JPH10161444A - 像加熱装置 - Google Patents

像加熱装置

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JPH10161444A
JPH10161444A JP31789896A JP31789896A JPH10161444A JP H10161444 A JPH10161444 A JP H10161444A JP 31789896 A JP31789896 A JP 31789896A JP 31789896 A JP31789896 A JP 31789896A JP H10161444 A JPH10161444 A JP H10161444A
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篤義 阿部
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秀夫 七▲瀧▼
Tetsuya Sano
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電磁誘導方式の像加熱装置において磁場発生
手段に影響を与えることなく加圧力のアップによる定着
性の向上を図る。 【解決手段】 定着フィルム10を支持するフィルムガ
イド部材16aと、定着フィルム10及びフィルムガイ
ド部材16aを介して加圧ローラ30からの加圧力を保
持する加圧用剛性ステイ22と、の間以外のところに磁
性コア17a,17b,17c及び励磁コイル18を設
ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁(磁気)誘導
加熱方式の加熱装置、及び該加熱装置を像加熱装置とし
て備えた電子写真装置・静電記録装置などの画像形成装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】便宜上、複写機・プリンタ等の画像形成
装置に具備させる、トナー画像を被記録材に加熱定着さ
せる像加熱装置(定着装置)を例にして説明する。
【0003】画像形成装置において、電子写真プロセス
・静電記録プロセス・磁気記録プロセス等の適宜の画像
形成プロセス手段部で記録材(転写材シート・エレクト
ロファックスシート・静電記録紙・OHPシート・印刷
用紙・フォーマット紙など)に転写方式あるいは直接方
式にて形成担持させた目的の画像情報の未定着画像(ト
ナー画像)を記録材面に永久固着画像として加熱定着さ
せる定着装置としては熱ローラ方式の装置が広く用いら
れていた。近時はフィルム加熱方式の装置が実用化され
ている。また電磁誘導加熱方式の装置も提案されてい
る。
【0004】実開昭51−109739号公報には、磁
束により定着ローラに電流を誘導させてジュール熱によ
って発熱させる誘導加熱定着装置が開示されている。こ
れは、誘導電流の発生を利用することで直接定着ローラ
を発熱させることができて、ハロゲンランプを熱源とし
て用いた熱ローラ方式の定着装置よりも高効率の定着プ
ロセスを達成している。
【0005】しかしながら、磁場発生手段としての励磁
コイルにより発生した交番磁束のエネルギーが定着ロー
ラ全体の昇温に使われるため放熱損失が大きく、投入エ
ネルギーに対する定着エネルギーの密度が低く効率が悪
いという欠点があった。
【0006】そこで、定着に作用するエネルギーを高密
度で得るために発熱体である定着ローラに励磁コイルを
接近させたり、励磁コイルの交番磁束分布を定着ニップ
部近傍に集中させたりして、高効率の定着装置が考案さ
れた。
【0007】図13に、励磁コイルの交番磁束分布を定
着ニップに集中させて効率を向上させた本発明の背景技
術である電磁誘導加熱方式の定着装置の一例の概略構成
を示した。
【0008】10は電磁誘導発熱層(導電体層、磁性体
層、抵抗体層)を有する、電磁誘導発熱性の回転体とし
ての円筒状の定着フィルムである。
【0009】16は横断面略半円弧状樋型のフィルムガ
イド部材であり、円筒状定着フィルム10はこのフィル
ムガイド部材16の外側にルーズに外嵌させてある。
【0010】15はフィルムガイド部材16の内側に配
設した磁場発生手段であり、励磁コイル18とE型の磁
性コア(芯材)17とからなる。
【0011】30は弾性加圧ローラであり、定着フィル
ム10を挟ませてフィルムガイド部材16の下面と所定
の圧接力をもって所定幅の定着ニップ部Nを形成させて
相互圧接させてある。上記磁場発生手段15の磁性コア
17は定着ニップ部Nに対応位置させて配設してある。
【0012】加圧ローラ30は駆動手段Mにより矢示の
反時計方向に回転駆動される。この加圧ローラ30の回
転駆動による該加圧ローラ30と定着フィルム10の外
面との摩擦力で定着フィルム10に回転力が作用して、
該定着フィルム10がその内面が定着ニップ部Nにおい
てフィルムガイド部材16の下面に密着して摺動しなが
ら矢示の時計方向に加圧ローラ30の回転周速度にほぼ
対応した周速度をもってフィルムガイド部材16の外回
りを回転状態になる(加圧ローラ駆動方式)。
【0013】フィルムガイド部材16は、定着ニップ部
への加圧、磁場発生手段15としての励磁コイル18と
磁性コア17の支持、定着フィルム10の支持、該フィ
ルム10の回転時の搬送安定性を図る役目をする。この
