JPH10168073A - 高誘電性エポキシ化合物およびその製造法 - Google Patents
高誘電性エポキシ化合物およびその製造法Info
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- JPH10168073A JPH10168073A JP32511796A JP32511796A JPH10168073A JP H10168073 A JPH10168073 A JP H10168073A JP 32511796 A JP32511796 A JP 32511796A JP 32511796 A JP32511796 A JP 32511796A JP H10168073 A JPH10168073 A JP H10168073A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 本発明は、エポキシ基とシアノエチル基を任
意の組合せでかつ高い数値で含有する新規な高誘電性エ
ポキシ化合物を提供する。 【解決手段】 本発明の高誘電性エポキシ化合物は、
式: 【化1】 [式中、Rは(m+n)価のポリヒドロキシル化合物から全
てのOH基を除いた残基;(m+n)≧5、m≧1、n≧1で
ある]で示され、5官能以上のポリヒドロキシル化合
物、エピクロルヒドリンおよびアクリロニトリルから製
造される。
意の組合せでかつ高い数値で含有する新規な高誘電性エ
ポキシ化合物を提供する。 【解決手段】 本発明の高誘電性エポキシ化合物は、
式: 【化1】 [式中、Rは(m+n)価のポリヒドロキシル化合物から全
てのOH基を除いた残基;(m+n)≧5、m≧1、n≧1で
ある]で示され、5官能以上のポリヒドロキシル化合
物、エピクロルヒドリンおよびアクリロニトリルから製
造される。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高誘電性エポキシ化
合物およびその製造法、更に詳しくは、エポキシ基とシ
アノエチル基を含有し、高誘電率を有しかつエポキシ樹
脂用アミン系硬化剤併用により硬化乃至架橋しうる、た
とえば分散型エレクトロルミネッセンス(EL)用バイン
ダー樹脂、およびリチウムイオン二次電池の電極用バイ
ンダー樹脂として有用な新規化合物およびその製造法に
関する。
合物およびその製造法、更に詳しくは、エポキシ基とシ
アノエチル基を含有し、高誘電率を有しかつエポキシ樹
脂用アミン系硬化剤併用により硬化乃至架橋しうる、た
とえば分散型エレクトロルミネッセンス(EL)用バイン
ダー樹脂、およびリチウムイオン二次電池の電極用バイ
ンダー樹脂として有用な新規化合物およびその製造法に
関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】本発明者
ら独自の研究により、この種エポキシ基とシアノエチル
基を含有し、比較的高い誘電率を有するエポキシ化合物
として、式:
ら独自の研究により、この種エポキシ基とシアノエチル
基を含有し、比較的高い誘電率を有するエポキシ化合物
として、式:
【化3】 [式中、R'は(m'+n')価のポリヒドロキシル化合物から
全てのOH基を除いた残基;2≦(m'+n')≦4、m'≧
1、n'≧1である]で示される誘電性エポキシ化合物お
よびそのポリヒドロキシル化合物を出発原料とする製造
法が開発され、既に知られている(特開平6−1841
30号公報参照)。ところで、上述の分散型EL用バイ
ンダー樹脂などへの適用に際し、通常、高い誘電率が要
求される他、特にたとえばリチウムイオン二次電池の電
極用バインダー樹脂では、優れたイオン導電性および電
解液の主要成分である極性溶剤(炭酸エチレン、炭酸プ
ロピレンなど)に対する耐性(以下、耐極性溶剤性とい
う)や電極の集電、支持の金属面への高い接着性が必要
とされている。
全てのOH基を除いた残基;2≦(m'+n')≦4、m'≧
1、n'≧1である]で示される誘電性エポキシ化合物お
よびそのポリヒドロキシル化合物を出発原料とする製造
法が開発され、既に知られている(特開平6−1841
30号公報参照)。ところで、上述の分散型EL用バイ
ンダー樹脂などへの適用に際し、通常、高い誘電率が要
