGlu−プラスミノーゲン
およびヒトーLys−プラスミノーゲンに対するモノク
ローナル抗体として特定の性質を有するものが知られて
いる(特公平7−4270号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ヒト血液中のプラスミ
ノーゲン量を測定できれば、生体内の凝固線溶の状態を
把握し、また血栓症等を診断するのに有効であると考え
られ、上記特公平7−4270号公報には該モノクロー
ナル抗体をそのために使用し得ることが記載されてい
る。しかしながら、該モノクローナル抗体とは異なるヒ
トプラスミノーゲン上の抗原決定基を認識するモノクロ
ーナル抗体を提供できれば、測定を多様化できる。ま
た、ヒトプラスミノーゲンに対するモノクローナル抗体
自体が、ヒトプラスミノーゲンのプラスミンへの活性化
を阻害することができれば、抗線溶剤として利用するこ
とができる。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決する本
発明は、(1)ヒトーGlu−プラスミノーゲンおよび
ヒトーLys−プラスミノーゲンのミニ−プラスミノー
ゲン(以下、「mini−Pg」という;K1〜K4ド
メインを除去したヒトプラスミノーゲンで、K5とL鎖
の一部を含む)を認識し、ε−アミノカプロン酸(以
下、「EACA」という)によって結合を阻害されず、
かつヒトーGlu−プラスミノーゲンのプラスミンへの
活性化を阻害するモノクローナル抗体、および(2)ヒ
トーGlu−プラスミノーゲンおよびヒトーLys−プ
ラスミノーゲンのミニ−プラスミノーゲンを認識し、ε
−アミノカプロン酸によって結合を阻害されず、かつヒ
トーGlu−プラスミノーゲンのプラスミンへの活性化
を阻害するモノクローナル抗体を有効成分として含有す
る抗線溶剤に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明のモノクローナル抗体は、
ケーラーとミルシュタインの方法(Kohler &
Milstein,Nature 256,495−4
97,1975)によって産生することができる。すな
わち、ヒトプラスミノーゲンで免疫した動物の脾細胞と
骨髄腫細胞(以下、「ミエローマ細胞」という)とを細
胞融合させ、得られたハイブリドーマからヒトプラスミ
ノーゲンに対して特異的な抗ヒトプラスミノーゲンモノ
クローナル抗体を産生するハイブリドーマを選択し、選
ばれたハイブリドーマからヒトmini−Pgを認識
し、かつEACAによって結合を阻害されない抗ヒトプ
ラスミノーゲンモノクローナル抗体を産生するハイブリ
ドーマを選択し、このハイブリドーマを大量培養あるい
は動物の腹腔内で増殖させ、この培養液あるいは腹水か
ら該モノクローナル抗体を分離することにより製造する
ことができる。
【0007】以下、本発明のモノクローナル抗体を得る
ための方法について詳細に説明する。 (1)抗原と免疫工程 抗原ヒトプラスミノーゲンはウオーレンとウイーマンの
方法(Wallen& Wiman, Biochi
m. Biophys. Acta. 257, 12
2−134, 1972)に従い、リジンセファロース
カラムクロマトグラフィーとイオン交換カラムクロマト
グラフィーにより、ヒト血漿中から分離精製される。た
だし、抗原は必ずしも精製標品である必要はない。上記
のようにして得られるヒトプラスミノーゲンは通常ヒト
ーGlu−プラスミノーゲンである。ヒトーLys−プ
ラスミノーゲンを得るには、ヒトーGlu−プラスミノ
ーゲンをプラスミンと混合すればよい。なお、ヒト−G
lu−プラスミノーゲンもヒトーLys−プラスミノー
ゲンも市販品(例えばアメリカンダイアグノスティカ社
製)があり、抗原として用いることができる。免疫され
る哺乳動物は、細胞融合しようとするミエローマ細胞株
との組み合わせを配慮して、一般には、マウス、ラット
等が好ましい。
【0008】抗原は、哺乳動物の皮下、皮内、腹腔ある
いは静脈等に注射等により投与することができる。具体
的には、ヒトプラスミノーゲンをリン酸緩衝液(以下、
「PBS」という)や生理食塩水等で適当な濃度に希釈
し、これに通常はアジュバントを混合し、1〜3週間毎
に数回投与する。投与量は、毎回1匹当たり、ヒトプラ
スミノーゲンとして、1〜200μg程度とすることが
好ましい。また、最終投与は、融合に使用する3〜5日
前に、アジュバントを用いない静脈注射による投与とす
ることが好ましい。最終免疫の数日後に脾臓細胞を取り
出す。
【0009】(2)細胞融合工程 この工程においては、免疫した動物の脾臓から取り出し
