JPH10157581A - 車両用ブレーキ装置 - Google Patents

車両用ブレーキ装置

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JPH10157581A
JPH10157581A JP8331453A JP33145396A JPH10157581A JP H10157581 A JPH10157581 A JP H10157581A JP 8331453 A JP8331453 A JP 8331453A JP 33145396 A JP33145396 A JP 33145396A JP H10157581 A JPH10157581 A JP H10157581A
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vehicle
brake
working fluid
brake device
predetermined
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JP8331453A
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Inventor
Shoichi Shono
彰一 庄野
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60TVEHICLE BRAKE CONTROL SYSTEMS OR PARTS THEREOF; BRAKE CONTROL SYSTEMS OR PARTS THEREOF, IN GENERAL; ARRANGEMENT OF BRAKING ELEMENTS ON VEHICLES IN GENERAL; PORTABLE DEVICES FOR PREVENTING UNWANTED MOVEMENT OF VEHICLES; VEHICLE MODIFICATIONS TO FACILITATE COOLING OF BRAKES
    • B60T8/00Arrangements for adjusting wheel-braking force to meet varying vehicular or ground-surface conditions, e.g. limiting or varying distribution of braking force
    • B60T8/32Arrangements for adjusting wheel-braking force to meet varying vehicular or ground-surface conditions, e.g. limiting or varying distribution of braking force responsive to a speed condition, e.g. acceleration or deceleration
    • B60T8/34Arrangements for adjusting wheel-braking force to meet varying vehicular or ground-surface conditions, e.g. limiting or varying distribution of braking force responsive to a speed condition, e.g. acceleration or deceleration having a fluid pressure regulator responsive to a speed condition
    • B60T8/40Arrangements for adjusting wheel-braking force to meet varying vehicular or ground-surface conditions, e.g. limiting or varying distribution of braking force responsive to a speed condition, e.g. acceleration or deceleration having a fluid pressure regulator responsive to a speed condition comprising an additional fluid circuit including fluid pressurising means for modifying the pressure of the braking fluid, e.g. including wheel driven pumps for detecting a speed condition, or pumps which are controlled by means independent of the braking system
    • B60T8/4072Systems in which a driver input signal is used as a control signal for the additional fluid circuit which is normally used for braking
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60TVEHICLE BRAKE CONTROL SYSTEMS OR PARTS THEREOF; BRAKE CONTROL SYSTEMS OR PARTS THEREOF, IN GENERAL; ARRANGEMENT OF BRAKING ELEMENTS ON VEHICLES IN GENERAL; PORTABLE DEVICES FOR PREVENTING UNWANTED MOVEMENT OF VEHICLES; VEHICLE MODIFICATIONS TO FACILITATE COOLING OF BRAKES
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    • B60T1/12Arrangements of braking elements, i.e. of those parts where braking effect occurs specially for vehicles acting otherwise than by retarding wheels, e.g. jet action
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 占有する車両空間や重量の増加を抑えて車両
用ブレーキ装置を搭載し、非常時の制動力を確保する。 【解決手段】 サスペンション装置10が備える作動流
体給排部30は、車両用ブレーキ装置20とともに車高
調整装置50に対しても作動流体の給排を行なう。所定
の非常時において、ブレーキペダルが踏み込まれ、車速
が所定値以下であって、使用者によって非常ブレーキス
イッチからの入力が行なわれたときには、作動流体給排
