JPH10176652A - 斜板式液圧ポンプ - Google Patents

斜板式液圧ポンプ

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JPH10176652A
JPH10176652A JP8353034A JP35303496A JPH10176652A JP H10176652 A JPH10176652 A JP H10176652A JP 8353034 A JP8353034 A JP 8353034A JP 35303496 A JP35303496 A JP 35303496A JP H10176652 A JPH10176652 A JP H10176652A
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piston
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dead center
plate type
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Haruo Kokubu
晴雄 国分
Shigetaka Nakamura
重孝 中村
Akira Nakayama
中山  晃
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Hitachi Construction Machinery Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ピストンの吐出行程においてピストンとシリ
ンダとの摺動面間を潤滑状態に保持し、装置の機械効率
を向上させるようにする。 【解決手段】 シリンダ7の下死点位置で、円筒部9と
テーパ部10との境界部11をシリンダ7の外部に位置
させ、かつ、少なくともシリンダ7の中間位置では境界
部11をシリンダ7内に開口端7Bから内側に位置させ
るように、円筒部9とテーパ部10との境界部11の位
置決めを行う。これにより、吐出行程でピストン8が下
死点位置から上死点位置へとシリンダ7内を進入すると
きには、ピストン8の進入速度が最大となる中間位置の
手前で、円筒部9を境界部11を含めて予めシリンダ7
内に完全に進入させるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、斜板式の油圧ポン
プ等に用いて好適な斜板式液圧ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、斜板が設けられたケーシング
と、該ケーシング内に回転軸を介して設けられ前記斜板
と対向して回転するシリンダブロックと、該シリンダブ
ロックの軸方向に穿設された複数のシリンダと、基端側
が該各シリンダ内に摺動可能に挿嵌され先端側が該各シ
リンダ外に突出する複数のピストンと、該各ピストンの
突出端側に揺動可能に設けられ前記シリンダブロックが
回転するときに前記斜板に対して摺動する複数のシュー
とからなる斜板式液圧ポンプ(以下、第1の従来技術と
いう)は知られている。
【0003】この種の従来技術による液圧ポンプを油圧
ポンプとして用いる場合には、回転軸をシリンダブロッ
クと共に回転源となるエンジンやモータ等によって回転
駆動させ、この回転軸の回転に伴って各ピストンに設け
たシューを斜板上で摺動させる。これによって、シリン
ダブロックの各シリンダ内では各ピストンが往復動さ
れ、各ピストンがピストンから後退(伸長)する吸入行
程と、ピストン内に進入(縮小)する吐出行程とを繰返
すことにより、各シリンダ内に吸込んだ油液を順次圧油
として外部に吐出させてポンプ作用を行う。
【0004】ここで、前記ピストンはシリンダ内を軸方
向に沿って延びた長軸の円筒体として形成されている。
そして、このピストンはシリンダの穴径に対応した外径
寸法を有し、シリンダとの摺動面間でこのシリンダ内を
液密にシールしている。また、この摺動面間にはシリン
ダ内の圧油の一部が補給され、この摺動面間を潤滑状態
に保持している。
【0005】また、第2の従来技術として実開昭62−
180677号公報に記載の斜板式液圧ポンプが知られ
ている。この従来技術にあっては、ピストンを、シリン
ダ内に摺動可能に挿嵌された摺動部としての円筒部と、
該円筒部側からテーパ状に縮径し該円筒部よりも小径に
なったテーパ部とから一体に形成している。そして、前
記円筒部はシリンダの穴径に対応する外径寸法をもって
形成され、シリンダとの摺動面間でこのシリンダ内を液
密にシールしている。
【0006】一方、前記テーパ部はシリンダの穴径より
も小径に形成され、シリンダに対しては常に非接触の状
態に保持されている。そして、このテーパ部は、シリン
ダに常時接触する円筒部の長さ寸法を短縮させることに
より、シリンダに対するピストンの接触(摺動)面積を
減少させ、この摺動面間で生じる摺動抵抗を低減するよ
うにしている。
【0007】また、第2の従来技術では、テーパ部の軸
寸法をシリンダの全長に対して約半分程度の長さに設定
しているために、円筒部の軸寸法が前記第1の従来技術
で述べたピストンの全長に比較して大幅に短縮され、こ
れによって、シリンダの円筒部はピストンがシリンダか
ら最も伸長する下死点位置でもシリンダ内に位置し、テ
ーパ部との境界部がシリンダの開口端から外部にはみ出
すことはない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した第
1の従来技術による斜板型液圧回転機では、ピストンを
ほぼ全長に亘って円筒体として形成しているために、シ
リンダとピストンとの摺動面積が大きくなり、このとき
の摺動抵抗によりポンプとしての機械効率が悪くなると
いう問題がある。
【0009】また、前記シリンダとピストンとの間には
実質的に微小な隙間が形成されるために、ピストンはこ
の隙間分だけシリンダの軸線に対して僅かに傾いた状態
でシリンダ内を摺動変位することになり、これによって
もピストンの摺動抵抗が増加し、機械効率等が低下する
という問題がある。
