JPH10176256A - スチールハウス部材用めっき鋼板 - Google Patents

スチールハウス部材用めっき鋼板

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JPH10176256A
JPH10176256A JP27874797A JP27874797A JPH10176256A JP H10176256 A JPH10176256 A JP H10176256A JP 27874797 A JP27874797 A JP 27874797A JP 27874797 A JP27874797 A JP 27874797A JP H10176256 A JPH10176256 A JP H10176256A
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plated steel
hot
dip
amount
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JP27874797A
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English (en)
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Sakae Fujita
栄 藤田
Isamu Kage
勇 鹿毛
Toshihiko Oi
利彦 大居
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐塩化物腐食性に優れたスチールハウス用鋼
製部材を選定する。 【解決手段】 海塩付着量が7.0×10-4g/m2
下の環境下で耐塩化物腐食性に優れた亜鉛系めっき鋼
板。上記亜鉛系めっき鋼板として、溶融亜鉛めっき鋼
板、上層としてクロメート処理皮膜が形成されている溶
融亜鉛めっき鋼板、Alの含有率が2〜8wt.%の溶融Z
n−Al合金めっき鋼板、上層としてクロメート処理皮
膜が形成されているAlの含有率が2〜8wt.%の溶融Z
n−Al合金めっき鋼板、Alの含有率が20〜90w
t.%の溶融Zn−Al合金めっき鋼板、および上層とし
てクロメート処理皮膜が形成されているAlの含有率が
20〜90wt.%の溶融Zn−Al合金めっき鋼板が適す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、スチールハウス
の部材として用いられる鋼材の内、耐塩化物腐食性に優
れためっき鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ツーバイフォー工法に準じた工法により
建設されるスチールハウスが、米国において急速に普及
しており、我国においても普及する兆しが見えつつあ
る。スチールハウス工法の特徴は、表面処理薄鋼板製の
フレームを壁体内等においてネジ接合することにより組
み立てる点にある。このため、従来の軽量鉄骨住宅のよ
うに鋼材を溶接またはボルトにより接合する方法と比較
すると、施工現場における材料の切断性および接合性に
おいて優れている。
【0003】スチールハウスに使用される表面処理鋼板
は一般に亜鉛系めっき鋼板であり、住宅環境における耐
食性に優れていることが要求される。ところが従来、亜
鉛系めっき鋼板に関し、屋外における耐食性に関しては
多くのデータが公表されているが、住宅環境における耐
食性に関するデータの内、スチールハウスに使用された
りスチールハウスの工法に着眼してなされた試験等のデ
ータは全く見当らないのが現状である。
【0004】一方、最近、大気腐食による環境腐食性を
in−situに計測することができるACM(Atm
ospheric Corrosion Monito
r)型腐食センサが東京大学辻川茂男教授らにより開発
され、各種大気腐食における環境腐食性評価法として活
用されている。そして、軽量鉄骨住宅については上記セ
ンサを用いた腐食評価が行なわれはじめている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、亜鉛
系めっき鋼板をスチールハウスのフレーム等部材として
使用することを目的とした環境腐食性についての知見が
見当たらないので、スチールハウスの耐久性を評価する