部30は車両用ブレーキ装置20に作動流体を供給して
車両用ブレーキ装置20を作動させる。上記所定の非常
時以外には、作動流体給排部30は車高調整装置50に
作動流体を給排し、車高の調整が行なわれる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用ブレーキ装
置に関し、詳しくは、非常時に車体より伸長して路面と
接触することにより制動力を発生する車両用ブレーキ装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両用のブレーキ装置としては、走行時
の速度制御および停止のための常用ブレーキの他、車両
を駐車状態に保つためのサイドブレーキや、常用ブレー
キを補うためのリターダなどの補助ブレーキが用いられ
ている。その他、急制動時や滑りやすい路面で制動した
場合に停車時の安全性を向上させる装置として、電子制
御により車輪と路面間の摩擦力を最適に保つように制動
力をコントロールして車輪のロックを防止するアンチロ
ック・ブレーキ・システム(ABS)が車両に搭載され
る場合がある。
【0003】このような車両では、非常時には常用ブレ
ーキ等によって車輪の回転を停止させる措置が行なわ
れ、アンチロック・ブレーキ・システムの働きによって
制動時の車両の安全性の確保が図られているが、さら
に、車輪ブレーキとは異なる構成のブレーキを搭載する
ことによって制動力を高め、非常時における安全性の向
上を図ることができる。このような非常用の車両ブレー
キの一つとして、ブレーキペダルの踏み込み量を検出
し、この踏み込み量が最大の時に、所定のブレーキ部材
を車両の後部において車体の近傍から移動させて路面に
接触させ、この接触抵抗によって制動力を発生させる車
両用ブレーキ装置が提案されている(例えば、実開平6
−72768号公報等)。このような車両用ブレーキ装
置は、緊急に停止することを要する非常時であることを
ブレーキペダルの踏み込み量が最大量となることによっ
て判断し、非常時には所定のブレーキ部材が路面と接触
するよう駆動して、この所定のブレーキ部材と路面との
間に生じる摩擦力によって車両を停止させる。従って、
タイヤがロックしてしまった場合であっても、上記ブレ
ーキ部材と路面との接触によって制動力を発生させて車
両を減速、停止させることが可能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな車両用ブレーキを車両に搭載するためには、車両用
ブレーキ装置を駆動するための作動流体を給排するモー
タやポンプなどを新たに搭載する必要があるため、車両
への搭載が不利となることがあった。すなわち、車両用
ブレーキ装置のための作動流体給排装置を搭載すること
が空間的に困難となったり、新たに作動流体給排装置を
搭載することによって車両重量が増してしまったり、車
両の組立時の部品点数が増加してしまう等の問題があっ
た。
【0005】本発明の車両用ブレーキ装置は、こうした
問題を解決し、車両への搭載性に優れた車両用ブレーキ
装置によって非常時の制動力を確保することを目的とし
てなされ、次の構成を採った。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】本
発明の車両用ブレーキ装置は、車両に搭載され、所定の
非常時には可動部を路面に向かって移動させ、可動部の
端部構造と路面とを接触させることによって制動力を発
生させる車両用ブレーキ装置であって、前記可動部を移
動させるための駆動力発生用作動流体を給排する流体給
排手段と、前記所定の非常時であると判断される条件下
において指示を出力し、前記流体給排手段を駆動するこ
とによって前記可動部を移動させて路面と接触させる制
御部とを備え、前記流体給排手段は、前記車両に搭載さ
れ、前記作動流体が発生する駆動力を利用して動作する
所定の車両装置であって、上記車両用ブレーキ装置とは
異なる車両装置に対しても前記作動流体を給排すること
を要旨とする。
【0007】以上のように構成された本発明の車両用ブ
レーキ装置は、所定の非常時には流体給排手段を駆動し
て、これによって前記可動部を移動させて路面と接触さ
せる。また、この流体給排手段は、前記車両に搭載さ
れ、前記作動流体が発生する駆動力を利用して動作する
所定の車両装置であって、上記車両用ブレーキ装置とは
異なる車両装置に対しても前記作動流体を給排する。
【0008】このような車両用ブレーキ装置によれば、
車両用ブレーキ装置と前記所定の車両装置とが流体給排
手段を共有するため、車両に本発明の車両用ブレーキ装
置を新たに搭載しようとする場合にも、この車両用ブレ
ーキ装置を搭載することで占有されるスペースや、車両
用ブレーキ装置を搭載することで増加する重量を抑える
ことができる。
【0009】本発明の車両用ブレーキ装置において、前
記制御部は、前記所定の非常時であると判断される条件
下において指示を出力する他に、前記所定の非常時とは
異なる所定の条件下において指示を出力して前記所定の
車両装置を駆動し、前記所定の非常時であると判断され
る条件下において、前記所定の車両装置の駆動を要する
所定の条件が重なる場合には、前記所定の車両装置を駆
動する指示の出力に優先して、前記可動部を路面に向か
って移動させて制動力を発生させる指示を出力すること
としてもよい。
【0010】このような場合には、前記所定の非常時で
あると判断される条件下において、前記所定の車両装置
の駆動を要する所定の条件が重なる場合には、前記所定
の車両装置に優先して前記車両用ブレーキ装置が駆動さ
れ、前記可動部が路面に向かって移動されることによっ
て制動力が発生する。このように、所定の非常時には車
両用ブレーキ装置が優先的に駆動されるため、車両を減
速、停止させることができ、車両の安全性を確保するこ
とができる。
【0011】また、本発明の車両用ブレーキ装置におい
て、前記所定の車両装置は、車体と車輪との間に設けら
れて該車体を懸架する車体懸架手段を備え、前記作動流
体の給排を受けて前記車体懸架手段が車高増減方向に伸
縮することによって車高を調整する車高調整装置である
こととしてもよい。
【0012】このような場合には、車両用ブレーキ装置
と車高調整装置とで前記作動流体給排部を共有すること
になる。ここでは、車高調整装置の駆動よりも車両用ブ
レーキ装置の駆動の方が優先されるため、車両の安全な
減速、停止の動作を確保することができる。
【0013】
【発明の他の態様】本発明の車両用ブレーキ装置は、以
下に示す他の態様をとることも可能である。すなわち、
本発明の他の態様としては、本発明の車両用ブレーキ装
置であって、前記所定の車両装置は、ブレーキペダルの
操作によりホイールシリンダのブレーキ液の圧力を増減
するブレーキマスタシリンダと、該ブレーキマスタシリ
ンダとは別に設けられ前記ホイールシリンダのブレーキ
液の圧力を増減する液圧増減手段とを備えたブレーキ液
圧制御装置であり、前記流体給排手段は、前記ブレーキ
液圧制御手段に対して作動流体を給排するときには、前
記ホイールシリンダのブレーキ液の圧力を増減する前記
液圧増減手段として働く車両用ブレーキ装置とすること
ができる。
