JPH10168125A - 末端修飾ポリプロピレン系ポリマー - Google Patents

末端修飾ポリプロピレン系ポリマー

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JPH10168125A
JPH10168125A JP34446496A JP34446496A JPH10168125A JP H10168125 A JPH10168125 A JP H10168125A JP 34446496 A JP34446496 A JP 34446496A JP 34446496 A JP34446496 A JP 34446496A JP H10168125 A JPH10168125 A JP H10168125A
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JP
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polymer
unit
terminal
polypropylene
group
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JP34446496A
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English (en)
Inventor
Kazukiyo Aiba
一清 相場
Kenichiro Oda
健一郎 小田
Kunihiko Imanishi
邦彦 今西
Tadanao Obara
忠直 小原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tonen General Sekiyu KK
Original Assignee
Tonen Corp
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Publication date
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F8/00Chemical modification by after-treatment

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  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Graft Or Block Polymers (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Transition And Organic Metals Composition Catalysts For Addition Polymerization (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 親水性を有する末端修飾ポリプロピレン系ポ
リマーを提供する。 【解決手段】 ポリプロピレン系ポリマーの末端に、下
記式(a)で示される構造を含むところの末端修飾ポリ
プロピレン系ポリマー。 【化1】−{(I),(II)}−H (a) [{(I),(II)}は、ユニットIおよびユニットII
のそれぞれ1種または2種以上がランダムに結合してい
ることを表し;ユニットIIは、ユニットIおよびユニッ
トIIの合計に対して1〜100モル%の割合で存在し;
ここで、ユニットIは次式(i)、ユニットIIは次式
(ii)で示される構造単位から選ばれる] 【化2】 【化3】 (R=HまたはCH3 、X=Hまたは活性水素を有しな
い置換基、Z=ハロゲン、OH、OR′またはOM、こ
こでR′=炭化水素基、M=金属原子)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、末端修飾ポリプロ
ピレン系ポリマーに関する。
【0002】
【従来の技術】従来のチーグラーナッタ型触媒によるプ
ロピレン等のα‐オレフィンの重合では、連鎖移動反応
や停止反応が起きるので、得られるポリマーを極性置換
基等で修飾することは困難であった。また、ポリマーを
後処理工程において極性置換基で修飾することはできる
が、すべてのポリマーを修飾することは困難であり、こ
のため、すべてのポリオレフィン分子に親水性を付与で
きないという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、親水性を有