フィルムガイド部材16は磁束の通過を妨げない絶縁性
の部材であり、必要な荷重に耐えられる材料が用いられ
る。
【0014】励磁コイル18は不図示の励磁回路から供
給される交番電流によって交番磁束を発生する。図14
は定着ニップ部N付近での交番磁束の発生の様子を模式
的に表したものである。磁束Cは発生した交番磁束の一
部を表す。
【0015】交番磁束(C)は定着ニップ部Nの位置に
対応しているE型の磁性コア17により定着ニップ部N
に集中的に分布し、その交番磁束(C)は定着ニップ部
Nにおいて定着フィルム10の電磁誘導発熱層に渦電流
を発生させる。この渦電流は電磁誘導発熱層の固有抵抗
によって電磁誘導発熱層にジュール熱を発生させる。こ
こでの発熱量Qは電磁誘導発熱層を通る磁束の密度によ
って決まり、図14のような分布を示す。図14のグラ
フは横軸に定着ニップ中心を0として、定着ニップ中心
からの角度θにより定着フィルムの位置を表している。
縦軸は定着フィルム10の電磁誘導発熱層での発熱量Q
を表す。
【0016】この定着フィルム10の電磁誘導発熱は交
番磁束を集中的に分布させた定着ニップ部Nにおいて集
中的に生じて定着ニップ部Nが高効率に加熱される。
【0017】定着ニップ部Nの温度は、不図示の温度検
知手段を含む温調系により励磁コイル18に対する電流
供給が制御されることで所定の温度が維持されるように
温調される。
【0018】而して、加圧ローラ30が回転駆動され、
それに伴って円筒状の定着フィルム10がフィルムガイ
ド部材16の外回りを回転し、励磁回路から励磁コイル
18への給電により上記のように定着フィルム10の電
磁誘導発熱がなされて定着ニップ部Nが所定の温度に立
ち上がって温調された状態において、不図示の画像形成
手段部から搬送された未定着トナー画像tが形成された
記録材Pが定着ニップ部Nの定着フィルム10と加圧ロ
ーラ30との間に画像面が上向き、即ち定着フィルム面
に対向して導入され、定着ニップ部Nにおいて画像面が
定着フィルム10の外面に密着して定着フィルム10と
一緒に定着ニップ部Nを挟持搬送されていく。この定着
ニップ部Nを定着フィルム10と一緒に記録材Pが挟持
搬送されていく過程において定着フィルム10の電磁誘
導発熱で加熱されて記録材P上の未定着トナー画像tが
加熱定着される。記録材Pは定着ニップ部Nを通過する
と回転定着フィルム10の外面から分離して排出搬送さ
れていく。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上述した
図13のような電磁誘導方式の定着装置に関して、高速
プリンター・複写機、またはフルカラー画像のように定
着するトナー層が厚い場合は、定着ニップでの加圧力を
高く設定しなければならないが、モールド部材の剛性だ
けではモールド部材が撓んでしまい、ニップの中央部に
十分な圧力を加えることができなるという問題があっ
た。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
め本発明は、磁場発生手段と、前記磁場発生手段の磁場
の作用で電磁誘導発熱する回転体と、この回転体と相互
圧接してニップ部を形成する加圧部材と、を有し、前記
ニップ部で記録材を挾持搬送し、前記回転体の熱により
記録材上の画像を加熱する像加熱装置において、少なく
とも前記回転体内部のニップ位置において前記回転体を
支持する支持部材と、前記回転体及び前記支持部材を介
して前記加圧部材からの加圧力を保持する加圧力保持部
材と、を有し、前記磁場発生手段は前記支持部材と前記
加圧力保持部材の間以外のところに設けられていること
を特徴とするものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
(第1の実施例) (1)画像形成装置例 図1は本発明の実施の形態である画像形成装置の一例の
概略構成図である。本例の画像形成装置は電子写真カラ
ープリンタである。
【0022】101は有機感光体やアモルファスシリコ
ン感光体でできた感光体ドラム(像担持体)であり、矢
示の反時計方向に所定のプロセススピード(周速度)で
回転駆動される。
【0023】感光体ドラム101はその回転過程で帯電
ローラ等の帯電装置102で所定の極性・電位の一様な
帯電処理を受ける。
【0024】次いでその帯電処理面にレーザ光学箱(レ
ーザスキャナー)110から出力されるレーザ光103
による、目的の画像情報の走査露光処理を受ける。レー
ザ光学箱110は不図示の画像読み取り装置等の画像信
号発生装置からの目的画像情報の時系列電気デジタル画
素信号に対応して変調(オン/オフ)したレーザ光10
3を出力して回転感光体ドラム101面に走査露光した
目的画像情報に対応した静電潜像が形成される。109
はレーザ光学箱110からの出力レーザ光を感光体ドラ
ム101の露光位置に偏向させるミラーである。
【0025】フルカラー画像形成の場合は、目的のフル
カラー画像の第1の色分解成分画像、例えばイエロー成
分画像についての走査露光・潜像形成がなされ、その潜
像が4色カラー現像装置104のうちのイエロー現像器
104Yの作動でイエロートナー画像として現像され
る。そのイエロートナー画像は感光体ドラム101と中
間転写体ドラム105との接触部(或いは近接部)であ
る1次転写部T1において中間転写体ドラム105の面
