JPH1016479A - 繰り出し式筆記具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 繰り出し式筆記具において、筆記体の出没時
おける筆記体への衝撃を緩和すると共に、筆記具出没装
置における操作体の軸筒に対するガタつきをなくすこ
と。 【解決手段】 繰り出し式筆記具において、筆記体出没
装置を作動させるための押圧又はスライドさせる操作体
の壁面と、操作体の壁面に対向する軸筒の壁面の両壁面
間に、両壁面間に接するように高粘稠性のグリ−ス層を
介在させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、軸筒内に収納した
筆記体を、筆記体出没装置の操作体を押圧又はスライド
させることにより、筆記体の筆記部を軸筒先端開口部よ
り出没させる繰り出し式筆記具に関し、詳しくは、出没
動作による筆記体への衝撃を緩和し、操作体の軸筒に対
するガタつきのない繰り出し式筆記具に関する。

【０００２】

【従来の技術】筆記体出没装置の操作体を押圧又はスラ
イドさせることにより、筆記体の筆記部を軸筒先端開口
部より出没させる繰り出し式筆記具においては、筆記体
を軸筒内に弾性体により軸筒後端方向に弾発して収納し
てあるので、特に筆記状態から没入状態への動作時に筆
記体へ衝撃が加わる。筆記体が低粘性のインキを直詰し
たものにおいては、前記衝撃により筆記体の筆記部先端
からのインキの飛び出しという問題があった。また、筆
記体出没装置が回転カム、カム溝やノック体などで構成
されたものにおいては、筆記体の筆記部が軸筒先端開口
部から突出した状態時に、ノック体が軸筒内で他の部品
の束縛を受けずにフリー状態となるので軸筒内を前後自
在に摺動可能となり、ガタつくという問題があった。

【０００３】繰り出し式筆記具として、前記衝撃力を弱
め、ノック体のガタつきをなくすための従来技術とし
て、実開平３−１１２３８６号公報に開示された「ノッ
ク式筆記具」がある。この従来技術は、ノック体にノッ
クカバーをスナップフィット方式で嵌着し筆記体が筆記
状態にある時、ノック体を前進状態から後方へ復帰させ
るスプリングを装着すると共にノック体の復帰時にノッ
ク体が衝合して抜け止めされる制止壁を軸筒内部に設け
たノック式筆記具において、軸筒内部に設けた制止壁の
前面に、ノック体の衝合時の衝撃を弱める緩衝手段を設
けるものである。緩衝手段として、制止壁に肉薄突起部
を設けたもの、制止壁の前面にスプリングワッシャーや
Ｏリングを介在させたものが開示されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、こうした構造
では、ノック体を前進状態から後方へ復帰させるスプリ
ングを装着しなければならなく、また、制止壁の前面に
スプリングワッシャーやＯリングを介在させなければな
らなく組立作業が煩雑となる。制止壁に肉薄突起部を設
けるものにおいては、ノック体の衝撃に対する肉薄突起
部の耐久性が問題となる。

【０００５】本発明の目的は、筆記体の出没時における
筆記体への衝撃を緩和するとともに、筆記体出没装置に
おける操作体の軸筒に対するガタつきをなくした、構造
が簡単で組立作業も容易におこなえる繰り出し式筆記具
を提供することである。

【０００６】

【問題解決のための手段】前記目的を達成するために本
発明の構成では、軸筒内に、筆記体を弾性材により軸筒
後端方向に弾発して収納し、筆記体と連動した筆記体出
没装置の操作体を押圧又はスライドさせることにより、
筆記体の筆記部を軸筒先端開口部より出没させる繰り出
し式筆記具において、前記操作体の壁面と対向する軸筒
の壁面の両壁面間に、両壁面に接するように高粘稠性の
グリース層を介在させた構造とする。

【０００７】さらには、前記操作体の壁面又は軸筒の壁
面に、離間した複数の凸部を形成し、該凸部間に高粘稠
グリース層を設けた構造とする。こうすることにより、
高粘稠性のグリ−ス層を操作体の適宣の位置に容易に設
けることができる。

【０００８】高粘稠性のグリ−ス層を操作体と軸筒の両
壁面間に介在させることにより、操作体の操作により操
作体と軸筒が互いに摺動し合う際に、高粘稠性のグリ−
ス層の粘性が摺動時の抵抗力となって衝撃を緩和し、操
作体の径方向および軸心に沿った方向へのガタつきを防
止する。