する末端修飾ポリプロピレン系ポリマーを提供すること
を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
の結果、連鎖移動反応や停止反応を伴わない特定の重合
触媒系を用いて得られるリビングポリマー(ポリプロピ
レン系ポリマー)に、スチレン誘導体を反応させて末端
修飾した後、これをスルホン化処理することによって、
親水性を有するポリプロピレン系ポリマーを得ることが
できることを見出し本発明に到達した。
【0005】すなわち本発明は、次式(a):
【0006】
【化4】−{(I),(II)}−H (a) [上記式中、{(I),(II)}は、ユニットIおよび
ユニットIIのそれぞれ1種または2種以上がランダムに
結合していることを表し;ユニットIIは、ユニットIお
よびユニットIIの合計に対して1〜100モル%の割合
で存在し;ここで、ユニットIは次式(i):
【0007】
【化5】 (上記式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Xは
水素原子または活性水素を有しない置換基を表す)で示
される構造単位から選ばれ;ユニットIIは次式(ii):
【0008】
【化6】 (上記式中、RおよびXは前記と同義であり、Zはハロ
ゲン原子、OH基、OR′基またはOM基を表し、ここ
でR′は炭化水素基を表し、Mは金属原子を表す)で示
される構造単位から選ばれる]で示される構造を末端に
含むところの末端修飾ポリプロピレン系ポリマーであ
る。
【0009】本発明の好ましい態様を以下に示す。 (イ)ユニットIIが、ユニットIおよびユニットIIの合
計に対して5〜100モル%の割合で存在する上記の末
端修飾ポリプロピレン系ポリマー。 (ロ)前記式(a)で示される末端修飾基が、ポリプロ
ピレン系ポリマー1分子当たり平均して0.1 〜500 個の
割合で、ポリプロピレン系ポリマーに結合している上記
のいずれかに記載の末端修飾ポリプロピレン系ポリマ
ー。 (ハ)前記式(i)および(ii)において、Xが水素原
子、アルキル基およびアルケニル基から選択される上記
のいずれかに記載の末端修飾ポリプロピレン系ポリマ
ー。 (ニ)前記のいずれかに記載の末端修飾ポリプロピレン
系ポリマーの製造方法であって、次式(iii):
【0010】
【化7】 (上記式中、R1 、R2 およびR3 はそれぞれ独立し
て、水素原子または炭素数1〜8個を有する炭化水素基
を表す。ただし、R1 〜R3 の少なくとも1つが水素原
子である必要があるが、R1 〜R3 の全部が水素原子で
あってはならない)で示されるバナジウム化合物と有機
アルミニウム化合物とからなる触媒の存在下で、プロピ
レン(またはこれと他のα‐オレフィンモノマー)をリ
ビング重合して得られるリビングポリマーを、次式(i
v) :
【0011】
【化8】 (上記式中、RおよびXは前記と同義である)で示され
る化合物と反応させ、次いでスルホン化処理することを
特徴とする製造方法。 (ホ)バナジウム化合物として、下記式(v)、(vi)およ
び(vii) で示される化合物から選ばれるバナジウム化合
物の少なくとも1種を使用する前記の製造方法。
【0012】
【化9】
【0013】
【化10】
【0014】
【化11】 (ヘ)有機アルミニウム化合物として、ジアルキルアル
ミニウムモノハライド、モノアルキルアルミニウムジハ
ライドおよびアルキルアルミニウムセスキハライドから
選ばれる少なくとも1種の有機アルミニウム化合物を使
用する前記のいずれかに記載の製造方法。 (ト)式(iv)において、Xが水素原子、アルキル基お
よびアルケニル基から選択される前記のいずれかに記載
の製造方法。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の末端修飾ポリプロピレン
系ポリマーは、ポリプロピレン系ポリマーの末端が、前
記式(a)で修飾されているものである。ここで、ポリ
プロピレン系ポリマーとしては、プロピレン単独重合体
に限らず、プロピレンと他のα‐オレフィン(例えばエ
チレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1- ペンテン
等)との1種または2種以上のブロック共重合体もしく
はランダム共重合体または共重合体ゴムを包含する。ポ
リプロピレン系ポリマーは好ましくは、ポリプロピレン
またはエチレン‐プロピレンランダム共重合体である。
前記式(a)で示される末端修飾基はポリプロピレン系
