JPH10161131A - 液晶表示素子 - Google Patents

液晶表示素子

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JPH10161131A
JPH10161131A JP32176196A JP32176196A JPH10161131A JP H10161131 A JPH10161131 A JP H10161131A JP 32176196 A JP32176196 A JP 32176196A JP 32176196 A JP32176196 A JP 32176196A JP H10161131 A JPH10161131 A JP H10161131A
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liquid crystal
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same
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ferroelectric liquid
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JP32176196A
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English (en)
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Nobuyuki Ito
信行 伊藤
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Sharp Corp
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UK Government
Sharp Corp
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    • G02F1/00Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics
    • G02F1/01Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour 
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    • G02F1/137Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour  based on liquid crystals, e.g. single liquid crystal display cells characterised by the electro-optical or magneto-optical effect, e.g. field-induced phase transition, orientation effect, guest-host interaction or dynamic scattering
    • G02F1/139Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour  based on liquid crystals, e.g. single liquid crystal display cells characterised by the electro-optical or magneto-optical effect, e.g. field-induced phase transition, orientation effect, guest-host interaction or dynamic scattering based on orientation effects in which the liquid crystal remains transparent
    • G02F1/141Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour  based on liquid crystals, e.g. single liquid crystal display cells characterised by the electro-optical or magneto-optical effect, e.g. field-induced phase transition, orientation effect, guest-host interaction or dynamic scattering based on orientation effects in which the liquid crystal remains transparent using ferroelectric liquid crystals
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 強誘電性液晶を用いた液晶表示素子におい
て、欠陥の無い均一なモノドメイン配向状態を実現す
る。 【解決手段】 液晶表示素子は、強誘電性液晶7を挟持
する一対の配向膜の界面P1 ・P2 が、一軸配向処理の
方向A1 ・A2 が同一になるように構成されている。界
面P1 は、スメクティック層にて優先的にC2配向を出
現させる配向制御力を有し、界面P2 はスメクティック
層にて優先的にC1配向を出現させる配向制御力を有す
る。これにより、強誘電性液晶7のスメクティック層1
3…は、安定的なオブリーク構造を呈する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、強誘電性液晶を用
いた液晶表示素子に関し、さらに詳しくは、欠陥のない
モノドメイン配向を示す強誘電性液晶表示素子に関す
る。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置は、薄型、軽量、低消費電
力、および低駆動電圧というような、平面表示素子とし
ては非常に有利な特徴を持っているので、ラップトップ
型のパーソナルコンピュータやワードプロセッサ、携帯
端末、または携帯用テレビなどの情報機器のディスプレ
イとして、なくてはならない存在となっている。
【0003】従来の液晶表示装置は、熱書込型のスメク
ティック液晶などの特殊な用途を除いては、ネマティッ
ク液晶を用いたものが主流である。特に、実用の範囲で
は、STNモード、あるいは駆動素子としてTFT(Thi
n Film Transistor)を用いたTNモードの二種類の表示
モードが盛んに用いられている。
【0004】しかし、ネマティック液晶を用いて今以上
の高精細で大容量の表示を実現することは極めて困難で
ある。上記のSTNモードでは、印加電圧に対する光の
透過率や応答速度などの液晶の特性面の制約から、走査
線数は原理的にほぼ限界に達している。また、TFTを
用いたTNモードでは、各画素に欠陥無くTFTを形成
しなければならず、表示容量が増加するほど製造が困難
になる。また、画素領域内にTFTが形成されるので、
開口率を向上させることが難しいという問題もある。
【0005】これらの問題を解決し、単純マトリクス方
式でより高精細且つ大容量の表示を実現する技術とし
て、1980年にクラーク(N.A.Clark)とラ
ガバル(S.T.Lagerwall)によって、キラ
ルスメクティックC液晶、すなわち強誘電性液晶を用い
た液晶表示装置が提案されている。この液晶表示装置
は、米国特許第4367924号、特開昭56−107
216号公報、およびAppl.Phys.Let
t.,vol.36(1980)899.等に開示され
ている。強誘電性液晶は、双安定なメモリー性(双安定
性)と高速応答性とを有しており、次世代の液晶表示装
置を実現するものとして期待されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、強誘電
性液晶は、ネマティック液晶に比較して、大面積にわた
って均一に配向させることが難しいという欠点がある。
均一な配向状態が得られないと、画面内に表示特性の異
なる箇所が現れ、表示画面の均一性に悪影響を与えると
いう重大な問題を引き起こす。
【0007】強誘電性液晶の均一配向が容易でないこと
は、主にそのスメクティック層構造に起因している。強
誘電性液晶であるキラルスメクティックC液晶は、基板
に垂直ないわゆるブックシェルフ型の層構造をとるスメ
クティックA液晶とは異なり、図6に示すように、スメ
クティック層14…が、一対の基板20・20の間で
「く」の字型に折れ曲がった、いわゆるシェブロン構造
と呼ばれる層構造を有する。
【0008】ここで、キラルスメクティックC液晶にお
いてシェブロン型の層構造が出現する理由について説明
する。図7は、キラルスメクティックC液晶の分子15
のふるまいを概念的に示す模式図である。zは、スメク
ティック層の層法線である。スメクティックA液晶で
は、分子はこの層法線zに平行に配向するのに対して、
相系列においてスメクティックA相の低温側に現れるキ
ラルスメクティックC相では、キラルスメクティックC
液晶の分子15は層法線zからティルト角θだけ傾いて
配向する。上記のティルト角θは、分子長軸16と層法
線zとがなす角である。分子15は、分子長軸16に垂
直な自発分極PS を有し、電界の印加に伴って円錐軌跡
18上を回転運動する。
【0009】スメクティックA液晶からキラルスメクテ
ィックC液晶へ相転移する際に、上述のように分子15
が層法線zから傾くことによって層間隔は縮小するが、
基板近傍ではスメクティックA相での層間隔が記憶され
てそのまま保持されるので、この層間隔のずれを吸収し
ようとして層が傾いて途中で折れ曲がり、シェブロン型
の層構造が出現すると考えられている。
【0010】このことから、シェブロン構造において、
図6に示すシェブロン層の傾き角度δは、図7に示す分
子15のティルト角θとほぼ等しくなることが予想され
るが、実際はδはθよりわずかに小さく、このことは本
願発明者らによって既に確認され、論文〔N.Itoh
et al.:Jpn.J.Appl.Phys.,
vol.31(1992)1414.〕にて発表されて
いる。
【0011】図8は、シェブロン構造を示す強誘電性液
晶を備えた液晶セルの断面構造と、上方からこの液晶セ
ルを見た場合に視認される配向欠陥の様子とを対比させ
て示す説明図である。なお、上記強誘電性液晶は、一軸
配向処理方向が同一になるように対向させた二枚の基板
30・30間に挟持されている。なお、図8に示すよう
に、基板30・30のそれぞれに設けられた配向膜界面
における液晶分子31…の立ち上がり方向は、各配向膜
に施された一軸配向処理の方向に一致することが知られ
ている。液晶分子31と配向膜の表面とのなす角が、プ
レティルト角θP である。
【0012】強誘電性液晶のスメクティック層にシェブ
ロン構造が出現すると、多くの問題が生じる。シェブロ
ン構造は、スメクティック層の折れ曲がる方向によって
二種類に分類される。すなわち、図8に示すように、一
軸配向処理方向(ラビング方向)とスメクティック層3
2の折れ曲がり方向とが反対のものをC1配向、一軸配
向処理方向とスメクティック層32の折れ曲がり方向と
が一致するものをC2配向と称する。
【0013】キラルスメクティックC液晶において上記
C1・C2配向のいずれか一方のみが安定に出現するよ
うに制御できれば問題はないが、C1配向からC2配向
へあるいはその逆へ変化する際のエネルギー障壁があま
り大きくないことにより、広い面積にわたってClとC
2を安定に制御することは容易ではない。もし、いずれ
か一方の状態に制御できたとしても、温度変化や機械的
な衝撃によって容易に他方の層構造が出現し、所望の層
構造を侵すことが多くの場合に見られる。
【0014】本願発明者らが、論文〔N.Itoh e
t al.:Liquid Crystals,vo
l.15(1993)669〕で報告したように、液晶
セル内に上記2種類の層構造が混在すると、これらの層
構造の境界において、図8に示すように、ヘアピン欠陥
やジグザグ欠陥と呼ばれる配向欠陥が生じる。また、C
1配向とC2配向とは互いに異なる光学特性を有するの
で、均一な表示画面が得られない。
【0015】また、理想的なブックシェルフ層構造で期
待される表示コントラストがシェブロン層構造では得ら
れないという重大な問題点もある。これはシェブロン界
面と呼ばれるシェブロン層構造の折れ曲がり箇所におい
て、スメクティック層法線に対する液晶分子の開き角度
が、液晶分子が本来有しているティルト角よりも非常に
小さくなってしまうためである。
【0016】さらに、シェブロン界面では、その上下で
液晶分子がスイッチングの際にぶつかり合うためにスイ
ッチングがスムーズに行われず、応答速度やメモリー性
が損なわれるという問題点もある。このような問題を持
つシェブロン層構造ではなく、理想的なブックシェルフ
層構造を実現するための試みが幾つか行われているが
(例えば、論文〔Takanishi et al.:
Jpn.J.Appl.Phys.,vol.29(1
990)L984.〕、〔Isogai etal.:
Mol.Cryst.Liq.Cryst.,vol.
