JPH10160688A - 単結晶インゴットのx線トポグラフィー方法および装置 - Google Patents

単結晶インゴットのx線トポグラフィー方法および装置

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JPH10160688A
JPH10160688A JP8337658A JP33765896A JPH10160688A JP H10160688 A JPH10160688 A JP H10160688A JP 8337658 A JP8337658 A JP 8337658A JP 33765896 A JP33765896 A JP 33765896A JP H10160688 A JPH10160688 A JP H10160688A
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single crystal
crystal ingot
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ingot
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JP8337658A
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Tetsuo Kikuchi
哲夫 菊池
Yoshiro Machitani
芳郎 町谷
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Rigaku Denki Co Ltd
Rigaku Corp
Original Assignee
Rigaku Denki Co Ltd
Rigaku Corp
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Publication date
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    • C30B29/00Single crystals or homogeneous polycrystalline material with defined structure characterised by the material or by their shape
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 チョクラルスキー法で製造したままの未加工
のシリコン・インゴットの状態でX線トポグラフ像を得
て結晶の転位を観察し、転位発生領域と未発生領域の境
界を見つける。 【解決手段】 走査ステージ34をX方向に移動して、
シリコン・インゴット22の観察領域をX線照射位置に
もってくる。所定の結晶格子面が鉛直姿勢になるように
インゴット22をその軸線回りにφ回転させる。移動台
46をY方向に移動させて、ω回転台48の回転中心線
49をインゴット22の外周面に合わせる。実際に回折
X線をX線テレビカメラ26で観測しながら、ω回転と
φ回転について正確なセッティングをする。次に、X線
記録媒体66を走査ステージ34上に配置する。X線源
24から出たX線をインゴット22の外周面に照射し、
X線記録媒体66上に回折像を記録しながら、走査ステ
ージ34を所定の走査幅だけ走査する。これにより、X
線トポグラフ像が得られ、転位の発生領域と未発生領域
の境界を見つけることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、シリコン・イン
ゴットを代表とする単結晶インゴットの転位を観察する
X線トポグラフィー方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】シリコン・ウェーハはシリコン単結晶の
インゴットから切り出されているが、このシリコン・イ
ンゴットは、現在はチョクラルスキー法で製造するのが
主流になっている。図7はチョクラルスキー法で製造さ
れたままの未加工の状態のシリコン・インゴットの正面
図である。その製造過程は次の通りである。(1)種結
晶10(直径6〜12mm)をシリコン融液に浸ける。
(2)種結晶10を引き上げてネッキング12(直径2
〜4mm、長さ50〜100mm程度)を形成し、転位
や加工欠陥などの格子欠陥を取り除く。(3)肩部14
を形成して、希望直径の1%程度の太さまで太らせる。
(4)直胴部16を所定長さに形成する。(5)尾部1