ポリマーに、ポリプロピレン系ポリマー1分子当たり平
均して0.1 〜500 個結合する。
【0016】前記式(a)で示される末端修飾基におい
て、ユニットIおよびユニットIIはそれぞれの1種また
は2種以上がランダムに結合している。ユニットIIは、
ユニットIおよびユニットIIの合計に対して1〜100
モル%の割合で存在することが必要である。好ましく
は、ユニットIIは、ユニットIおよびユニットIIの合計
に対して5〜100モル%の割合で存在する。
【0017】前記式(i)および(ii)において、Xは
水素原子もしくは活性水素を有しない置換基である。X
が活性水素を有しない置換基の場合、Xはハロゲン原子
(例えば塩素原子、臭素原子など)、炭素数1〜10の
直鎖状もしくは分岐状のアルキル基(例えばメチル基、
エチル基、プロピル基など)、炭素数2〜10の直鎖状
もしくは分岐状のアルケニル基(例えばビニル基、アリ
ル基、イソプロペニル基など)等が挙げられる。好まし
くはXは、水素原子、アルキル基およびアルケニル基か
ら選択される。
【0018】前記式(ii)において、Zが表すOR′基
としては、例えば炭素数1〜10のアルコキシ基(例え
ばメトキシ基、エトキシ基、t-ブトキシ基など);炭素
数3〜10のシクロアルキルオキシ基(例えばシクロペ
ンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基など);アリ
ールオキシ基(例えばフェノキシ基、ベンジルオキシ基
など)等が挙げられる。好ましくは、OR′基は、メト
キシ基、エトキシ基およびブトキシ基から選択される。
また、OM基における金属Mとしては、例えばアルカリ
金属(例えばリチウム、ナトリウム、カリウム等)、ア
ルカリ土類金属(例えばカルシウム等)が挙げられる。
Zは好ましくは、OH基、ONa基およびOK基から選
択される。
【0019】上記した末端構造(a)を有するポリプロ
ピレン系ポリマーは、次のようにして製造できる。ま
ず、次式(iii):
【0020】
【化12】 (上記式中、R1 、R2 およびR3 は前記と同義であ
る)で示されるバナジウム化合物と有機アルミニウム化
合物とからなる触媒の存在下でプロピレン(またはこれ
と他のα‐オレフィンモノマー)をリビング重合して得
られるリビングポリマーを、次式(iv) :
【0021】
【化13】 (上記式中、RおよびXは前記と同義である)で示され
る化合物と反応させる。
【0022】ここで、上記式(iii)で示されるバナジウ
ム化合物の具体例について述べる。 (1) R2 が水素原子であり、R1 およびR3 が共に炭化
水素基である場合。R1/R3 の組合せとしては、例え
ばCH3 /CH3 、CH3 /C2 5 、C2 5/C2
5 、CH3 /C6 5 、C2 5 /C6 5 、C6
5 /C6 5 、CH3 /C6 5 CH2 、C6 5 CH
2 /C6 5 CH2 、C2 5 /C6 5CH2 、C6
5 /C6 5 CH2 が挙げられる。 (2) R2 が炭化水素基であり、R1 およびR3 のいずれ
か一方が水素原子で他方が炭化水素基である場合。R2
/R1 (もしくはR3 )の組合せとしては、例えばCH
3 /CH3 、C2 5 /CH3 、CH3 /C2 5 、C
2 5 /C2 5、C6 5 /CH3 、CH3 /C6
5 、C6 5 /C2 5 、C2 5 /C65 、C6
5 /C6 5 、C6 5 CH2 /CH3 、CH3 /C6
5 CH2、C6 5 CH2 /C6 5 CH2 、C6
5 CH2 /C2 5 、C2 5 /C6 5 CH2 、C6
5 CH2 /C6 5 、C6 5 /C6 5 CH2 が挙
げられる。 (3) R2 が水素原子であり、R1 およびR3 のいずれか
一方が水素原子で他方が炭化水素基である場合。R1
たはR3 としては、例えばCH3 、C2 5 、C
6 5 、C6 5 CH2 等が挙げられる。
【0023】これらの中でも特に、下記式(v)で示され
る化合物、すなわちV(アセチルアセトナト)3 ;下記
式(vi)で示される化合物、すなわちV(2-メチル-1,3
- ブタンジオナト)3 ;下記式(vii) で示される化合
物、すなわちV(1,3-ブタンジオナト)3 が好ましい。
【0024】
【化14】
【0025】
【化15】
【0026】
【化16】 次に、前記した触媒として用いられる有機アルミニウム
化合物は、一般式:
【0027】