207(1991)87.〕参照)、未だ実現には至っ
ていない。
【0017】また、シェブロン層構造を解消する方法と
して、図9に示すように、強誘電性液晶を挟持する一対
の基板40・40を、各々が有する配向膜に施された一
軸配向処理の方向D1 ・D2 が互いに平行且つ逆向きに
なるように対向させた、いわゆるアンチパラレル(反平
行)配向処理とすることで、スメクティック層41…を
傾斜層構造(オブリーク構造)とする試みも、例えば論
文〔Y.Ouchiet al.:Jpn.J.App
l.Phys.,vol.27(1988)L199
3.〕等で報告されている。
【0018】しかし、通常ポリイミド等からなる配向膜
をラビング処理してアンチパラレル配向のセルを作製す
ると、線状の細かなドメイン(配向状態の異なる部分)
が多数発生してしまい、均一な配向状態が得られない。
この理由はよくわかっていないが、このため、多くの場
合にはシェブロン構造が形成されるにも拘わらず、対向
する一対の基板における一軸配向処理の方向を同一方向
とする、いわゆるパラレル(平行)配向が採用されてい
る。
【0019】なお、上記Y.Ouchiらの論文では、
斜方蒸着が用いられているが、SiOのような無機カラ
ムの場合にのみ例外的に、均一な配向状態のオブリーク
層構造が得られるだけである。このような無機カラムの
蒸着技術は、表示装置の大型化や量産化といった工業化
には適していないことは言うまでもない。
【0020】また、強誘電性液晶は、前述したように双
安定牲という高速駆動には有利な特徴を有する反面、こ
の双安定性はアナログ階調表示を困難にするという問題
がある。これを解決する有望な手段として、特開平7−
92469号公報に、液晶をスイッチングするしきい値
電圧の異なる領域が微細に分布するように強誘電性液晶
中に微粒子を添加する技術が報告されている。この技術
では、スメクティック層の層面がほぼ平面に近いシャー
プなオブリーク層構造を形成する液晶セルに微粒子を添
加することにより、上記層面の傾斜角が段階的に変化す
るような擬似オブリーク層構造に変化させることで、ア
ナログ階調表示を実現している。
【0021】なお、上記公報では、配向膜のプレティル
ト角が4°以下のときには反平行配向処理とし、プレテ
ィルト角が5°以上のときには反平行あるいは平行配向
処理とすることが必要であり、すなわちプレティルト角
に依らずアンチパラレル(反平行)配向処理が効果的で
あると述べられている。しかし、普通にアンチパラレル
配向処理により作製した液晶セルでは、オブリーク構造
が形成されたとしても線状の細かなドメインが多数発生
してしまい、均一な配向状態が得られない。なお、上記
公報に開示された技術でも、容易に均一な配向状態が得
られるSiO斜方蒸着による配向膜が採用されており、
工業化には適さない。
【0022】本発明はこのような問題を解決するために
なされたものであり、線状の細かなドメインを生じるこ
となく、安定なオブリーク構造のスメクティック層を持
つ強誘電性液晶表示素子を実現することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、請求項1記載の液晶表示素子は、少なくとも透明
電極および配向膜をそれぞれ有する一対の透光性基板
と、上記一対の透光性基板の間に挟持された強誘電性液
晶とを備え、上記一対の透光性基板の各配向膜に施され
た一軸配向処理の方向が同一あるいは略同一であり、上
記強誘電性液晶のスメクティック層がオブリーク構造を
とることを特徴とする。
【0024】上記の構成によれば、スメクティック層
が、途中で折れ曲がったシェブロン構造ではなく、透光
性基板の法線に対して同じ向きに傾いたオブリーク構造
をとることにより、表示コントラスト、応答速度、およ
び双安定性といった性能面での向上が図られる。従来、
シェブロン構造のスメクティック層では、層の折れ曲が
り方向が互いに異なるC1・C2の二種類の配向状態が
混在し得ることからジグザグ欠陥やヘアピン欠陥のよう
な欠陥が生じ易く、さらに、スイッチングの際にスメク
ティック層の折れ曲がり箇所であるシェブロン界面で上
下の液晶分子がぶつかり合うことにより、応答速度や双
安定性が劣化するという問題があった。これに対して、
オブリーク構造のスメクティック層では、均一なモノド
メイン配向状態が得られると共に、液晶分子のスイッチ
ングが妨げられないので、応答速度や双安定性において
シェブロン構造よりも優れた特性が得られる。
【0025】さらに、上記のオブリーク構造は、一対の
透光性基板の各配向膜に施された一軸配向処理の方向が
同一あるいは略同一であることから得られ、従来オブリ
ーク構造を得るために用いられている反平行処理(対向
基板における一軸配向処理の方向を平行且つ逆向きとす
る処理)とは異なり、線状の細かなドメインが発生する
ことがなく、従来よりも安定的に均一な配向状態を得る
ことができる。この結果、表示の安定性および均一性に
優れた液晶表示素子を提供することが可能となる。
【0026】請求項2記載の液晶表示素子は、少なくと
も透明電極および配向膜をそれぞれ有する一対の透光性
基板と、上記一対の透光性基板の間に挟持された強誘電
性液晶とを備え、上記一対の透光性基板の各配向膜に施
された一軸配向処理の方向が同一あるいは略同一であ
り、上記一対の透光性基板の一方が有する配向膜に施さ
れた一軸配向処理の向きと上記強誘電性液晶のスメクテ
ィック層が傾斜する向きとが等しく、上記一対の透光性
基板の他方が有する配向膜に施された一軸配向処理の向
きと上記強誘電性液晶のスメクティック層が傾斜する向
きとが逆であることを特徴とする。
【0027】上記の構成では、スメクティック層はオブ
リーク構造、あるいは特開平7−92469号公報の図
14(b)に示されているようにスメクティック層が途
中で若干折れ曲がった状態の擬似オブリーク構造をと
る。これにより、シェブロン構造のように欠陥を生じる
ことなく、均一なモノドメイン配向状態が得られる。ま
た、液晶分子のスイッチングが妨げられないので、応答
速度や双安定性においてシェブロン構造よりも優れた特
性が得られる。
【0028】従来、オブリーク構造のスメクティック層
を形成するためにはSiOを斜方蒸着させた配向膜が用
いられており、基板の大型化や量産化が困難であるとい
う問題を有していた。しかし、上記の構成において配向
膜に施す一軸配向処理としてはラビング処理を好適に用
いることができるので、上記の問題を解決し、低コスト
で液晶表示素子を提供できるという利点もある。
【0029】さらに、上記の構成は、一対の透光性基板
の各配向膜に施された一軸配向処理の方向が同一あるい
は略同一であることにより、従来オブリーク構造を得る
ために用いられている反平行処理(対向基板における一
軸配向処理の方向を平行且つ逆向きとする処理)とは異
なり、線状の細かなドメインが発生することがなく、均
一な配向状態を得ることができる。この結果、表示の安
定性および均一性に優れた液晶表示素子を提供すること
が可能となる。
【0030】請求項3記載の液晶表示素子は、少なくと
も透明電極および配向膜をそれぞれ有する一対の透光性
基板と、上記一対の透光性基板の間に挟持された強誘電
性液晶とを備え、上記一対の透光性基板の各配向膜に施
された一軸配向処理の方向が同一あるいは略同一であ
り、上記一対の透光性基板の一方が有する配向膜が、該
配向膜二枚を一軸配向処理の方向が同一あるいは略同一
になるように対向させてその間隙に上記強誘電性液晶を
挟持させた場合に上記強誘電性液晶のスメクティック層
を優先的にC1配向のシェブロン構造とする配向制御力
を持ち、上記一対の透光性基板の他方が有する配向膜
が、該配向膜二枚を一軸配向処理の方向が同一あるいは
略同一になるように対向させてその間隙に上記強誘電性
液晶を挟持させた場合に上記強誘電性液晶のスメクティ
ック層を優先的にC2配向のシェブロン構造とする配向
制御力を持つことを特徴とする。
【0031】スメクティック層がシェブロン構造をとる
場合、スメクティック層がC1配向からC2配向へ、あ
るいはその逆へ、層構造が変形する際のエネルギー障壁
はそれほど大きくない。このため、例えばスメクティッ
ク層全体を均一にC1配向に揃えようとしてもその一部
にC2配向が容易に出現し、均一な配向状態を得ること
は難しい。
