JPH10159681A

JPH10159681A - 燃料噴射ポンプ駆動装置

Info

Publication number: JPH10159681A
Application number: JP32270196A
Authority: JP
Inventors: Yasuyuki Takahata; 泰幸高畑; Yoji Yugawa; 洋史湯川; Mitsuhiro Hibino; 光宏日比野
Original assignee: Yanmar Diesel Engine Co Ltd
Current assignee: Yanmar Co Ltd
Priority date: 1996-12-03
Filing date: 1996-12-03
Publication date: 1998-06-16

Abstract

(57)【要約】【課題】ディーゼル機関用燃料噴射ポンプは、排気エ
ミッションの低減化が叫ばれる中で、より短期間で高圧
の噴射が要求される。そのため、従来より、燃料噴射ポ
ンプ駆動装置におけるローラータペットを押当させるカ
ムは、リフト立ち上がり部分を小さなカム角度で早いカ
ム速度が得られるように、凹状に研磨されており、この
曲率は研磨精度上制約があり、該リフト立ち上がり部に
て、より早いカム速度を得たくても限界があった。【解決手段】燃料噴射ポンプＦＰにおけるプランジャ
及びローラータペットの形成する芯軸Ｌ１延長線を、カ
ム軸１の軸芯よりカム回転後側にずらせるよう、ローラ
ータペットのローラー４のカム２に対する押当位置を設
定した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ディーゼル機関用
燃料噴射ポンプ駆動装置におけるローラータペットの配
設構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、ディーゼル機関用燃料噴射ポンプ
駆動装置は、プランジャとローラータペットとが形成す
る往復動機構の芯軸の延長線上にカム軸芯が存在するよ
うな状態で、（大抵は、カム軸芯の垂直上方位置に
て、）該カム軸に付設するカムにローラータペットを押
当させている。なお、動弁の駆動装置に関しては、出願
人は動弁のローラータペットを、該往復動機構の芯軸の
延長線よりカム軸芯がオフセットされる位置にて、カム
に押当させる発明について、特願平７−１５２０１９に
て出願済みであるが、燃料噴射ポンプ駆動装置に関して
は、このような技術は未公知である。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】排気の低エミッション
化が問われる昨今では、高圧で噴射期間の短い燃料噴射
が要求される。従って、カムは、噴射期間を短くするた
めにカム角度が小さく抑えられる中で、ローラータペッ
トのリフト初期の加速をより強くすべく、リフト立ち上
がりに相当する部分は、凹形状となる傾向にある。この
部分における曲率は、研磨砥石径で制約されて、あまり
大きく取ることはできない。従って、より高圧の噴射を
得ようにも、カム形状による方法では、得られるリフト
立ち上がり部でのカム速度、即ち、リフト立ち上がり時
の加速度は制限されていた。

【０００４】このように曲率が制約される場合には、ロ
ーラータペット位置をオフセットさせることでカム速度
の上昇効果を補うことができることが判った。（後記の
図２及び図３参照。）しかし、従来において、燃料噴射
ポンプ駆動装置に関しては、前記の如く、このような技
術は採用されておらず、また、前記の従来技術における
動弁に採用されたローラータペットのオフセット技術
は、動弁の上下長さをコンパクト化する（弁腕室の高さ
を低くするこができる。）ことを狙いとするものであ
り、ずらせる方向についても、特にカム速度上昇の要望
に対して直接的に応えるように言及はしていない。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、以上のような
課題を解決すべく、次のような手段を用いるものであ
る。即ち、ディーゼル機関用燃料噴射ポンプのプランジ
ャに連設されるローラータペットをカム軸付設のカムに
押当させた構造の燃料噴射ポンプ駆動装置において、燃
料噴射ポンプのプランジャ及びローラータペットにて形
成する往復動機構の芯軸延長線が、カム軸芯よりずれる
ようにして、該ローラータペットのローラーのカムに対
する押当位置を設定する。

【０００６】また、同じくディーゼル機関用燃料噴射ポ
ンプのプランジャに連設されるローラータペットをカム
軸付設のカムに押当させた構造の燃料噴射ポンプ駆動装
置において、燃料噴射ポンプのプランジャ及びローラー
タペットにて形成する往復動機構の芯軸延長線が、カム
軸芯よりカム回転後方側にずれるようにして、該ローラ
ータペットのローラーのカムに対する押当位置を設定す
る。