【0010】一方、前記第2の従来技術では、ピストン
にテーパ部を設けることにより、ピストンのうち円筒部
のみをシリンダに摺動可能に挿嵌させる構成とし、シリ
ンダに対するピストンの接触(摺動)面積を前記テーパ
部の分だけ小さくすることができ、シリンダとピストン
との間の摺動抵抗を低減できる。しかし、この場合に
は、シリンダとピストンとの摺動面積をテーパ部により
減少させるために、逆に両者の摺動面におけるシール性
が低下し、シリンダ内の圧油の一部が摺動面を介してシ
リンダの外部に漏洩し易くなるという問題がある。
【0011】本発明は上述した従来技術の問題に鑑みな
されたもので、本発明は、例えばピストンの吐出行程時
にもピストンとシリンダとの摺動面間に油液を確保し、
両者間を常に良好な潤滑状態に保持できると共に、この
摺動面間からシリンダ内の油液が外部に漏洩するのを防
止でき、装置の機械効率や信頼性等を向上できるように
した斜板式液圧ポンプを提供することを目的としてい
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために本発明は、斜板が設けられたケーシングと、該ケ
ーシング内に回転軸を介して設けられ前記斜板と対向し
て回転するシリンダブロックと、該シリンダブロックの
軸方向に穿設された複数のシリンダと、基端側が該各シ
リンダ内に摺動可能に挿嵌され先端側が該各シリンダ外
に突出する複数のピストンと、該各ピストンの突出端側
に揺動可能に設けられ前記シリンダブロックが回転する
ときに前記斜板に対して摺動する複数のシューとからな
る斜板式液圧ポンプに適用される。
【0013】そして、請求項1に記載の発明が採用する
構成の特徴は、前記ピストンは、前記シリンダ内に挿嵌
され該シリンダ内を摺動変位する円筒部と、該円筒部か
らテーパ状に漸次縮径し先端側に前記シューが設けられ
るテーパ部とからなり、前記円筒部とテーパ部との境界
部は、前記ピストンがシリンダから最も伸長する下死点
位置で前記シリンダの外部に位置し、前記ピストンの下
死点位置とシリンダ内に最も縮小する上死点位置との間
の少なくとも中間位置ではシリンダ内に位置する構成と
したことにある。
【0014】このように構成することにより、ピストン
には下死点位置で境界部がシリンダの外部へと出るよう
になり、その後に上死点位置へと向かう中間位置に達す
るときには、境界部がシリンダ内に位置するようにな
る。そして、この状態でピストンは円筒部とテーパ部と
の境界部を介して圧油の漏洩を抑えつつ、シリンダとピ
ストンとの間を潤滑状態に保持することができる。
【0015】また、請求項2に記載の発明では、前記円
筒部とテーパ部との境界部は、前記ピストンが上死点位
置から下死点位置に向けて前記シリンダ内に進入すると
きのピストン速度(V)が少なくとも最大となるときに
シリンダ内に位置する構成としている。
【0016】この結果、ピストンがシリンダ内を進入す
るときにはピストン速度(V)が最大となる前に、境界
部をシリンダ内に位置させることができるから、このと
きにピストンとシリンダとの間を予め潤滑状態に保持し
ておくことができる。
【0017】さらに、請求項3に記載の発明が採用する
構成の特徴は、前記ピストンは、前記シリンダ内に挿嵌
され該シリンダ内を摺動変位する円筒部と、該円筒部か
らテーパ状に漸次縮径し先端側に前記シューが設けられ
るテーパ部とからなり、前記円筒部とテーパ部との境界
部は、前記ピストンがシリンダから最も伸長する上死点
位置で前記シリンダの外部に位置し、前記ピストンの下
死点位置と上死点位置との間の中間位置よりも少なくと
も前記下死点側寄りの位置で前記シリンダ内に位置する
構成としている。
【0018】この結果、ピストンがシリンダ内に進入す
る吐出行程では、ピストンが下死点位置から中間位置に
達する前に、ピストンの境界部はシリンダ内に位置する
ようになり、ピストンとシリンダとの摺動面間を潤滑状
態に保持することができる。
【0019】さらにまた、請求項4に記載の発明では、
前記円筒部とテーパ部との境界部は、前記ピストンの受
圧面から該ピストンの揺動中心までの距離(Ld )と該
ピストンの揺動中心に作用するラジアル方向の反力(N
z )との積(Nz ×Ld )を、該ピストンの受圧面から
前記シリンダの開口端までの距離(Lc )で割ることに
より求められる等価ラジアル反力(F2e)に対して、前
記ピストンがシリンダ内に進入するときのピストン速度
(V)を積算した積算値(F2e×V)が最大となるとき
に、前記シリンダ内に位置する構成としている。
【0020】これにより、ピストンがシリンダ内に進入
するときには、ピストンの速度(V)と前記等価ラジア
ル反力(F2e)との積算値(F2e×V)が最大となる前
に、前記境界部をシリンダ内に位置させることができる
から、前記積算値(F2e×V)が最大となる前にピスト
ンとシリンダとの摺動面間を予め潤滑状態に保持してお
くことができる。
【0021】一方、請求項5に記載の発明では、前記テ
ーパ部のテーパ角を、前記シリンダの軸線に対してピス
トンが傾斜するときの傾斜角よりも大きく、かつこの傾
斜角の2倍以下の角度としている。
【0022】この結果、テーパ部の傾斜角をピストンが
傾斜する傾斜角以上に設定することにより、境界部がシ
リンダ内に進入(位置)したときには、テーパ部がシリ
ンダ内に摺接することはなくなり、これによってシリン
ダとテーパ部との摺動面間に微小な隙間を形成すること
ができる。そして、テーパ部の傾斜角をピストンが傾斜
する傾斜角の2倍以下に設定することにより、テーパ部
とシリンダとの間の隙間を小さく抑えることができ、テ
ーパ部とシリンダとの間の隙間を介してシリンダ内の圧
油が外部に漏出するのを低減できる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面に基づき説明する。
【0024】ここで、図1ないし図11は本発明の第1
の実施例による斜板式液圧ポンプを斜板式の油圧ポンプ
に適用した場合を例に挙げて示している。
【0025】図において、1は当該油圧ポンプの外殻を
