JPH1015971A - 熱可塑性樹脂発泡体の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂発泡体の製造方法

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JPH1015971A
JPH1015971A JP8167316A JP16731696A JPH1015971A JP H1015971 A JPH1015971 A JP H1015971A JP 8167316 A JP8167316 A JP 8167316A JP 16731696 A JP16731696 A JP 16731696A JP H1015971 A JPH1015971 A JP H1015971A
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JP
Japan
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thermoplastic resin
foam
foaming agent
belt
belts
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Application number
JP8167316A
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English (en)
Inventor
Michiaki Sasayama
道章 笹山
Kenji Miyazaki
健次 宮崎
Satoyuki Kobayashi
智行 小林
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットを散布し、
加熱により発泡させて発泡体を得るにあたり、表面平滑
性に優れた発泡体を得ることを可能とする方法を提供す
る。 【解決手段】 無端搬送ベルト1,2間の搬送領域5に
おいて発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレット7を搬送しつつ
加熱発泡させて発泡体を得るにあたり、無端搬送ベルト
1,2の各々として、発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレット
に接触される側が通気性を有する第1のベルト1a,2
a、反対側が通気性をほとんど有しない第2のベルト1
b,2bで構成されている二重構造の無端搬送ベルトを
用いることを特徴とする発泡体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発泡剤を含有して
なる熱可塑性樹脂ペレットを無端搬送ベルト上に散布
し、加熱・発泡させて発泡体を製造する熱可塑性樹脂発
泡体の製造方法の改良に関し、表面平滑性に優れた発泡
体を得ることを可能とする熱可塑性樹脂発泡体の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂発泡体は、軽量性及び断熱
性に優れているため、建築用断熱材や車両用断熱材など
に幅広く用いられている。
【0003】熱可塑性樹脂発泡体の製造方法について
は、従来より種々の方法が提案されている。例えば、発
泡剤含有熱可塑性樹脂を所望の形状に成形した後に加熱
により発泡させる方法や、発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレ
ットを散布し、加熱により発泡させて熱可塑性樹脂ペレ
ット同士を融着させて発泡体を得る方法などが知られて
いる。
【0004】発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットを用いた
発泡体の製造方法では、発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレッ
トがペレット間の空間を埋めるように発泡するため、得
られる発泡体の表面平滑性が十分でないという問題があ
った。そこで、特開平7−16856号公報には、熱可
塑性樹脂シート状物を搬送ベルト上に供給し、その上に
発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットを散布し、さらに第2
の熱可塑性樹脂シート状物を積層し、得られた積層体を