【０００７】

【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、添付の図
面を基に説明する。図１は本発明の燃料噴射ポンプ駆動
装置を示すディーゼル機関の側面部分断面図、図２はロ
ーラー４・カム２の押当位置のオフセット距離ｅ、ロー
ラー半径ａ・カムベース円半径ｂ、及びカム２のリフト
立ち上がり部２ａにおける負のカム径Ｒを示す図、図３
はオフセット率Ｅとリフト立ち上がり部におけるカム速
度Ｖ₁・Ｖ₂との関係を示す図である。

【０００８】図１にて、本発明の燃料噴射ポンプ駆動装
置の構成を説明する。ディーゼル機関のシリンダブロッ
クＣＢ内において、カム軸１が、図中矢印向きに回転す
べく横設軸支されており、該カム軸１にカム２が環設固
定されている。一方、シリンダブロックＣＢ上に燃料噴
射ポンプＦＰを立設しており、上下摺動自在に垂直方向
に内設されるプランジャの下端にタペット５を固設し、
該タペット５の下端にローラーピン３を軸支して、該ロ
ーラーピン３にローラー４を環設し、ローラータペット
を構成している。タペット５は、下方に付勢されて、ロ
ーラー４下端をカム２に押接させる。なお、ＣＨはシリ
ンダヘッド、ＣＬはシリンダライナである。

【０００９】ローラー４のカム２に対する押当位置に関
して説明する。ローラータペット及びプランジャにて構
成する往復機構の軸芯をＬ１とすると、カム軸１の軸芯
を通過して、該軸芯Ｌ１に平行な（即ち一致しない）直
線Ｌ２が描かれる。即ち、軸芯Ｌ１の延長線上に対し
て、カム軸芯はオフセットされている。これにより、燃
料噴射ポンプの上端位置を従来より低くして、よりコン
パクトな構成とすることができる。

【００１０】更に言うと、該軸芯Ｌ１は、該直線Ｌ２よ
りもカム回転後側にずれた位置に配置されている。即
ち、軸芯Ｌ１の延長線がカム軸芯よりカム回転後方にず
れるようにして、ローラータペットのローラー４をカム
２に押当させている。これは、カム２のリフト立ち上が
り部２ａにおけるローラー４のカム速度の上昇効果を狙
いとしたものである。この根拠について図２及び図３よ
り説明する。

【００１１】図２の如く、ローラーピン３の軸芯からロ
ーラー４外周までの半径（ローラー半径）をａとし、カ
ム軸１の軸芯からカム２外周におけるローラータペット
の非リフト部分までの半径（カムベース円半径）をｂと
する。カム２外周におけるローラータペットのリフト部
分の中でリフト立ち上がり部２ａ、即ち、ローラータペ
ットが非リフト位置からリフト限界位置までリフトする
部分は、小さなカム角度で急速にリフトされるように凹
状になっている。この凹状のリフト立ち上がり部２ａに
おける負のカム径（図２中、二点鎖線にて描かれる円６
の半径）をＲとしている。そして、芯軸Ｌ１・直線Ｌ２
間の距離をオフセット幅ｅとしている。

【００１２】ローラー４のカム２に対する押当位置のオ
フセットと、カム２のリフト立ち上がり部２ａにおける
ローラー４のカム速度との関係を見るため、図３の如
く、まず、ローラー半径ａやカムベース円半径ｂの規格
の大小に対応すべく、オフセット率Ｅ＝ｅ／（ａ＋ｂ）
を独立変数軸に取り、一方、該リフト立ち上がり部２ａ
における負のカム径Ｒに基づく曲率１／Ｒを従属変数軸
に取って、該カム２のリフト立ち上がり部２ａでのロー
ラー４の各カム速度における相関を見てみる。カム速度
をＶ₁・Ｖ₂（Ｖ₁＜Ｖ₂）とした場合、オフセット率
Ｅと曲率１／Ｒとの間には、図３のような関係が見られ
る。

【００１３】ここで、ローラータペットを急速に立ち上
げるため、リフト立ち上がり部２ａで、カム速度Ｖ₂を
得たいものとする。従来のように、オフセット率Ｅ＝
０、即ち、オフセット幅ｅ＝０とした場合には、曲率を
相当高くしなければならない（１／Ｒ＞１／１５０）。
しかし、研磨精度上、曲率には上限がある。今、曲率１
／Ｒ＝１／１９０が限度であるとすれば、従来のように
オフセット幅ｅ＝０の状態では、カム速度はＶ₁（＜Ｖ
₂）しか得られない。（図中、Ａ点参照。）