【化17】Ra p AlY3-p (上記式中、Ra はアルキル基またはアリール基であ
り、Yはハロゲン原子または水素原子であり、pは1≦
p<3を満たす任意の数である)で示される化合物を使
用できる。好ましい有機アルミニウム化合物は、炭素数
1〜18個、好ましくは炭素数2〜6個を有する有機アル
ミニウム化合物またはその混合物または錯化合物であ
り、例えばジアルキルアルミニウムモノハライド、モノ
アルキルアルミニウムジハライド、アルキルアルミニウ
ムセスキハライドなどが挙げられる。ジアルキルアルミ
ニウムモノハライドとしては、例えばジメチルアルミニ
ウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジエチ
ルアルミニウムブロミド、ジエチルアルミニウムアイオ
ダイド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどが挙げ
られ;モノアルキルアルミニウムジハライドとしては、
例えばメチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニ
ウムジクロリド、メチルアルミニウムジブロミド、エチ
ルアルミニウムジブロミド、エチルアルミニウムジアイ
オダイド、イソブチルアルミニウムジクロリドなどが挙
げられ;アルキルアルミニウムセスキハライドとして
は、例えばエチルアルミニウムセスキクロリドなどが挙
げられる。
【0028】触媒におけるバナジウム化合物と有機アル
ミニウム化合物の割合は、バナジウム化合物1モル当た
り、有機アルミニウム化合物1〜1,000 モルが好まし
い。
【0029】プロピレンのリビング重合は、前記したよ
うに、プロピレンの単独重合以外に、プロピレンにエチ
レン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1- ペンテン等
のα‐オレフィンを共存させて重合することが可能であ
る。
【0030】重合反応は、重合反応に対して不活性で、
かつ重合時に液状である溶媒中で行うのが好ましい。そ
のような溶媒としては、例えばプロパン、ブタン、ペン
タン、ヘキサン、ヘプタン等の飽和脂肪族炭化水素;シ
クロプロパン、シクロヘキサン等の飽和脂環式炭化水
素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素
などが挙げられる。
【0031】プロピレンの重合時の重合触媒の使用量
は、プロピレン(および他のα‐オレフィン)1モル当
たり、バナジウム化合物が1×10-4〜0.1 モル、好まし
くは5×10-4〜5×10-2モルで、有機アルミニウム化合
物が1×10-4〜0.5 モル、好ましくは1×10-3〜0.1 モ
ルである。なお、バナジウム化合物1モル当たり、有機
アルミニウム化合物は4〜100 モル用いられるのが望ま
しい。
【0032】リビング重合は、通常−100℃〜100
℃で、0.5 〜50時間行われる。
【0033】得られるリビングポリプロピレンの分子量
および収量は反応温度および反応時間を変えることによ
り調節できる。重合温度を低温、特に−30℃以下にす
ることにより、単分散に近い分子量分布を持つポリマー
とすることができる。−50℃以下ではMw(重量平均
分子量)/Mn(数平均分子量)が、1.05〜1.40のリビ
ング重合体(またはリビング共重合体)とすることがで
きる。
【0034】重合反応時に、反応促進剤を用いることが
できる。反応促進剤としては、アニソール、水、酸素、
アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノー
ル等)、エステル(安息香酸エチル、酢酸エチル等)が
挙げられる。促進剤の使用量は、バナジウム化合物1モ
ル当たり、通常0.1 〜2モルである。
【0035】上記のようにして、約800 〜400,000 の数
平均分子量を持ち、単分散に近いリビングポリプロピレ
ンを製造できる。
【0036】リビング共重合体、例えばプロピレンとエ
チレンのランダム共重合体の場合には、エチレンとプロ
ピレンの割合は、通常エチレンが90モル%までであ
る。これは、リビング重合時のエチレンとプロピレンの
使用割合を変えることにより調節できるが、エチレンの
使用割合を多くすると、該共重合体の分子量分布が広く
なり、望ましくない。エチレン含有量が高く、分子量分
布が狭い、すなわち単分散に近いリビング共重合体を製
造する場合には、エチレンとプロピレンをリビング共重
合する前に、重合系に微量のプロピレンを供給し、0.
