JP2001199004A - 抗菌、防カビ性に優れた塗装金属板 - Google Patents

抗菌、防カビ性に優れた塗装金属板

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JP2001199004A
JP2001199004A JP2000013630A JP2000013630A JP2001199004A JP 2001199004 A JP2001199004 A JP 2001199004A JP 2000013630 A JP2000013630 A JP 2000013630A JP 2000013630 A JP2000013630 A JP 2000013630A JP 2001199004 A JP2001199004 A JP 2001199004A
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Hirokazu Yano
矢野  宏和
Yoshikatsu Udagawa
佳克 宇田川
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Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】塗膜性能を損なうことなく抗菌、防カビ性を付
与できる塗装金属板を提供する。 【解決手段】抗菌、防カビ剤を担体に担持させて、添加
した熱硬化型塗料を最表層に塗装、焼付けすることによ
り抗菌、防カビ性塗膜を形成した塗装金属板であって、
担体を(メタ)アクリル酸エステルと酸性基含有単量体
との共重合体にして、酸性基含有単量体成分に銀、錫、
銅、亜鉛の1種または2種以上をイオン結合で担持させ
た抗菌、防カビ剤と、有機窒素・硫黄系抗菌、防カビ剤
を複合添加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カビや雑菌の発生
し易い用途に好適な抗菌、防カビ性に優れた塗装金属板
に関する。
【0002】
【従来の技術】浴室、厨房などのような湿気の多い場所
の内装材や電気洗濯機のような水を取扱う機器の外板に
塗装金属板を使用すると、カビや雑菌が発生し易いこと
は知られている。近年、建物の気密化に伴い、屋内の換
気不良から病院や食品工場の内装材や機器に塗装金属板
を使用してもカビや雑菌が発生する。そこで、このよう
な用途に使用する塗装金属板には、抗菌、防カビ剤を塗
膜に添加したものを使用している。
【0003】抗菌、防カビ剤としては、銀、錫、銅、亜
鉛のような重金属を多孔性のゼオライト粒子やガラス粒
子等の担体に1種または種以上担持させたものや、ハロ
ゲン系、チアゾール系などの有機系のものを使用してい
た。一般に、抗菌、防カビ剤を塗料に添加し、その塗装
により塗膜に抗菌、防カビ性を付与するには、抗菌、防
カビ剤が塗膜表面から露出していなければならない。従
来から使用されている熱硬化型塗料の比重が1.0〜
1.6であるのに対し、重金属を担持させた抗菌、防カ
ビ剤は比重が2.1以上と塗料より大きいため、金属板
に塗装した場合、塗膜が焼付け硬化されるまでのウエッ
ト状態の間にかなり沈降してしまい、塗膜表面から十分
露出させることは困難であった。また、製造可能な担体
粒子の粒径が2〜5μmと比較的大きいものであるた
め、単位重量当りの担体に担持させることのできる抗
菌、防カビ剤の量を多くできなかった。
【0004】この対策として比重、粒径の小さい材質の
担体を使用すればよいのであるが、従来、適当な材質の
ものがなく、抗菌、防カビ剤が塗膜表面から多量に露出
させるには、担体として、塗膜厚に比較して粒径の大き
いものを用い、塗装中に沈降しても塗膜表面から露出す
る割合が多くなるようにしたり、添加量を増やしてい
た。しかし、このような塗料を塗装した場合、担体によ
り塗膜表面に大きな凹凸が形成され、しかも、塗膜中の
担体量も多いので、塗膜の光沢や加工性が低下し、光沢
や加工性を必要とする建物の内装材や機器の外板に使用
できなかった。また、重金属を担持させた抗菌、防カビ
剤は、細菌に対しては効果があるものの、カビ発生の原
因である真菌に対しては、有機系抗菌、防カビ剤ほどの
効果は得られない。
