JP3674934B2 - 弾性ポリエステル及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、色調、耐熱性、耐候性およびゴム弾性、引張強度、伸度等の機械的性質に優れたポリエステル系熱可塑性エラストマーおよびその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、ハードセグメントとソフトセグメントとが制御されたブロック構造ならびに鎖長を有するポリエステル−ポリエステル型熱可塑性エラストマーおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性エラストマーは、分子中に複数の柔軟性を有するソフトセグメントと分子拘束性を有するハードセグメントとを有するブロック共重合体である。ソフトセグメントはゴム弾性を有し、そしてハードセグメントは分子拘束性を有するために塑性変形を防止する効果を有する。このような構造を有するため、熱可塑性エラストマーは常温では加硫ゴムの性質を示すが、高温ではハードセグメントが可塑化されるためプラスチック加工機で成形できる高分子材料となる。従って、従来の架橋構造を有するエラストマーと比べて、省エネ・省力化生産可能である点、再利用可能である点、他のプラスチック材料とのブレンド性が良好である点などから、従来の架橋構造を有するエラストマーに代わって普及しつつある。
【0003】
熱可塑性エラストマー分子中のソフトセグメントとハードセグメントとは互いに非相溶性であるため、これらはミクロ相分離する。このミクロ相分離形態(モルホロジー)が熱可塑性エラストマーの加工性および諸物性に大きな影響を与えるため、モルホロジーを制御することにより種々の特性を有するエラストマーを調製し得るという利点がある。ソフトセグメントとハードセグメントとの配列で規定されるブロック構造および各セグメントの鎖長などはモルホロジーに影響するため、ブロック構造および各セグメントの鎖長の制御は重要である。
【0004】
熱可塑性エラストマーとしては、ポリウレタン系、ポリエステル系などが知られている。
【0005】
ポリウレタン系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントがポリウレタン、そしてソフトセグメントがポリオキシアルキレングリコールや脂肪族ポリエステル等の低二次転移点を有する重合体からなる。エラストマー性の発現は、ハードセグメントを構成するポリウレタンのウレタン、アミド、ウレア結合に由来する水素結合による分子拘束力と低二次転移点を有するソフトセグメントの分子運動との兼ね合いで決まる。ポリウレタン系熱可塑性エラストマーは、伸度や弾性回復等非常に優れた性質を持つが、反面、耐熱性、耐候性、耐加水分解性、耐塩素性に問題がある。
【0006】
ポリエステル系熱可塑性エラストマーとしては、ハードセグメントがポリブチレンテレフタレートなどの結晶性芳香族ポリエステル、ソフトセグメントがポリエーテルからなるポリエーテル−ポリエステル型、およびハードセグメントがポリブチレンテレフタレートなどの結晶性芳香族ポリエステル、ソフトセグメントが脂肪族ポリエステルからなるポリエステル−ポリエステル型がある。ポリエーテル−ポリエステル型熱可塑性エラストマーとしては、ペルプレンP型(東洋紡績(株))が知られている。ポリエステル−ポリエステル型熱可塑性エラストマーとしては、ハードセグメントにポリブチレンテレフタレート(PBT)、ソフトセグメントにポリカプロラクトン(PCL)を使用したペルプレンS型(東洋紡績)、ハードセグメントのPBTとソフトセグメントのポリブチレンアジペートをジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)によって鎖延長することにより製造されるアーニテル(アクゾ社)などが知られている。
【0007】
ポリエステル系熱可塑性エラストマーのエラストマー性の発現は、ハードセグメントを構成する結晶性芳香族ポリエステルの結晶の凝集力と低二次転移点を有するソフトセグメントの分子運動とで決まる。ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、弾性回復率自体はポリウレタンに劣るが、低伸長領域での弾性の回復性は良好で、溶融成形が容易であるという利点を有する。
【0008】
ポリエーテル−ポリエステル型は、その製造においてソフトセグメントにポリエーテルを使用するため、製造工程においてハードセグメントとソフトセグメント間のエステル交換反応は起こらない。従って、ポリエーテル−ポリエステル型のブロック構造ならびにハードセグメントおよびソフトセグメントの鎖長は、それぞれ、出発芳香族ポリエステルとポリエーテルとの反応量比ならびにそれらの鎖長によって決まり、後述するソフトセグメントに脂肪族ポリエステルを用いるポリエステル−ポリエステル型と比べて、ブロック構造ならびに各セグメントの鎖長の制御ははるかに容易である。ただし、ポリエーテル系のソフトセグメントを使用するため、耐熱性、耐候性などがポリエステル−ポリエステル型に比べて悪い。
【0009】
ポリエステル−ポリエステル型の弾性ポリエステルの製造方法は、鎖延長反応による製造(例えばアーニテル)を別にすると次の3つに大別される。
【0010】
(i) 共重合法:ハードセグメントとなる結晶性芳香族ポリエステルを形成する成分(酸およびグリコール)と、ソフトセグメントとなる脂肪族ポリエステルとを混合して共重合する方法。
【0011】
共重合法を用いた例としては、PETの染色性改善を主目的とした特公昭第49-27113号公報がある。この方法は、芳香族ポリエステルを形成する成分の重合と共に芳香族ポリエステルを形成する成分と脂肪族ポリエステルとの間でランダムにエステル交換反応が起こるため、ブロック構造ならびにハードセグメントおよびソフトセグメントの鎖長の制御は不可能であり、得られるポリマーは低融点ポリマーとなる。さらに、脂肪族ポリエステルが、エステル交換、重縮合中にモノマー状になりやすく、飛散しやすいため、仕込み組成が変動しやすいという問題がある。
【0012】
(ii) 溶融混合法:結晶性芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルを溶融混合(常圧、減圧、加圧の不活性雰囲気下)して、エステル交換反応もしくは重縮合反応によりハードセグメントとソフトセグメントとを有するポリマーを形成せしめる方法。
【0013】
溶融混合法を用いた例としては、ポリエステルブロック共重合体の製造を目的とした特公昭第58-35210号公報、特公昭第60-37134号公報などがある。この方法は、単純に結晶性芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルを溶融混合もしくは溶融混合後重縮合するため、ブロック構造発現の最も単純で簡単な方法である。しかし、相溶性の低い結晶性芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルとを約260℃という高温で溶融混合するため両ポリエステル間でエステル交換反応が不均一に起こる。従って、ハードセグメントとソフトセグメントとのブロック構造を制御することは困難である。
【0014】
(iii) 付加重合法:ペルプレンS型に代表されるように、結晶性芳香族ポリエステルの末端基へε−カプロラクトン等の環状エステルモノマーを開環付加重合させ脂肪族ポリエステルを作り、同時に芳香族ポリエステルと生成した脂肪族ポリエステルとの間のエステル交換反応によってハードセグメントとソフトセグメントとを有するエラストマーを形成せしめる方法。
【0015】
付加重合法の有利な点は、共重合法、溶融混合法と比べて、ソフトセグメントを形成する脂肪族ポリエステルを別途製造する必要のない点である。付加重合法もまた、脂肪族ポリエステルを形成する成分の重合と共に芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルとの間でエステル交換が起るため、ブロック構造ならびにハードセグメントおよびソフトセグメントの鎖長を制御することは難しい。
【0016】
上記のようにポリエステル−ポリエステル型熱可塑性エラストマーは、その製造においてソフトセグメントに脂肪族ポリエステルを使用するため、ハードセグメントとソフトセグメント間のエステル交換反応は避け得ない。その結果、ポリエステル−ポリエステル型熱可塑性エラストマーのブロック構造ならびに各セグメントの鎖長の制御は難しく、所望の性能のエラストマーを設計通り得られないという問題がある。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、その目的とするところは、ハードセグメントとソフトセグメントとが制御されたブロック構造ならびに鎖長を有するポリエステル−ポリエステル型熱可塑性エラストマーである弾性ポリエステルおよびその製造方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の弾性ポリエステルは、ハードセグメントとして結晶性芳香族ポリエステル構造単位およびソフトセグメントとして脂肪族ポリエステル構造単位を有する弾性ポリエステルであって、結晶性芳香族ポリエステル構造単位の核磁気共鳴法(NMR法)を用いて算出した平均連鎖長は1.5〜20の範囲でありかつ分散が1.5以内の数である弾性ポリエステルである。