なすケーシングを示し、該ケーシング1は軸方向一端側
に閉塞部2Aを有する筒状のケーシング本体2と、該ケ
ーシング本体2の開口端側を閉塞する蓋体3とからな
り、ケーシング本体2には、その径方向に互いに離間し
て一対の傾転シリンダ2B,2Bが設けられている。そ
して、該ケーシング1内にはその軸方向に回転軸4が挿
通され、該回転軸4はケーシング本体2の閉塞部2A側
と蓋体3側との間で軸受等を介して回転可能に支持され
ている。
【0026】5はケーシング本体2内に位置して閉塞部
2Aの内側面に固着された弁板で、該弁板5には後述す
るピストン8の下死点位置と上死点位置とを挟むように
眉型状の吸入ポート5Aと吐出ポート5Bとが穿設され
ている。そして、この吸入ポート5Aおよび吐出ポート
5Bは、それぞれケーシング本体2の閉塞部2A側に設
けた吸入通路2Cおよび吐出通路2Dに常時連通してい
る。
【0027】6はケーシング1内に回転軸4を介して回
転可能に設けられたシリンダブロックを示し、該シリン
ダブロック6はその内周側に回転軸4がスプライン結合
され、後述の斜板14と回転軸4の軸方向で対向するよ
うに配設される。そして、シリンダブロック6には図2
に示す如く、回転軸4の周囲に位置して軸方向に複数の
シリンダ7,7,…(2個のみ図示)が穿設されてい
る。
【0028】ここで、各シリンダ7の一端側にはシリン
ダポート7Aが形成され、他端側は斜板14に向けて開
口した開口端7Bとなっている。また、シリンダ7はそ
の内周面が後述するピストン8の円筒部9に対する摺動
面7Cとなっている。そして、シリンダブロック6は、
各シリンダポート7A側の端面が弁板5に摺接し、回転
軸4と一体となって図2中の矢示A方向に回転すること
により、各シリンダ7を各シリンダポート7Aを介して
弁板5の吸入ポート5Aと吐出ポート5Bとに間欠的に
連通させる。
【0029】8,8,…は基端側が各シリンダ7内に摺
動可能に挿嵌され、先端側が各シリンダ外へと突出した
ピストン(2個のみ図示)を示し、該各ピストン8は図
1および図9に示す如く、シリンダ7に対応した外径寸
法をもって形成され、シリンダ7内に摺動可能に挿嵌さ
れた円筒部9と、該円筒部9の先端側から軸方向に突出
形成され、後述のシュー12側に向けて後述のテーパ角
γをもってテーパ状に漸次縮径したテーパ部10とから
構成され、円筒部9とテーパ部10との間は円形状の境
界部11となっている。
【0030】ここで、前記円筒部9は、その外周面がシ
リンダ7の摺動面7Cに対する摺動面9Aとなり、該摺
動面7C,9A間にはシリンダ7内の圧油の一部が潤滑
油となって補給される。また、円筒部9はシリンダポー
ト7Aと対向した端面が、図3中に示すシリンダ7から
の圧力Pを受圧する受圧面9Bとなっている。
【0031】一方、ピストン8のテーパ部10は、シリ
ンダ7の摺動面7Cに接触することがないように摺動面
7Cとの間に環状の隙間を介してシリンダ7内に挿入さ
れることになる。そして、テーパ部10はシリンダ7に
対するピストン8の接触(摺動)面積を減少させ、摺動
面7C,9A間で生じる摺動抵抗を低減させるものであ
る。また、テーパ部10はシリンダ7から突出した突出
端側がそれぞれ球状凹部10Aとして形成され、該各球
状凹部10A内には後述する各シュー12の継手部12
Bが揺動可能に連結されている。
【0032】ここで、後述する理由によりピストン8は
図9に示すように、その中心軸O1−O1 がシリンダ7
の軸線O2 −O2 に対して傾斜角βだけ僅かに傾いた状
態でシリンダ7内を摺動変位し、シリンダ7とピストン
8との間には、図11に示すように境界部11の位置で
最小の隙間寸法となり、境界部11の前,後でピストン
8の軸方向へと漸次拡開して延びる楔状(略「く」字
状)の微小な隙間S1 ,S2 が形成される。
【0033】この場合、テーパ部10のテーパ角γは、
図11に示す如く前記ピストン8の傾斜角βよりも大き
く、かつ該傾斜角βの2倍以下(β<γ≦2β)の範囲
内に設定されている。そして、シリンダ7の摺動面7C
(軸線O2 −O2 )に対して、テーパ部10はピストン
8の傾斜角βに対応する傾き角δをもってシリンダ7内
に挿入され、この状態にあってはシリンダ7の摺動面7
Cとピストン8の円筒部9との間の隙間S1 がテーパ部
10とシリンダ7との間の隙間S2 とほぼ同様の寸法、
形状をなすように構成される。
【0034】即ち、テーパ部10のテーパ角γを傾斜角
βよりも大きく設定することにより、境界部11がシリ
ンダ7内に進入(位置)したときには、テーパ部10が
シリンダ7内に摺接することはなくなり、これによって
シリンダ7とテーパ部10との間には常に微小な隙間S
2 が形成される。また、テーパ角γを傾斜角βの2倍以
下に設定することにより、前記隙間S2 の隙間寸法を隙
間S1 と同様に小さく抑えるようにし、該隙間S2 を介
してシリンダ7内の圧油が外部に漏出するのを低減して
いる。
【0035】ここで、ピストン8は図3に示す如く、シ
リンダブロック6と共に回転軸4の軸心0を中心として
矢示A方向に回転し、この回転に伴ってシュー12が斜
板14上を摺動することにより、シリンダ7内を摺動変
位(往復動)するものである。そして、各シリンダ7内
でピストン8が図3中に実線で示す下死点(B.D.
C)の位置に配置された状態では、ピストン8は図4に
示すようにシリンダ7から最も伸長した位置まで摺動変
位し、このときにピストン8の円筒部9はシリンダ7内
に寸法L1分だけ挿入された状態となる。
【0036】また、各シリンダ7はシリンダブロック6
の軸心Oを中心にして前記下死点(B.D.C)の位置
から矢示A方向に半回転し、各シリンダ7内のピストン
8が図3中に一点鎖線で示す上死点(T.D.C)の位
置に到達した状態では、ピストン8は図6に示すように
シリンダ7内に最も縮小した位置まで摺動変位し、この
ときにピストン8はシリンダ7内へと寸法L2 (L2 >
L1 )分だけ進入する。即ち、ピストン8は寸法(L2
−L1 )をストローク範囲としてシリンダ7内を往復動
する。
【0037】さらに、ピストン8が下死点(B.D.