に転写される。中間転写体ドラム105面に対するトナ
ー画像転写後の回転感光体ドラム101面はクリーナ1
07により転写残りトナー等の付着残留物の除去を受け
て清掃される。
【0026】上記のような帯電・走査露光・現像・一次
転写・清掃のプロセスサイクルが、目的のフルカラー画
像の第2の色分解成分画像(例えばマゼンタ成分画像、
マゼンタ現像器104Mが作動)、第3の色分解成分画
像(例えばシアン成分画像、シアン現像器104Cが作
動)、第4の色分解成分画像(例えば黒成分画像、黒現
像器104BKが作動)の各色分解成分画像について順
次実行され、中間転写体ドラム105面にイエロートナ
ー画像・マゼンタトナー画像・シアントナー画像・黒ト
ナー画像の都合4色のトナー画像が順次重ねて転写され
て、目的のフルカラー画像に対応したカラートナー画像
が合成形成される。
【0027】中間転写体ドラム105は、金属ドラム上
に中抵抗の弾性層と高抵抗の表層を有するもので、感光
体ドラム101に接触して或いは近接して感光体ドラム
101と略同じ周速度で矢示の時計方向に回転駆動さ
れ、中間転写体ドラム105の金属ドラムにバイアス電
位を与えて感光体ドラム101との電位差で感光体ドラ
ム101側のトナー画像を該中間転写体ドラム105面
側に転写させる。
【0028】上記の回転中間転写体ドラム105面に合
成形成されたカラートナー画像は、該回転中間転写体ド
ラム105と転写ローラ106との接触ニップ部である
二次転写部T2において、該二次転写部T2に不図示の
給紙部から所定のタイミングで送り込まれた記録材Pの
面に転写されていく。転写ローラ106は記録材Pの背
面からトナーと逆極性の電荷を供給することで中間転写
体ドラム105面側から記録材P側へ合成カラートナー
画像を順次に一括転写する。
【0029】二次転写部T2を通過した記録材Pは中間
転写体ドラム105の面から分離されて像加熱装置(定
着装置)100へ導入され、未定着トナー画像の加熱定
着処理を受けてカラー画像形成物として機外の不図示の
排紙トレーに排出される。定着装置100については次
の(2)項で詳述する。
【0030】記録材Pに対するカラートナー画像転写後
の回転中間転写体ドラム105はクリーナ108により
転写残りトナー・紙粉等の付着残留物の除去を受けて清
掃される。このクリーナ108は常時は中間転写体ドラ
ム105に非接触状態に保持されており、中間転写体ド
ラム105から記録材Pに対するカラートナー画像の二
次転写実行過程において中間転写体ドラム105に接触
状態に保持される。
【0031】また転写ローラ106も常時は中間転写体
ドラム105に非接触状態に保持されており、中間転写
体ドラム105から記録材Pに対するカラートナー画像
の二次転写実行過程において中間転写体ドラム105に
記録材Pを介して接触状態に保持される。
【0032】白黒画像などモノカラー画像のプリントモ
ードも実行できる。また両面画像プリントモード、或い
は多重画像プリントモードも実行できる。
【0033】両面画像プリントモードの場合は、像加熱
装置100を出た1面目画像プリント済みの記録材Pは
不図示の再循環搬送機構を介して表裏反転されて再び二
次転写部T2へ送り込まれて2面に対するトナー画像転
写を受け、再度、像加熱装置100に導入されて2面に
対するトナー画像の定着処理を受けることで両面画像プ
リントが出力される。
【0034】多重画像プリントモードの場合は、像加熱
装置100を出た1回目画像プリント済みの記録材Pは
不図示の再循環搬送機構を介して表裏反転されずに再び
二次転写部T2へ送り込まれて1回目画像プリント済み
の面に2回目のトナー画像転写を受け、再度、像加熱装
置100に導入されて2回目のトナー画像の定着処理を
受けることで多重画像プリントが出力される。
【0035】本例においては、トナーは低軟化物質を含
有させたものを用いている。
【0036】(2)定着装置100 図2は本例の定着装置100の要部の横断側面模型図、
図3は要部の正面模型図、図4は要部の縦断正面模型図
である。
【0037】本例装置100は図13の定着装置と同様
に、回転体である円筒状の電磁誘導発熱性フィルムを用
いた、加圧ローラ駆動方式、電磁誘導加熱方式の装置で
ある。図13の装置と共通の構成部材・部分には同一の
符号を付して再度の説明を省略する。
【0038】磁性コア17a・17b・17cは高透磁
率の部材であり、フェライトやパーマロイ等といったト
ランスのコアに用いられる材料がよく、より好ましくは
100kHz以上でも損失の少ないフェライトを用いる
のがよい。
【0039】定着フィルムの指示部材である16bは磁
性コア17a・17b・17c及び励磁コイル18を配
設した上側フィルムガイド部材であり、同じく支持部材
である16aの上側に被せて配設した横断面略半円弧状
樋型フィルムガイド部材である。フィルムガイド部材1
6aとこの上側フィルムガイド部材16bとで略円柱体
が構成される。
【0040】このフィルムガイド部材16aと上側フィ
ルムガイド部材16bとのアセンブリの外側に、円筒状
の電磁誘導発熱性フィルムである定着フィルム10をル
ーズに外嵌させてある。
【0041】22はフィルムガイド16aの上面平面部
に当接させて配設した横長の加圧力保持部材である加圧
用剛性ステイである。
【0042】19は磁性コア18と加圧用剛性ステイ2
