JPH10159979A - 金属ガスケット及びそのベーキング方法 - Google Patents

金属ガスケット及びそのベーキング方法

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JPH10159979A
JPH10159979A JP31327996A JP31327996A JPH10159979A JP H10159979 A JPH10159979 A JP H10159979A JP 31327996 A JP31327996 A JP 31327996A JP 31327996 A JP31327996 A JP 31327996A JP H10159979 A JPH10159979 A JP H10159979A
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JP
Japan
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metal gasket
gasket
oxygen
free copper
vacuum
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JP31327996A
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English (en)
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Yasumutsu Nagai
康睦 永井
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Hitachi Cable Ltd
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Hitachi Cable Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ベーキング温度を高くしながら、軟化に起因
する真空漏れを無くせるようにする。 【解決手段】 真空装置に用いられるナイフエッジ型メ
タルシールフランジ1,2のシール部に装着される金属
ガスケット3の材料として、無酸素銅にジルコニウムを
添加した無酸素銅合金を用いる。Zrは0.01〜0.
2wt%の添加量とする。この無酸素銅合金を800〜
950℃で溶体化したものを加工して金属ガスケット3
とする。添加したZrは時効前の硬度を高め、溶体化処
理はCuとZrの金属間化合物微粒子を析出させる。こ
の結果、装着後に高温のベーキングを行っても、真空シ
ール性の低下を防止することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真空装置の真空シ
ール機構に用いられる金属ガスケット及びそのベーキン
グ方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】超高真空の真空装置において最も普及し
ているフランジはナイフエッジ型メタルシールフランジ
(コンフラットフランジとも呼ばれる)であり、そのフ
ランジ間にはシール材としてのガスケットが介挿され
る。このガスケットの材料には、軟質でガス放出が少な
い、変形態が大きい、アルミ等に比べて軟化温度が高
い、ベーク温度を高くできる等の特性を有する無酸素銅
が用いられる。
【0003】図1はナイフエッジ型メタルシールフラン
ジのシール部の構成を示す模式図である。ナイフエッジ
型メタルシールフランジ(以下、「フランジ」という)
1,2は同一構造であり、端面にはリング状で鋭角な突
出部を有するナイフエッジ1a,2aが形成されてい
る。このナイフエッジ(knife edge)1a,2aには、J
IS−C1020或いはJIS−C1011で規定され
た無酸素銅を用いた円環状の金属ガスケット3がシール
時に装着される。また、金属ガスケット3を位置決めす
るため、フランジ1,2のナイフエッジ1a,2aの各
々の内側には、突堤1b,2bが設けられている。
【0004】フランジ1,2を突き合わせて結合する
際、フランジ1,2の各端面に金属ガスケット3を介在
させる。フランジ1,2の固定はボルトを用いて行わ
れ、矢印Aの方向から締め付けられる過程で、図1に示
すようにナイフエッジ1a,2aが金属ガスケット3に
食い込んでいく。同時に、金属ガスケット3の内周縁は
内側、すなわち矢印B方向に膨出し、内周面が突堤1
b,2bに圧接する。このように、各フランジには金属
ガスケット3が2ヵ所で接触してシール部が形成され
る。各々とフランジの接触部は高い圧力で押圧され、真
空シールが達成される。なお、金属ガスケット3とフラ
ンジ1,2の間の面圧は、材料の持つ弾性限界(弾性変
形する応力の上限値)で決まり、硬い材料ほど高い値が
得られる。
【0005】ところで、真空装置は一般に大気開放状態
から真空シールを行った後に排気し、或る程度容器内の
圧力が低下した時点で材料の表面に吸着している油や水
分等を脱離させ、到達圧力を向上させる目的で排気しな
がら200℃程度で数時間以上加熱する処理(ベーキン
グ)を行っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の金属ガ
スケットによると、ベーキングを行った場合、無酸素銅
が200℃程度の温度で軟化し、機械的強度が低下する
性質を持っているため、シール面における面圧が低下す
るという問題がある。フランジとガスケットによる真空
シールについては、日本真空協会規格「JVIS00
3」に定められているように、450℃まで加熱しても
真空漏れの事故を生じないことになっている。しかし、
