JPH1017657A - 弾性ポリエステル及びその製造方法 - Google Patents

弾性ポリエステル及びその製造方法

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JPH1017657A
JPH1017657A JP17693096A JP17693096A JPH1017657A JP H1017657 A JPH1017657 A JP H1017657A JP 17693096 A JP17693096 A JP 17693096A JP 17693096 A JP17693096 A JP 17693096A JP H1017657 A JPH1017657 A JP H1017657A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 制御されたブロック性を有する、色調、耐熱
性、耐候性およびゴム弾性、引張強度、伸度等の機械的
性質に優れた弾性ポリエステルを得ること。 【解決手段】 ハードセグメントとして結晶性芳香族ポ
リエステル構造単位およびソフトセグメントとして脂肪
族ポリエステル構造単位を有し、結晶性芳香族ポリエス
テルの核磁気共鳴法(NMR法)を用いて算出した平均
連鎖長が1.5〜20の範囲でありかつ分散が1.5以
内の数である弾性ポリエステル、ならびにその製造方法
が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、色調、耐熱性、耐
候性およびゴム弾性、引張強度、伸度等の機械的性質に
優れたポリエステル系熱可塑性エラストマーおよびその
製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、ハード
セグメントとソフトセグメントとが制御されたブロック
構造ならびに鎖長を有するポリエステル−ポリエステル
型熱可塑性エラストマーおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性エラストマーは、分子中に複数
の柔軟性を有するソフトセグメントと分子拘束性を有す
るハードセグメントとを有するブロック共重合体であ
る。ソフトセグメントはゴム弾性を有し、そしてハード
セグメントは分子拘束性を有するために塑性変形を防止
する効果を有する。このような構造を有するため、熱可
塑性エラストマーは常温では加硫ゴムの性質を示すが、
高温ではハードセグメントが可塑化されるためプラスチ
ック加工機で成形できる高分子材料となる。従って、従
来の架橋構造を有するエラストマーと比べて、省エネ・
省力化生産可能である点、再利用可能である点、他のプ
ラスチック材料とのブレンド性が良好である点などか
ら、従来の架橋構造を有するエラストマーに代わって普
及しつつある。
【0003】熱可塑性エラストマー分子中のソフトセグ
メントとハードセグメントとは互いに非相溶性であるた
め、これらはミクロ相分離する。このミクロ相分離形態
(モルホロジー)が熱可塑性エラストマーの加工性およ
び諸物性に大きな影響を与えるため、モルホロジーを制
御することにより種々の特性を有するエラストマーを調
製し得るという利点がある。ソフトセグメントとハード
セグメントとの配列で規定されるブロック構造および各
セグメントの鎖長などはモルホロジーに影響するため、
ブロック構造および各セグメントの鎖長の制御は重要で
ある。
【0004】熱可塑性エラストマーとしては、ポリウレ
タン系、ポリエステル系などが知られている。
【0005】ポリウレタン系熱可塑性エラストマーは、
ハードセグメントがポリウレタン、そしてソフトセグメ
ントがポリオキシアルキレングリコールや脂肪族ポリエ
ステル等の低二次転移点を有する重合体からなる。エラ
ストマー性の発現は、ハードセグメントを構成するポリ
ウレタンのウレタン、アミド、ウレア結合に由来する水
素結合による分子拘束力と低二次転移点を有するソフト
セグメントの分子運動との兼ね合いで決まる。ポリウレ
タン系熱可塑性エラストマーは、伸度や弾性回復等非常
に優れた性質を持つが、反面、耐熱性、耐候性、耐加水
分解性、耐塩素性に問題がある。
【0006】ポリエステル系熱可塑性エラストマーとし
ては、ハードセグメントがポリブチレンテレフタレート
などの結晶性芳香族ポリエステル、ソフトセグメントが
ポリエーテルからなるポリエーテル−ポリエステル型、
およびハードセグメントがポリブチレンテレフタレート
などの結晶性芳香族ポリエステル、ソフトセグメントが
脂肪族ポリエステルからなるポリエステル−ポリエステ
ル型がある。ポリエーテル−ポリエステル型熱可塑性エ
ラストマーとしては、ペルプレンP型(東洋紡績(株))
が知られている。ポリエステル−ポリエステル型熱可塑
性エラストマーとしては、ハードセグメントにポリブチ
レンテレフタレート(PBT)、ソフトセグメントにポリ
カプロラクトン(PCL)を使用したペルプレンS型
(東洋紡績)、ハードセグメントのPBTとソフトセグ
メントのポリブチレンアジペートをジフェニルメタンジ
イソシアネート(MDI)によって鎖延長することによ
り製造されるアーニテル(アクゾ社)などが知られてい
る。
【0007】ポリエステル系熱可塑性エラストマーのエ
ラストマー性の発現は、ハードセグメントを構成する結
晶性芳香族ポリエステルの結晶の凝集力と低二次転移点
を有するソフトセグメントの分子運動とで決まる。ポリ
エステル系熱可塑性エラストマーは、弾性回復率自体は
ポリウレタンに劣るが、低伸長領域での弾性の回復性は
良好で、溶融成形が容易であるという利点を有する。
【0008】ポリエーテル−ポリエステル型は、その製
造においてソフトセグメントにポリエーテルを使用する
ため、製造工程においてハードセグメントとソフトセグ
メント間のエステル交換反応は起こらない。従って、ポ
リエーテル−ポリエステル型のブロック構造ならびにハ
ードセグメントおよびソフトセグメントの鎖長は、それ
ぞれ、出発芳香族ポリエステルとポリエーテルとの反応
量比ならびにそれらの鎖長によって決まり、後述するソ
フトセグメントに脂肪族ポリエステルを用いるポリエス
テル−ポリエステル型と比べて、ブロック構造ならびに
各セグメントの鎖長の制御ははるかに容易である。ただ
し、ポリエーテル系のソフトセグメントを使用するた
め、耐熱性、耐候性などがポリエステル−ポリエステル
型に比べて悪い。
【0009】ポリエステル−ポリエステル型の弾性ポリ
エステルの製造方法は、鎖延長反応による製造(例えば
アーニテル)を別にすると次の3つに大別される。
【0010】(i) 共重合法:ハードセグメントとなる結
晶性芳香族ポリエステルを形成する成分(酸およびグリ
コール)と、ソフトセグメントとなる脂肪族ポリエステ
ルとを混合して共重合する方法。
【0011】共重合法を用いた例としては、PETの染
色性改善を主目的とした特公昭第49-27113号公報があ
る。この方法は、芳香族ポリエステルを形成する成分の
重合と共に芳香族ポリエステルを形成する成分と脂肪族
ポリエステルとの間でランダムにエステル交換反応が起
こるため、ブロック構造ならびにハードセグメントおよ
びソフトセグメントの鎖長の制御は不可能であり、得ら
れるポリマーは低融点ポリマーとなる。さらに、脂肪族
ポリエステルが、エステル交換、重縮合中にモノマー状
になりやすく、飛散しやすいため、仕込み組成が変動し
やすいという問題がある。
【0012】(ii) 溶融混合法:結晶性芳香族ポリエス
テルと脂肪族ポリエステルを溶融混合(常圧、減圧、加
圧の不活性雰囲気下)して、エステル交換反応もしくは
重縮合反応によりハードセグメントとソフトセグメント
とを有するポリマーを形成せしめる方法。
【0013】溶融混合法を用いた例としては、ポリエス
テルブロック共重合体の製造を目的とした特公昭第58-3
5210号公報、特公昭第60-37134号公報などがある。この
方法は、単純に結晶性芳香族ポリエステルと脂肪族ポリ
エステルを溶融混合もしくは溶融混合後重縮合するた
め、ブロック構造発現の最も単純で簡単な方法である。
しかし、相溶性の低い結晶性芳香族ポリエステルと脂肪
族ポリエステルとを約260℃という高温で溶融混合する
ため両ポリエステル間でエステル交換反応が不均一に起
こる。従って、ハードセグメントとソフトセグメントと
のブロック構造を制御することは困難である。
【0014】(iii) 付加重合法:ペルプレンS型に代表
されるように、結晶性芳香族ポリエステルの末端基へε
−カプロラクトン等の環状エステルモノマーを開環付加
重合させ脂肪族ポリエステルを作り、同時に芳香族ポリ
エステルと生成した脂肪族ポリエステルとの間のエステ
ル交換反応によってハードセグメントとソフトセグメン
トとを有するエラストマーを形成せしめる方法。
【0015】付加重合法の有利な点は、共重合法、溶融
混合法と比べて、ソフトセグメントを形成する脂肪族ポ
リエステルを別途製造する必要のない点である。付加重
合法もまた、脂肪族ポリエステルを形成する成分の重合
と共に芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルとの間
でエステル交換が起るため、ブロック構造ならびにハー