C)の位置から軸心Oを中心に矢示A方向に90度分だ
け回転し、各シリンダ7内のピストン8が図3中に一点
鎖線で示した位置に到達した状態では、ピストン8は図
5に示すように前記上死点位置と下死点位置との間の中
間位置まで摺動変位する。従って、このときにピストン
8はシリンダ7内に図5に示す如く、寸法L3 =L1 +
(L2 −L1 )/2分だけ挿入された状態となる。
【0038】また、これと同様にして、ピストン8が上
死点(T.D.C)の位置から軸心Oを中心として矢示
A方向に90度分だけ回転し、ピストン8が図3中に一
点鎖線で示した位置まで到達した状態でも、ピストン8
は図5に示すように前記中間位置まで摺動変位する。
【0039】ここで、ピストン8は円筒部9の軸寸法L
a が前記寸法L1 よりも大きく、かつ寸法L3 以下の範
囲内(L1 <La ≦L3 )に設定されている。この結
果、図4に示すようにピストン8の下死点位置では、円
筒部9はその一部分がシリンダ7の外部に一定寸法だけ
外部に突出し、これによって境界部11はシリンダ7の
外部に位置するようになる。また、ピストン8の中間位
置では図5に示す如く、円筒部9は境界部11を含めて
シリンダ7内に位置するようになり、境界部11はシリ
ンダ7外にはみ出してしまうことはない。
【0040】12,12,…は各ピストン8に揺動自在
に設けられたシュー(2個のみ図示)を示し、該各シュ
ー12は図1および図9に示す如く、段付円板状をなし
た台座部12Aと、該台座部12Aの一側に一体形成さ
れた略球形状の継手部12Bとからなっている。そし
て、シュー12は継手部12Bがピストン8の球状凹部
10A内に抜止め状態で嵌合され、ピストン8の先端側
に揺動可能に連結されている。そして、シュー12は回
転軸4の回転に伴って斜板14上を摺動することによ
り、ピストン8をシリンダ7内で往復動させるものであ
る。
【0041】13はシュー押えとなる環状の押え板で、
該押え板13はシリンダブロック6の回転に伴って各シ
ュー12が斜板14上を摺動するように、各シュー12
を斜板14上に押付けるものである。
【0042】14はケーシング1の開口部2E側に設け
られた斜板を示し、該斜板14はその表面側に各シュー
12が摺接し、前記各シリンダ7内で各ピストン8をそ
れぞれシュー12を介して往復動させるものである。
【0043】15,15はケーシング1の各傾転シリン
ダ2B内にそれぞれ伸縮可能に設けられた押圧ピストン
を示し、該押圧ピストン15は外部からの圧油が給排さ
れることにより互いに逆向きに伸縮操作され、斜板14
の傾転角αを適宜に調整するものである。なお、図1の
状態では斜板14は最も傾斜した状態に設定されてい
る。
【0044】本実施例による斜板式の油圧ポンプは上述
の如く構成を有するもので、次にその作動について説明
する。
【0045】まず、回転軸4をシリンダブロック6と共
に回転源となるエンジンやモータ等によって矢示A方向
に回転駆動させると、この回転軸4の回動に伴って各ピ
ストン8に設けたシュー12が斜板14上を摺動する。
これによって、シリンダブロック6の各シリンダ内7で
各ピストン8が往復動され、このときに各シリンダ7
は、各シリンダポート7Aを介して吸入ポート5Aと吐
出ポート5Bとに間欠的に連通する。
【0046】ここで、図3に示すように、ピストン8が
シリンダ7と共に軸心Oを中心として上死点(T.D.
C)の位置から矢示A方向に半回転して下死点(B.
D.C)の位置まで回転すると、これに伴ってピストン
8は、シリンダ7内に最も縮小した位置(図6の状態)
からシリンダ7の外部に最も伸長した位置(図4の状
態)へとシリンダ7内を寸法(L2 −L1 )分だけ後退
(摺動変位)する。そして、このときにシリンダ7は、
吸込ポート5Aに常に連通し、該吸込ポート5Aからシ
リンダ7内に油液を吸込む吸込行程となる。
【0047】また、ピストン8がシリンダ7と共に軸心
Oを中心として下死点の位置から矢示A方向に半回転し
て上死点の位置まで回転すると、これに伴ってピストン
8は前記吸込行程の場合とは逆にして、上死点位置から
下死点位置へとシリンダ7内を寸法(L2 −L1 )分だ
け進入(摺動変位)する。そして、このときにシリンダ
7は吐出ポート5Bに常に連通し、シリンダ7内の油液
を圧油として吐出ポート5Bに向けて吐出する吐出行程
となる。
【0048】このように油圧ポンプの作動時には、各シ
ュー12を斜板14に案内させることにより、各ピスト
ン8を寸法(L2 −L1 )をストローク範囲として各シ
リンダ7内で往復動させ、吸込行程と吐出行程とを繰返
してポンプ作用を行うものである。
【0049】次に、ピストン8がシリンダ7内を往復動
するときのピストン速度Vについて図7および図8を参
照して説明する。
【0050】まず、図7に示すように、シリンダブロッ
ク6のシリンダ7が回転軸4の軸心Oを中心に半径Rを
もってXZ平面上を円51に沿って矢示A方向に回転角
θ分だけ回転すると、ピストン8はこの円51上を点S
から点Tまで変位する。そして、このときにピストン8
がZ方向に対して変位した距離aは、シリンダ7(シリ
ンダブロック6)の回転半径を寸法Rとすると、
【0051】
【数1】a=R×(1−cosθ) となる。
【0052】一方、ピストン8に設けたシュー12の継
手部12Bの球中心は、前記球中心を通り斜板14に平
行な面14A上を点S′の位置から点T′の位置まで楕
円軌道52を描きながら摺動変位するから、このときに
シュー12がピストン8と共にY方向、即ちシリンダ7
の軸方向に対して変位した距離bは、
【0053】
【数2】b=R×(1−cosθ)×tanα となり、各シリンダ7内でのピストン8の摺動変位は回
転角θの関数として表される。
【0054】従って、ピストン8の速度Vは、数2の式
を時間tで微分することにより
【0055】
【数3】 V=R×tanα×sinθ×dθ/dt =R×tanα×sinθ×ω となる。
【0056】即ち、シリンダブロック6が定速回転の状
態ではシリンダ7の角速度ωは一定となるから、ピスト
ン8の速度Vは図8に示すように回転角θの正弦関数と
して表される。これにより、吐出行程では、ピストン8