【0005】一方、有機系の抗菌、防カビ剤は、塗膜表
面にブリードする性質があるため、必ずしも塗膜表面に
露出させる必要がなく、少量の添加でも光沢をはじめと
する塗膜性能に与える影響は少ない。しかし、重金属を
担持させた抗菌、防カビ剤に比べて、細菌に対する有効
性が低いものが多い。効果を上げるには添加量を多くす
ればよいが、やはり塗膜の光沢や加工性を低下させる。
したがって、抗菌、防カビ剤のなかで、重金属を担持さ
せたもの、有機系のもの、ともに単体での使用では、抗
菌、防カビ、塗膜性能をバランスよく発揮できなかっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、光沢や加工
性等の塗膜性能を低下させることなく、優れた抗菌、防
カビ性を発揮する塗装金属板を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、抗菌、防カビ
剤を担体に担持させて、添加した熱硬化型塗料を最表層
に塗装、焼付けすることにより抗菌、防カビ性塗膜を形
成した塗装金属板であって、担体を(メタ)アクリル酸
エステルと酸性基含有単量体との共重合体にして、酸性
基含有単量体成分に銀、錫、銅、亜鉛の1種または2種
以上をイオン結合で担持させた抗菌、防カビ剤と、有機
窒素・硫黄系抗菌、防カビ剤を複合添加した。
【0008】
【発明の実施の形態】抗菌、防カビ剤の担体を(メタ)
アクリル酸エステルと酸性基含有単量体との共重合体に
すると、共重合している酸性基含有単量体成分がイオン
交換性を有するので、硝酸銀、塩化錫、硫酸銅、塩化亜
鉛等の金属イオン溶液で処理すると、イオン交換により
重金属イオンが酸性基含有単量体成分の表面にイオン結
合し、0.1〜5.0%程度担持させることができ、担
持金属はイオンとなって溶出し、抗菌、防カビ性を発揮
する。この担体は溶剤に可溶な樹脂であるため、塗料中
に溶解し、塗料樹脂と一体化し、均質な塗膜を形成す
る。このため、塗膜の加工性、光沢および平滑性を低下
させることなく抗菌、防カビ性を付与できる。さらに、
抗菌、防カビ剤を担持した担体は比重が熱硬化型塗料の
比重に近似しているので、塗膜がウエット状態でも沈降
速度は遅く、焼付け硬化後の塗膜の抗菌、防カビ剤の露
出割合高くなる。
【0009】有機窒素・硫黄系抗菌、防カビ剤は、その
構造にNとSの両方を含むもので、例えば、2−チアゾ
リル−4−ベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾ
イミダゾール等のイミダゾール系、2−n−オクチル−
4−イソチアゾリン−3−オンのようなチアゾリン系、
あるいは、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジンクオ
マジン等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を混
合してもよい。
【0010】重金属イオン系の抗菌、防カビ剤と有機窒
素・硫黄系の抗菌、防カビ剤を複合添加することで、塗
膜性能に影響を及ぼすことなく、重金属イオン系では主
に抗菌性を発揮させ、有機窒素・硫黄系では主に防カビ
性を発揮させることができ、バランスのよい塗装金属板
を得ることができる。これらの抗菌、防カビ剤を複合添
加しても相性がよく、カビや酵母、白癬菌等の真菌、大
腸菌等のグラム陰性細菌、黄色ブドウ球菌等のグラム陽
性細菌、枯草菌、ボツリヌス菌等の芽胞形成の細菌に有
効である。これは、重金属イオンが細菌の外部を覆って
いる細胞膜で作用し、有機窒素・硫黄系が細胞の内部ま
で侵入して作用することで、菌の発生や増殖を阻止する
ためと推定される。
【0011】共重合体成分として、(メタ)アクリル酸
エステルを使用するのは、このエステルを主骨格とする
共重合体は耐候性や耐汚染性に優れ、可撓性を有するこ
とから、プレコート塗膜に添加しても塗膜性能や外観を
低下させることがないからである。また、(メタ)アク
リル酸エステルは種々の酸性基含有単量体との反応性等
に優れているので、目標とする共重合体を得やすい。さ
らにシクロヘキサノン、キシレン等のプレコート用塗料
に使用される有機溶剤に可溶であり、塗料との一体化が