ドセグメントおよびソフトセグメントの鎖長を制御する
ことは難しい。
【0016】上記のようにポリエステル−ポリエステル
型熱可塑性エラストマーは、その製造においてソフトセ
グメントに脂肪族ポリエステルを使用するため、ハード
セグメントとソフトセグメント間のエステル交換反応は
避け得ない。その結果、ポリエステル−ポリエステル型
熱可塑性エラストマーのブロック構造ならびに各セグメ
ントの鎖長の制御は難しく、所望の性能のエラストマー
を設計通り得られないという問題がある。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来の課
題を解決するものであり、その目的とするところは、ハ
ードセグメントとソフトセグメントとが制御されたブロ
ック構造ならびに鎖長を有するポリエステル−ポリエス
テル型熱可塑性エラストマーである弾性ポリエステルお
よびその製造方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の弾性ポリエステ
ルは、ハードセグメントとして結晶性芳香族ポリエステ
ル構造単位およびソフトセグメントとして脂肪族ポリエ
ステル構造単位を有する弾性ポリエステルであって、結
晶性芳香族ポリエステル構造単位の核磁気共鳴法(NM
R法)を用いて算出した平均連鎖長は1.5〜20の範
囲でありかつ分散が1.5以内の数である弾性ポリエス
テルである。
【0019】好ましい実施態様においては、上記結晶性
芳香族ポリエステル構造単位は下式(1)で表され、前
記脂肪族ポリエステル構造単位は下式(2)および/ま
たは(3)で表される:
【0020】
【化2】
【0021】ここで、該結晶性芳香族ポリエステル構造
単位中の90〜100%のAはp-フェニレン基または2,
6-ナフチレン基であり、残余はm-フェニレン基または1,
4-シクロヘキシレン基であり;該結晶性芳香族ポリエス
テル構造単位中の90〜100%のBはC2〜C6のアル
キレン基であり、残余は1,4-シクロヘキシレン基または
1,4-シクロヘキサンジメチレン基であり;DはC2〜C
10のアルキレン基であり;RはC4〜C12のアルキレン
基であり;GはC2〜C12のアルキレン基であり;nは
該結晶性芳香族ポリエステル構造単位(1)の平均連鎖
長を表し、oおよびpは各々、該脂肪族ポリエステル構
造単位(2)および(3)の平均連鎖長を表し;そして
該弾性ポリエステルの還元比粘度(ηsp/c)は0.8〜
2.2である。
【0022】好ましい実施態様においては、弾性ポリエ
ステルの全重量の98〜20重量%が上記結晶性芳香族
ポリエステル構造単位であり、弾性ポリエステルの全重
量の2〜80重量%が上記脂肪族ポリエステル構造単位
である。
【0023】好ましい実施態様においては、上記結晶性
芳香族ポリエステルはポリブチレンテレフタレートまた
はポリブチレンナフタレートである。
【0024】本発明はまた、本発明の弾性ポリエステル
の製造方法を提供する。この製造方法は、芳香族ジカル
ボン酸およびジオールを含む混合物を反応容器に準備す
る工程;混合物を反応させて結晶性芳香族ポリエステル
を形成する工程であって、該結晶性芳香族ポリエステル
の酸価が100eq/106g以下であり還元比粘度(ηsp/
c)が0.8以上である工程;および重合終了後の溶融
状態の結晶性芳香族ポリエステルと環状エステルモノマ
ーとを混合して弾性ポリエステルを形成する工程を包含
する。
【0025】好ましい実施態様においては、上記すべて
の工程は同一の反応容器内で連続的に行われる。
【0026】本発明はまた、本発明の弾性ポリエステル
の他の製造方法を提供する。この製造方法は、結晶性芳
香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルを溶融混合して
重縮合する工程を包含し、ここで該結晶性芳香族ポリエ
ステルのヒドロキシル末端基と該脂肪族ポリエステルの
ヒドロキシル末端基の総和[OHv]は 30 eq/106g<[OHv]≦180 eq/106g の範囲にある。
【0027】
【発明の実施の形態】本明細書において「ブロック」と
は、当該分野で一般的に用いられる意味で使用され、複
数の単独重合体を部分構造単位とするブロック共重合体
において、単独重合体よりなる部分構造単位、すなわち
同じ繰り返し単位の連鎖からなる構造単位のことをい
う。本明細書において用語「構造単位」は、用語「ブロッ
ク」と本質的に同様の意味で用いられる。
【0028】本明細書において「鎖長」とは、当該分野
で一般的に用いられる意味で使用され、1つの構造単位
を形成する単独重合体構造単位の重合体主鎖の長さをい
う。
【0029】本明細書において「平均連鎖長」とは、当
該分野で一般的に用いられる意味で使用され、1つの単
独重合体構造単位を構成する繰返し単位の繰返し数の平
均値であり、本明細書においては、特に指示がない限
り、NMRを用いて算出した値を示す。
【0030】(弾性ポリエステル)本発明の弾性ポリエ
ステルは、ハードセグメントとして結晶性芳香族ポリエ
ステル構造単位およびソフトセグメントとして脂肪族ポ
リエステル構造単位を有し、結晶性芳香族ポリエステル
構造単位の核磁気共鳴法(NMR法)を用いて算出した
平均連鎖長が1.5〜20、好ましくは2.0〜18、
より好ましくは2.5〜16の範囲でありかつ分散が
1.5以内、好ましくは1.3以内、より好ましくは
1.2以内である。
【0031】ポリエステル構造単位の平均連鎖長のNM
Rを用いた算出方法は、当該分野で周知の方法であり、
実際の算出方法については後述する。平均連鎖長の分散
は、同一のバッチの弾性ポリエステルから別個に採取し
た、少なくとも5個のサンプルについての測定によって
求める。
【0032】結晶性芳香族ポリエステルの平均連鎖長
は、弾性ポリエステルのブロック性を決定する重要な因
子であり、特に弾性ポリエステルの融点を支配する。あ
る平均連鎖長の範囲内では一般に平均連鎖長が増加する
につれ弾性ポリエステルの融点も上昇する。さらに、こ
の平均連鎖長は、弾性ポリエステルのの機械的性質にも
影響を与える因子である。結晶性芳香族ポリエステルの
平均連鎖長が1.5より小さい場合、ランダム化が進行
していることを意味し、融点の低下による耐熱性の低
下、硬度、引張強度、弾性率などの機械的性質の低下が
大きい。平均連鎖長が大きい場合は、特に問題はない
が、融点などの特性値および硬度、強力などの機械的性
質は、平均連鎖長がある値以上になると一定になるた
め、平均連鎖長を20より大きくする必要なないと考え
られる。
【0033】結晶性芳香族ポリエステルの平均連鎖長の
分散はブロック性の乱れを意味する。分散が1.5より
大きくなると弾性ポリエステル中に存在する結晶性芳香
族ポリエステル構造単位の鎖長が不均一になり、これは
弾性ポリエステルの耐熱性、機械的強度などの物性の変
動につながり、その結果、得られる弾性ポリエステルの
品質が不安定になる。特に、弾性ポリエステルの押出し
成形時にサージング現象が起こり、製品の均一性および
精度が損なわれるなどの問題がある。
【0034】本発明の弾性ポリエステルは、好ましくは
結晶性芳香族ポリエステル構造単位が下記式(1)で表
され、脂肪族ポリエステル構造単位が下記式(2)およ
び/または(3)で表されるブロック共重合体、より好
ましくは(1)と(2)または(1)と(3)との交互
ブロック共重合体である。
【0035】
【化3】
【0036】上記式(1)において、Aの90〜100
%、好ましくは92〜100%は、p-フェニレン基また
は2,6-ナフチレン基であり、残余はm-フェニレン基また
は1,4-シクロヘキシレン基である。
【0037】上記式(1)において、Bの90〜100
%、好ましくは92〜100%は、C2〜C6のアルキレ
ン基、好ましくはC2〜C4のアルキレン基、より好まし
くはエチレン基またはブチレン基であり、残余は1,4-シ
クロヘキシレン基または1,4-シクロヘキサンジメチレン
基である。
【0038】上記式(2)において、DはC2〜C6のア
ルキレン基、好ましくはC2〜C5のアルキレン基、より
好ましくはペンチレン基またはエチレン基である。
【0039】上記式(3)において、RはC4〜C12
アルキレン基、好ましくはC4〜C10のアルキレン基、
より好ましくはC4〜C8である。上記式(3)におい
て、GはC2〜C12のアルキレン基、好ましくはC2〜C
10のアルキレン基、より好ましくはC4〜C8である。
【0040】nは上記結晶性芳香族ポリエステル構造単
位(1)の平均連鎖長を表し、oおよびpは各々上記脂
肪族ポリエステル構造単位(2)および(3)の平均連
鎖長を表す。
【0041】nは上述の通り、、NMR法で測定したと
きの値が1.5〜20、好ましくは2.0〜18、より
好ましくは2.5〜16の範囲でありかつ分散が1.5
以内、好ましくは1.3以内、より好ましくは1.2以
内である。
【0042】oは、NMR法で測定したときの値が1.
5〜20の範囲、好ましくは2〜18の範囲、さらに好
ましくは2.5〜16の範囲でありかつ分散が1.5以
内、好ましくは1.3以内、より好ましくは1.2以内
である。
【0043】pは、NMR法で測定したときの値が1.