【0032】しかし、上記の構成によれば、一対の透光
性基板の一方が有する配向膜が、スメクティック層を優
先的にC1配向のシェブロン構造とする配向制御力を持
つので、スメクティック層においてこの配向膜に近い部
分は、該配向膜の一軸配向処理の方向と逆向きに傾こう
とする。一方、他方の透光性基板が有する配向膜がスメ
クティック層を優先的にC2配向のシェブロン構造とす
る配向制御力を持つので、スメクティック層においてこ
の配向膜に近い部分は、該配向膜の一軸配向処理の方向
と同じ向きに傾こうとする。
【0033】これらの配向膜は、一軸配向処理の方向が
同一あるいは略同一になるように対向しているので、こ
れらの配向膜に挟持されたスメクティック層は、各配向
膜界面において層が優先的に傾く方向とは逆方向へ傾く
ためのエネルギー障壁が大きくなる。この結果、図2
(a)に示すように、シェブロン構造のような折れ曲が
りを持たず、スメクティック層の層面が透光性基板の法
線に対して傾斜したオブリーク構造が安定的に出現す
る。
【0034】なお、オブリーク構造においても、図5
(b)に示すように、透光性基板の法線に対して層面が
傾く方向に応じて二種類の配向状態が存在するが、これ
らの配向状態の一方から他方へ変形する際のエネルギー
障壁が、シェブロン構造におけるC1・C2配向間のエ
ネルギー障壁に比較して大きいことは、図5(a)およ
び(b)から容易に推測できる。すなわち、オブリーク
構造はシェブロン構造に比較して安定度が高いので、上
記の構成によれば、均一なモノドメイン配向を容易に得
ることができる。
【0035】さらに、上記の構成は、一対の透光性基板
の各配向膜に施された一軸配向処理の方向が同一あるい
は略同一であることにより、従来オブリーク構造を得る
ために用いられている反平行処理(対向基板における一
軸配向処理の方向を平行且つ逆向きとする処理)とは異
なり、線状の細かなドメインが発生することがなく、均
一な配向状態を得ることができる。また、上記の構成に
おいて配向膜に施す一軸配向処理としては、量産化に適
したラビング処理を適用できるので、低コストで液晶表
示素子を提供することが可能となるという利点もある。
【0036】以上のように、請求項3記載の構成によれ
ば、表示コントラスト、応答速度、および双安定性にお
いて優れた特性を持ち、欠陥のない均一な表示を実現す
る液晶表示素子を低コストで提供することが可能とな
る。
【0037】請求項4記載の液晶表示素子は、請求項3
記載の液晶表示素子において、一対の透光性基板の一方
が有する配向膜が、該配向膜二枚を一軸配向処理の方向
が同一あるいは略同一になるように対向させてその間隙
に上記強誘電性液晶を挟持させた場合に全表示面積の5
0%以上のスメクティック層をC1配向のシェブロン構
造とする配向制御力を持ち、上記一対の透光性基板の他
方が有する配向膜が、該配向膜二枚を一軸配向処理の方
向が同一あるいは略同一になるように対向させてその間
隙に上記強誘電性液晶を挟持させた場合に全表示面積の
50%以上のスメクティック層をC2配向のシェブロン
構造とする配向制御力を持つことを特徴とする。
【0038】上記の構成によれば、強誘電性液晶のスメ
クティック層を安定的にオブリーク構造とすることがで
き、表示コントラスト、応答速度、および双安定性にお
いて優れた特性を持ち、欠陥のない均一な表示を実現す
る液晶表示素子を提供することが可能となる。
【0039】請求項5記載の液晶表示素子は、請求項3
記載の液晶表示素子において、上記一対の透光性基板の
一方が有する配向膜の界面における上記強誘電性液晶の
液晶分子のプレティルト角が、該液晶分子のティルト角
とスメクティック層の傾き角の差よりも大きく、上記一
対の透光性基板の他方が有する配向膜の界面における上
記強誘電性液晶の液晶分子のプレティルト角が、該液晶
分子のティルト角とスメクティック層の傾き角の差より
も小さいことを特徴とする。
【0040】プレティルト角が液晶分子のティルト角と
スメクティック層の傾き角の差よりも大きければC1配
向が優先的に出現し、その逆であればC2配向が優先的
に出現する。このため、上記の構成によれば、強誘電性
液晶のスメクティック層を安定的にオブリーク構造とす
ることができ、表示コントラスト、応答速度、および双
安定性において優れた特性を持ち、欠陥のない均一な表
示を実現する液晶表示素子を提供することが可能とな
る。
【0041】請求項6記載の液晶表示素子は、請求項1
ないし5のいずれかに記載の液晶表示素子において、強
誘電性液晶に、液晶分子をスイッチングするしきい値電
圧が互いに異なる微細領域を形成するための微粒子が添
加されていることを特徴とする。
【0042】上記の構成によれば、スイッチングするた
めのしきい値電圧が互いに異なる微細領域が分布してい
ることにより、しきい値に応じた電圧を印加すれば、微
細領域のそれぞれの光学応答を異ならせることができ
る。この結果、表示コントラスト、応答速度、および双
安定性において優れた特性を持ち、階調表示を実現し得
る液晶表示素子を提供することが可能となる。
【0043】
【発明の実施の形態】本発明の実施の一形態について図
1ないし図5に基づいて説明すれば、以下のとおりであ
る。
【0044】図1は、本発明の実施の一形態に係る液晶
表示素子の概略構造を示す断面図である。図1に示すよ
うに、液晶表示素子1は、上側基板11と下側基板10
とを貼り合わせ、その間隙に強誘電性液晶7を挟持した
構成である。
【0045】下側基板10におけるガラス基板2aの表
面には、インジウム錫酸化物(以下、ITOと略称す
る)等からなる複数の透明な信号電極3a…が、互いに
平行に配置されている。信号電極3a…上には、SiO
2 等からなる透明な絶縁膜4aが形成されている。
【0046】上側基板11におけるガラス基板2bにお
いて上記信号電極3a…と対向する面には、ITO等か
らなる複数の透明な走査電極3b…が、信号電極3a…
と直交する向きに、互いに平行に配置されている。走査
電極3b…上は、SiO2 等からなる透明な絶縁膜4b
によって被覆されている。
【0047】絶縁膜4a・4bのそれぞれの上には、ラ
ビング処理などの一軸配向処理が施された配向膜5a・
5bが形成される。配向膜5a・5bとしては、ポリイ
ミド膜、ナイロン膜、またはポリビニルアルコール膜な
どの有機高分子膜を好適に用いることができる。また、
SiO斜方蒸着膜などを用いても良い。
【0048】上記2枚のガラス基板2a・2bは、一部
に注入口を残して封止剤6で貼り合わされ、配向膜5a
・5bで挟まれる空間に注入口から強誘電性液晶7が注
入される。その後、上記注入口は封止剤8で封止され
る。このようにして貼り合わされた2枚のガラス基板2
a・2bは、偏光板12a・12bで挟まれる。なお、
偏光板12a・12bは、互いの偏光軸が直交するよう
に配置される。
【0049】以上のように、本実施形態の液晶表示素子
1は、偏光板12a、ガラス基板2a、信号電極3a
…、絶縁膜4a、および配向膜5aからなる下側基板1
0と、偏光板12b、ガラス基板2b、走査電極3b
…、絶縁膜4b、および配向膜5bからなる上側基板1
1との間に強誘電性液晶7を挟持した構成である。な
お、表示面積が広い場合には、下側基板10と上側基板
11が互いに平行に一定の間隔(セル厚)で対向するよ
うに、スペーサ9…が配置される。
【0050】図2(a)は、液晶表示素子1の強誘電性
液晶7におけるスメクティック層の構造を模式的に示す
断面図である。また、図2(b)は、信号電極3a…お
よび走査電極3b…から電場が印加された場合の上記ス
メクティック層における液晶分子の配向状態を模式的に
示す断面図である。同図(a)および(b)において、
界面P1 は上側基板11の配向膜5bの界面を表し、界
面P2 は下側基板10の配向膜5aの界面を表す。ま
た、矢印A1 ・A2 は、上側基板11の配向膜5bに施
された一軸配向処理の方向と、下側基板10の配向膜5
aに施された一軸配向処理の方向とをそれぞれ示す。
【0051】液晶表示素子1は、図2(a)に示すよう
に、下側基板10と上側基板11とが、各々の配向膜5
a・5bに施された一軸配向処理の方向が同一となるよ
うに配置され、強誘電性液晶7のスメクティック層13
…が、シェブロン構造のような折れ曲がりを持たず、上