2の間を絶縁するための絶縁性部材である。
【0043】23a・23bはフィルムガイド部材16
aと上側フィルムガイド部材16bとのアセンブリの左
右両端部に外嵌させて位置固定して取り付けた、定着フ
ィルム10の端部を規制・保持するフランジ部材であ
る。
【0044】加圧部材としての加圧ローラ30は、芯金
30aと、該芯金周りに同心一体にローラ状に成形被覆
させた、シリコーンゴム・フッ素ゴム・フッ素樹脂など
の耐熱性・弾性材層30bとで構成されており、芯金3
0aの両端部を装置の不図示のシャーシ側板金間の回転
自由に軸受け保持させて配設してある。
【0045】この加圧ローラ30の上側に、上記のフィ
ルムガイド部材16a、磁性コア17a・17b・17
c、励磁コイル18、上側フィルムガイド部材16b、
加圧用剛性ステイ22、絶縁性部材19、定着フィルム
10、フランジ部材23a・23bからなる加熱手段ユ
ニットがフィルムガイド部材16aの半円状底面側を下
向きにして配設され、加圧用剛性ステイ22の両端部と
装置シャーシ側のバネ受け部材29a・29bとの間に
それぞれ加圧バネ25a・25bを縮設することで加圧
用剛性ステイ22に押し下げ力を作用させている。これ
によりフィルムガイド部材16aの下面と加圧ローラ3
0の上面とが定着フィルム10を挟んで圧接して所定幅
の定着ニップ部Nが形成される。加圧用剛性ステイ22
の下面はフィルムガイド部材16aの底板部を隔てて定
着ニップ部Nに対応位置している。
【0046】加圧ローラ30は駆動手段Mにより矢示の
反時計方向に回転駆動される。この加圧ローラ30の回
転駆動による該加圧ローラ30と定着フィルム10の外
面との摩擦力で定着フィルム10に回転力が作用して、
該定着フィルム10がその内面が定着ニップ部Nにおい
てフィルムガイド部材16aの下面に密着して摺動しな
がら矢示の時計方向に加圧ローラ30の回転周速度にほ
ぼ対応した周速度をもってフィルムガイド部材16aと
上側フィルムガイド部材16bの外回りを回転状態にな
る。
【0047】この場合、定着ニップ部Nにおけるフィル
ムガイド部材16aの下面と定着フィルム10の内面と
の相互摺動摩擦力を低減化させるために定着ニップ部N
のフィルムガイド16aの下面と定着フィルム10の内
面との間に耐熱性グリスなどの潤滑剤を介在させる、あ
るいはフィルムガイド部材16aの下面を潤滑部材で被
覆するようにすることもできる。
【0048】高速プリンタやカラープリンタ等の定着装
置においては低速機と比較して高い加圧力を必要とす
る。例えば、20ppm(prints per mi
mute)以上のプリンタでは15N以上、フルカラー
プリンタでは30N以上の加圧力を必要とされる場合が
ある。
【0049】ここで、比較例1として図13のようにフ
ィルムガイド16のみの構成に高い加圧力を加えた場合
のニップ形状を図5(b)に示す。ニップ中央部が良好
な定着性を得るのに必要な定着ニップ幅N1とした場
合、フィルムガイド16の剛性不足により定着ニップ中
央部のニップ幅がN1より狭くなり定着不良領域におい
て十分な定着性が得られなかった。
【0050】比較例2として図15のように磁性コア1
7の上に絶縁性部材19を介して加圧用剛性ステイ22
を配置し高い加圧力をかけた場合、図5(a)のように
定着に十分なニップ幅(>N1)を得ることができた。
しかし、磁性コア17は硬いが脆いという性質があり、
過大な負荷をかけるとコアが割れる可能性がある。ま
た、励磁コイル18はコイルの各ターン間の絶縁を維持
しなければならず、そこに、過大な負荷がかかるとコイ
ルの絶縁被覆に傷をつけてしまい絶縁破壊を起こす可能
性がある。本比較例2においては高い加圧力に堪えきれ
ず磁性コアが割れてしまい、励磁コイルの絶縁被覆に傷
をつけてしまった。
【0051】このため、本発明では加圧用剛性ステイ2
2の加圧位置から定着ニップまでの間に磁性コアと励磁
コイルを配設しない構成とする。本実施の形態では、加
圧用ステイ22の上部に励磁コイルと磁性コアを配設
し、加圧用ステイ22の加圧位置と定着ニップまでの間
にはフィルムガイド16aと定着フィルム10があるだ
けの構成である。
【0052】上記の構成により、磁場発生手段である磁
性コア17a・17b・17c及び励磁コイル18に負
荷をかけることなく、図5(a)に示すような安定した
定着ニップを得ることができた。本実施例では総加圧力
として40Nをかけても中央部のニップ幅が狭くなるこ
となく、また、耐久による経時変化もほとんどない安定
した定着ニップが得られた。
【0053】また、本発明の構成では磁性コア17a・
17b・17cや励磁コイル18に負荷がかからないこ
とからコア・コイルの形状に対する制約がなく、発熱効
率の向上を図ることができる。
【0054】加圧用剛性ステイ22のヤング率Eとして
はE≧7×1010の金属または合金がよい。E<7×1
10の場合には加圧用剛性ステイ22が加圧力に堪えき
れず曲がってしまい、良好な定着に必要なニップ幅N1
を確保できなくなる。
【0055】また、加圧用剛性ステイ22は非磁性の金
属または合金がよい。加圧用剛性ステイ22が磁性金属
の場合、励磁コイル18で発生した磁界の一部を吸収し
てステイ自身が発熱してしまい、定着フィルム10の発
熱効率が低下する。加圧用剛性ステイ22が非磁性の金