5〜20の範囲、好ましくは2〜18の範囲、さらに好
ましくは2.5〜16の範囲でありかつ分散が1.5以
内、好ましくは1.3以内、より好ましくは1.2以内
である。
【0044】本発明ので弾性ポリエステルの還元比粘度
sp/c)で表した分子量は、0.8〜2.2、好ましく
は0.9〜2.1、より好ましくは1.0〜2.0であ
る。弾性ポリエステルの還元比粘度が0.8を下回る
と、引張強度、伸度などの機械的性質に劣り、2.2を
上回ると、通常の製造方法でこのような高分子量のエラ
ストマーを得ることは難しく、固相重合法や、鎖延長剤
などを使用して分子量増加を図る必要があり、コストア
ップ要因となる。
【0045】芳香族ポリエステル構造単位は、弾性ポリ
エステルの総重量の98〜20重量%、好ましくは90
〜25重量%、さらに好ましくは85〜30重量%含ま
れる。脂肪族ポリエステル構造単位は、弾性ポリエステ
ルの総重量の2〜80重量%、好ましくは10〜70重
量%、さらに好ましくは20〜60重量%含まれる。な
お、芳香族ポリエステル構造単位の重量%と脂肪族ポリ
エステル構造単位の重量%との和は常に100重量%と
する。
【0046】芳香族ポリエステル構造単位の例としてポ
リエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタ
レートが挙げられる。好ましくはポリブチレンテレフタ
レートまたはポリブチレンナフタレートである。
【0047】脂肪族ポリエステル構造単位の例としてポ
リε−カプロラクトン、ポリエナントラクトン、ポリカ
プリロラクトン、ポリビバロラクトンなどを挙げること
ができる。好ましくはポリε−カプロラクトンである。
【0048】(NMRによる平均連鎖長の求め方)ポリエ
ステル構造単位の平均連鎖長はNMR法を用いて、以下
のようにして算出し得る。以下、上記式(1)で表され
る結晶性芳香族ポリエステル構造単位と上記式(2)で
示される脂肪族ポリエステル構造単位とからなるブロッ
ク共重合体の場合を例にとり、平均連鎖長の算出方法を
説明する。
【0049】ポリエステルブロック共重合体のプロトン
NMRスペクトルを測定し、ポリエステル構造中の特定
のメチレンプロトン(酸素原子に隣接するメチレンプロ
トン)H1、H2、H3およびH4のシグナル面積強度
[H1]、[H2]、[H3]および[H4]を得る。得られた各プ
ロトンの面積強度から以下の式(I)および(II)を用い
て、芳香族ポリエステル構造単位の平均連鎖長nおよび
脂肪族ポリエステル構造単位の平均連鎖長oを、各々、
算出する。ここで各メチレンプロトンについての説明を
以下に示す。
【0050】プロトンH1:芳香族ポリエステル構造単
位を表す下記構造式において酸素原子に隣接するB中の
メチレンプロトン。
【0051】
【化4】
【0052】プロトンH2:芳香族ポリエステルと脂肪
族ポリエステルとの間のエステル交換により生成した下
記部分構造において芳香族エステルの酸素原子に隣接す
るD中のメチレンプロトン。
【0053】
【化5】
【0054】プロトンH3:芳香族ポリエステルと脂肪
族ポリエステルとの間のエステル交換により生成した下
記部分構造において脂肪族エステルの酸素原子に隣接す
るB中のメチレンプロトン。
【0055】
【化6】
【0056】プロトンH4:脂肪族ポリエステル構造単
位を表す下記構造式において酸素原子に隣接するD中の
メチレンプロトン。
【0057】
【化7】
【0058】この場合、芳香族ポリエステル構造単位の
平均連鎖長nは以下の式(I)で求められ、脂肪族ポリエ
ステル構造単位の平均連鎖長oは以下の式(II)で求めら
れる。
【0059】
【数1】
【0060】
【数2】
【0061】ポリブチレンテレフタレートとポリカプロ
ラクトンとからなる弾性ポリエステルの場合のプロトン
1〜H4を以下に例示する。
【0062】
【化8】
【0063】上記の例からわかるように、連鎖長n(す
なわちn個の繰り返し単位)の芳香族ポリエステル構造
単位中には[H1]が(2n−1)個存在し、そして芳香族
ポリエステル構造単位1個につき[H2]と[H3]が1個づ
つ存在するとみなすことができる。すなわち芳香族ポリ
エステル構造単位の数は{([H2]+[H3])/2}個で表さ
れる。従って、弾性ポリエステル全体の[H1]は(2n−
1)×{([H2]+[H3])/2}で表され、この式から上記
式(I)が導出される。同様に、上記式(II)も導出され
る。さらにここで例示した以外の構造単位の場合でも、
同様にして平均連鎖長を算出することができる。
【0064】本発明においては、弾性ポリエステルの構
造単位の平均連鎖長は上記のNMR法を用いて以下のよ
うに測定する。すなわち、本発明の弾性ポリエステルか
ら任意に少なくとも5サンプルを採取し、これをトリフ
ルオロ酢酸などの溶媒に溶解してサンプル溶液を調製す
る。次いで各サンプル溶液のプロトンNMRを測定し、
上記の方法で各サンプルのniを算出し、次いでniの平
均値nおよび分散を算出する。
【0065】(弾性ポリエステルの製造方法)上記のよ
うに本発明の弾性ポリエステルはハードセグメントとソ
フトセグメントとが制御されたブロック構造ならびに鎖
長を有することを特徴とする。前述のように、従来ポリ
エステル−ポリエステル型の弾性ポリエステルを製造す
る際には、結晶性芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエス
テルとの間のエステル交換のため、ブロック構造ならび
にハードセグメントおよびソフトセグメントの鎖長の制
御は困難であった。本発明者らは、ポリエステルのヒド
ロキシル末端基がエステル交換反応、および付加重合型
の弾性ポリエステル製造における環状エステルの開環反
応などを大きく支配することに着目し、出発物質の酸価
あるいはヒドロキシル末端基などの量を制御することに
よって、得られる弾性ポリエステルのブロック構造、分
子量、融点などを制御し得ることを見いだした。以下、
本発明の弾性ポリエステルの製造方法を示す。
【0066】(1)付加重合法 本発明の弾性ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸を含
むジカルボン酸およびジオールを含む混合物を反応容器
に準備する工程;該混合物を反応させて結晶性芳香族ポ
リエステルを形成する工程であって、該結晶性芳香族ポ
リエステルの酸価が100eq/106g以下であり還元比粘
度(ηsp/c)が0.8以上である工程;および溶融状態
の該結晶性芳香族ポリエステルと環状エステルモノマー
とを混合して弾性ポリエステルを形成する工程;を包含
する方法によって製造され得る。
【0067】本方法は、結晶性芳香族ポリエステルの末
端基へ環状エステルモノマーを開環付加重合させて脂肪
族ポリエステルを形成させる付加重合法において、結晶
性芳香族ポリエステルの酸価および還元比粘度を所定の
範囲内に制御することを特徴とする。このことによっ
て、制御されたブロック構造および鎖長を有する本発明
の弾性ポリエステルが得られることが見いだされた。
【0068】上述のように、環状エステルの開環付加反
応およびエステル交換反応においてヒドロキシル末端基
濃度が重要であることが見いだされている。すなわち、
開環付加反応速度は、ヒドロキシル末端における反応の
方がカルボキシル末端における反応より圧倒的に反応速
度が高い。従って、使用する結晶性芳香族ポリエステル
の酸価が低い(すなわちヒドロキシル末端基濃度が高い)
程、得られる弾性ポリエステルの分子量も大きくなり得
る。また、結晶性芳香族ポリエステルの酸価が高い程
(すなわちヒドロキシル末端基濃度が低い)程、得られる
弾性ポリエステルにおける芳香族ポリエステル構造単位
の平均連鎖長nは増加し、かつ融点は上昇する。同様に
エステル交換反応も、ヒドロキシル末端基における反応
(アルコリシス反応)の方が、カルボキシル末端基におけ
る反応(アシッドリシス反応)よりも反応速度が圧倒的に
高い。
【0069】ポリエステルの末端基濃度(すなわちカル
ボキシル基とヒドロキシル基の和)は分子量が高くなる
と減少し、分子量が低いと増加する。従って、芳香族ポ
リエステルの分子量が小さい場合(すなわち、還元比粘
度が低い場合)、同じ酸価であっても、分子量が大きい
場合よりヒドロキシル末端基濃度が高くなる。その結
果、ランダム化が進行し、得られる弾性ポリエステルは
低融点となると考えられる。逆に、分子量が高いと末端
基濃度が減少し、酸価が低くてもヒドロキシル末端基濃
度は低くなり、その結果、得られる弾性ポリエステルに
おけるブロック性が維持され、融点低下も小さくなると
考えられる。
【0070】上記のように、開環付加重合型の反応にお
いて、使用する結晶性芳香族ポリエステルの酸価と還元
比粘度を所定の範囲に制御することによって、得られる
弾性ポリエステルのブロック性、分子量、融点などが制
御され、その結果、所望の性能を有する弾性ポリエステ
ルが得られ得る。
【0071】芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸お
よびジオールを含む混合物を反応させて結晶性芳香族ポ
リエステルを形成する工程において、芳香族ジカルボン
酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタ
レンジカルボン酸などを用い得る。好ましくはテレフタ
ル酸または2,6-ナフタレンジカルボン酸である。必要に
応じて全ジカルボン酸の10モル%以下、好ましくは8
モル%以下の範囲で1,4-シクロヘキサンジカルボン酸な
