JPH10174475A - スイッチド・リラクタンスモータの起動制御方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ＳＲモータの運転におけるブレーキトルクの
発生を防ぎ、重負荷起動が円滑にできるようにする。 【解決手段】 ＳＲモータのロータ回転軸に設けた回転
センサの検出信号を、ＳＲモータに駆動電流を供給する
パワー・スイッチング回路をオン／オフ制御するデコー
ドロジック回路に入力させ、回転センサが検出したオン
／オフ信号の切り替わりエッジ信号を検出して、エッジ
信号の無し／有りによってＳＲモータの停止／運転を判
別し、複数のセンサが検出したオン／オフ信号を組み合
わせた信号により、ＳＲモータへ駆動電流を供給するス
イッチング素子のオン／オフ信号のタイミングを制御す
ると共に、起動時におけるオン／オフのタイミングに対
し、運転時のオン／オフのタイミングを進めるようにし
た。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、可変速モータと
して使用されるスイッチド・リラクタンスモータ（以
下、ＳＲモータという）の駆動制御方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】ＳＲモータは突極構造のステータと突極
構造のロータとを備え、突極間のギャップの変化に伴う
リラクタンスの変化を利用して回転するモータであっ
て、ロータの軸端に設けられたエンコーダやホール素子
より成る回転センサを用いてロータの突極位置を検出
し、この検出信号に基づいてステータを構成する突極に
巻回したコイルに順次電流を供給するスイッチング素子
のオン／オフ信号を制御し、ロータを回転駆動させてい
る。

【０００３】図３は、従来技術による３相ＳＲモータの
制御回路の構成を示すブロック図である。図３におい
て、３相ＳＲモータ１０９のロータに直結した回転軸に
は回転センサ１１０が設けてあり、この回転センサ１１
０により検出されたロータ位置検出信号はデコード・ロ
ジック回路１０１に入力すると共に、Ｆ／Ｖコンバータ
１０７を介して速度アンプ１０６に入力する。パワース
イッチング回路１０２からの出力電流は、電流変成器１
１６〜１１８を介して電流検出器１０８によって検出さ
れ、電流アンプ１０５に入力して速度アンプ１０６から
の検出信号と演算され、ＰＷＭゼネレータ１０４に入力
してＰＷＭ信号を生成する。パワー・スイッチング回路
１０２は直流電源１０３を入力すると共に、ＰＷＭゼネ
レータ１０４からのＰＷＭ信号とデコード・ロジック回
路１０１からの検出信号を入力しているので、パワー・
スイッチング回路１０２を構成するスイッチング素子は
ＰＷＭ信号とデコード・ロジック回路１０１からの検出
信号とによってオン／オフ制御される。パワースイッチ
ング回路１０２からの出力電流は、ＳＲモータ１０９の
ステータを構成する突極に巻回したコイルに順次供給さ
れるが、コイルへ供給される電流をオン／オフ制御する
タイミングはデコード・ロジック回路１０１からの検出
信号によって制御される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ＳＲモータのステータ
コイルへ供給される電流は、パワー・スイッチング回路
のスイッチング素子をオン／オフ制御することによって
行なわれるが、ステータコイルのインダクタンスによる
逆起電流のため、スイッチング素子がオフとなってもス
テータコイル電流は瞬時に０とならず、電流が減衰しな
がら流れ続ける性質がある。このために、ＳＲモータが
回転中に上述した現象が発生すると、スイッチング素子
がオフ後に流れている電流が発電領域におよび、発電ブ
レーキトルクを発生することになる。

【０００５】上述した問題点を解決するために、従来は
スイッチング素子のオン／オフのタイミングを若干進め
ることにより、発電ブレーキトルクの発生を防いでいた
が、タイミングの設定はＳＲモータの駆動状態とは無関
係に一定にしていた。

【０００６】

【課題を解決するための手段】ＳＲモータが回転中の場
合には、オン／オフのタイミングを若干進めることによ
り発電ブレーキトルクの発生を妨げるが、ＳＲモータを
停止状態から起動させる場合には、オン／オフのタイミ
ングが早すぎるために起動トルクが不足になる恐れがあ
った。この発明は、上述した従来のＳＲモータの起動制
御方法の欠点を解消するためになされたものであって、
充分な起動トルクを発生させるばかりでなく、回転中に
おいても発電ブレーキトルクが発生しないようにしたも
のである。