【0019】
好ましい実施態様においては、上記結晶性芳香族ポリエステル構造単位は下式(1)で表され、前記脂肪族ポリエステル構造単位は下式(2)および/または(3)で表される:
【0020】
【化2】
Figure 0003674934
【0021】
ここで、該結晶性芳香族ポリエステル構造単位中の90〜100%のAはp-フェニレン基または2,6-ナフチレン基であり、残余はm-フェニレン基または1,4-シクロヘキシレン基であり;該結晶性芳香族ポリエステル構造単位中の90〜100%のBはC2〜C6のアルキレン基であり、残余は1,4-シクロヘキシレン基または1,4-シクロヘキサンジメチレン基であり;DはC2〜C10のアルキレン基であり;RはC4〜C12のアルキレン基であり;GはC2〜C12のアルキレン基であり;nは該結晶性芳香族ポリエステル構造単位(1)の平均連鎖長を表し、oおよびpは各々、該脂肪族ポリエステル構造単位(2)および(3)の平均連鎖長を表し;そして該弾性ポリエステルの還元比粘度(ηsp/c)は0.8〜2.2である。
【0022】
好ましい実施態様においては、弾性ポリエステルの全重量の98〜20重量%が上記結晶性芳香族ポリエステル構造単位であり、弾性ポリエステルの全重量の2〜80重量%が上記脂肪族ポリエステル構造単位である。
【0023】
好ましい実施態様においては、上記結晶性芳香族ポリエステルはポリブチレンテレフタレートまたはポリブチレンナフタレートである。
【0024】
本発明はまた、本発明の弾性ポリエステルの製造方法を提供する。この製造方法は、芳香族ジカルボン酸およびジオールを含む混合物を反応容器に準備する工程;混合物を反応させて結晶性芳香族ポリエステルを形成する工程であって、該結晶性芳香族ポリエステルの酸価が100eq/106g以下であり還元比粘度(ηsp/c)が0.8以上である工程;および重合終了後の溶融状態の結晶性芳香族ポリエステルと環状エステルモノマーとを混合して弾性ポリエステルを形成する工程を包含する。
【0025】
好ましい実施態様においては、上記すべての工程は同一の反応容器内で連続的に行われる。
【0026】
本発明はまた、本発明の弾性ポリエステルの他の製造方法を提供する。この製造方法は、結晶性芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルを溶融混合して重縮合する工程を包含し、ここで該結晶性芳香族ポリエステルのヒドロキシル末端基と該脂肪族ポリエステルのヒドロキシル末端基の総和[OHv]は
30 eq/106g<[OHv]≦180 eq/106g
の範囲にある。
【0027】
【発明の実施の形態】
本明細書において「ブロック」とは、当該分野で一般的に用いられる意味で使用され、複数の単独重合体を部分構造単位とするブロック共重合体において、単独重合体よりなる部分構造単位、すなわち同じ繰り返し単位の連鎖からなる構造単位のことをいう。本明細書において用語「構造単位」は、用語「ブロック」と本質的に同様の意味で用いられる。
【0028】
本明細書において「鎖長」とは、当該分野で一般的に用いられる意味で使用され、1つの構造単位を形成する単独重合体構造単位の重合体主鎖の長さをいう。
【0029】
本明細書において「平均連鎖長」とは、当該分野で一般的に用いられる意味で使用され、1つの単独重合体構造単位を構成する繰返し単位の繰返し数の平均値であり、本明細書においては、特に指示がない限り、NMRを用いて算出した値を示す。
【0030】
(弾性ポリエステル)
本発明の弾性ポリエステルは、ハードセグメントとして結晶性芳香族ポリエステル構造単位およびソフトセグメントとして脂肪族ポリエステル構造単位を有し、結晶性芳香族ポリエステル構造単位の核磁気共鳴法(NMR法)を用いて算出した平均連鎖長が1.5〜20、好ましくは2.0〜18、より好ましくは2.5〜16の範囲でありかつ分散が1.5以内、好ましくは1.3以内、より好ましくは1.2以内である。
【0031】
ポリエステル構造単位の平均連鎖長のNMRを用いた算出方法は、当該分野で周知の方法であり、実際の算出方法については後述する。平均連鎖長の分散は、同一のバッチの弾性ポリエステルから別個に採取した、少なくとも5個のサンプルについての測定によって求める。
【0032】
結晶性芳香族ポリエステルの平均連鎖長は、弾性ポリエステルのブロック性を決定する重要な因子であり、特に弾性ポリエステルの融点を支配する。ある平均連鎖長の範囲内では一般に平均連鎖長が増加するにつれ弾性ポリエステルの融点も上昇する。さらに、この平均連鎖長は、弾性ポリエステルのの機械的性質にも影響を与える因子である。結晶性芳香族ポリエステルの平均連鎖長が1.5より小さい場合、ランダム化が進行していることを意味し、融点の低下による耐熱性の低下、硬度、引張強度、弾性率などの機械的性質の低下が大きい。平均連鎖長が大きい場合は、特に問題はないが、融点などの特性値および硬度、強力などの機械的性質は、平均連鎖長がある値以上になると一定になるため、平均連鎖長を20より大きくする必要なないと考えられる。
【0033】
結晶性芳香族ポリエステルの平均連鎖長の分散はブロック性の乱れを意味する。分散が1.5より大きくなると弾性ポリエステル中に存在する結晶性芳香族ポリエステル構造単位の鎖長が不均一になり、これは弾性ポリエステルの耐熱性、機械的強度などの物性の変動につながり、その結果、得られる弾性ポリエステルの品質が不安定になる。特に、弾性ポリエステルの押出し成形時にサージング現象が起こり、製品の均一性および精度が損なわれるなどの問題がある。
【0034】
本発明の弾性ポリエステルは、好ましくは結晶性芳香族ポリエステル構造単位が下記式(1)で表され、脂肪族ポリエステル構造単位が下記式(2)および/または(3)で表されるブロック共重合体、より好ましくは(1)と(2)または(1)と(3)との交互ブロック共重合体である。
【0035】
【化3】
Figure 0003674934
【0036】
上記式(1)において、Aの90〜100%、好ましくは92〜100%は、p-フェニレン基または2,6-ナフチレン基であり、残余はm-フェニレン基または1,4-シクロヘキシレン基である。
【0037】
上記式(1)において、Bの90〜100%、好ましくは92〜100%は、C2〜C6のアルキレン基、好ましくはC2〜C4のアルキレン基、より好ましくはエチレン基またはブチレン基であり、残余は1,4-シクロヘキシレン基または1,4-シクロヘキサンジメチレン基である。
【0038】
上記式(2)において、DはC2〜C6のアルキレン基、好ましくはC2〜C5のアルキレン基、より好ましくはペンチレン基またはエチレン基である。
【0039】
上記式(3)において、RはC4〜C12のアルキレン基、好ましくはC4〜C10のアルキレン基、より好ましくはC4〜C8である。上記式(3)において、GはC2〜C12のアルキレン基、好ましくはC2〜C10のアルキレン基、より好ましくはC4〜C8である。
【0040】
nは上記結晶性芳香族ポリエステル構造単位(1)の平均連鎖長を表し、oおよびpは各々上記脂肪族ポリエステル構造単位(2)および(3)の平均連鎖長を表す。
【0041】
nは上述の通り、、NMR法で測定したときの値が1.5〜20、好ましくは2.0〜18、より好ましくは2.5〜16の範囲でありかつ分散が1.5以内、好ましくは1.3以内、より好ましくは1.2以内である。
【0042】
oは、NMR法で測定したときの値が1.5〜20の範囲、好ましくは2〜18の範囲、さらに好ましくは2.5〜16の範囲でありかつ分散が1.5以内、好ましくは1.3以内、より好ましくは1.2以内である。
【0043】
pは、NMR法で測定したときの値が1.5〜20の範囲、好ましくは2〜18の範囲、さらに好ましくは2.5〜16の範囲でありかつ分散が1.5以内、好ましくは1.3以内、より好ましくは1.2以内である。
【0044】
本発明ので弾性ポリエステルの還元比粘度(ηsp/c)で表した分子量は、0.8〜2.2、好ましくは0.9〜2.1、より好ましくは1.0〜2.0である。弾性ポリエステルの還元比粘度が0.8を下回ると、引張強度、伸度などの機械的性質に劣り、2.2を上回ると、通常の製造方法でこのような高分子量のエラストマーを得ることは難しく、固相重合法や、鎖延長剤などを使用して分子量増加を図る必要があり、コストアップ要因となる。
【0045】
