JPH11125843A - 液晶素子及び液晶表示装置 - Google Patents

液晶素子及び液晶表示装置

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JPH11125843A
JPH11125843A JP29242297A JP29242297A JPH11125843A JP H11125843 A JPH11125843 A JP H11125843A JP 29242297 A JP29242297 A JP 29242297A JP 29242297 A JP29242297 A JP 29242297A JP H11125843 A JPH11125843 A JP H11125843A
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liquid crystal
phase
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chiral smectic
electric field
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JP29242297A
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Masahiro Terada
匡宏 寺田
Takashi Moriyama
孝志 森山
Yoshimasa Mori
省誠 森
Yasushi Asao
恭史 浅尾
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カイラルスメクチックC相を示す液晶を用い
た液晶素子であって、階調制御を可能する。 【解決手段】 カイラルスメクチックC相を示す液晶1
5と、該液晶15を挟持して対向すると共にその対向面
にそれぞれ上記液晶に電圧を印加する電極12a,12
bが形成され、且つ液晶を配向するため少なくとも一方
の基板に一軸性配向処理が施された一対の基板11a,
11bとを備え、該液晶15のカイラルスメクチックC
相の温度範囲の所定の低温側の領域において、電界無印
加状態では液晶分子の平均分子軸を配向処理軸の平均方
向と実質的に同一にしクロスニコル偏光子間に挟持した
場合の最暗光学軸を1つしか持たない配向状態を有し、
該配向状態において電界の印加により連続的に見かけの
チルト角および透過光強度が変化することを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はフラットパネルディ
スプレイ、プロジェクションディスプレイ、プリンター
等に用いられるライトバルブに使用される液晶素子、及
び該素子を用いて階調表示を行う液晶表示装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、ネマティック液晶表示素子に
おいて、一つ一つの画素にトランジスタのような能動素
子を配置した、アクティブマトリクス(たとえばTF
T)といわれる液晶素子の開発が行われている。現在こ
のTFTを用いた液晶表示素子に用いられるネマチック
液晶のモードとして、たとえばエム・シャット(M.S
chadt)とダブリュー・ヘルフリッヒ(W.Hel
frich)著Applied Physics Le
tters第18巻、第4号(1971年2月15日発
行)第127頁から128頁において示されたツイステ
ッドネマチック(Twisted Nematic)モ
ードが広く用いられている。また、最近では横方向電界
を利用したインプレインスイッチング(In−Plai
n Switching)モードが発表されており、ツ
イステッドネマチッモード液晶ディスプレイの欠点であ
った視野角特性の改善がなされている。その他、上述し
たTFT等の能動素子を用いない、ネマティック液晶表
示素子の代表例として、スーパーツイステッドネマティ
ック(Super Twisted Nematic)
モードがある。このように、こうしたネマティック液晶
を用いた液晶表示素子は様々なモードが存在するのであ
るが、そのいずれのモードの場合にも液晶の応答速度が
数十ミリ秒以上かかってしまうという問題点が存在し
た。
【0003】このような従来型のネマティック液晶素子
の欠点を改善するものとして、双安定性を示す液晶を用
いた素子がクラーク(Clark)およびラガウェル
(Lagerwall)により提案されている(特開昭
56−107216号公報、米国特許第4367924
号明細書)。この双安定性を示す液晶としては、一般に
カイラルスメクチック相を示す強誘電性液晶が用いられ
