JPH10158168A - 抗真菌剤及びその使用方法 - Google Patents

抗真菌剤及びその使用方法

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JPH10158168A
JPH10158168A JP36794797A JP36794797A JPH10158168A JP H10158168 A JPH10158168 A JP H10158168A JP 36794797 A JP36794797 A JP 36794797A JP 36794797 A JP36794797 A JP 36794797A JP H10158168 A JPH10158168 A JP H10158168A
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JP
Japan
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compound
antifungal agent
parts
antifungal
racemic
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Application number
JP36794797A
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English (en)
Inventor
Hiroyoshi Kodama
浩宜 児玉
Yoshiki Niwano
吉己 庭野
Kazuo Kanai
和夫 金井
Masanori Yoshida
正徳 吉田
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Nihon Nohyaku Co Ltd
Original Assignee
Nihon Nohyaku Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 構造式(I) ; 【化1】 で表される(R)−(+)−(E)−〔4−(2−クロ
ロフェニル)−1,3−ジチオラン−2−イリデン〕−
1−イミダゾリルアセトニトリル及びそれらの塩を有効
成分とする抗真菌剤及びその使用方法。 【効果】 優れた抗真菌活性を有しており人間や動物の
真菌感染症治療薬として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は構造式(I) ;
【化2】 で表される(R)−(+)−(E)−〔4−(2−クロ
ロフェニル)−1,3−ジチオラン−2−イリデン〕−
1−イミダゾリルアセトニトリル(以下、化合物Aとい
う)及びその薬理学的に許容される塩類を有効成分とし
て含有する抗真菌剤及び該抗真菌剤によるmycosi
sの治療方法に関するものである。
【0002】従来、抗真菌活性を有する種々のアゾール
系化合物が知られているが、特開昭60−218387
号公報には一般式(a) ;
【化3】 で表されるイミダゾール化合物が開示され、更に特開昭
62−93227号公報には抗真菌剤として有用である
ことが記載されている。又、特開平2−275877号
公報には上記イミダゾール化合物のうち、特定の化合物
の光学活性化合物がラセミ体に比べて白癬菌(Trichoph
yton mentagrophytes)に対して約1.4倍の活性を示す
ことが記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は抗真菌活性に
対して、ラセミ体と比して更に優れた活性を示す光学活
性体である抗真菌剤及びその使用方法を提供するもので
ある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討し
た結果、構造式(I) で表される化合物A及びその薬理学
的に許容される塩類、即ち(R)−エナンチオマー体が
皮膚糸状菌類の中でも特に高感受性株に対してそのラセ
ミ体に比して数倍の抗真菌活性を有すること、及び化合
物Aはそのラセミ体に比しても予測できない抗真菌活性
を有することを見いだし、本発明を完成させたものであ
る。特にTrichophyton rubrum に対して化合物Aは感受
性が高く、そのラセミ体に比して2〜4倍の抗真菌活性
を有している。