芳香族ポリエステル構造単位は、弾性ポリエステルの総重量の98〜20重量%、好ましくは90〜25重量%、さらに好ましくは85〜30重量%含まれる。脂肪族ポリエステル構造単位は、弾性ポリエステルの総重量の2〜80重量%、好ましくは10〜70重量%、さらに好ましくは20〜60重量%含まれる。なお、芳香族ポリエステル構造単位の重量%と脂肪族ポリエステル構造単位の重量%との和は常に100重量%とする。
【0046】
芳香族ポリエステル構造単位の例としてポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレートが挙げられる。好ましくはポリブチレンテレフタレートまたはポリブチレンナフタレートである。
【0047】
脂肪族ポリエステル構造単位の例としてポリε−カプロラクトン、ポリエナントラクトン、ポリカプリロラクトン、ポリビバロラクトンなどを挙げることができる。好ましくはポリε−カプロラクトンである。
【0048】
(NMRによる平均連鎖長の求め方)
ポリエステル構造単位の平均連鎖長はNMR法を用いて、以下のようにして算出し得る。以下、上記式(1)で表される結晶性芳香族ポリエステル構造単位と上記式(2)で示される脂肪族ポリエステル構造単位とからなるブロック共重合体の場合を例にとり、平均連鎖長の算出方法を説明する。
【0049】
ポリエステルブロック共重合体のプロトンNMRスペクトルを測定し、ポリエステル構造中の特定のメチレンプロトン(酸素原子に隣接するメチレンプロトン)H1、H2、H3およびH4のシグナル面積強度[H1]、[H2]、[H3]および[H4]を得る。得られた各プロトンの面積強度から以下の式(I)および(II)を用いて、芳香族ポリエステル構造単位の平均連鎖長nおよび脂肪族ポリエステル構造単位の平均連鎖長oを、各々、算出する。ここで各メチレンプロトンについての説明を以下に示す。
【0050】
プロトンH1:芳香族ポリエステル構造単位を表す下記構造式において酸素原子に隣接するB中のメチレンプロトン。
【0051】
【化4】
Figure 0003674934
【0052】
プロトンH2:芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルとの間のエステル交換により生成した下記部分構造において芳香族エステルの酸素原子に隣接するD中のメチレンプロトン。
【0053】
【化5】
Figure 0003674934
【0054】
プロトンH3:芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルとの間のエステル交換により生成した下記部分構造において脂肪族エステルの酸素原子に隣接するB中のメチレンプロトン。
【0055】
【化6】
Figure 0003674934
【0056】
プロトンH4:脂肪族ポリエステル構造単位を表す下記構造式において酸素原子に隣接するD中のメチレンプロトン。
【0057】
【化7】
Figure 0003674934
【0058】
この場合、芳香族ポリエステル構造単位の平均連鎖長nは以下の式(I)で求められ、脂肪族ポリエステル構造単位の平均連鎖長oは以下の式(II)で求められる。
【0059】
【数1】
Figure 0003674934
【0060】
【数2】
Figure 0003674934
【0061】
ポリブチレンテレフタレートとポリカプロラクトンとからなる弾性ポリエステルの場合のプロトンH1〜H4を以下に例示する。
【0062】
【化8】
Figure 0003674934
【0063】
上記の例からわかるように、連鎖長n(すなわちn個の繰り返し単位)の芳香族ポリエステル構造単位中には[H1]が(2n−1)個存在し、そして芳香族ポリエステル構造単位1個につき[H2]と[H3]が1個づつ存在するとみなすことができる。すなわち芳香族ポリエステル構造単位の数は{([H2]+[H3])/2}個で表される。従って、弾性ポリエステル全体の[H1]は(2n−1)×{([H2]+[H3])/2}で表され、この式から上記式(I)が導出される。同様に、上記式(II)も導出される。さらにここで例示した以外の構造単位の場合でも、同様にして平均連鎖長を算出することができる。
【0064】
本発明においては、弾性ポリエステルの構造単位の平均連鎖長は上記のNMR法を用いて以下のように測定する。すなわち、本発明の弾性ポリエステルから任意に少なくとも5サンプルを採取し、これをトリフルオロ酢酸などの溶媒に溶解してサンプル溶液を調製する。次いで各サンプル溶液のプロトンNMRを測定し、上記の方法で各サンプルのniを算出し、次いでniの平均値nおよび分散を算出する。
【0065】
(弾性ポリエステルの製造方法)
上記のように本発明の弾性ポリエステルはハードセグメントとソフトセグメントとが制御されたブロック構造ならびに鎖長を有することを特徴とする。前述のように、従来ポリエステル−ポリエステル型の弾性ポリエステルを製造する際には、結晶性芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルとの間のエステル交換のため、ブロック構造ならびにハードセグメントおよびソフトセグメントの鎖長の制御は困難であった。本発明者らは、ポリエステルのヒドロキシル末端基がエステル交換反応、および付加重合型の弾性ポリエステル製造における環状エステルの開環反応などを大きく支配することに着目し、出発物質の酸価あるいはヒドロキシル末端基などの量を制御することによって、得られる弾性ポリエステルのブロック構造、分子量、融点などを制御し得ることを見いだした。以下、本発明の弾性ポリエステルの製造方法を示す。
【0066】
(1)付加重合法
本発明の弾性ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸およびジオールを含む混合物を反応容器に準備する工程;該混合物を反応させて結晶性芳香族ポリエステルを形成する工程であって、該結晶性芳香族ポリエステルの酸価が100eq/106g以下であり還元比粘度(ηsp/c)が0.8以上である工程;および溶融状態の該結晶性芳香族ポリエステルと環状エステルモノマーとを混合して弾性ポリエステルを形成する工程;を包含する方法によって製造され得る。
【0067】
本方法は、結晶性芳香族ポリエステルの末端基へ環状エステルモノマーを開環付加重合させて脂肪族ポリエステルを形成させる付加重合法において、結晶性芳香族ポリエステルの酸価および還元比粘度を所定の範囲内に制御することを特徴とする。このことによって、制御されたブロック構造および鎖長を有する本発明の弾性ポリエステルが得られることが見いだされた。
【0068】
上述のように、環状エステルの開環付加反応およびエステル交換反応においてヒドロキシル末端基濃度が重要であることが見いだされている。すなわち、開環付加反応速度は、ヒドロキシル末端における反応の方がカルボキシル末端における反応より圧倒的に反応速度が高い。従って、使用する結晶性芳香族ポリエステルの酸価が低い(すなわちヒドロキシル末端基濃度が高い)程、得られる弾性ポリエステルの分子量も大きくなり得る。また、結晶性芳香族ポリエステルの酸価が高い程(すなわちヒドロキシル末端基濃度が低い)程、得られる弾性ポリエステルにおける芳香族ポリエステル構造単位の平均連鎖長nは増加し、かつ融点は上昇する。同様にエステル交換反応も、ヒドロキシル末端基における反応(アルコリシス反応)の方が、カルボキシル末端基における反応(アシッドリシス反応)よりも反応速度が圧倒的に高い。
【0069】
ポリエステルの末端基濃度(すなわちカルボキシル基とヒドロキシル基の和)は分子量が高くなると減少し、分子量が低いと増加する。従って、芳香族ポリエステルの分子量が小さい場合(すなわち、還元比粘度が低い場合)、同じ酸価であっても、分子量が大きい場合よりヒドロキシル末端基濃度が高くなる。その結果、ランダム化が進行し、得られる弾性ポリエステルは低融点となると考えられる。逆に、分子量が高いと末端基濃度が減少し、酸価が低くてもヒドロキシル末端基濃度は低くなり、その結果、得られる弾性ポリエステルにおけるブロック性が維持され、融点低下も小さくなると考えられる。
【0070】
上記のように、開環付加重合型の反応において、使用する結晶性芳香族ポリエステルの酸価と還元比粘度を所定の範囲に制御することによって、得られる弾性ポリエステルのブロック性、分子量、融点などが制御され、その結果、所望の性能を有する弾性ポリエステルが得られ得る。
【0071】
芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸およびジオールを含む混合物を反応させて結晶性芳香族ポリエステルを形成する工程において、芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などを用い得る。好ましくはテレフタル酸または2,6-ナフタレンジカルボン酸である。必要に応じて全ジカルボン酸の10モル%以下、好ましくは8モル%以下の範囲で1,4-シクロヘキサンジカルボン酸などの非芳香族ジカルボン酸を用い得る。
【0072】