加熱後は真空シールに必要な線荷重(ナイフエッジ先端
の全周にわたってかかる荷重)は維持されておらず、ベ
ーキング後にフランジを増し締めする必要があった。
【0007】しかし、ガスケットが軟化してしまった後
の増し締めは、ベーキング中の軟化を防止するものでは
ないため、実際には真空漏れの事故を完全に無くすこと
はできなかった。また、近年、より低い到達圧力を得る
ため、ベーキング温度が高くなる傾向にある。例えば真
空機器に組み込まれる電子部品で、電子管の一種である
クライストロン等は500℃でベーキングされることが
ある。このため、高温ベーキングに対しても真空シール
を維持しうるガスケットが望まれている。
【0008】そこで本発明は、ベーキング温度を高くし
ながら、軟化に起因する真空漏れを無くせるようにした
金属ガスケット及びそのベーキング方法を提供すること
を目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は、真空装置に用いられるナイフエッジ型
メタルシールフランジのシール部に装着される金属ガス
ケットにおいて、無酸素銅に0.01〜0.2wt%の
Zr(ジルコニウム)を添加した無酸素銅合金に800
〜950℃で溶体化した材料を所定の形状に加工する様
にしている。
【0010】この構成によれば、添加したZrは時効前
の硬度を高めるように作用し、800〜950℃による
溶体化処理はCuとZrの金属間化合物微粒子を析出さ
せ、弾性変形限界を向上させる。したがって、装着後に
高温のベーキングを行っても真空シール性の低下が防止
され、真空装置の到達圧力の向上を図ることが可能にな
る。
【0011】また、上記の目的は、無酸素銅に0.01
〜0.2wt%のZrを添加した無酸素銅合金を溶体化
処理した材料を所定の形状に加工した金属ガスケットを
フランジ間に装着して締め付け後、前記金属ガスケット
及びその近傍を300〜600℃で30分以上保持する
ベーキング方法によっても達成される。この方法によれ
ば、Zrの添加により時効前の硬度が高められるように
した無酸素銅合金による金属ガスケットをフランジ間に
装着及び締め付け後、前記金属ガスケット及びその近傍
のフランジを300〜600℃で30分以上保持するこ
とにより、微細なZr化合物を析出させることができ、
弾性変形限界の向上が可能になる。この結果、装着後に
高温のベーキングを行っても真空シール性の低下が防止
され、真空装置の到達圧力の向上を図ることが可能にな
る。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明においては、金属ガスケッ
ト3の材料を従来の無酸素銅に代えて、時効析出型の銅
(Cu)−ジルコニウム(Zr)合金を用いている。こ
の銅−ジルコニウム合金は、締め付け後、ベーキング温
度を通常よりも高い300〜600℃で30分以上保持
(真空装置を排気しながら)することによりCuとZr
の金属間化合物微粒子が析出し、更に、析出強化手段に
より材料を硬化させたところ、弾性変形限界が向上し
た。この結果、金属ガスケット3の軟化を招くことな
く、高温によるベーキングが可能になった。
【0013】析出強化手段は、一般に900℃程度の添
加元素を均一に銅マトリクス中に固溶させる溶体化処理
を行った後、冷間加工とその後の時効処理により微細な
金属間化合物を析出させることより、高い機械的強度を
得ている。この時効処理温度は丁度真空装置の高温ベー
キングの条件と一致する。したがって、時効処理してい
ない材料でガスケットを製作し、これを締め付けた後に
ベーキングを行えば、通常の無酸素銅ガスケットでは完
全に軟化する条件であっても軟化しないか、却って硬度
(機械的強度)を増すという特性を得ることができる。
【0014】この場合の時効温度は、ジルコニウムの固
溶が進み、溶体化される温度(約800℃)よりも低
く、かつ冷間加工により導入された加工歪みを開放する
に十分な温度にする必要がある。本発明に用いる金属ガ
スケット3の材料は、(i)溶体化したのみの状態、
(ii)溶体化後、更に冷間加工を施した状態のいずれも
可能である。その理由は、時効析出を微細に均一に行う
ためには、冷間加工により歪みを導入して析出核の生成
を容易にすることが必要である。しかし、ナイフエッジ
1a,2aが食い込んだ領域のビッカース硬さを調べて
みると、100〜140程度に加工硬化しており、特
に、前もって冷間加工しなくとも金属ガスケット3を締
めつけることにより、冷間加工が達成されるためであ
る。(i)の溶体化したままの材料はビッカース硬さが
50〜60程度、(ii)の材料は冷間加工度によるがビ
ッカース硬さは80〜140になるが、ガスケットを締
め付ければ、溶体化したままの材料も冷間加工材と同等
になる。
【0015】なお、良好な真空シールを得るためには、
シール面の面圧を高くすること、シール面積を広く
することの2つの方法が有効である。発明者の経験によ
れば、締め付け前の初期硬さが低い値を示す軟らかいガ
スケットであっても、ボルトの締め付けトルクがフラン
ジ毎に推奨されている値まで達した時点では初期硬さが
高い硬いガスケットと同じ硬さにまで加工硬化すること
が知られており、最終的には材料の弾性限界は同じ値に
なる。したがって、シール面に発生する面圧も同じにな
る。このため、シール性の向上のためにはシール面積を
増やすことが有効になる。シール面積を増やすには、同
じ締め付けトルクでもより変形量の大きい、軟らかい材
料が適している。
【0016】
【実施例】次に、本発明の実施例について説明する。上
記したように、シール面積を増すには軟らかいガスケッ
トが適している。したがって、ここでは溶体化したまま
の材料からガスケットを製作した。その材料には、0.