発泡剤の分解温度以上の温度に加熱して、発泡剤含有熱
可塑性樹脂ペレットを発泡させて、上下の熱可塑性樹脂
シート状物と一体化する方法が開示されており、熱可塑
性樹脂シート状物を一体化させることにより表面平滑性
が高められるとされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
7−16856号公報に記載の製造方法では、発泡時に
搬送ベルトと発泡体との間でガス等が抜けきらないこと
があるため、十分に表面平滑性に優れた発泡体を得るこ
とができないという問題があった。
【0006】本発明の目的は、発泡性熱可塑性樹脂ペレ
ットを用いた製造方法であって、表面平滑性に優れた発
泡体を安定に提供することを可能とする熱可塑性樹脂発
泡体の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、発泡剤含有熱
可塑性樹脂ペレットを無端搬送ベルト上に散布し、前記
無端搬送ベルトを含む一対の無端搬送ベルト間を移動さ
せつつ、発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットを加熱し、発
泡させて発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレット同士を融着さ
せて、次に冷却・固化させる発泡体の製造方法におい
て、下記の構成を備えることを特徴とし、それによって
上記課題を達成するものである。
【0008】すなわち、請求項1に記載の発明では、上
記一対の無端搬送ベルトの各々が第1,第2のベルトを
積層してなる二重構造を有し、発泡剤含有熱可塑性樹脂
ペレットに接触される側の第1のベルトが通気性を有す
るように構成されており、反対側の第2のベルトがほと
んど通気性を有しないベルトで構成されていることを特
徴とする。
【0009】また、請求項2に記載の発明は、一対の無
端搬送ベルト間に通気性を有する表面材を供給しつつ、
発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットを散布し、該発泡剤含
有熱可塑性樹脂ペレットを加熱発泡させて表面材と発泡
体層とが積層・一体化された発泡体を得ることを特徴と
する。
【0010】請求項1,2に記載の発明は、上記課題を
達成することにおいて共通するものであり、かつ発泡剤
含有熱可塑性樹脂ペレットを加熱発泡させるに際し、該
発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットに接触される部分に通
気性を有する部材が接触されることにおいて共通する。
すなわち、請求項1に記載の発明は、発泡剤含有熱可塑
性樹脂ペレットに接触される面に通気性を有する第1の
ベルトを用いることにより、発泡時にペレットをベルト
との間の気体をベルトの通気性を利用して逃がすことに
より、表面平滑性に優れた発泡体を得ることを特徴と
し、請求項2に記載の発明は、ペレットが発泡した際
に、ペレットと表面材との間の気体を表面材の通気性を
利用して逃がし、表面平滑性に優れた発泡体を得ること
を特徴とする。
【0011】以下、本発明の詳細を説明する。図1は、
請求項1に記載の発明に係る発泡体の製造方法を説明す
るための概略構成図である。
【0012】図1において、無端搬送ベルト1,2が図
示の矢印方向に回転される。無端搬送ベルト1,2の対
向し合っている部分が搬送領域5を構成する。請求項1
に記載の発明では、無端搬送ベルト1,2は、それぞ
れ、通気性を有する第1のベルト1a,2aと、通気性
をほとんど有しない第2のベルト1b,2bとを積層し
た二重構造を有する。第1のベルト1a,2aは、通気
性を有する部材で構成されており、熱可塑性樹脂発泡体
に接触されるために、無端搬送ベルト1,2の外側面に
配置されている。
【0013】第1のベルト1a,2aは、通気性を有す
ると共に、熱可塑性樹脂発泡体に接触されるため、熱可
塑性樹脂発泡体との離型性に優れた材料で構成されるこ
とが望ましい。従って、第1のベルト1a,2bは、好
ましくは、熱可塑性樹脂ペレットよりも溶融温度が高い
材料により構成されており、具体的には、発泡体の離型
性を高めるために、無機繊維を網目状に織ったものにポ
リテトラフルオロエチレンを無機繊維に沿って含浸塗布
し、高温で焼成してベルト状としたものなどを挙げるこ