が下死点位置(回転角θ=0度)からシリンダ7内に進
入するに従ってピストン速度Vは増加し、回転角θが9
0度となる中間位置では、ピストン8の速度Vが最大速
度Vmax 、
【0057】
【数4】Vmax = R×ω×tanα となることが分かる。そして、ピストン8が中間位置を
通過した後に、さらに上死点位置へとシリンダ7内に進
入するに従って、速度Vは再び小さくなる。
【0058】ところで、シリンダ7とピストン8との間
には実質的に微小な隙間が形成される。そして、ピスト
ン8には図12に示すようにラジアル反力F1 ,F2 が
作用するために、ピストン8はシリンダ7の軸線O2 −
O2 に対して僅かに傾いた状態でシリンダ7内を摺動変
位するようになる。
【0059】この結果、図10に示すように吐出行程で
境界部11がシリンダ7の外部に位置した状態では、円
筒部9とシリンダ7との摺動面7C,9A間には、開口
部7Bの位置からシリンダ7の軸方向に沿って前述した
隙間S1 とほぼ同様の寸法、形状をなした隙間S3 が形
成される。そして、この状態では、円筒部9は開口部7
Bの位置で常にシリンダ7に摺接するようになり、前記
隙間S3 内に補給された油液は、ピストン8の摺動変位
に伴って隙間S3 内を図10中の矢示e方向へと広がる
ように流れ(以下、「広がり流れ」という)、シリンダ
7の開口端7B側では潤滑油が不足傾向になる。
【0060】ここで、このような油液の「広がり流れ」
現象はピストン8の速度Vが大きくなるに従って生じ易
くなり、仮にピストン8の速度Vが最大速度Vmax にな
ったときにも図10に示す如き「広がり流れ」が発生す
ると、隙間S3 内の油液が著しく減少して各摺動面7
C,9A間同士が直接金属接触してしまう。
【0061】然るに本実施例では、シリンダ7の下死点
位置で、円筒部9とテーパ部10との境界部11をシリ
ンダ7の外部に位置させると共に、シリンダ7の中間位
置では境界部11をシリンダ7内に開口端7Bから一定
寸法だけ内側に位置させる構成としたから、吐出行程で
ピストン8が下死点位置から上死点位置へとシリンダ7
内を進入するときには、ピストン8の進入速度Vが最大
速度Vmax となる中間位置の手前で、円筒部9を境界部
11を含めて予めシリンダ7内に完全に進入させること
ができる。
【0062】ここで、境界部11がシリンダ7内に進入
(位置)したときには、テーパ部10のテーパ角γを傾
斜角βよりも大きく設定したから、ピストン8が開口端
7Bの位置でシリンダ7内に摺接することはなくなり、
これによってシリンダ7と円筒部9との摺動面7C,9
A間には境界部11の位置から軸方向に沿って隙間S1
を形成することができる。そして、この隙間S1 は図1
1中に一点鎖線で示した状態から実線で示した状態へと
ピストン8の進入変位に追従してシリンダ7内を進入す
る方向に移動するようになる。
【0063】これによって、吐出行程ではピストン8が
中間位置に到達する前に、このピストン8の進入動作に
より、予めシリンダ7内の油液を隙間S1 内に境界部1
1側へと隙間寸法が狭くなる方向に、図11中の矢印f
の如く巻込む(掻き込む)ようにして導く(以下、「狭
り流れ」という)ことができる。
【0064】従って本実施例では、吐出行程においてピ
ストン8の速度Vが最大速度Vmaxに達したときにも、
隙間S1 内の油液を予め「狭り流れ」にして摺動面7
C,9A間に油液を滞留させておくことができ、この摺
動面7C,9A間を十分に潤滑状態に保持することがで
きる。これによって、隙間S1 内の油液が「広がり流
れ」になって潤滑油不足となるような事態を確実に防止
することができ、摺動面7C,9A間の摺動抵抗を低減
して機械効率を大幅に向上できると共に、摺動面7C,
9A間に焼付き等が発生するのを確実に防止することが
できる。
【0065】しかも、シリンダ7とピストン8との摺動
面7C,9A間のシール性を高めるために、例えば円筒
部9の軸寸法La を延ばして摺動面7C,9A間の接触
面積を大きくしたりする必要がなく、これにより当該油
圧ポンプを回転軸4の軸方向に関してコンパクトに形成
することができ、装置全体の小型化等を容易に図ること
ができる。
【0066】また、テーパ部10のテーパ角γをピスト
ン8のシリンダ7に対する傾斜角βの2倍以下に設定し
たから、テーパ部10とシリンダ7との間の隙間S2 を
小さく抑えることができ、これによってシリンダ7内の
油液が隙間S1 から隙間S2へと外部に漏洩してしまう
のを防止でき、シリンダ7とピストン8との摺動面7
C,9A間に油液を常に保持し続けることができる。
【0067】次に、図12ないし図19は本発明の第2
の実施例を示し、本実施例では前記第1の実施例と同一
の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する
ものとする。しかし、本実施例の特徴は、ピストン21
の円筒部22をテーパ部23の長さに比較して前記第1
の実施例の場合よりも相対的に長くし、吐出行程でピス
トン21がシリンダ7内に進入するときに、このピスト
ン21の速度Vに対して該ピストン21に付与される等
価ラジアル反力F2eを積算した積算値(V×F2e)が最
大となるときに、境界部24を少なくともシリンダ7内
に位置させる構成としたことにある。
【0068】ここで、前記ピストン21は前記第1の実
施例で述べたピストン8とほぼ同様に形成され、円筒部
22、テーパ部23および境界部24等とを有してい
る。そして、テーパ部23の球状凹部23Aにはシュー
12が揺動可能に取付けられている。
【0069】そして、ピストン21が図13中に実線で
示す下死点(B.D.C)に配置された状態では、ピス
トン21は図12に示すようにシリンダ7から最も伸長
した位置まで摺動変位すると共に、境界部24は開口端
7Bから一定寸法だけ外部に位置するようになる。ま
た、ピストン21が下死点の位置から回転軸4の軸心O
を中心に半回転して、図13中の上死点(T.D.C)
の位置まで変位した状態では、ピストン21は図16に
示すようにシリンダ7内に最も縮小した位置まで摺動変
位する。
【0070】さらに、ピストン21が下死点の位置、上
死点の位置から軸心Oを中心にそれぞれ矢示A方向に9