ている。この強誘電性液晶は、自発分極により反転スイ
ッチングを行うため、非常に速い応答速度が得られる上
にメモリー性のある双安定状態を発現させることができ
る。さらに視野角特性も優れていることから、高速、高
精細、大面積の表示素子あるいはライトバルブとして適
していると考えられる。
【0004】こうした自発分極による反転スイッチング
を行う強誘電性液晶はスメクチック相(カイラルスメク
チック相)を示す液晶である。すなわち、従来ネマティ
ック液晶が抱えていた応答速度に関する問題点を解決で
きるという意味において、スメクティック液晶を用いた
液晶表示素子の実現が期待されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように、高速応答
性能など次世代のディスプレイ等に期待されカイラルス
メクチック相を示す強誘電性液晶であるが、特に上述し
たクラークやラガウェルにより提示された液晶の双安定
性を用いる素子の場合、基本的には2値の表示しかでき
ず、1画素内での階調表示が困難であった。
【0006】近年、このような階調制御が可能であるカ
イラルスメクチック相を示す液晶を用いた類似のモード
として「無閾値反強誘電性液晶」、「ショートピッチタ
イプの強誘電性液晶」、「高分子安定型強誘電性液晶」
などがあるが、すべて実用に十分なレベルに至っている
ものは未だに見出されていない。
【0007】そこで本発明の目的は、カイラルスメクチ
ック相Cを示す液晶を用いた液晶素子であって、階調制
御を可能にする液晶素子を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、カイラルスメ
クチックC相を示す液晶と、該液晶を挟持して対向する
と共にその対向面にそれぞれ上記液晶に電圧を印加する
電極が形成され、且つ液晶を配向するため少なくとも一
方の基板に一軸性配向処理が施された一対の基板とを備
えた液晶素子であって、該液晶のカイラルスメクチック
C相の温度範囲の所定の低温側の領域において、電界無
印加状態では、液晶分子の平均分子軸を配向処理軸の平
均方向と実質的に同一にしクロスニコル偏光子間に挟持
した場合の最暗光学軸を1つしか持たない配向状態を有
し、該配向状態において電界の印加により連続的に見か
けのチルト角および透過光強度が変化することを特徴と
する液晶素子である。
【0009】特開平06−242450号公報には、カ
イラルスメクチックC相の温度範囲内における低温側
に、無電界時の安定状態を略セルの一軸配向処理方向と
する疑似スメクチックA相状の配向状態を持つ液晶素子
が記載されているが、本発明者らのその後の研究によ
り、素子の設計を調整し、この配向状態において、電界
の印加により連続的に見かけのチルト角および透過光強
度の変化が発現することが見出された。本発明は、この
ようなカイラルスメクチックC相の低温側における連続
的に見かけのチルト角および透過光強度が変化をも発現
する配向状態を有し、この状態を利用する液晶素子を提
供するものである。
【0010】以下に、上述した本発明の特徴である液晶
素子における配向状態について説明する。
【0011】図1に示すようにカイラルスメクチックC
相を呈する液晶については、バルク状態で測定された層
(スメクチック層)間隔dの値は、温度(図1において
曲線上のT1〜T7、T′は層間隔dの代表的な測定温
度に相当する)の降下に対して、カイラルスメクチック
C相の範囲内(温度T′近傍以下)では液晶分子のチル
トによる減少が見られる(例えば温度T3,T4)が、
本発明では液晶の組成の調整等により、カイラルスメク
チックC相の低温側で液晶分子のパッキング性のアップ
(密度の上昇)と液晶分子側鎖の分子運動の抑制などに
より変極点を有して増加傾向を示すことが可能となる
(例えば温度T5,T6,T7)。
【0012】このような図1に示す層間隔dの温度特性
を持つ液晶を、平行且つ同一方向にラビング処理が施さ
れた一対の基板間(セルギャップ1.2um)に封入し
たセルで、X線回折により想定された(クラークやラガ
ウェルによって行われた方法(Japan Displ
ay ’86,Sep.30〜Oct.2,1986.
456〜458)或いは大内らによる方法(J.J.
A.P.,27(5)(1988)725〜728)を
適用)液晶のスメクチック層の傾斜角δの温度特性の概
略を図2(測定温度は上記の層間隔dの代表的な測定温
度T1〜T7と同様とする)に、各測定温度でのスメク
チック層の傾斜角δを測定したときの実際のX線回折プ
ロファイルを図3に、各温度近傍での液晶配向状態にお
けるスメクチック層構造モデルを図4に示す。
【0013】上述の液晶セルにおいて均一配向した液晶