ことができない。従って、耐塩化物腐食性に優れたスチ
ールハウスの建築用材料にいかなる特性値を有するめっ
き鋼板を用いるべきかが不明である。
【0006】従って、この発明の目的は、スチールハウ
スの環境腐食性に関する定量的知見を得ることにより上
述した問題を解決し、耐久性に優れたスチールハウスの
建築用途に適した、耐塩化物腐食性に優れためっき鋼板
を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述した
観点からスチールハウス用部材として耐塩化物腐食性に
優れためっき鋼板を開発すべく鋭意研究を重ねた。
【0008】スチールハウス用部材の耐久性を評価する
ための代表的特性として耐塩化物腐食性を設定した。ま
た、本発明者等は所定の臨海地に所定の亜鉛系めっき鋼
板製の所定形状・寸法のフレームをネジ接合してフレー
ムを組み立て、次いで、常法のツーバイフォー工法に準
じた工法により、延べ床面積207.9m2 の2階建て
スチールハウスを実験用に建築した。そして、スチール
ハウスの各種部位の環境腐食性を上記ACM型腐食セン
サで所定時期に所定期間連続測定した。また、同時に並
行して温度および湿度を測定した。
【0009】使用したフレーム素材のめっき鋼板は溶融
亜鉛めっき鋼板であり、JIS G3302で規定され
たものの内の構造用溶融亜鉛めっき鋼板であり、めっき
付着量は両面等厚めっき材であって付着量表示記号:Z
18を満たすものである。フレームサイズは使用部位に
より若干異なるが、フレーム厚さは0.8〜1.4mm
の範囲内の所定値である。
【0010】ACM型腐食センサとしてFe−Ag対を
有するものを用いた。センサの本体表面に付着した塩化
物(海塩)および水分によりFe−Ag両極間に発生し
た起電力に伴なう電流を検出した。所定期間のセンサ出
力電気量の1日当たりの検出電気量(以下、「日平均電
気量」という)(C/day)により環境腐食性を評価
した。
【0011】ACM型腐食センサの設置部位は、東壁
外、西壁外、東壁内、西壁内、ガレージ、床下、軒下お
よび屋根裏である。測定開始時におけるセンサ表面の海
塩付着状態は2通りの場合があり、第1は予め所定量を
付着させた(「初期付着あり」)後に設置した場合、第
2は全く付着させず(「初期付着なし」)に設置した場
合である。初期海塩の付着方法は、ASTM D114
1−90の方法に従った。温湿度計の設置位置はACM
型腐食センサの設置部位に準じた位置であり、湿度は相
対湿度(%RH)である。
【0012】本測定結果によれば、ACMセンサ出力の
検出電流に及ぼす要因は、海塩付着量、湿度および温度
があり、中でも日平均電気量と海塩付着量との間には良
い相関があることがわかった。
【0013】表1に、試験実施年の夏季1月間における
日平均電気量(C/day)をスチールハウスの部位別
に示す。日平均電気量は、壁の外側で各段に大きく、次
いで軒下、ガレージおよび床下では減少し、そして、壁
の内側では更に小さくなり、日平均電気量:8.6×1
-6C/dayになっている。ガレージおよび床下では
初期Cl- 付着量:10-3および10-4g/m2 の場合
についての試験結果を示した。なお、2〜8月期間の壁
の内側での測定結果によればこの期間中の検出電流は殆
んど出力されなかった。日平均電気量が小さいほど環境
腐食性が小さいので、この結果よりスチールハウスの部
位別の環境腐食性を把握することができる。特に、壁内
部の環境腐食性は他部位に比べて極めて小さいことがわ
かる。
【0014】
【表1】
【0015】次に、センサ表面に付着した海塩量付着量
を、辻川茂男らの方法(「腐食防食’96、(199
6)C−207工業化住宅における部位毎の環境腐食性
評価,p293」により算出し、表1に併記した。
【0016】更に、溶融亜鉛めっき鋼板の試験片をAC
M型腐食センサにセットして壁の外および床下に取り付
け、当該大気腐食下にて1年間の暴露試験を行ない、こ
の間の検出電流を測定してACMセンサ出力の日平均電
気量を求めると共に、試験片の表面に発生した錆を化学
的に除去してZnの腐食減量を測定し、Zn腐食速度
(g/m2 /year)を求めた。このようにして得ら
れた壁の外および床下における日平均電気量とこれに対
するZn腐食速度とを表1に併記した。Zn腐食速度:
1.0g/m2 /yearおよび11.0g/m2 /y