【０００９】

【発明の実施の形態】本発明は、繰り出し式筆記具にお
ける筆記体出没装置を作動させるための押圧又はスライ
ドさせる操作体の壁面と、該操作体の壁面に対向する軸
筒の壁面の両壁面間に、両壁面に接するように高粘稠性
のグリース層を介在させるものである。

【００１０】筆記体出没装置における操作体とは、軸筒
内にコイルスプリング等の弾性材により軸筒後端方向に
弾発して収納した筆記体の筆記部を軸筒先端開口部より
出没させるために、直に押圧又はスライドの動作を加え
て摺動する部材で、いわゆるノック棒、ノック体又はス
ライドレバーと呼ばれているものである。あるいはキャ
ップスライド式と呼ばれているのものにおいてはキャッ
プを指す。本発明の繰り出し式筆記具は、回転カムやカ
ム溝、ノック体等の構成により、水性又は油性インキ等
のインキを収蔵したボールペンレフィルの筆記先端を出
没させる、いわゆるノック式ボールペンや、コレットチ
ャック部材と該コレットチャック後部に連設された鉛芯
収納ケ−ス等の部材により前記コレットチャックを前後
動させ鉛芯を繰り出すシャープペンシル等に利用するこ
とができる。

【００１１】高粘稠性のグリ−ス層は、操作体の壁面と
対向する軸筒の壁面間に両壁面に接するように設ける
が、設け方は、操作体と軸筒の対向する両壁面に、周面
上をリング状に設けても良いし任意の数カ所に設けても
良い。また、軸心に沿った方向に数カ所設けても良い。
高粘稠性のグリ−ス層の幅は、操作体と軸筒とが互いに
摺動し合う際の適宜設定したい抵抗力を考慮しながら適
宣設定すれば良い。凸部の設け方は、操作体と軸筒の対
向する両壁面の操作体の壁面又は軸筒の壁面の周面上に
リング状に設けても良いし、軸心に沿った方向に数カ所
に設けても良い。また、径方向に沿って数カ所設けても
良い。

【００１２】高粘稠性のグリ−スとしては、例えばモリ
コ−トＥＭＤ１１０（ダウコ−ニング株式会社製）があ
げられる。高粘稠性のグリ−スの選定にあたっては、グ
リ−スの粘稠度と、操作体と軸筒の壁面間の間隙、温度
変化による摺動時の抵抗力の変化、グリ−スの経時性能
変化、耐久性などを考慮することが好ましい。

【００１３】

【実施例】本発明の実施例について、図面を用いて説明
する。図面中、同一部材や同一箇所を示す場合には、同
一の符号を付してある。図１及び図２に示した第１の実
施例における繰り出し式筆記具１は、軸筒２内に、イン
キを収蔵した筆記体３をコイルスプリング４により軸筒
後端２ａ方向に弾発して収納し、筆記体３の後端には回
転カム５と、軸筒２の内壁面に形成されたカム溝６と、
先端部にカム部７を有した押し部材８とで構成された、
公知の回転カム機構の筆記体出没装置を配設してある。
押し部材８の後端には軸筒後端２ａより外方へ突出し押
圧時の押圧部となる操作体９が連接してある。本繰り出
し式筆記具１は、操作体９を押圧することにより、軸筒
先端開口部２ｂより筆記体３の筆記部３ａを繰り出すこ
とができる。

【００１４】操作体９の軸筒２内に位置した外壁面１０
には、図２に示すように軸心に沿って離間した二つのリ
ング状の凸部１１を形成してある。該凸部１１間に前記
外壁面１０と対向する軸筒２の内壁面１２に接するよう
にして、前述したモリコ−トＥＭＤ１１０の高粘稠性の
グリ−ス層１３を設けてある。

【００１５】図３に示した第２の実施例における繰り出
し式筆記具５１は、第１の実施例の繰り出し式筆記具１
と同様に、軸筒２内に前記実施例と同様の筆記体３をコ
イルスプリング４により軸筒後端２ａ方向に弾発して収
納し、筆記体３の後端には、前記実施例と同様に回転カ
ム５と、軸筒２の内壁面に形成されたカム溝６と、先端
部にカム部７を有した押し部材８とで構成された、公知
の回転カム機構の筆記体出没装置を配設してある。軸筒
２の後半部には、キャップ１４が、前後自在に摺動可能
に嵌着してある。キャップ１４の底部１５には、内方へ
突出し、前記押し部材８の後部と固着した固定部１６が
形成されている。本実施例の繰り出し式筆記具５１は、
いわゆるキャップスライド式といわれているもので、操
作体としてのキャップ１４をスライドさせることによ
り、軸筒先端開口部２ｂより筆記体３の筆記部３ａを出
没させることができる。