【0005】化合物Aは、例えば特開平2−27587
7号公報に記載の製造方法により製造することができ
る。
【0006】本発明組成物は、人間や動物の真菌感染を
治療するのに有用な抗真菌剤である。例えば、これらは
白癬菌属(Trichophyton) 、カンジダ属(Candida) 、ア
スペルギルス属(Aspergillus) 等に起因する局所性真菌
感染、粘膜感染、全身性真菌感染等の治療に用いること
ができる。本発明の化合物A及びその薬理学的に許容さ
れる塩類は、単独でもしくは医薬上許容される不活性な
担体又は希釈剤からなる組成物を経口もしくは非経口投
与に適した投与剤型、例えば液剤、錠剤、乳化剤、軟
膏、クリーム、ローション、パップ剤等に調製して使用
される。
【0007】投与量は、年齢、体重、投与形態によって
異なるが、全身的治療の場合には、通常成人1日当たり
体重1kg当たり0.05mg以上、好ましくは0.5
〜50mgを1回または数回に分けて投与することがで
きる。局所的治療、例えば塗布剤の場合、有効成分の濃
度が0.001%以上、好ましくは0.1〜2%が最適
で、塗布量は1cm2 当たり30mg〜100mgの範
囲で塗布すれば良い。本剤の適用にあたっては、他の抗
真菌剤、抗菌剤、例えばアンホテシンB、トリコマイシ
ン、バリトイン、クロトリマゾールなどと混合して使用
してもよい。
【0008】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態として実
施例、参考例、処方例及び試験例を示すが、本発明はこ
れらのみに限定されるものではない。尚、部は重量部を
示す。 参考例1. (±)−(E)−〔4−(2−クロロフェ
ニル)−1,3−ジチオラン−2−イリデン〕−1−イ
ミダゾロアセトニトリルの製造。 特開昭62−93227号公報の実施例1に記載された
方法によって合成し、融点143.4℃、純度99.4
%のラセミ化合物を得た。
【0009】参考例2. R−(+)−(E)−〔4−
(2−クロロフェニル)−1,3−ジチオラン−2−イ
リデン〕−1−イミダゾリルアセトニトリル(化合物
A)の製造。 参考例1で得たラセミ化合物100gをアセトン700
〜800mlに加熱、溶解し、過飽和溶液を調製した。
この溶液に特開平2−275877号公報に記載の方法
で得た光学活性体のR体の種晶薬10mgを加えた後、
25℃に冷却し、4〜15時間静置した。この間、晶出
液の組成を光学活性カラムを用いたHPLC分析を行
い、濾過時点を決定した。析出した結晶を濾集し、同様
の再結晶操作を数回繰り返し、光学純度99.0%ee
のR−エナンチオマー25gを得た。光学純度は光学活
性HPLCカラム、Chiralcel ODR(商標
名:ダイセル化学工業(株))を用いてHPLCの面積
百分率から算出した。
【0010】処方例1. 化合物A 10部 ステアリン酸マグネシウム 10部 乳糖 80部 を均一に混合して粉末又は細粒状として散剤とする。 処方例2. 化合物A 50部 澱粉 10部 乳糖 15部 エチルセルロース 20部 ポリビニルアルコール 5部 水 30部 を均一に混合捏和後、破砕造粒し篩別して顆粒剤とす
る。 処方例3. 化合物A 0.5部 非イオン界面活性剤 2.5部 生理食塩水 97 部 を加温混合後、滅菌して注射剤とする。
【0011】処方例4. 化合物A 0.01部 0.5%カルボキシメチルセルロース 99.99部 に懸濁させて懸濁液とした。 処方例5. 化合物A 1部 ポリエチレングリコール(PEG)400 99部 を混合溶解して塗布用液剤とした。 処方例6. 化合物A 2部 ポリエチレングリコール 400 49部 ポリエチレングリコール 4000 49部 を加温した混合溶解した後、冷却して軟膏とした。
【0012】処方例7. 化合物A 3部 1,2−プロパンジオール 5部 グリセロールステアレート 5部 鯨ロウ 5部 イソプロピルミリステート 10部 ポリソルベート 4部 の混合物を加温、冷却し、次いで攪拌しながら水68部
を加えクリームとした。
【0013】処方例8.化合物A1部、ベンジルアルコ
ール5部、エタノール30部、プロピレングリコール4
7部を混合溶解し、次いでこの溶液に、ハイビスコーワ
104(商標名、和光純薬(株))を1部と精製水15
部からなる水溶液を加え、均一な溶液を得た。次いで攪
拌下に、ジイソプロパノールアミン1部を加えてゲル剤
