JPH10169722A - 巻き掛け伝動機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 プーリの軸が傾いても幅方向の引っ張り力が
アンバランスにならない巻き掛け伝動機構を提供する。 【解決手段】 所定の間隔にて係合部１ａを有するタイ
ミングワイヤ１と、周面に前記タイミングワイヤ１の係
合部１ａに相対した凹部５を有するタイミングプーリ２
とで構成する。前記係合部１ａは、例えばワイヤーロー
プの中心に核体を撚り合わせ或いは編み込みすることに
より瘤粒３を設け、その瘤粒３を硬質プラスチック４で
くるむことにより形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、回転軸相互間で回
転力の伝達を行う巻き掛け伝動機構に関する。

【０００２】

【従来の技術】内燃機関にあっては、クランクシャフト
から発電機、ファン、ポンプなどに動力を伝達し、機関
の運転に必要な仕事をさせるための巻き掛け伝動機構を
備えている。その巻き掛け伝動機構には、従来図４に示
すように、幅方向に平行して並べた細い心線９，９・・
がモールドされ、片面に前記心線９，９・・と直交した
歯形１０，１０・・を有したタイミングベルト１１と、
そのタイミングベルト１１の歯形１０，１０・・と噛み
合う歯形１２，１２・・を有した歯付きプーリ１３との
組み合わせが利用されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】タイミングベルトと歯
付きプーリとの組み合わせは、Ｖベルトのようなプーリ
とのスリップ現象が発生しないし、チェーンに比べて騒
音の発生が少なく利用価値は高い。しかしタイミングベ
ルトは一定の幅を持っているため、配置するには軸方向
にそれだけの余裕が必要となるし、プーリの角度が僅か
でも変化すれば、幅方向に加わる張力がアンバランスに
なって、片側に応力が集中するいわゆる歯かけ現象が生
ずる。又この歯かけ現象により、タイミングベルトは応
力が少ない方向にずれる傾向が強くなるので、ずれを防
止すべくプーリにはガイドが必須となるし、その分加工
が面倒であるばかりかプーリの大型化を招き、狭いスペ
ースに組み込むには不利である。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、幅方向に対す
る張力のアンバランスを無くし、狭いスペースに効率良
く配置可能な巻き掛け伝動機構であって、所定の間隔に
て瘤粒が形成された無端ワイヤの前記瘤粒外周面を硬質
材でくるみ、その硬質材により前記瘤粒形成位置に係合
部を設けたタイミングワイヤと、周面に前記タイミング
ワイヤの係合部に相対して形成された凹部を有するタイ
ミングプーリとの組み合わせで構成したことにある。そ
して前記無端ワイヤにワイヤロープを採用し、瘤粒は中
心に核体を一体に撚り込み或いは編み込みして形成する
ことができる。又、前記係合部は球状に形成するのが望
ましい。

【０００５】

【発明の実施の形態】本発明に係る巻き掛け伝動機構を
図面に基づいて説明する。図１は本発明に係る巻き掛け
伝動機構の実施例において、（ａ）は斜視図、（ｂ）は
断面図で、１はタイミングワイヤ、２はタイミングプー
リを示す。タイミングワイヤ１は、可撓性を有した無端
状ワイヤ本体１ａに所定間隔で球状の係合部１ｂを備え
たものであって、その係合部１ｂは、ワイヤ本体１ａに
所定間隔で一体形成された瘤粒３の外表面を、個々に硬
質材である硬質プラスチック４でくるむことにより形成
されている。前記硬質プラスチック４は瘤粒３と一体化
していて、ずれることはない。

【０００６】一方のタイミングプーリ２には、外周に前
記タイミングワイヤ１の係合部１ｂに相応した半球形の
凹部５とワイヤ本体１ａに対応した凹溝６とが形成され
ており、前記凹部５と凹溝６とは、いずれもワイヤロー
プ１をそのワイヤ本体１ａの中心を通る面で二分した片
側を埋没させる深さに形成されている。

【０００７】このように形成されたタイミングワイヤ１
は、タイミングプーリ２に対し、係合部１ｂを凹部５に
嵌め込み、ワイヤ本体１ａが凹溝６に案内されるよう掛
け渡して巻き掛け伝動機構を構成し、そのような巻き掛
け伝動機構は、係合部１ｂが凹部５に嵌まり込んでいる
し、隣接する係合部１ｂ，１ｂ相互は一本のワイヤ本体
１ａで連結されているので、横ずれせず、張力はその一
本のワイヤ本体１ａに集中し、張力が幅方向に対してア
ンバランスに作用することはない。