earはそれぞれ日平均電気量:1.1×10-4C/d
ayおよび5.2×10-2C/dayに相当する。
【0017】表1からわかるように、日平均電気量を小
さくするためには海塩付着量を少なくしなければならな
い。従って、環境腐食性を抑制するためには海塩付着量
を少なくすることが必要である。海塩付着量を少なくす
ればZn腐食速度は小さくなり、亜鉛めっき層の耐久性
が向上することが推論される。
【0018】そこで、溶融亜鉛めっき鋼板に優れた耐塩
化物腐食性を発揮させるために制限すべき海塩付着量を
求める。溶融亜鉛めっきの耐塩化物腐食性は、その腐食
速度が1.0g/m2 /year以下であれば優れたも
のであると考えることができる。同表でZn腐食速度:
1.0g/m2 /year以下に抑制することが必要と
なるので、これを満たすための海塩付着量を求める。
【0019】表1に記載された日平均電気量と海塩付着
量とのデータに対する回帰線を求め、次いで日平均電気
量:1.1×10-4C/day(即ち、Zn腐食速度:
1.0g/m2 /year)に対する海塩付着量を求め
ると7.0×10-4g/m2が得られる。以上より、耐
塩化物腐食性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板としては、海
塩付着量が7.0×10-4g/m2 以下であるような大
気腐食雰囲気の環境下で使用されることを前提条件とす
べきであることがわかる。
【0020】なお、本発明者等は種々の実験から、海塩
付着量はスチールハウスの部位の相違にかかわらず6箇
月間で飽和することを確認した。本発明品の溶融亜鉛め
っき鋼板を上記大気腐食雰囲気の環境下で使用した場合
の耐用年数を検討する。溶融亜鉛めっき鋼板として、J
IS G3302の内、例えば、めっき付着量表示記号
がZ27に該当するものを使用する場合を考える。当該
JISによれば、Z27は両面等厚めっき材であって片
面当たりのめっき付着量の最小値は、一点法で測定した
場合、234g/m2 の約40%以上、即ち93.6g
/m2 以上と規定されている。一方、実際に製造される
Z27の片面当たりのめっき付着量の最小値は、本発明
者等の経験によれば、100g/m 2 以下になることは
稀である。そこで、両面にそれぞれ100g/m2 のZ
n付着量を有するような溶融亜鉛めっき鋼板を想定し
た。
【0021】ここで、溶融亜鉛めっき鋼板Z27の耐久
性をめっき層の90%、即ち100g/m2 ×0.90
=90g/m2 が消失したときと定義する。一方、前述
したように、溶融亜鉛めっき鋼板においては、Zn腐食
速度は1.0g/m2 /yearであるから、Z27の
耐用年数は、(90g/m2 )/1.0g/m2 /ye
ar=90yearと算出される。このように、溶融亜
鉛めっき鋼板Z27は、海塩付着量が7.0×10-4
/m2 以下の腐食環境下においては、90年の耐用年数
を有するような優れた用途材料となる。
【0022】なお、耐用年数がこれよりも短くても差し
支えない場合には、海塩付着量が7.0×10-4g/m
2 よりも多い腐食環境下でもZ27は使用でき、その耐
用年数に応じて上記値よりも増大した海塩付着量の環境
下で使用することができる。
【0023】以上の結果より、この発明ではスチールハ
ウス用部材として優れた亜鉛系めっき鋼板であるために
は、海塩付着量が7.0×10-4g/m2 以下の環境下
において優れた環境腐食性を有することが望ましいとの
結論を得た。
【0024】亜鉛系めっき鋼板のなかでは、溶融亜鉛め
っき鋼板がコスト的に有利である。これに対して、亜鉛
系めっき層の表面にクロメート処理皮膜が形成れたもの
は、クロメート処理皮膜のないものと比較して耐塩化物
腐食性が約10%だけ向上する。更に、めっき層を溶融
亜鉛めっきの代わりに Alの含有率が2〜8wt.%の範
囲内にある溶融Zn−Al合金めっき(以下、「Zn−
5%Alめっき」という)にすれば、溶融亜鉛めっきの
約3倍の耐塩化物腐食性を発揮し、Alの含有率が20
〜90wt.%の範囲内にある溶融Zn−Al合金めっき
(以下、「Zn−55%Alめっき」という)にすれ
ば、溶融亜鉛めっきの約10倍の耐塩化物腐食性を発揮
する。このように亜鉛系めっき層の種類を選定し、更
に、クロメート処理皮膜を形成させることにより耐塩化