とができる。また、ポリテトラフルオロエチレンを主成
分とするベルト材に微細孔を多数設け、それによって通
気性を有するように構成したものであってもよい。
【0014】他方、第2のベルト1b,2bは、通気性
をほとんど有しないベルト材で構成されている。通気性
をほとんど有しないように構成され得る限り、第2のベ
ルト1b,2bは、適宜の材料で構成することができ
る。もっとも、第2のベルト1b,2bは、高温にさら
されるため、耐熱性に優れた材料で構成することが望ま
しく、例えば、ポリテトラフルオロエチレンを繊維補強
したベルトや、表面全体にポリテトラフルオロエチレン
処理を施した布製ベルトもしくは無機繊維よりなるベル
トを用いることが望ましい。
【0015】なお、図1中、3a〜3i、4a〜4hは
ローラーを示し、何れかのローラーがモーターなどの回
転駆動源に接続されている。また、第1のベルト1aは
ローラー3h,3iが設けられている部分において、第
1のベルト2aはローラー4hが設けられている部分に
おいて、それぞれ、第2のベルト1b,2bから分離さ
れているが、二重構造のまま周回させてもよい。
【0016】図1から明らかなように、無端搬送ベルト
1及び第2の無端搬送ベルト2が対向し合っている搬送
領域5の上流において、散布機6から無端搬送ベルト1
上に熱可塑性樹脂ペレット7が散布される。この散布機
6についても、後述の発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレット
を散布し得る限り適宜の構造のものを用いることができ
る。搬送領域5には、加熱装置8及び冷却装置9が上流
から下流に向かって順に配置されている。
【0017】加熱装置8は、発泡剤含有熱可塑性樹脂ペ
レットを発泡剤の分解温度以上の温度に加熱し得る限り
適宜の構造の加熱装置により構成することができる。例
えば、熱風を吹き付ける熱風加熱方式、赤外線を利用し
た加熱方式、あるいは無端搬送ベルト1,2に熱板を背
面側から接触させる方式のものなどを採用することがで
きる。もっとも、好ましくは、発泡剤含有熱可塑性樹脂
ペレット7が無端搬送ベルト1,2間に存在するため、
熱風を吹き付ける方式の加熱方法を用いることが好まし
い。また、より好ましくは、下方の無端搬送ベルト1上
に発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレット7を散布するに先立
ち、発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレット7を赤外線等を用
いて加熱しておいたり、加熱ロールを用いて発泡剤含有
熱可塑性樹脂ペレット7が散布される前の部分の無端搬
送ベルト1,2を加熱しておくことにより発泡剤含有熱
可塑性樹脂ペレット7の加熱をより効率的に行い得る。
【0018】加熱装置8による加熱温度は、用いている
発泡剤の分解温度以上とされる。もっとも、好ましく
は、発泡剤の分解温度から該分解温度よりも30℃高い
温度までの範囲に加熱温度を設定することが望ましい。
これは、発泡剤の分解温度よりも30℃高い温度を超え
ると、発泡が急激に起こり、発泡体のセル構造が乱れる
ことがあるからである。
【0019】冷却装置9としては、発泡体を冷却し得る
限り適宜の構造のものを用いることができ、冷却装置9
の具体的な例としては、一対の冷却ロールを用いる方
式、冷却板を用いる方式、冷却板間を発泡体を通過させ
る方式のもの等を挙げることができ、通常、無端搬送ベ
ルト1,2の背面側から発泡体を冷却するように構成さ
れたものが用いられる。この冷却装置は、空冷式及び水
冷式の何れであってもよい。冷却装置による冷却に際し
ては、熱可塑性樹脂の融点や軟化温度以下まで発泡体を
冷却するものであればよく、さらに好ましくは、常温付
近まで冷却することにより、発泡体を無端搬送ベルト
1,2から剥離し易くなるため、常温付近まで冷却する
ものが望ましい。
【0020】請求項1に記載の発明に係る製造方法で
は、上述した図1に示した製造装置を用い、無端搬送ベ
ルト1,2を図示の矢印方向に周回させた状態で、散布
機6から発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレット7を無端搬送
ベルト1上に散布する。次に、加熱装置8において発泡
剤含有熱可塑性樹脂ペレット7を発泡剤の分解温度以上
に加熱し発泡させる。その結果、発泡剤含有熱可塑性樹