を得た。 処方例9.化合物A1部を、ベンジルアルコール5部と
セバシン酸ジエチル5部に溶解し、セチルアルコール5
部、ステアリルアルコール6部、ソルビタンモノステア
レート1部及びポリオキシエチレンモノステアレート8
部を加えて70℃迄加温溶解した。得られた均一溶液を
70℃に保ちながら70℃に加温した精製水を添加し、
次いで攪拌を続けながら冷却してクリーム組成物を得
た。
【0014】試験例1. 白癬菌に対するin vitro抗真
菌活性 Sabouraud's glucose broth (SGB, 1% bacto-peptone及
び 4% glucose 含有)を用いたマクロ液体希釈方(薬剤
2倍希釈系列)により最小発育阻止濃度(MIC)を測
定した。SGB9.8mlを分注した試験管に、ジメチ
ルスルホキシド(DMSO)に溶解した各化合物0.1
ml及び試験菌分生子懸濁液( 1×106conidia/ml)
0.1mlを加え、27℃で7日間培養した。培養後、
菌の生育を観察し、肉眼的に菌の発育を完全に阻止した
化合物の最小濃度をもってMICとした。結果を表1に
示す。
【0015】
【表1】 (注)菌株A:Trichophyton mentagrophytes 菌株B:Trichophyton rubrum ラセミA:化合物Aのラセミ体 TBF :(E)−N−(6,6−ジメチル−2−ヘプ
テン−4−イニル)−N−メチル−1−ナフタレンメタ
ンアミン塩酸塩(一般名:テルビナフィン)。
【0016】試験例2. 化合物Aのモルモット足白癬
モデルにおける治療試験 片面をアルミホイルで覆ったペーパーディスク(厚さ
1.5mm、直径8mm)に接種菌液(Trichophyton m
entagrophytes TIMM 2789 、1 ×108 conidia.ml)をし
み込ませ、モルモット(雄Hartley 系、体重 400〜600
g、日本エスエルシー(株))後肢足底部に伸縮性粘着
テープで7日間固定感染した。PEG400に溶解した
各化合物を菌接種開始10日後から1日1回0.1ml
ずつ足底全体に塗布し、塗布期間は3日間とした。化合
物最終塗布後5日目に局所皮膚の培養試験を以下のとお
り行った。足底部及び足踵部の皮膚を摘出し、両部位よ
り各10個の皮膚小片(約2mm角)を切り出した。各
小片を抗生物質を含有するSabouraud's glucose agar上
に埋め込み、27℃で14日間培養し、菌のコロニーが
発育したものを菌陽性小片とした。菌陽性小片を1個で
も含む感染局所(足底部及び足踵部を合わせた部位)を
菌陽性と判定した。さらに、感染局所の足底部及び足踵
部ごとに、菌陽性小片数に基づいて次のとおりスコアー
化し、感染強度とした。すなわち、菌陽性小片中、菌陽
性小片の個数が10、9、8、7、6、5、4、3、
2、1、0の場合をそれぞれ+10、+9、+8、+
7、+6、+5、+4、+3、+2、+1、0とした。
得られた菌陽性率及び平均感染強度について、それぞれ
Fisherの正確確率検定法及びMann-WhitneyのU検定法に
より解析した。
【0017】図1は本試験設定を図式化したものであ
る。結果を表2に示す。
【表2】 (注)a:p<0.01 vs 無処理対照群 b:p<0.01 vs PEG 400 塗布対照群 c:p<0.01 vs 1 %ラセミA塗布群
【0018】無処理群の菌陽性率は100%となり、す
べての感染局所から菌が検出された。平均感染強度でみ
ると足底部で+7.7の高い値が得られたが、足踵部で
は+5.4となり、足踵部の感染の程度は足底部よりも
弱い傾向にあることが示された。PEG 400 塗布群でもほ
ぼ同様の成績が得られ、溶媒による治療効果は認められ
なかった。1%ラセミA塗布群では無処理群、PEG 400
塗布群と比べて有意な治療効果を示したが、菌陽性率は
40%で足底部及び足踵部の平均感染強度がそれぞれ+
0.6及び+0.2となり、菌接種した10足部中4足
部より菌が検出された。0.5%化合物A塗布群では菌
陽性率が20%と1%ラセミA塗布群に比べ2倍高い効
果を示し、1%化合物塗布群ではすべての感染局所で培
養陰性という非常に優れた効果、即ち完全な真菌学的治
癒が得られた。化合物AとラセミAとを比較した結果、
同一濃度では化合物AはラセミAを大幅に上回る治療効
果を示すこと、また化合物Aを有効成分(A.I.)としてA.