どの非芳香族ジカルボン酸を用い得る。
【0072】ジオールとしては、C2〜C6のアルキレン
ジオール、好ましくはC2〜C5のアルキレンジオール、
より好ましくは1,4-ブタンジオールを用い得る。必要に
応じて全ジオールの10モル%以下、好ましくは8モル
%以下の範囲で1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シク
ロヘキサンジメタノールなどを用い得る。
【0073】上記ジカルボン酸およびジオールを含む混
合物を反応させて芳香族ポリエステルを形成させる方法
および条件としては、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リブチレンナフタレートなどの製造に通常用いられる方
法および条件を用い得る。
【0074】得られる結晶性芳香族ポリエステルの酸価
は、100eq/106g以下、好ましくは5〜90eq/106g、
より好ましくは10〜85eq/106gである。
【0075】得られる結晶性芳香族ポリエステルの還元
比粘度(ηsp/c)は、0.8≦ηsp/c≦1.8、好まし
くは0.9≦ηsp/c≦1.6、より好ましくは1.0≦
ηsp/c≦1.5である。1.8より大きいと溶融粘度が
高くなりすぎて環状エステルモノマーを均一に反応させ
ることが困難となる。
【0076】上記芳香族ポリエステルと反応させ得る環
状エステルモノマーとしては、ε−カプロラクトン、エ
ナントラクトン、カプリロラクトン、ビバロラクトンな
どを挙げることができる。好ましくはε−カプロラクト
ンである。
【0077】本発明の方法によれば、結晶性芳香族ポリ
エステルと環状ポリエステルモノマーとを混合して弾性
ポリエステルを形成する工程において、芳香族ポリエス
テルは溶融状態で使用される。溶融状態ではない固体の
芳香族ポリエステルを使用すると、均一混合に長時間を
要し、また反応が不均一となるためとなるため、好まし
くない。溶融状態の芳香族ポリエステルは、チップ状、
板状または粉状の芳香族ポリエステルを反応容器中で加
熱溶融すること、または重合反応終了後の溶融状態をそ
のまま用いることによって得られ得る。重合反応終了後
の溶融状態をそのまま用いると、以下の利点が得られる
ため好ましい: i) ポリマーのチップ化または粉体化および乾燥工程が
不要となり経済的にコストダウンし得る; ii) 溶解および均一混合に要する時間が短縮できて生産
性を向上し得る。
【0078】これに対して、芳香族ポリエステルのチッ
プや粉体を一軸あるいは二軸以上の押出し機で溶融して
反応に供することも可能であるが、次のような問題点が
あるため注意を要する: i) 押し出し溶融前に一度ポリマーのチップ化あるいは
粉体化の成形工程及び乾燥工程が必要となるためコスト
アップ要因となる; ii) 一度固形化したポリマーを再溶融することから、熱
劣化を受け、得られる弾性ポリエステルが着色したり、
機械的性質が低下する等のダメージがある; iii) 再溶融時に熱劣化によって末端基濃度が変化し、
弾性ポリエステルのブロック構造、機械的性質などの変
動要因となる。
【0079】芳香族ポリエステルと環状エステルモノマ
ーとの混合は、溶融ポリエステル中へ環状エステルモノ
マーを一括あるいは逐次混合する;あるいは環状エステ
ルモノマー中へ溶融ポリエステルを一括あるいは逐次混
合する;などの方法により達成し得る。芳香族ポリエス
テルと環状エステルモノマーとの混合及び反応は、回分
式反応釜によるバッチ重合、表面更新型反応槽による連
続重合あるいは一軸、二軸または多軸型押出し機式リア
クターによる連続重合などにより遂行し得る。
【0080】溶融状態の結晶性芳香族ポリエステルと環
状エステルモノマーとを混合して弾性ポリエステルを形
成する時の反応温度は、通常、弾性ポリエステルの融点
〜約280℃、好ましくは200〜260℃、より好ま
しくは210〜250℃である。反応温度が280℃以
上では、形成された弾性ポリエステルが熱劣化を起こ
し、着色や機械的性質の低下をきたす。逆に、融点以下
の温度では芳香族ポリエステルと環状エステルモノマー
との均一混合が不可能となり、実質的に反応は行えな
い。反応時間は、一般的には5分〜180分、好ましく
は10分〜150分、より好ましくは20分〜120分
である。反応時間が5分より短い場合、反応が不均一と
なるだけでなく、反応の不完全さによる未反応モノマー
量の増加ならびに低分子量体の増加による機械的性質の
低下がおこる。さらに、弾性ポリエステルの収率が低下
しコストアップ要因となる。反応時間が180分より長
い場合、エステル交換反応の進行によりブロック構造の
制御が困難となり、機械的性質が低下する。さらに、反
応時間が長いために生産性が低下し経済的にも不利であ
る。反応を行う雰囲気は、不活性ガス雰囲気下、常圧が
好ましい。
【0081】溶融状態の結晶性芳香族ポリエステルと環
状エステルモノマーとの混合において、均一溶解および
混合を促進するため、ならびに溶融状態の芳香族ポリエ
ステルと環状エステルモノマーとが接触した時の芳香族
ポリエステルの冷却固化による反応器の損傷を防止する
ために、環状エステルモノマーを予め加熱しておくこと
が望ましい。予熱温度としては、130℃〜環状エステ
ルモノマーの沸点、好ましくは150℃〜環状エステル
モノマーの沸点から10℃低い温度である。
【0082】結晶性芳香族ポリエステルと環状エステル
モノマーとの反応は、無触媒で行い得るが、反応を効率
よく完全に遂行するためには、一般に環状エステルモノ
マーの重合に使用し得る触媒を用いることが好ましい。
触媒としては、例えばLi、Na、K、Mg、Ca、S
r、Ba、Zn、Mn、Co、Al、Ti、Sn、P
b、Sb、Zrなどの金属、あるいはこれらの金属を含
む有機金属化合物、有機酸塩、またはアルコキシドなど
を挙げることができる。有機アルミニウム化合物、有機
チタン化合物、有機スズ化合物、アルミニウムトリエト
キシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニ
ウムアセチルアセトナート、チタンテトラエトキシド、
チタンテトラブトキシド、ジアシルスズ、テトラアシル
スズ、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジラウレ
ート、スズテトラアセテート等が好ましい。触媒は単独
または2種以上混合して使用し得る。
【0083】触媒の使用量は、芳香族ポリエステルと環
状エステルモノマーの合計重量の0〜0.3wt%、好
ましくは0.001〜0.2wt%である。触媒量が
0.3wt%より多いと結晶性芳香族ポリエステルと環
状エステルモノマーの重合体とのエステル交換反応が進
行し過ぎて、生成する弾性ポリエステルの融点および機
械的性質が低下する。
【0084】触媒は、単体、環状エステルモノマー溶液
または分散液、あるいは芳香族ポリエステル、ラクトン
類および弾性ポリエステルに不活性でかつ揮発性を有す
る溶媒の溶液または分散液の形態で、芳香族ポリエステ
ルの重縮合時または芳香族ポリエステルと環状エステル
モノマーとの反応時に添加され得る。
【0085】結晶性芳香族ポリエステルと環状エステル
モノマーとのエステル交換反応によるランダムポリマー
化を抑制するために芳香族ポリエステルの重縮合に使用
した触媒及び環状エステルモノマーの付加重合反応に使
用した触媒を所定の反応終了後に不活性化することがこ
とが好ましい。触媒を不活性化するためにリン化合物を
用い得る。リン化合物としては、リン酸、亜リン酸、次
亜リン酸等の無機リン酸;トリメチルホスフェート、ト
リエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、ト
リブチルホスフェート、トリフェニルホスフェート等の
炭素数1〜20のアルキルエステル部分を有するリン酸
エステル、シクロヘキシルアリールエステル部分を有す
るリン酸エステル、アラルキルエステル部分を有するリ
ン酸エステル及びこれらの部分エステル;トリメチルホ
スファイト、トリエチルホスファイト、トリプロピルホ
スファイト、トリフェニルホスファイト等の炭素数1〜
20のアルキルエステル部分を有する亜リン酸エステ
ル、シクロヘキシルアリールエステル部分を有する亜リ
ン酸エステル、アラルキルエステル部分を有する亜リン
酸エステル及びこれらの部分エステル;メチルホスフィ
ン酸、エチルホスフィン酸、ブチルホスフィン酸、フェ
ニルホスフィン酸、シクロヘキシルホスフィン酸、ベン
ジルホスフィン酸及びこれらのメチル、エチル、プロピ
ル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル等の炭素数1
〜20のアルキル、シクロアルキル、アリールまたはア
ラルキルエステル;およびメチルホスホン酸、エチルホ
スホン酸、ブチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、シ
クロヘキシルホスホン酸、ベンジルホスホン酸及びこれ
らのメチル、エチル、プロピル、シクロヘキシル、フェ
ニル、ベンジル等の炭素数1〜20のアルキル、シクロ
アルキル、アリールまたはアラルキルエステルを挙げる
ことができる。リン化合物は2種類以上併用し得る。
【0086】リン化合物の使用量は、触媒金属1原子量
当たり、リン0.5原子量以上、好ましくは触媒金属1
原子量当たり、リン1.0原子量以上である。リン化合
物の添加時期は、結晶性芳香族ポリエステルと環状エス
テルモノマーとの付加重合反応が終了した後、または結