【0014】以上のように構成された車両用ブレーキ装
置では、ブレーキペダルの操作によりホイールシリンダ
のブレーキ液の圧力を増減するブレーキマスタシリンダ
と、該ブレーキマスタシリンダとは別に設けられ前記ホ
イールシリンダのブレーキ液の圧力を増減する液圧増減
手段とを備えたブレーキ液圧制御装置に対しても、前記
流体給排手段は前記作動流体の給排を行なう。ここで、
前記流体給排手段が前記ブレーキ液圧制御手段に対して
作動流体を給排するときには、この流体給排手段は、前
記ホイールシリンダのブレーキ液の圧力を増減する前記
液圧増減手段として働く。
【0015】このような車両用ブレーキ装置によれば、
車両用ブレーキ装置は、前記ブレーキ液圧制御装置と前
記流体給排手段を共有するため、車両に本発明の車両用
ブレーキ装置を新たに搭載しようとする場合にも、この
車両用ブレーキ装置を搭載することで占有されるスペー
スや、車両用ブレーキ装置を搭載することで増加する重
量を抑えることができる。また、車両用ブレーキ装置の
動作を前記ブレーキ液圧制御装置の動作に優先させるな
らば、車両の安全な減速、停止を確保することができ
る。
【0016】
【発明の実施の形態】以上説明した本発明の構成・作用
を一層明らかにするために、以下本発明の実施の形態を
実施例に基づき説明する。図1は、本発明の一実施例で
ある車両用ブレーキ装置20を備えるサスペンション装
置10の構成の概略を表わす構成図である。サスペンシ
ョン装置10は、車両用ブレーキ装置20の他に車高調
整装置50を備えている。この車高調整装置50は、流
体シリンダを用いた流体圧式サスペンションとして前輪
左右輪と後輪左右輪とが同一の構成を有している。従っ
て、図1には前輪左右輪の系のみを示し、後輪左右輪の
系は省略した。以下、前輪左右輪の系に基づいて説明す
るが、後輪左右輪の系についても同様である。
【0017】上述したように、サスペンション装置10
は車両用ブレーキ装置20と車高調整装置50とを備
え、さらに、これら車両用ブレーキ装置20および車高
調整装置50に対して作動流体の給排を行なう作動流体
給排部30と、サスペンション装置10を構成する各部
の動作を制御する電子制御ユニット70を備える。作動
流体給排部30は、管路40を介して車両用ブレーキ装
置20および車高調整装置50に対して作動流体(実施
例ではオイル)の給排を行なう。まず最初にこの作動流
体給排部30について説明し、次に本発明の要部に対応
する車両用ブレーキ装置20について説明し、引き続き
車高調整装置50および電子制御ユニット70の構成に
ついて説明することとする。
【0018】作動流体給排部30は、管路40に設けら
れたポンプ32と、管路40から分岐した管路42に設
けられた減圧バルブ38と、管路40および管路42の
端部に接続され作動流体を貯留するリザーバ39とを備
える。作動流体給排部30は、既述したように管路40
を介して車両用ブレーキ装置20および車高調整装置5
0に対して作動流体の給排を行なう。詳しくは、管路4
0から分岐する管路43を介して車両用ブレーキ装置2
0に対して作動流体の給排を行ない、同じく管路40か
ら分岐する管路44を介して車高調整装置50に対して
作動流体の給排を行なう。このように作動流体給排部3
0は、車両用ブレーキ装置20および車高調整装置50
に対して作動流体の供給を行なうことによって制動力を
発生させたり車体を上昇させたりし、また、同じく作動
流体の排出を行なうことによってブレーキ装置を収納し
たり車体を降下させたりすることが可能となるが、これ
らの詳しい動作については後に説明する。
【0019】ポンプ32は、小型で、作動流体を高圧で
圧送することができるポンプ、例えばプランジャポンプ
として構成されており、併設されているモータ34によ
り動作する。管路40におけるポンプ32の吐出側に
は、作動流体の逆流を防止するためのチェックバルブ3
6が取り付けられている。また、管路40においてポン
プ32とチェックバルブ36との間には、圧力センサ3
5が設けられている。この圧力センサ35は、ポンプ3
2によって管路40に圧送される作動流体の吐出圧を検
出する。減圧バルブ38は、管路42内の作動流体の自
由な流動を許す開ポジションと、管路42内の作動流体
の流動を阻止する閉ポジションとからなる2ポジション
のソレノイドバルブとして構成されている。この減圧バ
ルブ38は、車両用ブレーキ装置20あるいは車高調整
装置50に対して作動流体を供給するときには閉ポジシ
ョンとなり、車両用ブレーキ装置20あるいは車高調整
装置50側から作動流体をリザーバ39に排出するとき
には開ポジションとなる。これらモータ34,圧力セン
サ35および減圧バルブ38は電子制御ユニット70に
接続されており、電子制御ユニット70による駆動制御
を受ける。
【0020】車両用ブレーキ装置20は、車両において
制動力を発生させるアクチュエータ22と、車両用ブレ
ーキ装置20への作動流体の給排を制御する非常ブレー
キ弁24と、所定の気体(例えば窒素等)を密封し作動
流体の流出入により作動流体の圧力を吸収するガスバネ
26とを備える。図2は、サスペンション装置10を構
成する部材のうち、車両用ブレーキ装置20および作動
流体給排部30に含まれる部材の構成だけを表わした説
明図である。図1では、車両用ブレーキ装置20におい
て、作動流体の給排を受けるアクチュエータ22までし
か記載していないが、アクチュエータ22の端部には図
2に示すように制動部21が設けられており、車両用ブ
レーキ装置20はこの制動部21において路面と接触す
ることによって制動力を発生することができるようにな
っている。なお、図2は車両用ブレーキ装置20の制動
部21が路面と接触している状態を表わすが、車両用ブ
レーキ装置20による制動力を必要としない通常の状態
では、制動部21は路面と離れた状態で保持される。こ
の制動部21が路面と離れている状態を、図3に示す。
【0021】アクチュエータ22は、車体ボディの外表
面の下面における所定の位置に固定された一種のシリン
ダピストン装置であり、コイルスプリング25とシリン
ダピストン23とから構成されている。シリンダピスト
ン23の端部には既述したように制動部21が設けられ
ているが、この制動部21は、一端がボディ(シャシ)
14に回動自在に支持されており所定の位置でシリンダ
ピストン23の端部と接続する回動レバー27と、回動
レバー27の他端に設けられ、所定の面積を有する面構
造であるブレーキ部材28とを備えている。ブレーキ部
材28の下面には、所定の形状の凹凸を形成した係合部
29が形成されている。この所定の形状の凹凸は、本実
施例ではブレーキ部材28の下面において縦横に形成さ
れた鉤爪構造として形成されている。
【0022】アクチュエータ22は、シリンダピストン
23のシリンダに作動流体を給排してそのピストンを上
下させるが、これによって、上述したようにシリンダピ
ストン23の端部に接続された回動レバー27がボディ
(シャシ)14との接続部を支点として回動する。シリ
ンダピストンが押し上げられて回動レバー27が回動し
たときには、回動レバー27の端部に接続されたブレー
キ部材28は路面に向かって移動し、最終的には係合部