物耐食性は一層向上し、上記部材として一層望ましいも
のとなる。
【0025】この発明のスチールハウス部材用めっき鋼
板は上記知見によりなされたものである。請求項1記載
の発明は、亜鉛系めっき鋼板であって、海塩付着量が
7.0×10-4g/m2 以下の環境下で耐塩化物腐食性
に優れていることに特徴を有するものである。
【0026】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において亜鉛系めっき鋼板が、溶融亜鉛めっき鋼板で
あることに特徴を有するものであり、請求項3記載の発
明はその溶融亜鉛めっき層の両表面に更に上層としてク
ロメート処理皮膜が形成されていることに特徴を有する
ものである。
【0027】請求項4記載の発明は、請求項1記載の発
明において亜鉛系めっき鋼板が、Alの含有率が2〜8
wt.%の範囲内にある溶融Zn−Al合金めっき鋼板
(「Zn−5%Alめっき鋼板」という)であることに
特徴を有するものであり、請求項5記載の発明はAlの
含有率が2〜8wt.%の範囲内にある溶融Zn−Al合金
めっき鋼板(Zn−5%Alめっき鋼板)の両表面に、
更に上層としてクロメート処理皮膜が形成されているこ
とに特徴を有するものである。
【0028】請求項6記載の発明は、請求項1記載の発
明において亜鉛系めっき鋼板が、Alの含有率が20〜
90wt.%の範囲内にある溶融Zn−Al合金めっき鋼板
(「Zn−55%Alめっき鋼板」という)であること
に特徴を有するものであり、請求項7記載の発明はAl
の含有率が20〜90wt.%の範囲内にある溶融Zn−A
l合金めっき鋼板(Zn−55%Alめっき鋼板)の両
表面に、更に上層としてクロメート処理皮膜が形成され
ていることに特徴を有するものである。
【0029】
【発明の実施の形態】この発明のスチールハウス部材用
めっき鋼板は、スチールハウスのフレーム、即ち、スタ
ッド、トラックおよびジョイスト等に、あるいは、ブレ
ース乃至構造用合板の代替材料として使用することが可
能なものであることを要する。フレーム用の場合には当
該めっき鋼板はC型溝鋼やU型溝鋼に成形加工される。
従って、直角曲げ加工に十分に耐えることができること
を要する。かかる観点から、例えば、JIS G330
2に規定された溶融亜鉛めっき鋼板および鋼帯、JIS
G3317に規定された溶融亜鉛−5%アルミニウム合
金めっき鋼板および鋼帯(但し、めっき合金中のAl含
有率:2〜8wt.%)、および、市販の溶融亜鉛−55%
アルミニウム合金めっき鋼板および鋼帯(但し、めっき
合金中のAl含有率:20〜90wt.%)、およびこれら
と同等以上の加工特性および耐食特性を有するものでな
ければならない。かかるめっき鋼板はいずれも、従来の
常法により製造されたものであればよく、特に製造方法
を限定する必要はない。
【0030】本発明品は、海塩付着量が7.0×10-4
g/m2 以下の環境下で耐塩化物腐食性に優れているこ
とを特徴とするものである。前述した表1によれば、溶
融亜鉛めっき鋼板の場合には、海塩付着量が7.0×1
-4g/m2 のときには、Zn腐食速度は1.0g/m
2 /yearである。ここで、海塩付着量が7.0×1
-4g/m2 の部位はほぼ床下やガレージに相当する。
従って、使用部位および耐用年数を設定すれば、耐用年
数の所定の定義に従って片面当たりの最小めっき付着量
が算出される。例えば、JIS G3302溶融亜鉛め
っき鋼板のZ27を使用し、めっきの耐用年数を初期め
っき付着量の90%が消失されたときとすれば、Z27
の片面めっき付着量を約125g/m2 とし、耐用年数
は約100年と算定される。このように、溶融亜鉛めっ
き鋼板を使用する場合には、スチールハウスにおける使
用部位および耐用年数の定義に応じて、必要とするめっ
き付着量が求められる。これに対して、上述したよう
に、Zn−5%Alめっき鋼板の耐塩化物腐食性は溶融
亜鉛めっき鋼板の約3倍、Zn−55%Alめっき鋼板
の耐塩化物腐食性は溶融亜鉛めっき鋼板の約10倍であ
り、また、上層としてクロメート処理皮膜が形成されて
いる場合には、これにより更に耐塩化物腐食性は溶融亜
鉛めっきの約10%だけ付加されて向上する。従って、
これらのめっき鋼板はいずれも、溶融亜鉛めっき鋼板と
同等のめっき付着量を有すれば、溶融亜鉛めっき鋼板の
耐塩化物腐食性よりも格段に向上する。