【００１４】しかし、図３のＶ₁・Ｖ₂のグラフより、
オフセット率Ｅを大きく取るほど、少ない曲率１／Ｒ
で、高いカム速度を得られることが判る。（但し、Ｅ＜
約１．０の範囲で考える。）例えば、前記のように曲率
１／Ｒが１／１９０で限定されている場合には、オフセ
ット率Ｅ≒０．６で、目的とする高いカム速度Ｖ₂を得
られる。ここで、ａ・ｂは、ある範囲で任意に設定でき
るが、スペースやコストに限界があることから、ローラ
ー半径ａとカムベース円半径ｂを一定とした場合に、オ
フセット幅ｅを増大すれば、オフセット率Ｅは増大す
る。即ち、（ある一定の限界内で）軸芯Ｌ１を直線Ｌ２
よりずらせるほど、高いカム速度を得られるのである。

【００１５】以上のような根拠に基づき、本発明では、
図１の如く、燃料噴射ポンプＦＰにおけるプランジャ及
びローラータペットの形成する芯軸Ｌ１の延長線上を、
カム軸芯より、カム速回転後方側にずらせた（オフセッ
トさせた）状態にして、ローラータペットのローラー４
のカム２に対する押当位置を設定しているのであり、こ
れにより、研磨精度上、カム２のリフト立ち上がり部２
ａの曲率が限定されていても、該リフト立ち上がり部２
ａにおけるローラー４の通過速度（カム速度）を高め
て、短期に高圧の燃料噴射を可能とする燃料噴射ポンプ
を提供できる。

【００１６】

【発明の効果】本発明は、燃料噴射ポンプ駆動装置にお
いて、以上のように構成することで、次のような効果を
奏する。まず、請求項１記載の如く、ローラータペット
のカムに対する押当位置に関し、燃料噴射ポンプのプラ
ンジャ及びローラータペットにて形成する往復動機構の
芯軸延長線が、カム軸芯よりずれるように配置すること
で、ローラータペットの下端を従来よりも低くすること
ができ、従って、燃料噴射ポンプの上端高さを低く抑え
て、コンパクト化に繋げることができる。また、カム軸
芯がシリンダブロック中心に近づくので、カム軸を駆動
するためのギア装置（クランクギア〜カムギアの歯車
列）が小型化できる。

【００１７】更に、高圧かつ短期間の燃料噴射が要望さ
れ、カムにおけるリフト立ち上がり部の曲率が、研磨精
度上制約される中で、請求項２記載の如く、燃料噴射ポ
ンプのプランジャ及びローラータペットにて形成する往
復動機構の芯軸延長線が、カム軸芯よりカム回転後側に
ずれるように、ローラータペットのローラーのカム押当
位置を設定することで、カムのリフト立ち上がり部にお
けるローラーのカム速度が早くなり、従って、リフト立
ち上がり時におけるローラータペット及びプランジャの
加速が強くなり、より高圧の燃料噴射が得られ、ディー
ゼル機関の排気エミッション低減化に貢献するのであ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の燃料噴射ポンプ駆動装置を示すディー
ゼル機関の側面部分断面図である。

【図２】ローラー４・カム２の押当位置のオフセット距
離ｅ、ローラー半径ａ・カムベース円半径ｂ、及びカム
２のリフト立ち上がり部２ａにおける負のカム径Ｒを示
す図である。

【図３】オフセット率Ｅとリフト立ち上がり部における
カム速度Ｖ₁・Ｖ₂との関係を示す図である。

【符号の説明】

ＣＢシリンダブロックＦＰ燃料噴射ポンプ１カム軸２カム３ローラーピン４ローラー５タペット

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ディーゼル機関用燃料噴射ポンプのプラ
ンジャに連設されるローラータペットをカム軸付設のカ
ムに押当させた構造の燃料噴射ポンプ駆動装置におい
て、燃料噴射ポンプのプランジャ及びローラータペット
にて形成する往復動機構の芯軸延長線が、カム軸芯より
ずれるようにして、該ローラータペットのローラーのカ
ムに対する押当位置を設定することを特徴とする燃料噴
射ポンプ駆動装置。
【請求項２】ディーゼル機関用燃料噴射ポンプのプラ
ンジャに連設されるローラータペットをカム軸付設のカ
ムに押当させた構造の燃料噴射ポンプ駆動装置におい
て、燃料噴射ポンプのプランジャ及びローラータペット
にて形成する往復動機構の芯軸延長線が、カム軸芯より
カム回転後方側にずれるようにして、該ローラータペッ
トのローラーのカムに対する押当位置を設定することを
特徴とする燃料噴射ポンプ駆動装置。