29が路面に押圧された状態となる(図2参照)。
【0023】管路40から分岐して車両用ブレーキ装置
20に作動流体を給排する管路43には、非常ブレーキ
弁24が設けられている。非常ブレーキ弁24は、ポン
プ32側とアクチュエータ22側との間で作動流体の流
動を阻止する閉ポジションと、管路43内での作動流体
の自由な流動を許す開ポジションとからなる2ポジショ
ンのソレノイドバルブとして構成されており、作動流体
給排部30と車両用ブレーキ装置20との間で作動流体
の流動を規制できるようになっている。この非常ブレー
キ弁24は電子制御ユニット70に接続されており、電
子制御ユニット70による駆動制御を受ける。通常は非
常ブレーキ弁24は閉ポジションとなっているが、電子
制御ユニット70から駆動信号が出力されたときには開
ポジションとなる。ブレーキ部材28が路面から離れた
状態であるときに電子制御ユニット70から非常ブレー
キ弁24に対して駆動信号が出力され、ポンプ32によ
って作動流体がアクチュエータ22側に圧送されると、
既述したように、ブレーキ部材28が移動して係合部2
9が路面と接触し、制動力を発生させる。ブレーキ部材
28の係合部29が路面に押圧されると、電子制御ユニ
ット70から非常ブレーキ弁24への駆動信号はオフ状
態となって非常ブレーキ弁24は閉ポジションに復帰
し、アクチュエータ22側での作動流体の流動が規制さ
れて係合部29によって制動力が発生された状態が維持
される。
【0024】ブレーキ部材28の係合部29が路面に押
圧されている状態で車両用ブレーキ装置20の解除が要
求されたときには、再び電子制御ユニット70から非常
ブレーキ弁24に対して駆動信号が出力される。このと
きには、ポンプ32が停止した状態で非常ブレーキ弁2
4が開ポジションとなって作動流体がリザーバ39に回
収され、これによって管路43内の作動流体の圧力が低
下し、シリンダピストン23のピストンはコイルスプリ
ング25によって押し戻される。シリンダピストン23
のピストンが押し戻されるときには、回動レバー27は
図3に示す矢印X方向に回動してブレーキ部材28は路
面を離れる。ブレーキ部材28が路面を離れると電子制
御ユニット70からの駆動信号はオフ状態となって、非
常ブレーキ弁24はバネ力によって閉ポジションに復帰
する。
【0025】車高調整装置50については、既述したよ
うに前輪左右輪の系に基づいて説明するが、以下詳しい
構成の説明は主に前輪左輪の系に基づいて説明する。車
高調整装置50の構成要素の内、前輪左輪の系に関わる
構成としては、車体を懸架するアクチュエータ54と、
減衰力を変化させる減衰力可変用可変絞り60と、所定
の気体(例えば窒素等)を密封し作動流体の流出入によ
り作動流体の圧力を吸収するガスバネ64と、前輪レベ
リング弁66と、前輪ゲートバルブ68と、車両の車高
を検出する車高センサ51とを挙げることができる。
【0026】アクチュエータ54は、車輪52を支持す
るサスペンション部材53と車体との間、即ち車輪と車
体との間に介装された一種のシリンダピストン装置であ
り、コイルスプリング55とシリンダピストン56とか
ら構成されている。アクチュエータ54は、シリンダピ
ストン56のシリンダに作動流体を給排することによ
り、そのピストンを上下させて、車輪と車体との間隔、
即ち車高を変更する。アクチュエータ54のシリンダピ
ストン56は、管路47により減衰力可変用可変絞り6
0およびガスバネ64と連絡している。ここで、管路4
7は、既述した管路44から派生して、前輪左輪の系で
あるアクチュエータ54に対して作動流体の給排を行な
う管路である。管路44は車高調整装置50に対して作
動流体の給排を行なう管路であるが、この管路44は、
前輪左右輪の系に対して作動流体を給排する管路45と
後輪左右輪の系に対して作動流体を給排する管路46と
に分岐する。さらに管路45は、前輪左輪の系に対して
作動流体の給排を行なう管路47と、前輪右輪の系に対
して作動流体の給排を行なう管路48とに分岐する。
【0027】既述したように、管路47にはガスバネ6
4が設けられているが、管路47とガスバネ64とを接
続する管路にはさらに減衰力可変用可変絞り60が設け
られている。この減衰力可変用可変絞り60は、ガスバ
ネ64に至る作動流体の流路の有効開口面積を変化させ
るものであり、減衰力可変用可変絞り60に併設された
モータ62により動作する。減衰力可変用可変絞り60
は、作動流体の流路の有効開口面積を変化させることに
より、車体の上下動に伴う管路47内の作動流体流動に
対する減衰力を変更することができるようになってい
る。減衰力可変用可変絞り60を動作させるモータ62
は電子制御ユニット70に接続されており、電子制御ユ
ニット70による駆動制御を受ける。従って、車高調整
装置50は、後述する前輪レベリング弁66が閉ポジシ
ョンの状態では、アクチュエータ54と減衰力可変用可
変絞り60とガスバネ64とにより、一般的な減衰力可
変機構付きのサスペンション装置として機能する。
【0028】管路45に設けられた前輪レベリング弁6
6は、管路45内の作動流体の自由な流動を許す開ポジ
ションと、作動流体の流動を阻止する閉ポジションとか
らなる2ポジションのソレノイドバルブとして構成され
ており、作動流体給排部30と前輪左右輪の系との間で
の作動流体の流動を規制できるようになっている。この
前輪レベリング弁66は電子制御ユニット70に接続さ
れており、電子制御ユニット70による駆動制御を受け
る。前輪レベリング弁66は通常は閉ポジションをとり
作動流体の流動を阻止しているが、電子制御ユニット7
0から駆動信号が出力されると開ポジションとなり作動
流体を自由に流動させる。
【0029】前輪ゲートバルブ68は、管路45から分
岐して前輪左輪の系に対して作動流体の給排を行なう管
路47に設けられている。この前輪ゲートバルブ68
は、作動流体の流動を阻止する閉ポジションと、管路4
7内の作動流体の自由な流動を許す開ポジションとから
なる2ポジションのソレノイドバルブとして構成されて
おり、前輪左右輪の系内において給排される作動流体の
流動を規制できるようになっている。この前輪ゲートバ
ルブ68は電子制御ユニット70に接続されており、電
子制御ユニット70による駆動制御を受ける。前輪ゲー
トバルブ68は通常開ポジションをとり、前輪左右輪の
系内において作動流体を自由に流動させているが、電子
制御ユニット70から駆動信号が出力されると閉ポジシ
ョンとなり、前輪左輪の系への作動流体の給排を阻止す
る。
【0030】車高センサ51は、車体とサスペンション
部材53とに取り付けられ、車体に対するサスペンショ
ン部材53の相対的な位置を検出することにより、アク
チュエータ54の伸縮の程度、即ち車高を検出する。こ
の車高センサ51によって検出された車高に関する情報
は、電子制御ユニット70に入力される。
【0031】以上、前輪左右輪の系、特に前輪左輪の系
に関わる構成に基づいて説明したが、後輪左右輪の系に
関しても同様の構成を有している。すなわち、管路44
から分岐する管路46には前輪レベリング弁と同様の構
成を備える後輪レベリング弁が設けられており、管路4