属または合金であれば、磁界をシールドする効果が得ら
れ定着フィルム10の発熱効率が低下するのを防止する
ことができる。
【0056】本実施の形態においては厚さ2mmの非磁
性ステンレスSUS304をコの字型に折り曲げて使用
した。
【0057】16e(図6)は上側フィルムガイド部材
16bの側面にフィルムガイド部材長手に沿って間隔を
おいて形成具備させた複数本の下側フィルムガイド周方
向の凸リブ部である。この凸リブ部16eはフィルムガ
イド部材16bの側面と定着フィルム10の内面との接
触摺動抵抗を低減させて定着フィルム10の回転負荷を
少なくする作用をする。このような凸リブ部はフィルム
ガイド部材16aにも同様な形状に形成具備することが
できる。
【0058】上側フィルムガイド部材16b内の励磁コ
イル18には給電部18a・18bに励磁回路27(図
6)を接続してある。この励磁回路27は20kHzか
ら500kHzの高周波をスイッチング電源で発生でき
るようになっている。
【0059】上側フィルムガイド部材16b内の励磁コ
イル18は励磁回路27から供給される交番電流(高周
波電流)によって交番磁束を発生する。
【0060】図7は定着ニップ部N付近での交番磁束の
発生の様子を模式的に表したものである。磁束Cは発生
した交番磁束の一部を表す。
【0061】磁性コア17a・17b・17cに導かれ
た交番磁束(C)は、磁性コア17aと17bとの間、
17aと17cとの間に集中的に分布し、定着フィルム
10の電磁誘導発熱層1に渦電流を発生させる。この渦
電流は電磁誘導発熱層1の固有抵抗によって電磁誘導発
熱層1にジュール熱(渦電流損)を発生させる。ここで
の発熱量Qは電磁誘導発熱層1を通る磁束の密度によっ
て決まり、図7のグラフような分布を示す。図7のグラ
フは横軸に定着ニップ中心を0として、定着ニップ中心
からの角度θにより定着フィルム10の位置を表してい
る。縦軸は定着フィルム10の電磁誘導発熱層1での発
熱量Qを表す。ここで、発熱域Hは最大発熱量をQとし
た場合、発熱量がQ/e以上の領域と定義する。
【0062】この定着ニップ部Nの温度は、不図示の温
度検知手段を含む温調系により励磁コイル18に対する
電流供給が制御されることで所定の温度が維持されるよ
うに温調される。26は定着フィルム10の温度を検知
するサーミスタなどの温度センサであり、本例において
は温度センサ26を定着フィルム10の内面の定着ニッ
プ直後当接し、この温度情報をもとに定着ニップ部Nの
温度を制御するようにしている。
【0063】而して、加圧ローラ30が回転駆動され、
それに伴って円筒状の定着フィルム10がフィルムガイ
ド部材16aと上側フィルムガイド部材16bの外回り
を回転し、励磁回路27から上側フィルムガイド部材内
の励磁コイル18への給電により上記のように定着フィ
ルム10の電磁誘導発熱がなされて定着ニップ部Nが所
定の温度に立ち上がって温調された状態において、画像
形成手段部から搬送された未定着トナー画像tが形成さ
れた記録材Pが定着ニップ部Nの定着フィルム10と加
圧ローラ30との間に画像面が上向き、即ち定着フィル
ム面に対向して導入され、定着ニップ部Nにおいて画像
面が定着フィルム10の外面に密着して定着フィルム1
0と一緒に定着ニップ部Nを挟持搬送されていく。この
定着ニップ部Nを定着フィルム10と一緒に記録材Pが
挟持搬送されていく過程において定着フィルム10の電
磁誘導発熱で加熱されて記録材P上の未定着トナー画像
tが加熱定着される。記録材Pは定着ニップ部Nを通過
すると回転定着フィルム10の外面から分離して排出搬
送されていく。被記録材上の加熱定着トナー画像は定着
ニップ部通過後、冷却して永久固着像となる。
【0064】図3に示すように、定着フィルム10の長
さLFと加圧ローラの長さLRはフィルムエッジで加圧ロ
ーラに傷をつけてしまうことを防止するためにLF>LR
としている。
【0065】フランジ部材23a・23bは定着フィル
ム10の回転時に該定着フィルム10の端部を受けて定
着フィルムのフィルムガイド部材長手に沿う寄り移動を
規制する役目をする。このフランジ部材23a・23b
は定着フィルム10に従動で回転する構成にしてもよ
い。
【0066】本例ではトナーtに低軟化物質を含有させ
たトナーを使用したため、定着装置にオフセット防止の
ためのオイル塗布機構を設けていないが、低軟化物質を
含有させていないトナーを使用した場合にはオイル塗布
機構を設けてもよい。また、低軟化物質を含有させたト
ナーを使用した場合にもオイル塗布や冷却分離を行って
もよい。
【0067】A)励磁コイル18 励磁コイル18はコイル(線輪)を構成させる導線(電
線)として、一本ずつがそれぞれ絶縁被覆された銅製の
細線を複数本束ねたもの(束線)を用い、これを複数回
巻いて励磁コイルを形成している。本例では12ターン
巻いて励磁コイル18を形成している。
【0068】絶縁被覆は定着フィルム10の発熱による
熱伝導を考慮して耐熱性を有する被覆を用いるのがよ
い。本実施の形態においてはポリイミドによる被覆を用
いており耐熱温度は220℃である。
【0069】ここで、励磁コイル18の外部から圧力を
かけて密集度を向上さてもよい。
【0070】励磁コイル18及び磁性コア17a,17
b,17cで発生した磁界を定着フィルム10の発熱層
に効率よく吸収させるためには、励磁コイル18及び磁