た抗体産生細胞とミエローマ細胞とを融合させ、融合細
胞を生じさせる。上記の脾細胞と融合させるミエローマ
細胞としては、公知の細胞株、例えば、マウスでは、
「NS−1/1−Ag−1」(Eur.J.Immun
ology6,511〜519(1976))、「SP
−2/O−Ag14」(Nature 276,269
〜270(1978))、「FO」(J. Immun
ol.Methods 35,1〜21(198
0))、「P3−X63−Ag8−U1」(Curre
nt Topics in Microbiology
and Immunology 81,1〜7(197
8))等、ラットでは、「YB2/0」(Method
s Enzymol.73B,1(1981))等のミ
エローマ細胞を使用できる。細胞混合比は、脾細胞:ミ
エローマ細胞=3〜20:1、好ましくは5〜10:1
で行うのが適している。
【0010】融合の際には、通常、融合促進剤としてポ
リエチレングリコール(PEG)、センダイウイルス等
が使用され、また同じ目的でさらにジメチルスルホキシ
ド等を適宜添加することもできる。このPEGの分子量
は、通常、1000〜6000位のものが好ましい。融
合時の培地としては、牛胎児血清(FCS)等を含有し
ない、ミエローマ細胞の増殖に使用されるMEM(Ea
gle´s Minimum Essential M
edium)培地、RPMI−1640(Roswel
l ParkMemorial Institute´
s Medium 1640)培地等が用いられる。融
合操作は、上記した混合比による脾細胞とミエローマ細
胞の所定量と、例えば37℃に温めておいた、30〜5
0%(w/v)程度のPEGを含有する、血清無添加の
培地とを混合し、数分間攪拌することにより行う。
【0011】(3)ハイブリドーマの選択 上記操作で得られた細胞を、例えば数枚の96穴マイク
ロプレートに分注し、HAT培地(例えば、MEM培地
あるいはRPMI−1640培地に、ヒポキサンチン1
00μM、アミノプテリン0.4μM、チミジン16μ
MおよびFCS約15%(v/v)となるように含有さ
せた培地)で培養することにより融合細胞を選択し、さ
らにそれらの培養上清から、ヒトプラスミノーゲンを固
相化したマイクロプレートによるELISA(Enzy
me Linked Immunosorbent A
ssay)により、ヒトプラスミノーゲンに特異的な抗
体を産生する細胞(ハイブリドーマ)をスクリーニング
することができる。
【0012】(4)クローニング 前記ハイブリドーマを限界希釈法または寒天法(例え
ば、96穴マイクロプレートまたは寒天入りシャーレで
希釈して培養し、陽性のものを選ぶ)等に付して、モノ
クローンのハイブリドーマを取得することができる。こ
こで取得したハイブリドーマの培養上清を用いて、ヒト
プラスミノーゲンをエラスターゼ処理して得られる、ク
リングルK1+K2+K3ドメイン、クリングルK4お
よびそれ以外のmini−Pg(クリングルK5ドメイ
ンを含有する)についてもアッセイを行い、培養上清中
の抗体の認識部位を確認することができる。また、これ
らのイムノグロブリンのタイプを、市販のアイソタイピ
ングキットを用いて、決定することができる。
【0013】(5)モノクローナル抗体の調製 上記のようにして得られた抗体産生ハイブリドーマを動
物の腹腔内に接種し、約10〜15日後に腹水を採取
し、その上清から、あるいはこのハイブリドーマを適当
な培地で培養し、その培養上清から、本発明のモノクロ
ーナル抗体を調製することができる。この際、必要に応
じて、モノクローナル抗体を塩析、アフィニティカラ
ム、ゲル濾過等により精製してもよい。
【0014】このようにして得られた、ヒトーGlu−
プラスミノーゲンおよびヒトーLys−プラスミノーゲ
ンのmini−Pgを認識する、ヒトーGlu−プラス
ミノーゲンおよびヒトーLys−プラスミノーゲンに対
するモノクローナル抗体中に、後述の実施例に示すごと
く、EACAによってこれらのヒトプラスミノーゲンへ
の結合を阻害されないモノクローナル抗体F11P3が
見出された。このモノクローナル抗体F11P3は、後
述の実施例に示すごとく、ヒトーGlu−プラスミノー
ゲンのプラスミンへの活性化を阻害する性質を有してい
た。
【0015】上記から理解されるごとく、本発明のモノ
クローナル抗体は、例えばヒト血液中のプラスミノーゲ
ン量を特異的に測定するために用いることができる。ま
た、本発明のモノクローナル抗体を利用する別の一態様
として、かかる性質を有するモノクローナル抗体を有効