6から分岐して後輪左輪の系に作動流体の給排を行なう
管路には前輪ゲートバルブ68と同様の構成を備える後
輪ゲートバルブが設けられている。また、各アクチュエ
ータに対して作動流体を給排する管路には、ガスバネ6
4、減衰力可変用可変絞り60およびモータ62と同様
の構造が設けられている。これらのバルブやモータの駆
動状態を制御することによって、各車輪を支持するサス
ペンション部材と車体との間に設けられたアクチュエー
タへの作動流体の給排状態が制御され、車高が調整され
る。
【0032】サスペンション装置10は、この他、車両
用ブレーキ装置20の作動を指示するための非常ブレー
キスイッチ、車高の目標値を設定する車高設定スイッチ
やステアリングの回転角を検出する操舵角センサ、車速
を検出する車速センサ、車体の上下方向の加速度を検出
する上下Gセンサ、ブレーキペダルの踏み込みを検出す
るブレーキセンサ、イグニションキーのオンオフを検出
するイグニションスイッチ(IGSW)等のセンサ・ス
イッチ群12が設けられており、各センサからの検出信
号が電子制御ユニット70に入力されるようになってい
る。なお、上記した非常ブレーキスイッチは、例えば車
両の運転席の近傍に設けられたスイッチであり、本実施
例では使用者によって押圧力が加えられるボタンスイッ
チとして構成されている。この非常ブレーキスイッチ
は、押圧力を加える毎にオン状態とオフ状態とが切り替
わるよう構成されており、使用者が非常時であると判断
した場合にこのスイッチを押圧操作することによって車
両用ブレーキ装置20が作動可能となり、もう一度押圧
操作することによって車両用ブレーキ装置の作動状態が
解除される。
【0033】電子制御ユニット70は、CPU72を中
心として構成されるマイクロコンピュータとして構成さ
れ、詳しくは、CPU72により実行される制御プログ
ラムが記憶されるROM74、CPU72により実行さ
れる制御プログラムにより一時的に発生するデータ等を
一時的に記憶するRAM76、車高センサ51やセンサ
・スイッチ群12からの検出信号を入力すると共にモー
タ34,62や前輪レベリング弁66,前輪ゲートバル
ブ68等へ駆動信号を出力する入出力インターフェース
78等を備える。
【0034】なお、以上説明したサスペンション装置1
0に設けられた2ポジションのソレノイドバルブの各々
は、その閉ポジションにおいては作動流体の流動を阻止
する構成としたが、閉ポジションの構成として、ポンプ
32側からの作動流体の流動は阻止するがポンプ32側
への所定圧力以上の作動流体の流動は許す構成としても
良い。ここで、作動流体の流動を許す所定圧力として、
車両の通常の状態では生じない程度の圧力を設定してお
けば、車両の通常の走行では閉ポジションとして機能さ
せることができる。
【0035】次に、こうして構成されたサスペンション
装置10において行なわれる車両用ブレーキ装置20の
動作の制御および車高制御の様子について図4に例示す
るブレーキおよび車高制御処理ルーチンに基づいて説明
する。本ルーチンは、イグニションスイッチがオンとさ
れた後に所定時間毎、例えば10msec毎に繰り返し
実行される。
【0036】本ルーチンが実行されると、CPU72
は、まず、今回の処理が始動時のものであるかどうか、
すなわちイグニションスイッチがオンとされた後に行な
われる最初の処理であるかどうかが判断される(ステッ
プS100)。始動時であると判断された場合には、ス
テップS110においてブレーキフラグFに値0を代入
する。このブレーキフラグFは、サスペンション装置1
0において車両用ブレーキ装置20が動作中であるかど
うかを表わすフラグであり、前回の処理において車両用
ブレーキ装置20が動作している状態となった場合には
値1が代入されており、前回の処理において車両用ブレ
ーキ装置20が動作している状態にならなかった場合に
は値0が代入されている。始動時には前回の処理がない
ためブレーキフラグの値は設定されておらず、車両用ブ
レーキ装置20も動作していない。そのため本ルーチン
の最初にブレーキフラグに値0を代入する。もとより、
ステップS100において始動時でないと判断される場
合には、前回の処理においてブレーキフラグFに値1ま
たは値0が代入されているため、ステップS110を省
略してステップS120に移行する。
【0037】次にCPU72は、センサ・スイッチ群1
2が検出した情報を読み込む処理を実行する(ステップ
S120)。ここで、これら読み込んだ情報について、
まず、非常ブレーキスイッチがオン状態であるかどうか
について判断する(ステップS130)。非常ブレーキ
スイッチがオン状態でなかった場合には、使用者が車両
用ブレーキ装置20による制動力を要求していないと判
断され、次にブレーキフラグFが値1であるかどうかを
判断する(ステップS140)。ステップS140にお
いてブレーキフラグが値0であった場合には、使用者は
車両用ブレーキ装置20による制動力を要求しておら
ず、かつ、車両用ブレーキ装置は作動していない状態で
あると判断されるため、そのままステップS200の車
高制御処理ルーチンに移行する。
【0038】ステップS200では、図示しない車高制
御処理ルーチンにより、センサ・スイッチ群12からの
検出信号に基づいて求められる目標車高および現在車高
等に応じて車高の調節が行なわれる。ここで、モータ3
4を作動させてポンプ32を駆動状態とし、減圧バルブ
38を閉ポジションとすると共に前輪レベリング弁およ
び/または後輪レベリング弁を開ポジションとすると、
レベリング弁に対応するアクチュエータが備えるシリン
ダピストンに作動流体が供給されて車高を上昇させるこ
とができる。また、モータ34を停止させて前輪レベリ
ング弁および/または後輪レベリング弁を開ポジション
とし、さらに減圧バルブ38を開ポジションとすると、
レベリング弁に対応するアクチュエータが備えるシリン
ダピストンから作動流体が排出されて車高を下降させる
ことができる。本発明では、車高制御それ自体には重点
はないから、車高制御に関するこれ以上の説明は省略す
る。ステップS200の車高制御処理ルーチンを終了す
るとブレーキおよび車高制御処理ルーチンに復帰して、
さらにこのブレーキおよび車高制御処理ルーチンを終了
する。
【0039】ステップS140においてブレーキフラグ
が値1であった場合には、使用者は車両用ブレーキ装置
20による制動力を要求しておらず、かつ、車両用ブレ
ーキ装置は作動している状態、すなわち、前回(あるい
はそれ以前)の処理において車両用ブレーキ装置20が
作動状態となり、その後車両用ブレーキ装置20の解除
が指示されたと判断されるため、以下に示す車両用ブレ
ーキ装置20の解除のための動作が行なわれる。
【0040】まず最初に、減圧バルブ38および非常ブ
レーキ弁24を開ポジションにする(ステップS15
0)。これによって車両用ブレーキ装置20から作動流
体が作動流体給排部30側に排出され、シリンダピスト
ン23内の作動流体の圧力が減少し、シリンダピストン
23のピストンがコイルスプリング25によって押し戻
されて回動レバー27が回動し、ブレーキ部材28は当
初の位置に復帰する。ここで、圧力センサ35が検出し
