JP3969919B2 - 主鎖の末端のみに極性官能基を有するポリエチレンおよびその製造方法 - Google Patents

主鎖の末端のみに極性官能基を有するポリエチレンおよびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主鎖の末端のみに極性官能基を有するポリエチレンおよびその製造方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
分子鎖の末端に極性官能基を有するポリオレフィンは、例えばポリマーブレンドの相溶化剤、塗料の塗装性改良剤、ポリオレフィンの塗装性改良剤や接着性改良剤、分子設計の際の原料として有用である。
【0003】
このような分子鎖の末端に極性官能基を有するポリオレフィンは、例えばポリオレフィンと、不飽和カルボン酸などの官能基構造を有する化合物とを、有機過酸化物などの重合開始剤の存在下に溶融混練する方法などにより製造することができる。しかしながらこのような方法では、官能基の導入量を調整することが難しく、均質な性状を有する変性ポリオレフィンが得にくい。また、得られた変性ポリオレフィンには二重結合構造が残っているため、酸素による劣化などの変性を受けやすい。
【0004】
ところで、分子鎖の末端に極性官能基を有するポリオレフィンのうち、極性官能基、例えば不飽和カルボン酸由来の官能基を主鎖の末端のみに有するポリオレフィンは、性状が均質であるため相溶化剤、塗装性改良剤などとして優れた性能が期待できる。また、主鎖の末端のみに極性官能基を有するポリオレフィンは、分子設計の際の原料として特に有用である。しかしながら従来の方法で、ポリオレフィンに不飽和カルボン酸由来の官能基などの極性官能基を導入しようとする場合、ポリマー一分子に対して末端官能基一分子で反応を止めることは困難であった。また、主鎖の末端のみに不飽和カルボン酸由来の官能基を有するポリオレフィンを、重合により直接製造する方法は知られていなかった。
【0005】
このような状況のもと、本発明者らは鋭意検討した結果、特定の遷移金属錯体を含む触媒の存在下に、オレフィンと無水マレイン酸とを反応させると、主鎖の末端のみに不飽和カルボン酸由来の官能基を有するポリオレフィンが得られることを見出した。また、このような主鎖の末端のみに不飽和カルボン酸由来の官能基を有するポリオレフィンは、相溶化剤、塗装性改良剤などとして優れた性能を有し、分子設計の際の原料として有用であり、かつ分子内に二重結合を有しないため酸素による劣化などの変性を受け難いことを見出して本発明を完成するに至った。
【0006】
【発明の目的】
本発明は、主鎖の末端のみに無水マレイン酸由来の極性官能基を有するポリエチレンを提供することを目的とするとともに、このようなポリエチレンの製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【発明の概要】
本発明に係るポリエチレンは、下記式(i)または(ii)
【0008】
【化6】
Figure 0003969919
【0009】
(式(ii)中、XおよびYは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数1〜5のアルキル基、水素原子、アルカリ金属またはシリル基を示す。)
で表される極性官能基を、主鎖の末端のみに有することを特徴としている。
【0010】
本発明に係る主鎖の末端のみに上記式(i)で表される極性官能基を有するポリエチレンの製造方法は、
(A)下記一般式(iii)で表される遷移金属錯体と、
(B)有機アルミニウム化合物と
からなる触媒の存在下に、エチレンと無水マレイン酸とを反応させることを特徴としている。
【0011】
【化7】
Figure 0003969919
【0012】
(式中、Mは、コバルトを示し、Rは、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基を示し、Arは、互いに同一でも異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアリール基を示す。)
本発明に係る主鎖の末端のみに上記式(ii)で表される極性官能基を有するポリエチレンの製造方法は、上記式(i)で表される官能基を主鎖の末端のみに有するポリエチレンと、アルコール、アルカリ金属塩およびアルキル化試剤から選ばれる1種の化合物とを反応させることを特徴としている。
【0013】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る主鎖の末端のみに極性官能基を有するポリオレフィンおよびその製造方法について具体的に説明する。
【0014】
本発明に係るポリオレフィンは、ポリオレフィン構造を基本骨格として有し、その主鎖の末端のみ、好ましくは主鎖の一末端のみに下記式(i)または(ii)で表される極性官能基を有する。
【0015】
【化8】
Figure 0003969919
【0016】
上記式(ii)において、XおよびYは、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、アルカリ金属またはシリル基を示す。
【0017】
炭素原子数1〜5のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピルなどが挙げられ、アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウムなどが挙げられ、シリル基としては、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジメチル-t-ブチルシリル、ジメチル(ベンダフルオロフエニル)シリルなどが挙げられる。