晶性芳香族ポリエステルと環状エステルモノマーとの付
加重合反応による所望のブロック化反応が達成された時
点が好ましい。リン化合物は、リン化合物単体または弾
性ポリエステルに対して不活性でかつ揮発性を有する溶
媒に溶解もしくは分散した溶液の形態で添加され得る。
【0087】本発明の弾性ポリエステルの製造方法は、
結晶性芳香族ポリエステルと環状エステルモノマーとの
付加重合反応終了後、必要に応じて固相重合(SSP)
工程および脱モノマー工程を包含する。
【0088】固相重合(SSP)工程により、開環付加
反応終了後の弾性ポリエステルを高分子量化させ、なら
びに未反応モノマーを除去し得る。固相重合(SSP)
工程は、不活性ガス流通下で50mmHg以下、好まし
くは10mmHg、より好ましくは5mmHg以下に減
圧して、融点より50℃低い温度〜弾性ポリエステルの
融点、好ましくは弾性ポリエステルの融点より20℃低
い温度〜融点より5℃低い温度で、10〜2400分、
好ましくは30〜1800分、より好ましくは60〜1
500分間行い得る。
【0089】脱モノマー工程により、開環付加反応終了
後の未反応モノマーを除去し得、そのことにより成形時
の異臭発生を防止ならびに成形時のブリードアウトによ
る接着性および塗膜性悪化を防止し得る。脱モノマー工
程は、不活性ガス流通下で通常50mmHg以下、好ま
しくは10mmHg以下、より好ましくは5mmHg以
下に減圧して、通常弾性ポリエステルの融点〜280
℃、好ましくは200℃〜260℃、より好ましくは2
10℃〜250℃で、一般的に5〜240分、好ましく
は15〜180分、より好ましくは20〜150分間行
い得る。脱モノマー時間が短い場合は、脱モノマーが不
十分で、逆に長い場合はエステル交換によるランダム化
が進行し、弾性ポリエステルの機械的性質が低下する。
【0090】(2)溶融混合法 本発明の弾性ポリエステルはまた、結晶性芳香族ポリエ
ステルと脂肪族ポリエステルを溶融混合して重縮合する
工程を包含する方法によっても製造され得る。本方法に
おいては、用いられる結晶性芳香族ポリエステルのヒド
ロキシル末端基は該脂肪族ポリエステルのヒドロキシル
末端基の総和[OHv]が、30eq/106g<[OHv]≦
180 eq/106gの範囲にあることを特徴とする。
【0091】上述のように、通常、結晶性芳香族ポリエ
ステルと脂肪族ポリエステルとを溶融混合する場合、結
晶性芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルとの相容
性が悪いため、単に溶融混合しただけでは相分離を起こ
し、得られる弾性ポリエステルは白化する。相分離は、
一般に、ポリエステル−ポリエステルブロック共重合体
の機械的性質に大きく影響を及ぼし、その強度、伸長度
などの性質を低下させる。この相分離の問題を解決する
ためには、エステル交換反応による相容化を促進させる
ことが必要である。しかし、このエステル交換反応は結
晶性芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルとの間の
ランダム化を引き起こし、ブロック性の制御を困難にす
る。
【0092】上記の開環付加反応による弾性ポリエステ
ルの製造の場合と同様、ヒドロキシル末端基がエステル
交換反応を大きく支配する。従って、エステル交換反応
による相容化とブロック性の制御のためには、使用する
結晶性芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルのヒド
ロキシル末端基の総和[OHv]を制御することが重要で
あることを見いだした。本方法によれば、[OHv
は、30 eq/106g<[OHv]≦180 eq/106gの範囲
となるように制御する。好ましくは[OHv]は、35
eq/106g≦[OHv]≦170 eq/106g、より好ましくは
40 eq/106g≦[OHv]≦160 eq/106gである。
[OHv]≦30 eq/106gの場合、得られる弾性ポリエ
ステルは相分離し、機械的性質に劣る。[OHv]>1
80 eq/106gの場合、エステル交換によるランダム化が
進行して、得られる弾性ポリエステルの融点が低下する
傾向にある。
【0093】本方法で使用される結晶性芳香族ポリエス
テルとしては、前記付加重合型の本発明の方法において
使用されるものと同様の芳香族ポリエステルが用いら
れ、好ましくは、ポリブチレンテレフタレートおよびポ
リブチレンナフタレートが用いられる。
【0094】本方法で使用される脂肪族ポリエステルと
しては、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとから
得られるポリエステル;ポリカプロラクトンなどの、ラ
クトン類(ε−カプロラクトン、エナントラクトン、カ
プリロラクトン、ピバロラクトンなど)の開環重合反応
によって得られるポリエステルなどが挙げられる。好ま
しくは、ポリカプロラクトンジオールおよびポリブチレ
ンアジペートである。脂肪族ジカルボン酸と脂肪族グリ
コールとから得られるポリエステルの製造方法および条
件としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレ
ンナフタレートなどの製造に通常用いられる方法および
条件を用い得る。ラクトン類から得られるポリエステル
は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチ
レングリコールなどのアルキレングリコール類を開始剤
として、無触媒あるいは有機スズ化合物、有機チタン化
合物などの触媒の存在下、ラクトン類を開環重合するこ
とによって得られ得る。
【0095】溶融混合に供される結晶性芳香族ポリエス
テルおよび脂肪族ポリエステルは、チップ状、板状、ま
たは粉状などの任意の固体形状で使用され得、あるいは
溶融状態の液状であり得る。上記の付加重合型の本発明
の場合と同様、重合反応終了後の溶融状態をそのまま用
いることも好ましい。
【0096】溶融混合工程は、溶融混合および減圧下で
の重縮合を行うことができる装置・設備であれば、任意
の装置・設備で行われ得る。例えば、結晶性芳香族ポリ
エステルと脂肪族ポリエステルとを回分式の重縮合缶で
溶融混合・重縮合する方法;結晶性芳香族ポリエステル
と脂肪族ポリエステルを連続的に重縮合缶に供給して溶
融混合・重縮合する連続的製造方法;結晶性芳香族ポリ
エステルと脂肪族ポリエステルを、単軸または二軸押出
し機に供給して溶融混合・重縮合する連続的製造方法な
どによって、溶融混合・重縮合工程は行われ得る。
【0097】溶融混合・重縮合工程の温度は、通常、弾
性ポリエステルの融点〜約300℃、好ましくは200
〜280℃、より好ましくは210〜260℃である。
反応温度が300℃以上では、形成された弾性ポリエス
テルが熱劣化を起こし着色や機械的性質の低下をきたす
うえ、エステル交換反応によるランダム化が進行し、得
られる弾性ポリエステルの融点の低下および機械的物性
の低下が生じる。逆に弾性ポリエステルの融点以下の温
度では、弾性ポリエステルの固化、溶融粘度の上昇など
により、撹拌翼、反応缶などの損傷が生じる。また、重
縮合反応速度が遅くなり、重縮合時間が延長する。その
結果、生産性が低下する。
【0098】反応時間は、一般的には5分〜300分、
好ましくは10分〜180分、より好ましくは15分〜
150分である。反応時間が5分より短い場合、結晶性
芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルの反応が不均
一となって相分離が起こり、その結果、弾性ポリエステ
ルの機械的性質が低下する。逆に、300分より長く重
縮合を実施しても重合度の上昇はほとんどないため、3
00分を上回る反応時間は不必要である。むしろ、長時
間の反応によって、エステル交換反応によるランダム化
が進行して融点降下をきたすのみならず、ポリエステル
の熱劣化を誘発し、着色や機械的性質の低下をきたす。
【0099】溶融混合・重縮合工程の減圧条件は、一般
には50Torr以下、より好ましくは10Torr以下であ
る。50Torrを上回ると、重縮合反応によって生成する
副生成物の除去効率が低下し、重縮合反応が遅くなり得
る。
【0100】結晶性芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエ
ステルとの反応は、各ポリエステルの重縮合に使用され
た触媒で進行し、新たに触媒を加える必要はないが、反
応を効率よく完全に遂行するためには、一般にポリエス
テルの重合触媒として使用し得る触媒を用いることが好
ましい。触媒としては、例えばZn、Mn、Co、T
i、Sn、Pb、Sb、Geなどの金属、あるいはこれ
らの金属を含む有機金属化合物、有機酸塩、またはアル
コキシドなどを挙げることができる。三酸化アンチモ
ン、アンチモントリアセテート、アンチモントリエトキ
シド、二酸化ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキ
シド、ゲルマニウムテトラブトキシド、シュウ酸チタン
酸カリウム、チタンテトラエトキシド、チタンテトラブ
トキシド、ジアシルスズ、テトラアシルスズ、ジブチル
スズオキシド、ジブチルスズジラウレート、スズテトア
ラセテート等が好ましい。触媒は単独または2種以上混
合して使用し得る。
【0101】触媒の使用量は、結晶性芳香族ポリエステ
ルと脂肪族ポリエステルの合計重量の0〜0.3wt%