下基板の法線方向に対して一定の角度で傾いたオブリー
ク構造であることを特徴としている。
【0052】なお、スメクティック層13内の液晶分子
は、信号電極3a…および走査電極3b…から印加され
る電場に応じて、図2(b)に示すように、二種類の配
向状態の間でスイッチングする。ここでは、一方の配向
状態をON状態とし、他方の配向状態をOFF状態と表
現した。
【0053】図2(a)に示すように、強誘電性液晶7
のスメクティック層13…は、上側基板11側では、配
向膜5bに施された一軸配向処理方向(矢印A1 )と同
じ向きに傾斜し、下側基板10側では、配向膜5aに施
された一軸配向処理方向(矢印A2 )と逆向きに傾斜し
た構造をとる。この構造を実現するためには、上側基板
11の配向膜5bとして、C2配向のシェブロン構造を
優先的に出現させる配向膜を用いると共に、下側基板1
0の配向膜5aとして、C1配向のシェブロン構造を優
先的に出現させる配向膜を用いれば良い。
【0054】図3は、本実施形態の強誘電性液晶7との
比較のために、C1配向のシェブロン構造をとる強誘電
性液晶のスメクティック層の構造を模式的に示す断面図
である。同図において、界面P3 ・P4 は、この強誘電
性液晶を挟持する一対の配向膜の界面を表す。また、矢
印A3 ・A4 は、上記一対の配向膜の各々に施された一
軸配向処理の方向を示す。同図に示すように、C1配向
のスメクティック層は、層の折れ曲がり方向が、配向膜
の一軸配向処理方向に対して逆向きである。すなわち、
界面P3 およびP4 の双方において、スメクティック層
は一軸配向処理方向に対して逆向きに傾いている。
【0055】図4は、本実施形態の強誘電性液晶7との
比較のために、C2配向のシェブロン構造をとる強誘電
性液晶のスメクティック層の構造を模式的に示す断面図
である。同図において、界面P5 ・P6 は、この強誘電
性液晶を挟持する一対の配向膜の界面を表す。また、矢
印A5 ・A6 は、上記一対の配向膜の各々に施された一
軸配向処理の方向を示す。同図に示すように、C2配向
のスメクティック層は、層の折れ曲がり方向が、配向膜
の一軸配向処理方向と同じ向きである。すなわち、界面
5 およびP6 の双方において、スメクティック層は一
軸配向処理方向に対して逆向きに傾いている。
【0056】シェブロン構造のスメクティック層におい
てC1配向およびC2配向のいずれが優先的に出現する
かは、配向膜界面での液晶分子のプレティルト角(図3
および図4にそれぞれ示すθp )の大きさに左右され
る。プレティルト角θp が、強誘電性液晶の液晶分子の
ティルト角θ(図7参照)とスメクティック層の傾き角
δとの差よりも大きい場合には、C1配向が優先的に出
現する。逆に、プレティルト角θp が、液晶分子のティ
ルト角θとスメクティック層の傾き角δとの差よりも小
さい場合には、C2配向が優先的に出現する。
【0057】なお、プレティルト角の大きさは、配向膜
材料、焼成温度、および一軸配向処理時の各種条件等に
依存する。このため、少なくとも、適切に選択した配向
膜材料を用い、該配向膜材料の焼成温度、および一軸配
向処理の条件を適切に設定すれば、プレティルト角を所
望の大きさに制御することができる。
【0058】本実施形態の液晶表示素子1が備える配向
膜5bは、この配向膜5bを2枚用意して一軸配向処理
方向が同一になるように配置した間隙に強誘電性液晶7
を挟持させた場合、この強誘電性液晶7のスメクティッ
ク層にC2配向が優先的に出現するようなプレティルト
角を液晶分子に与えるものである。一方、配向膜5a
は、同様にその強誘電性液晶7を挟持させた場合に、強
誘電性液晶7のスメクティック層にC1配向が優先的に
出現するようなプレティルト角を与える。
【0059】なお、スメクティック層がシェブロン構造
をとる場合には、スメクティック層がC1配向からC2
配向へあるいはその逆へ変形する際のエネルギー障壁は
それほど大きくない。このため、スメクティック層全体
をC1配向およびC2配向のいずれか一方の状態に均一
に揃えようとしても、その一部が他方の状態に容易に変
化してしまい、均一な配向状態を得ることは難しい。
【0060】しかし、本実施形態の液晶表示素子1で
は、下側基板10の配向膜5aが、スメクティック層を
優先的にC1配向のシェブロン構造とする配向制御力を
持つので、スメクティック層において配向膜5aに近い
部分は、配向膜5aに施された一軸配向処理の方向と逆
向きに傾こうとする。一方、上側基板11の配向膜5b
は、スメクティック層を優先的にC2配向のシェブロン
構造とする配向制御力を持つので、配向膜5bに近い部
分は、配向膜5bに施された一軸配向処理の方向と同じ
向きに傾こうとする。
【0061】これらの相互作用により、配向膜5aの界
面においてスメクティック層が配向膜5aに施された一
軸配向処理の方向と同じ向きに傾くためのエネルギー障
壁と、配向膜5bの界面においてスメクティック層が配
向膜5aに施された一軸配向処理の方向と逆向きに傾く
ためのエネルギー障壁とが、共に大きくなる。この結
果、配向膜5a・5bに挟持されたスメクティック層に
は、シェブロン構造ではなく、図2(a)に示すような
オブリーク構造が安定的に出現する。
【0062】なお、オブリーク構造においても、図5
(b)に示すように、スメクティック層の層面が傾く方
向によって、二種類の配向状態が存在する。しかし、こ
れらの配向状態の一方から他方へ変形する際のエネルギ
ー障壁が、シェブロン構造におけるC1・C2配向間の
変形におけるエネルギー障壁に比較して大きいことは、
図5(a)および(b)から容易に推測できる。すなわ
ち、オブリーク構造はシェブロン構造に比較して安定度
が高いので、均一なモノドメイン配向を容易に得ること
ができると言える。
【0063】以上のように、本実施形態の液晶表示素子
1は、一対の配向膜5a・5bを、一軸配向処理方向が
同一になるように対向させた間隙に強誘電性液晶7を挟
持した構成である。なお、配向膜5aはスメクティック
層にて優先的にC1配向を出現させる配向制御力を有
し、配向膜5bはスメクティック層にて優先的にC2配
向を出現させる配向制御力を有する。これにより、強誘
電性液晶7のスメクティック層に安定的にオブリーク構
造を出現させることができる。また、上記液晶表示素子
1は、配向膜5a・5bが、その一軸配向処理方向が同
一になるように配置されたいわゆる平行配向の液晶表示
素子であるので、一軸配向処理方向が平行且つ逆向きに
なるように配置されたいわゆる反平行配向の液晶表示素
子のように線状の細かなドメインが出現することがな
い。この結果、液晶表示素子1は、欠陥のない均一なモ
ノドメイン配向を安定的に実現できる。
【0064】なお、上記した実施の形態は、本発明を限
定するものではなく、発明の範囲内で種々の変更が可能
である。例えば、上述では、下側基板10の配向膜5a
が優先的にC1配向を出現させ、上側基板11の配向膜
5bが優先的にC2配向を出現させる構成を例示して説
明したが、この逆に、配向膜5aがC2配向、配向膜5
bがC1配向をそれぞれ優先的に出現させるような配向
制御力を有していても良い。
【0065】また、下側基板10の配向膜5aの一軸配
向処理方向と、上側基板11の配向膜5bの一軸配向処
理方向とは必ずしも正確に同一方向でなくても良く、略
同一であれば、強誘電性液晶7にオブリーク構造を出現
させることができる。
【0066】さらに、強誘電性液晶7中に、特開平7−
92469号公報に開示されているように、例えばカー
ボンブラックや酸化チタン等の微粒子を添加すれば、ス
イッチング電圧のしきい値が異なる微細領域が生じ、液
晶表示素子1において階調表示を行うことが可能とな
る。
【0067】
【実施例】
〔実施例1〕本発明の一実施例について説明すれば、以
下のとおりである。なお、前記した実施の形態で説明し
た構成と同様の機能を有する構成には同一の符号を付記
し、その説明を省略する。後述する他の実施例において
も同様とする。
【0068】液晶表示素子1の製造方法の一例は、下記
のとおりである。まず、ガラス基板2a・2bにITO
等により信号電極3a…および走査電極3b…をそれぞ
れ形成した上に、東京応化工業株式会社製の「OCD
TYPE2」を用いて絶縁膜4a・4bをそれぞれ形成
する。
【0069】絶縁膜4bが形成されたガラス基板2b