求される他、特にたとえばリチウムイオン二次電池の電
極用バインダー樹脂では、優れたイオン導電性および電
解液の主要成分である極性溶剤(炭酸エチレン、炭酸プ
ロピレンなど)に対する耐性(以下、耐極性溶剤性とい
う)や電極の集電、支持の金属面への高い接着性が必要
とされている。
【0003】しかして、上記公知の誘電性エポキシ化合
物では、耐極性溶剤性に寄与する架橋密度に関係するエ
ポキシ基の数(m'個)と、誘電率やイオン導電性に関与す
るシアノエチル基の数(n'個)とに制限、すなわちm'=1
のときn'=1〜3、m'=2のときn'=1または2、およ
びm'=3のときn'=1の組合せが許されるにすぎない。
シアノエチル基はその数が多いほど、耐極性溶剤性への
低下を招くが、架橋密度(すなわち、エポキシ基の数)の
アップはその低下の防止に有効な手段となる。しかし、
かかる公知化合物の場合、架橋密度を高めるのにエポキ
シ基数を最大値3としたとき、シアノエチル基数は1に
止まり、逆に誘電率やイオン導電性を高めるのにシアノ
エチル基数を最大値3としたとき、エポキシ基数は1に
止まることから、所望程度に期待する、誘電率やイオン
導電性と架橋密度とのバランスに難点があった。
物では、耐極性溶剤性に寄与する架橋密度に関係するエ
ポキシ基の数(m'個)と、誘電率やイオン導電性に関与す
るシアノエチル基の数(n'個)とに制限、すなわちm'=1
のときn'=1〜3、m'=2のときn'=1または2、およ
びm'=3のときn'=1の組合せが許されるにすぎない。
シアノエチル基はその数が多いほど、耐極性溶剤性への
低下を招くが、架橋密度(すなわち、エポキシ基の数)の
アップはその低下の防止に有効な手段となる。しかし、
かかる公知化合物の場合、架橋密度を高めるのにエポキ
シ基数を最大値3としたとき、シアノエチル基数は1に
止まり、逆に誘電率やイオン導電性を高めるのにシアノ
エチル基数を最大値3としたとき、エポキシ基数は1に
止まることから、所望程度に期待する、誘電率やイオン
導電性と架橋密度とのバランスに難点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の2
〜4官能[2≦(m'+n')≦4]のポリヒドロキシル化合物
から製造される公知誘電性化合物の特性バランスの限界
に鑑み、さらに検討を進めたところ、5官能以上のポリ
ヒドロキシル化合物を用いれば、任意の組合せでかつ高
い数値でエポキシ基とシアノエチル基を導入することが
でき、また要すれば、ポリヒドロキシル化合物自体に予
めモノ〜ポリオキシエチレン鎖(1〜10モルのエチレ
ンオキシドの付加重合鎖)を導入しておけば、硬化性樹
脂組成物の硬化物に可撓性を付与し、他樹脂との相溶性
が向上し、結晶性の低下が図られ、更に良好なイオン導
電性が得られることを見出し、本発明を完成させるに至
った。
〜4官能[2≦(m'+n')≦4]のポリヒドロキシル化合物
から製造される公知誘電性化合物の特性バランスの限界
に鑑み、さらに検討を進めたところ、5官能以上のポリ
ヒドロキシル化合物を用いれば、任意の組合せでかつ高
い数値でエポキシ基とシアノエチル基を導入することが
でき、また要すれば、ポリヒドロキシル化合物自体に予
めモノ〜ポリオキシエチレン鎖(1〜10モルのエチレ
ンオキシドの付加重合鎖)を導入しておけば、硬化性樹
脂組成物の硬化物に可撓性を付与し、他樹脂との相溶性
が向上し、結晶性の低下が図られ、更に良好なイオン導
電性が得られることを見出し、本発明を完成させるに至
った。
【0005】すなわち、本発明は、(1)式:
【化4】 [式中、Rは(m+n)価のポリヒドロキシル化合物から全
てのOH基を除いた残基;(m+n)≧5、m≧1、n≧1、
好ましくはm=1〜4、n=1〜4および(m+n)=5また
は6である]で示される高誘電性エポキシ化合物(好まし
くは、Rに関するポリヒドロキシル化合物が、その全て
あるいは一部のOH基に1〜10モルのエチレンオキシ
ドを付加重合せしめたものである高誘電性エポキシ化合
物);(2)式: R−(OH)m+n [II] の(m+n)価のポリヒドロキシル化合物1モルに、mモル
のエピクロルヒドリンを反応させた後、nモルのアクリ
