JPH10172544A - 水素吸蔵合金電極及び水素吸蔵合金電極の製造方法 - Google Patents
水素吸蔵合金電極及び水素吸蔵合金電極の製造方法Info
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- JPH10172544A JPH10172544A JP8328973A JP32897396A JPH10172544A JP H10172544 A JPH10172544 A JP H10172544A JP 8328973 A JP8328973 A JP 8328973A JP 32897396 A JP32897396 A JP 32897396A JP H10172544 A JPH10172544 A JP H10172544A
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Abstract
初期におけ活性度を十分に向上させて、初期より水素ガ
スが十分に吸収されるようにし、アルカリ二次電池にお
ける初期放電特性や内圧特性を向上させる。 【構成】 ABx型で、Aがミッシュメタル、Bがニッ
ケル,コバルトの少なくとも1つを含む元素からなるミ
ッシュメタル系の水素吸蔵合金、又はAがジルコニウ
ム,チタンの少なくとも1つを含む元素、Bが少なくと
もニッケルを含む元素からなるラーベス相系の水素吸蔵
合金を初期pHが0.7〜1.8の範囲の酸性溶液中で
処理し、この酸性溶液のpHが2〜6の範囲においてア
ルカリを添加させて、これらの水素吸蔵合金を表面にお
けるA成分とB成分との組成比B/Aを適切に調整し
た。
Description
二次電池等のアルカリ二次電池において、その負極に使
用される水素吸蔵合金電極及び水素吸蔵合金電極の製造
方法に関するものであり、この水素吸蔵合金電極に使用
する水素吸蔵合金を改質して、初期におけ活性度を向上
させ、この水素吸蔵合金電極を用いたアルカリ二次電池
における初期放電特性や内圧特性を向上させた点に特徴
を有するものである。
て、ニッケル−水素二次電池が知られており、このニッ
ケル−水素二次電池においては、一般にその負極に水素
吸蔵合金を用いた水素吸蔵合金電極が使用されていた。
としては、希土類元素の混合物であるミッシュメタル
(Mm)を用いたMm系の水素吸蔵合金や、ラーベス
(Laves)相系の水素吸蔵合金が使用されていた。
自然酸化等によってその表面に酸化物等の被膜が形成さ
れており、このような水素吸蔵合金を用いて水素吸蔵合
金電極を作製し、この水素吸蔵合金電極をニッケル−水
素二次電池等のアルカリ二次電池における負極に使用し
た場合には、その初期における水素吸蔵合金の活性度が
低くて、水素ガスの吸収が十分に行なわれず、初期にお
ける電池容量が低くなったり、電池内における圧力が増
加する等の問題があった。
25975号公報等に示されるように、水素吸蔵合金を
塩酸等の酸性溶液中に浸漬させて、水素吸蔵合金の表面
における酸化被膜を除去するようにしたものが提案され
た。
液中に浸漬させて、この水素吸蔵合金の表面における酸
化被膜等を除去した場合、水素吸蔵合金の表面に活性な
部位がある程度出現するが、この表面における活性な部
位が再度酸化されたりして、水素吸蔵合金における初期
の活性度が十分に向上されず、依然として初期において
水素ガスの吸収が十分に行なわれず、電池容量が低くな
ったり、電池内における圧力が高くなる等の問題が存在
した。
−水素二次電池等のアルカリ二次電池の負極に使用する
水素吸蔵合金電極における上記のような様々な問題を解
決することを課題とするものであり、水素吸蔵合金電極
に使用する水素吸蔵合金の初期におけ活性度を十分に向
上させて、初期より水素ガスが十分に吸収されるように
し、この水素吸蔵合金電極を使用したアルカリ二次電池
における初期放電特性や内圧特性を向上させるようにす
ることを課題とするものである。
ける水素吸蔵合金電極においては、上記のような課題を
解決するために、ABx型でAがミッシュメタル、Bが
ニッケル,コバルトの少なくとも1つを含む元素からな
り、上記の原子比xが4.4≦x≦5.4になったミッ
シュメタル系の水素吸蔵合金を用いた水素吸蔵電極電極
において、上記の水素吸蔵合金を酸性溶液中において処
理して、その最表面から80Åの内部までにおける上記
のA成分とB成分との組成比B/Aが3.0〜6.5の
範囲になった水素吸蔵合金を用いるようにしたのであ
る。
金電極において、ABx型のミッシュメタル系の水素吸