性コア17a,17b,17cと定着フィルム10の発
熱層1との距離はできる限り近い方がよい。
【0071】そこで本例では図2のように、励磁コイル
18の形状は発熱層の曲面に沿うようにしている。本例
では定着フィルム10の発熱と励磁コイル18間の距離
は略1mmになるように設定している。
【0072】フィルムガイド部材16a・16bの材質
としては、定着フィルム10との絶縁を確保するために
絶縁性に優れ、耐熱性がよいものがよい。例えば、フェ
ノール樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド
樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹
脂、PPS樹脂、PFA樹脂、PTFE樹脂、FEP樹
脂、LCP樹脂などを選択するとよい。
【0073】磁性コア17a,17b,17c及び励磁
コイル18と、定着フィルムの発熱層との間の距離はで
きる限り近づけた方が磁束の吸収効率が高いのである
が、この距離が5mmを越えるとこの効率が著しく低下
するため5mm以内にするのがよい。また、5mm以内
であれば定着フィルム10の発熱層と励磁コイル18の
距離が一定である必要はない。
【0074】励磁コイル18のフィルムガイド部材16
aからの引出線即ち18a・18bについては、フィル
ムガイド部材16aから外の部分について束線の外側に
絶縁被覆を施している。
【0075】B)定着フィルム10 図8は本例における定着フィルム10の層構成模型図で
ある。本例の定着フィルム10は、電磁誘導発熱性の定
着フィルムの基層となる金属フィルム等でできた発熱層
1と、その外面に積層した弾性層2と、その外面に積層
した離型層3の複合構造のものである。発熱層1と弾性
層2との間の接着、弾性層2と離型層3との間の接着の
ため、各層間にプライマー層(不図示)を設けてもよ
い。円筒状の定着フィルム10において発熱層1が内面
側であり、離型層3が外面側である。前述したように、
発熱層1に交番磁束が作用することで該発熱層1に渦電
流が発生して該発熱層1が発熱する。その熱が弾性層2
・離型層3を介して定着フィルム10を加熱し、該定着
ニップNに通紙される被加熱材としての記録材を加熱し
てトナー画像の加熱定着がなされる。
【0076】a.発熱層1 発熱層1は非磁性の金属でも良いが、ニッケル、鉄、強
磁性SUS、ニッケル−コバルト合金といった強磁性体
の金属を用いるとよい。
【0077】その厚みは次の式で表される表皮深さより
厚くかつ200μm以下にすることが好ましい。表皮深
さσ〔m〕は、励磁回路の周波数f〔Hz〕と透磁率μ
と固有抵抗ρ〔Ωm〕で σ=503×(ρ/fμ)1/2 と表される。
【0078】これは電磁誘導で使われる電磁波の吸収の
深さを示しており、これより深いところでは電磁波の強
度は1/e以下になっており、逆にいうと殆どのエネル
ギーはこの深さまでで吸収されている(図10)。
【0079】発熱層1の厚さは好ましくは1〜100μ
mがよい。発熱層1の厚みが1μmよりも小さいとほと
んどの電磁エネルギーが吸収しきれないため効率が悪く
なる。また、発熱層が100μmを超えると剛性が高く
なりすぎ、また屈曲性が悪くなり回転体として使用する
には現実的ではない。従って、発熱層1の厚みは1〜1
00μmが好ましい。
【0080】b.弾性層2 弾性層2は、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシ
リコーンゴム等で耐熱性がよく、熱伝導率がよい材質で
ある。
【0081】弾性層2の厚さは10〜500μmが好ま
しい。この弾性層2は定着画像品質を保証するために必
要な厚さである。
【0082】カラー画像を印刷する場合、特に写真画像
などでは記録材P上で大きな面積に渡ってベタ画像が形
成される。この場合、記録材の凹凸あるいはトナー層の
凹凸に加熱面(離型層3)が追従できないと加熱ムラが
発生し、伝熱量が多い部分と少ない部分で画像に光沢ム
ラが発生する。伝熱量が多い部分は光沢度が高く、伝熱
量が少ない部分では光沢度が低い。弾性層2の厚さとし
ては、10μm以下では記録材あるいはトナー層の凹凸
に追従しきれず画像光沢ムラが発生してしまう。また、
弾性層2が1000μm以上の場合には弾性層の熱抵抗
が大きくなりクイックスタートを実現するのが難しくな
る。より好ましくは弾性層2の厚みは50〜500μm
がよい。
【0083】弾性層2の硬度は、硬度が高すぎると記録
材あるいはトナー層の凹凸に追従しきれず画像光沢ムラ
が発生してしまう。そこで、弾性層2の硬度としては6
0゜(JIS−A)以下、より好ましくは45゜(JI
S−A)以下がよい。
【0084】弾性層2の熱伝導率λに関しては、λ=6
×10-4〜2×10-3〔cal/cm・sec・de
g.〕がよい。
【0085】熱伝導率λが6×10-4〔cal/cm・
sec・deg.〕よりも小さい場合には、熱抵抗が大
きく、定着フィルムの表層(離型層3)における温度上
昇が遅くなる。
【0086】熱伝導率λが2×10-3〔cal/cm・
sec・deg.〕よりも大きい場合には、硬度が高く
なりすぎたり、圧縮永久歪みが悪化する。
【0087】よって熱伝導率λは6×10-4〜2×10
-3〔cal/cm・sec・deg.〕がよい。より好