ロニトリルをマイケル付加反応させるか、またはnモル
のアクリロニトリルをマイケル付加反応させた後、mモ
ルのエピクロルヒドリンを反応させることにより、式:
てのOH基を除いた残基;(m+n)≧5、m≧1、n≧1、
好ましくはm=1〜4、n=1〜4および(m+n)=5また
は6である]で示される高誘電性エポキシ化合物(好まし
くは、Rに関するポリヒドロキシル化合物が、その全て
あるいは一部のOH基に1〜10モルのエチレンオキシ
ドを付加重合せしめたものである高誘電性エポキシ化合
物);(2)式: R−(OH)m+n [II] の(m+n)価のポリヒドロキシル化合物1モルに、mモル
のエピクロルヒドリンを反応させた後、nモルのアクリ
ロニトリルをマイケル付加反応させるか、またはnモル
のアクリロニトリルをマイケル付加反応させた後、mモ
ルのエピクロルヒドリンを反応させることにより、式:
【化5】 の高誘電性エポキシ化合物を得ることを特徴とする高誘
電性エポキシ化合物の製造法;および(3)該高誘電性エ
ポキシ化合物[I]、およびエポキシ樹脂用アミン系硬化
剤から成ることを特徴とするイオン導電性の硬化性樹脂
組成物を提供するものである。
電性エポキシ化合物の製造法;および(3)該高誘電性エ
ポキシ化合物[I]、およびエポキシ樹脂用アミン系硬化
剤から成ることを特徴とするイオン導電性の硬化性樹脂
組成物を提供するものである。
【0006】上記ポリヒドロキシル化合物[II]として
は、1分子中にOH基を5個以上有する化合物であれば
特に制限されるものでなく、たとえばキシリトール、ア
ラビトール、マンニトール、ソルビトール、イジトー
ル、ズルシトール等の脂肪族低分子ポリヒドロキシル化
合物;イノシトール、クエルシトール、ブドウ糖、果
糖、ショ糖、ポリグリセリン、ジ〜トリペンタエリスリ
トール等のポリヒドロキシル化合物等が挙げられ、特に
脂肪族低分子ポリヒドロキシル化合物が好ましい。ま
た、かかるポリヒドロキシル化合物には、上記低分子ポ
リヒドロキシル化合物の全てあるいは一部のOH基に1
〜10モルのエチレンオキシドを付加重合せしめた、い
わゆるモノ〜ポリオキシエチレン鎖を導入したものも包
含される。このエチレンオキシドの付加重合は、公知の
方法に従って行うことができ、通常、アルカリ触媒(水
酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムな
ど)の存在下オートクレーブ中で、エチレンオキシドを
必要量付加重合すればよい。エチレンオキシドの付加量
は、付加希望モル数にポリヒドロキシル化合物の水酸基
モル数を乗じることにより算出される。かかる付加重合
によりモノ〜ポリオキシエチレン鎖が導入され、その鎖
末端にOH基が存在する。
は、1分子中にOH基を5個以上有する化合物であれば
特に制限されるものでなく、たとえばキシリトール、ア
ラビトール、マンニトール、ソルビトール、イジトー
ル、ズルシトール等の脂肪族低分子ポリヒドロキシル化
合物;イノシトール、クエルシトール、ブドウ糖、果
糖、ショ糖、ポリグリセリン、ジ〜トリペンタエリスリ
トール等のポリヒドロキシル化合物等が挙げられ、特に
脂肪族低分子ポリヒドロキシル化合物が好ましい。ま
た、かかるポリヒドロキシル化合物には、上記低分子ポ
リヒドロキシル化合物の全てあるいは一部のOH基に1
〜10モルのエチレンオキシドを付加重合せしめた、い
わゆるモノ〜ポリオキシエチレン鎖を導入したものも包
含される。このエチレンオキシドの付加重合は、公知の
方法に従って行うことができ、通常、アルカリ触媒(水
酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムな
ど)の存在下オートクレーブ中で、エチレンオキシドを
必要量付加重合すればよい。エチレンオキシドの付加量
は、付加希望モル数にポリヒドロキシル化合物の水酸基
モル数を乗じることにより算出される。かかる付加重合
によりモノ〜ポリオキシエチレン鎖が導入され、その鎖
末端にOH基が存在する。
【0007】上記エピクロルヒドリンの反応は、通常ア
ルカリ触媒(たとえば水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ムなど)の存在下、常温〜150℃、4〜48時間の条