である。触媒量が0.3wt%より多いと結晶性芳香族
ポリエステルと脂肪族ポリエステルとの間のエステル交
換反応によるランダム化および熱劣化が進行し、生成す
る弾性ポリエステルの融点降下、着色および機械的性質
の低下をきたす。
【0102】触媒は、触媒単体で、あるいは揮発性を有
する溶媒の溶液または分散液の形態で、結晶性芳香族ポ
リエステルおよび/または脂肪族ポリエステル各々の重
縮合時、または結晶性芳香族ポリエステルと脂肪族ポリ
エステルとの溶融混合・重縮合時に添加され得る。結晶
性芳香族ポリエステルおよび/または脂肪族ポリエステ
ルの製造(重縮合)時に使用された触媒がそのまま溶融混
合・重縮合時の触媒として使用できるので、必ずしも、
溶融混合・重縮合時に触媒を添加することは必要ではな
い。
【0103】付加重合型の本発明の方法の場合と同様
に、結晶性芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルと
のエステル交換反応によるランダムポリマー化を抑制す
るために溶融混合・重縮合に使用した触媒に使用した触
媒を所定の反応終了後に不活性化することがことが好ま
しい。触媒を不活性化するためにリン化合物を用い得
る。リン化合物としては、上述の付加重合型の本発明の
方法の場合と同様の化合物が用いられ得、その使用量お
よび使用方法も同様である。
【0104】(添加剤)本発明の弾性ポリエステルに
は、特性を改良する目的で通常ポリエステルに添加され
る添加剤が添加され得る。添加剤としては、熱可塑性ポ
リマー、熱可塑性エラストマーなどの改質剤;ヒンダー
ドフェノール系、ホスファイト系、チオエーテル系、ア
ミン系の酸化防止剤;ベンゾフェノン系、サリチル酸
系、ヒンダードアミン系の耐候剤;含フッ素ポリマー、
シリコーン系ポリマー、ステアリン酸金属塩、モンタン
酸金属塩、モンタン酸エステルワックス、ポリエチレン
ワックスなどの離型剤;エポキシ化合物、カルボジイミ
ド化合物、ビスオキサゾリン化合物、アシルラクタム化
合物、イソシアネート化合物等の増粘剤;染料や顔料等
の着色剤;酸化チタン、カーボンブラック等の紫外線吸
収剤;ガラスファイバーやカーボンファイバー等の強化
剤;シリカ、クレー、炭酸カルシウム等の充填剤;タル
ク等の核剤;難燃剤;および可塑剤等を挙げることがで
きる。添加剤の添加量は、目的に応じて適宜選択され得
る。
【0105】添加剤は、付加重合型の本発明の方法の場
合、結晶性芳香族ポリエステルの重縮合時、結晶性芳香
族ポリエステルと環状エステルモノマーとの付加重合反
応前、または結晶性芳香族ポリエステルと環状エステル
モノマーとの付加重合終了後に添加され得る。溶融混合
型の本発明の方法の場合、結晶性芳香族ポリエステルお
よび/または脂肪族ポリエステルの製造時、結晶性芳香
族ポリエステルと脂肪族ポリエステルの溶融混合・重縮
合時、または融混合・重縮合終了時に添加され得る。あ
るいは、弾性ポリエステルの化学的・物理的改質を目的
としたコンパウンド時に添加され得る。
【0106】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いて説明する。実
施例中、単に部とあるのは重量部を表し、%とあるのは
重量%を示す。各測定項目は以下の方法に従った。
【0107】(測定方法) (1)結晶性芳香族ポリエステル 酸価([Avp]) 十分に乾燥させたポリエステル試料200mgを熱ベンジ
ルアルコール10mlに溶解する。溶液を冷却後、クロロ
ホルム10mlおよびフェノールレッドを加えて、1/25規定
の酒精カリ溶液(KOHのメタノール溶液)で滴定する。
結果を(eq/106g)の単位で表す。
【0108】ヒドロキシル末端基濃度([OHv]) ポリエステルのヒドロキシル末端基とカルボキシル末端
基の和である末端基濃度を測定し、そこから上記で求
めた酸価(カルボキシル末端基濃度)を差し引くことに
よって算出する。末端基濃度は、ポリエステルのヒドロ
キシル末端にコハク酸を結合させ、コハク酸由来のカル
ボキシル末端基とポリエステル自体が持つカルボキシル
基の総和(=全酸価[Avt])として測定される。測定
は以下のように行う。
【0109】1)ポリエステル試料を5%のピリジンを
溶解したニトロベンゼン中150℃で無水コハク酸と反
応させ、ヒドロキシル末端をカルボキシル化する; 2)カルボキシル化された試料をメタノールとクロロホ
ルムで十分洗浄し、110℃で4時間以上減圧乾燥す
る; 3)乾燥した試料200mgを熱ベンジルアルコール10
mlに溶解し、冷却後、クロロホルムで希釈し、窒素雰囲
気下、指示薬としてフェノールレッドを加えて、1/20規
定のNaOHベンジルアルコール溶液で滴定する。結果を
(eq/106g)の単位で表し、全酸価[Avt]とする; 4)[OHv](eq/106g)=[Avt]−[Avp]として
算出する。
【0110】(2)脂肪族ポリエステル ヒドロキシル末端基濃度([OHv]) 1)ポリエステル試料0.5gを5%の無水酢酸を溶解
したピリジン溶液中95℃でアセチル化する; 2)アセチル化した試料溶液に水を加え、未反応の無水
酢酸を加水分解する; 3)試料溶液を冷却してフェノールフタレインを指示薬
として用い、1/5規定のNaOH-メタノール溶液で滴定す
る; 4)ポリエステル試料を用いずに、1)〜3)の操作を
行い、ブランクとする; 5)ブランクの滴定に要したNaOH溶液の量からからポリ
エステル試料の滴定に要した量を差し引き、さらに別に
測定した[Avp]の値を加えて、ヒドロキシル末端基濃
度[OHv]を算出する。
【0111】(3)還元比粘度(ηsp/c) ポリエステル試料50mgを25mlのフェノール/テ
トラクロロエタン(3/2重量比)混合溶媒に溶解し、
オストワルド粘度計を用いて30℃で測定する。
【0112】(4)融点(Tm) 差動走査熱量計DSC−50(島津製作所(株))を用い
て、窒素雰囲気下で昇温速度20℃/分で測定する。
【0113】(5)表面硬度 東芝IS−100射出成形機(東芝製)を用いて、25
0℃の成形温度で測定用ダンベルを作製する。得られた
サンプルを用いてASTM D2240に準じて表面硬
度を測定する。D値が大きいほど硬度は高い。
【0114】(6)平均連鎖長の測定 弾性ポリエステルから任意に少なくとも5サンプルを採
取し、これをトリフルオロ酢酸に溶解してサンプル溶液
を調製する。次いでUNITY-500(バリアン社製)を用い
て各サンプル溶液のプロトンNMRを測定し、各サンプ
ルについて所定のメチレンプロトンのピーク強度を測定
し、先に詳述した所定の計算式によって、平均連鎖長を
算出する。
【0115】(7)機械的物性 上記表面硬度測定に用いたのと同様の測定用ダンベルを
用いてASTM D638に準じて測定する。
【0116】(8)分子量分布 サンプル10mgをヘキサフルオロイソプロパノール/ク
ロロホルム(HFIP/CHCl3)=2/98の混合溶媒10m
lに溶かし、LC−6A(島津製作所(株)製)を用い
てゲルパーミエーションクロマトグラフィーの測定を行
う。
【0117】(付加重合法による実施例) (実施例I−1)テレフタル酸ジメチル970部、1,
4−ブタンジオール675部、テトラブチルチタネート
0.1部をエステル交換釜に仕込み、130〜220℃
の温度でエステル交換反応を実施し、生成するメタノー
ルを留去した。反応物を重合釜に移送し、250℃、
0.3mmHgの減圧下で所定時間重合縮合反応を行っ
た。得られたポリブチレンテレフタレート(以下PBT
と表記する)のηsp/cは1.176であり、酸価は25
eg/106gであった。このPBTを重合釜から直
接、予め200℃に加熱したε−カプロラクトン(以下
CLと表記する)470部が入った反応釜へ窒素雰囲気
下撹拌しながら供給し、次いで内温を230℃に制御し
て45分間開環付加反応を実施した。続いて、未反応モ
ノマーの除去を0.2mmHgの真空下60分間実施し
た後、ストランド状で水中に吐出し弾性ポリエステルを
得た。得られた弾性ポリエステルのPBT構造単位の平
均連鎖長、融点およびηsp/cをそれぞれ表1に示す。
【0118】(実施例I−2〜I−5)反応条件を調節
することによりPBTのηsp/cと酸価とを表1に示すよ
うに変えたこと以外は、実施例I−1と同様にして弾性
ポリエステルを得た。得られた弾性ポリエステルのPB
T構造単位の平均連鎖長、融点およびηsp/cをそれぞれ
表1に示す。
【0119】(比較例I−1)実施例I−1の反応条件
を調節することによりPBTのηsp/cを1.103、酸
価を115eg/106gとしたこと以外は、実施例I
−1と同様にして弾性ポリエステルを得た。得られた弾
性ポリエステルのPBT構造単位の平均連鎖長は9.1
で、分散は1.9であり、Tmは223℃、ηsp/cは
1.027であった。
【0120】(比較例I−2)実施例I−1の反応条件
を調節することによりPBTのηsp/cを0.718、と
酸価とをそれぞれ5.5としたこと以外は、実施例I−
1と同様にして弾性ポリエステルを得た。得られた弾性
ポリエステルのPBT構造単位の平均連鎖長は3.1
で、分散1.7でηsp/cは1.296であり、Tmは1
73℃と低かった。
【0121】
【表1】
【0122】(実施例I−6〜8)I−1の反応条件を
調節することによりηsp/cと酸価とを表2に示すように
変えたPBTを重合した。重合終了後、反応釜中の溶融
PBT中へ180℃に予熱したCL470部を窒素雰囲
気下で撹拌しながら一気に加え、次いで反応釜内温23
0℃で60分間開環付加反応させた。反応終了後、0.