8を形成する。
【0003】尾部18を形成する理由は、熱歪みによる
転位が直胴部16に生じないようにするためである。こ
の尾部18を形成するときは、融液温度は高めにし、引
き上げ速度は大きくする。この尾部18では熱歪みによ
り多数の転位が発生するが、この転位はしばしば直胴部
16まで及ぶ。
【0004】上述のインゴットから円筒状の有効結晶2
0が切り出され、この有効結晶20をスライスしてシリ
コン・ウェーハが作られる。有効結晶20を得るには、
シリコン・インゴットから肩部14と尾部18を取り除
いて、直胴部16の外周面を所定の直径に加工すればよ
い。その際、直胴部16(長さL1)のうち、肩部14
に近い領域15(長さL2)と、尾部18に近い領域1
9(長さL4)は、熱歪みなどによって転位が発生して
いるおそれがあるので取り除かれる。したがって、有効
結晶20の長さL3は直胴部16の長さL1よりも短く
なる。ところで、高価なシリコン・インゴットを有効に
活用するには、有効結晶20の長さL3をできるだけ大
きくしたいが、取り除く領域15と19を小さくする
と、有効結晶20に転位発生領域が含まれる危険性が増
大する。特に尾部18に近い側の領域19では熱歪みに
より転位が発生しやすい。そこで、従来は、転位の発生
している領域を経験にもとづいて予想した上で、取り除
く領域15と19を少し大きめにしていた。この場合、
転位の発生していない良質な結晶部分もある程度は切り
捨てていたことになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】転位が発生している領
域と発生していない領域の境界を確実に見つけることが
できれば、転位の発生していない最大の有効結晶を取り
出すことができる。ゆえに、上述の境界位置を見つける
ことができるような測定手法が望まれている。
【0006】シリコン単結晶の転位を観測する方法はい
くつか知られている。例えば、(1)シリコン・インゴ
ットから円板状の試験片を切り出して、これを湿式エッ
チングする方法、(2)シリコン・インゴットから薄片
を切り出して、この薄片を透過法のX線トポグラフィー
(ラングカメラを用いる)で観察する方法、がある。こ
れらの方法は、シリコン・インゴットから試験片を切り
出す必要があるので、未加工のシリコン・インゴットを
そのままの状態で転位の発生状況を観察することはでき
ない。
【0007】原理的には、反射法のX線トポグラフィー
を用いれば、シリコン・インゴットを切断することなく
転位を観察できるはずである。しかしながら、シリコン
・インゴットから円板状に切り出した試験片について反
射法のX線トポグラフィーで転位を検出することが従来
行われているだけで、未加工のシリコン・インゴットを
そのままの形で試料として扱うことによってその転位を
観察して、転位発生領域と未発生領域の境界を見つける
ことができるようにしたX線トポグラフィー装置は知ら
れていない。
【0008】この発明の目的は、シリコン・インゴット
を代表とする単結晶インゴットを、チョクラルスキー法
で製造したままの未加工の状態で試料として扱うことに
よって、その転位を観察して、転位発生領域と未発生領
域の境界を見つけることができるX線トポグラフィー方
法および装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明のX線トポグラ
フィー方法は、チョクラルスキー法で製造されたままの
未加工の単結晶インゴットにおける転位の発生領域と未
発生領域の境界を見つけるための方法であって、次の
(イ)〜(ホ)の各段階を備えている。(イ)前記未加
工の単結晶インゴットを、その軸線回りに回転可能に、
かつ軸線方向に移動可能に、保持する段階。(ロ)開口
部が細長い入射スリットを通して前記単結晶インゴット
の外周面にX線を照射して、そこからの回折X線をX線
テレビカメラで撮像し、その撮像結果が最適になるよう
に、単結晶インゴットとX線光学系との相対位置関係を
セッティングする段階。(ハ)前記回折X線が検出でき
る位置に2次元的なX線記録媒体を配置する段階。
(ニ)前記入射スリットを通して前記単結晶インゴット
の外周面にX線を照射して、そこからの回折X線を前記
X線記録媒体で記録しながら、単結晶インゴットとX線
記録媒体とを同期して単結晶インゴットの軸線方向に走
査する段階。(ホ)X線記録媒体に記録されたトポグラ
フ像を観察して、転位の発生領域と未発生領域の境界を
認識する段階。
【0010】2次元的なX線記録媒体としてはX線フィ