【0031】上記Zn−5%Alめっき鋼板で、そのめ
っき層中のAl含有率が2〜8wt.%の範囲内にあれば、
そのめっき層はAlとZnとの共晶組織が安定して晶出
し耐食性に優れている。しかしながら、めっき層中のA
l含有率が2wt.%未満、あるいは8wt.%超えでは、共晶
組織が不安定となり、耐食性が劣化する。従って、Zn
−5%Alめっき鋼板のめっき層中のAl含有率は2〜
8wt.%の範囲内に限定する。
【0032】また、上記Zn−55%Alめっき鋼板
で、そのめっき層中のAl含有率が20〜90wt.%の範
囲内にあれば、そのめっき層は初晶のα相がデンドライ
ト状に晶出し、次いでデンドライト樹枝間にβ相が分散
して晶出する組織が得られるので、耐食性に優れたもの
となる。しかしながら、めっき層中のAl含有率が20
wt.%未満では、デンドライト組織が不安定となるので耐
食性が劣化し、一方、めっき層中のAl含有率が90w
t.%を超えると、犠牲防食効果が少なくなる。従って、
Zn−55%Alめっき鋼板のめっき層中のAl含有率
は20〜90wt.%の範囲内に限定する。
【0033】次に、本発明めっき鋼板の板厚について
は、スチールハウス用部材の使用部位に応じて、常法の
算定方式に従い定めることができる。また、スチールハ
ウスの組み立て施工時の切断性およびネジ接合性を確保
する観点から、1.5mm以下であることが望ましく、
一方、耐荷重確保の観点から0.5mm以上であること
が望ましい。
【0034】
【実施例】次に、この発明を、実施例によって更に詳細
に説明する。 〔試験1〕JIS G3302で規定され、めっき付着
量が「両面付着量表示記号」:Z27で所定の板厚を有
する構造用溶融亜鉛めっき鋼板を常法により製造した。
次いで、上記溶融亜鉛めっき鋼板から所定形状のスチー
ルフレームを製作した。スチールフレームの使用部位
は、床下フレーム、床フレーム、外壁フレーム、屋根フ
レームおよび屋内仕切り壁フレームの各個所である。フ
レームをネジ接合により組み立てた後、壁、床、天井お
よび屋根等の面部分を所定の材料で施工し建屋面積20
7.9m2 、試験目的の2階建て居住用スチールハウス
を南方が海岸方向に当たる所定の臨海地区に建築した。
図1に概略間取図を示す。
【0035】上記スチールハウスにおいて、表2に示す
部位に溶融亜鉛めっき鋼板の試験片をセットし、暴露試
験を行なった。また、各対応にACM型腐食センサおよ
び温湿度計をセットした。各試験片のめっき付着量、A
CM型腐食センサの取付位置、および、暴露試験による
腐食速度を表2に示した。
【0036】
【表2】
【0037】ACM型腐食センサの取付方法は、センサ
表面の向きを、実施例1〜5では1階床下フレームの屋
内側で鉛直方向に向け、実施例6ではガレージ室内側で
水平上向きにセンサ表面を向け、実施例7では1階居住
室外壁の壁内空間で鉛直方向に向け、比較例1および2
では1階外壁屋外に曝して鉛直方向に向け、そして、比
較例3では2階軒下屋外に曝して鉛直方向に向けてセッ
トした。測定開始時におけるセンサ表面の状態は、塩化
物(海塩)を予め所定量付着させた「初期付着あり」
と、「初期付着なし」の2通りである。初期海塩を塗布
する方法は、ASTM D1141−90の方法に従っ
た。ACM型腐食センサとして、市販のFe−Ag型
(北斗電工製)を用いた。本センサの電流検出範囲は、
10-10 〜10-3Aである。計測された電流値はデータ
ロガーを介してメモリカードに保存した。測定間隔は1
0minであり2〜8月の間、連続的に測定した。メモ
リカードに蓄積されたデータは定期的にコンピューター
により変換した。
【0038】なお、温湿度計はACM型腐食センサの近
接位置にをセットし、温度および湿度(但し、相対湿
度)を計測した。上記測定で得られた検出電流および相
対湿度から、辻川茂雄らの研究報告にみられる「種々の
海塩付着量を与えたセンサの出力と湿度(相対湿度)セ
ンサ出力との関係」(「防錆管理」vol.40,N
o.10,1996,p329,図2)に示された校正
曲線を用いて1年経過後の海塩付着量を求めた。表2
に、初期および1年経過後の海塩付着量(g/m2 )を
記載した。
【0039】上述したように、臨海地に建築されたスチ
ールハウスの各部位の環境腐食性をACM型腐食センサ
でモニターした測定結果、並びに、同等位置における相