ジオールとしては、C2〜C6のアルキレンジオール、好ましくはC2〜C5のアルキレンジオール、より好ましくは1,4-ブタンジオールを用い得る。必要に応じて全ジオールの10モル%以下、好ましくは8モル%以下の範囲で1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノールなどを用い得る。
【0073】
上記ジカルボン酸およびジオールを含む混合物を反応させて芳香族ポリエステルを形成させる方法および条件としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレートなどの製造に通常用いられる方法および条件を用い得る。
【0074】
得られる結晶性芳香族ポリエステルの酸価は、100eq/106g以下、好ましくは5〜90eq/106g、より好ましくは10〜85eq/106gである。
【0075】
得られる結晶性芳香族ポリエステルの還元比粘度(ηsp/c)は、0.8≦ηsp/c≦1.8、好ましくは0.9≦ηsp/c≦1.6、より好ましくは1.0≦ηsp/c≦1.5である。1.8より大きいと溶融粘度が高くなりすぎて環状エステルモノマーを均一に反応させることが困難となる。
【0076】
上記芳香族ポリエステルと反応させ得る環状エステルモノマーとしては、ε−カプロラクトン、エナントラクトン、カプリロラクトン、ビバロラクトンなどを挙げることができる。好ましくはε−カプロラクトンである。
【0077】
本発明の方法によれば、結晶性芳香族ポリエステルと環状ポリエステルモノマーとを混合して弾性ポリエステルを形成する工程において、芳香族ポリエステルは溶融状態で使用される。溶融状態ではない固体の芳香族ポリエステルを使用すると、均一混合に長時間を要し、また反応が不均一となるためとなるため、好ましくない。溶融状態の芳香族ポリエステルは、チップ状、板状または粉状の芳香族ポリエステルを反応容器中で加熱溶融すること、または重合反応終了後の溶融状態をそのまま用いることによって得られ得る。重合反応終了後の溶融状態をそのまま用いると、以下の利点が得られるため好ましい:
i) ポリマーのチップ化または粉体化および乾燥工程が不要となり経済的にコストダウンし得る;
ii) 溶解および均一混合に要する時間が短縮できて生産性を向上し得る。
【0078】
これに対して、芳香族ポリエステルのチップや粉体を一軸あるいは二軸以上の押出し機で溶融して反応に供することも可能であるが、次のような問題点があるため注意を要する:
i) 押し出し溶融前に一度ポリマーのチップ化あるいは粉体化の成形工程及び乾燥工程が必要となるためコストアップ要因となる;
ii) 一度固形化したポリマーを再溶融することから、熱劣化を受け、得られる弾性ポリエステルが着色したり、機械的性質が低下する等のダメージがある;
iii) 再溶融時に熱劣化によって末端基濃度が変化し、弾性ポリエステルのブロック構造、機械的性質などの変動要因となる。
【0079】
芳香族ポリエステルと環状エステルモノマーとの混合は、溶融ポリエステル中へ環状エステルモノマーを一括あるいは逐次混合する;あるいは環状エステルモノマー中へ溶融ポリエステルを一括あるいは逐次混合する;などの方法により達成し得る。芳香族ポリエステルと環状エステルモノマーとの混合及び反応は、回分式反応釜によるバッチ重合、表面更新型反応槽による連続重合あるいは一軸、二軸または多軸型押出し機式リアクターによる連続重合などにより遂行し得る。
【0080】
溶融状態の結晶性芳香族ポリエステルと環状エステルモノマーとを混合して弾性ポリエステルを形成する時の反応温度は、通常、弾性ポリエステルの融点〜約280℃、好ましくは200〜260℃、より好ましくは210〜250℃である。反応温度が280℃以上では、形成された弾性ポリエステルが熱劣化を起こし、着色や機械的性質の低下をきたす。逆に、融点以下の温度では芳香族ポリエステルと環状エステルモノマーとの均一混合が不可能となり、実質的に反応は行えない。反応時間は、一般的には5分〜180分、好ましくは10分〜150分、より好ましくは20分〜120分である。反応時間が5分より短い場合、反応が不均一となるだけでなく、反応の不完全さによる未反応モノマー量の増加ならびに低分子量体の増加による機械的性質の低下がおこる。さらに、弾性ポリエステルの収率が低下しコストアップ要因となる。反応時間が180分より長い場合、エステル交換反応の進行によりブロック構造の制御が困難となり、機械的性質が低下する。さらに、反応時間が長いために生産性が低下し経済的にも不利である。反応を行う雰囲気は、不活性ガス雰囲気下、常圧が好ましい。
【0081】
溶融状態の結晶性芳香族ポリエステルと環状エステルモノマーとの混合において、均一溶解および混合を促進するため、ならびに溶融状態の芳香族ポリエステルと環状エステルモノマーとが接触した時の芳香族ポリエステルの冷却固化による反応器の損傷を防止するために、環状エステルモノマーを予め加熱しておくことが望ましい。予熱温度としては、130℃〜環状エステルモノマーの沸点、好ましくは150℃〜環状エステルモノマーの沸点から10℃低い温度である。
【0082】
結晶性芳香族ポリエステルと環状エステルモノマーとの反応は、無触媒で行い得るが、反応を効率よく完全に遂行するためには、一般に環状エステルモノマーの重合に使用し得る触媒を用いることが好ましい。触媒としては、例えばLi、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Mn、Co、Al、Ti、Sn、Pb、Sb、Zrなどの金属、あるいはこれらの金属を含む有機金属化合物、有機酸塩、またはアルコキシドなどを挙げることができる。有機アルミニウム化合物、有機チタン化合物、有機スズ化合物、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、チタンテトラエトキシド、チタンテトラブトキシド、ジアシルスズ、テトラアシルスズ、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジラウレート、スズテトラアセテート等が好ましい。触媒は単独または2種以上混合して使用し得る。
【0083】
触媒の使用量は、芳香族ポリエステルと環状エステルモノマーの合計重量の0〜0.3wt%、好ましくは0.001〜0.2wt%である。触媒量が0.3wt%より多いと結晶性芳香族ポリエステルと環状エステルモノマーの重合体とのエステル交換反応が進行し過ぎて、生成する弾性ポリエステルの融点および機械的性質が低下する。
【0084】
触媒は、単体、環状エステルモノマー溶液または分散液、あるいは芳香族ポリエステル、ラクトン類および弾性ポリエステルに不活性でかつ揮発性を有する溶媒の溶液または分散液の形態で、芳香族ポリエステルの重縮合時または芳香族ポリエステルと環状エステルモノマーとの反応時に添加され得る。
【0085】
結晶性芳香族ポリエステルと環状エステルモノマーとのエステル交換反応によるランダムポリマー化を抑制するために芳香族ポリエステルの重縮合に使用した触媒及び環状エステルモノマーの付加重合反応に使用した触媒を所定の反応終了後に不活性化することがことが好ましい。触媒を不活性化するためにリン化合物を用い得る。リン化合物としては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸等の無機リン酸;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェート等の炭素数1〜20のアルキルエステル部分を有するリン酸エステル、シクロヘキシルアリールエステル部分を有するリン酸エステル、アラルキルエステル部分を有するリン酸エステル及びこれらの部分エステル;トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリプロピルホスファイト、トリフェニルホスファイト等の炭素数1〜20のアルキルエステル部分を有する亜リン酸エステル、シクロヘキシルアリールエステル部分を有する亜リン酸エステル、アラルキルエステル部分を有する亜リン酸エステル及びこれらの部分エステル;メチルホスフィン酸、エチルホスフィン酸、ブチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、シクロヘキシルホスフィン酸、ベンジルホスフィン酸及びこれらのメチル、エチル、プロピル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル等の炭素数1〜20のアルキル、シクロアルキル、アリールまたはアラルキルエステル;およびメチルホスホン酸、エチルホスホン酸、ブチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、シクロヘキシルホスホン酸、ベンジルホスホン酸及びこれらのメチル、エチル、プロピル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル等の炭素数1〜20のアルキル、シクロアルキル、アリールまたはアラルキルエステルを挙げることができる。リン化合物は2種類以上併用し得る。