成分として含有する抗線溶剤が挙げられる。すなわち、
本モノクローナル抗体は非経口的(静脈注射、直腸投与
等)または経口的に投与し、各投与方法に適した形態に
製剤化することができる。注射剤としての製剤形態は、
通常滅菌水水溶液を包含する。上記形態の製剤はまた、
常用される緩衝剤、等張化剤、保存剤等の水以外の製薬
補助剤を含有することができる。経口投与剤は胃腸器官
による吸収に適した形態に製剤化する。錠剤、カプセル
剤、顆粒剤、粉末剤等は、常用の製薬補助剤、例えば結
合剤、賦形剤、滑沢剤、崩壊剤、湿潤剤等を含有するこ
とができる。本抗線溶剤は出血性疾患、汎発生静脈血栓
症(DIC)等の治療または予防に用いることができ
る。本抗線溶剤の投与量は有効成分として0.1〜20
mg/kg/dayが適当である。以下実施例によって
本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれによ
って限定されるものではない。
【0016】
【実施例】
実施例1(モノクローナル抗体産生ハイブリドーマの作
製) (1)抗原ヒトプラスミノーゲンの取得 抗原ヒト−Glu−プラスミノーゲンはウオーレンとウ
イーマンの方法(文献名:前出)にしたがって分離、精
製した。すなわち、100mlのヒト血漿(健常人)
を、トリス0.05M、NaCl 0.1M、pH7.
4緩衝液(以下、「TBS」という)で平衡化したセフ
ァロース4Bカラム(5mlベッド容)に通し、通過し
たヒト血漿をリジンーセファロースカラム(30mlベ
ッド容)に通し、TBSでカラムを十分に洗浄後、0.
025M EACA含有TBSでヒト−Glu−プラス
ミノーゲンを溶出させ、イオン交換クロマト法(DEA
E−セルロースカラム)で精製して、ヒト−Glu−プ
ラスミノーゲン8mgを得た。
【0017】(2)モノクローナル抗体産生ハイブリド
ーマの作製 上記(1)で得たヒト−Glu−プラスミノーゲン10
0μgとフロイント完全アジュバント等容量との混合物
をマウス(BALB/c)1匹、1回当たりの投与量と
し、これを2週間毎に計3回背部に皮下注射した。抗体
価の上昇を、抗原ヒトプラスミノーゲンを固相化したプ
レートを用いて、免疫マウス血清のELISAにより確
認した。皮下免疫終了後、最終免疫として、生理食塩水
に溶解したヒト−Glu−プラスミノーゲン50μgを
尾静脈に投与し、免疫感作脾細胞を作製した。3日後に
脾臓を取り出し、20%(v/v)牛胎児血清入りDM
EM培地にほぐして懸濁し、洗浄した。
【0018】一方、細胞融合に供するミエローマ細胞と
してマウスミエローマ細胞株SP−2/O−Ag14を
使用し、これを20%(v/v)牛胎児血清入りDME
M培地中で増殖させた。得られた2種類の細胞を次の要
領で融合した。すなわち、40%(w/v)ポリエチレ
ングリコール(分子量1540)と12.5%(v/
v)ジメチルスルホキシドとを含有するDMEM培地
0.5ml中で、遠心分離で集めた上記脾細胞2×10
7 個と、遠心分離で集めた対数増殖期にある上記ミエ
ローマ細胞4×106 個とを混合して細胞融合を行っ
た。細胞融合の温度は37℃近傍で時間は4分であっ
た。
【0019】融合された細胞から融合用培地を除去後、
96穴マイクロプレート4枚に分注して、ハイブリドー
マの選択培養を行った。すなわち、融合細胞を各2%
(w/v)のヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチ
ミジンを添加した20%(v/v)牛胎児血清入りDM
EM培地で培養した。1〜3日間隔で培地交換を行い、
2週間でハイブリドーマのコロニーの形成を認めた。培
養上清を、ヒトプラスミノーゲン5μg/ml濃度で固
相化したプレートにおけるELISA(第二抗体として
パーオキシダーゼ標識化ヤギ抗マウス抗体(TAGO社
製)を使用)によって検査し、ヒトプラスミノーゲンに
強い反応性を示すコロニー6個を選択した。こうして得
られたコロニーを拡大培養した後、プレートのウェル1
穴当たり細胞が1個となるようDMEM培地で限界希釈
を行った。2週間後、コロニーの形成を確認し、再びE
LISAにより、培養上清に産生された抗体のヒトプラ
スミノーゲンに対する反応性を確認した。さらに、ハイ
ブリドーマの限界希釈によるクローニングをもう一度行
うことにより得られるハイブリドーマを単一のハイブリ
ドーマ株であるとみなし、また産生した抗体のアイソタ
イピングを行った。その結果を表1に示す。
【0020】
【表1】表1 産生抗体のアイソタイピング