ましくは8×10-4〜1.5×10-3〔cal/cm・
sec・deg.〕がよい。
【0088】c.離型層3 離型層3はフッ素樹脂、シリコーン樹脂、フルオロシリ
コーンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、PFA、P
TFE、FEP等の離型性かつ耐熱性のよい材料を選択
することができる。
【0089】離型層3の厚さは1〜100μmが好まし
い。離型層3の厚さが1μmよりも小さいと塗膜の塗ム
ラで離型性の悪い部分ができたり、耐久性が不足すると
いった問題が発生する。また、離型層が100μmを超
えると熱伝導が悪化するという問題が発生し、特に樹脂
系の離型層の場合は硬度が高くなりすぎ、弾性層2の効
果がなくなってしまう。
【0090】また図9に示すように、定着フィルム10
の層構成において、発熱層1の自由面側(発熱層1の弾
性層2側とは反対面側)に断熱層4を設けてもよい。
【0091】断熱層4としては、フッ素樹脂、ポリイミ
ド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PE
EK樹脂、PES樹脂、PPS樹脂、PFA樹脂、PT
FE樹脂、FEP樹脂などの耐熱樹脂がよい。
【0092】また、断熱層4の厚さとしては10〜10
00μmが好ましい。断熱層4の厚さが10μmよりも
小さい場合には断熱効果が得られず、また、耐久性も不
足する。一方、1000μmを超えると磁性コア17
a,17b,17c及び励磁コイル18から発熱層1の
距離が大きくなり、磁束が十分に発熱層1に吸収されな
くなる。
【0093】断熱層4は、発熱層1に発生した熱が定着
フィルムの内側に向かわないように断熱できるので、断
熱層4がない場合と比較して記録材P側への熱供給効率
良くなる。よって、消費電力を抑えることができる。
【0094】このように本実施の形態によれば、磁場発
生手段であるコイル・コアにストレスを加えないことに
より安定した磁場を発生させることができる。また、ス
トレスが加わらないため耐久性にも有利である。
【0095】加圧力保持部材を金属または合金とするこ
とにより曲げに対して強くなり、安定した定着ニップを
形成することができる。
【0096】また加圧力保持部材を非磁性の金属にする
ことにより、磁場発生手段で発生した磁場による発熱を
防ぐことができ、発熱効率が向上する。
【0097】(第2の実施例)本例においては、図11
に示すように、定着フィルム10のこの発熱域Hの対向
位置に暴走時の励磁コイル18への給電を遮断するため
温度検知素子であるサーモスイッチ40を配設してい
る。また、磁性コア17a・17b・17cと励磁コイ
ル18を定着ニップの上流側に略90゜回転させた位置
に配設した。これにより、発熱域Hを定着ニップに近づ
けることができる。これ以外は第1の実施の形態と同様
の構成であり、図2の装置と共通の構成部材・部分には
同一の符号を付して再度の説明を省略する。
【0098】図12は本例で使用した安全回路の回路図
である。温度検知素子であるサーモスイッチ40は+2
4VDC電源とリレースイッチ41と直列に接続されて
おり、サーモスイッチ40が切れると、リレースイッチ
41への給電が遮断され、リレースイッチ41が動作
し、励磁回路27への給電が遮断されることにより励磁
コイル18への給電を遮断する構成をとっている。サー
モスイッチ40はOFFの温度を220℃に設定した。
【0099】また、サーモスイッチ40は定着フィルム
10の発熱域Hに対向して定着フィルム10の外面に非
接触に配設した。サーモスイッチ40と定着フィルム1
0との間の距離は略2mmとした。これにより、定着フ
ィルム10にサーモスイッチ40の接触による傷が付く
ことがなく、耐久による定着画像の劣化を防止すること
ができる。
【0100】本例によれば、装置故障による定着装置暴
走時、図13のような定着ニップNで発熱する構成とは
違い、定着ニップNに紙が挟まった状態で定着器が停止
し、励磁コイル18に給電が続けられ定着フィルム10
が発熱し続けた場合でも、紙が挟まっている定着ニップ
部Nでは発熱していないために紙が直接加熱されること
がない。また、発熱量が多い発熱域Hには、サーモスイ
ッチ40が配設してあるため、サーモスイッチ40が2
20℃を感知して、サーモスイッチが切れた時点で、リ
レースイッチ41により励磁コイル18への給電が遮断
される。
【0101】本例によれば、紙の発火温度は約400℃
近辺であるため紙が発火することなく、定着フィルムの
発熱を停止することができた。
【0102】本例では、温度検知素子としてサーモスイ
ッチを用いたが、温度ヒューズを用いてもよい。
【0103】このように本実施の形態によれば、上述し
た実施の形態の効果の他に、安全装置としてサーモスイ
ッチや温度ヒューズといった温度検知素子を電磁誘導発
熱性の回転体の発熱域に回転体の外側から非接触で温度
検知素子を配設することにより、回転体表面に傷をつけ
ることがないので定着画像を劣化させることなく、加熱
装置が暴走したときに安全に給電を遮断することができ
る。
【0104】尚、本発明では、 1)電磁誘導発熱性の定着フィルム10は、モノクロあ
るいは1パスマルチカラー画像などの加熱定着用の場合
は弾性層2を省略した形態のものとすることもできる。
発熱層1は樹脂に金属フィラーを混入して構成したもの