【００１６】キャップ１４の開口端１４ａ側の内壁面１
７と対向する軸筒２の外壁面１８には、当該内壁面１７
に接するようにして前述したモリコ−トＥＭＤ１１０の
高粘稠性のグリ−ス層１３を設けてある。

【００１７】図４に示した第３の実施例における繰り出
し式筆記具６１は、軸筒１９内に、ボールペンやシャー
プペンシル等の複数の筆記体２０、２１をコイルスプリ
ング（図示せず）により軸筒後端１９ａ方向に弾発して
収納し、各々の筆記体２０、２１の後端には、軸筒１９
外に突出させた突部２２を有した操作片２３が設けてあ
り、該操作片２３をスライドさせて、操作片２３に設け
た係止用突起２４を軸筒１９に形成した係止段部２５に
係止させることにより、筆記体２０、２１の筆記先端部
（図示せず）を軸筒先端開口部１９ｂより繰り出す公知
技術のスライドノック式多芯筆記具である。本実施例の
繰り出し式筆記具６１は、所望した筆記体に連接した操
作片２３をスライドさせることにより、所望した筆記体
の筆記部を軸筒先端開口部１９ｂより繰り出すことがで
きる。没入させるには、他の操作片２３をスライドさせ
ればよい。

【００１８】操作片２３の軸筒１９内に位置した外壁面
２６の軸筒１９の内壁面に対向した部分２６ａには、該
部分２６ａと対向する軸筒１９の内壁面２７に接するよ
うにして、前述したモリコ−トＥＭＤ１１０の高粘稠性
のグリ−ス層１３を設けてある。

【００１９】前述した実施例では、凸部を軸心に沿って
離間した二つのリング状に形成してあるが、複数または
径方向または、任意に離間したものでも良い。また、筆
記体出没装置が回転カム機構や係止用突起を係止段部に
係子させるような構造の繰り出し式筆記具であるが、筆
記体と連動する操作体と軸筒間に摺動面を有する構造で
あれば他の筆記体出没装置であっても良い。

【００２０】

【発明の効果】本発明の繰り出し式筆記具は、筆記体出
没装置を作動させるための押圧又はスライドさせる操作
体の壁面と、該操作体の壁面に対向する軸筒の壁面の両
壁面間に、両壁面に接するように高粘稠性のグリース層
を介在させたので、筆記体の筆記部の軸筒先端開口部か
らの出没動作時は、筆記体及び筆記体出没装置における
操作体は緩やかに摺動するので、弾性材の弾発力の作用
による筆記体への衝撃が弱くなり、衝撃による筆記体の
筆記部からのインキ飛び出しがない。また、操作体の軸
筒に対するガタつきも解消することができた。さらに、
操作体における摺動感に重圧感を感じるため、繰り出し
式筆記具自体に高級感がかもしだされる。またさらに
は、組立作業や筆記体出没装置を構成する部品に特殊な
加工を必要としないので、製造原価が僅かにコストアッ
プするだけで、従来の筆記体出没動装置に利用すること
ができるという利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図1 】本発明の第１の実施例の繰り出し式筆記具の要
部縦断面図である。

【図2 】図１における操作体部分の一部拡大縦断面図で
ある。

【図3 】本発明の第２の実施例の繰り出し式筆記具の要
部縦断面図である。

【図4 】本発明の第３の実施例の繰り出し式筆記具の要
部を縦断面した図である。

【符号の説明】

１、５１、６１ 繰り出し式筆記具 ２ 軸筒 ３ 筆記体 ４ コイルスプリング ９ 操作体 １０ 外壁面 １１ 突部 １２ 内壁面 １３ グリース層 １４ キャップ １７ 内壁面 １８ 外壁面 １９ 軸筒 ２０、２１ 筆記体 ２３ 操作片 ２６ 外壁面 ２７ 内壁面

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】軸筒内に、筆記体を弾性材により軸筒後端
   方向に弾発して収納し、筆記体と連動した筆記体出没装
   置の操作体を押圧又はスライドさせることにより、筆記
   体の筆記部を軸筒先端開口部より出没させる繰り出し式
   筆記具において、前記操作体の壁面と対向する軸筒の壁
   面の両壁面間に、両壁面に接するように高粘稠性のグリ
   ース層を介在したことを特徴とする繰り出し式筆記具。
2. 【請求項２】前記操作体の壁面又は軸筒の壁面に、離間
   した複数の凸部を形成し、該凸部間に高粘稠性のグリー
   ス層を設けた請求項１に記載の繰り出し式筆記具。