【0018】
基本骨格となるポリオレフィン構造は、炭素原子数1〜20のオレフィンから選ばれるオレフィンから導かれる繰り返し単位から形成されている。
ここで炭素原子数1〜20のオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどの直鎖状または分岐状オレフィン;シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5-メチル-2-ノルボルネン、テトラシクロドデセン、2-メチル-1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロナフタレンなどの環状オレフィンなどが挙げられる。
【0019】
基本骨格となるポリオレフィン構造は、上記オレフィンから導かれる繰り返し単位1種のみから形成されていもよく、2種以上から形成されていてもよい。また、基本骨格となるポリオレフィン構造は、直鎖状であることが好ましいが、分岐を有していてもよい。
【0020】
本発明では、基本骨格となるポリオレフィン構造は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレンランダム共重合体などが好ましい。
本発明に係る極性官能基を主鎖の末端のみに有するポリオレフィンは、数平均分子量が、通常100〜10万、特に1,000〜10,000の範囲にあることが好ましい。
【0021】
また、本発明に係る極性官能基を主鎖の末端のみに有するポリオレフィンは、分子内に二重結合を有しておらず、このため酸素による劣化などの変性を受け難く、熱的に安定である。
【0022】
製造方法
上記式(i)で表される極性官能基を主鎖の末端のみ、好ましくは主鎖の一末端のみに有するポリオレフィンは、例えば下記遷移金属錯体(A)と、有機アルミニウム化合物(B)とからなる触媒の存在下に、オレフィンと無水マレイン酸とを共重合させることによって製造することができる。
【0023】
本発明で用いられる遷移金属錯体(A)としては、下記一般式(iii)で表される化合物が挙げられる。
【0024】
【化9】
Figure 0003969919
【0025】
式(iii)中、Mは、鉄、コバルト、ルテニウム、ロジウムを示し、コバルトが好ましい。
Rは、互いに同一でも異なっていてもよく、メチル、エチルなどの炭素原子数1〜5、好ましくは1〜3アルキル基、水素原子などを示す。
【0026】
Arは、互いに同一でも異なっていてもよく、フェニル、2,6-ジメチルフェニル、2,6-イソプロピルフェニル、メシチルなどの置換基を有していてもよいアリール基を示す。
【0027】
上記一般式(iii)で表される遷移金属錯体として好ましいものとしては、
Mがコバルトであり、Rがメチルであり、Arがメシチルである化合物、
Mがコバルトであり、Rがメチルであり、Arがフェニルである化合物、
Mがコバルトであり、Rが水素原子であり、Arがメシチルである化合物、
Mがコバルトであり、Rが水素原子であり、Arがフェニルである化合物、
Mが鉄であり、Rがメチルであり、Arがメシチルである化合物などが挙げられる。
【0028】
有機アルミニウム化合物(B)としては、下記一般式(iv)で表される有機アルミニウム化合物、アルミノキサンなどが挙げられる。
1 n AlX1 3-n …(iv)
式中、R1 は炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、X1 はハロゲン原子または水素原子を示し、nは1〜3である。
【0029】
このような炭素原子数が1〜15の炭化水素基としては、例えばアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基が挙げられ、具体的には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、トリルなどが挙げられる。
【0030】
上記一般式(iv)で表される有機アルミニウム化合物として具体的には、以下のような化合物が挙げられる。
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリ2-エチルヘキシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;
一般式 (i-C49)x Aly (C510)z
(式中、x、y、zは正の数であり、z≧2xである。)で表されるイソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウム;
トリイソプロペニルアルミニウムなどのトリアルケニルアルミニウム;
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムブロミドなどのジアルキルアルミニウムハライド;
メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、イソプロピルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;
メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライド;
ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;
エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなど。
【0031】