では、セル内で層構造を有して、スメクチックA相の温
度域では図4(a)に示すような基板44及び45間
(基板44及び45における矢印Aはラビング方向)で
液晶分子42からなるスメクチック層41がブックシェ
ルフ構造をとり、スメクチック層41の傾斜角(スメク
チック層41の基板44、45の法線に対する角度)δ
≒0(図2の温度T1,T2)であり、スメクチックC
相の温度域では図4(b)に示すようにスメクチック層
41がシェブロン構造をとり、スメクチック層41の傾
斜角δ>0(図2の温度T3,T4,T5)である。更
にスメクチックC相の範囲内のより低温側(温度T6,
T7)では、図1に示すようにバルク状態での層間隔d
は増加し、特にスメクチックC相の範囲の上限近傍(温
度T′、T2)における層間隔dの値より大きくなる
が、セル内では層構造を維持して再びブックシェルフ構
造をとり、スメクチック層41の傾斜角δ≒0となる
(図4(c))。
【0014】このとき、層構造のセル内における空間占
有分には制限があり、バルク状態と違って液晶分子が層
内で側鎖等の一部を屈曲させている可能性がある。実際
に図3の温度T7で測定されたX線回折測定プロファイ
ルはブックシェルフ状態を表すシングルピークであるが
ピーク近傍でややブロードなものとなっている。このよ
うな温度範囲において、電界無印加状態では液晶分子の
平均分子軸を配向処理軸の平均方向と実質的に同一にし
クロスニコル偏光子間に挟持した場合の最暗光学軸を1
つしか持たない配向状態となり、更に本発明では素子の
構成により該配向状態において電界の印加により連続的
に見かけのチルト角および透過光強度が変化せしめた。
【0015】かかる配向状態において予想されるスメク
チック層内での一つの液晶分子の配向状態モデルは、図
5(a)に示すようなスメクチック層41内で液晶分子
42がその一部を基板44及び45に平行な水平面内で
屈曲させ2層ずつがカップリングしたようなものがあげ
られる。また、もう一つのモデルとして、図5(b)に
示すような液晶分子42がその一部を基板44及び45
に垂直な面内で屈曲させ液晶分子42の軸をほぼ配向処
理軸の平均方向(図5では矢印A)にしたようなものが
あげられる。更にこの2つの混在モデルも考えられる
が、完全な解明には至っていない。
【0016】この二つのモデルは、基板との界面での液
晶分子のプレチルト角の大きさによりどちらの状態を安
定にとるかが決定されると考えられる。図5(a)に示
すモデルは、いわゆる3安定状態を示す反強誘電性液晶
の層構造におけるモデルと類似しているが、本発明で上
述した配向状態を発現するべく組成等が調整される液晶
材料は、熱分析等で相変化は認められず反強誘電性液晶
相は有してはいない。
【0017】本発明ではノンカイラルのベース液晶材料
にわずかのカイラルドーパントを加えた組成物(例えば
自発分極Psが5〜10nC/cm2程度)で上記強誘
電性液晶相の液の配向状態を実現するものである。
【0018】本発明の液晶素子では、上述したような配
向状態は、バルク液晶の特性だけで実現されたものでは
なく、液晶セルという閉じられた空間内でスメクチック
層構造がある程度均一に作られた状態で上述したような
層間隔の増加(及び/又は減少)がなされたときに達成
される。発明者らが検討したところ、温度の降下に伴う
スメクチック層の層間隔の減少、増加によりセル内でブ
ックシェルフ構造が出来ていることは、プレチルトが低
い平行ラビングのセルにおける2種類のシェブロン構造
(くの字あるいは逆くの字)の境界に生じるジグザグ欠
陥が消失する事によっても確認された。
【0019】本発明では、上述の液晶素子に階調信号を
供給する駆動回路を備え、上述した配向状態で、特に電
界の印加により連続的に見かけのチルト角および透過光
強度が変化する特性を利用して階調表示を行う。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図6を参照して本発明の液
晶素子の一実施形態について説明する。同図に示す液晶
素子1では、一対のガラス、プラスチック等からなる基
板11a及び11b間にカイラルスメクチックC相を示
す液晶15を挟持したセルが、互いに偏光軸が直交した
一対の偏光板17a及び17b間に挟装した構造となっ
ている。
【0021】基板11a,11bには、夫々液晶15に
電圧を印加するためのIn2O 3、ITO等の材料からな
る電極12a、12bが夫々例えばストライブ状に設け
られており、これらが互いに交差してマトリックス電極
構造を形成している。また、一方の基板側の電極を例え
ばドット状にし各電極に対応してアクティブ素子を設