脂ペレット7同士が発泡し融着し、一体していく。しか
る後、冷却装置9において発泡体を冷却することによ
り、無端搬送ベルト1,2間から得られた発泡体10が
取り出される。このようにして連続的に発泡体10を製
造することができる。
【0021】また、請求項1に記載の発明の製造方法で
は、無端搬送ベルト1,2の発泡体10と接触される側
が上記第1のベルト1a,2aで構成されており、通気
性に優れている。従って、上記発泡剤含有熱可塑性樹脂
ペレットと無端搬送ベルト1,2間の気体が、通気性を
有する第1のベルト1a,2aから逃がされるため、得
られた発泡体10の表面にボイドが生じ難い。よって、
表面平滑性に優れた発泡体を安定に得ることができる。
【0022】図2は、請求項2に記載の発明に係る発泡
体の製造方法を説明するための製造装置の概略構成図で
ある。請求項2に記載の発明では、一対の無端搬送ベル
ト11,12が用いられる。無端搬送ベルト11,12
は、それぞれ、ローラー13a〜13g,14a〜14
gに架け渡されて図示の矢印方向に周回されている。ま
た、無端搬送ベルト11と無端搬送ベルト12とが対向
している部分が搬送領域15を形成している。
【0023】図1に示した無端搬送ベルト1,2と異な
り、無端搬送ベルト11,12は従来より公知慣用の通
常の無端搬送ベルトで構成される。従って、無端搬送ベ
ルト11,12を構成する材料は特に限定されず、適宜
の金属や合成樹脂等からなるベルトで構成することがで
きる。もっとも、無端搬送ベルト11,12は、発泡剤
含有熱可塑性樹脂ペレットの加熱に際し高温にさらされ
るため、そのような温度に耐え得る耐熱性を有するもの
であることが必要である。従って、無端搬送ベルト1
1,12は、図1に示した無端搬送ベルト1,2の第2
のベルト1b,2bと同様に構成され得る。
【0024】図2において、搬送領域15の上流には、
散布機16と、表面材繰り出し装置17a,17bとが
配置されている。散布機16は、図1に示した散布機6
と同様に、発泡性熱可塑性樹脂ペレット18を散布し得
る限り適宜の構造のもので構成することができる。
【0025】表面材繰り出し装置17aは、シート状の
表面材を搬送領域15において、無端搬送ベルト11の
上面に沿うように供給するために設けられている。繰り
出し装置17bは、第2の無端搬送ベルト12の上方に
配置されており、搬送領域15において無端搬送ベルト
2の下面に接触するように、表面材21bを供給するた
めに設けられている。この表面材繰り出し装置17a,
17bは、表面材を巻回してなるロールを回転させつつ
該表面材を搬送領域15に繰り出し得るように構成され
ている。
【0026】また、搬送領域15においては、加熱装置
19及び冷却装置20が配置されており、加熱装置19
及び冷却装置20としては、図1に示した加熱装置8及
び冷却装置9と同様のものを用いることができる。
【0027】請求項2に記載の発明においては、無端搬
送ベルト11,12を図示の矢印方向に周回させつつ、
表面材繰り出し装置17から後述の表面材21a,21
bを繰り出し、この状態で発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレ
ット18を散布機16から表面材21a上に散布する。
しかる後、加熱装置19において加熱し、発泡剤含有熱
可塑性樹脂ペレットを発泡させ、ペレット18同士を融
着させて発泡体を得る。この場合、発泡体は上下の表面
材21a,21bと積層されて一体化される。従って、
冷却装置20で冷却することにより、上記表面材21
a,21bと一体化された発泡体層22を有する発泡体
23を得ることができる。
【0028】請求項2に記載の発明の製造方法では、上
記のように、冷却装置20で冷却されて、上下の表面材
21a,21bと一体化された発泡体層を有する発泡体
23が得られる。従って、得られた発泡体23では、上
面及び下面が上記表面材21a,21bで構成されてお
り、しかも、表面材21a,21bが後述するように通
気性を有する材料で構成されているため、発泡体や発泡
剤含有熱可塑性樹脂ペレット18と、表面材21a,2
1bとの間の気体が表面材21a,21bの通気性によ
り逃がされるため、表面平滑性に優れた発泡体23を得
ることができる。
【0029】図2に示した装置では、搬送領域におい
て、上下に表面材21a,21bが供給されていたが、