に、チッソ株式会社製のポリイミド「PSI−A−21
01」を塗布して200℃で焼成し、さらにラビング処
理を行うことにより、配向膜5bを形成する。一方、絶
縁膜4aが形成されたガラス基板2aには、チッソ株式
会社製のポリイミド「PSI−A−2001」を塗布し
て200℃で焼成し、さらにラビング処理を行うことに
より配向膜5aを形成する。
【0070】なお、ラビング処理時のラビング条件は、
配向膜5a・5bとも、ラビングローラーの直径を50
mm、ラビングローラーの回転数を1000rpm、ラ
ビングローラーに対する基板の搬送速度を10mm/s
ec、ラビング回数を3回とする。
【0071】つまり、本実施例では、配向膜5aと配向
膜5bとは、互いに異なる種類の配向膜材料によって形
成されている。配向膜のプレティルト角は、配向膜材
料、焼成温度、およびラビング条件の組合せによって決
まるが、上述の条件によれば、上側基板11側の配向膜
5bのプレティルト角は6°、下側基板10の配向膜5
aのプレティルト角は15°となる。
【0072】次に、上側基板11および下側基板10
を、配向膜5a・5bのラビング方向が同一となるよう
に配置して貼り合わせ、その間隙にメルク社製の「SC
E8」を、強誘電性液晶7として注入する。なお、液晶
表示素子1の表示面積は、100mm×100mmとす
る。
【0073】この液晶表示素子1では、図2(a)に示
すように、スメクティック層の傾きが一定のオブリーク
層構造が均一に形成され、シェブロン構造に伴って発生
するジグザグ欠陥が全く無い均一なモノドメイン配向状
態が得られた。
【0074】通常、上述の条件で形成した配向膜5aの
ようにプレティルト角が10°を大きく越える配向膜
を、ラビング方向が同一となるように上下の基板に形成
し、その間に強誘電性液晶を挟持させると、C1配向が
優先的に出現する(下記の比較例1−2を参照)。一
方、配向膜5bのようにプレティルト角が小さい配向膜
を、ラビング方向が同一となるように上下の基板に形成
し、その間に強誘電性液晶を挟持させると、C2配向が
優先的に出現する(下記の比較例1−1を参照)。本実
施例では、下側基板10に配向膜5a、上側基板11に
配向膜5bをそれぞれ形成し、そのラビング処理方向が
同一となるように配置させることにより、オブリーク層
構造が均一に形成されている。
【0075】ここで、本実施例の液晶表示素子との比較
のために、上側基板11に形成した配向膜5bを上下両
基板に備えた液晶表示素子を試作した。以下、この液晶
表示素子を、比較例1−1と称する。本実施例1で用い
た「PSI−A−2101」を配向膜材料として使用
し、本実施例1と同様の条件で焼成およびラビング処理
を施した2枚の基板をそのラビング方向が同一になるよ
うに貼り合わせ、その間隙に強誘電性液晶を注入するこ
とにより、比較例1−1としての液晶表示素子を作製し
た。なお、絶縁膜、強誘電性液晶、および表示面積等の
条件は、すべて本実施例1の液晶表示素子と同様であ
る。この比較例1−1では、シェブロン構造で通常見ら
れるジグザグ欠陥が生じ、均一なモノドメイン配向状態
を得ることはできなかった。なお、全表示面積中のC2
配向が70%、C1配向が30%であった。
【0076】同様に、本実施例の液晶表示素子との比較
のために、下側基板10に形成した配向膜5aを上下両
基板に備えた液晶表示素子を試作した。以下、この液晶
表示素子を、比較例1−2と称する。本実施例1で用い
た「PSI−A−2001」を配向膜材料として使用
し、本実施例1と同様の条件で焼成およびラビング処理
を施した2枚の基板をそのラビング方向が同一になるよ
うに貼り合わせ、その間隙に強誘電性液晶を注入するこ
とにより、比較例1−2としての液晶表示素子を作製し
た。なお、絶縁膜、強誘電性液晶、および表示面積等の
条件は、すべて本実施例1の液晶表示素子と同様であ
る。この比較例1−2では、シェブロン構造で通常見ら
れるジグザグ欠陥が生じ、均一なモノドメイン配向状態
を得ることはできなかった。なお、全表示面積中のC2
配向が15%、C1配向が85%であった。
【0077】本実施例1の液晶表示素子と、上記比較例
1−1および1−2とをそれぞれ比較したところ、強誘
電性液晶7のスメクティック層が均一な配向状態すなわ
ちオブリーク層構造を呈していることによって、本実施
例1の液晶表示素子の方が、各比較例よりも高いコント
ラストを示し、表示の均一性に優れている。さらに、本
実施例1の液晶表示素子は、双安定性や応答速度に関し
ても、各比較例よりも良好な特性を示した。
【0078】例えば、上記の各液晶表示素子に、パルス
幅が500μsec、パルス波高が±10Vの双極性パ
ルスをそれぞれ印加したところ、本実施例1の液晶表示
素子では完全な双安定性が得られたのに対して、比較例
1−1および1−2のいずれにおいても、10分以内に
双安定性が損なわれてしまった。比較例1−1および1
−2の液晶表示素子において完全な双安定性を実現する
ためには、パルス幅を1000μsecまで長くする必
要があった。
【0079】比較例1−1および1−2において応答速
度や双安定性の劣化が生じるのは、シェブロン界面(シ
ェブロン層構造の折れ曲がり箇所)の上下で液晶分子が
ぶつかり合って、スイッチングがスムーズに行われない
ことが原因であると考えられる。これに対して、実施例
1の液晶表示素子では、スメクティック層が、シェブロ
ン構造ではなく、基板に対して均一な傾きを有するオブ
リーク構造であることにより、均一なモノドメイン配向
状態を呈すると共に、液晶分子のスイッチングが妨げら
れないことによって応答速度や双安定性において良好な
特性が得られると考えられる。
【0080】〔実施例2〕本発明の他の実施例について
説明すれば、以下のとおりである。液晶表示素子1は、
以下の製造方法によっても実現できる。まず、ガラス基
板2a・2bにITO等により信号電極3a…および走
査電極3b…をそれぞれ形成した上に、東京応化工業株
式会社製の「OCD TYPE2」を用いて絶縁膜4a
・4bをそれぞれ形成する。絶縁膜4a・4bがそれぞ
れ形成されたガラス基板2a・2bに、チッソ株式会社
製のポリイミド「PSI−A−2101」を塗布して2
00℃で焼成し、配向膜5a・5bを成膜する。
【0081】次に、配向膜5aに対して、実施例1と同
様に、ラビングローラーの直径を50mm、ラビングロ
ーラーの回転数を1000rpm、ラビングローラーに
対する基板の搬送速度を10mm/sec、ラビング回
数を3回として、ラビング処理を行う。なお、このラビ
ング処理条件を、以下では条件1と称する。
【0082】一方、配向膜5bに対しては、上記条件1
と同じラビングローラーを用い、ラビングローラーの回
転数を300rpm、ラビングローラーに対する基板の
搬送速度を50mm/sec、ラビング回数を3回とし
て、ラビング処理を行う。なお、このラビング処理条件
を、以下では条件2と称する。
【0083】つまり、本実施例の配向膜5aと配向膜5
bとは、同じ材料および同じ焼成温度で形成されている
が、ラビング条件が互いに異なっている。この場合、上
側基板11側の配向膜5bのプレティルト角は6°、下
側基板10の配向膜5aのプレティルト角は12°であ
る。
【0084】次に、上側基板11および下側基板10
を、配向膜5a・5bのラビング方向が同一となるよう
に配置して貼り合わせ、その間隙にメルク社製の「SC
E8」を、強誘電性液晶7として注入する。なお、液晶
表示素子1の表示面積は、100mm×100mmとす
る。
【0085】この液晶表示素子1では、図2(a)に示
すように、スメクティック層の傾きが一定のオブリーク
層構造が均一に形成され、シェブロン構造に伴って発生
するジグザグ欠陥が全く無い均一なモノドメイン配向状
態が得られた。
【0086】通常、上述の条件で形成した配向膜5aの
ようにプレティルト角が10°を大きく越える配向膜
を、ラビング方向が同一となるように上下の基板に形成
し、その間に強誘電性液晶を挟持させると、C1配向が
優先的に出現する(下記の比較例2−2を参照)。一
方、配向膜5bのようにプレティルト角が小さい配向膜
を、ラビング方向が同一となるように上下の基板に形成
し、その間に強誘電性液晶を挟持させると、C2配向が
優先的に出現する(下記の比較例2−1を参照)。本実