件でグリシジルエーテル化(脱塩酸反応)させることによ
り行うことができる。上記アクリロニトリルのマイケル
付加反応は、通常酸触媒、前記アルカリ触媒、第4級ア
ンモニウム塩基等の存在下、20〜100℃、1〜48
時間の条件でシアノエチル化させることにより行うこと
ができる。
ルカリ触媒(たとえば水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ムなど)の存在下、常温〜150℃、4〜48時間の条
件でグリシジルエーテル化(脱塩酸反応)させることによ
り行うことができる。上記アクリロニトリルのマイケル
付加反応は、通常酸触媒、前記アルカリ触媒、第4級ア
ンモニウム塩基等の存在下、20〜100℃、1〜48
時間の条件でシアノエチル化させることにより行うこと
ができる。
【0008】このようにして製造される高誘電性エポキ
シ化合物[I]は、m個のエポキシ基とn個のシアノエチル
基を含有し、一般に常温で粘稠な液状を呈する。なお、
ポリヒドロキシル化合物[II]として、モノ〜ポリオキ
シエチレン鎖を導入したものを用いた場合には、エポキ
シ基とシアノエチル基は該モノ〜ポリオキシエチレン鎖
の末端OH基を介して付加することになる。この場合、
モノ〜ポリオキシエチレン鎖の存在によって、イオン導
電性は向上する他に、硬化性樹脂組成物の硬化物に可撓
性を付与し、他樹脂との相溶性が向上し、結晶性の低下
が得られる等の効果を発揮することができる。かかるモ
ノ〜ポリオキシエチレン鎖の導入に関し、該鎖の導入を
行う前に、直接エポキシ基とシアノエチル基を部分的に
(幾つかのOH基を残して)導入した後、残ったOH基に
エチレンオキシドを付加重合することも考えられるが、
この場合では、該鎖末端のOH基の残存によって吸湿性
等の問題が起る。
シ化合物[I]は、m個のエポキシ基とn個のシアノエチル
基を含有し、一般に常温で粘稠な液状を呈する。なお、
ポリヒドロキシル化合物[II]として、モノ〜ポリオキ
シエチレン鎖を導入したものを用いた場合には、エポキ
シ基とシアノエチル基は該モノ〜ポリオキシエチレン鎖
の末端OH基を介して付加することになる。この場合、
モノ〜ポリオキシエチレン鎖の存在によって、イオン導
電性は向上する他に、硬化性樹脂組成物の硬化物に可撓
性を付与し、他樹脂との相溶性が向上し、結晶性の低下
が得られる等の効果を発揮することができる。かかるモ
ノ〜ポリオキシエチレン鎖の導入に関し、該鎖の導入を
行う前に、直接エポキシ基とシアノエチル基を部分的に
(幾つかのOH基を残して)導入した後、残ったOH基に
エチレンオキシドを付加重合することも考えられるが、
この場合では、該鎖末端のOH基の残存によって吸湿性
等の問題が起る。
【0009】本発明に係るイオン導電性の硬化性樹脂組
成物は、上記高誘電性エポキシ化合物とエポキシ樹脂用
アミン系硬化剤を主要成分とし、必要に応じて、通常の
エポキシ樹脂に用いられる硬化促進剤、触媒、その他希
釈剤、充填材、可塑剤、着色剤等が配合されてよく、さ
らに、通常のエポキシ化合物やエポキシ樹脂と混合して
もよい。上記エポキシ樹脂用アミン系硬化剤としては、
1分子中にアミノ基(−NH2)および/またはイミノ基
(−NH−)の活性水素を2個以上有する化合物であっ
て、たとえばエチルアミン、n−プロピルアミン、n−ブ
チルアミン、イソブチルアミン、モノエタノールアミ
ン、ジエチルアミノプロピルアミン等の脂肪族モノアミ
ン;エチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、
1,6−ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミ
ン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミ
ン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン等
の脂肪族ポリアミン;シクロヘキシルアミン、メンタン
ジアミン、イソホロンジアミン等の脂環族モノ〜ポリア
ミン;ベンジルアミン、m−キシレンジアミン、m−フェ