け、他方を一面の対向電極としてもよい。また、電極1
2a、12b上には、必要に応じてこれらのショートを
防止する等の機能を持つSiO2、TiO 2、Ta25
の材料からなる絶縁膜13a、13bが夫々設けられて
いる。
【0022】更に、該絶縁膜13a、13b上には、液
晶15に接しその配向状態を制御するべく機能する配向
制御膜14a、14bが設けられている。
【0023】かかる配向制御膜14a、14bとして
は、その少なくとも一方に一軸配向処理が施された膜を
用いる。かかる一軸配向処理が施された膜としては、例
えば、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリアミド、ポ
リビニルアルコール等の有機材料を溶液塗工した膜の表
面にラビング処理(例えば同図に示すAの方向)を施し
たもの、あるいはSiO等の酸化物や窒化物を基板に対
し斜め方向から所定の角度で蒸着した無機材料の斜方蒸
着膜を用いることができる。
【0024】また、配向制御膜14a、14bの一方
に、液晶15の配向状態や電気特性を調整するべく、ラ
ダー型のポリシロキサン膜や、有機変性シリカ膜、絶縁
性母材(バインダー)中に導電性制御不純物が添加され
た微粒子を分散した膜を用いることもできる。かかる絶
縁性母材としては、例えば、SiOx、TiOx、Zr
Ox、その他の酸化物溶融母材、シロキサンポリマーを
用い、微粒子としては、例えば、ZnO、CdO、Zn
CdOx等の12族元素の酸化物、GeO2、SnO 2
GeSnOx、TiO2、Zro 2、TiZrOx等の4
族元素、14族元素の酸化物、Si、SiC等の14族
半導体の微粒子が挙げられる。上記微粒子に添加される
導電性制御不純物としては、12族元素の酸化物に対し
てドープする導電性制御不純物には、例えばn型不純物
(ドナー/電子伝導を高める不純物)として13族元素
であるB、Al、Ga、In等が、p型不純物(アクセ
プタ/ホール伝導度を高める不純物)として1族、11
族元素であるCu、Ag、Au、Li等用いられる。ま
た14族元素の酸化物、半導体にドープする導電性制御
不純物には、例えば、n型不純物として15族元素であ
るP、As、Sb、Biが、p型不純物として13族元
素であるB、Al、Ga、In等が挙げられる。
【0025】配向制御膜14a及び14bは、液晶15
に用いる材料の特性(相転移、電気特性等)に応じて選
択して用いる。例えば、配向制御膜14a及び14bの
両方をポリイミド等の有機膜をラビング処理したものを
用いた構成や、一方に有機膜をラビング処理したものを
用い、他方に絶縁性母材中に導電性制御不純物が添加さ
れた微粒子を分散した膜を用いる構成を、液晶材料に応
じて選択して適用する。
【0026】尚、配向制御膜14a、14bはその材
料、処理(一軸配向処理)の条件等により液晶15の分
子のプレチルト角(液晶分子の配向制御膜界面付近で膜
面に対してなす角度)が調整される。本発明では、かか
るプレチルト角として、好ましくは0°〜30°となる
ように配向制御膜14a、14bの材料や処理を選択す
る。
【0027】また、配向制御膜14a及び14bがいず
れも一軸配向処理がなされた膜である場合、夫々の膜の
一軸配向処理方向(特にラビング方向)を、用いる液晶
材料等に応じて、平行、反平行、あるいは45°以下の
範囲でクロスとなるように設定することができる。
【0028】カイラルスメクチックC相を呈する液晶1
5としては、例えば、下記構造式を有する炭化水素系の
液晶材料を用いることができる。
【0029】
【外1】 また、カイラルスメクチックC相を呈する液晶15とし
て、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物、
下記一般式(2)で表される構造を有する化合物を適宜
配合して用いることで、上述したカイラルスメクチック
C相を示す配向状態をより安定して得ることができる。
【0030】
【外2】
【0031】更に、カイラルスメクチックC相を呈する
液晶15として、フルオロカーボン末端部分及び炭化水
素部分が中心核によって結合された構造であって、スメ
クチック中間相又は潜在的スメクチック中間相を有する
フッ素含有液晶化合物を少なくとも1種を含有するカイ
ラルスメクチック液晶組成物を用いることができる。こ
こで言う潜在的スメクチック中間相を持つ化合物とはそ
れ自身でスメクチック中間相を示していなくとも、スメ
クチック中間相を持つ化合物または他の潜在的スメクチ
ック中間相を持つ化合物との混合物において、適当な条
件下でスメクチック中間相を発現する化合物を言う。
【0032】上記フッ素含有液晶化合物、あるいはこれ