05%のZrを含んだ無酸素銅を用い、インゴットは断
面が450×200mmのサイズになるようにした。こ
れを熱間圧延(750℃)により10mmの厚さにし
た。その後、2.5mmまで冷間圧延し、ついで900
℃で1時間の溶体化処理を行った。この材料をプレス加
工し、更に切削加工を施してプレス加工で生じた材料端
面のだれ等を除去した。このような加工により、厚み2
mm、内径37.0mm、外径48.2mmのリング状
ガスケット(ビッカース硬さ=50〜60)を製作し
た。このガスケットを呼び径40mmのコンフラットフ
ランジで挟み込み、6本のボルトでトルク150kgf
・cmに達するまで締め付けた。何枚かのガスケットの
内、1枚を加熱前にフランジから外し、ナイフエッジが
食い込んだ部分のビッカース硬さを調べたところ、10
0〜120の範囲にあった。
【0017】このフランジを真空中で赤外線により加熱
し、450℃で1時間保持した後、冷却して取り出し
た。ナイフエッジが食い込んだ部分のガスケットのビッ
カース硬さは100〜120の範囲にあり、加熱前と比
べて硬さの低下は見られなかった。比較のため、同じ寸
法で無酸素銅ガスケットを製作し、600℃で1時間の
焼鈍した後、ビッカース硬さを50にした。このガスケ
ットを上記と同じトルクで締めた後、同様に加熱して硬
さの変化を調べた。その結果、加熱前はZrを添加した
ガスケットと同じく100〜120のビッカース硬さを
示したのに対し、加熱後は完全に軟化し、元の硬さの5
0に戻ってしまった。
【0018】図2は時効温度とビッカース硬さの関係を
Zr濃度別に示した特性図である。図2から明らかなよ
うに、450℃付近に最も強度の向上する最適温度が存
在する。また、時効の効果が明確に現れるのは、Zrが
0.02%以上の時である。更に、Zr濃度が高くなる
ほど時効前の硬さも上昇し、同一トルクでもガスケット
にナイフエッジが食い込み難くなり、ナイフエッジ自体
の耐久性も低下する。そこで、Zr濃度の上限は0.2
%に規定するのが望ましい。
【0019】なお、上記の説明では、ガスケットにCu
−Zr合金を用いたが、この合金に代えてCu−Cr
(クロム)合金を用いることができる。この場合、Cr
の添加量は、例えば0.05wt%にする。Crを用い
た場合、Zrに比べてガスケットの強度(硬度)を高め
ることができる。しかし、ガスケットを締め付けた時点
におけるビッカース硬さは130〜160に達してお
り、フランジのナイフエッジが数回の使用で変形する傾
向が見られる。したがって、ガスケットとしてはZr添
加合金に比べて劣るといえる。
【0020】
【発明の効果】以上より明らかな如く、本発明の金属ガ
スケットによれば、無酸素銅に0.01〜0.2wt%
のZrを添加した無酸素銅合金に800〜950℃で溶
体化した材料を所定の形状に加工するようにしたので、
装着後に高温のベーキングを行っても真空シール性の低
下が防止され、真空装置の到達圧力の向上を図ることが
可能になる。
【0021】また、本発明のベーキング方法によれば、
無酸素銅に0.01〜0.2wt%のZrを添加した無
酸素銅合金を溶体化処理した材料を所定の形状に加工し
た金属ガスケットをフランジ間に装着して締め付け後、
前記金属ガスケット及びその近傍を300〜600℃で
30分以上保持するようにしたので、装着後に高温のベ
ーキングを行っても真空シール性の低下が防止され、真
空装置の到達圧力の向上を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ナイフエッジ型メタルシールフランジのシール
部を示す模式図である。
【図2】時効温度とビッカース硬さの関係をZr濃度別
に示した特性図である。
【符号の説明】
1,2 ナイフエッジ型メタルシールフランジ 1a,2a ナイフエッジ 1b,2b 突堤 3 金属ガスケット

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空装置に用いられるナイフエッジ型メ
    タルシールフランジのシール部に装着される金属ガスケ
    ットにおいて、 無酸素銅に0.01〜0.2wt%のZrを添加した無
    酸素銅合金に800〜950℃で溶体化した材料を所定
    の形状に加工したことを特徴とする金属ガスケット。
  2. 【請求項2】 無酸素銅に0.01〜0.2wt%のZ
    rを添加した無酸素銅合金を溶体化処理した材料を所定
    の形状に加工した金属ガスケットをフランジ間に装着し
    て締め付け後、前記金属ガスケット及びその近傍を30
    0〜600℃で30分以上保持することを特徴とする金
    属ガスケットのベーキング方法。
JP31327996A 1996-11-25 1996-11-25 金属ガスケット及びそのベーキング方法 Pending JPH10159979A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012184794A (ja) * 2011-03-04 2012-09-27 Toyota Motor Corp 組み付け方法

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