ニレンジアミン、o−トルイジン、4,4'−ジアミノジ
フェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン
等の芳香族モノ〜ポリアミン;ポリオキシアルキレング
リコールの末端OH基をNH2基に転換したポリオキシ
アルキレンのモノもしくはジアミン類;その他これらの
アミン化合物にエチレンオキシド、プロピレンオキシド
等のアルキレンオキシド類を部分付加した化合物、これ
らのアミン化合物を、アミノ基あるいはイミノ基と反応
する基(エポキシ基、カルボキシル基、ビニル基など)を
有する化合物に過剰当量反応させた化合物が挙げられ、
特に脂肪族ポリアミンが好ましい。
成物は、上記高誘電性エポキシ化合物とエポキシ樹脂用
アミン系硬化剤を主要成分とし、必要に応じて、通常の
エポキシ樹脂に用いられる硬化促進剤、触媒、その他希
釈剤、充填材、可塑剤、着色剤等が配合されてよく、さ
らに、通常のエポキシ化合物やエポキシ樹脂と混合して
もよい。上記エポキシ樹脂用アミン系硬化剤としては、
1分子中にアミノ基(−NH2)および/またはイミノ基
(−NH−)の活性水素を2個以上有する化合物であっ
て、たとえばエチルアミン、n−プロピルアミン、n−ブ
チルアミン、イソブチルアミン、モノエタノールアミ
ン、ジエチルアミノプロピルアミン等の脂肪族モノアミ
ン;エチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、
1,6−ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミ
ン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミ
ン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン等
の脂肪族ポリアミン;シクロヘキシルアミン、メンタン
ジアミン、イソホロンジアミン等の脂環族モノ〜ポリア
ミン;ベンジルアミン、m−キシレンジアミン、m−フェ
ニレンジアミン、o−トルイジン、4,4'−ジアミノジ
フェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン
等の芳香族モノ〜ポリアミン;ポリオキシアルキレング
リコールの末端OH基をNH2基に転換したポリオキシ
アルキレンのモノもしくはジアミン類;その他これらの
アミン化合物にエチレンオキシド、プロピレンオキシド
等のアルキレンオキシド類を部分付加した化合物、これ
らのアミン化合物を、アミノ基あるいはイミノ基と反応
する基(エポキシ基、カルボキシル基、ビニル基など)を
有する化合物に過剰当量反応させた化合物が挙げられ、
特に脂肪族ポリアミンが好ましい。
【0010】かかる硬化剤の使用量は通常、高誘電性エ
ポキシ化合物[I]のエポキシ当量と該硬化剤のアミノ基
および/またはイミノ基の活性水素数とから計算される
反応当量付近となるように選定すればよく、そしてかか
る配合量は、上記反応当量のほぼ±10〜20%内外で
許容されることが多いが、この場合、かかる許容範囲の
上下限を逸脱すると、硬化が不完全となり、機械的物性
が発現しなくなったり、耐極性溶剤性が悪くなる傾向と
なる。
ポキシ化合物[I]のエポキシ当量と該硬化剤のアミノ基
および/またはイミノ基の活性水素数とから計算される
反応当量付近となるように選定すればよく、そしてかか
る配合量は、上記反応当量のほぼ±10〜20%内外で
許容されることが多いが、この場合、かかる許容範囲の
上下限を逸脱すると、硬化が不完全となり、機械的物性
が発現しなくなったり、耐極性溶剤性が悪くなる傾向と
なる。
【0011】かかる本発明組成物は、特に分散型EL用
バインダー樹脂やリチウムイオン二次電池の電極用バイ
ンダーとして有用で、その他、コンデンサー用誘電フィ
ルム、ポリマーバッテリーやエレクトロクロミック素子
に使用される固体電解質、無機質の高誘電材料[たとえ
ばチタン酸バリウム、ジルコンチタン酸鉛(PZT)]と
の複合高誘電材料に、またその硬化時あるいは硬化後加
熱下に直流電圧を印加し、分極方向をそろえ、圧電材料
や焦電材料などにも有用である。
バインダー樹脂やリチウムイオン二次電池の電極用バイ