を含有するカイラルスメクチック液晶組成物の処方の具
体例としては、特開昭63−27451号公報、特開平
2−142753号公報、米国特許5,262,082
号明細書、国際公開93/22396、米国特許5,4
17,813号公報等に記載されたものが挙げられる。
【0033】上記構造の液晶素子1では、基板11a及
び11bは、スペーサー16を介して対向している。か
かるスペーサー16は、基板11a及び11b間の距離
(セルギャップ)を決定するものであり、シリカビーズ
等が用いられる。ここで決定されるセルギャップについ
ては、液晶材料の違いによって最適範囲及び上限値が異
なるが、均一な一軸配向性およびブックシェルフ層構造
の成立、また電界無印加状態で液晶分子の平均分子軸を
ほぼ配向処理軸の平均方向と実質的に同一にする配向状
態を発現させるべく0.7〜10umの範囲設定するこ
とが好ましい。
【0034】スペーサー16に加えて、基板11a及び
11b間の接着性を向上させ、カイラルスメクチックC
相を示す液晶の耐衝撃性を向上させるべく、エポキシ樹
脂等の樹脂材料からなる接着粒子を分散配置することも
できる(図示せず)。
【0035】上記構造の液晶素子1では、特に液晶15
として、例えば上記例示した液晶材料を用い、その材料
の組成を調整し、更に素子構成、例えば配向制御膜14
a、14bの材料、処理条件やセルギャップ等を適宜設
定することにより、液晶のカイラルスメクチックC相の
ある低温領域において、電界無印加状態では液晶分子の
平均分子軸を配向処理軸の平均方向と実質的に同一にし
クロスニコル偏光子間に挟持した場合の最暗光学軸を1
つしか持たず、電界の印加により連続的に見かけのチル
ト角および透過光強度の変化する配向状態を発現せしめ
ることが可能となる。尚、“配向処理軸の平均方向”と
は、両基板において一軸配向処理が施され、その方向
(ラビング方向)の関係が平行又は反平行である場合、
及び一方の基板においてのみ一軸配向処理が施されてい
る場合では、その一軸配向処理の方向の自体に相当し、
両基板において一軸配向処理が施され、その方向(ラビ
ング方向)の関係が互いにクロスしている場合では、両
方の一軸配向処理軸の中心方向の軸、即ち、クロス角の
小さい方の角を1/2とした方向に相当する。
【0036】本発明では、上述の液晶素子に階調信号を
供給する駆動回路を備え、上述した配向状態で、特に電
界の印加により連続的に見かけのチルト角および透過光
強度が変化する特性を利用して階調表示を行う、液晶表
示装置を構成することができる。例えば、上記駆動回路
でTFTアクティブマトリックス駆動による振幅変調や
液晶の光学応答特性のダブルヒステリシスループを用い
てバイアス電圧を付与し、更に当該バイアス電圧を基準
としてパルス駆動を行うことによりアナログ階調表示が
可能である。
【0037】
【実施例】以下、本発明を実施例に沿って詳細に説明す
る。
【0038】(液晶セルの作製)透明電極として700
ÅのITOを形成した厚さ1.1μmの一対のガラス基
板を用意した。該基板の透明電極上に、下記の繰り返し
単位PI−aを有する化学構造のポリイミド膜を、ある
いは下記の繰り返し単位PI−bを有する科学構造のポ
リイミド膜をスピンコート法により形成した。膜厚は1
00Åとした。各基板のポリイミド膜に対して一軸配向
処理としてナイロン布によるラビング処理を施し、同一
のポリイミド膜(配向制御膜)を有する一対の基板をラ
ビング処理方向が互いに平行(パラレル)、反平行(ア
ンチパラレル)、あるいはクロス(クロス角8°)とな
るようにシリカビーズ(粒径2.0μm)スペーサーを
介して対向させ、均一なセルギャップのセル(空セル)
を得た。
【0039】これら空セルに、下記処方になる液晶組成
物LC−1又はLC−2を等方相で注入し、徐冷するこ
とによって、下記表1の設計になる合計10種の液晶素
子(サンプル1−1〜1−5、2−1〜2−5)を得
た。
【0040】尚、ポリイミドPI−aとPI−bからな
る配向制御膜が与えるプレティルト角をクリスタルロー
テイション法で測定したところ、PI−aを用いた膜で
は2.1°、PI−bを用いた膜では18°であった。
【0041】
【外3】
【0042】
【外4】
【0043】
【外5】 上記液晶組成物LC−1の相転移系列は次の通り
【0044】
【外6】 その他の特性は次の通り
【0045】
【外7】
【0046】
【外8】
【0047】
【外9】 上記液晶組成物としての相転移系列は次の通り
【0048】
【外10】 その他の特性は次の通り
【0049】
【外11】
【0050】
【表1】
【0051】1.配向状態 各素子サンプルの液晶の配向状態について偏光顕微鏡観
察を行った。