蔵合金に含有されるBの元素としては、ミッシュメタル
系の水素吸蔵合金において一般に含有される公知の元素
を含有させることができ、上記のニッケルやコバルトの
他に、例えば、アルミニウム,マンガン,ホウ素,バナ
ジウム,タングステン,モリブデン等の元素を含有させ
ることができる。
ABx型のミッシュメタル系の水素吸蔵合金を酸性溶液
中において処理し、その最表面から80Åの内部までに
おける上記のA成分とB成分との組成比B/Aが3.0
〜6.5の範囲になるようにすると、この水素吸蔵合金
の表面における導電性が低下するということがなく、そ
の活性度が向上し、ニッケル−水素二次電池等のアルカ
リ二次電池の負極に使用した初期からこの水素吸蔵合金
内に水素が効率良く吸蔵されるようになり、初期におけ
る電池容量が向上すると共に、電池における内圧の上昇
も抑制されるようになる。
蔵合金電極においては、ABx型でAがジルコニウム,
チタンの少なくとも1つを含む元素、Bが少なくともニ
ッケルを含む元素からなり、上記の原子比xが1.8≦
x≦2.2になったラーベス相系の水素吸蔵合金を用い
た水素吸蔵合金電極において、上記の水素吸蔵合金を酸
性溶液中において処理し、その最表面から80Åの内部
までにおける上記のA成分とB成分との組成比B/Aが
1.5〜3.5の範囲になった水素吸蔵合金を用いるよ
うにしたのである。
金電極において、ABx型のラーベス相系の水素吸蔵合
金に含有されるBの元素としては、ラーベス相系の水素
吸蔵合金において一般に含有される公知の元素を含有さ
せることができ、上記のニッケルの他に、例えば、コバ
ルト,バナジウム,マンガン,銅,鉄等の元素を含有さ
せることができる。
ABx型のラーベス相系の水素吸蔵合金を酸性溶液中に
おいて処理し、その最表面から80Åの内部までにおけ
る上記のA成分とB成分との組成比B/Aが1.5〜
3.5の範囲になるようにすると、上記のミッシュメタ
ル系の水素吸蔵合金の場合と同様に、この水素吸蔵合金
の表面における導電性が低下することなく、その活性度
が向上し、ニッケル−水素二次電池等のアルカリ二次電
池の負極に使用した初期からこの水素吸蔵合金内に水素
が効率良く吸蔵されるようになり、初期における電池容
量が向上すると共に、電池における内圧の上昇も抑制さ
れるようになる。
蔵合金電極の製造方法においては、水素吸蔵合金を含む
水素吸蔵合金電極を製造するにあたり、水素吸蔵合金を
初期pHが0.7〜1.8の範囲の酸性溶液中で処理す
ると共に、この酸性溶液のpHが2〜6の範囲において
アルカリを添加させるようにしたのである。
pHが0.7〜1.8の範囲の酸性溶液中で処理するよ
うにしたのは、酸性溶液の初期pHが0.7より低い
と、水素吸蔵合金の酸化が急激に生じ、水素吸蔵合金の
内部まで溶解されて、水素吸蔵合金の特性が低下する一
方、酸性溶液の初期pHが1.8より高いと、水素吸蔵
合金の表面における酸化物等の被膜を十分に除去させる
ことができなくなるためである。
Hが0.7〜1.8の範囲の酸性溶液中で処理すると共
に、この酸性溶液のpHが2〜6の範囲においてアルカ
リを添加させると、水素吸蔵合金の表面における酸化物
等の被膜が十分に除去された状態になると共に、水素吸
蔵合金における成分の溶出が制御され、上記の請求項
1,2に記載した水素吸蔵合金電極において使用した水
素吸蔵合金のように、水素吸蔵合金の表面の組成が、内
部におけるバルクの組成と同じようになった水素吸蔵合
金が得られるようになる。
を用いて水素吸蔵合金電極を製造すると、上記の請求項
1,2に記載した水素吸蔵合金電極のように水素吸蔵合
金の表面における導電性が低下することがなく、その活
性度が向上し、ニッケル−水素二次電池等のアルカリ二
次電池の負極に使用した初期からこの水素吸蔵合金内に
水素が効率良く吸蔵されるようになり、初期における電
池容量が向上すると共に、電池における内圧の上昇も抑
制されるようになる。
にあたり、その量が少ないと、水素吸蔵合金における成
分の溶出を十分に制御することができなくなる一方、そ
の量が多くなり過ぎると、水素吸蔵合金の表面に多くの
水酸化物が生成されて、水素吸蔵合金における導電性が
低下するため、pHが14以上のアルカリを上記の酸性
溶液に対して5〜25%添加させるようにすることが好
ましい。
蔵合金電極の製造方法においては、水素吸蔵合金をニッ
ケル化合物とコバルト化合物の少なくとも1種を含む酸
性溶液中で処理するようにしたのである。
ケル化合物とコバルト化合物の少なくとも1種を含む酸
性溶液中で処理すると、水素吸蔵合金の表面における酸