施例では、下側基板10に配向膜5a、上側基板11に
配向膜5bをそれぞれ形成し、そのラビング処理方向が
同一となるように配置させることにより、オブリーク層
構造が均一に形成されている。
【0087】ここで、本実施例2の液晶表示素子との比
較のために、上側基板11に形成した配向膜5bを上下
両基板に備えた液晶表示素子を試作した。以下、この液
晶表示素子を、比較例2−1と称する。まず、2枚の基
板上に、本実施例2で用いた「PSI−A−2101」
を配向膜材料として塗布し、実施例2と同様に200℃
で焼成する。次に、上述の条件1でラビング処理を施
し、上記2枚の基板をそのラビング方向が同一になるよ
うに貼り合わせる。さらに、その間隙に強誘電性液晶を
注入することにより、比較例2−1としての液晶表示素
子を作製した。なお、この比較例2−1において、絶縁
膜、強誘電性液晶、および表示面積等の条件は、すべて
本実施例2と同様である。この比較例2−1では、シェ
ブロン構造で通常見られるジグザグ欠陥が生じ、均一な
モノドメイン配向状態を得ることはできなかった。な
お、全表示面積中のC2配向が70%、C1配向が30
%であった。
【0088】同様に、本実施例2の液晶表示素子との比
較のために、下側基板10に形成した配向膜5aを上下
両基板に備えた液晶表示素子を試作した。以下、この液
晶表示素子を、比較例2−2と称する。まず、2枚の基
板上に、本実施例2で用いた「PSI−A−2101」
を配向膜材料として塗布し、実施例2と同様に200℃
で焼成する。次に、上述の条件2でラビング処理を施し
た後、2枚の基板をそのラビング方向が同一になるよう
に貼り合わせる。さらに、その間隙に強誘電性液晶を注
入することにより、比較例2−2としての液晶表示素子
を作製した。なお、絶縁膜、強誘電性液晶、および表示
面積等の条件は、すべて本実施例2と同様である。この
比較例2−2では、シェブロン構造で通常見られるジグ
ザグ欠陥が生じ、均一なモノドメイン配向状態を得るこ
とはできなかった。なお、全表示面積中のC2配向が4
5%、C1配向が65%であった。
【0089】本実施例2の液晶表示素子と、上記比較例
2−1および2−2とをそれぞれ比較したところ、強誘
電性液晶7のスメクティック層が均一な配向状態すなわ
ちオブリーク層構造を呈していることによって、本実施
例2の液晶表示素子の方が、各比較例よりも高いコント
ラストを示し、表示の均一性に優れている。さらに、本
実施例2の液晶表示素子は、双安定性や応答速度に関し
ても、各比較例よりも良好な特性を示した。
【0090】例えば、上記の各液晶表示素子に、パルス
幅が500μsec、パルス波高が±10Vの双極性パ
ルスをそれぞれ印加したところ、本実施例2の液晶表示
素子では完全な双安定性が得られたのに対して、比較例
2−1および2−2のいずれにおいても、10分以内に
双安定性が損なわれてしまった。比較例2−1および2
−2において完全な双安定性を実現するためには、パル
ス幅を900μsecまで長くする必要があった。
【0091】〔実施例3〕本発明のさらに他の実施例に
ついて説明すれば、以下のとおりである。液晶表示素子
1は、以下の製造方法によっても実現できる。まず、ガ
ラス基板2a・2bにITO等により信号電極3a…お
よび走査電極3b…をそれぞれ形成した上に、東京応化
工業株式会社製の「OCD TYPE2」を用いて絶縁
膜4a・4bをそれぞれ形成する。
【0092】絶縁膜4bが形成されたガラス基板2b
に、チッソ株式会社製のポリイミド「PSI−A−21
01」を塗布して200℃で焼成し、さらにラビング処
理を行うことにより、配向膜5bを形成する。一方、絶
縁膜4aが形成されたガラス基板2aにも、チッソ株式
会社製の「PSI−A−2101」を塗布して150℃
で焼成し、さらにラビング処理を行うことにより配向膜
5aを形成する。
【0093】なお、ラビング処理時のラビング条件は、
配向膜5a・5bとも、ラビングローラーの直径を50
mm、ラビングローラーの回転数を1000rpm、ラ
ビングローラーに対する基板の搬送速度を10mm/s
ec、ラビング回数を3回とする。
【0094】つまり、本実施例3では、配向膜5aと配
向膜5bとは、同じ材料で形成され、および同じ条件で
ラビング処理が施されているが、焼成温度のみが互いに
異なっている。この場合、上側基板11側の配向膜5b
のプレティルト角は6°、下側基板10の配向膜5aの
プレティルト角は11°である。
【0095】次に、上側基板11および下側基板10
を、配向膜5a・5bのラビング方向が同一となるよう
に配置して貼り合わせ、その間隙にメルク社製の「SC
E8」を、強誘電性液晶7として注入する。なお、液晶
表示素子1の表示面積は、100mm×100mmとす
る。
【0096】この液晶表示素子1では、図2(a)に示
すように、スメクティック層の傾きが一定のオブリーク
層構造が均一に形成され、シェブロン構造に伴って発生
するジグザグ欠陥が全く無い均一なモノドメイン配向状
態が得られた。
【0097】ここで、本実施例3の液晶表示素子との比
較のために、上側基板11に形成した配向膜5bを上下
両基板に備えた液晶表示素子を試作した。以下、この液
晶表示素子を、比較例3−1と称する。まず、2枚の基
板上に、本実施例3で用いた「PSI−A−2101」
を配向膜材料として塗布し、200℃で焼成する。次
に、本実施例3と同じ条件でラビング処理を施した後、
上記2枚の基板をそのラビング方向が同一になるように
貼り合わせる。次に、その間隙に強誘電性液晶を注入
し、比較例3−1としての液晶表示素子を作製した。な
お、この比較例3−1において、絶縁膜、強誘電性液
晶、および表示面積等の条件は、すべて本実施例3と同
様である。
【0098】この比較例3−1では、シェブロン構造で
通常見られるジグザグ欠陥が生じ、均一なモノドメイン
配向状態を得ることはできなかった。なお、全表示面積
中のC2配向が70%、C1配向が30%であった。
【0099】同様に、本実施例3の液晶表示素子との比
較のために、下側基板10に形成した配向膜5aを上下
両基板に備えた液晶表示素子を試作した。以下、この液
晶表示素子を、比較例3−2と称する。まず、2枚の基
板上に、本実施例3で用いた「PSI−A−2101」
を配向膜材料として塗布し、150℃で焼成する。次
に、本実施例3と同じ条件でラビング処理を施した後、
上記2枚の基板をそのラビング方向が同一になるように
貼り合わせる。次に、その間隙に強誘電性液晶を注入
し、比較例3−2としての液晶表示素子を作製した。な
お、この比較例3−2において、絶縁膜、強誘電性液
晶、および表示面積等の条件は、すべて本実施例3と同
様である。
【0100】この比較例3−2では、シェブロン構造で
通常見られるジグザグ欠陥が生じ、均一なモノドメイン
配向状態を得ることはできなかった。なお、全表示面積
中のC2配向が40%、C1配向が60%であった。
【0101】本実施例3の液晶表示素子と、上記比較例
3−1および3−2とをそれぞれ比較したところ、強誘
電性液晶7のスメクティック層が均一な配向状態すなわ
ちオブリーク層構造を呈していることによって、本実施
例3の液晶表示素子の方が、各比較例よりも高いコント
ラストを示し、表示の均一性に優れている。さらに、本
実施例3の液晶表示素子は、双安定性や応答速度に関し
ても、各比較例よりも良好な特性を示した。
【0102】例えば、上記の各液晶表示素子に、パルス
幅が500μsec、パルス波高が±10Vの双極性パ
ルスをそれぞれ印加したところ、本実施例3の液晶表示
素子では完全な双安定性が得られたのに対して、比較例
3−1および3−2のいずれにおいても、10分以内に
双安定性が損なわれてしまった。比較例3−1および3
−2において完全な双安定性を実現するためには、パル
ス幅を1100μsecまで長くする必要があった。
【0103】〔実施例4〕本発明のさらに他の実施例に
ついて説明すれば下記のとおりである。実施例1で説明
したとおりに作製した上下基板をそれぞれのラビング処
理方向が同一になるように貼り合わせ、その間隙に、強
誘電性液晶7として、メルク社製の強誘電性液晶「SC
E8」中に0.5〜3重量%のカーボンブラックや酸化
チタン等の微粒子を分散させたものを注入し、液晶表示
素子を作製した。
【0104】また、実施例2で説明したとおりに作製し