15mmHgの減圧下で60分間脱モノマーを行った。
得られた弾性ポリエステルのPBT構造単位の平均連鎖
長、融点およびηsp/cをそれぞれ表2に示す。
【0123】(比較例I−3)実施例I−1の反応条件
を調節することによりηsp/cが0.053、酸価が2
5.6eg/106gのPBTチップを得た。このPB
Tチップを210℃、0.15mmHgで13時間固相
重合して、ηsp/cが1.736、酸価が48eg/10
6gのPBTを得た。反応釜中の190℃に予熱したC
L470部に、窒素雰囲気下撹拌しながら上記固相重合
PBTチップ1100部を2時間かけて加えた。固相重
合PBTチップを投入している間に反応釜の内温を23
0℃に昇温し、次いで同温度で60分間反応した。反応
終了後、0.1mmHgの減圧下で60分間脱モノマー
を行った。得られた弾性ポリエステルのPBT構造単位
の平均連鎖長は9.7、分散は1.9であり、Tmは2
19℃、ηsp/cは1.856であった。
【0124】
【表2】
【0125】実施例I−1〜I−8および比較例I−1
〜I−3のPBTの酸価と弾性ポリエステルの融点T
m、およびPBTの酸価と弾性ポリエステルのPBT構
造単位の平均連鎖長との関係をそれぞれ図1および図2
に示す。図1および2から明らかなように、本発明の製
造方法によれば使用するPBTの酸価と得られる弾性ポ
リエステルの融点Tm、ならびに使用するPBTの酸価
と得られる弾性ポリエステルにおけるの結晶性芳香族ポ
リエステル(PBT)構造単位の平均連鎖長とは相関関
係にあり、ばらつきが少ない。このことは、本発明の方
法によれば使用する芳香族ポリエステルの酸価および還
元粘度を制御して、所定の方法によって開環付加重合を
行うことによって得られるポリエステルのブロック性を
制御することが可能であることを意味する。実施例I−
2と比較例I−1のゲルーパーミエーションクロマトグ
ラフィー測定結果を図3に示す。図3から明らかなよう
に、本発明の方法によれば、分子量分布の狭い、均一な
弾性ポリエステルが得られる。
【0126】(実施例I−9〜I−12)実施例I−1
の反応条件を調節することによりηsp/cと酸価とを表3
に示すように変えたPBTを重合した。得られた溶融状
態のPBTと200℃に予熱したCLとを窒素雰囲気下
撹拌しながら同時に反応釜に投入した。内温230℃で
40分間開環付加反応を行った後、0.1mmHgの減
圧下で50分間脱モノマーを行った。得られた弾性ポリ
エステルのPBT構造単位の平均連鎖長、融点およびη
sp/cをそれぞれ表3に示す。
【0127】(比較例I−4)実施例I−1の反応条件
を調節することによりPBTのηsp/cを1.218、お
よび酸価を105eg/106gとしたこと以外は実施
例I−9と同様にして弾性ポリエステルを得た。得られ
たPBT構造単位の弾性ポリエステルの平均連鎖長は
8.9で分散は2.0であり、Tmは219℃、ηsp/c
は1.237であった。
【0128】(参考例I−1)実施例I−1の反応条件
を調節することによりηsp/cが1.506および酸価が
28eg/106gのPBTを得た。このPBT 110
0部を20φの押出し機を使用して反応釜中に30分間
かけて押し出すと共に、200℃に加熱したCL470
部を反応釜中へ窒素雰囲気下で撹拌しながら投入した。
次いで230℃で60分間開環付加反応を行った。続い
て、0.2mmHgの減圧下で60分間脱モノマーを行
って弾性ポリエステルを得た。得られた弾性ポリエステ
ルは黄色味が強く、ηsp/cは1.518でTmは216
℃であった。PBT構造単位の平均連鎖長は6.9、分
散は2.1であった。分散が大きい原因を調べたとこ
ろ、押出し機より吐出されたPBTは、酸価が48eg
/106gと増加し、ηsp/cは1.458へと低下して
いた。これは再溶融時に熱劣化を受けたためと考えられ
る。
【0129】
【表3】
【0130】(実施例I−13)2,6−ナフタレンジ
カルボン酸ジメチル1.220部、1,4−ブタンジオ
ール675部、テトラブチルチタネート0.1部をエス
テル交換反応釜に仕込み、160℃〜230℃の温度で
エステル交換反応を行い、生成するメタノールを留去し
た。反応物を重合釜に移送して、270℃、0.15m
mHgの減圧下で30分間重縮合してηsp/cが0.85
3、酸価が46eq/106gのポリブチレンナフタレート
(以下PBNと表記する)を得た。次いで反応釜中の溶
融状態のPBNへ窒素雰囲気下撹拌しながら150℃に
加熱したCL580部を投入し、次いで反応釜内温を2
35℃に制御して40分間開環付加反応を実施した。続
いて、0.1mmHgの減圧下で45分間脱モノマーを
実施し弾性ポリエステルを得た。得られた弾性ポリエス
テルのPBN構造単位の平均連鎖長、融点およびηsp/c
をそれぞれ表4に示す。
【0131】(実施例I−14およびI−15)13の
反応条件を調節することによりPBNのηsp/cと酸価と
を表4に示すように変えたこと以外は、実施例I−13
と同様にして弾性ポリエステルを得た。得られた弾性ポ
リエステルのPBN構造単位の平均連鎖長、融点および
ηsp/cをそれぞれ表4に示す。
【0132】(比較例I−5)重縮合温度を260℃に
した以外は実施例I−13と同様にして酸価が5.3e
g/106g、ηsp/cが0.713のPBNを得、次い
で実施例I−13と同様に開環付加反応、脱モノマーを
行って弾性ポリエステルを得た。得られた弾性ポリエス
テルは、PBN構造単位の平均連鎖長は1.8、分散は
1.7であった。ηsp/cは1.265であり、Tmは1
92℃と低かった。
【0133】
【表4】
【0134】(実施例I−16)実施例I−1で得られ
た弾性ポリエステルを250℃で射出成形して機械的強
度測定用ダンベルを試作し、表面硬度および機械的物性
を測定した。成形中異臭はなかった。評価結果を表5に
示す。
【0135】(実施例I−17〜I−19および比較例
I−6)実施例I−17〜I−19および比較例I−6
は、実施例I−8、I−10、I−14および比較例I
−4の弾性ポリエステルを用いたこと以外は実施例I−
16と同様にして成形評価を行った。比較例I−6では
成形時にラクトン臭がした。評価結果を表5に示す。
【0136】
【表5】
【0137】(溶融混合法による実施例) (製造例II−1)結晶性芳香族ポリエステルの製造 テレフタル酸ジメチル970部、1,4−ブタンジオー
ル675部、テトラブチルチタネート0.1部をエステ
ル交換釜に仕込み、130〜225℃の温度でエステル
交換反応を実施し、生成するメタノールを留去した。反
応物を重合釜に移送し、250℃、0.3mmHgの減
圧下で所定時間重合縮合反応を行った。ηsp/cが0.8
65、ヒドロキシル末端基濃度が72eg/106gの
PBT(ポリエステルA)を得た。
【0138】(製造例II−2〜II−7)テレフタル酸ジ
メチルと1,4−ブタンジオールの仕込み比および重縮
合時間を変えたこと以外は実施例II−1と同様にして、
ヒドロキシル末端基量とηsp/cの異なるPBTを得た。
得られたPBTのヒドロキシル末端基量とηsp/cを表6
に示す。
【0139】
【表6】
【0140】(製造例II−8)脂肪族ポリエステルの調
製 ダイセル化学(株)社製のポリカプロラクトンジオール
を、50℃、0.1mmHGの減圧下、36時間乾燥して使
用した。弾性ポリエステルの製造に使用した種々のポリ
カプロラクトンジオールのヒドロキシル末端基量と数平
均分子量を表7に示す。
【0141】
【表7】
【0142】(実施例II−1)ヒドロキシル末端基量が
21eg/106g、ηsp/cが1.176のPBT(ポ
リエステルC)1330部を重縮合し、乾燥したポリカ
プロラクトンジオール(ポリエステルI)570部を窒
素雰囲気下投入し、直ちに減圧を開始し30分間で0.