ンダーとして有用で、その他、コンデンサー用誘電フィ
ルム、ポリマーバッテリーやエレクトロクロミック素子
に使用される固体電解質、無機質の高誘電材料[たとえ
ばチタン酸バリウム、ジルコンチタン酸鉛(PZT)]と
の複合高誘電材料に、またその硬化時あるいは硬化後加
熱下に直流電圧を印加し、分極方向をそろえ、圧電材料
や焦電材料などにも有用である。
【0012】
【発明の効果】以上の構成からなる本発明によれば、2
〜4官能のポリヒドロキシル化合物を出発原料とする公
知の誘電性エポキシ化合物と比べ、シアノエチル基の含
有量をより高めることができ、これによって、より高い
誘電率およびより優れたイオン導電性を付与でき、かつ
これに見合ってエポキシ基含有量も高めることにより、
良好な耐極性溶剤性を維持することができ、実用上極め
て有用であることが認められる。
〜4官能のポリヒドロキシル化合物を出発原料とする公
知の誘電性エポキシ化合物と比べ、シアノエチル基の含
有量をより高めることができ、これによって、より高い
誘電率およびより優れたイオン導電性を付与でき、かつ
これに見合ってエポキシ基含有量も高めることにより、
良好な耐極性溶剤性を維持することができ、実用上極め
て有用であることが認められる。
【0013】
【実施例】次に実施例および比較例を挙げて、本発明を
より具体的に説明する。 実施例1 4ツ口フラスコにキシリトール152.2g(1モル)およ
びNaOH4.5gを仕込み、65℃で加熱撹拌する。エ
ピクロルヒドリン231.3g(2.5モル)を滴下す
る。滴下終了後、90℃まで加熱する(5時間)。その
後、室温で一夜撹拌し、再度120〜130℃まで加
熱、撹拌する(2〜3時間)。室温まで放冷し、トルエン
約400mlを加え、冷却下NaOHパウダー55gを加
え、室温で終夜撹拌する。次に水500mlを加え、撹
拌、静置後、トルエン層を分液し、該トルエン層に水5
00mlを加え洗浄する。同洗浄を2回行なったトルエン
層に、2%NaOH水溶液250mlを加え、撹拌下、ア
クリロニトリル185.7g(3.5モル)を滴下する(3
5〜40℃)。滴下終了後、5時間撹拌しつつ同温度に
保つ。トルエン層を分液し、トルエン層のアルカリ分が
抜けるまで、水洗を繰り返し行ない、ロータリーエバポ
レーターでトルエンと水分を減圧留去して、式:
より具体的に説明する。 実施例1 4ツ口フラスコにキシリトール152.2g(1モル)およ
びNaOH4.5gを仕込み、65℃で加熱撹拌する。エ
ピクロルヒドリン231.3g(2.5モル)を滴下す
る。滴下終了後、90℃まで加熱する(5時間)。その
後、室温で一夜撹拌し、再度120〜130℃まで加
熱、撹拌する(2〜3時間)。室温まで放冷し、トルエン
約400mlを加え、冷却下NaOHパウダー55gを加
え、室温で終夜撹拌する。次に水500mlを加え、撹
拌、静置後、トルエン層を分液し、該トルエン層に水5
00mlを加え洗浄する。同洗浄を2回行なったトルエン
層に、2%NaOH水溶液250mlを加え、撹拌下、ア
クリロニトリル185.7g(3.5モル)を滴下する(3
5〜40℃)。滴下終了後、5時間撹拌しつつ同温度に
保つ。トルエン層を分液し、トルエン層のアルカリ分が
抜けるまで、水洗を繰り返し行ない、ロータリーエバポ
レーターでトルエンと水分を減圧留去して、式:
【化6】 で示される高誘電性エポキシ化合物を得る。この化合物
は、無色透明の高粘稠液で、塩酸−ジオキサン法による
エポキシ当量は224で、赤外線吸収スペクトルにより
エポキシ基およびシアノ基の存在が確認された。
は、無色透明の高粘稠液で、塩酸−ジオキサン法による
エポキシ当量は224で、赤外線吸収スペクトルにより
エポキシ基およびシアノ基の存在が確認された。
【0014】実施例2 (1)エチレンオキシド付加ポリヒドロキシ化合物 オートクレーブ中にd−ソルビトール182.2g(1モ
ル)とNaOH2gを仕込み、窒素置換後120℃に加
熱、撹拌下、エチレンオキシド220g(5モル)を徐々
に送入、更に同温度で1時間反応させて、エチレンオキ
シド付加d−ソルビトールを得る。性状は無色透明の粘
稠液で、水酸基価は831であった。
ル)とNaOH2gを仕込み、窒素置換後120℃に加