化物等の被膜が除去される一方、水素吸蔵合金の表面に
おけるニッケルやコバルトの溶出が抑制されると共に、
この水素吸蔵合金の表面にニッケルやコバルトが析出さ
れて、水素吸蔵合金の表面に活性度の高いニッケルやコ
バルトが多く存在するようになる。
を用いて水素吸蔵合金電極を製造すると、水素吸蔵合金
電極における活性度が初期より向上し、ニッケル−水素
二次電池等のアルカリ二次電池の負極に使用した初期か
らこの水素吸蔵合金内に水素が効率良く吸蔵されるよう
になり、初期における電池容量が向上すると共に、電池
における内圧の上昇も抑制されるようになる。
の製造方法において、水素吸蔵合金をニッケル化合物と
コバルト化合物の少なくとも1種を含む酸性溶液中で処
理するにあたり、この酸性溶液の初期pHを0.7〜
1.8の範囲にすると共に、この酸性溶液のpHが2〜
6の範囲においてアルカリを添加させるようにすると、
上記の請求項3の場合と同様に、水素吸蔵合金の表面に
おける酸化物等の被膜が十分に除去された状態になると
共に、水素吸蔵合金における成分の溶出が制御され、酸
性溶液に加えたニッケルやコバルトが水素吸蔵合金の表
面に十分に析出されるようになる。
あたっては、上記の請求項3の場合と同様に、pHが1
4以上のアルカリを上記の酸性溶液に対して5〜25%
添加させるようにすることが好ましい。
電極及び水素吸蔵合金電極の製造方法について具体的に
説明すると共に、比較例を挙げ、この発明の実施例にお
ける水素吸蔵合金電極をアルカリ二次電池に使用した場
合に、初期における電池の内圧の上昇が抑制されると共
に、初期における放電特性が向上されることを明らかに
する。なお、この発明における水素吸蔵合金電極及び水
素吸蔵合金電極の製造方法は、特に、下記の実施例に示
したものに限定されるものではなく、その要旨を変更し
ない範囲において適宜変更して実施できるものである。
土類元素の混合物であるミッシュメタル(Mm)に対し
て純度が99.9%のNiとCoとAlとMnを適当な
モル比で混合させてアルゴン雰囲気下のアーク溶解炉で
溶解させた後、これらを自然放冷させて、Mm(Ni
0.6 Co0.2 Al0.1 Mn0.1 )xの組成式で表され、
下記の表1に示すように、このxの値が4.0、4.
2、4.4、4.8、5.0、5.4、5.6、6.0
になったABx型のミッシュメタル(Mm)系の水素吸
蔵合金からなる各インゴットを得た。
吸蔵合金のインゴットを空気中で機械的に粉砕して、平
均粒径が80μmになった各水素吸蔵合金の粉末を得
た。
金の粉末をpH0.7の塩酸酸性溶液中で処理するよう
にし、各水素吸蔵合金の粉末を酸性溶液中に15分間浸
漬させ、この酸性溶液のpHが4になった時点で、下記
の表1に示すように、この酸性溶液に対して、KOHを
用いたpHが14以上で比重が1.30のアルカリ溶液
を適当な割合で添加させて処理する一方、この酸性溶液
に対してアルカリ溶液を加えないで各水素吸蔵合金の粉
末を処理するようにした。
吸蔵合金粉末の最表面から80Åの内部までの部分にお
ける組成を調べ、この部分における上記のAに対応する
Mmと、Bに対応するNi、Co、Al、Mnとの組成
比B/Aを求め、その結果を下記の表1に示した。
面から80Åの内部までの部分における組成を調べるに
あたっては、走査型透過型電子顕微鏡とエネルギー分散
型X線分析計を用いて測定した。
0.1 Mn0.1 )xの組成式で表され、その原子比xの値
が4.4〜5.4の範囲になったMm系の水素吸蔵合金
を用いると共に、酸性溶液に対して上記のアルカリ溶液
を添加させる割合を5〜25%にして処理した場合に、
上記のB/Aの値が3.0〜6.5の範囲になり、この
発明の請求項1に示した条件を満たす水素吸蔵合金が得
られた。
蔵合金を100重量部に対して、それぞれ結着剤である
ポリエチレンオキサイドの5重量%水溶液を20重量部
加えて混合させ、各ペーストを調整し、このペーストを
それぞれニッケルメッキしたパンチングメタルからなる
芯体の両面に塗着させて室温で乾燥させた後、所定の寸
法に切断して、各水素吸蔵合金電極を作製した。
金電極を負極に使用する一方、正極に、従来より一般に
使用されている焼結式ニッケル極を使用し、またセパレ
ータに耐アルカリ性の不織布を用い、電池容量が100
0mAhになった図1に示すようなニッケル−水素二次
電池を作製した。
を作製するにあたっては、図1に示すように、上記の正
極1と各負極2との間にそれぞれセパレータ3を介在さ
せ、これらをスパイラル状に巻いて電池缶4内に収容さ