アルミノキサン(有機アルミニウムオキシ化合物、アルモキサンともいう。)は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、またベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
【0032】
従来公知のアルミノキサンは、具体的には、下記一般式で表される。
【0033】
【化10】
Figure 0003969919
【0034】
(上記一般式において、Rはメチル、エチル、プロピル、ブチルなどの炭化水素基であり、好ましくはメチル、エチル、特に好ましくはメチルであり、mは2以上、好ましくは5〜40の整数である。)
ここで、このアルミノキサンは式(OAl(R1))で表されるアルキルオキシアルミニウム単位および式(OAl(R2))で表されるアルキルオキシアルミニウム単位(ここで、R1 およびR2 はRと同様の炭化水素基を例示することができ、R1 およびR2 は相異なる基を表わす。)からなる混合アルキルオキシアルミニウム単位から形成されていてもよい。
【0035】
アルミノキサンとして具体的には、メチルアルミノキサンなどが挙げられる。
有機アルミニウム化合物(B)としては、アルミノキサンを用いることが好ましい。
【0036】
重合に用いられるオレフィンとしては、上述したような炭素原子数1〜20のオレフィンが挙げられ、これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。これらのうちエチレン、プロピレンまたはこれらの組み合わせが好ましい。
【0037】
重合は通常液相で行われ、重合に用いられる不活性炭化水素媒体として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物などを挙げることができ、オレフィン自身を溶媒として用いることもできる。これらのなかでは、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素が好ましい。
【0038】
重合反応時の遷移金属錯体(A)の濃度は、重合容積1リットル当たり、遷移金属原子に換算して通常0.01〜100ミリモル、好ましくは0.5〜2ミリモルである。有機アルミニウム化合物(B)の濃度は、重合容積1リットル当たり、アルミ原子に換算して通常0.001〜10モル、好ましくは0.05〜0.2モルである。
【0039】
重合反応時の無水マレイン酸の濃度は、使用する溶媒に対して通常0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜2重量%である。
重合は、好ましくは−78〜250℃、より好ましくは−30〜100℃の温度で行われる。重合圧力は、好ましくは0.5〜64バール、好ましくは1〜10バールである。なお、エチレンの重合または共重合の場合には、エチレンガスを重合系に供給することにより上記圧力とすることができる。
【0040】
重合反応時には、オレフィンと無水マレイン酸とを同時に反応系に添加してもよく、オレフィンの重合が開始した後に無水マレイン酸を重合系に添加してもよい。
【0041】
上記のような方法で、本発明に係る上記式(i)で表される極性官能基を主鎖の末端のみ、好ましくは主鎖の一末端のみに有するポリオレフィン(末端極性官能基ポリオレフィン(i))が得られるが、このポリオレフィンは極性官能基を全く含まないポリオレフィン(例えば、末端にビニル基を有するポリオレフィン)との混合物として得られる場合もある。この場合は、化学手法によって極性官能基を主鎖の末端のみに有するポリオレフィンと、極性官能基を全く含まないポリオレフィンとを分離すればよい。
【0042】
上記式(ii)で表される極性官能基を主鎖の末端のみに有するポリオレフィンは、例えばアルコール、アルカリ金属塩およびアルキル化試剤から選ばれる1種の化合物と、末端極性官能基ポリオレフィン(i)とを反応させることにより製造することができる。
【0043】
末端極性官能基ポリオレフィン(i)との反応に用いられるアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノールなどの炭素原子数が1〜5、好ましくは1〜3のアルコールが用いられる。これらのアルコールは、1種単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0044】
末端極性官能基ポリオレフィン(i)との反応に用いられるアルカリ金属塩としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどが用いられる。これらのアルカリ金属塩は、1種単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0045】
末端極性官能基ポリオレフィン(i)との反応に用いられるアルキル化試剤としては、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、トリメチルシリルジアゾメタンなどが用いられる。これらのアルキル化試剤は、1種単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0046】