ルムまたはイメージングプレートを使用できる。
【0011】X線を検出する装置としては、いろいろな
変更が可能である。上述のX線テレビカメラの代わり
に、セッティング用として任意の2次元のX線撮影装置
を利用できる。その場合、X線テレビカメラのような2
次元検出面がなくても、例えばシンチレーション検出器
を上下左右に走査して2次元のX線撮影装置として利用
することもできる。また、上述のX線記録媒体の代わり
に、X線トポグラフ観察用として任意の2次元のX線撮
影装置を利用できる。例えば、カメラタイプのX線撮像
装置を利用できる。さらに、セッティング用の2次元の
X線撮影装置とX線トポグラフ像観察用の2次元のX線
撮影装置とを兼用させてもよい。
【0012】X線トポグラフ像観察用の2次元のX線撮
影装置として、X線像を電子的な信号として取り出せる
カメラ装置を用いてもよい。この場合には、単結晶イン
ゴットと同期してX線記録媒体を走査する代わりに、単
結晶インゴットの走査中の所定のサンプリング時間ごと
にカメラ装置の出力信号を別個のメモリ領域に記憶する
ことで、X線トポグラフ像を得ることができる。これを
説明すると、所定のサンプリング時間の間に単結晶イン
ゴットが軸線方向に移動する距離(走査単位幅)をあら
かじめ決めておいて、その走査単位幅ごとに別個のメモ
リ領域を割り当てておく。そして、所定のサンプリング
時間が経過するごとに異なるメモリ領域に回折像を記録
していき、所定の走査が完了した後に、これらのメモリ
領域に記録された信号をつなぎ合わせて一つの画像にす
ることにより、X線トポグラフ像を得ることができる。
これにより、静止したX線撮影装置を用いて、2次元の
X線記録媒体を走査するのと同様の機能を果たすことが
できる。
【0013】また、この発明のX線トポグラフィー装置
は、チョクラルスキー法で製造されたままの未加工の単
結晶インゴットにおける転位の発生領域と未発生領域の
境界を見つけるための装置であって、次の(イ)〜
(ヌ)の構成を備えている。(イ)前記未加工の単結晶
インゴットを載せることができて、この単結晶インゴッ
トをその軸線回りに回転可能に支持する2本の平行な回
転ローラ。(ロ)前記回転ローラを有する走査ステー
ジ。(ハ)前記走査ステージを単結晶インゴットの軸線
方向に移動させる走査機構。(ニ)X線源と、X線源に
接続されたコリメータと、コリメータの先端に固定され
た入射スリットであって前記走査ステージの移動方向と
垂直な方向に細長い開口部を有する入射スリットと、を
備える入射X線光学系。(ホ)X線光学系のセッティン
グ用として、単結晶インゴットからの回折X線を撮像す
るX線テレビカメラ。(ヘ)X線トポグラフ像の記録用
として、単結晶インゴットからの回折X線を記録する2
次元的なX線記録媒体。(ト)前記X線記録媒体を支持
する媒体カセットであって、X線記録媒体を回折X線の
光路上に配置したり回折X線の光路から取り外したりで
きる媒体カセット。(チ)前記入射X線光学系と前記X
線テレビカメラとを搭載していて、回転中心線の回りを
回転可能な回転台。(リ)前記X線テレビカメラを前記
回転台上で前記回転中心線の回りに回転させて角度調節
できるようにした角度調節装置。(ヌ)前記回転台を搭
載していて、前記走査ステージの移動方向に垂直な方向
に移動可能な移動台。
【0014】チョクラルスキー法で製造する単結晶イン
ゴットとしてはシリコン・インゴットが代表的である
が、その他の材質の単結晶インゴットにこの発明を適用
してもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】図1は、この発明のX線トポグラ
フィー装置の一実施形態を示す斜視図であり、図2はそ
の平面図、図3は正面図である。このX線トポグラフィ
ー装置は、チョクラルスキー法で製造されたシリコン・
インゴットをそのままの形で(すなわち全く加工を施し
ていない状態で)試料として取り扱うことができる。こ
の装置の基本的な機能を説明すると、シリコン・インゴ
ット22はその軸線方向(X方向)に移動でき、また、
その軸線回りに回転できる。X線源24から出たX線は
シリコン・インゴット22の外周面に入射し、そこで反
射した回折X線が、媒体カセット64(図4を参照)に
収めたX線記録媒体66(X線フィルムまたはイメージ
ングプレート)に記録される。シリコン・インゴット2
2と媒体カセット64を同期してX方向に走査しなが
ら、媒体カセットのX線記録媒体に回折X線の像を記録
すれば、シリコン・インゴットのX線トポグラフ像が得