せた後、この電池缶4内にアルカリ電解液として30重
量%の水酸化カリウム水溶液を注液して封口し、正極1
を正極リード5を介して正極蓋6に接続させると共に、
負極2を負極リード7を介して電池缶4に接続させ、電
池缶4と正極蓋6とを絶縁パッキン8により電気的に分
離させるようにし、また、正極蓋6と正極外部端子9と
の間にコイルスプリング10を設け、電池の内圧が異常
に上昇した場合には、このコイルスプリング10が圧縮
されて電池内部のガスが大気中に放出されるようにし
た。
ケル−水素二次電池に対し、常温下において、それぞれ
充電電流0.2Cで6時間充電した後、放電電流0.2
Cで放電を行ない、これらの各ニッケル−水素二次電池
における初期放電容量を求め、その結果を下記の表2に
示した。
に対し、それぞれ電池の内圧を測定しながら常温下にお
いて1000mA(1C)で充電を行ない、電池の内圧
が10kgf/cm2 に達するまでの充電時間を測定
し、これを各ニッケル−水素二次電池における初期の内
圧特性として下記の表3に示した。なお、この内圧特性
を定めるにあたっては、それぞれ4個のニッケル−水素
二次電池について試験を行ない、その平均値を示した。
に、上記のように処理前におけるMm(Ni0.6 Co
0.2 Al0.1 Mn0.1 )xの組成式で表されるMm系の
水素吸蔵合金におけるxの値が4.4〜5.4の範囲で
あって、アルカリ溶液を酸性溶液に対して添加させる割
合を5〜25%にして処理し、上記のB/Aの値が3.
0〜6.5の範囲になった水素吸蔵合金を用いて作製し
た各ニッケル−水素二次電池は、B/Aの値が3.0〜
6.5の条件を満たしていない水素吸蔵合金を用いて作
製した各ニッケル−水素二次電池に比べて、一般に初期
放電容量が高くなっていると共に、電池の内圧特性を示
す充電時間が長くなっており、初期におけるガスの発生
が抑制され、初期より十分な放電容量が得られた。
度が99.9%のZrとNiとVとMnとを適当なモル
比で混合させてアルゴン雰囲気下のアーク溶解炉で溶解
させた後、これらを自然放冷させて、Zr(Ni0.6 V
0.2 Mn0.2 )xの組成式で表され、下記の表4に示す
ように、このxの値が1.6、1.7、1.8、1.
9、2.0、2.2、2.3、2.5になったABx型
のラーベス相系の水素吸蔵合金からなる各インゴットを
得た。
のインゴットを空気中で機械的に粉砕して、平均粒径が
80μmになった各水素吸蔵合金の粉末を得た。
合金の粉末をpH0.7の塩酸酸性溶液中で処理するよ
うにし、各水素吸蔵合金の粉末を酸性溶液中に15分間
浸漬させ、この酸性溶液のpHが約4になった時点で、
下記の表4に示すように、この酸性溶液に対して、KO
Hを用いたpHが14以上で比重が1.30のアルカリ
溶液を適当な割合で添加させて処理する一方、この酸性
溶液に対してアルカリ溶液を加えないで各水素吸蔵合金
粉末を処理するようにした。
吸蔵合金粉末の最表面から80Åの内部までの部分にお
ける組成を調べ、この部分における上記のAに対応する
Zrと、Bに対応するNi、V、Mnとの組成比B/A
を、上記の実験例1の場合と同様にして求め、その結果
を下記の表1に示した。
n0.2 )xの組成式で表されの組成式で表され、その原
子比xの値が1.8〜2.2の範囲になったラーベス相
系の水素吸蔵合金を用いると共に、酸性溶液に対して上
記のアルカリ溶液を添加させる割合を5〜25%にして
処理した場合に、上記のB/Aの値が1.5〜3.5の
範囲になり、この発明の請求項2に示した条件を満たす
水素吸蔵合金が得られた。
蔵合金を用い、上記の実験例1の場合と同様にして、各
水素吸蔵合金電極を作製すると共に、このように作製し
た各水素吸蔵合金電極を負極に使用して電池容量が10
00mAhになった図1に示すニッケル−水素二次電池
を作製した。
ケル−水素二次電池を用い、上記の実験例1の場合と同
様にして、各ニッケル−水素二次電池における初期放電
容量を求め、その結果を下記の表5に示すと共に、各ニ
ッケル−水素二次電池における初期の内圧特性を求め、
その結果を下記の表6に示した。
に、上記のように処理前におけるZr(Ni0.6 V0.2
Mn0.2 )xの組成式で表されるラーベス相系の水素吸
蔵合金におけるxの値が1.8〜2.2の範囲であっ
て、アルカリ溶液を酸性溶液に対して添加させる割合を
5〜25%にして処理し、上記のB/Aの値が1.5〜
3.5の範囲になった水素吸蔵合金を用いて作製した各
ニッケル−水素二次電池は、B/Aの値が1.5〜3.