末端極性官能基ポリオレフィン(i)とアルコールとの反応は、溶媒中で末端極性官能基ポリオレフィン(i)とアルコールとを撹拌することで行われる。このとき溶媒は、末端極性官能基ポリオレフィン(i)の重量に対して、好ましくは100〜10000倍、より好ましくは500〜5000倍の重量で用いられ、アルコールは、末端極性官能基ポリオレフィン(i)の重量に対して、好ましくは10〜1000倍、より好ましくは50〜500倍の重量で用いられる。反応温度は、好ましくは0〜200℃、より好ましくは25〜100℃である。反応圧力は、好ましくは0.5〜50バール、より好ましくは1〜10バールである。溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素溶媒が用いられ、また反応に供するアルコールを溶媒としてもよい。末端極性官能基ポリオレフィン(i)とアルコールとを反応させると、上記一般式(ii)においてX、Yがアルキル基である極性官能基を主鎖の末端のみに有するポリオレフィンが得られる。
【0047】
末端極性官能基ポリオレフィン(i)とアルカリ金属塩との反応は、溶媒中で末端極性官能基ポリオレフィン(i)とアルカリ金属塩とを撹拌することで行われる。このとき溶媒は、末端極性官能基ポリオレフィン(i)の重量に対して好ましくは100〜10000倍、より好ましくは500〜5000倍の重量で用いられ、アルカリ金属塩は、末端極性官能基ポリオレフィン(i)の重量に対して、好ましくは10〜1000倍、より好ましくは50〜500倍の重量で用いられる。反応温度は、好ましくは0〜200℃、より好ましくは25〜100℃である。反応圧力は、好ましくは0.5〜50バール、より好ましくは1〜10バールである。溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素溶媒が用いられる。末端極性官能基ポリオレフィン(i)とアルカリ金属塩とを反応させると、上記一般式(ii)においてX、Yが、アルカリ金属である極性官能基を主鎖の末端のみに有するポリオレフィンが得られる。また、末端極性官能基ポリオレフィン(i)とアルカリ金属塩とを反応させる際には、溶媒としてメタノール、エタノール、イソプロパノール、tert-ブタノールなどの炭素原子数1〜5のアルコールまたは、これらのアルコールと上記炭化水素溶媒との混合物を用いることができ、この場合、上記一般式(ii)においてX、Yが、アルカリ金属および/またはアルコールである極性官能基を主鎖の末端のみに有するポリオレフィンが得られる。
【0048】
末端極性官能基ポリオレフィン(i)とアルキル化試剤との反応は、溶媒中で末端極性官能基ポリオレフィン(i)とアルキル化試剤とを撹拌することで行われる。このとき溶媒は、末端極性官能基ポリオレフィン(i)の重量に対して好ましくは10〜10000倍、より好ましくは500〜5000倍の重量で用いられ、アルキル化試剤は、ポリマー重量に対して、好ましくは10〜1000倍、より好ましくは50〜500倍の重量で用いられる。反応温度は、好ましくは0〜200℃、より好ましくは25〜100℃である。反応圧力は、好ましくは0.5〜50バール、より好ましくは1〜10バールである。溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエンなどが用いられる。なお、反応中にアルキル化試剤に対して等モル等量までのアルカリ金属塩を存在させてもよく、アルカリ金属塩を共存させると、末端極性官能基ポリオレフィン(i)とアルキル化試剤との反応速度が向上する。末端極性官能基ポリオレフィン(i)とアルキル化試剤とを反応させると、上記一般式(ii)においてX、Yが、アルキル基である極性官能基を主鎖の末端のみに有するポリオレフィンが得られる。
【0049】
このようにアルコール、アルカリ金属塩、アルキル化試剤などと、ポリオレフィンの主鎖の末端にある上記式(i)で表される極性官能基とを反応させることにより、主鎖の末端のみにエステル、カルボン酸、カルボン酸塩等の極性官能基を有するポリオレフィンが得られる。
【0050】
上記のような方法で、本発明に係る上記式(ii)で表される極性官能基を主鎖の末端のみに有するポリオレフィンが得られるが、このポリオレフィンは極性官能基を全く含まないポリオレフィン(例えば、末端にビニル基を有するポリオレフィン)との混合物として得られる場合もある。この場合は、化学手法によって極性官能基を主鎖の末端のみに有するポリオレフィンと、極性官能基を全く含まないポリオレフィンとを分離すればよい。
【0051】
上記のようにして得られた、主鎖の末端のみに上記式(i)または(ii)で表される極性官能基を有するポリオレフィンの構造は、IR、1H−NMRにより確認することができる。
【0052】
【発明の効果】
本発明に係る主鎖の末端のみに無水マレイン酸由来の極性官能基を有するポリオレフィンは、ポリマーブレンドの相溶化剤、塗料の塗装性改良剤、ポリオレフィンの塗装性改良剤や接着性改良剤として優れた性能を有し、分子設計の際の原料として有用である。また、このようなポリオレフィンは、容器、フィルムなどの成形材料として用いることができる。
【0053】
本発明に係る製造方法は、従来の方法では得られなかった主鎖の末端のみに無水マレイン酸由来の官能基を有するポリオレフィンを製造することができる。
【0054】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0055】
【実施例1】
アルゴン置換した100mlのフラスコに、下記式で表される化合物Aを26.4mg(0.05mmol)、トルエンを50ml入れ、系内をさらにエチレンで置換した。上記化合物Aを含むトルエン溶液をマグネチックスターラーで撹拌し、メチルアルミノキサンのトルエン溶液(1.21モル/リットル)を5.0ml加え、続いて無水マレイン酸500mgを続けて添加した。温度を25℃に保ったまま、エチレンガス雰囲気下で24時間反応させた。反応溶液をメタノール1リットルと濃塩酸2mlとの混合液中に注ぎ、生成物を析出させた後、これをろ過し、100mlのトルエンに110℃で完全に溶解させ、再沈殿させる洗浄操作を2回行った後、乾燥させた。得られた生成物(ポリエチレン(1))の収量は、372mgであった。