1〜1時間保持することにより、リビング共重合体の分
子量分布を狭くしたままで、共重合体中に多量のエチレ
ンを導入することができる。
【0037】上記のようにして、約500 〜500,000 の数
平均分子量(プロピレン換算)を持ち、単分散に近いリ
ビングエチレン‐プロピレンランダム共重合体を製造す
ることができる。
【0038】次に、末端構造を導入するために、リビン
グポリマー(ポリプロピレン系ポリマー)と、前記式
(iv)で示される化合物とを反応させ、リビングポリマ
ーの末端にユニットIを結合させる。化合物(iv)は、
スチレンまたはその誘導体であり、スチレン、ジビニル
ベンゼン、アリルスチレン、ブテニルスチレン等を好ま
しく使用でき、単独もしくは2種以上の組合せで用いる
ことができる。リビングポリマー(ポリプロピレン系ポ
リマー)と化合物(iv)との反応は、リビングポリマー
が存在する反応系に、化合物(iv)を供給して反応させ
る方法が好ましい。反応は通常、−100℃〜150℃
の温度で5分間〜50時間行う。反応温度を高くする
か、反応時間を長くすることにより、化合物(iv)ユニ
ットによるポリプロピレン系ポリマー末端の変性率を増
大することができる。リビングポリマー(ポリプロピレ
ン系ポリマー)1モルに対して、通常化合物(iv)を1
〜1,000 モル使用する。
【0039】リビングポリマー(ポリプロピレン系ポリ
マー)と化合物(iv)との反応物は、次いでプロトン供
与体と接触させる。プロトン供与体としては、例えばメ
タノール、エタノール等のアルコール類;フェノール
類;塩酸、硫酸等の鉱酸が挙げられる。アルコール類、
フェノール類および鉱酸は同時に用いてもよい。プロト
ン供与体は、通常大過剰に用いられる。プロトン供与体
との接触は通常、−100℃〜100℃で1分間〜10
時間行われる。
【0040】上記のようにして得られた末端修飾ポリプ
ロピレン系ポリマーは、約800 〜500,000 の数平均分子
量(Mn)を有し、かつ前記のリビングポリプロピレン
そのものを踏襲した非常に狭い分子量分布(Mw/Mn
=1.05〜1.40)を有する。しかも、その末端に、平均し
て0.1 〜500 個のユニットIを有する。
【0041】また、このようにして製造した末端修飾ポ
リプロピレン系ポリマーは、シンジオタクチックダイア
ッド分率が0.6 以上であることが1つの特徴である。
【0042】次に、かくして得られた末端修飾ポリプロ
ピレン系ポリマー(末端にユニットIを有する)を、ス
ルホン化処理することにより、末端基の少なくとも一部
がスルホン化されて、上記末端構造(a)を有するポリ
プロピレン系ポリマーを得ることができる。すなわち、
末端構造(a)においては、ユニットIがスルホン化さ
れて得られたユニットII、またはこれとスルホン化され
ていないユニットIとが、ランダムに結合している。ス
ルホン化は、慣用のやり方で行うことができる。例えば
ポリマーに硫酸または発煙硫酸を作用させる、クロルス
ルホン酸を作用させる等の方法が挙げられる。
【0043】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明する。
【0044】実施例1 (a) プロピレンのリビング重合 窒素ガスで十分置換した300 mlのフラスコに、トルエ
ン30mlを入れ、−60℃に冷却した。この温度で液化
プロピレン200 ミリモルを加え、トルエンに溶解した。
次いで、15ミリモルのAl(C2 5 2 Clのトルエ
ン溶液および1.5 ミリモルのV(2-メチル-1,3- ブタン
ジオナト)3 のトルエン溶液を加え、撹拌と共に重合を
開始した。プロピレンの重合を−60℃で1時間行っ
た。 (b) スチレンとの反応 上記の反応系にスチレン7ミリモルを−60℃で添加
し、同温度で30分間反応させた。その後、この反応溶
液を500 mlのエタノール中に注ぎ入れて、ポリマーを
析出させた。析出物をn-ヘプタンに溶解させ、遠心分離
により上澄み液を得た。この上澄み液を、500 mlのメ
タノール中に注ぎ入れて、再度ポリマーを析出させた。
得られたポリマーをメタノールで5回洗浄した後、室温
で減圧乾燥した。1.47gのポリマーが得られた。
【0045】得られたポリマーの分子量および分子量分
布を、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ー)モデル150 (ウォーターズ(Waters)社製)を用いて