【0052】いずれのサンプルについても、室温(25
℃)では二つのドメインが混在した双安定状態であっ
た。
【0053】更に除冷したところ、サンプル1−1,1
−2,1−3,1−4,1−5については10℃にて、
テクスチャーに変化が起こり、双安定状態から、完全な
モノドメインへと転移した。この状態は、クロスニコル
でラビング方向(ラビング軸)に(サンプル1−3では
クロス角(8°)の中心軸方向)偏光軸をあわせると暗
状態となり、平均的な光軸がラビング方向(平均方向)
と一致した。
【0054】サンプル2−1、2−2、2−3、2−
4、2−5については、いずれにおいても、18℃でテ
クスチャー変化が起こり、モノドメイン状態に転移し
た。この状態は、クロスニコル下でラビング方向(ラビ
ング軸)に(サンプル2−3ではクロス角(8°)の中
心軸方向)偏光軸をあわせると暗状態となり、平均的な
光軸がラビング方向(平均方向)と一致した。
【0055】上記の結果から、モノドメイン状態の出現
は、配向処理方向(パラレル/アンチパラレル)やプレ
ティルト角の大小より、むしろ液晶材料に大きく依存し
たものであることが分かった。
【0056】2.光学応答 液晶素子が示す電気光学応答を測定するために、セルを
クロスニコル下でフォトマルチプライヤー付き偏光顕微
鏡に、電界0Vの状態で暗視野となるように配置した。
【0057】サンプル1−3に対して、±10V、0.
01Hzの交流三角波電圧を印加し、8℃にて電気光学
応答を調べたところ図7のようになった。
【0058】図7から、印加電圧に対して透過率が連続
的に変化し、絶対値が同一で正負が異なる電圧の印加で
は全く同様な光学応答を示した。また、見かけのチルト
角は約12°であった。
【0059】このセルは連続的な光学応答を示すことか
ら、TFTアクティブマトリックス駆動による振幅変調
によりアナログ階調表示が可能である。
【0060】また、サンプル2−1に対して、±10
V、0.01Hzの交流三角波電圧を印加し、8℃にて
電気光学応答を調べたところ図8のようになった。
【0061】図8から、印加電圧に対して±5V付近に
明確なしきい値をもつダブルヒステリシスループを示す
ことが分かった。また、かかるサンプルでのみかけのチ
ルト角は約10°であった。
【0062】尚、このようなダブルヒステリシス特性を
持つ素子においては、明確なしきい値特性を利用して、
単純マトリックス駆動素子で、例えば、図9に示すよう
にバイアス電圧±V1(約+4V又は−4V程度)を印
加して、その上さらに正負のパルス電圧(±V2)を重
畳することにより、暗状態と明状態及びその混在を利用
したアナログ階調レベルのメモリー効果を発現させるこ
とが期待できる。
【0063】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
カイラルスメクチックC相を示す液晶を用いた液晶素子
であって、電界の印加によって連続的に見かけのチルト
角及び透過率が変化する特性の液晶配向状態を有する液
晶素子、及びこの特性を利用してアナログ的な階調制御
がなされた液晶表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶素子で用いる液晶材料のスメクチ
ック層間隔の温度特性を示す線図。
【図2】本発明の液晶素子における、液晶のスメクチッ
ク層の傾斜角の温度特性の概要を示す線図。
【図3】図2に示すスメクチック層の傾斜角の測定のX
線回折プロファイル。
【図4】(a)〜(c):本発明の液晶素子の液晶にお
けるスメクチック層構造の変化を示す模式図。
【図5】(a)〜(b):本発明の液晶素子の液晶にお
けるスメクチック層構造の変化を示す模式図。
【図6】本発明の一実施形態にかかる液晶素子の構造を
示す断面図。
【図7】本発明の実施例における液晶素子の一サンプル
の光学応答特性を示す線図。
【図8】本発明の実施例における液晶素子の他のサンプ
ルの光学応答特性を示す線図。
【図9】図8に示す光学応答特性を示す液晶素子のサン
プルの駆動形態を模式的に示す図。
【符号の説明】
11a,11b,44,45 基板 12a,12b 電流 13a,13b 絶縁膜 14a,14b 配向制御膜 15 液晶 16 スペーサー 17a,17b 偏光板 41 スメクチック層 42 液晶分子
フロントページの続き (72)発明者 浅尾 恭史 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カイラルスメクチックC相を示す液晶
    と、該液晶を挟持して対向すると共にその対向面にそれ
    ぞれ上記液晶に電圧を印加する電極が形成され、且つ液