た上下基板をそれぞれのラビング処理方向が同一になる
ように貼り合わせ、その間隙に、強誘電性液晶7とし
て、メルク社製「SCE8」中に0.5〜3重量%のカ
ーボンブラックや酸化チタン等の微粒子を分散させたも
のを注入し、液晶表示素子を作製した。
【0105】さらに、実施例3で説明したとおりに作製
した上下基板をそれぞれのラビング処理方向が同一にな
るように貼り合わせ、その間隙に、強誘電性液晶7とし
て、メルク社製「SCE8」中に0.5〜3重量%のカ
ーボンブラックや酸化チタン等の微粒子を分散させたも
のを注入し、液晶表示素子を作製した。
【0106】これらの液晶表示素子のいずれにおいて
も、シェブロン構造に伴って発生するジグザグ欠陥が全
く無く、肉眼には均一なモノドメイン配向状態が得られ
た。しかし、これらの液晶表示素子を偏光顕微鏡で観察
すると、スイッチングするためのしきい値電圧が互いに
異なる細かなドメインが多数観察された。また、パルス
印加電圧に対する透過光量の特性曲線において、しきい
値幅が10V以上あり、均一な階調表示を得ることがで
きた。
【0107】ここで、本実施例4における各液晶表示素
子との比較のために、下記の液晶表示素子を試作した。
すなわち、前記した比較例1−1、1−2、2−1、2
−2、3−1、および3−2と同様に作製した上下基板
の間隙に、本実施例4と同様に、メルク社製の強誘電性
液晶「SCE8」中に0.5〜3重量%のカーボンブラ
ックや酸化チタン等の微粒子を分散させたものを注入し
た液晶表示素子をそれぞれ作製した。
【0108】これらの液晶表示素子ではいずれも、シェ
ブロン構造で見られるジグザグ欠陥が生じ、均一なモノ
ドメイン配向状態を得ることはできなかった。このため
階調表示を得るまでにも至らなかった。
【0109】また、実施例1〜4との比較のために、下
記のとおり、上下基板の一軸配向処理方向を反対向きと
した液晶表示素子を試作した。なお、特開平7−924
69号公報等では、このような上下基板の配置を「反平
行」と称している。実施例1〜4のそれぞれと同様に配
向膜を形成した上下基板を、それぞれのラビング方向が
逆向きになるように貼り合わせ、液晶表示素子を作製し
た。なお、上下基板のラビング方向以外の条件は、すべ
て実施例1〜4のそれぞれと同様とした。
【0110】また、上記各比較例と同様に配向膜を形成
した上下基板を、それぞれのラビング方向が逆向きにな
るように互いに貼り合わせ、液晶表示素子を作製した。
なお、上下基板のラビング方向以外の条件は、すべて上
記比較例のそれぞれと同様とした。
【0111】上記の液晶表示素子のいずれにおいても、
図10に示すように、上下基板に施したラビング処理の
方向A7 ・A8 と平行な方向に、線状の細かなドメイン
19…が多数発生し、表示素子として機能しなかった。
すなわち、上下基板の一軸配向処理方向が反対向きにな
るように構成された液晶表示素子では、均一な表示を得
ることは不可能であることが分かった。
【0112】以上の実施例1ないし4および各比較例か
ら明らかなように、配向膜材料、焼成温度、ラビング処
理時の各種条件等を適切に選択することにより、配向膜
5a・5bの配向制御力を調整することが可能である。
これにより、配向膜5aに対し、この配向膜5aを二枚
対向させてその間隙に強誘電性液晶7を挟持させた場合
にスメクティック層においてC1配向を優先的に出現さ
せるような配向制御力を持たせると共に、配向膜5bに
対し、この配向膜5bを二枚対向させて強誘電性液晶7
を挟持させた場合にC2配向を優先的に出現させるよう
な配向制御力を持たせることにより、このような配向膜
5a・5bの間に挟持される強誘電性液晶7のスメクテ
ィック層を安定的にオブリーク構造とすることができ
る。
【0113】なお、スメクティック層においてC1配向
およびC2配向のどちらの状態が優先的に出現している
かは、全表示面積中で各配向状態を示している部分の面
積率で表すことができる。すなわち、例えばC1配向を
示す部分の面積が50%以上であれば、C1配向が優先
的に出現しているということができる。
【0114】なお、上記の各実施例は本発明を限定する
ものではない。例えば、上述の配向膜材料、焼成温度、
ラビング処理時の各種条件やその他の数値等は、あくま
でも一例であり、発明の範囲内で種々に変更することが
可能である。
【0115】
【発明の効果】以上のように、請求項1記載の液晶表示
素子は、少なくとも透明電極および配向膜をそれぞれ有
する一対の透光性基板と、上記一対の透光性基板の間に
挟持された強誘電性液晶とを備え、上記一対の透光性基
板の各配向膜に施された一軸配向処理の方向が同一ある
いは略同一であり、上記強誘電性液晶のスメクティック
層がオブリーク構造をとる構成である。
【0116】上記の構成によれば、スメクティック層
が、途中で折れ曲がったシェブロン構造ではなく、透光
性基板の法線に対して同じ向きに傾いたオブリーク構造
をとることにより、表示コントラスト、応答速度、およ
び双安定性といった性能面での向上を図れるという効果
を奏する。さらに、線状の細かなドメインが発生するこ
とがなく、均一な配向状態を得ることができる。この結
果、表示の安定性および均一性に優れた液晶表示素子を
提供できるという効果を奏する。
【0117】請求項2記載の液晶表示素子は、少なくと
も透明電極および配向膜をそれぞれ有する一対の透光性
基板と、上記一対の透光性基板の間に挟持された強誘電
性液晶とを備え、上記一対の透光性基板の各配向膜に施
された一軸配向処理の方向が同一あるいは略同一であ
り、上記一対の透光性基板の一方が有する配向膜に施さ
れた一軸配向処理の向きと上記強誘電性液晶のスメクテ
ィック層が傾斜する向きとが等しく、上記一対の透光性
基板の他方が有する配向膜に施された一軸配向処理の向
きと上記強誘電性液晶のスメクティック層が傾斜する向
きとが逆である構成である。
【0118】これにより、線状の細かなドメインが発生
することがなく、また、シェブロン構造のように欠陥を
生じることなく、均一なモノドメイン配向が得られる。
また、応答速度や双安定性において優れた特性が得ら
れ、表示の安定性および均一性に優れた液晶表示素子を
提供できるという効果を奏する。また、一軸配向処理と
しては、量産化に適したラビング処理を適用することが
でき、低コストで液晶表示素子を提供できるという効果
をも奏する。
【0119】請求項3記載の液晶表示素子は、少なくと
も透明電極および配向膜をそれぞれ有する一対の透光性
基板と、上記一対の透光性基板の間に挟持された強誘電
性液晶とを備え、上記一対の透光性基板の各配向膜に施
された一軸配向処理の方向が同一あるいは略同一であ
り、上記一対の透光性基板の一方が有する配向膜が、該
配向膜二枚を一軸配向処理の方向が同一あるいは略同一
になるように対向させてその間隙に上記強誘電性液晶を
挟持させた場合に上記強誘電性液晶のスメクティック層
を優先的にC1配向のシェブロン構造とする配向制御力
を持ち、上記一対の透光性基板の他方が有する配向膜
が、該配向膜二枚を一軸配向処理の方向が同一あるいは
略同一になるように対向させてその間隙に上記強誘電性
液晶を挟持させた場合に上記強誘電性液晶のスメクティ
ック層を優先的にC2配向のシェブロン構造とする配向
制御力を持つ構成である。
【0120】これにより、シェブロン構造のような折れ
曲がりを持たず、スメクティック層の層面が透光性基板
の法線に対して傾斜したオブリーク構造を形成できる。
さらに、線状の細かなドメインが発生することがない。
この結果、均一なモノドメイン配向を安定的に得ること
ができ、表示コントラスト、応答速度、および双安定性
において優れた特性を持ち、欠陥のない均一な表示を実
現する液晶表示素子を提供できるという効果を奏する。
また、一軸配向処理としては、量産化に適したラビング
処理を適用することができ、低コストで液晶表示素子を
提供できるという効果をも奏する。
【0121】請求項4記載の液晶表示素子は、一対の透
光性基板の一方が有する配向膜が、該配向膜二枚を一軸
配向処理の方向が同一あるいは略同一になるように対向
させてその間隙に上記強誘電性液晶を挟持させた場合に
全表示面積の50%以上のスメクティック層をC1配向
のシェブロン構造とする配向制御力を持ち、上記一対の
透光性基板の他方が有する配向膜が、該配向膜二枚を一