5の条件を満たしていない水素吸蔵合金を用いて作製し
た各ニッケル−水素二次電池に比べて、一般に初期放電
容量が高くなっていると共に、電池の内圧特性を示す充
電時間が長くなっており、初期におけるガスの発生が抑
制され、初期より十分な放電容量が得られた。
施例1〜3及び比較例1においては、希土類元素の混合
物であるミッシュメタル(Mm)に対して純度が99.
9%のNiとCoとAlとMnを適当なモル比で混合さ
せてアルゴン雰囲気下のアーク溶解炉で溶解させた後、
これらを自然放冷させて、MmNi3.1 Co1.0 Mn
0.5 Al0.4 の組成式で表されるMm系の水素吸蔵合金
からなるインゴットを得た。
吸蔵合金のインゴットを空気中で機械的に粉砕して、平
均粒径が80μmになった水素吸蔵合金の粉末を得た。
の粉末を酸性溶液中で処理するにあたり、実施例1では
塩化コバルトCoCl2 を0.2重量%添加させたpH
0.7の塩酸酸性溶液を、実施例2では塩化ニッケルN
iCl2 を0.2重量%添加させたpH0.7の塩酸酸
性溶液を、実施例3では塩化コバルトCoCl2 と塩化
ニッケルNiCl2 とをそれぞれ0.1重量%に添加さ
せたpH0.7の塩酸酸性溶液を用い、これらの酸性溶
液中にそれぞれ15分間浸漬させて処理し、各酸性溶液
のpHが約4になった時点で、各酸性溶液に対して、p
H14以上で比重が1.30になったKOHのアルカリ
溶液をそれぞれ10%添加させて処理した。
蔵合金の粉末を、塩化コバルトCoCl2 や塩化ニッケ
ルNiCl2 を添加させていないpH0.7の塩酸酸性
溶液中に15分間浸漬させて処理した。
吸蔵合金の粉末を吸引濾過した後、これを水洗し、乾燥
させた。
合金の粉末について、それぞれX線光電子分光法(XP
S)によりその表面分析を行ない、各水素吸蔵合金の表
面における金属に対する水酸化物の割合(水酸化物/金
属)を求め、その結果を下記の表7に示した。
金の粉末を用い、前記の実験例1の場合と同様にして、
各水素吸蔵合金電極を作製すると共に、このように作製
した各水素吸蔵合金電極を負極に使用して電池容量が1
000mAhになった図1に示すニッケル−水素二次電
池を作製した。
ケル−水素二次電池を用い、上記の実験例1の場合と同
様にして、各ニッケル−水素二次電池における初期放電
容量を求めると共に、各ニッケル−水素二次電池におけ
る初期の内圧特性を求め、これらの結果を下記の表7に
示した。
素吸蔵合金を塩化コバルトや塩化ニッケルを添加させた
酸性溶液中で処理した場合、塩化コバルトや塩化ニッケ
ルを添加させない酸性溶液中で処理した場合に比べて、
その表面における水酸化物の量が増加していた。
させた酸性溶液中で処理したMm系の水素吸蔵合金を用
いた実施例1〜3の各水素吸蔵合金電極を使用したニッ
ケル−水素二次電池は、塩化コバルトや塩化ニッケルを
添加させない酸性溶液中で処理したMm系の水素吸蔵合
金を用いた比較例1の水素吸蔵合金電極を使用したニッ
ケル−水素二次電池に比べて、初期放電容量が高くなっ
ていると共に、電池の内圧特性を示す充電時間が長くな
っていた。
施例4〜6及び比較例2においては、純度が99.9%
のZrとNiとVとMnとを適当なモル比で混合させて
アルゴン雰囲気下のアーク溶解炉で溶解させた後、これ
らを自然放冷させて、ZrNi1.0 V0.7 Mn0.3 の組
成式で表されるラーベス相系の水素吸蔵合金からなるイ
ンゴットを得た。
のインゴットを空気中で機械的に粉砕して、平均粒径が
80μmになった水素吸蔵合金の粉末を得た。
の粉末を、実施例4では塩化コバルトCoCl2 を0.