請求項2に記載の発明においては、搬送領域内におい
て、発泡性熱可塑性樹脂ペレットの下方にのみ表面材を
供給するように構成してもよい。この場合であっても、
表面材が供給されている下面側においては、表面材の通
気性により発泡性熱可塑性樹脂ペレットと表面材との間
の気体が逃がされるため、下面側の表面平滑性に優れた
発泡体を得ることができる。
【0030】請求項1,2に記載の発明において、上記
発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットに用いられる熱可塑性
樹脂としては、発泡可能な熱可塑性樹脂のうち任意のも
のを用いることができ、特に限定されない。このような
熱可塑性樹脂の例としては、ポリエチレン、ポリプロピ
レン(ポリプロピレンは、ホモポリプロピレン、ブック
ポリプロピレン、ランダムポリプロピレンをも含むもの
とする。)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン
−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレンなどを挙げること
ができる。また、これらの熱可塑性樹脂は、単独で用い
られてもよく、2種以上併用されてもよい。
【0031】上記熱可塑性樹脂のメルトインデックス
(MI)は、大きすぎても、小さすぎても発泡安定性を
低下させることがある。従って、好ましくは、上記MI
は0.1〜20g/10分の範囲とされ、より好ましく
は0.5〜10g/10分とされる。なお、本明細書に
おいて、MIとは、JIS K−7210に従って測定
された値である。
【0032】請求項1,2に記載の発明で用いられる熱
可塑性樹脂は、発泡安定性を高めるためには架橋されて
いることが望ましい。この場合、架橋方法としては、特
に限定されるものではなく、例えば、電子線などの電離
性放射線を照射した電子線架橋法、有機過酸化物を用い
た化学架橋法、またはシラン変性樹脂を用いたシラン架
橋法などを挙げることができる。
【0033】また、上記熱可塑性樹脂を2種以上混合
し、1種の熱可塑性樹脂のみを架橋しておいた場合に
は、発泡倍率を高め得るだけでなく、発泡中の樹脂の流
動性を高めることができる。従って、ペレットの発泡成
形が容易となるため、上記のように熱可塑性樹脂を2種
以上混合し、1種の樹脂のみを架橋している方法が好ま
しい。
【0034】架橋後の発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレット
のゲル分率は、2〜30重量%の範囲であることが望ま
しい。2重量%未満の場合には、架橋が十分でないため
発泡安定性が低いことがあり、30重量%を超えると、
架橋後の粘度が高くなりすぎて、発泡が不十分になるこ
とがある。ここで、上記ゲル分率とは、発泡剤含有熱可
塑性樹脂ペレットを120℃の加熱されたキシレン中に
24時間浸漬した後の残渣重量の、キシレン浸漬前の発
泡剤含有熱可塑性樹脂ペレット重量に対する割合(重量
百分率)をいうものとする。
【0035】本発明に用いられる発泡剤としては、発泡
体の製造に一般的に用いられている熱分解型発泡剤のう
ち任意のものを用いることができ、使用する熱可塑性樹
脂の溶融温度より高い分解温度を有するものであれば特
に限定されるものではない。用い得る発泡剤の例として
は、アゾジカルボンアミド、N,N´−ジニトロソペン
タメチレンテトラミン、p,p´−オキシビスベンゼン
スルホニルヒドラジド、アゾジカルボン酸バリウム、p
−トルエンスルホニルセミカルバジドなどを挙げること
ができ、分解ピーク温度が鋭敏であるため、特に、アゾ
ジカルボンアミドを用いることが好ましい。
【0036】請求項1,2に記載の発明において、発泡
体の発泡倍率が高すぎると、得られた発泡体の強度が低
下し、低すぎると、軽量化を図ることができないため、
発泡倍率が5〜30倍となるように発泡することが好ま
しく、より好ましくは、8〜25倍、さらに好ましく
は、10〜20倍の発泡倍率とすることが望ましい。
【0037】発泡体の発泡倍率の調整は、用いる熱可塑
性樹脂の種類、重合度、結晶性、架橋の有無及び密度、
あるいは熱分解型発泡剤の種類や添加量によって任意に
行い得るが、発泡倍率を容易に調整し得るため、熱分解
型発泡剤の添加量により調整する方法が好ましい。熱分
解型発泡剤の添加量が多すぎると、破泡したり均一なセ