0度分だけ回転した状態では、ピストン21は図15に
示すように中間位置まで摺動変位すると共に、境界部2
4は前記上死点位置の場合と同様にシリンダ7内に位置
するようになる。
【0071】一方、後述するようにピストン21の速度
Vとピストン21に作用する等価ラジアル反力F2eとの
積算値(V×F2e)が最大となった状態では、ピストン
21は下死点(B.D.C)の位置から軸心Oを中心に
矢示A方向に角度θ1 (0<θ1 <90)分だけ回転
し、このときにピストン21は図14に示すように下死
点位置と中間位置との間の途中位置まで摺動変位するよ
うになる。
【0072】ここで、本実施例では、ピストン21が下
死点位置から前述した途中位置まで変位したときでも、
境界部24が開口端7Bから一定寸法だけシリンダ7内
に位置するように、円筒部22の軸寸法Lb を図14に
示すように、前記第1の実施例で述べた円筒部9の軸寸
法La よりも一点寸法だけ長め(Lb >La )に設定し
ている点で前記第1の実施例とは異なっている。
【0073】ところで、図12に示すようにピストン2
1はシリンダ7内の圧油からの圧力Pを受圧面9Bで受
圧し、テーパ部10に設けたシュー12が斜板14に押
付けられることにより、ピストン21の揺動中心となる
シュー12の中心には、斜板14からの反力Nが前記圧
力Pに対して傾斜した方向に作用する。そして、ピスト
ン21とシリンダ7との摺動面7C,22A間には、前
記第1の実施例と同様に実質的に微小な隙間が形成され
るから、ピストン21は前記圧力Pと反力Nとの合力に
よりシリンダ7の軸方向に対し若干傾斜した状態で配設
される。
【0074】この結果、円筒部22は図12に示すよう
に、受圧面22B側の部位およびシリンダ7の開口端7
Bの部位がシリンダ7の摺動面7Cに強く押付けられる
ようになり、これらの部位にはそれぞれ摺動面7Cから
のラジアル反力F1 ,F2 が大きく作用してしまう。
【0075】そこで、前記ラジアル反力F1 ,F2 のう
ち、ラジアル反力F2 の大きさについて図12を参照し
て説明する。
【0076】まず、受圧面9Bに圧力Pをもって作用す
る押圧力はY方向で反力Nとつり合うようになるから、
反力NのY方向に対する分力NY はピストン21の直径
をdとして、
【0077】
【数5】NY =(π/4)×d2 ×P となり、これによって反力NのZ方向に対する分力N
Z、即ち、ピストン21の揺動中心に作用するラジアル
方向の反力は、
【0078】
【数6】NZ =(π/4)×d2 ×P×tanα として表される。
【0079】そして、ピストン21にラジアル反力F1
が作用する位置を支点として、ピストン21にはラジア
ル反力F2 による曲げモーメントM1 が働き、この曲げ
モーメントM1 はピストン21のシリンダ7に対する進
入寸法、即ち、ピストン21の受圧面22Bからシリン
ダ7の開口端7Bまでの距離を寸法Lc (図12の状態
ではLc =L1 )とすると、
【0080】
【数7】M1 =F2 ×Lc となり、前記分力NZ による曲げモーメントM2 は、ピ
ストン21の受圧面22Bから球状凹部23Aの中心
(ピストン21の揺動中心)までの距離をLd とする
と、
【0081】
【数8】M2 =NZ ×Ld となる。そして、これらの曲げモーメントM1 ,M2 の
大きさは互いに等しくなるから、これによってラジアル
反力F2 は、
【0082】
【数9】F2 =(NZ ×Ld )/Lc として表される。なお、ラジアル反力F2 は前記数2の
式により寸法Lc と共にシリンダ7(シリンダブロック
6)の回転角θの関数になっている。
【0083】次に、ピストン21が図14ないし図16
に示す状態まで、シリンダ7に進入したときの、ラジア
ル反力F2 を説明する。
【0084】まず、ピストン21が図14ないし図16
の状態にあるときは、ラジアル反力F2 はピストン21
の境界部24とシリンダ7の摺動面7Cに発生するか
ら、ラジアル反力F2 は前述と同様の理論から、
【0085】
【数10】F2 =(NZ ×Ld )/Lb として表される。このとき、数10の式で表されるラジ
アル反力F2 は、寸法Lb が一定となるため、数9の式
で表されるラジアル反力F2 と異なり、シリンダ7の回
転角θに関して不変となる。図18中の実線はシリンダ
7の回転角θとラジアル反力F2 との関係である。図1
8において、シリンダ7の回転角θ≦θcのときラジア
ル反力F2 は前記数9の式で表され、シリンダ7の回転
角θ≧θcのときラジアル反力F2 は前記数10の式で
表される。
【0086】即ち、シリンダ7の回転角θ<θc のとき
ピストン21の境界部24はシリンダ7の外に位置し、
前記第1の実施例で説明したように摺動面7C,22A
の隙間S3 内の油液は「広がり流れ」となる。そして、
θ=θc のときピストン21の境界部24はシリンダ7
の開口部7Bと一致し、θ>θc のときピストン21の
境界部24はシリンダ7内に進入し、前記第1の実施例
で説明したように摺動面7C,22Aの隙間S1 内の油
液は「狭り流れ」となる。
【0087】ここで、シリンダ7の回転角θが0≦θ≦
180の範囲で、隙間S3 内の油液が「広がり流れ」に
なる場合の、ラジアル反力について説明する。隙間S3
内の油液が「広がり流れ」になる場合のラジアル反力
は、前記数9の式の右辺で表され、このラジアル反力を
等価ラジアル反力F2eと呼称すると、
【0088】
【数11】F2e=(NZ ×Ld )/Lc で表される。
【0089】なお、図19はシリンダ7(シリンダブロ
ック6)の回転角θが0≦θ≦180の範囲で前記数1
1の式により表される等価ラジアル反力F2eをピストン
100に作用させるようにした比較例を示したものであ
る。そして、この場合に、ピストン100の境界部10
1は、シリンダ7が回転角θ=180°で、上死点
(T.D.C)の位置でもシリンダ7の外に位置する。
【0090】また、図18中に一点鎖線で示す特性線
は、等価ラジアル反力F2eとシリンダ7の回転角θとの
関係を表し、等価ラジアル反力F2eは回転角θの増加と
共に単調に減少する。
【0091】そして、ピストン速度Vと等価ラジアル反
力F2eとの積算値(V×F2e)は、数3および数11の