【0086】
リン化合物の使用量は、触媒金属1原子量当たり、リン0.5原子量以上、好ましくは触媒金属1原子量当たり、リン1.0原子量以上である。リン化合物の添加時期は、結晶性芳香族ポリエステルと環状エステルモノマーとの付加重合反応が終了した後、または結晶性芳香族ポリエステルと環状エステルモノマーとの付加重合反応による所望のブロック化反応が達成された時点が好ましい。リン化合物は、リン化合物単体または弾性ポリエステルに対して不活性でかつ揮発性を有する溶媒に溶解もしくは分散した溶液の形態で添加され得る。
【0087】
本発明の弾性ポリエステルの製造方法は、結晶性芳香族ポリエステルと環状エステルモノマーとの付加重合反応終了後、必要に応じて固相重合(SSP)工程および脱モノマー工程を包含する。
【0088】
固相重合(SSP)工程により、開環付加反応終了後の弾性ポリエステルを高分子量化させ、ならびに未反応モノマーを除去し得る。固相重合(SSP)工程は、不活性ガス流通下で50mmHg以下、好ましくは10mmHg、より好ましくは5mmHg以下に減圧して、融点より50℃低い温度〜弾性ポリエステルの融点、好ましくは弾性ポリエステルの融点より20℃低い温度〜融点より5℃低い温度で、10〜2400分、好ましくは30〜1800分、より好ましくは60〜1500分間行い得る。
【0089】
脱モノマー工程により、開環付加反応終了後の未反応モノマーを除去し得、そのことにより成形時の異臭発生を防止ならびに成形時のブリードアウトによる接着性および塗膜性悪化を防止し得る。脱モノマー工程は、不活性ガス流通下で通常50mmHg以下、好ましくは10mmHg以下、より好ましくは5mmHg以下に減圧して、通常弾性ポリエステルの融点〜280℃、好ましくは200℃〜260℃、より好ましくは210℃〜250℃で、一般的に5〜240分、好ましくは15〜180分、より好ましくは20〜150分間行い得る。脱モノマー時間が短い場合は、脱モノマーが不十分で、逆に長い場合はエステル交換によるランダム化が進行し、弾性ポリエステルの機械的性質が低下する。
【0090】
(2)溶融混合法
本発明の弾性ポリエステルはまた、結晶性芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルを溶融混合して重縮合する工程を包含する方法によっても製造され得る。本方法においては、用いられる結晶性芳香族ポリエステルのヒドロキシル末端基は該脂肪族ポリエステルのヒドロキシル末端基の総和[OHv]が、30eq/106g<[OHv]≦180 eq/106gの範囲にあることを特徴とする。
【0091】
上述のように、通常、結晶性芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルとを溶融混合する場合、結晶性芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルとの相容性が悪いため、単に溶融混合しただけでは相分離を起こし、得られる弾性ポリエステルは白化する。相分離は、一般に、ポリエステル−ポリエステルブロック共重合体の機械的性質に大きく影響を及ぼし、その強度、伸長度などの性質を低下させる。この相分離の問題を解決するためには、エステル交換反応による相容化を促進させることが必要である。しかし、このエステル交換反応は結晶性芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルとの間のランダム化を引き起こし、ブロック性の制御を困難にする。
【0092】
上記の開環付加反応による弾性ポリエステルの製造の場合と同様、ヒドロキシル末端基がエステル交換反応を大きく支配する。従って、エステル交換反応による相容化とブロック性の制御のためには、使用する結晶性芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルのヒドロキシル末端基の総和[OHv]を制御することが重要であることを見いだした。本方法によれば、[OHv]は、30 eq/106g<[OHv]≦180 eq/106gの範囲となるように制御する。好ましくは[OHv]は、35 eq/106g≦[OHv]≦170 eq/106g、より好ましくは40 eq/106g≦[OHv]≦160 eq/106gである。[OHv]≦30 eq/106gの場合、得られる弾性ポリエステルは相分離し、機械的性質に劣る。[OHv]>180 eq/106gの場合、エステル交換によるランダム化が進行して、得られる弾性ポリエステルの融点が低下する傾向にある。
【0093】
本方法で使用される結晶性芳香族ポリエステルとしては、前記付加重合型の本発明の方法において使用されるものと同様の芳香族ポリエステルが用いられ、好ましくは、ポリブチレンテレフタレートおよびポリブチレンナフタレートが用いられる。
【0094】
本方法で使用される脂肪族ポリエステルとしては、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとから得られるポリエステル;ポリカプロラクトンなどの、ラクトン類(ε−カプロラクトン、エナントラクトン、カプリロラクトン、ピバロラクトンなど)の開環重合反応によって得られるポリエステルなどが挙げられる。好ましくは、ポリカプロラクトンジオールおよびポリブチレンアジペートである。脂肪族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとから得られるポリエステルの製造方法および条件としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレートなどの製造に通常用いられる方法および条件を用い得る。ラクトン類から得られるポリエステルは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールなどのアルキレングリコール類を開始剤として、無触媒あるいは有機スズ化合物、有機チタン化合物などの触媒の存在下、ラクトン類を開環重合することによって得られ得る。
【0095】
溶融混合に供される結晶性芳香族ポリエステルおよび脂肪族ポリエステルは、チップ状、板状、または粉状などの任意の固体形状で使用され得、あるいは溶融状態の液状であり得る。上記の付加重合型の本発明の場合と同様、重合反応終了後の溶融状態をそのまま用いることも好ましい。
【0096】
溶融混合工程は、溶融混合および減圧下での重縮合を行うことができる装置・設備であれば、任意の装置・設備で行われ得る。例えば、結晶性芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルとを回分式の重縮合缶で溶融混合・重縮合する方法;結晶性芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルを連続的に重縮合缶に供給して溶融混合・重縮合する連続的製造方法;結晶性芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルを、単軸または二軸押出し機に供給して溶融混合・重縮合する連続的製造方法などによって、溶融混合・重縮合工程は行われ得る。
【0097】
溶融混合・重縮合工程の温度は、通常、弾性ポリエステルの融点〜約300℃、好ましくは200〜280℃、より好ましくは210〜260℃である。反応温度が300℃以上では、形成された弾性ポリエステルが熱劣化を起こし着色や機械的性質の低下をきたすうえ、エステル交換反応によるランダム化が進行し、得られる弾性ポリエステルの融点の低下および機械的物性の低下が生じる。逆に弾性ポリエステルの融点以下の温度では、弾性ポリエステルの固化、溶融粘度の上昇などにより、撹拌翼、反応缶などの損傷が生じる。また、重縮合反応速度が遅くなり、重縮合時間が延長する。その結果、生産性が低下する。
【0098】
反応時間は、一般的には5分〜300分、好ましくは10分〜180分、より好ましくは15分〜150分である。反応時間が5分より短い場合、結晶性芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルの反応が不均一となって相分離が起こり、その結果、弾性ポリエステルの機械的性質が低下する。逆に、300分より長く重縮合を実施しても重合度の上昇はほとんどないため、300分を上回る反応時間は不必要である。むしろ、長時間の反応によって、エステル交換反応によるランダム化が進行して融点降下をきたすのみならず、ポリエステルの熱劣化を誘発し、着色や機械的性質の低下をきたす。
【0099】
溶融混合・重縮合工程の減圧条件は、一般には50Torr以下、より好ましくは10Torr以下である。50Torrを上回ると、重縮合反応によって生成する副生成物の除去効率が低下し、重縮合反応が遅くなり得る。
【0100】