ルが形成されなかったりし、得られる発泡体の圧縮強度
が低下することがあり、少なすぎると、発泡し難くなる
ため、熱分解型発泡剤は、好ましくは、熱可塑性樹脂1
00重量部に対し1〜25重量部の割合で配合されてい
ることが望ましい。
【0038】具体的には、目的とする発泡体の発泡倍率
に応じたガス生成量を算出し、それに応じた量の熱分解
型発泡剤を添加することにより、発泡倍率を調整するこ
とができる。
【0039】本発明で用いられる発泡剤含有熱可塑性樹
脂ペレットの製造方法については特に限定されない。上
記発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットの製造方法の一例を
説明する。先ず、熱可塑性樹脂に熱分解型発泡剤を溶融
混練することにより、発泡剤含有熱可塑性樹脂組成物を
得る。この場合、より具体的には、例えば2軸混練押出
機を用いることにより、熱分解型発泡剤を熱可塑性樹脂
に溶融混練することができ、このような混練押出機を用
いることにより、混練度を高めかつ発泡安定性を高める
ことができる。
【0040】次に、溶融混練された樹脂組成物を、例え
ば押出成形によりシート状に成形する。電子線架橋また
はシラン架橋する場合には、この段階で得られたシード
に架橋方法に応じた処理を施す。
【0041】すなわち、電子線架橋を行う場合には、得
られた発泡性熱可塑性樹脂シートに、β線、γ線、ニュ
ートロン、電子線などの電離性放射線を照射すればよ
い。電子線の照射量は、用いるシートの厚みや材料によ
っても異なるが、0.5〜20Mradの範囲とするこ
とが好ましい。20Mradよりも多くなると、架橋度
が高くなりすぎ、得られる発泡体の発泡倍率が低下する
ことがあり、照射量が0.5Mradよりも低くなる
と、熱安定性が低下し、発泡セルが破泡し、均一な発泡
セルを得ることが困難となることがある。
【0042】シラン架橋の場合には、シラン変性熱可塑
性樹脂を、溶融混練の際に熱可塑性樹脂に添加してお
き、シート成形により得られた発泡性熱可塑性樹脂シー
トを水処理することにより架橋処理を施すことができ
る。
【0043】上記発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットの製
造に際しては、このようにして得られた発泡性熱可塑性
樹脂シートをペレタイザーなどを用いて、目的の大きさ
のペレットに切断あるいは分断すればよい。
【0044】なお、請求項2に記載の発明において用い
られる上記表面材としては、通気性を有する限り適宜の
材料からなるものを用いることができる。例えば、ガラ
ス繊維などの不織布やガラスペーパー、紙、ポリエチレ
ンテレフタレートなどからなる不織布等を提示すること
ができる。表面材は、好ましくは、発泡時の温度で溶融
しないものであることが望ましい。発泡時の温度で溶融
した場合には、表面材の通気性が損なわれることがある
からである。
【0045】作用 請求項1に記載の発明では、一対の無端搬送ベルトのそ
れぞれが、第1,第2のベルトを積層してなる2重構造
を有し、発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットに接触される
側の第1のベルトが通気性を有するため、加熱発泡に際
し発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットと第1のベルトとの
間の空気が第1のベルトの通気性により逃がされる。従
って、表面平滑性に優れた発泡体を安定に得ることがで
きる。
【0046】また、請求項2に記載の発明では、通気性
を有する表面材が搬送領域に供給されて発泡剤含有熱可
塑性樹脂ペレットが散布される。従って、発泡剤含有熱
可塑性樹脂ペレットの加熱発泡に際し、該ペレットや発
泡体と上記表面材との間に存在する気体が、表面材の通
気性により逃がされる。よって、少なくとも下面側にお
いて表面材が積層一体化されているので、発泡体の少な
くとも下面側の表面平滑性が効果的に高められる。
【0047】
【実施例】以下、本発明の非限定的な実施例及び比較例
を挙げることにより、本発明を明らかにする。
【0048】実施例1 発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットを構成する材料とし
て、高密度ポリエチレン(三菱化学社製、商品名:EY