熱、撹拌下、エチレンオキシド220g(5モル)を徐々
に送入、更に同温度で1時間反応させて、エチレンオキ
シド付加d−ソルビトールを得る。性状は無色透明の粘
稠液で、水酸基価は831であった。
【0015】(2)高誘電性エポキシ化合物 4ツ口フラスコに上記(1)で得たエチレンオキシド付加
d−ソルビトール202.5g(0.5モル)とNaOH5g
を仕込み、65℃で加熱撹拌する。エピクロルヒドリン
138.8g(1.5モル)を滴下する。滴下終了後、9
0℃まで加熱する(5時間)。その後、室温で一夜撹拌
し、再度120〜130℃まで加熱、撹拌する(2〜3
時間)。室温まで放冷し、トルエン約350mlを加え、
冷却下NaOHパウダー45gを加え、室温で終夜撹拌す
る。次に水500mlを加え、撹拌、静置後、トルエン層
を分液し、該トルエン層に水400mlを加え洗浄する。
同洗浄を2回行なったトルエン層に、2%NaOH水溶
液250mlを加え、撹拌下、アクリロニトリル159.
2g(3モル)を滴下する(35〜40℃)。滴下終了後、
5時間撹拌しつつ同温度に保つ。トルエン層を分液し、
トルエン層のアルカリ分が抜けるまで、水洗を繰り返し
行ない、ロータリーエバポレーターでトルエンと水分を
減圧留去して、式:
d−ソルビトール202.5g(0.5モル)とNaOH5g
を仕込み、65℃で加熱撹拌する。エピクロルヒドリン
138.8g(1.5モル)を滴下する。滴下終了後、9
0℃まで加熱する(5時間)。その後、室温で一夜撹拌
し、再度120〜130℃まで加熱、撹拌する(2〜3
時間)。室温まで放冷し、トルエン約350mlを加え、
冷却下NaOHパウダー45gを加え、室温で終夜撹拌す
る。次に水500mlを加え、撹拌、静置後、トルエン層
を分液し、該トルエン層に水400mlを加え洗浄する。
同洗浄を2回行なったトルエン層に、2%NaOH水溶
液250mlを加え、撹拌下、アクリロニトリル159.
2g(3モル)を滴下する(35〜40℃)。滴下終了後、
5時間撹拌しつつ同温度に保つ。トルエン層を分液し、
トルエン層のアルカリ分が抜けるまで、水洗を繰り返し
行ない、ロータリーエバポレーターでトルエンと水分を
減圧留去して、式:
【化7】 で示される高誘電性エポキシ化合物を得る。この化合物
は、淡黄色透明の高粘稠液で、塩酸−ジオキサン法によ
るエポキシ当量は297で、赤外線吸収スペクトルによ
りエポキシ基およびシアノ基の存在が確認された。
は、淡黄色透明の高粘稠液で、塩酸−ジオキサン法によ
るエポキシ当量は297で、赤外線吸収スペクトルによ
りエポキシ基およびシアノ基の存在が確認された。
【0016】実施例3〜4および比較例1 下記表1に示す部数の各成分を配合して(配合数値は純
分としての数値である)、硬化性樹脂組成物を得る。な
お、表1中のLiBF4はエチレングリコールモノエチル
エーテルの10%溶液として用いる。比較例1で用いる
エピコート828は、シアノエチル基を有しないビスフ
ェノール−エピクロルヒドリン型の汎用エポキシ樹脂で
あって、油化シェル社の商品名である。かかる硬化性樹
脂組成物を下記の性能試験に供し、結果を表1に併記す
る。 i)誘電率および導電率の測定 各硬化性樹脂組成物をアルミニウム板上に100ミクロ
ンのバーコーターで塗布し、120℃で60分間乾燥硬
化せしめた後、上部電極としてアルミニウムを蒸着し、
20℃でLCZメーターを用い1KHzにて、誘電率と
導電率を測定する。 ii)耐極性溶剤性試験 上記(i)と同様にアルミニウム板上に塗布、乾燥硬化せ
しめた試験板を、炭酸プロピレン中に常温で24時間浸
漬せしめた後、膨潤度合いを観察する。
分としての数値である)、硬化性樹脂組成物を得る。な
お、表1中のLiBF4はエチレングリコールモノエチル
エーテルの10%溶液として用いる。比較例1で用いる
エピコート828は、シアノエチル基を有しないビスフ
ェノール−エピクロルヒドリン型の汎用エポキシ樹脂で
あって、油化シェル社の商品名である。かかる硬化性樹
脂組成物を下記の性能試験に供し、結果を表1に併記す
る。 i)誘電率および導電率の測定 各硬化性樹脂組成物をアルミニウム板上に100ミクロ
ンのバーコーターで塗布し、120℃で60分間乾燥硬