られる。シリコン・インゴット中の転位部分からの回折
X線の強度は、転位が存在しない領域からの回折X線の
強度よりも大きくなるので、転位像は、トポグラフ像に
おいて検出強度の大きなラインとなって現れる。なお、
X線テレビカメラ26はX線光学系のセッティングに利
用する。
【0016】この装置では、シリコン・インゴットの結
晶引き上げ軸の方位にかかわらず、(331)(22
4)(440)(135)のいずれかの結晶格子面で回
折する角度条件でX線トポグラフ像が測定できる。さら
に、結晶引き上げ軸が<100>のときには、上述の4
種類の結晶格子面に加えて(115)の結晶格子面での
測定も可能であり、また、結晶引き上げ軸が<111>
のときには(333)の結晶格子面での測定も可能であ
る。
【0017】次に、この装置の構造を詳細に説明する。
図1において、架台28の上面には走査ステージ支持台
30が4本のサポート31(図3を参照)によって固定
されている。走査ステージ支持台30には2本の平行な
レール32が固定されていて、このレール32の上を走
査ステージ34がX方向に移動できる。この走査ステー
ジの移動運動は、シリコン・インゴットの観察位置をX
線照射位置までもってくるための運動として、また、ト
ポグラフ像を得るための走査運動として、利用される。
走査ステージ支持台30にはネジ軸36が回転可能に支
持されている。走査ステージ34の下面にはナットが固
定されていて、このナットがネジ軸36に噛み合ってい
る。走査モータ38の出力軸はネジ軸36に結合されて
いる。走査モータ38が回転するとネジ軸36が回転
し、上述のナットを介して走査ステージ34がX方向に
移動する。走査ステージ34の上面には結晶保持台40
が固定されている。結晶保持台40には2本の回転ロー
ラ(ゴムローラ)42が、互いに平行になるように、回
転可能に支持されている。φ回転モータ44の出力軸は
歯車機構を介して2本の回転ローラ42に連結されてい
る。φ回転モータ44が回転すると、2本の回転ローラ
42が互いに同期して同一方向に回転し、その上に載せ
たシリコン・インゴット22がその軸線回りに回転す
る。このφ回転はアジマス調整のために利用される。
【0018】架台28の上面にはY方向に移動可能な移
動台46が載っている。移動台46の上にはω回転台4
8が載っていて、このω回転台48は、鉛直方向に延び
る回転中心線49(図3を参照)の回りを回転できる。
ω回転台48の上にはアーム50が固定されていて、こ
のアーム50の上にX線源24とコリメータ54が固定
されている。X線源24はCuターゲットの2kWの封
入型X線管であり、焦点サイズはノーマルフォーカス
で、X線取り出し方向はポイント取り出し(点焦点)で
ある。コリメータ54は約1mの長さであり、その内部
は真空に排気できる。コリメータ54の入り口側(X線
源側)の窓材はベリリウムであり、出口側(入射スリッ
ト側)の窓材はケプトンフォイルである。コリメータ5
4の先端には入射スリット56が固定されている。入射
スリット56の開口部は鉛直方向(Z方向)に細長くな
っていて、この開口部は走査ステージ34の移動方向
(X方向)に対して垂直に延びている。開口部のZ方向
の高さは100mmであり、開口幅は1mmである。な
お、この入射スリット56の開口部は、X線トポグラフ
ィーの分野で公知のようにわずかに湾曲している(例え
ば、特公昭61−45178号公報)。この入射スリッ
トは、回折線を検出しようとする結晶格子面に応じて別
個に準備している。この実施形態では、(331)(2
24)(440)(135)の各結晶格子面用と、(3
33)(115)に共用のものの、合計5種類の入射ス
リットを準備している。
【0019】ω回転台48の上にはカメラガイド58が
固定されている。このカメラガイド58は回転中心線4
9(図3を参照)を中心とした円弧の形状をしている。
カメラステージ60は、カメラガイド58に噛み合って
いてカメラガイド58に沿って回転中心線49の回りに
回転できる。カメラステージ60の上にはX線テレビカ
メラ26が固定されている。このX線テレビカメラ26
は、X線像を蛍光板で可視光に変換して、この可視光を
蛍光板に密着したイメージ・インテンシファイヤで光増
倍し、これをレンズ・カップリングのCCDカメラで観
察するものである。X線テレビカメラ26のイメージン
グ領域は直径約20mmの円形である。この実施形態で
は、X線テレビカメラ26はX線光学系のセッティング
だけに用いており、トポグラフ像を検出するのには使っ