15mmHgの減圧度とした。245℃の温度で35分間重
縮合した後、水中へストランド状で取り出し、カッター
でチップ状とした。得られた弾性ポリエステルは溶融状
態で透明であった。得られた弾性ポリエステルの平均連
鎖長、ηsp/c、融点および溶融状態の外観をそれぞれ表
8に示す。
【0143】(実施例II−2〜II−11)使用する結晶
性芳香族ポリエステルおよび脂肪族ポリエステルの種類
を表8に示すように変えたこと以外は実施例II−1と同
様にして弾性ポリエステルを得た。得られた弾性ポリエ
ステルの平均連鎖長、ηsp/c、融点および溶融状態の外
観をそれぞれ表8に示す。
【0144】(比較例II−1)ヒドロキシル末端基量が
18eg/106g、ηsp/cが1.258のPBT(ポ
リエステルG)1330部、ヒドロキシル末端基量が6
05eg/106gのポリカプロラクトンジオール(ポ
リエステルH)570部を使用してヒドロキシル末端基
の和を195eg/106gとしたこと以外は実施例1
と同様にして弾性ポリエステルを製造した。得られたポ
リエステルは溶融状態では透明であったが、PBTの平
均連鎖長は1.3と小さく、融点は161℃と低く、ほ
ぼ完全にランダム化していた。
【0145】(比較例II−2)ヒドロキシル末端基量が
5eg/106g、ηsp/cが1.418のPBT(ポリ
エステルG)1330部、ヒドロキシル末端基量が25
eg/106gのポリカプロラクトンジオール(ポリエ
ステルL)570部を使用してヒドロキシル末端基の和
を11eg/106gとしたこと以外は実施例1と同様
にして弾性ポリエステルを製造した。得られたポリエス
テルは溶融状態で白化していた。またPBTの平均連鎖
長は21.5と大きく、さらに225℃と、PCLに基
づくと思われる59℃の2つの融点を示し、相分離して
いることを示した。
【0146】(比較例II−3〜5)使用する結晶性芳香
族ポリエステルおよび脂肪族ポリエステルの種類を表8
に示すように変えたこと以外は実施例II−1と同様にし
て弾性ポリエステルを得た。得られた弾性ポリエステル
の平均連鎖長、ηsp/c、融点および溶融状態の外観をそ
れぞれ表8に示す。
【0147】
【表8】
【0148】(実施例II−12)実施例II−3で得られ
た弾性ポリエステルを250℃で射出成形して機械的強
度測定用ダンベルを試作し、表面硬度および機械的物性
を測定した。成形中異臭はなかった。評価結果を表9に
示す。
【0149】(実施例II−13およびII−14)実施例
II−13およびII−14は、実施例II−2およびII−9
の弾性ポリエステルを用いたこと以外は実施例II−12
と同様にして成形評価を行った。評価結果を表9に示
す。
【0150】(比較例II−6およびII−7)比較例II−
6およびII−7は、比較例II−1およびII−2の弾性ポ
リエステルを用いたこと以外は実施例II−12と同様に
して成形評価を行った。評価結果を表9に示す。
【0151】
【表9】
【0152】
【発明の効果】本発明の弾性ポリエステルは、ハードセ
グメントおよびソフトセグメントの鎖長のバラツキが一
定の範囲内に制御され、かつ分子量分布が狭いため、色
調、耐熱性、耐候性およびゴム弾性、引張強度、伸度等
の機械的性質に優れる。
【0153】本発明の弾性ポリエステルの製造方法によ
れば、ハードセグメントおよびソフトセグメントの鎖長
のバラツキが一定の範囲内に制御され、かつ分子量分布
が狭い弾性ポリエステルが得られ得る。付加重合法の場
合、原料となる芳香族ポリエステルの酸価と得られる弾
性ポリエステルのηsp/cおよび融点とが相関関係にある
ため弾性ポリエステルの物性を設計しやすく、かつ品質
を一定に制御しやすい。さらに、重合終了後の溶融状態
の芳香族ポリエステルをそのまま用いるため、重合ポリ
エステルを粉体化、チップ化する工程を省略できるので
経済的に有利である。また溶融混合法の場合、原料の結
晶性芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルの末端ヒ
ドロキシル基の量を所定範囲に制御することによって、
相容性とブロック性のバランスのとれた弾性ポリエステ
ルを得ることができる
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例I−1〜I−8および比較例I−1〜I
−3におけるポリブチレンテレフタレートの酸価と弾性
ポリエステルの融点Tmとの関係を示す図である。
【図2】実施例I−1〜I−8および比較例I−1〜I
−3におけるポリブチレンテレフタレートの酸価と弾性
ポリエステルにおけるポリブチレンテレフタレート構造
単位の平均連鎖長との関係を示す図である。
【図3】実施例I−2および比較例I−1における弾性
ポリエステルのゲルパーミエーションクロマトグラムを
示す図である。
フロントページの続き (72)発明者 松永 強 福井県敦賀市東洋町10番24号 東洋紡績株 式会社つるが工場内 (72)発明者 中島 久典 広島県岩国市灘町1番1号 東洋紡績株式 会社岩国工場内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハードセグメントとして結晶性芳香族ポ
    リエステル構造単位およびソフトセグメントとして脂肪
    族ポリエステル構造単位を有する弾性ポリエステルであ
    って、 該結晶性芳香族ポリエステル構造単位の核磁気共鳴法
    (NMR法)を用いて算出した平均連鎖長が1.5〜2
    0の範囲でありかつ分散が1.5以内の数である、弾性
    ポリエステル。
  2. 【請求項2】 前記結晶性芳香族ポリエステル構造単位
    が下式(1)で表され、前記脂肪族ポリエステル構造単
    位が下式(2)および/または(3)で表される、請求
    項1に記載の弾性ポリエステル: 【化1】 ここで、該結晶性芳香族ポリエステル構造単位中の90
    〜100%のAはp-フェニレン基または2,6-ナフチレン
    基であり、残余はm-フェニレン基または1,4-シクロヘキ
    シレン基であり;該結晶性芳香族ポリエステル構造単位
    中の90〜100%のBはC2〜C6のアルキレン基であ
    り、残余は1,4-シクロヘキシレン基または1,4-シクロヘ
    キサンジメチレン基であり;DはC2〜C10のアルキレ
    ン基であり;RはC4〜C12のアルキレン基であり;G
    はC2〜C12のアルキレン基であり;nは該結晶性芳香
    族ポリエステル構造単位(1)の平均連鎖長を表し、o
    およびpは各々、該脂肪族ポリエステル構造単位(2)
    および(3)の平均連鎖長を表し;そして該弾性ポリエ
    ステルの還元比粘度(ηsp/c)は0.8〜2.2であ
    る。
  3. 【請求項3】 弾性ポリエステルの全重量の98〜20
    重量%が前記結晶性芳香族ポリエステル構造単位であ
    り、弾性ポリエステルの全重量の2〜80重量%が前記
    脂肪族ポリエステル構造単位である、請求項1または2
    に記載の弾性ポリエステル。
  4. 【請求項4】 前記結晶性芳香族ポリエステルがポリブ
    チレンテレフタレートまたはポリブチレンナフタレート
    である、請求項1、2または3に記載の弾性ポリエステ
    ル。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の弾性ポリエステルの製
    造方法であって、以下の工程:芳香族ジカルボン酸およ
    びジオールを含む混合物を反応容器に準備する工程;該
    混合物を反応させて結晶性芳香族ポリエステルを形成す
    る工程であって、該結晶性芳香族ポリエステルの酸価が
    100eq/106g以下であり還元比粘度(ηsp/c)が0.
    8以上である工程;および重合終了後の溶融状態の該結
    晶性芳香族ポリエステルと環状エステルモノマーとを混
    合して弾性ポリエステルを形成する工程;を包含する、
    製造方法。
  6. 【請求項6】 前記すべての工程が同一の反応容器内で
    連続的に行われる、請求項4に記載の方法。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の弾性ポリエステルの製
    造方法であって、結晶性芳香族ポリエステルと脂肪族ポ
    リエステルを溶融混合して重縮合する工程を包含し、こ
    こで該結晶性芳香族ポリエステルのヒドロキシル末端基
    と該脂肪族ポリエステルのヒドロキシル末端基の総和
    [OHv]が 30 eq/106g<[OHv]≦180 eq/106g の範囲にある、製造方法。
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