式により、
【0092】
【数12】V×F2e=(R×tanα×sinθ×ω×
NZ ×Ld )/Lc となり、シリンダ7の回転角θの関数として表される。
【0093】一方、ピストン速度Vとラジアル反力F2
との積算値(V×F2 )は、数3、数9および数10の
式により、0≦θ≦θc の区間では、
【0094】
【数13】V×F2 =(R×tanα×sinθ×ω×
NZ ×Ld )/Lc となり、θc ≦θ≦180の区間では、
【0095】
【数14】V×F2 =Asinθ A=(R×tanα×ω×NZ ×Lb )/Lc =一定値 となる。
【0096】この結果、図17に示すようにシリンダ7
(シリンダブロック6)の回転角θを横軸、積算値(V
×F2e)を縦軸としてグラフで表すと、積算値(V×F
2e)は回転角θが90度よりも小さい回転角θ1 のとき
に最大となることが分かる。また、この積算値(V×F
2e)が最大になると、前記摺動面7C,22A間に保持
できる油液量は相対的に減少する傾向となる。
【0097】然るに本実施例では、ピストン21が下死
点位置と中間位置との間の少なくとも途中位置で、境界
部24を図14に示す如くシリンダ7内に配置させる構
成とし、図17に示すように、油液量が減少する積算値
(V×F2e)が最大となる回転角θ1 よりも小さい回転
角θc から、前記摺動面7C,22Aの隙間S1 内の油
液を、前記第1の実施例と同様に予め「狭り流れ」にし
ておくことができ,油液量を確保できる。
【0098】かくして本実施例では、ピストン21の速
度Vが最大速度Vmax となった場合と、速度Vと等価ラ
ジアル反力F2eとの積算値(V×F2e)が最大となった
場合との両方で、シリンダ7とピストン21との摺動面
7C,22A間を潤滑状態に維持することができ、これ
によって、摺動面7C,22A間に焼付き等が発生する
のをさらに確実に防止することができ、装置の寿命等を
大幅に延ばすることができる。
【0099】なお、前記各実施例では、テーパ部10
(23)のテーパ角γを、ピストン8(21)の傾斜角
βの2倍以下に設定するものとして述べたが、本発明は
これに限らず、テーパ角度γを傾斜角βの2倍よりも大
きめ(γ>2β)に設定してもよい。
【0100】また、前記各実施例では、ピストン8(2
1)のテーパ部10(23)先端を球状凹部10A(2
3A)として形成すると共に、シュー12の台座部12
Aを球状凸部として形成するものとして述べたが、これ
に替えて、テーパ部10(23)側を球状凸部、台座部
12A側を球状凹部としてそれぞれ形成し、この台座部
12Aを前記球状凸部、球状凹部を介してテーパ部10
(23)に取付けるようにしてもよい。
【0101】さらに、前記各実施例では、液圧ポンプと
して油圧ポンプを例に挙げて説明したが、例えば他の液
体(例えば、水等)を吐出するポンプに適用してもよ
い。
【0102】
【発明の効果】以上詳述した如く、請求項1の発明によ
れば、円筒部とテーパ部との境界部をピストンがシリン
ダから最も伸長する下死点位置で前記シリンダの外部に
位置させ、前記ピストンの下死点位置とシリンダ内に最
も縮小する上死点位置との間の少なくとも中間位置では
シリンダ内に位置させる構成としたから、ピストンがシ
リンダ内に進入する吐出行程では、ピストンが中間位置
で最大速度に達したときには、予めピストンとシリンダ
との摺動面間の油液を「狭り流れ」にしてこの摺動面間
を十分に油液で満たすことができる。
【0103】従って、ピストンとシリンダとの摺動面間
に補給された油液が「広がり流れ」になって、この摺動
面間からシリンダ内に流出してしまう事態を確実に防止
することができ、ピストンの摺動特性を向上して機械効
率を大幅に高めることができると共に、摺動面間に焼付
き等が発生するのを防止でき、装置の寿命等を大幅に延
ばすことができる。
【0104】しかも、シリンダとピストンとの摺動面間
のシール性を高めるために、円筒部の軸方向寸法を延ば
して摺動面の全体面積を大きくしたりする必要がなく、
これにより当該液圧ポンプを回転軸の軸方向に関してコ
ンパクトに形成することができ、装置全体の小型化等を
容易に図ることができる。
【0105】また、請求項2の発明では、ピストンが下
死点位置から上死点位置に向けて前記シリンダ内に進入
するときのピストン速度(V)が少なくとも最大となる
ときに、円筒部とテーパ部との境界部をシリンダ内に確
実に位置させることができるから、これによっても請求
項1に記載の発明とほぼ同様の効果を得ることができ
る。
【0106】さらに、請求項3の発明では、ピストンが
シリンダから最も伸長する下死点位置で円筒部とテーパ
部との境界部をシリンダの外部に位置させ、ピストンの
下死点位置と上死点位置との間の中間位置よりも少なく
とも前記下死点側寄りの位置では、シリンダ内に位置さ
せる構成としたから、ピストンの速度が最大となったと
きには、請求項1の発明と同様にして前記境界部をシリ
ンダ内に位置させることができる上に、数11の式で表
される等価ラジアル反力(F2e)とピストン速度(V)
との積算値(F2e×V)が中間位置の手前で最大となる
ときでも、シリンダとピストンとの摺動面間を潤滑状態
に保持しておくことができ、これによって前記摺動面間
に焼付き等が発生するのをさらに確実に防止でき、装置
の寿命等をさらに大幅に延ばすことができる。
【0107】さらにまた、請求項4の発明では、ピスト
ンがシリンダ内に進入するときのピストン速度(V)と
数11の式で表される等価ラジアル反力(F2e)との積
算値(V×F2e)が最大となるときに、円筒部とテーパ
部との境界部をシリンダ内に確実に位置させることがで
きるから、請求項3の発明とほぼ同様の効果を得ること
ができる。
【0108】一方、請求項5の発明では、テーパ部のテ
ーパ角を、シリンダの軸線に対してピストンが傾斜した
ときの傾斜角よりも大きく、かつこの傾斜角の2倍以下
の角度に設定したから、境界部がシリンダ内に位置する
ときには、テーパ部とシリンダとの摺動面間で隙間を形
成して、この隙間内の油液を確実に「狭り流れ」にする
ことができると共に、シリンダ内に油液が前記摺動面か
ら外部に漏洩してしまうのを確実に防止することがで