求めた。溶媒としてo-ジクロルベンゼンを用い、測定温
度135 ℃、溶媒流速1.0 ml/分にて行った。カラムは
GMH6HT(商品名、東ソー社製)を使用した。測定
にあたり、東ソー社製の単分散ポリスチレン標準試料を
用い、ポリスチレンの検量線を作成した。これより、ユ
ニバーサル法によりポリプロピレンの検量線を作成し
た。得られたポリマーのGPC流出曲線は、単峰性であ
った。このポリマーの数平均分子量(Mn)は、4.2 ×
103 であり、Mw/Mnは1.34と単分散に近い値で
あった。 (c) ポリマーの構造決定 IR:日本分光工業社製モデルIR−810(商品名)
赤外線分光光度計を用いて、液膜法(KBr板)にて測
定した。1600cm-1付近にベンゼン環のC−C結合の伸縮
振動に基づく吸収、および700cm -1付近にC−Hの面外
変角振動に基づく吸収が観察された。
【0046】1H−NMR:日本電子社製GSX−40
0(商品名)、フーリエ変換型NMRスペクトロメータ
ーを用い、400 MHz、30℃、パルス間隔15秒の条件
で測定した。試料は、重クロロホルムに溶解して調製し
た。ポリプロピレンのプロトンに起因するピーク(δ=
0.7 〜1.7 ppm )以外に、スチレンのベンゼン環のプロ
トンに起因するピーク(δ=6.3 〜7.3 ppm )が観測さ
れた。
【0047】ポリプロピレン部分のプロトンシグナル
(δ=0.7 〜1.7 ppm )と、スチレンのベンゼン環のプ
ロトンに起因するピークのシグナルとの面積比から、得
られたポリマーは、ポリプロピレンの末端に平均して7
個のスチレンユニットが導入されたものであることが判
明した。 (d) スルホン化反応 窒素ガスで十分に置換した300mlのフラスコに、上
記で得られたポリマー1.0gとクロロホルム100m
lを入れ、ポリマーをクロロホルムに溶解させた。これ
を−8℃に冷却、撹拌して、クロルスルホン酸を1ミリ
モル加え、この温度で2時間反応させた。次いで、1モ
ル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液5mlを加え
て、さらに1時間反応させた。
【0048】この溶液を水で5回洗浄した後、1リット
ルのメタノール中に注ぎ入れて、ポリマーを沈殿させ、
回収した。回収したポリマーは室温で減圧乾燥した。得
られたポリマーを元素分析したところ、S含量2.5重
量%であった。すなわち、末端に導入されたスチレンユ
ニットのうち、53モル%がスルホン化された。
【0049】実施例2 実施例1の(a) および(b) と同様にして、末端にスチレ
ンユニットが導入されたリビングポリプロピレンを得
た。
【0050】次に、クロルスルホン酸の量を2ミリモル
に変えた以外は実施例1の(d) と同様にしてスルホン化
を行った。得られたポリマーを元素分析したところ、S
含量4重量%であった。すなわち、末端に導入されたス
チレンユニットのうち、85モル%がスルホン化され
た。
【0051】得られたスルホン化ポリプロピレンの親水
性評価試験を接触角計(協和界面科学社製)を用いて行
った。上記で得られたスルホン化ポリプロピレン0.5
gをヘキサン5mlに溶解し、スライドガラス表面に塗
布し、溶媒を自然乾燥させた。このスライドガラスを水
中に6時間浸した後、ポリマー上の水分を静かに拭き取
った。ポリマーと水の接触角を液滴法により求めたとこ
ろ、15°であった。一方、末端修飾していないポリプ
ロピレンを用い、上記と同様にして接触角を求めたとこ
ろ、105°であった。
【0052】実施例3 (a) プロピレンのリビング重合 実施例1の(a) と同様にして、リビングポリプロピレン
を得た。 (b) ジビニルベンゼンとの反応 スチレン7ミリモルの代わりにジビニルベンゼン7ミリ
モル(実質的なジビニルベンゼンの量であり、試薬とし
てはさらに3ミリモルのエチルスチレンを含む)を使用
した以外は実施例1の(b) と同様にして、末端にジビニ
ルベンゼンユニットが導入されたポリプロピレンを製造
した。GPC分析の結果、このポリマーの数平均分子量
(Mn)は、4500であった。 (c) ポリマーの構造決定 実施例の(c) と同一条件で、IRおよび 1H−NMRを
測定した。IRの結果から、1600cm-1付近にベンゼン環
のC−C結合の伸縮振動に基づく吸収、および700cm -1
付近にC−Hの面外変角振動に基づく吸収が観察され
た。
【0053】1H−NMRの結果から、ポリプロピレン