対湿度の測定結果に基づき、飛来した海塩付着量を推定
すると共に、亜鉛箔の暴露試験結果より溶融亜鉛めっき
の腐食速度を評価した。その結果、下記事項が明らかと
なった。
【0040】海塩付着量が本発明の範囲外に多かった比
較例1〜3ではいずれも、腐食速度が1.0g/m2
year以上であった。これに対して、海塩付着量が本
発明の範囲内にあった実施例1〜7はすべて、腐食速度
が1.0g/m2 /year未満であり、耐塩化物腐食
性に優れている。
【0041】〔試験2〕めっき鋼板の試験対象材とし
て、上記溶融亜鉛めっき鋼板の他に、Alの含有率が5
wt.%のZn−Alめっき鋼板、及び、Alの含有率が5
5wt.%のZn−Alめっき鋼板についても、常法により
製造したものについて、上記試験1で使用したのと同じ
居住用スチールハウスの床下フレームに使用して、上記
溶融亜鉛めっき鋼板に準じた試験を行なった。
【0042】表3及び表4のそれぞれに、5wt.%Alの
Zn−Alめっき鋼板についての実施例6〜8、及び、
55wt.%AlのZn−Alめっき鋼板についての実施例
9〜11の試験条件及び結果を示す。」
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】実施例6〜8においては、腐食速度が0.
22〜0.23g/m2 /yearであり、そして実施
例9〜11においては、腐食速度が0.08〜0.10
g/m2 /yearであり、耐塩化物腐食性に優れてい
る。
【0046】なお、上層にクロメート処理皮膜を有する
溶融亜鉛めっき鋼板、Zn−5%Alめっき鋼板、及び
Zn−55%Alめっき鋼板はいずれも、クロメート処
理皮膜のないものよりも耐塩化物腐食性に優れているこ
とが判明している。従って、上層にクロメート処理皮膜
を有する溶融亜鉛めっき鋼板、Zn−5%Alめっき鋼
板、及びZn−55%Alめっき鋼板はいずれも、海塩
付着量が本発明の範囲内の条件において優れた耐塩化物
腐食性を発揮することがわかる。
【0047】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
スチールハウスの耐久性を向上させるために必要なフレ
ーム等部材の耐塩化物腐食性を、大幅に向上させること
ができるめっき鋼板を提供することができ、工業上有用
な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明品を部材として用いたスチールハウスの
概略間取図である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亜鉛系めっき鋼板であって、海塩付着量
    が7.0×10-4g/m2 以下の環境下で耐塩化物腐食
    性に優れていることを特徴とするスチールハウス部材用
    めっき鋼板。
  2. 【請求項2】 前記亜鉛系めっき鋼板は、溶融亜鉛めっ
    き鋼板である、請求項1記載のスチールハウス部材用め
    っき鋼板。
  3. 【請求項3】 前記溶融亜鉛めっき鋼板の両表面に、更
    に上層としてクロメート処理皮膜が形成されている、請
    求項2記載のスチールハウス部材用めっき鋼板。
  4. 【請求項4】 前記亜鉛系めっき鋼板は、Alの含有率
    が2〜8wt.%の範囲内にある溶融Zn−Al合金めっき
    鋼板である、請求項1記載のスチールハウス部材用めっ
    き鋼板。
  5. 【請求項5】 Alの含有率が2〜8wt.%の範囲内にあ
    る前記溶融Zn−Al合金めっき鋼板の両表面に、更に
    上層としてクロメート処理皮膜が形成されている、請求
    項4記載のスチールハウス部材用めっき鋼板。
  6. 【請求項6】 前記亜鉛系めっき鋼板は、Alの含有率
    が20〜90wt.%の範囲内にある溶融Zn−Al合金め
    っき鋼板である、請求項1記載のスチールハウス部材用
    めっき鋼板。
  7. 【請求項7】 Alの含有率が20〜90wt.%の範囲内
    にある前記溶融Zn−Al合金めっき鋼板の両表面に、
    更に上層としてクロメート処理皮膜が形成されている、
    請求項6記載のスチールハウス部材用めっき鋼板。
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