結晶性芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルとの反応は、各ポリエステルの重縮合に使用された触媒で進行し、新たに触媒を加える必要はないが、反応を効率よく完全に遂行するためには、一般にポリエステルの重合触媒として使用し得る触媒を用いることが好ましい。触媒としては、例えばZn、Mn、Co、Ti、Sn、Pb、Sb、Geなどの金属、あるいはこれらの金属を含む有機金属化合物、有機酸塩、またはアルコキシドなどを挙げることができる。三酸化アンチモン、アンチモントリアセテート、アンチモントリエトキシド、二酸化ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラブトキシド、シュウ酸チタン酸カリウム、チタンテトラエトキシド、チタンテトラブトキシド、ジアシルスズ、テトラアシルスズ、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズジラウレート、スズテトアラセテート等が好ましい。触媒は単独または2種以上混合して使用し得る。
【0101】
触媒の使用量は、結晶性芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルの合計重量の0〜0.3wt%である。触媒量が0.3wt%より多いと結晶性芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルとの間のエステル交換反応によるランダム化および熱劣化が進行し、生成する弾性ポリエステルの融点降下、着色および機械的性質の低下をきたす。
【0102】
触媒は、触媒単体で、あるいは揮発性を有する溶媒の溶液または分散液の形態で、結晶性芳香族ポリエステルおよび/または脂肪族ポリエステル各々の重縮合時、または結晶性芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルとの溶融混合・重縮合時に添加され得る。結晶性芳香族ポリエステルおよび/または脂肪族ポリエステルの製造(重縮合)時に使用された触媒がそのまま溶融混合・重縮合時の触媒として使用できるので、必ずしも、溶融混合・重縮合時に触媒を添加することは必要ではない。
【0103】
付加重合型の本発明の方法の場合と同様に、結晶性芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルとのエステル交換反応によるランダムポリマー化を抑制するために溶融混合・重縮合に使用した触媒に使用した触媒を所定の反応終了後に不活性化することがことが好ましい。触媒を不活性化するためにリン化合物を用い得る。リン化合物としては、上述の付加重合型の本発明の方法の場合と同様の化合物が用いられ得、その使用量および使用方法も同様である。
【0104】
(添加剤)
本発明の弾性ポリエステルには、特性を改良する目的で通常ポリエステルに添加される添加剤が添加され得る。添加剤としては、熱可塑性ポリマー、熱可塑性エラストマーなどの改質剤;ヒンダードフェノール系、ホスファイト系、チオエーテル系、アミン系の酸化防止剤;ベンゾフェノン系、サリチル酸系、ヒンダードアミン系の耐候剤;含フッ素ポリマー、シリコーン系ポリマー、ステアリン酸金属塩、モンタン酸金属塩、モンタン酸エステルワックス、ポリエチレンワックスなどの離型剤;エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、ビスオキサゾリン化合物、アシルラクタム化合物、イソシアネート化合物等の増粘剤;染料や顔料等の着色剤;酸化チタン、カーボンブラック等の紫外線吸収剤;ガラスファイバーやカーボンファイバー等の強化剤;シリカ、クレー、炭酸カルシウム等の充填剤;タルク等の核剤;難燃剤;および可塑剤等を挙げることができる。添加剤の添加量は、目的に応じて適宜選択され得る。
【0105】
添加剤は、付加重合型の本発明の方法の場合、結晶性芳香族ポリエステルの重縮合時、結晶性芳香族ポリエステルと環状エステルモノマーとの付加重合反応前、または結晶性芳香族ポリエステルと環状エステルモノマーとの付加重合終了後に添加され得る。溶融混合型の本発明の方法の場合、結晶性芳香族ポリエステルおよび/または脂肪族ポリエステルの製造時、結晶性芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルの溶融混合・重縮合時、または融混合・重縮合終了時に添加され得る。あるいは、弾性ポリエステルの化学的・物理的改質を目的としたコンパウンド時に添加され得る。
【0106】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて説明する。実施例中、単に部とあるのは重量部を表し、%とあるのは重量%を示す。各測定項目は以下の方法に従った。
【0107】
(測定方法)
(1)結晶性芳香族ポリエステル
▲1▼酸価([Avp])
十分に乾燥させたポリエステル試料200mgを熱ベンジルアルコール10mlに溶解する。溶液を冷却後、クロロホルム10mlおよびフェノールレッドを加えて、1/25規定の酒精カリ溶液(KOHのメタノール溶液)で滴定する。結果を(eq/106g)の単位で表す。
【0108】
▲2▼ヒドロキシル末端基濃度([OHv])
ポリエステルのヒドロキシル末端基とカルボキシル末端基の和である末端基濃度を測定し、そこから上記▲1▼で求めた酸価(カルボキシル末端基濃度)を差し引くことによって算出する。末端基濃度は、ポリエステルのヒドロキシル末端にコハク酸を結合させ、コハク酸由来のカルボキシル末端基とポリエステル自体が持つカルボキシル基の総和(=全酸価[Avt])として測定される。測定は以下のように行う。
【0109】
1)ポリエステル試料を5%のピリジンを溶解したニトロベンゼン中150℃で無水コハク酸と反応させ、ヒドロキシル末端をカルボキシル化する;
2)カルボキシル化された試料をメタノールとクロロホルムで十分洗浄し、110℃で4時間以上減圧乾燥する;
3)乾燥した試料200mgを熱ベンジルアルコール10mlに溶解し、冷却後、クロロホルムで希釈し、窒素雰囲気下、指示薬としてフェノールレッドを加えて、1/20規定のNaOHベンジルアルコール溶液で滴定する。結果を(eq/106g)の単位で表し、全酸価[Avt]とする;
4)[OHv](eq/106g)=[Avt]−[Avp]として算出する。
【0110】
(2)脂肪族ポリエステル
▲1▼ヒドロキシル末端基濃度([OHv])
1)ポリエステル試料0.5gを5%の無水酢酸を溶解したピリジン溶液中95℃でアセチル化する;
2)アセチル化した試料溶液に水を加え、未反応の無水酢酸を加水分解する;
3)試料溶液を冷却してフェノールフタレインを指示薬として用い、1/5規定のNaOH-メタノール溶液で滴定する;
4)ポリエステル試料を用いずに、1)〜3)の操作を行い、ブランクとする;
5)ブランクの滴定に要したNaOH溶液の量からからポリエステル試料の滴定に要した量を差し引き、さらに別に測定した[Avp]の値を加えて、ヒドロキシル末端基濃度[OHv]を算出する。
【0111】
(3)還元比粘度(ηsp/c)
ポリエステル試料50mgを25mlのフェノール/テトラクロロエタン(3/2重量比)混合溶媒に溶解し、オストワルド粘度計を用いて30℃で測定する。
【0112】
(4)融点(Tm)
差動走査熱量計DSC−50(島津製作所(株))を用いて、窒素雰囲気下で昇温速度20℃/分で測定する。
【0113】
(5)表面硬度
東芝IS−100射出成形機(東芝製)を用いて、250℃の成形温度で測定用ダンベルを作製する。得られたサンプルを用いてASTM D2240に準じて表面硬度を測定する。D値が大きいほど硬度は高い。
【0114】
(6)平均連鎖長の測定
弾性ポリエステルから任意に少なくとも5サンプルを採取し、これをトリフルオロ酢酸に溶解してサンプル溶液を調製する。次いでUNITY-500(バリアン社製)を用いて各サンプル溶液のプロトンNMRを測定し、各サンプルについて所定のメチレンプロトンのピーク強度を測定し、先に詳述した所定の計算式によって、平均連鎖長を算出する。
【0115】
(7)機械的物性
上記表面硬度測定に用いたのと同様の測定用ダンベルを用いてASTM D638に準じて測定する。
【0116】
(8)分子量分布
サンプル10mgをヘキサフルオロイソプロパノール/クロロホルム(HFIP/CHCl3)=2/98の混合溶媒10mlに溶かし、LC−6A(島津製作所(株)製)を用いてゲルパーミエーションクロマトグラフィーの測定を行う。
【0117】
(付加重合法による実施例)
(実施例I−1)