【0021】実施例2(モノクローナル抗体の反応性) 実施例1で得られたハイブリドーマ株のそれぞれをマウ
ス(BALB/c)の腹腔内に接種し、12日後に腹水
を採取し、遠心分離し、上清をアフィニティクロマトグ
ラフィー(MAb.TrapG、ファルマシア社製)に
て精製し、モノクローナル抗体を得た。得られた各モノ
クローナル抗体を用いてELISAを行った。すなわ
ち、ヒト−Glu−プラスミノーゲンを5μg/ml濃
度、50μl/ウェルで固相化したプレートに、ヒトプ
ラスミノーゲンのリジン結合部位LBSI(K1+K2
+K3ドメイン:SIGMA社製)、LBSII(K4
ドメイン:SIGMA社製)またはmini−Pg(K
1〜K4ドメインを含まず、K5ドメインとL鎖の一部
を含むヒトプラスミノーゲン:American Di
agnostica社製)を5μg/mlになるよう、
50mM EACAを含むTBSまたはそれを含まない
TBSで希釈し、希釈液をそれぞれ50μl/ウェルで
添加した。
【0022】さらに、0.1μg/ml濃度に希釈した
精製モノクローナル抗体溶液を50μl/ウェルで添加
し、室温で2時間反応させた。洗浄後、1%牛血清アル
ブミンを含むTBSを用いて2000倍希釈したペルオ
キシダーゼ標識ヤギ抗マウス抗体(TAGO社製)を5
0μl/ウェルで添加し、室温で1時間反応させた。洗
浄後、1mg/mlのペルオキシダーゼ基質溶液を50
μl/ウェルで添加し、5分経過後、1N硫酸を50μ
l/ウェルで添加し、波長490nmにおける吸光度を
測定した。なお、発色される場合は、モノクローナル抗
体が固相ヒトプラスミノーゲンと結合し、LBSI、L
BSIIまたはmini−Pgとは結合しないことを意
味する。 この結果、ヒトプラスミノーゲンのmini
−Pgを認識し、かつEACAによって結合を阻害され
ないモノクローナル抗体F11P3を得た。その結果を
表2に示す。表2中のモノクローナル抗体F11P3が
本発明の抗体であり、他は本発明外の抗体である。モノ
クローナル抗体F11P3を産生したハイブリドーマは
工業技術院生命工学工業技術研究所に、寄託番号FER
M P−15723として寄託されている。
【0023】
【表2】表2 モノクローナル抗体のヒトプラスミノー
ゲンのクリングルドメインとの反応性
【0024】実施例3(モノクローナル抗体の反応性) ウオーレンとウイーマンの方法(文献名:前出)に準じ
て、ヒトプラスミノーゲンから、クリングルK1+K2
+K3ドメイン、K4ドメインおよびmini−Pgを
分離精製した。すなわち、ヒト−Lys−プラスミノー
ゲン 180μMをブタ膵臓由来のエラスターゼ150
単位(CALBIOCHEM社製)で室温で4時間半処
理し、フルオロリン酸ジイソプロピル(和光純薬工業社
製)を終濃度1mMになるように添加して、反応を停止
させた。これを、リジンーセファロースカラムおよびセ
ファクリルS−200カラム(Pharmacia社
製)を用いて、K1+K2+K3ドメイン、K4ドメイ
ンおよびmini−Pgに分離精製した。さらに、10
0mlのヒト血漿(健常人)にu−PA(JRC Ph
armaceuticals社製)を1000I.U/
mlとなるように添加し、25℃で1時間保温した。1
時間後にフルオロリン酸ジイソプロピル(和光純薬社
製)を1mM、アプロチニン(和光純薬社製)を100
U/ml、Benzamidine(SIGMA社製)
を5mMとなるように添加し25℃で1時間保温し、反
応を停止した。このウロキナ−ゼ処理血漿をTBSで平
衡化したリジン−セファロ−スカラム(30mlベッド
容)に通し、TBSでカラムを十分に洗浄後、0.02
5M EACA含有TBSでヒトプラスミン−α2プラ
スミンインヒビタ−複合体を溶出させ、イオン交換クロ
マト法(DEAE−セファロ−スカラム)で精製して、
ヒトプラスミン−α2プラスミンインヒビタ−複合体1
mgを得た。
【0025】これらの各試料(タンパク質量0.5μ
g)を、非還元処理液[終濃度で、1%(w/v)SD
S(ドデシル硫酸ナトリウム)、10mMトリス緩衝液
(pH6.8)、20%(v/v)グリセリン]と1:
1(v/v)で混合し、95℃で5分間煮沸した。つい
で各反応液を、12.5%(w/v)ゲル濃度のSDS
−ポリアクリルアミド電気泳動で展開し、ついでポリフ
ッ化ビニリデン(PVDF)膜(MILLIPORE社
製)に、電気的に50V、1時間で、ブロッティングし
た。このPVDF膜を、5%(w/v)カゼインを含む
TBSを用いて室温で1時間ブロッキングし、10μg
の1次抗体F11P3を、室温で2時間反応させ、0.