た管路40における作動流体の吐出圧Pを読み込み(ス
テップS160)、この吐出圧Pを所定の基準値P1 と
比較する(ステップS170)。所定の基準値P1 は、
コイルスプリング25による力によってブレーキ部材2
8が当初の位置に復帰したときの管路40における吐出
圧の上限値よりも若干小さい値として予め設定され、電
子制御ユニット70内に記憶された値である。ステップ
S170において吐出圧Pが上記基準値P1 以下となる
まで、上記ステップS160およびステップS170の
処理が繰り返される。
【0041】ステップS170において吐出圧Pが基準
値P1 以下となってブレーキ部材28が当初の位置に復
帰したことが確認されると、次に非常ブレーキ弁24を
閉ポジションとして(ステップS180)車両用ブレー
キ装置20側への作動流体の給排を禁止し、ブレーキフ
ラグFに値0を代入する(ステップS190)。この
後、ブレーキおよび車高制御処理ルーチンのサブルーチ
ンである車高制御処理ルーチンに移行する(ステップS
200)。
【0042】ステップS130において非常ブレーキス
イッチがオン状態であった場合には、車両用ブレーキ装
置20を作動させる指示が使用者によって入力されたと
判断され、引き続き、ブレーキペダルが所定量(例えば
最大量)踏み込まれているかどうか(ステップS21
0)、車速Vの値が所定の基準値V0 以下であるかどう
か(ステップS220)についての判断が順次なされ
る。この車速に関する所定の基準値V0 とは、車両用ブ
レーキ装置20によって制動力を発生させた場合にも、
車体の走行安定性の低下が許容範囲となる車速の下限
値、あるいは下限値よりも若干小さな値として予め定め
て電子制御ユニット70に記憶させておいた値である。
ここで、ステップS210またはステップS220のう
ちいずれかの条件を満たしていない場合には、使用者か
らの指示入力にかかわらず車両用ブレーキ装置20を作
動させない状態にあると判断され、ステップS200の
車高制御処理ルーチンに移行して車高の制御を行なう。
もとより、ステップS210およびステップS220の
処理は逆の順序で行なうこととしてもよい。
【0043】ステップS210およびステップS220
において上記の条件が共にイエスである場合には、車両
用ブレーキ装置20の作動が指示されており、かつ、車
両用ブレーキ装置20の作動が可能な状態にあると判断
され、ステップS230に移行してブレーキフラグFが
値1であるか否かを判断する。
【0044】ステップS230においてブレーキフラグ
Fが値0である場合には車両用ブレーキ装置20は作動
していない状態にあると判断されるため、ステップS2
40の非常ブレーキ作動処理ルーチンが実行される。こ
の非常ブレーキ作動処理ルーチンは、ブレーキおよび車
高制御処理ルーチンのサブルーチンであって、車高の制
御を禁止しながら車両用ブレーキ装置20を作動させる
ものである。図5に、非常ブレーキ作動処理ルーチンの
フローチャートを示す。
【0045】非常ブレーキ作動処理ルーチンに移行する
とまず、車高制御を禁止する処理として、前輪レベリン
グ弁66および後輪レベリング弁を閉ポジションとして
車高調整装置50側に作動流体が給排されないようにす
る(ステップS300)。次に、モータ34を作動させ
てポンプ32を駆動状態とすると共に非常ブレーキ弁2
4を開ポジションにする(ステップS310)。非常ブ
レーキ弁24が開ポジションの状態でモータ34を駆動
すると、作動流体が車両用ブレーキ装置20側に供給さ
れ、これによってシリンダピストン23のシリンダが押
し上げられて回動レバー27が回動し、ブレーキ部材2
8の係合部29が路面と接触して制動力を発生する。
【0046】ここで、圧力センサ35が検出した管路4
0における作動流体の吐出圧Pを読み込み(ステップS
320)、この吐出圧Pを所定の基準値P0 と比較する
(ステップS330)。所定の基準値P0 とは、ブレー
キ部材28の係合部29が路面と接触して回動レバー2
7の移動が停止し、作動流体を供給しようとしてもシリ
ンダピストン23のピストンがそれ以上押し上げられな
い状態となったときに、さらにポンプ32から作動流体
を供給しようとした場合に管路40内に生じる圧力の下
限値、あるいはこの下限値よりも若干高い値として設定
された値であり、予め電子制御ユニット70内に記憶さ
れているものである。
【0047】吐出圧Pが上記基準値P0 以上であるとき
には、ブレーキ部材28の係合部29が路面と接触して
制動力を発生している状態にあると判断して、非常ブレ
ーキ弁24を閉ポジションに復帰させると共にモータ3
4を停止させ(ステップS340)、係合部29が路面
と接触して制動力を発生している状態を維持する。吐出
圧Pが上記基準値P0 を下回ったときには、ステップS
320およびステップS330に戻り、吐出圧Pが基準
値P0 以上になるまで吐出圧Pの読み込みおよび吐出圧
Pと基準値P0 との比較を行なう。ステップS340に
おいてモータ34を停止させ非常ブレーキ弁24を閉ポ
ジションに復帰させると、既述したブレーキフラグFに
値1を代入して非常ブレーキ作動処理ルーチンを終了
し、ブレーキおよび車高制御処理ルーチンに復帰して、
さらにこのブレーキおよび車高制御処理ルーチンを終了
する。
【0048】ブレーキおよび車高制御処理ルーチンのス
テップS230において非常ブレーキフラグFが1であ
る場合には、前回(またはそれ以前)の処理で非常ブレ
ーキ作動処理ルーチンが実行されて、ブレーキ部材28
の係合部29が路面と接触して制動力を発生しており、
さらに車両用ブレーキ装置20が作動し続けることが要
求されている状態にあると判断されるため、さらなる処
理を行なうことなく車両用ブレーキ装置20が作動して
いる状態を維持して、本ルーチンを終了する。
【0049】上記ブレーキおよび車高制御処理ルーチン
では、ステップS230で非常ブレーキフラグFが値1
であると判断された場合、あるいはステップS240の
非常ブレーキ作動処理ルーチンを終了した場合には、そ
のままブレーキおよび車高制御処理ルーチンを終了する
こととしたが、本ルーチンを終了する前に制動力をさら
に増すための車高制御を行なうこととしてもよい。車両
用ブレーキ装置20による制動力が発生しているとき
に、目標車高に基づいた通常の車高制御の代わりに、制
動力が発生していることを前提として車高を低くする制
御などを行なうことは、制動力を高め停止時の車両の安
定性を確保する上で好ましい。
【0050】以上説明した第1実施例のサスペンション
装置10によれば、所定の非常時に制動力を発生させる
車両用ブレーキ装置20は、車高の調整を行なう車高調
整装置50と作動流体給排部30を共有しているため、
サスペンション装置10全体の構成を簡素化することが
できる。すなわち、この車高調整装置50は従来から車
両に搭載されていた装置であり、作動流体の給排を要す
る車両用ブレーキ装置20を新たに車両に搭載しても、
この車両用ブレーキ装置20を搭載することによって車
両構成が複雑化して構成部材が増加してしまうのを抑え
ることができる。
【0051】このように作動流体給排部30を共有して