ていない。トポグラフ像は、後述する媒体カセットに収
めたX線記録媒体で記録している。
【0020】図4はX線記録媒体の支持装置の斜視図で
ある。5インチ角の平面的な(すなわち2次元的な)X
線記録媒体66は媒体カセット64に収納されている。
媒体カセット64はブラケット68に装着できる。ブラ
ケット68の下端には吸着台70が固定されている。吸
着台70の下面には永久磁石が埋め込まれていて、この
吸着台70を走査ステージ34(図1を参照)の上面に
吸着固定できる。X線記録媒体66としては、X線フィ
ルムまたはイメージングプレート(蓄積性蛍光体あるい
は輝尽性蛍光体とも呼ばれる)を用いることができる。
【0021】次に、このX線トポグラフィー装置の使用
方法を説明する。図2において、まず、X線光学系を所
定の回折条件を満たすようにあらかじめ角度設定をす
る。例えば、シリコン・インゴットの引き上げ軸が結晶
の<100>方向である場合に、シリコン・インゴット
の外周面において結晶の(115)面でX線が回折する
ように角度設定する。そのためには、まず、X線テレビ
カメラ26が入射X線に対して所定の回折角2θの方向
になるように、カメラステージ60(第1図を参照)を
カメラガイド58に沿って回転させる。次に、ω回転台
48を回転させて、シリコン・インゴットに対するX線
入射角ωを所定の入射角度に設定する。この実施形態で
は、X線入射角ωは20〜50度の範囲で調節できる。
【0022】このような角度設定が終了したら、2本の
回転ローラ42の上に、チョクラルスキー法で製造した
ままの未加工のシリコン・インゴット22を載せる。こ
のとき、シリコン・インゴットの直径によっては、シリ
コン・インゴットの軸線がX線光学系の高さに等しくな
らないので、その場合は、走査ステージ34と結晶保持
台40との間に高さ調節スペーサを入れて調節する。
【0023】次に、走査モータ38を回転させて走査ス
テージ34をX方向に移動し、シリコン・インゴット2
2の観察したい領域(例えば、直胴部のうちの尾部に近
い領域)をX線照射位置にもってくる。次に、シリコン
・インゴット22の外周面上に現れている晶癖線(軸方
向に延びている)で大体の結晶方位が分かるので、この
晶癖線を頼りにして、シリコン・インゴット22の(1
15)面がほぼ鉛直姿勢になるように、φ回転モータ4
4を回転させてシリコン・インゴット22をその軸線回
りに回転させる(φ回転によるアジマス調整)。
【0024】次に、移動台46をY方向に移動させて、
ω回転台48の回転中心線49をシリコン・インゴット
22の外周面の位置にもってくる。位置が定まったら、
クランプ47で移動台46を固定する。この位置決め作
業を以下に詳しく説明する。図8は移動台46を位置決
めするための治具81の斜視図である。この位置決め治
具81は、基台82上に支柱84を固定して、この支柱
84の上端付近にポインタ86を水平に取り付けたもの
である。基台82はω回転台48の上面に固定したL字
形の基準ガイド88に突き当てるのに利用する。図9は
ω回転台48上に位置決め治具81をセットした状態を
示す平面図であり、図10はその拡大正面図である。図
10において、ω回転台48上の基準ガイド88に位置
決め治具81の基台82を突き当てると、ポインタ86
の先端はちょうどω回転台48の回転中心線49に一致
するようになっている。すなわち、そうなるように支柱
84からのポインタ突き出し長さが調整されている。そ
して、この状態の位置決め治具81のポインタ86の先
端がシリコン・インゴット22の外周面にちょうど接触
するように、移動台46をY方向(図面の左右方向)に
移動させる。これにより、シリコン・インゴット22の
外周面が、ω回転台48の回転中心線49に一致するこ
とになる。
【0025】以上の調整によって、シリコン・インゴッ
トの(115)面とX線光学系とは所定の回折条件をほ
ぼ満足する相対位置関係になる。そこで、今度は、実際
に回折X線を観測しながら、ω回転とφ回転について正
確なセッティングをする。これを説明すると、ω回転と
φ回転の微調整が完了していない状態では、X線テレビ
カメラによるモニタ画面上には回折線(上下に線状に延
びていて若干湾曲している)が現れても、X線照射野の
上下の一部が欠落したりボケたりしていて、完全な像に
なっていない。そこで、ω回転とφ回転について交互に
微小角度ずつ調整して、X線照射野全体から回折像が鮮
明に得られるようにする。
【0026】このセッティング時には、ω回転台48
は、5度程度の角度範囲内で、ステッピングモータによ