テレフタル酸ジメチル970部、1,4−ブタンジオール675部、テトラブチルチタネート0.1部をエステル交換釜に仕込み、130〜220℃の温度でエステル交換反応を実施し、生成するメタノールを留去した。反応物を重合釜に移送し、250℃、0.3mmHgの減圧下で所定時間重合縮合反応を行った。得られたポリブチレンテレフタレート(以下PBTと表記する)のηsp/cは1.176であり、酸価は25eg/106gであった。このPBTを重合釜から直接、予め200℃に加熱したε−カプロラクトン(以下CLと表記する)470部が入った反応釜へ窒素雰囲気下撹拌しながら供給し、次いで内温を230℃に制御して45分間開環付加反応を実施した。続いて、未反応モノマーの除去を0.2mmHgの真空下60分間実施した後、ストランド状で水中に吐出し弾性ポリエステルを得た。得られた弾性ポリエステルのPBT構造単位の平均連鎖長、融点およびηsp/cをそれぞれ表1に示す。
【0118】
(実施例I−2〜I−5)
反応条件を調節することによりPBTのηsp/cと酸価とを表1に示すように変えたこと以外は、実施例I−1と同様にして弾性ポリエステルを得た。得られた弾性ポリエステルのPBT構造単位の平均連鎖長、融点およびηsp/cをそれぞれ表1に示す。
【0119】
(比較例I−1)
実施例I−1の反応条件を調節することによりPBTのηsp/cを1.103、酸価を115eg/106gとしたこと以外は、実施例I−1と同様にして弾性ポリエステルを得た。得られた弾性ポリエステルのPBT構造単位の平均連鎖長は9.1で、分散は1.9であり、Tmは223℃、ηsp/cは1.027であった。
【0120】
(比較例I−2)
実施例I−1の反応条件を調節することによりPBTのηsp/cを0.718、と酸価とをそれぞれ5.5としたこと以外は、実施例I−1と同様にして弾性ポリエステルを得た。得られた弾性ポリエステルのPBT構造単位の平均連鎖長は3.1で、分散1.7でηsp/cは1.296であり、Tmは173℃と低かった。
【0121】
【表1】
Figure 0003674934
【0122】
(実施例I−6〜8)
I−1の反応条件を調節することによりηsp/cと酸価とを表2に示すように変えたPBTを重合した。重合終了後、反応釜中の溶融PBT中へ180℃に予熱したCL470部を窒素雰囲気下で撹拌しながら一気に加え、次いで反応釜内温230℃で60分間開環付加反応させた。反応終了後、0.15mmHgの減圧下で60分間脱モノマーを行った。得られた弾性ポリエステルのPBT構造単位の平均連鎖長、融点およびηsp/cをそれぞれ表2に示す。
【0123】
(比較例I−3)
実施例I−1の反応条件を調節することによりηsp/cが0.053、酸価が25.6eg/106gのPBTチップを得た。このPBTチップを210℃、0.15mmHgで13時間固相重合して、ηsp/cが1.736、酸価が48eg/106gのPBTを得た。反応釜中の190℃に予熱したCL470部に、窒素雰囲気下撹拌しながら上記固相重合PBTチップ1100部を2時間かけて加えた。固相重合PBTチップを投入している間に反応釜の内温を230℃に昇温し、次いで同温度で60分間反応した。反応終了後、0.1mmHgの減圧下で60分間脱モノマーを行った。得られた弾性ポリエステルのPBT構造単位の平均連鎖長は9.7、分散は1.9であり、Tmは219℃、ηsp/cは1.856であった。
【0124】
【表2】
Figure 0003674934
【0125】
実施例I−1〜I−8および比較例I−1〜I−3のPBTの酸価と弾性ポリエステルの融点Tm、およびPBTの酸価と弾性ポリエステルのPBT構造単位の平均連鎖長との関係をそれぞれ図1および図2に示す。図1および2から明らかなように、本発明の製造方法によれば使用するPBTの酸価と得られる弾性ポリエステルの融点Tm、ならびに使用するPBTの酸価と得られる弾性ポリエステルにおけるの結晶性芳香族ポリエステル(PBT)構造単位の平均連鎖長とは相関関係にあり、ばらつきが少ない。このことは、本発明の方法によれば使用する芳香族ポリエステルの酸価および還元粘度を制御して、所定の方法によって開環付加重合を行うことによって得られるポリエステルのブロック性を制御することが可能であることを意味する。実施例I−2と比較例I−1のゲルーパーミエーションクロマトグラフィー測定結果を図3に示す。図3から明らかなように、本発明の方法によれば、分子量分布の狭い、均一な弾性ポリエステルが得られる。
【0126】
(実施例I−9〜I−12)
実施例I−1の反応条件を調節することによりηsp/cと酸価とを表3に示すように変えたPBTを重合した。得られた溶融状態のPBTと200℃に予熱したCLとを窒素雰囲気下撹拌しながら同時に反応釜に投入した。内温230℃で40分間開環付加反応を行った後、0.1mmHgの減圧下で50分間脱モノマーを行った。得られた弾性ポリエステルのPBT構造単位の平均連鎖長、融点およびηsp/cをそれぞれ表3に示す。
【0127】
(比較例I−4)
実施例I−1の反応条件を調節することによりPBTのηsp/cを1.218、および酸価を105eg/106gとしたこと以外は実施例I−9と同様にして弾性ポリエステルを得た。得られたPBT構造単位の弾性ポリエステルの平均連鎖長は8.9で分散は2.0であり、Tmは219℃、ηsp/cは1.237であった。
【0128】
(参考例I−1)
実施例I−1の反応条件を調節することによりηsp/cが1.506および酸価が28eg/106gのPBTを得た。このPBT 1100部を20φの押出し機を使用して反応釜中に30分間かけて押し出すと共に、200℃に加熱したCL470部を反応釜中へ窒素雰囲気下で撹拌しながら投入した。次いで230℃で60分間開環付加反応を行った。続いて、0.2mmHgの減圧下で60分間脱モノマーを行って弾性ポリエステルを得た。得られた弾性ポリエステルは黄色味が強く、ηsp/cは1.518でTmは216℃であった。PBT構造単位の平均連鎖長は6.9、分散は2.1であった。分散が大きい原因を調べたところ、押出し機より吐出されたPBTは、酸価が48eg/106gと増加し、ηsp/cは1.458へと低下していた。これは再溶融時に熱劣化を受けたためと考えられる。
【0129】
【表3】
Figure 0003674934
【0130】
(実施例I−13)
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル1.220部、1,4−ブタンジオール675部、テトラブチルチタネート0.1部をエステル交換反応釜に仕込み、160℃〜230℃の温度でエステル交換反応を行い、生成するメタノールを留去した。反応物を重合釜に移送して、270℃、0.15mmHgの減圧下で30分間重縮合してηsp/cが0.853、酸価が46eq/106gのポリブチレンナフタレート(以下PBNと表記する)を得た。次いで反応釜中の溶融状態のPBNへ窒素雰囲気下撹拌しながら150℃に加熱したCL580部を投入し、次いで反応釜内温を235℃に制御して40分間開環付加反応を実施した。続いて、0.1mmHgの減圧下で45分間脱モノマーを実施し弾性ポリエステルを得た。得られた弾性ポリエステルのPBN構造単位の平均連鎖長、融点およびηsp/cをそれぞれ表4に示す。
【0131】
(実施例I−14およびI−15)
13の反応条件を調節することによりPBNのηsp/cと酸価とを表4に示すように変えたこと以外は、実施例I−13と同様にして弾性ポリエステルを得た。得られた弾性ポリエステルのPBN構造単位の平均連鎖長、融点およびηsp/cをそれぞれ表4に示す。
【0132】
(比較例I−5)
重縮合温度を260℃にした以外は実施例I−13と同様にして酸価が5.3eg/106g、ηsp/cが0.713のPBNを得、次いで実施例I−13と同様に開環付加反応、脱モノマーを行って弾性ポリエステルを得た。得られた弾性ポリエステルは、PBN構造単位の平均連鎖長は1.8、分散は1.7であった。ηsp/cは1.265であり、Tmは192℃と低かった。
【0133】
【表4】
Figure 0003674934
【0134】
(実施例I−16)
実施例I−1で得られた弾性ポリエステルを250℃で射出成形して機械的強度測定用ダンベルを試作し、表面硬度および機械的物性を測定した。成形中異臭はなかった。評価結果を表5に示す。
【0135】
(実施例I−17〜I−19および比較例I−6)
実施例I−17〜I−19および比較例I−6は、実施例I−8、I−10、I−14および比較例I−4の弾性ポリエステルを用いたこと以外は実施例I−16と同様にして成形評価を行った。比較例I−6では成形時にラクトン臭がした。評価結果を表5に示す。
【0136】
【表5】
Figure 0003674934
【0137】
(溶融混合法による実施例)
(製造例II−1)結晶性芳香族ポリエステルの製造
テレフタル酸ジメチル970部、1,4−ブタンジオール675部、テトラブチルチタネート0.1部をエステル交換釜に仕込み、130〜225℃の温度でエステル交換反応を実施し、生成するメタノールを留去した。反応物を重合釜に移送し、250℃、0.3mmHgの減圧下で所定時間重合縮合反応を行った。ηsp/cが0.865、ヒドロキシル末端基濃度が72eg/106gのPBT(ポリエステルA)を得た。
【0138】
(製造例II−2〜II−7)