【０００７】この発明によるＳＲモータの起動制御方法
は、回転センサのオン／オフ信号の切り替わりエッジ信
号を検出して、エッジ信号の無し／有りによってＳＲモ
ータの停止／運転を判別し、複数の回転センサの出力す
るオン／オフ信号を組み合わせることによってＳＲモー
タの駆動電流を供給するスイッチング素子のオン／オフ
のタイミングを制御すると共に、起動時におけるオン／
オフのタイミングに対し、運転時におけるオン／オフの
タイミングを進めるようにした。

【０００８】また、３相のＳＲモータの起動時において
は、第１の回転センサの検出信号と極性を反転させた第
３の回転センサの検出信号との論理積より成る信号に基
づいて、第１のステータコイルに電流を供給するスイッ
チング素子の起動信号のタイミングを制御し、運転時に
おいては、第１の回転センサの検出信号と極性を反転さ
せた第２の回転センサの検出信号との論理積より成る信
号に基づいて、第１のステータコイルの駆動信号のタイ
ミングを制御するように、回転センサの検出信号を切り
替えるようにした。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、この発明の実施例を図面を
参照しながら説明する。図１（ａ）は、突極構造のステ
ータと突極構造のロータとの相対位置関係を示す部分断
面図である。ＳＲモータのステータコイルとロータとの
間のギャップは、両者の相対位置によって著しく変化す
るので、これに伴ってステータコイルのインダクタンス
も変化する。図１（ａ）における状態では、ギャップが
広いのでインダクタンスは小さいが、ロータの回転と共
にギャップが狭くなってインダクタンスが大きくなり、
ステータとロータとの突極同士が完全に重なった時にイ
ンダクタンスは最大となる。従って、ギャップが減少し
始める瞬間にステータコイルに電流を供給すると、ロー
タの突極はステータの突極に電磁的に引き寄せられて回
転を始めるので、ステータコイルを順次励磁することに
よってロータは回転を継続する。

【００１０】３相ＳＲモータにおいては、回転センサは
３個設けてあり、夫々の回転センサの検出信号の位相差
は１２０度であって、図１（ｂ）に回転センサ，，
の信号波形を示す。起動時においてステータコイルＡ
に電流を供給するスイッチング素子へのオン信号は、回
転センサの信号波形と回転センサの信号波形を極性
反転させた信号波形とによって合成される。運転時にお
いてステータコイルＡに電流を供給するスイッチング素
子へのオン信号は、回転センサの信号波形と回転セン
サの信号波形を極性反転させた信号波形とによって合
成される。即ち、運転時におけるオン信号は、起動時に
おけるオン信号よりタイミングを進めてある。

【００１１】図２は、デコード・ロジック回路の構成を
示すブロック図である。停止時においては、回転センサ
の検出信号はハイレベルもしくはローレベルであって変
化しないが、ロータが回転を始めると回転センサの検出
信号の極性が変化するようになる。図２において、回転
センサの検出信号はスタート信号回路１８に入力し、
回路１７において回転センサの検出信号のローとハイの
切り替えエッジが検出される。切り替えエッジが検出さ
れない時はスイッチ１６は〔起動時〕に接続されてお
り、切り替えエッジが検出された時はスイッチ１６は
〔運転時〕に切り替わる。

【００１２】回転センサの検出信号は、ＡＮＤ回路４
と７に入力すると共に、ＮＯＴ回路１を介してＡＮＤ回
路６と８に入力する。回転センサの検出信号は、ＡＮ
Ｄ回路５と８に入力すると共に、ＮＯＴ回路２を介して
ＡＮＤ回路４と９に入力し、また、回転センサの検出
信号は、ＡＮＤ回路６と９に入力すると共に、ＮＯＴ回
路３を介してＡＮＤ回路５と７に入力する。