図れる。(メタ)アクリル酸エステル成分は特に制約は
ないが、好ましくはポリメタクリル酸アルキル、より好
ましくはポリメタクリル酸メチルが望ましい。(メタ)
アクリル酸エステルには必要に応じて他の単量体、例え
ば、ビニルエステル類、ハロゲン化ビニルもしくはビニ
リデン類、アクリルアミド類、スチレン類を共重合させ
ることも可能である。
【0012】(メタ)アクリル酸エステルと共重合させ
る酸性基含有単量体成分としては、(メタ)アクリル酸
エステルと共重合可能で、イオン交換性を有するもので
あれば、特に限定されないが、一例を挙げれば、スチレ
ンスルホン酸ソーダ、メタアクリルスルホン酸ソーダ、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ソ
ーダ等のようなスルホン酸基含有単量体、(メタ)アク
リル酸、マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体があ
る。(メタ)アクリル酸エステル成分と酸性基含有単量
体成分との共重合割合は、特に制約はないが、(メタ)
アクリル酸エステル80重量%以上、酸性基含有単量体
成分0.5〜20重量%となるようにすると、塗料の焼
付け硬化時に熱分解されず、また、塗膜の耐候性、耐薬
品性、耐食性などの塗膜性能を低下させない。
【0013】共重合体は両者を乳化重合法等の通常の重
合法で共重合させれば得られる。また、共重合体への抗
菌、防カビ剤の担持は共重合体をpH2〜4の硝酸銀、
硫酸銅や塩化亜鉛等の溶液に浸漬して、酸性基含有単量
体成分の陽イオンを抗菌、防カビ剤の金属イオンに置換
するイオン交換処理を行えばよい。共重合体からの金属
イオン溶出量を調整したい場合には、イオン交換処理後
ポリリン酸、ピロリン酸、シュウ酸のような重金属イオ
ンと難溶性化合物を形成する陰イオン解離性化合物で処
理すればよい。このように、(メタ)アクリル酸エステ
ルと酸性基含有単量体を共重合したものを担体とした方
が、ゼオライトやリン酸ジルコニウムのような無機粒子
を担体とするよりも、塗装後の効果が顕著であった。
【0014】複合添加する重金属イオン系及び有機窒素
・硫黄系抗菌、防カビ剤の塗料への添加量は、塗料固形
分100重量部当りの合計量が0.1〜50重量部にす
ることが好ましい。また、両者の添加比率は、重金属イ
オン系1に対して有機窒素・硫黄系1〜10が望まし
く、この比率以外でも抗菌、防カビ性を発揮することが
できる。抗菌、防カビ剤の添加量が0.1重量部未満で
は抗菌、防カビ性が不十分であり、50重量部を越える
と塗膜の光沢や加工性が低下する等の弊害が生じる。抗
菌、防カビ剤の添加は塗料に直接行ってもよく、あらか
じめ溶剤に溶解したものでもよい。
【0015】熱硬化型塗料の樹脂についても特に制限は
なく、ポリエステル系、ウレタン系、アクリル系等の公
知のものでよい。塗料はエナメル系でもクリヤー系でも
よく、必要に応じて硬化剤、非粘着剤、汚染防止剤等を
添加してもよい。塗膜は、抗菌、防カビ作用を発揮させ
るため、最表層になるようにする。この抗菌、防カビ性
塗膜の下側には化成処理皮膜や下塗りもしくは中塗り塗
膜を形成してもよい。金属板は冷延鋼板、めっき鋼板、
ステンレス鋼板、アルミニウム板等でよく、塗膜の形成
も公知方法でよい。
【0016】
【実施例】溶融亜鉛めっき鋼板(板厚0.6mm、片面
付着量60g/m2)に塗布型クロメート処理を施し、
クロメート皮膜(クロム付着量40mg/m2)を形成
した後、ポリエステル系樹脂の下塗り塗料を乾燥塗膜厚
で5μmになるように塗装焼付け乾燥し、その後抗菌、
防カビ剤の種類、添加が表1に示す高分子ポリエステル
系樹脂の上塗り塗料を乾燥塗膜厚で15μmになるよう
に塗装焼付け乾燥した。塗料に添加した重金属イオン系
抗菌、防カビ剤は、メタクリル酸メチルとスチレン酸ソ
ーダを重量比が98対2の割合で乳化重合して得られた
共重合体微粒子をpH3、濃度50m・mol/l、温
度98℃の硝酸銀、硫酸銅、塩化亜鉛の1種または2種
以上の溶液に30分浸漬して、イオン交換により、銀、
銅、亜鉛の金属を担持させたものを用いた。これをシク
ロヘキサノンに溶解して塗料に添加した。他の薬剤等は
市販のものを使用した。
【0017】
【表1】