いるため、本実施例のサスペンション装置10では、車
両用ブレーキ装置20と車高調整装置50との内いずれ
か一方にのみ作動流体の給排が可能となる。本実施例で
は、車両用ブレーキ装置20の作動が要求される状況で
は、車高調整装置50に優先して車両用ブレーキ装置2
0を作動させる構成としたため、制動力を発生させたい
非常時には車高の状態に関わらず車両用ブレーキ装置2
0を作動させることができ、車両を安全に減速、停止さ
せ、充分な安全性を確保することができる。
【0052】本実施例の車両用ブレーキ装置20は、特
に、凍結路(ミラー路)や凍結した下り坂において比較
的遅い車速で走行中に車両を停止させたい場合に有効で
ある。このような凍結路では、ブレーキペダルを踏み込
んでも車輪がスリップしてしまうため、車速が遅い場合
であっても充分な制動力を得ることが難しい。本実施例
の車両用ブレーキ装置20を搭載する場合には、このよ
うに車輪がスリップし、またロックしてしまった場合に
も充分な制動力を得ることができる。すなわち、車輪と
は異なるブレーキ部材28によって路面と接触し、この
ブレーキ部材28が備える係合部29の鉤爪構造によっ
て路面に係合することで制動力を得るため、上記凍結路
等においても車両の走行安定性を損なうことなく車両を
減速、停止させることができる。さらに、このような凍
結路などでスリップした場合には、アンチロック・ブレ
ーキ・システム(ABS)が搭載された車両において
も、このアンチロック・ブレーキ・システム(ABS)
の効果をさらに補って、車両停止時の安全性を向上させ
ることができる。
【0053】ここで、本実施例の車両用ブレーキ装置2
0では、係合部29は、所定の面積を有するブレーキ部
材28の下面において縦横に形成された鉤爪構造とした
が、この係合部29の構造は、路面に引っかかって所定
の制動力を発生することができる凹凸を形成しているな
らば他の構造としてもよい。例えば、本実施例における
係合部29が備えるのと同様の鉤爪を横一列に並べた熊
手型としてもよい。なお、この係合部29は、路面に引
っかかることによって制動力を発生させるものであるた
め、所定の重量を有する車両に対して制動力を発生させ
るのに充分な強度を有することが要求され、充分な強度
を有する金属や樹脂などによって形成される。例えば、
ステンレスなどの金属やセラミックなどによって形成す
ることができる。
【0054】さらに、係合部29の構造によって車両に
制動力を発生させる際に車両の走行安定性が損なわれて
しまうのを避けるためには、係合部29が接地する位置
は車両の前方ではなく後方であることが要求される。荷
物を積載するトランク構造など荷重がかかる位置が通常
は車両後部であることを考えると、車両停止時の走行安
定性を確保するためには、係合部29が接地する位置
は、例えば後輪の車軸よりも後方とすることが望まし
い。
【0055】既述した第1実施例では、車高調整装置5
0は、同様の構成を有する前輪左右輪の系と後輪左右輪
の系とを備え、前輪毎あるいは後輪毎の車高調整が可能
な構成となっているが、異なる構成の車高調整装置を備
えることとしても良い。例えば、前輪左輪、前輪右輪、
後輪左輪、後輪右輪のそれぞれに作動流体を給排する管
路に、前輪レベリング弁66と同様の構成の電磁バルブ
を個別に設け、各輪毎に作動流体の給排を制御する構成
とすることができる。
【0056】上記第1実施例のサスペンション装置10
では、車両用ブレーキ装置20は、作動流体給排部30
を車高調整装置50と共有する構成としたが、作動流体
の給排を受けて作動する装置であって、車高調整装置と
は異なる装置と作動流体給排部を共有することとしても
よい。以下に、このような構成を第2実施例のサスペン
ション装置10Aとして説明する。
【0057】第2実施例のサスペンション装置10Aで
は、第1実施例と同様の構成を備える車高調整装置20
は、第1実施例と類似した構成を備える作動流体給排部
30Aを、第1実施例のサスペンション装置10が備え
る車高調整装置50に代えてブレーキ液圧制御装置80
と共有している。図6は、サスペンション装置10Aに
おいて、作動流体給排部30Aとブレーキ液圧制御装置
80との構成を抜き出して表わした説明図である。
【0058】作動流体給排部30Aは、第1実施例の作
動流体給排部30と類似した構造を備えているため、共
通する構成については同じ番号を付して詳しい説明は省
略する。この作動流体給排部30Aでは、管路40にお
いてチェックバルブ36の下流にアキュムレータ33が
設けられている。このアキュムレータ33は、ポンプ3
2による作動流体の脈流を緩和すると共に昇圧された作
動流体を貯留する。また、アキュムレータ33の近傍に
は、アキュムレータ33のブレーキ液の圧力を検出する
圧力センサ37が設けられている。圧力センサ37の下
流で管路40は管路43と管路81とに分岐する。管路
43は、第1実施例と同様に車両用ブレーキ装置20に
作動流体を給排する管路であり、第1実施例と同様の車
両用ブレーキ装置20に接続しているが、図6では管路
43に接続する車両用ブレーキ装置20に関する記載は
省略している。第1実施例の圧力センサ35に対応する
圧力センサ35は、第2実施例では、圧力センサ37が
設けられた位置よりも下流の管路43において設けられ
ている。管路81は、上記したブレーキ液圧制御装置8
0に作動流体を給排する管路である。以下に、ブレーキ
液圧制御装置80の構成について説明する。なお、以下
のブレーキ液圧制御装置80に関する説明では、作動流
体であるオイルをブレーキ液と呼ぶことにする。
【0059】ブレーキ液圧制御装置80は、ブレーキペ
ダル190に加えられた踏み込み力をブレーキ液に作用
する圧力に変換し、このブレーキ液に作用する圧力を車
輪側に伝えて車輪の回転を抑えることで制動力を発生さ
せるフットブレーキ装置において、アンチロック・ブレ
ーキ・システム(ABS)と呼ばれる制御やトラクショ
ンコントロール(TRC)と呼ばれる制御などを実現す
る装置である。ここで、ABSとは滑りやすい路面など
での急制動時に車両の安定性を向上して制動力を得るた
めのものであり、TRCとは滑りやすい路面での発進時
や急加速時に車両の安定性と駆動力とを確保するための
ものである。ABSもTRCも共に、車輪側に作用する
作動流体であるブレーキ液の圧力を、スリップ率(車体
速度に対する車体速度と車輪速度の差の比率、あるいは
駆動輪速度に対する駆動輪速度と車体速度との差の比
率)に基づいてさらに制御するものである。
【0060】図6に示すように、ブレーキ液圧制御装置
80は、ブレーキペダル190に加えられた踏み込み力
をブレーキ液に作用する圧力に変換するブレーキマスタ
シリンダ192と、遊動輪である前輪112,114お
よび駆動輪である後輪116,118に設置されたホイ
ールシリンダ132〜138と、これらの各シリンダへ
ブレーキ液の給排を行なう後述する電磁バルブおよび配
管と、各車輪112〜118の車輪速度を検出するスピ
ードセンサ122〜128と、さらに、第1実施例と同
様の図示しない電子制御ユニット70とを備える。
【0061】ブレーキマスタシリンダ192の前方室1
92Aは、パイプ194を介して前輪系に対してブレー