2重量%添加させたpH0.7の塩酸酸性溶液中に、実
施例5では塩化ニッケルNiCl2 を0.2重量%添加
させたpH0.7の塩酸酸性溶液中に、実施例6では塩
化コバルトCoCl2 と塩化ニッケルNiCl2 とをそ
れぞれ0.1重量%に添加させたpH0.7の塩酸酸性
溶液中に、それぞれ15分間浸漬させて処理し、各酸性
溶液のpHが約4になった時点で、各酸性溶液に対し
て、pH14以上で比重が1.30になったKOHのア
ルカリ溶液をそれぞれ10%添加させて処理した。
蔵合金の粉末を、塩化コバルトCoCl2 や塩化ニッケ
ルNiCl2 を添加させていないpH0.7の塩酸酸性
溶液中に15分間浸漬させて処理した。
吸蔵合金の粉末を吸引濾過した後、これを水洗し、乾燥
させた。
合金の粉末について、それぞれX線光電子分光法(XP
S)によりその表面分析を行ない、各水素吸蔵合金の表
面における金属に対する水酸化物の割合(水酸化物/金
属)を求め、その結果を下記の表8に示した。
金の粉末を用い、前記の実験例1の場合と同様にして、
各水素吸蔵合金電極を作製すると共に、このように作製
した各水素吸蔵合金電極を負極に使用して電池容量が1
000mAhになった図1に示すニッケル−水素二次電
池を作製した。
ケル−水素二次電池を用い、上記の実験例1の場合と同
様にして、各ニッケル−水素二次電池における初期放電
容量を求め、また各ニッケル−水素二次電池における初
期の内圧特性を求め、これらの結果を下記の表8に示し
た。
系の水素吸蔵合金を塩化コバルトや塩化ニッケルを添加
させた酸性溶液中で処理した場合、塩化コバルトや塩化
ニッケルを添加させない酸性溶液中で処理した場合に比
べて、その表面における水酸化物の量が増加していた。
させた酸性溶液中で処理したラーベス相系の水素吸蔵合
金を用いた実施例4〜6の各水素吸蔵合金電極を使用し
たニッケル−水素二次電池は、塩化コバルトや塩化ニッ
ケルを添加させない酸性溶液中で処理したラーベス相系
の水素吸蔵合金を用いた比較例2の水素吸蔵合金電極を
使用したニッケル−水素二次電池に比べて、初期放電容
量が高くなっていると共に、電池の内圧特性を示す充電
時間が長くなっていた。
の実施例2の場合と同様に、MmNi3.1 Co1. 0 Mn
0.5 Al0.4 の組成式で表される水素吸蔵合金の粉末
を、塩化ニッケルNiCl2 を0.2重量%添加させた
pH0.7の塩酸酸性溶液中に浸漬させるようにし、こ
の酸性溶液のpHがそれぞれ下記の表9に示すpHにな
った時点で、各酸性溶液に対して、pH14以上で比重
が1.30になったKOHのアルカリ溶液をそれぞれ1
0%添加させて処理し、このように処理した各水素吸蔵
合金の粉末を吸引濾過した後、これを水洗し、乾燥させ
た。
金の粉末を用い、前記の実験例1の場合と同様にして、
各水素吸蔵合金電極を作製すると共に、このように作製
した各水素吸蔵合金電極を負極に使用して電池容量が1
000mAhになった図1に示すニッケル−水素二次電
池を作製し、各ニッケル−水素二次電池における初期放
電容量及び初期の内圧特性を、前記の実験例1の場合と
同様にして求め、これらの結果を下記の表9に合わせて
示した。
の実施例5の場合と同様に、ZrNi1.0 V0.7Mn
0.3 の組成式で表される水素吸蔵合金の粉末を、塩化ニ
ッケルNiCl2 を0.2重量%添加させたpH0.7
の塩酸酸性溶液中に浸漬させるようにし、この酸性溶液
のpHがそれぞれ下記の表10に示すpHになった時点
で、各酸性溶液に対して、pH14以上で比重が1.3
0になったKOHのアルカリ溶液をそれぞれ10%添加
させて処理し、このように処理した各水素吸蔵合金の粉
末を吸引濾過した後、これを水洗し、乾燥させた。
金の粉末を用い、前記の実験例1の場合と同様にして、
各水素吸蔵合金電極を作製すると共に、このように作製
した各水素吸蔵合金電極を負極に使用して電池容量が1