【0018】以上のように製造した塗装鋼板に次の試験
を実施した。表1に試験結果をまとめて示す。 (1)抗菌性試験 グラム陰性菌である大腸菌(E.coli)、グラム陽
性菌である黄色ブドウ球菌(S.aureus)、芽胞
形成菌である枯草菌(B.subtilis)、真菌で
ある白癬菌(T.rubrum)を35℃の普通ブイヨ
ン培地で16〜20時間振とう培養し、その培養液を滅
菌リン酸緩衝液で20,000倍に希釈した後、その希
釈(菌)液を試験片表面に1ml滴下して、25℃で2
4時間(白癬菌は48時間)保存し、取り出した。この
とき、試験片表面に104〜106個の生菌が含まれるよ
うに濃度等を調整する。その後、SCDLP培地で試験
片から培養液を洗い出して、標準寒天培地を用いた混釈
平板培養法(35℃、2日間培養)により生菌数を測定
し、生菌が認められない(検出限界以下)ものを記号◎
で、初期の生菌数に対し95%以上減少したものを記号
○で、初期の生菌数に対し60〜95%未満減少したも
のを記号△で、初期の生菌数に対し60%未満減少した
ものを記号×で評価した。
【0019】(2)カビ抵抗性試験 JIS Z 2911(1992)の一般工業製品の試
験に準じて試験し、カビの発育が認められないものを評
価点3、カビの発育面積が試験片の1/3以下のものを
評価点2、カビの発育面積が試験片の1/3を越えるも
のを評価点1とした。ただし、カビの発育を促進させる
ため、試験片に滴下する胞子混合液に通常濃度の1/1
0になるようグルコースペプトン(GP)培地を添加し
た。
【0020】(3)加工性試験 試験片(製造品から切り出したままのもの、沸騰水中に
2時間浸漬して室温で乾燥させたものの2種類)に18
0度密着折り曲げ加工を施した後、加工部にセロハン粘
着テープを一旦貼付けて剥離するテーピング試験を行
い、塗膜剥離のないものを評価点5、塗膜剥離が加工部
の1〜20%に認められたものを評価点4、塗膜剥離が
加工部の21〜40%に認められたものを評価点3、塗
膜剥離が加工部の41〜60%に認められたものを評価
点2、塗膜剥離が加工部の61〜100%に認められた
ものを評価点1とした。 (4)光沢測定 JIS Z 8741の鏡面反射率測定装置を用いて、
入射角60度、反射角60度で鏡面反射率を測定した。
【0021】
【発明の効果】以上に説明したように、抗菌、防カビ剤
を担体に担持させて、添加した熱硬化型塗料を最表層に
塗装、焼付けすることにより抗菌、防カビ性塗膜を形成
した塗装金属板であって、担体を(メタ)アクリル酸エ
ステルと酸性基含有単量体との共重合体にして、酸性基
含有単量体成分に銀、錫、銅、亜鉛の1種または2種以
上をイオン結合で担持させた抗菌、防カビ剤と、有機窒
素・硫黄系抗菌、防カビ剤を複合添加すると、塗膜性能
を損なうことなく抗菌、防カビ性を付与できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D075 CA45 DA06 DB01 DC10 4F100 AA25A AA28A AB01B AB03 AB17 AK25A AK41 AL01A BA02 CC00A EH46 EH462 EH71 EJ08 EJ082 EJ69 EJ691 GB08 JB13A JL00 4J038 CG141 CH031 GA06 JB32 JC02 JC06 JC18 JC38 NA01 NA05 NA12 PB05 PB09 PC02

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】抗菌、防カビ剤を担体に担持させて、添加
    した熱硬化型塗料を最表層に塗装、焼付けすることによ
    り抗菌、防カビ性塗膜を形成した塗装金属板であって、
    担体を(メタ)アクリル酸エステルと酸性基含有単量体
    との共重合体にして、酸性基含有単量体成分に銀、錫、
    銅、亜鉛の1種または2種以上をイオン結合で担持させ
    た抗菌、防カビ剤と、有機窒素・硫黄系抗菌、防カビ剤
    を複合添加したことを特徴とする抗菌、防カビ性に優れ
    た塗装金属板。
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