【０００８】前記ワイヤ本体は細い金属線を複数本撚り
合わせ、或いは編み込みしたワイヤロープが好適に利用
でき、図２に例示するように、編み込み形成されたワイ
ヤロープ７の中心に、金属チップなどの核体８を一体に
編み込んで瘤粒３を形成する構造とすれば、ワイヤロー
プ１を編み込み形成する際に瘤粒３を同時に形成するこ
とができる。

【０００９】本発明のタイミングワイヤは、係合部が球
形で角部が無いから、強い衝撃を受けても欠けにくい
し、接触面が滑らかで騒音の発生も少なく、プラスチッ
クにより形成した場合、その効果は顕著である。又、長
手方向と直交する方向に対して３６０度同じ形状である
から、タイミングベルトの場合は捻って掛け渡さなくて
はならない直交する軸相互間においても捻る必要がない
し、逆方向に回転する軸相互間にあっても、図３に示す
ように、各タイミングプーリ２，２・・に対して巻き掛
け方向を反対にするだけで伝達機能を発揮できる。

【００１０】尚、ワイヤ本体及び瘤粒の形態は実施例に
限定されず、ワイヤ本体を撚り合わせにより形成された
ワイヤロープや、心線入りの強化ゴム、合成樹脂などで
形成することができ、瘤粒は、ワイヤと一体化され、位
置ずれを起こさなければ溶着したものであっても差し支
えなく、堅く結んだ結び玉であってもよい。

【００１１】又、係合部の形状及び材質も実施例に限定
されず、俵状や円盤状等周知の形状から選択され、金属
やゴムで形成することもできるし、タイミングプーリか
ら凹溝を省略し、ワイヤ本体はタイミングプーリの周面
に密着し、係合部のみが凹部に嵌合されるよう巻き掛け
られるようにもできる。

【００１２】本発明の巻き掛け伝動機構は、ワイヤ本体
の可撓性を効果的に利用しているので、チェーンのよう
に屈曲方向が限定されず、屈曲させるための関節部も必
要ないし、瘤粒を硬質材でくるむことにより係合部を形
成したので、係合部がずれることもない。又、タイミン
グベルトに比べて幅を狭くできるので、占有スペースが
少なくてすむ。尚、本発明の巻き掛け伝動機構は、内燃
機関に利用するばかりでなく、あらゆる機器に利用され
る。

【００１３】

【発明の効果】本発明によれば、タイミングワイヤによ
り、プーリの回転軸が傾斜していても張力は常に一本の
ワイヤに掛かるから横ずれしないし、直交した回転軸相
互間にも有効であるし、狭いスペースに配置できる。
又、係合部は、ワイヤ本体に形成された瘤粒をくるんで
形成されるので、ずれることなく、タイミングのずれを
起こさない。そして瘤粒をワイヤロープの中心に核体を
撚り込み或いは編み込みすれば、形成容易であるし、係
合部を球状とすることにより効率よく動作する。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ），（ｂ）は本発明に係る巻き掛け伝動機
構の説明図である。

【図２】瘤粒の構造を例示した説明図である。

【図３】掛け渡しの変更例を示した説明図である。

【図４】従来、巻き掛け伝動機構として使用されている
タイミングベルトの説明図である。

【符号の説明】

１・・タイミングワイヤ、１ａ・・ワイヤ本体、１ｂ・
・係合部、２・・タイミングプーリ、３・・瘤粒、４・
・硬質プラスチック、５・・凹部、６・・凹溝、７・・
ワイヤロープ、８・・核体、９・・心線、１０・・歯
形、、１１・・タイミングベルト、１２・・歯形、１３
・・タイミングプーリ。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 所定の間隔にて瘤粒が形成された無端ワ
   イヤの前記瘤粒外周面を硬質材でくるみ、その硬質材に
   より前記瘤粒形成位置に係合部を設けたタイミングワイ
   ヤと、周面に前記タイミングワイヤの係合部に相対して
   形成された凹部を有するタイミングプーリとの組み合わ
   せで構成される巻き掛け伝動機構。
2. 【請求項２】 前記無端ワイヤにワイヤロープを採用
   し、中心に核体を一体に撚り込み或いは編み込みして瘤
   粒を形成した請求項１に記載の巻き掛け伝動機構。
3. 【請求項３】 前記係合部を球状に形成した請求項１に
   記載の巻き掛け伝動機構。