【0056】
ポリエチレン(1)の分析はIRで行い、無水カルボン酸、エステル、カルボン酸のカルボニルに由来する吸収(1783cm-1、1742−1719cm-1)を確認した。図1にポリエチレン(1)のIRスペクトルを示す。
【0057】
【化11】
Figure 0003969919
【0058】
【実施例2】
実施例1で得られたポリエチレン(1)全量を500mlのフラスコに入れ、アルゴン雰囲気下、300mlのメタノール、塩化水素ガス2mmolとともに二日間室温で撹拌した。溶媒を留去した後、反応器内をアルゴン置換し、トルエン200ml、トリメチルシリルジアゾメタン1mmolを加え、40℃で6時間反応させた。溶媒を留去した後、生成物をメタノール洗浄し、乾燥させた。生成物(ポリエチレン(2))の収量は350mgであった。
【0059】
ポリエチレン(2)の分析はIR、1H-NMRで行った。図2および図3に、ポリエチレン(2)のIRスペクトル、1H-NMRスペクトルをそれぞれ示し、図4に下記式(vii)で表される標品の1H-NMRスペクトルを示す。
【0060】
図2に示すポリエチレン(2)のIRスペクトルでは1748cm-1にエステルのカルボニルに由来する吸収がみられ、その他の無水カルボン酸、カルボン酸、カルボン酸塩のカルボニルに由来する吸収はみられない。図3に示すポリエチレン(2)の 1H-NMRスペクトルではケミカルシフト値、ピークの分裂パターンおよび図4に示す標品の 1H-NMRスペクトルとの比較によって、ビニル基▲1▼、メチルエステルのメトキシル基▲2▼、エステルα位のメチレン▲3▼、エステルα位のメチン▲4▼、ビニル基α位のメチレン▲5▼、ポリエチレン主鎖のメチレン▲6▼、ポリエチレン末端のメチル▲7▼と判断されるピークが観測され、その積分強度比は▲1▼:▲2▼:▲3▼:▲4▼:▲5▼:▲6▼:▲7▼=1:0.63:0.21:0.10:0.67:64.6:1.32である。「▲1▼の積分強度」と「▲2▼の積分強度の1/2」の合計が「▲7▼の積分強度」になっていることから、ポリエチレン(2)は下記式(v)、(vi)で表される化合物の混合物(式(v)で表される化合物と、式(vi)で表される化合物とのモル比率は24:76)であると判断される。このとき他のピークの強度に関しても矛盾なく説明される。
【0061】
【化12】
Figure 0003969919
【0062】
また、図3から、(メチルエステルのモル数/メチレンの総モル数)が0.0065であると判断され、このことから、数平均分子量が1030であることがわかる。
【0063】
以上の結果から、実施例1で得られたポリエチレン(1)は、主鎖の一末端のみに上記式(i)で表される極性官能基を有するポリエチレンであると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で得られたポリオレフィンのIRスペクトルである。
【図2】 実施例2で得られたポリオレフィンのIRスペクトルである。
【図3】 実施例2で得られたポリオレフィンの 1H-NMRスペクトルである。
【図4】 標品の1H-NMRスペクトルである。

Claims (4)

  1. 下記式(i)
    Figure 0003969919
    で表される極性官能基を、主鎖の末端のみに有することを特徴とするポリエチレン
  2. 下記一般式(ii)
    Figure 0003969919
    (式中、XおよびYは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数1〜5のアルキル基、水素原子、アルカリ金属またはシリル基を示す。)
    で表される極性官能基を、主鎖の末端のみに有することを特徴とするポリエチレン
  3. (A)下記一般式(iii)で表される遷移金属錯体と、
    (B)有機アルミニウム化合物と
    からなる触媒の存在下に、エチレンと無水マレイン酸とを反応させて請求項1に記載のポリエチレンを製造することを特徴とする主鎖の末端のみに極性官能基を有するポリエチレンの製造方法;
    Figure 0003969919
    (式中、Mは、コバルトを示し、Rは、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基を示し、Arは、互いに同一でも異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアリール基を示す。)。
  4. 下記式(i)
    Figure 0003969919
    で表される極性官能基を、主鎖の末端のみに有するポリエチレンと、
    アルコール、アルカリ金属塩およびアルキル化試剤から選ばれる1種の化合物と
    を反応させて、
    下記一般式(ii)
    Figure 0003969919
    (式中、XおよびYは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数1〜5のアルキル基、水素原子、アルカリ金属またはシリル基を示す。)
    で表される極性官能基を、主鎖の末端のみに有するポリエチレンを製造することを特徴とする主鎖の末端のみに極性官能基を有するポリエチレンの製造方法。
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