化せしめた後、上部電極としてアルミニウムを蒸着し、
20℃でLCZメーターを用い1KHzにて、誘電率と
導電率を測定する。 ii)耐極性溶剤性試験 上記(i)と同様にアルミニウム板上に塗布、乾燥硬化せ
しめた試験板を、炭酸プロピレン中に常温で24時間浸
漬せしめた後、膨潤度合いを観察する。
【0017】
【表1】
Claims (7)
- 【請求項1】 式: 【化1】 [式中、Rは(m+n)価のポリヒドロキシル化合物から全
てのOH基を除いた残基;(m+n)≧5、m≧1、n≧1で
ある]で示される高誘電性エポキシ化合物。 - 【請求項2】 mが1〜4、nが1〜4および(m+n)が5
または6である請求項1に記載の高誘電性エポキシ化合
物。 - 【請求項3】 Rに関するポリヒドロキシル化合物が、
その全てあるいは一部のOH基に1〜10モルのエチレ
ンオキシドを付加重合せしめたものである請求項1に記
載の高誘電性エポキシ化合物。 - 【請求項4】 式: R−(OH)m+n の(m+n)価のポリヒドロキシル化合物1モルに、mモル
のエピクロルヒドリンを反応させた後、nモルのアクリ
ロニトリルをマイケル付加反応させるか、またはnモル
のアクリロニトリルをマイケル付加反応させた後、mモ
ルのエピクロルヒドリンを反応させることにより、式: 【化2】 の高誘電性エポキシ化合物を得ることを特徴とする高誘
電性エポキシ化合物の製造法[式中、R,mおよびnは請求
項1の記載と同意義である]。 - 【請求項5】 mが1〜4、nが1〜4および(m+n)が5
または6である請求項4に記載の製造法。 - 【請求項6】 Rに関するポリヒドロキシル化合物が、
その全てあるいは一部のOH基に1〜10モルのエチレ
ンオキシドを付加重合せしめたものである請求項4に記
載の製造法。 - 【請求項7】 請求項1乃至3のいずれか1つに記載の
高誘電性エポキシ化合物、およびエポキシ樹脂用アミン
系硬化剤から成ることを特徴とするイオン導電性の硬化
性樹脂組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32511796A JPH10168073A (ja) | 1996-12-05 | 1996-12-05 | 高誘電性エポキシ化合物およびその製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32511796A JPH10168073A (ja) | 1996-12-05 | 1996-12-05 | 高誘電性エポキシ化合物およびその製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10168073A true JPH10168073A (ja) | 1998-06-23 |
Family
ID=18173291
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32511796A Pending JPH10168073A (ja) | 1996-12-05 | 1996-12-05 | 高誘電性エポキシ化合物およびその製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10168073A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012224851A (ja) * | 2011-04-05 | 2012-11-15 | Shin-Etsu Chemical Co Ltd | 2−シアノエチル基含有有機化合物の製造方法 |
-
1996
- 1996-12-05 JP JP32511796A patent/JPH10168073A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012224851A (ja) * | 2011-04-05 | 2012-11-15 | Shin-Etsu Chemical Co Ltd | 2−シアノエチル基含有有機化合物の製造方法 |
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