    晶を配向するため少なくとも一方の基板に一軸性配向処
    理が施された一対の基板とを備えた液晶素子であって、
    該液晶のカイラルスメクチックC相の温度範囲の所定の
    低温側の領域において、電界無印加状態では、液晶分子
    の平均分子軸を配向処理軸の平均方向と実質的に同一に
    しクロスニコル偏光子間に挟持した場合の最暗光学軸を
    1つしか持たない配向状態を有し、該配向状態において
    電界の印加により連続的に見かけのチルト角および透過
    光強度が変化することを特徴とする液晶素子。
  2. 【請求項2】 前記電界無印加状態でクロスニコル偏光
    子間に挟持した場合の最暗光学軸を1つしか持たない配
    向状態が、カイラルスメクチックCの温度範囲内の電界
    無印加状態でクロスニコル偏光子間に挟持した場合の最
    暗光学軸を少なくとも2つ持つ他の配向状態を生じる温
    度領域より低い温度領域で生じる配向状態であることを
    特徴とする請求項1記載の液晶素子。
  3. 【請求項3】 カイラルスメクチックC相の温度範囲内
    における液晶のスメクチック層間隔の値が、温度の降下
    にともない減少し、その後増加していく変位点を有する
    事を特徴とする請求項1または2に記載の液晶素子。
  4. 【請求項4】 前記電界無印加状態でクロスニコル偏光
    子間に挟持した場合の最暗光学軸を1つしか持たない配
    向状態において、液晶のスメクチック層の傾斜角が実質
    的に0でありブックシェルフ層構造を示す請求項1記載
    の液晶素子。
  5. 【請求項5】 前記カイラルスメクチックC相を示す液
    晶が反強誘電性液晶相を持たない請求項1記載の液晶素
    子。
  6. 【請求項6】 カイラルスメクチックC相を示す液晶
    と、該液晶を挟持して対向すると共にその対向面にそれ
    ぞれ上記液晶に電圧を印加する電極が形成され、且つ液
    晶を配向するため少なくとも一方の基板に一軸性配向処
    理が施された一対の基板とを備えた液晶素子であって、
    カイラルスメクチックC相におけるスメクチック層間隔
    の値が、カイラルスメクチックC相の上限温度における
    値以上であるような温度範囲で、電界無印加状態では液
    晶分子の平均分子軸を配向処理軸の平均方向と同一にし
    クロスニコル偏光子間に挟持した場合の最暗光学軸を1
    つしか持たない配向状態を有し、該配向状態において電
    界の印加により連続的に見かけのチルト角および透過光
    強度が変化することを特徴とする液晶素子。
  7. 【請求項7】 前記電界無印加状態でクロスニコル偏光
    子間に挟持した場合の最暗光学軸を1つしか持たない配
    向状態において、スメクチック層の傾斜角が実質的に0
    でありブックシェルフ層構造を示す請求項6記載の液晶
    素子。
  8. 【請求項8】 前記カイラルスメクチックC相を示す液
    晶が反強誘電性液晶相を持たない請求項6記載の液晶素
    子。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれかに記載の液晶素
    子と、該素子に階調表示用の信号を付与する駆動回路
    と、光源を具備し、該液晶素子を電界無印加状態でクロ
    スニコル偏光子間に挟持した場合の最暗光学軸を1つし
    か持たない配向状態においてアナログ階調表示を行う液
    晶表示装置。
JP29242297A 1997-10-24 1997-10-24 液晶素子及び液晶表示装置 Withdrawn JPH11125843A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003505729A (ja) * 1999-07-28 2003-02-12 クラリアント インターナショナル リミテッド 高コントラストスメクティック液晶制御またはディスプレイ装置
CN104380181A (zh) * 2012-03-30 2015-02-25 法国圣戈班玻璃厂 电可操控液晶装配玻璃的供电装置、此类装配玻璃的供电方法

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JP2003505729A (ja) * 1999-07-28 2003-02-12 クラリアント インターナショナル リミテッド 高コントラストスメクティック液晶制御またはディスプレイ装置
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