000mAhになった図1に示すニッケル−水素二次電
池を作製し、各ニッケル−水素二次電池における初期放
電容量及び初期の内圧特性を、前記の実験例1の場合と
同様にして求め、これらの結果を下記の表10に合わせ
て示した。
ーベス相系の水素吸蔵合金を塩化コバルトや塩化ニッケ
ルを添加させた酸性溶液中で処理するにあたり、この酸
性溶液のpHが2〜6の範囲でアルカリ溶液を添加させ
て処理した水素吸蔵合金を用いて水素吸蔵合金電極を作
製した場合、この水素吸蔵合金電極を使用したニッケル
−水素二次電池における初期放電容量が高くなっている
と共に、電池の内圧特性を示す充電時間が長くなってい
た。
の実施例2の場合と同様に、MmNi3.1 Co1. 0 Mn
0.5 Al0.4 の組成式で表される水素吸蔵合金粉末を、
塩化ニッケルNiCl2 を0.2重量%添加させたpH
0.7の塩酸酸性溶液中に15分間浸漬させ、この酸性
溶液のpHが4になった時点で、この酸性溶液に対し
て、pH14以上で比重が1.30になったKOHのア
ルカリ溶液をそれぞれ下記の表11に示す割合で添加さ
せて処理し、このように処理された各水素吸蔵合金粉末
を吸引濾過した後、これを水洗し、乾燥させた。
金の粉末について、それぞれX線光電子分光法(XP
S)によりその表面分析を行ない、各水素吸蔵合金の表
面における金属に対する水酸化物の割合(水酸化物/金
属)を求め、その結果を下記の表11に示した。
金を用い、前記の実験例1の場合と同様にして、各水素
吸蔵合金電極を作製すると共に、このように作製した各
水素吸蔵合金電極を負極に使用して電池容量が1000
mAhになった図1に示すニッケル−水素二次電池を作
製し、各ニッケル−水素二次電池における初期放電容量
及び初期の内圧特性を、前記の実験例1の場合と同様に
して求め、これらの結果を下記の表11に合わせて示し
た。
塩化コバルトや塩化ニッケルを添加させた酸性溶液中で
処理するにあたり、この酸性溶液のpHが4になった時
点でpH14以上のアルカリ溶液を添加させて処理する
場合、上記の酸性溶液に対してこのアルカリ溶液の5〜
25%の範囲で添加させて処理した水素吸蔵合金を用い
て水素吸蔵合金電極を作製した場合、この水素吸蔵合金
電極を使用したニッケル−水素二次電池における初期放
電容量が高くなっていると共に、電池の内圧特性を示す
充電時間が長くなっていた。
カリ溶液の30%添加させた場合には、水素吸蔵合金の
表面における水酸化物の量が多くなり過ぎ、水素吸蔵合
金における導電性が低下し、この水素吸蔵合金を用いて
作製した水素吸蔵合金電極をニッケル−水素二次電池に
使用した場合、初期放電容量や電池の内圧特性が悪くな
っていた。
水素吸蔵合金を用いた場合について示したが、ラーベス
相系の水素吸蔵合金を用いた場合においても、同じよう
な傾向になった結果が得られた。
1に記載した水素吸蔵合金電極のように、ABx型でA
がミッシュメタル、Bがニッケル,コバルトの少なくと
も1つを含む元素からなり、上記の原子比xが4.4≦
x≦5.4になったミッシュメタル系の水素吸蔵合金を
用い、この水素吸蔵合金を酸性溶液中において処理し、
その最表面から80Åの内部までにおける上記のA成分
とB成分との組成比B/Aが3.0〜6.5の範囲にな
るようにすると、この水素吸蔵合金の表面における導電
性が低下することなく、その活性度が向上し、ニッケル
−水素二次電池等のアルカリ二次電池の負極に使用した
初期からこの水素吸蔵合金内に水素が効率良く吸蔵され
るようになり、アルカリ二次電池の初期における電池容
量が向上すると共に、電池における内圧の上昇も抑制さ
れるようになった。
吸蔵合金電極のように、ABx型でAがジルコニウム,
チタンの少なくとも1つを含む元素、Bが少なくともニ
ッケルを含む元素からなり、上記の原子比xが1.8≦
x≦2.2になったラーベス相系の水素吸蔵合金を用
い、この水素吸蔵合金を酸性溶液中において処理し、そ