軸配向処理の方向が同一あるいは略同一になるように対
向させてその間隙に上記強誘電性液晶を挟持させた場合
に全表示面積の50%以上のスメクティック層をC2配
向のシェブロン構造とする配向制御力を持つ構成であ
る。
【0122】これにより、スメクティック層を安定的に
オブリーク構造とすることができ、表示コントラスト、
応答速度、および双安定性において優れた特性を持ち、
欠陥のない均一な表示を実現する液晶表示素子を提供で
きるという効果を奏する。
【0123】請求項5記載の液晶表示素子は、一対の透
光性基板の一方が有する配向膜の界面における上記強誘
電性液晶の液晶分子のプレティルト角が、該液晶分子の
ティルト角とスメクティック層の傾き角の差よりも大き
く、上記一対の透光性基板の他方が有する配向膜の界面
における上記強誘電性液晶の液晶分子のプレティルト角
が、該液晶分子のティルト角とスメクティック層の傾き
角の差よりも小さい構成である。
【0124】これにより、スメクティック層を安定的に
オブリーク構造とすることができ、表示コントラスト、
応答速度、および双安定性において優れた特性を持ち、
欠陥のない均一な表示を実現する液晶表示素子を提供で
きるという効果を奏する。
【0125】請求項6記載の液晶表示素子は、強誘電性
液晶に、液晶分子をスイッチングするしきい値電圧が互
いに異なる微細領域を形成するための微粒子が添加され
た構成である。
【0126】これにより、スイッチングするためのしき
い値電圧が互いに異なる微細領域が分布していることに
より、しきい値に応じた電圧を印加すれば、微細領域の
それぞれの光学応答を異ならせることができる。この結
果、表示コントラスト、応答速度、および双安定性にお
いて優れた特性を持ち、階調表示を実現し得る液晶表示
素子を提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての液晶表示素子の概
略構成を示す断面図である。
【図2】同図(a)は、オブリーク構造を呈するスメク
ティック層の構造を示す断面図であり、同図(b)は、
オブリーク構造を呈するスメクティック層における液晶
分子の配向状態を模式的に示す説明図である。
【図3】C1配向のシェブロン構造を呈するスメクティ
ック層の構造を、このスメクティック層における液晶分
子の配向状態と共に模式的に示す説明図である。
【図4】C2配向のシェブロン構造を呈するスメクティ
ック層の構造を、このスメクティック層における液晶分
子の配向状態と共に模式的に示す説明図である。
【図5】同図(a)は、シェブロン構造のスメクティッ
ク層が二種類の配向状態(C1配向およびC2配向)の
間で変形する様子を示す説明図であり、同図(b)は、
オブリーク構造のスメクティック層が二種類の配向状態
の間で変形する様子を示す説明図である。
【図6】シェブロン構造を呈するスメクティック層の構
造を示す断面図である。
【図7】キラルスメクティックC相における液晶分子の
ふるまいを概念的に示す模式図である。
【図8】C1配向およびC2配向のシェブロン構造が混
在した液晶セルの構造と、上記液晶セルを上方から見た
場合に視認できる欠陥の様子とを対比させて示す説明図
である。
【図9】アンチパラレル(反平行)配向処理を施すこと
により、スメクティック層がオブリーク構造を呈する従
来の強誘電性液晶セルの構造を模式的に示す断面図であ
る。
【図10】従来のアンチパラレル(反平行)配向処理の
液晶セルにおいて線状のドメインが出現した状態を示す
平面図である。
【符号の説明】
1 液晶表示素子 2a・2b ガラス基板 3a 信号電極 3b 走査電極 5a・5b 配向膜 7 強誘電性液晶
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 390040604 イギリス国 THE SECRETARY OF ST ATE FOR DEFENCE IN HER BRITANNIC MAJES TY’S GOVERNMENT OF THE UNETED KINGDOM OF GREAT BRITAIN AN D NORTHERN IRELAND イギリス国 ハンプシャー ジーユー14 0エルエックス ファーンボロー アイヴ ェリー ロード(番地なし) ディフェン ス エヴァリュエイション アンド リサ ーチ エージェンシー (72)発明者 伊藤 信行 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも透明電極および配向膜をそれぞ
    れ有する一対の透光性基板と、 上記一対の透光性基板の間に挟持された強誘電性液晶と
    を備え、 上記一対の透光性基板の各配向膜に施された一軸配向処
    理の方向が同一あるいは略同一であり、上記強誘電性液
    晶のスメクティック層がオブリーク構造をとることを特
    徴とする液晶表示素子。
  2. 【請求項2】少なくとも透明電極および配向膜をそれぞ
    れ有する一対の透光性基板と、 上記一対の透光性基板の間に挟持された強誘電性液晶と
    を備え、 上記一対の透光性基板の各配向膜に施された一軸配向処
    理の方向が同一あるいは略同一であり、 上記一対の透光性基板の一方が有する配向膜に施された
    一軸配向処理の向きと上記強誘電性液晶のスメクティッ
    ク層が傾斜する向きとが等しく、 上記一対の透光性基板の他方が有する配向膜に施された
    一軸配向処理の向きと上記強誘電性液晶のスメクティッ
    ク層が傾斜する向きとが逆であることを特徴とする液晶
    表示素子。
  3. 【請求項3】少なくとも透明電極および配向膜をそれぞ
    れ有する一対の透光性基板と、 上記一対の透光性基板の間に挟持された強誘電性液晶と
    を備え、 上記一対の透光性基板の各配向膜に施された一軸配向処
    理の方向が同一あるいは略同一であり、 上記一対の透光性基板の一方が有する配向膜が、該配向
    膜二枚を一軸配向処理の方向が同一あるいは略同一にな
    るように対向させてその間隙に上記強誘電性液晶を挟持
    させた場合に上記強誘電性液晶のスメクティック層を優
    先的にC1配向のシェブロン構造とする配向制御力を持
    ち、 上記一対の透光性基板の他方が有する配向膜が、該配向
    膜二枚を一軸配向処理の方向が同一あるいは略同一にな
    るように対向させてその間隙に上記強誘電性液晶を挟持
    させた場合に上記強誘電性液晶のスメクティック層を優
    先的にC2配向のシェブロン構造とする配向制御力を持
    つことを特徴とする液晶表示素子。
  4. 【請求項4】上記一対の透光性基板の一方が有する配向
    膜が、該配向膜二枚を一軸配向処理の方向が同一あるい
    は略同一になるように対向させてその間隙に上記強誘電
    性液晶を挟持させた場合に全表示面積の50%以上のス
    メクティック層をC1配向のシェブロン構造とする配向
    制御力を持ち、 上記一対の透光性基板の他方が有する配向膜が、該配向
    膜二枚を一軸配向処理の方向が同一あるいは略同一にな
    るように対向させてその間隙に上記強誘電性液晶を挟持
    させた場合に全表示面積の50%以上のスメクティック
    層をC2配向のシェブロン構造とする配向制御力を持つ
    ことを特徴とする請求項3記載の液晶表示素子。
  5. 【請求項5】上記一対の透光性基板の一方が有する配向
    膜の界面における上記強誘電性液晶の液晶分子のプレテ
    ィルト角が、該液晶分子のティルト角とスメクティック
    層の傾き角の差よりも大きく、 上記一対の透光性基板の他方が有する配向膜の界面にお
    ける上記強誘電性液晶の液晶分子のプレティルト角が、
    該液晶分子のティルト角とスメクティック層の傾き角の
    差よりも小さいことを特徴とする請求項3記載の液晶表
    示素子。
  6. 【請求項6】上記強誘電性液晶に、液晶分子をスイッチ
    ングするしきい値電圧が互いに異なる微細領域を形成す
    るための微粒子が添加されていることを特徴とする請求
    項1ないし5のいずれかに記載の液晶表示素子。
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