05%(v/v)TritonX100および0.5%
(w/v)カゼインを含むTBSで3回洗浄し、2次抗
体として、0.05%(v/v)TritonX100
および0.5%(w/v)カゼインを含むTBSで20
00倍希釈したペルオキシダーゼ標識化ヤギ抗マウス抗
体(TAGO社製)を添加し、室温で1時間反応させ、
同様に洗浄した。洗浄後、ペルオキシダーゼ基質溶液で
発色させた。この結果、モノクローナル抗体F11P3
はヒトプラスミン−α2−プラスミンインヒビター複合
体およびmini−Pgを認識することが判明した。結
果を発色バンドの位置として図1に示す。
【0026】実施例4(ヒトプラスミノーゲンのヒトプ
ラスミンへの活性化に及ぼすモノクローナル抗体の影
響) ヒト−Glu−プラスミノ−ゲンとモノクロ−ナル抗体
F11P3とをモル比1:10で混合し、37℃で2時
間反応させ、2時間後、50nMのu−PA(持田製薬
社製)、700I.UのSK(ストレプトキナーゼ;ア
メリカンダイアグノスティカ社製)をそれぞれ別々に3
7℃、5分反応させ、その後1mMのS−2251(発
色性合成基質:第一化学薬品社製)を添加し、p−ニト
ロアニリンの遊離量を波長405nmにて比色定量し
た。対照抗体として正常マウスIgG(normal
IgG)を使用した。この結果、F11P3が存在する
と、ヒト−Glu−プラスミノ−ゲン(Pg)ではu−
PA、SKによるプラスミンへの活性化を阻害すること
が判明した。その結果を表3に示す。
【0027】
【表3】
【0028】
【発明の効果】本発明のモノクローナル抗体を用いてヒ
ト血液中のプラスミノーゲン量を測定することができ
る。また、本発明のモノクローナル抗体は、ヒトーGl
u−プラスミノーゲンのプラスミンへの活性化を阻害す
る作用を有するので抗線溶剤として利用することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒトプラスミノーゲンのクリングルK1+K2
+K3ドメイン、K4およびmini−Pg、およびヒ
トプラスミン−α2−プラスミンインヒビター複合体を
それぞれ非還元処理したものを電気泳動し、ウエスタン
ブロットし、モノクローナル抗体F11P3と反応さ
せ、発色させた場合の発色バンドを示す。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年10月14日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正内容】
【0023】
【表2】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒトーGlu−プラスミノーゲンおよ
    びヒトーLys−プラスミノーゲンのミニ−プラスミノ
    ーゲンを認識し、ε−アミノカプロン酸によって結合を
    阻害されず、かつヒトーGlu−プラスミノーゲンのプ
    ラスミンへの活性化を阻害するモノクローナル抗体。
  2. 【請求項2】 F11P3ハイブリドーマ(工業技術
    院生命工学工業技術研究所の寄託番号FERM P−1
    5723)から得られる請求項1記載のモノクローナル
    抗体。
  3. 【請求項3】 ヒトーGlu−プラスミノーゲンおよ
    びヒトーLys−プラスミノーゲンのミニ−プラスミノ
    ーゲンを認識し、ε−アミノカプロン酸によって結合を
    阻害されず、かつヒトーGlu−プラスミノーゲンのプ
    ラスミンへの活性化を阻害するモノクローナル抗体を有
    効成分として含有する抗線溶剤。
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WO2021081581A1 (en) * 2019-10-28 2021-05-06 Monash University Antibodies for binding plasminogen
EP4051316A4 (en) * 2019-10-28 2024-02-21 Monash University ANTIBODIES FOR BINDING PLASMINOGEN

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