り微小角度ずつ調節が可能である。その角度調節の精度
は、ステッピングモータの1ステップ当たり1000分
の1度である。φ回転のセッティングについてもステッ
ピングモータを利用して角度調節できる。
【0027】以上のようにX線光学系のセッティングが
完了したら、図4に示すX線記録媒体支持装置を、図5
に示すように(X線記録媒体66だけを図示している)
走査ステージ34の上面に磁石で吸着固定する。X線記
録媒体66とシリコン・インゴット22の外周面との距
離は50mm程度である。これで測定準備が完了する。
その後、次の手順でX線トポグラフ像を観察する。X線
源24から出たX線を、真空排気された長いコリメータ
54と入射スリット56とを通してから、シリコン・イ
ンゴット22の外周面に照射する。この外周面で回折し
たX線は、X線記録媒体66に当たる。すると、X線記
録媒体上には、図6(A)に示すように、上下に延びる
わずかに湾曲した回折像72が記録される(入射スリッ
トがわずかに湾曲しているために)。それから、この回
折X線を測定しながら、走査ステージ34を所定の走査
幅(数十mm〜100mm程度)だけ走査する(X方向
に移動する)。すると、図6(B)に示すように、この
走査幅だけの回折像74、すなわちシリコン・インゴッ
トの走査幅分のX線トポグラフ像が記録される。このト
ポグラフ像は、X線フィルムに記録した場合には現像を
することによって肉眼でみることができる。イメージン
グプレートに記録した場合には、レーザ光で励起してそ
こから発生する蛍光の強度分布を表示装置に表示したり
紙に出力したりすることで肉眼で見ることができる。
【0028】図6(B)に示すように、トポグラフ像7
4の中には、回折強度が強く現れているライン76が多
数見られる。このライン76が、シリコン・インゴット
の結晶の内部の転位部分で回折したX線の像(転位像)
である。この転位像は、一般に、所定の傾斜角度をもっ
て互いに平行になって現れる。シリコン・インゴットの
観測領域を適切に選べば、図6(B)に示すように、ト
ポグラフ像74の左右方向の一方の側にだけ転位像が現
れて、他方の側には転位像が現れない。すなわち、観測
領域を適切に選ぶことにより、転位発生領域と未発生領
域の境界78を知ることができる。もし、トポグラフ像
74の全体が転位発生領域または未発生領域だけになっ
ている場合には、シリコン・インゴットをその軸線方向
にずらして再度トポグラフ像を得ることにより、上述の
境界78が分かるようにすればよい。
【0029】上述の境界78の位置で(あるいはそれよ
りもわずかに転位未発生領域側で)シリコン・インゴッ
トを切断すれば、無駄なく、かつ良質な有効結晶を得る
ことができる。なお、シリコン・インゴットの外周面に
目印80を付けておけば、この目印80もX線トポグラ
フ像に記録されるので、この目印80を基準にして、境
界78の位置をシリコン・インゴットの外周面上で定め
ることができる。
【0030】シリコン・インゴットの直胴部の尾部付近
でX線トポグラフ像を観察して転位発生領域と未発生領
域の境界を見つけたら、今度は、走査ステージを移動し
て、直胴部の肩部付近でもX線トポグラフ像を観察して
同様の境界を見つける。これにより、シリコン・インゴ
ットの二つの切断位置を適切に定めることができる。
【0031】
【発明の効果】この発明によれば、チョクラルスキー法
で製造したままの未加工の単結晶インゴットの状態でX
線トポグラフ像を得ることによって結晶の転位を観察す
ることができて、転位発生領域と未発生領域の境界を見
つけることができる。これにより、上述の境界のところ
で単結晶インゴットを切断することが可能になり、転位
が未発生の良質な結晶部分を最大限に切り出すことがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のX線トポグラフィー装置の一実施形
態を示す斜視図である。
【図2】図1の装置の平面図である。
【図3】図1の装置の正面図である。
【図4】X線記録媒体の支持装置の斜視図である。
【図5】X線記録媒体を配置した状態の平面図である。
【図6】シリコン・インゴットのX線トポグラフ像であ
る。
【図7】未加工のシリコン・インゴットの正面図であ
る。
【図8】移動台を位置決めするための位置決め治具の斜
視図である。
【図9】移動台の位置決め作業を示す平面図である。
【図10】移動台の位置決め作業を示す拡大正面図であ
る。
【符号の説明】