I.換算で同一濃度となる0.5%化合物Aと1%ラセミ
Aを比較した場合にも化合物AはラセミAの2倍以上高
い優れた効果を示すことが明らかとなった。本試験に供
試したT.mentagrophytes TIMM 2789に対するMICをみ
ると化合物AはラセミAの4倍強いin vitro抗菌活性を
有しているが、この抗菌力の差がin vivo での感染モデ
ルに対する治療試験においても反映されたことは明らか
である。
【0019】試験例3 Candida albicansに対する in
vitro 抗菌活性 0.165Mモルホリノプロパンスルホン酸で緩衝化し
たBPMI 1640(pH7.0)を用いたミクロ液
体希釈法(薬剤2倍希釈系列)により最小発育阻止濃度
(MIC)を測定した。試験菌酵母細胞懸濁液(1〜5
×103 cells/ml) 100μl及び予め各化合物を添加
しておいた培地100μlを平底マイクロカルチャープ
レートの各穴に分注し、35℃にて48時間培養後、6
30nmで各穴の培養濁度を測定し、対照培養の菌の発
育(懸濁液として測定)に対して80%の発育阻害を示
した化合物の最小濃度をもって最小発育阻止濃度(MI
C)とした。結果を表3に示す。
【0020】
【表3】
【0021】
【表4】 (注)FCZ:2−(2,4−ジフロロフェニル)−1,3−ビス(1H−1, 2,4−トリアゾール−1−イル)−2−プロパノール(一般名 ;フルコナゾール)
【0022】試験例4.Aspergillus fumigatus に対す
るin vitro抗菌活性 Casitone agar (0.9% bacto-casitone, 1% bacto-yeast
extract, 2% glucose, 0.1% KH2PO4, O.1% Na2PO4, 1%
Na3C6H5O7及び1.6% agar 含有)を用いた寒天平板希釈
法(薬剤2倍希釈系列)により最小発育阻止濃度(MI
C)を測定した。試験菌分生子懸濁液(1×106conid
ia/ml)の1白金耳量を各化合物を含有する寒天平板上に
画線塗沫し、35℃で48時間培養後、菌の発育を観察
し、肉眼的に菌の発育を完全に阻止した化合物の最小濃
度をもってMICとした。結果を表4に示す。
【0023】
【表5】 (注)ITZ:(±)−1−sec−ブチル−4−〔p−〔4−〔p−〔〔(2 R* 4S* )−2−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(1H −1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)1,3−ジオキ ソラン−4−イル〕メトキシ〕フェニル〕−1−ピペラジニル〕 フェニル〕−Δ2 −1,2,4−トリアゾリン−5−オン(一般 名;イトラコナゾール)。
【0024】
【発明の効果】本発明の構造式(I):(R)−(+)
−(E)−〔4−(2−クロロフェニル)−1,3−ジ
チオラン−2−イリデン〕−1−イミダゾリルアセトニ
トリル及びそれらの塩類は優れた抗真菌活性を有してお
り人間や動物の真菌感染症治療薬として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験例2の試験設定を図式化した工程図であ
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造式(I) ; 【化1】 で表される(R)−(+)−(E)−〔4−(2−クロ
    ロフェニル)−1,3−ジチオラン−2−イリデン〕−
    1−イミダゾリルアセトニトリル及びそれらの薬理学的
    に許容される塩類を有効成分として含有することを特徴
    とする抗真菌剤。
  2. 【請求項2】 局所的真菌感染、又は全身性真菌感染を
    治療するために請求項1記載の抗真菌剤の薬理学的に有
    効な量を投与又は塗布することを特徴とするmycos
    isに対する使用方法。
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