テレフタル酸ジメチルと1,4−ブタンジオールの仕込み比および重縮合時間を変えたこと以外は実施例II−1と同様にして、ヒドロキシル末端基量とηsp/cの異なるPBTを得た。得られたPBTのヒドロキシル末端基量とηsp/cを表6に示す。
【0139】
【表6】
Figure 0003674934
【0140】
(製造例II−8)脂肪族ポリエステルの調製
ダイセル化学(株)社製のポリカプロラクトンジオールを、50℃、0.1mmHGの減圧下、36時間乾燥して使用した。弾性ポリエステルの製造に使用した種々のポリカプロラクトンジオールのヒドロキシル末端基量と数平均分子量を表7に示す。
【0141】
【表7】
Figure 0003674934
【0142】
(実施例II−1)ヒドロキシル末端基量が21eg/106g、ηsp/cが1.176のPBT(ポリエステルC)1330部を重縮合し、乾燥したポリカプロラクトンジオール(ポリエステルI)570部を窒素雰囲気下投入し、直ちに減圧を開始し30分間で0.15mmHgの減圧度とした。245℃の温度で35分間重縮合した後、水中へストランド状で取り出し、カッターでチップ状とした。得られた弾性ポリエステルは溶融状態で透明であった。得られた弾性ポリエステルの平均連鎖長、ηsp/c、融点および溶融状態の外観をそれぞれ表8に示す。
【0143】
(実施例II−2〜II−11)
使用する結晶性芳香族ポリエステルおよび脂肪族ポリエステルの種類を表8に示すように変えたこと以外は実施例II−1と同様にして弾性ポリエステルを得た。得られた弾性ポリエステルの平均連鎖長、ηsp/c、融点および溶融状態の外観をそれぞれ表8に示す。
【0144】
(比較例II−1)
ヒドロキシル末端基量が18eg/106g、ηsp/cが1.258のPBT(ポリエステルG)1330部、ヒドロキシル末端基量が605eg/106gのポリカプロラクトンジオール(ポリエステルH)570部を使用してヒドロキシル末端基の和を195eg/106gとしたこと以外は実施例1と同様にして弾性ポリエステルを製造した。得られたポリエステルは溶融状態では透明であったが、PBTの平均連鎖長は1.3と小さく、融点は161℃と低く、ほぼ完全にランダム化していた。
【0145】
(比較例II−2)
ヒドロキシル末端基量が5eg/106g、ηsp/cが1.418のPBT(ポリエステルG)1330部、ヒドロキシル末端基量が25eg/106gのポリカプロラクトンジオール(ポリエステルL)570部を使用してヒドロキシル末端基の和を11eg/106gとしたこと以外は実施例1と同様にして弾性ポリエステルを製造した。得られたポリエステルは溶融状態で白化していた。またPBTの平均連鎖長は21.5と大きく、さらに225℃と、PCLに基づくと思われる59℃の2つの融点を示し、相分離していることを示した。
【0146】
(比較例II−3〜5)
使用する結晶性芳香族ポリエステルおよび脂肪族ポリエステルの種類を表8に示すように変えたこと以外は実施例II−1と同様にして弾性ポリエステルを得た。得られた弾性ポリエステルの平均連鎖長、ηsp/c、融点および溶融状態の外観をそれぞれ表8に示す。
【0147】
【表8】
Figure 0003674934
【0148】
(実施例II−12)
実施例II−3で得られた弾性ポリエステルを250℃で射出成形して機械的強度測定用ダンベルを試作し、表面硬度および機械的物性を測定した。成形中異臭はなかった。評価結果を表9に示す。
【0149】
(実施例II−13およびII−14)
実施例II−13およびII−14は、実施例II−2およびII−9の弾性ポリエステルを用いたこと以外は実施例II−12と同様にして成形評価を行った。評価結果を表9に示す。
【0150】
(比較例II−6およびII−7)
比較例II−6およびII−7は、比較例II−1およびII−2の弾性ポリエステルを用いたこと以外は実施例II−12と同様にして成形評価を行った。評価結果を表9に示す。
【0151】
【表9】
Figure 0003674934
【0152】
【発明の効果】
本発明の弾性ポリエステルは、ハードセグメントおよびソフトセグメントの鎖長のバラツキが一定の範囲内に制御され、かつ分子量分布が狭いため、色調、耐熱性、耐候性およびゴム弾性、引張強度、伸度等の機械的性質に優れる。
【0153】
本発明の弾性ポリエステルの製造方法によれば、ハードセグメントおよびソフトセグメントの鎖長のバラツキが一定の範囲内に制御され、かつ分子量分布が狭い弾性ポリエステルが得られ得る。付加重合法の場合、原料となる芳香族ポリエステルの酸価と得られる弾性ポリエステルのηsp/cおよび融点とが相関関係にあるため弾性ポリエステルの物性を設計しやすく、かつ品質を一定に制御しやすい。さらに、重合終了後の溶融状態の芳香族ポリエステルをそのまま用いるため、重合ポリエステルを粉体化、チップ化する工程を省略できるので経済的に有利である。また溶融混合法の場合、原料の結晶性芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルの末端ヒドロキシル基の量を所定範囲に制御することによって、相容性とブロック性のバランスのとれた弾性ポリエステルを得ることができる
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例I−1〜I−8および比較例I−1〜I−3におけるポリブチレンテレフタレートの酸価と弾性ポリエステルの融点Tmとの関係を示す図である。
【図2】実施例I−1〜I−8および比較例I−1〜I−3におけるポリブチレンテレフタレートの酸価と弾性ポリエステルにおけるポリブチレンテレフタレート構造単位の平均連鎖長との関係を示す図である。
【図3】実施例I−2および比較例I−1における弾性ポリエステルのゲルパーミエーションクロマトグラムを示す図である。

Claims (7)

  1. ハードセグメントとして結晶性芳香族ポリエステル構造単位およびソフトセグメントとして脂肪族ポリエステル構造単位を有する弾性ポリエステルであって、
    該結晶性芳香族ポリエステル構造単位の核磁気共鳴法(NMR法)を用いて算出した平均連鎖長が1.5〜20の範囲でありかつ分散が1.5以内の数である、弾性ポリエステル。
  2. 前記結晶性芳香族ポリエステル構造単位が下式(1)で表され、前記脂肪族ポリエステル構造単位が下式(2)および/または(3)で表される、請求項1に記載の弾性ポリエステル:
    Figure 0003674934
    ここで、該結晶性芳香族ポリエステル構造単位中の90〜100%のAはp-フェニレン基または2,6-ナフチレン基であり、残余はm-フェニレン基または1,4-シクロヘキシレン基であり;該結晶性芳香族ポリエステル構造単位中の90〜100%のBはC2〜C6のアルキレン基であり、残余は1,4-シクロヘキシレン基または1,4-シクロヘキサンジメチレン基であり;DはC2〜C10のアルキレン基であり;RはC4〜C12のアルキレン基であり;GはC2〜C12のアルキレン基であり;nは該結晶性芳香族ポリエステル構造単位(1)の平均連鎖長を表し、oおよびpは各々、該脂肪族ポリエステル構造単位(2)および(3)の平均連鎖長を表し;そして該弾性ポリエステルの還元比粘度(ηsp/c)は0.8〜2.2である。
  3. 弾性ポリエステルの全重量の98〜20重量%が前記結晶性芳香族ポリエステル構造単位であり、弾性ポリエステルの全重量の2〜80重量%が前記脂肪族ポリエステル構造単位である、請求項1または2に記載の弾性ポリエステル。
  4. 前記結晶性芳香族ポリエステルがポリブチレンテレフタレートまたはポリブチレンナフタレートである、請求項1、2または3に記載の弾性ポリエステル。
  5. 請求項1に記載の弾性ポリエステルの製造方法であって、以下の工程:
    芳香族ジカルボン酸およびジオールを含む混合物を反応容器に準備する工程;
    該混合物を反応させて結晶性芳香族ポリエステルを形成する工程であって、該結晶性芳香族ポリエステルの酸価が100eq/106g以下であり還元比粘度(ηsp/c)が0.8以上である工程;および
    重合終了後の溶融状態の該結晶性芳香族ポリエステルと環状エステルモノマーとを混合して弾性ポリエステルを形成する工程;を包含する、製造方法。
  6. 前記すべての工程が同一の反応容器内で連続的に行われる、請求項に記載の方法。
  7. 請求項1に記載の弾性ポリエステルの製造方法であって、
    結晶性芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルを溶融混合して重縮合する工程を包含し、ここで該結晶性芳香族ポリエステルのヒドロキシル末端基と該脂肪族ポリエステルのヒドロキシル末端基の総和[OHv]が
    30 eq/106g<[OHv]≦180 eq/106g
    の範囲にある、製造方法。
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