のプロトンに起因するピーク(δ=0.7 〜1.7 ppm )以
外に、ジビニルベンゼンのベンゼン環のプロトンに起因
するピーク(δ=6.3 〜7.3 ppm )が観測された。
【0054】ポリプロピレン部分のプロトンシグナル
(δ=0.7 〜1.7 ppm )と、ジビニルベンゼンのベンゼ
ン環のプロトンに起因するピークのシグナルとの面積比
から、得られたポリマーは、ポリプロピレンの末端に平
均して9個のジビニルベンゼンユニットと3個のエチル
スチレンユニットが導入されたものであることが判明し
た。 (d) スルホン化反応 上記で得られたポリマーを、実施例1の(d) と同様にし
てスルホン化した。得られたポリマーを元素分析したと
ころ、S含量1.4重量%であった。すなわち、末端に
導入されたユニットIのうち、22モル%がスルホン化
された。
【0055】実施例4 実施例1の(a) および(b) と同様にして、末端にスチレ
ンユニットが導入されたリビングポリプロピレンを得
た。
【0056】次に、スルホン化を行ったが、実施例1の
(d) スルホン化において、クロルスルホン酸と反応させ
た後、水酸化ナトリウム水溶液で処理することなく、反
応物を1リットルのメタノール中に注ぎ入れて、ポリマ
ーを沈殿させ、回収した。回収したポリマーは室温で減
圧乾燥した。得られたポリマーを元素分析したところ、
S含量2.5重量%であった。すなわち、末端に導入さ
れたスチレンユニットのうち、53モル%がスルホン化
された。また、このスルホン化物について、 1H−NM
R分析を行ったところ、スルホン酸メチルが導入されて
いることが判明した。
【0057】
【発明の効果】本発明の末端修飾ポリプロピレン系ポリ
マーは、末端基がスルホン化されているので、極性また
は親水性を有する。よって、親水性が必要とされるポリ
プロピレン系ポリマー用途において有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今西 邦彦 埼玉県入間郡大井町西鶴ヶ岡一丁目3番1 号 東燃株式会社総合研究所内 (72)発明者 小原 忠直 埼玉県入間郡大井町西鶴ヶ岡一丁目3番1 号 東燃株式会社総合研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式(a): 【化1】−{(I),(II)}−H (a) [上記式中、{(I),(II)}は、ユニットIおよび
    ユニットIIのそれぞれ1種または2種以上がランダムに
    結合していることを表し;ユニットIIは、ユニットIお
    よびユニットIIの合計に対して1〜100モル%の割合
    で存在し;ここで、ユニットIは次式(i): 【化2】 (上記式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Xは
    水素原子または活性水素を有しない置換基を表す)で示
    される構造単位から選ばれ;ユニットIIは次式(ii): 【化3】 (上記式中、RおよびXは前記と同義であり、Zはハロ
    ゲン原子、OH基、OR′基またはOM基を表し、ここ
    でR′は炭化水素基を表し、Mは金属原子を表す)で示
    される構造単位から選ばれる]で示される構造を末端に
    含むところの末端修飾ポリプロピレン系ポリマー。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002036662A1 (fr) * 2000-10-30 2002-05-10 Mitsui Chemicals, Inc. Polymere organique et nouveau compose polymerisable
CN102786140A (zh) * 2011-05-20 2012-11-21 北京师范大学 一种聚丙烯生物填料的表面改性方法

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US6797805B2 (en) 2000-10-30 2004-09-28 Mitsui Chemicals, Inc. Organic polymers and novel polymerizable compounds
CN102786140A (zh) * 2011-05-20 2012-11-21 北京师范大学 一种聚丙烯生物填料的表面改性方法

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