の最表面から80Åの内部までにおける上記のA成分と
B成分との組成比B/Aが1.5〜3.5の範囲になる
ようにすると、請求項1の場合と同様に、この水素吸蔵
合金の表面における導電性が低下することなく、その活
性度が向上し、ニッケル−水素二次電池等のアルカリ二
次電池の負極に使用した初期からこの水素吸蔵合金内に
水素が効率良く吸蔵されるようになり、アルカリ二次電
池の初期における電池容量が向上すると共に、電池にお
ける内圧の上昇も抑制されるようになった。
蔵合金電極の製造方法のように、水素吸蔵合金を初期p
Hが0.7〜1.8の範囲の酸性溶液中で処理すると共
に、この酸性溶液のpHが2〜6の範囲においてアルカ
リを添加させると、水素吸蔵合金の表面における酸化物
等の被膜が十分に除去された状態になると共に、水素吸
蔵合金における成分の溶出が制御され、上記の請求項
1,2に記載した水素吸蔵合金電極に使用する水素吸蔵
合金が得られ、上記の請求項1,2の場合と同様に、ア
ルカリ二次電池の初期における電池容量が向上すると共
に、電池における内圧の上昇も抑制されるようになっ
た。
蔵合金電極の製造方法のように、水素吸蔵合金をニッケ
ル化合物とコバルト化合物の少なくとも1種を含む酸性
溶液中で処理すると、水素吸蔵合金の表面における酸化
物等の被膜が除去されると共に、水素吸蔵合金の表面に
活性度の高いニッケルやコバルトが多く存在するように
なり、このようにして得た水素吸蔵合金を用いて水素吸
蔵合金電極を製造すると、水素吸蔵合金電極における活
性度が初期より向上し、ニッケル−水素二次電池等のア
ルカリ二次電池の負極に使用した初期からこの水素吸蔵
合金内に水素が効率良く吸蔵されるようになり、初期に
おける電池容量が向上すると共に、電池における内圧の
上昇も抑制されるようになった。
作製したニッケル−水素二次電池の概略断面図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 ABx型でAがミッシュメタル、Bがニ
ッケル,コバルトの少なくとも1つを含む元素からな
り、上記の原子比xが4.4≦x≦5.4になったミッ
シュメタル系の水素吸蔵合金を用いた水素吸蔵合金電極
において、上記の水素吸蔵合金が酸性溶液中において処
理され、その最表面から80Åの内部までにおける上記
のA成分とB成分との組成比B/Aが3.0〜6.5の
範囲になった水素吸蔵合金を用いたことを特徴とする水
素吸蔵合金電極。 - 【請求項2】 ABx型でAがジルコニウム,チタンの
少なくとも1つを含む元素、Bが少なくともニッケルを
含む元素からなり、上記の原子比xが1.8≦x≦2.
2になったラーベス相系の水素吸蔵合金を用いた水素吸
蔵合金電極において、上記の水素吸蔵合金が酸性溶液中
において処理され、その最表面から80Åの内部までに
おける上記のA成分とB成分との組成比B/Aが1.5
〜3.5の範囲になった水素吸蔵合金を用いたことを特
徴とする水素吸蔵合金電極。 - 【請求項3】 水素吸蔵合金を含む水素吸蔵合金電極を
製造するにあたり、上記の水素吸蔵合金を初期pHが
0.7〜1.8の範囲の酸性溶液中で処理すると共に、
この酸性溶液のpHが2〜6の範囲においてアルカリを
添加させることを特徴とする水素吸蔵合金電極の製造方
法。 - 【請求項4】 水素吸蔵合金を含む水素吸蔵合金電極を
製造するにあたり、水素吸蔵合金をニッケル化合物とコ
バルト化合物の少なくとも1種を含む酸性溶液中で処理
したことを特徴とする水素吸蔵合金電極の製造方法。 - 【請求項5】 請求項4に記載した水素吸蔵合金電極の
製造方法において、上記の酸性溶液の初期pHを0.7
〜1.8の範囲にすると共に、この酸性溶液のpHが2
〜6の範囲においてアルカリを添加させることを特徴と
する水素吸蔵合金電極の製造方法。
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