とすることもできる。発熱層単層の部材とすることもで
きる。
【0105】2)加熱装置としての定着装置100の装
置構成は実施の形態の加圧ローラ駆動方式に限られるも
のではない。
【0106】例えば、図16のように、フィルムガイド
16と、駆動ローラ31と、テンションローラ32との
間に、電磁誘導発熱性のエンドレスベルト状の定着フィ
ルム10を懸回張設し、フィルムガイド16の下面部と
加圧部財としての加圧ローラ30とを定着フィルム10
に挟んで圧接させて定着ニップ部Nを形成させ、定着フ
ィルム10を駆動ローラ31によって回転駆動させる装
置構成にすることもできる。この場合、加圧ローラ30
は従動回転ローラである。
【0107】3)加圧部材30はローラ体に限らず、回
動ベルト型など他の形態の部材にすることもできる。
【0108】また加圧部材30側からも記録材に熱エネ
ルギーを供給するために、加圧部材30側にも電磁誘導
加熱などの発熱手段を設けて所定の温度に加熱・温調す
る装置構成にすることもできる。
【0109】4)本発明の加熱装置は実施の形態の画像
加熱定着装置としてに限らず、画像を担持した記録材を
加熱してつや等の表面性を改質する像加熱装置、仮定着
する像加熱装置、その他、被加熱材の加熱乾燥装置、加
熱ラミネート装置など、広く被加熱材を加熱処理する手
段・装置として使用できる。
【0110】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
電磁誘導加熱方式の加熱装置について、加圧用ステイを
磁場発生手段であるコイル・コアにストレスを加えない
位置に配設することにより、高い加圧力をかけることが
可能となるとともに安定した定着ニップが得られ、良好
な定着画像を得ることができる。
【0111】また、定着フィルムの外側の発熱域に安全
素子である温度検知素子を非接触で配設することによ
り、定着フィルムに傷をつけることがないので定着画像
を劣化を防ぐことができ、かつ装置の暴走時に安全に定
着フィルムの発熱を停止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に用いた画像形成装置の概略
構成図
【図2】加熱装置としての定着装置の要部の横断側面模
型図
【図3】図2の要部の正面模型図
【図4】図2の要部の正面模型断面図
【図5】ニップ形状を示した図
【図6】フィルムガイド部材と励磁コイル、磁性コアの
斜視図
【図7】磁束と定着フィルムの発熱量の関係を示した図
【図8】電磁誘導発熱性の定着フィルムの層構成模型図
(その1)
【図9】電磁誘導発熱性の定着フィルムの層構成模型図
(その2)
【図10】発熱層深さと電磁波強度の関係を示したグラ
【図11】第2の実施の形態における構成概略断面図
【図12】第2の実施の形態における安全回路図
【図13】本発明の背景技術である電磁誘導加熱方式の
加熱装置(定着装置)の一例の構成略図
【図14】磁束と定着フィルムの発熱量の関係を示した
【図15】定着装置の比較例2の概略図
【図16】定着装置の他の構成形態例の概略図
【符号の説明】
1 発熱層 2 弾性層 3 離型層 4 断熱層 10 定着フィルム 16 フィルムガイド 17a〜17c 磁性コア 18 励磁コイル 22 加圧用剛性ステイ 23a・23b 定着フィルム端部の規制・保持用フラ
ンジ部材 25a・25b 加圧バネ部材 26 温度検知素子(サーミスタ) 30 加圧部材としての加圧ローラ 40 温度検知素子(サーモスイッチ) 41 リレースイッチ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁場発生手段と、前記磁場発生手段の磁
    場の作用で電磁誘導発熱する回転体と、この回転体と相
    互圧接してニップ部を形成する加圧部材と、を有し、前
    記ニップ部で記録材を挾持搬送し、前記回転体の熱によ
    り記録材上の画像を加熱する像加熱装置において、 少なくとも前記回転体内部のニップ位置において前記回
    転体を支持する支持部材と、前記回転体及び前記支持部
    材を介して前記加圧部材からの加圧力を保持する加圧力
    保持部材と、を有し、前記磁場発生手段は前記支持部材
    と前記加圧力保持部材の間以外のところに設けられてい
    ることを特徴とする像加熱装置。
  2. 【請求項2】 前記回転体はエンドレスフィルムである
    ことを特徴とする請求項1の像加熱装置。
  3. 【請求項3】 前記加圧力保持部材は金属または合金か
    らなることを特徴とする請求項1乃至2の像加熱装置。
  4. 【請求項4】 前記加圧力保持部材のヤング率EがE≧
    7×1010の金属または合金のからなることを特徴と
    する請求項3の像加熱装置。
  5. 【請求項5】 前記加圧力保持部材が非磁性の金属また
    は合金のからなることを特徴とする請求項3乃至4の像
    加熱装置。
  6. 【請求項6】 前記回転体の発熱域に前記回転体の外側
    から非接触で温度検知素子を配設したことを特徴とする
    請求項1乃至5の像加熱装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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