【００１３】スイッチ１６が〔運転時〕もしくは〔停止
時〕に切り替わることにより、直流電源（＋）１５は抵
抗１３もしくは１４を介してＡＮＤ回路４，５，６もし
くはＡＮＤ回路７，８，９に供給される。また、ＡＮＤ
回路４と７の出力端子はＯＲ回路１０の入力端子に接続
してあり、ＡＮＤ回路５と８の出力端子はＯＲ回路１１
の入力端子に、ＡＮＤ回路６と９の出力端子はＯＲ回路
１２の入力端子に接続してある。

【００１４】上述した回路構成により、スイッチ１６が
〔起動時〕に接続してあるときは電源（＋）１５は抵抗
１４を介してＡＮＤ回路７に供給されているので、回転
センサの検出信号とＮＯＴ回路３を介しての回転セン
サの検出信号はＡＮＤ回路７に入力して演算され、論
理積である出力信号はＯＲ回路１０を介してステータコ
イルＡに駆動電流を供給するスイッチング素子にオン信
号を送出する。次に、スイッチ１６が〔運転時〕に切り
替わっている時は、電源（＋）１５は抵抗１３を介して
ＡＮＤ回路４に供給されているので、回転センサの検
出信号とＮＯＴ回路２を介しての回転センサの検出信
号はＡＮＤ回路４に入力して演算され、論理積である出
力信号はＯＲ回路１０を介してステータコイルＡに駆動
電流を供給するスイッチング素子にオン信号を送出す
る。以下同様にして、スイッチ１６の切り替えと、２組
の回転センサの検出信号の組み合わせにより、ステータ
コイルＢとＣに対しても、タイミングの異なる起動時と
運転時とのオン信号を生成して、ＯＲ回路１１と１２か
ら送出する。

【００１５】

【発明の効果】以上説明したように、この発明によるＳ
Ｒモータの起動制御方法は、回転センサのオン／オフ信
号の切り替わりエッジ信号を検出してＳＲモータの停止
と運転を判別し、また、回転センサのオン／オフ信号を
組み合わせることによってＳＲモータを駆動するスイッ
チング素子のオン／オフのタイミングを制御し、起動時
におけるオン／オフのタイミングを運転時におけるタイ
ミングより進めるようにした。従って、発電ブレーキト
ルクの発生を妨げるばかりでなく、起動トルクが増加す
るので、重負荷起動がスムーズになる。また、回路構成
が簡単であって安価なディジタル回路で構成でき、ＣＰ
Ｕ制御にも応用することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】ロータとステータの相対位置関係を示す部分断
面図と波形図。

【図２】デコードロジック回路の構成を示すブロック
図。

【図３】従来のＳＲモータの制御回路構成を示すブロッ
ク図。

【符号の説明】 １〜３ ＮＯＴ回路 ４〜９ ＡＮＤ回路 １０〜１２ ＯＲ回路 １６ スイッチ １８ スタート信号回路

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ロータの突極位置を検出する回転センサ
   のオン／オフ信号の切り替わりエッジ信号を検出して、
   エッジ信号の無し／有りによりスイッチド・リラクタン
   スモータの停止／運転を判別し、 複数の回転センサが出力するオン／オフ信号を組み合わ
   せて生成した信号に基づいて、前記スイッチド・リラク
   タンスモータへ駆動電流を供給するパワースイッチング
   回路におけるスイッチング素子のオン／オフ信号のタイ
   ミングを制御すると共に、起動時のオン／オフ信号のタ
   イミングに対し、運転時のオン／オフ信号のタイミング
   を進めるようにタイミングを切り替えることを特徴とす
   るスイッチド・リラクタンスモータの起動制御方法。
2. 【請求項２】 ３相スイッチド・リラクタンスモータの
   起動時においては、第１の回転センサの検出信号と極性
   を反転させた第３の回転センサの検出信号との論理積よ
   り成る信号を、第１のステータコイルへ起動電流を供給
   するスイッチング素子のオン／オフ信号のタイミングを
   制御する起動信号とし、 運転時においては、第１の回転センサの検出信号と極性
   を反転させた第２の回転センサの検出信号との論理積よ
   り成る信号を、第１のステータコイルへ駆動電流を供給
   するスイッチング素子のオン／オフ信号のタイミングを
   制御する駆動信号とするように、回転センサの検出信号
   の組み合わせを切り替えるようにしたことを特徴とする
   請求項１に記載のスイッチド・リラクタンスモータの起
   動制御方法。