40H、MI=1.5)50重量部と、ポリプロピレン
(三菱化学社製、商品名:MA3、MI=11)50重
量部と、シラングラフトポリプロピレン(三菱化学社
製、商品名:XPM800H、MI=11)20重量部
と、アゾジカルボンアミド10重量部と、50mm単軸
押出機に供給し、180℃の温度で溶融混練し、シート
状に押出し、冷却し、厚さ3mmの発泡性熱可塑性樹脂
シートを得た。
【0049】上記発泡性熱可塑性樹脂シートを5mm角
に切断し、98℃の水中に1時間浸漬した後放置し、乾
燥し、発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットを得た。得られ
たペレットを図1に示した散布機6に投入し、図1に示
した装置を用いて以下のようにして発泡体を製造した。
【0050】すなわち、無端搬送ベルト1,2における
通気性を有する第1のベルト1a,2aとして、ガラス
繊維補強テトラフルオロエチレンベルト(中興化成社
製、製品名:BGF200−14P)を用い、通気性を
有しない第2のベルト1b,2bとしてガラス繊維補強
テトラフルオロエチレンベルト(中興化成社製、製品
名:チューコーフローGタイプベルト)を用いた。この
場合、無端搬送ベルト1,2の速度は、何れも1m/分
とした。また、下方に位置する無端搬送ベルト1が、無
端搬送ベルト2に比べて、搬送領域5の上流に延びるよ
うに構成した。
【0051】上記無端搬送ベルト1,2を上記搬送速度
で周回させつつ、散布機6から上記発泡剤含有熱可塑性
樹脂ペレットを1300g/m2 の散布量で散布し、熱
風方式の加熱装置において220℃に加熱して発泡さ
せ、冷却装置において30℃に冷却し、重量1250g
/m2 の発泡体を得た。この場合、冷却装置が配置され
ている部分における無端搬送ベルト1,2間のクリアラ
ンスは26mmとした。その結果、得られた発泡体の厚
さは約25mmであった。上記のようにして得られた発
泡体の表面平滑性を、下記の要領で測定した。結果を下
記の表1に示す。
【0052】(表面平滑性の評価)得られた発泡体の表
面を複写機で複写し、複写画像を画像処理装置(ピアス
社製、製品名:LA−555)に取込み、1m角の表面
領域中の凹部の部分の面積を測定し、凹部の面積の割合
(凹部の面積の合計/1m2 )を測定し、表面平滑性の
指標とした。
【0053】実施例2 図2に示した装置を用い、発泡体を製造した。すなわ
ち、無端搬送ベルト11,12として、ガラス繊維補強
テトラフルオロエチレンベルト(中興化成社製、製品
名:チューコーフローGタイプベルト)を用いた。ま
た、繰り出し装置17a,17bを用い、搬送領域15
の上下に通気性を有するポリエチレンテレフタレート不
織布(目付け30g/m2 )を供給した。上記以外につ
いては、実施例1と同様にして発泡体を得た。得られた
発泡体では、ポリエチレン−ポリプロピレン発泡体と上
下のポリエチレンテレフタレート層とが積層一体化され
ており、厚みは約25mmであった。このようにして得
られた発泡体についても、実施例1と同様にして表面平
滑性を評価した。結果を下記の表1に示す。
【0054】比較例1 無端搬送ベルト1,2として通気性を有しない第2のベ
ルト1b,2bのみを用いたことを除いては、実施例1
と同様にして発泡体を得、実施例1と同様にして表面平
滑性を評価した。結果を下記の表1に示す。
【0055】比較例2 第1,第2の無端搬送ベルト1,2に代えて、通気性を
有する上記第1のベルト1a,2aのみを用い、それ以
外は実施例1と同様にして発泡体の作製を試みた。しか
しながら、加熱装置内において発泡体が破泡し、成形す
ることができなかった。
【0056】比較例3 表面材として、通気性を有しない厚み90μmのポリエ
チレン樹脂シートを供給したことを除いては、実施例2
と同様にして発泡体を製造した。得られた発泡体の表面
平滑性を実施例1と同様にして評価した。結果を下記の
表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】表1から明らかなように、比較例1では、
通気性を有しない無端搬送ベルトのみを用いたため、発
泡性熱可塑性樹脂ペレットと無端搬送ベルトとの間の気
体が十分に逃がされなかったためか、表面凹部面積率が
5%と高かった。これに対して、実施例1では、熱可塑
性樹脂ペレットに接触される側に通気性を有する第1の