き、これによってピストンの摺動特性をより一層向上で
き、装置の信頼性等を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例による斜板式の油圧ポン
プを示す縦断面図である。
【図2】図1中の矢示II−II方向からみた断面図であ
る。
【図3】図2中のシリンダブロックおよびシリンダの回
転状態を示す説明図である。
【図4】シリンダ内のピストンが下死点位置まで摺動変
位した状態を示す部分断面図である。
【図5】ピストンが中間位置まで摺動変位した状態を示
す図4とほぼ同様の部分断面図である。
【図6】ピストンが上死点位置まで摺動変位した状態を
示す図4とほぼ同様の部分断面図である。
【図7】ピストンがシリンダ内へと進入するときの変位
等を解析するための説明図である。
【図8】シリンダブロックの回転角とピストン速度との
関係を示す特性線図である。
【図9】図5中のピストン、シリンダおよび斜板等を拡
大して示す断面図である。
【図10】シリンダに対するピストンの傾斜状態を示す
図4中の要部拡大図である。
【図11】シリンダ内にピストンが進入する状態を示す
図5の要部拡大図である。
【図12】本発明の第2の実施例による斜板式の油圧ポ
ンプを示すピストン、シリンダおよび斜板等の部分断面
図である。
【図13】図12中のシリンダブロックおよびシリンダ
の回転状態を示す説明図である。。
【図14】シリンダ内にピストンが進入した状態を示す
図12とほぼ同様の断面図である。
【図15】ピストンがシリンダ内へと中間位置まで進入
した状態を示す部分断面図である。
【図16】ピストンが上死点位置まで進入した状態を示
す断面図である。
【図17】ピストン速度と等価ラジアル反力との積算値
に対するシリンダブロックの回転角の関係等を示す特性
線図である。
【図18】等価ラジアル反力に対するシリンダブロック
の回転角の関係等を示す特性線図である。
【図19】本発明の第2の実施例に対する比較例をピス
トンが上死点位置まで進入した状態で示す部分断面図で
ある。
【符号の説明】
1 ケーシング 4 回転軸 5 弁板 6 シリンダブロック 7 シリンダ 7C 摺動面 8,21 ピストン 9,22 円筒部 9A,22A 摺動面 10,23 テーパ部 11,24 境界部 12 シュー 14 斜板 α 傾斜角 β 傾斜角 γ テーパ角

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 斜板が設けられたケーシングと、該ケー
    シング内に回転軸を介して設けられ前記斜板と対向して
    回転するシリンダブロックと、該シリンダブロックの軸
    方向に穿設された複数のシリンダと、基端側が該各シリ
    ンダ内に摺動可能に挿嵌され先端側が該各シリンダ外に
    突出する複数のピストンと、該各ピストンの突出端側に
    揺動可能に設けられ前記シリンダブロックが回転すると
    きに前記斜板に対して摺動する複数のシューとからなる
    斜板式液圧ポンプにおいて、 前記ピストンは、前記シリンダ内に挿嵌され該シリンダ
    内を摺動変位する円筒部と、該円筒部からテーパ状に漸
    次縮径し先端側に前記シューが設けられるテーパ部とか
    らなり、 前記円筒部とテーパ部との境界部は、前記ピストンがシ
    リンダから最も伸長する下死点位置で前記シリンダの外
    部に位置し、前記ピストンの下死点位置とシリンダ内に
    最も縮小する上死点位置との間の少なくとも中間位置で
    はシリンダ内に位置する構成としたことを特徴とする斜
    板式液圧ポンプ。
  2. 【請求項2】 前記円筒部とテーパ部との境界部は、前
    記ピストンが下死点位置から上死点位置に向けて前記シ
    リンダ内に進入するときのピストン速度(V)が少なく
    とも最大となるときにシリンダ内に位置する構成として
    なる請求項1に記載の斜板式液圧ポンプ。
  3. 【請求項3】 斜板が設けられたケーシングと、該ケー
    シング内に回転軸を介して設けられ前記斜板と対向して
    回転するシリンダブロックと、該シリンダブロックの軸
    方向に穿設された複数のシリンダと、基端側が該各シリ
    ンダ内に摺動可能に挿嵌され先端側が該各シリンダ外に
    突出する複数のピストンと、該各ピストンの突出端側に
    揺動可能に設けられ前記シリンダブロックが回転すると
    きに前記斜板に対して摺動する複数のシューとからなる
    斜板式液圧回転機において、 前記ピストンは、前記シリンダ内に挿嵌され該シリンダ
    内を摺動変位する円筒部と、該円筒部からテーパ状に漸
    次縮径し先端側に前記シューが設けられるテーパ部とか
    らなり、 前記円筒部とテーパ部との境界部は、前記ピストンがシ
    リンダから最も伸長する下死点位置で前記シリンダの外
    部に位置し、前記ピストンの下死点位置と上死点位置と
    の間の中間位置よりも少なくとも前記下死点側寄りの位
    置で前記シリンダ内に位置する構成としたことを特徴と
    する斜板式液圧ポンプ。
  4. 【請求項4】 前記円筒部とテーパ部との境界部は、前
    記ピストンの受圧面から該ピストンの揺動中心までの距
    離(Ld )と該ピストンの揺動中心に作用するラジアル
    方向の反力(Nz )との積(Nz ×Ld )を、該ピスト
    ンの受圧面から前記シリンダの開口端までの距離(Lc
    )で割ることにより求められる等価ラジアル反力(F2
    e)に対して、前記ピストンがシリンダ内に進入すると
    きのピストン速度(V)を積算した積算値(F2e×V)
    が最大となるときに、前記シリンダ内に位置する構成と
    してなる請求項3に記載の斜板式液圧ポンプ。
  5. 【請求項5】 前記テーパ部のテーパ角は、前記シリン
    ダの軸線に対してピストンが傾斜したときの傾斜角より
    も大きく、かつこの傾斜角の2倍以下の角度としてなる
    請求項1,2,3または4に記載の斜板式液圧ポンプ。
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