22 シリコン・インゴット 24 X線源 26 X線テレビカメラ 34 走査ステージ 40 結晶保持台 42 回転ローラ 46 移動台 48 ω回転台 49 回転中心線 54 コリメータ 56 入射スリット 64 媒体カセット 66 X線記録媒体

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チョクラルスキー法で製造されたままの
    未加工の単結晶インゴットにおける転位の発生領域と未
    発生領域の境界を見つけるためのX線トポグラフィー方
    法において、次の段階を有するX線トポグラフィー方
    法。 (イ)前記未加工の単結晶インゴットを、その軸線回り
    に回転可能に、かつ軸線方向に移動可能に、保持する段
    階。 (ロ)開口部が細長い入射スリットを通して前記単結晶
    インゴットの外周面にX線を照射して、そこからの回折
    X線をX線テレビカメラで撮像し、その撮像結果が最適
    になるように、単結晶インゴットとX線光学系との相対
    位置関係をセッティングする段階。 (ハ)前記回折X線が検出できる位置に2次元的なX線
    記録媒体を配置する段階。 (ニ)前記入射スリットを通して前記単結晶インゴット
    の外周面にX線を照射して、そこからの回折X線を前記
    X線記録媒体で記録しながら、単結晶インゴットとX線
    記録媒体とを同期して単結晶インゴットの軸線方向に走
    査する段階。 (ホ)X線記録媒体に記録されたトポグラフ像を観察し
    て、転位の発生領域と未発生領域の境界を認識する段
    階。
  2. 【請求項2】 前記X線テレビカメラの代わりに、セッ
    ティング用の任意の2次元のX線撮影装置を利用するこ
    とを特徴とする請求項1記載のX線トポグラフィー方
    法。
  3. 【請求項3】 前記X線記録媒体の代わりに、X線トポ
    グラフ観察用の任意の2次元のX線撮影装置を利用する
    ことを特徴とする請求項2記載のX線トポグラフィー方
    法。
  4. 【請求項4】 セッティング用の2次元のX線撮影装置
    とX線トポグラフ像観察用の2次元のX線撮影装置とを
    兼用することを特徴とする請求項3記載のX線トポグラ
    フィー方法。
  5. 【請求項5】 X線トポグラフ像観察用の2次元のX線
    撮影装置として、X線像を電子的な信号として取り出せ
    るカメラ装置を用い、前記X線記録媒体を単結晶インゴ
    ットと同期して走査する代わりに、単結晶インゴットの
    走査中の所定のサンプリング時間ごとにカメラ装置の出
    力信号を別個のメモリ領域に記憶することを特徴とする
    請求項3または4に記載のX線トポグラフィー方法。
  6. 【請求項6】 チョクラルスキー法で製造されたままの
    未加工の単結晶インゴットにおける転位の発生領域と未
    発生領域の境界を見つけるためのX線トポグラフィー装
    置において、次の構成を有するX線トポグラフィー装
    置。 (イ)前記未加工の単結晶インゴットを載せることがで
    きて、この単結晶インゴットをその軸線回りに回転可能
    に支持する2本の平行な回転ローラ。 (ロ)前記回転ローラを有する走査ステージ。 (ハ)前記走査ステージを単結晶インゴットの軸線方向
    に移動させる走査機構。 (ニ)X線源と、X線源に接続されたコリメータと、コ
    リメータの先端に固定された入射スリットであって前記
    走査ステージの移動方向と垂直な方向に細長い開口部を
    有する入射スリットと、を備える入射X線光学系。 (ホ)X線光学系のセッティング用として、単結晶イン
    ゴットからの回折X線を撮像するX線テレビカメラ。 (ヘ)X線トポグラフ像の記録用として、単結晶インゴ
    ットからの回折X線を記録する2次元的なX線記録媒
    体。 (ト)前記X線記録媒体を支持する媒体カセットであっ
    て、X線記録媒体を回折X線の光路上に配置したり回折
    X線の光路から取り外したりできる媒体カセット。 (チ)前記入射X線光学系と前記X線テレビカメラとを
    搭載していて、回転中心線の回りを回転可能な回転台。 (リ)前記X線テレビカメラを前記回転台上で前記回転
    中心線の回りに回転させて角度調節できるようにした角
    度調節装置。 (ヌ)前記回転台を搭載していて、前記走査ステージの
    移動方向に垂直な方向に移動可能な移動台。
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