ベルトを用いていたためか、表面凹部面積率が0.2%
と低く、表面平滑性に優れた発泡体を得ることができ
た。
【0059】また、比較例3では、通気性を有しないポ
リエチレン樹脂シートを供給したためか、発泡剤含有熱
可塑性樹脂ペレットとポリエチレン樹脂シートとの間で
気体が十分に逃がされず、表面凹部面積率は7%と高か
った。これに対して、実施例2では、通気性を有する表
面材を上下に供給したため、表面凹部面積率が0.5%
と低く、従って表面平滑性に優れた発泡体を得ることが
できた。
【0060】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、発泡剤
含有熱可塑性樹脂ペレットを一対の無端搬送ベルト間で
加熱発泡させて発泡体を得るにあたり、発泡剤含有熱可
塑性樹脂ペレットに通気性を有する上記第1のベルトが
接触されるため、発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットと第
1のベルト間の気体が、第1のベルトの通気性を利用し
た効果的に逃がされるため、表面平滑性に優れた発泡体
を確実に得ることができる。
【0061】また、請求項2に記載の発明によれば、発
泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットを一対の無端搬送ベルト
間で移動しつつ加熱して発泡体を得るにあたり、通気性
を有する表面材が無端搬送ベルト間に供給されるため、
表面材が設けられている側においては、発泡剤含有熱可
塑性樹脂ペレットと表面材との間の気体が該表面材の通
気性を利用して効果的に逃がされる。従って、表面材が
設けられている側において表面平滑性に優れている発泡
体を確実に得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1に記載の発明に係る製造方法を実施す
るための製造装置の一例を示す概略構成図。
【図2】請求項2に記載の発明に係る製造方法を実施す
るための製造装置の一例を示す概略構成図。
【符号の説明】
1,2…無端搬送ベルト 1a,2a…第1のベルト 1b,2b…第2のベルト 6…散布機 7…発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレット 8…加熱装置 9…冷却装置 10…発泡体 11,12…無端搬送ベルト 16…散布機 17a,17b…表面材繰り出し装置 18…発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレット 19…加熱装置 20…冷却装置 21a,21b…表面材 23…発泡体

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットを無端
    搬送ベルト上に散布し、該無端搬送ベルトを含む一対の
    無端搬送ベルト間を移動させつつ加熱し、発泡させて発
    泡剤含有熱可塑性樹脂ペレット同士を融着させ、冷却・
    固化することにより発泡体を製造する方法において、 前記一対の無端搬送ベルトの各々を、発泡剤含有熱可塑
    性樹脂ペレットに接触される面側に通気性を有する第1
    のベルトを、反対側に通気性をほとんど有しない第2の
    ベルトを配してなる二重構造の無端搬送ベルトで構成し
    たことを特徴とする発泡体の製造方法
  2. 【請求項2】 発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットを無端
    搬送ベルト上に散布し、一対の無端搬送ベルト間を移動
    させつつ加熱し、発泡させて発泡剤含有熱可塑性樹脂ペ
    レット同士を融着させ、冷却・固化することにより発泡
    体を製造する方法において、 通気性を有する表面材を前記無端搬送ベルト間に繰り出
    しつつ、発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットを該表面材上
    に散布し、発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットを加熱発泡
    させて、前記表面材と積層一体化された発泡体を得るこ
    とを特徴とする発泡体の製造方法。
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