キ液の配送を行なう。また、ブレーキマスタシリンダ1
92の後方室192Bは、パイプ196を介して後輪系
に対してブレーキ液の配送を行なう。後輪系のパイプ1
96には、ホイールシリンダ136,138側のブレー
キ液の圧力をブレーキマスタシリンダ192側より小さ
くするプロポーショニングバルブ197が設けられてい
る。後輪系のパイプ196にプロポーショニングバルブ
を設置するのは、前輪に比して後輪の方が制動時にロッ
クしやすいからである。ホイールシリンダ132〜13
8には、これらにブレーキ液を給排するパイプ182〜
188が接続している。
【0062】以下に、各シリンダへのブレーキ液の給排
の規制を行なう配管およびこれらの配管に設けられた電
磁バルブについて説明する。マスタカットバルブ14
2,144は、ブレーキマスタシリンダ192の前方室
192Aと前輪112,114のホイールシリンダ13
2,134との間のブレーキ液の流動を規制する。マス
タカットバルブ146は、ブレーキマスタシリンダ19
2の後方室192B後輪116,118のホイールシリ
ンダ136,138との間のブレーキ液の流動を規制す
る。アキュムレータカットバルブ152から158は、
作動流体給排部30Aから各ホイールシリンダ132〜
138へのブレーキ液の流動を規制する。リザーバカッ
トバルブ162〜168は、各ホイールシリンダ132
〜138からリザーバ39へのブレーキ液の流動を規制
する。リターンカットバルブ102は、前輪系のマスタ
カットバルブ142,144を迂回してホイールシリン
ダ132,134からブレーキマスタシリンダ192の
前方室192Aへのブレーキ液の返送を規制する。リタ
ーンカットバルブ106は、後輪系のマスタカットバル
ブ146を迂回してホイールシリンダ136,138か
らブレーキマスタシリンダ192の後方室192Bへの
ブレーキ液の返送を規制する。
【0063】ブレーキマスタシリンダ192の前方室1
92Aは、パイプ194と分配パイプ181とによりマ
スタカットバルブ142,144に接続されており、マ
スタカットバルブ142,144は、パイプ182,1
84により前輪のホイールシリンダ132,134に接
続されている。また、ブレーキマスタシリンダ192の
後方室192Bは、プロポーショニングバルブ197を
介装したパイプ196によりマスタカットバルブ146
に接続されており、マスタカットバルブ146は、パイ
プ186,188により後輪のホイールシリンダ13
6,138に接続されている。したがって、各マスタカ
ットバルブ142〜146が開いている状態のときにブ
レーキペダルを踏み込み、ブレーキマスタシリンダ19
2の前方室192Aおよび後方室192Bを昇圧すれ
ば、各室192A,192Bの昇圧されたブレーキ液
が、各マスタカットバルブ142〜146を通って各ホ
イールシリンダ132〜138に送られる。
【0064】マスタカットバルブ142〜146は、ブ
レーキ液の流動を阻止する閉ポジションとブレーキ液の
自由な流動を許す開ポジションとからなる2ポジション
のソレノイドバルブとして構成されている。このマスタ
カットバルブ142〜146は、電子制御ユニット70
に接続されており、電子制御ユニット70による駆動制
御を受ける。通常はマスタカットバルブ142〜146
は開ポジションとなっているが、電子制御ユニット70
から駆動信号が出力されたときには閉ポジションとな
る。
【0065】作動流体給排部30Aが備えるアキュムレ
ータ33は、管路40から分岐する管路81と分配パイ
プ137とにより各アキュムレータカットバルブ152
〜158に接続されており、各アキュムレータカットバ
ルブ152〜158は、パイプ182〜188により各
ホイールシリンダ132〜138に接続されている。し
たがって、各アキュムレータカットバルブ152〜15
8を開けば、アキュムレータ33のブレーキ液の圧力
が、管路81,分配パイプ137,アキュムレータカッ
トバルブ152〜158,パイプ182〜188,ホイ
ールシリンダ132〜138の経路で各ホイールシリン
ダ132〜138に伝えられる。これらアキュムレータ
カットバルブ152〜158は、ブレーキ液の流動を阻
止する閉ポジションとブレーキ液の自由な流動を許す開
ポジションとからなる2ポジションのソレノイドバルブ
として構成されている。アキュムレータカットバルブ1
52〜158は、電子制御ユニット70に接続されてお
り、電子制御ユニット70による駆動制御を受ける。通
常はアキュムレータカットバルブ152〜158は閉ポ
ジションとなっているが、電子制御ユニット70から駆
動信号が出力されたときには開ポジションとなる。
【0066】各ホイールシリンダ132〜138は、パ
イプ182〜188とパイプ172〜178とにより各
リザーバカットバルブ162〜168に接続されてお
り、各リザーバカットバルブ162〜168は集合パイ
プ179によりリザーバ39に接続されている。したが
って、各リザーバカットバルブ162〜168を開け
ば、ホイールシリンダ132〜138のブレーキ液が、
パイプ182〜188,パイプ172〜178,リザー
バカットバルブ162〜168,集合パイプ179,リ
ザーバ39の経路でリザーバ39に送られる。リザーバ
カットバルブ162〜168もまた、開ポジションと閉
ポジションとからなる2ポジションのソレノイドバルブ
として構成されており、電子制御ユニット70に接続さ
れて、その駆動制御を受ける。通常はリザーバカットバ
ルブ162〜168は閉ポジションとなっているが、電
子制御ユニット70から駆動信号が出力されたときには
開ポジションとなる。
【0067】ホイールシリンダ132,134は、パイ
プ182,184とパイプ92,94とによりリターン
カットバルブ102に接続されており、リターンカット
バルブ102は、パイプ104とパイプ194とにより
ブレーキマスタシリンダ192の前方室192Aに接続
されている。また、ホイールシリンダ136,138
は、パイプ186,188によりリターンカットバルブ
106に接続されており、リターンカットバルブ106
は、パイプ108とパイプ196とによりブレーキマス
タシリンダ192の後方室192Bに接続されている。
各パイプ92〜98には、ホイールシリンダ132〜1
38側のブレーキ液の圧力がブレーキマスタシリンダ1
92側よりも高いときに、ホイールシリンダ132〜1
38側からブレーキマスタシリンダ192側へのブレー
キ液の流動を許容するチェックバルブ82〜88が設け
られている。したがって、リターンカットバルブ10
2,106が開いた状態のときに、踏み込んでいたブレ
ーキペダル190を開放すれば、ホイールシリンダ13
2〜138のブレーキ液が、各チェックバルブ82〜8
8およびリターンカットバルブ102,106を通って
ブレーキマスタシリンダ192の前方室192Aおよび
後方室192Bに戻される。リターンカットバルブ10
2,106もまた、開ポジションと閉ポジションとから
なる2ポジションのソレノイドバルブとして構成されて
おり、電子制御ユニット70に接続されて、その駆動制
御を受ける。通常はリターンカットバルブ102,10
6は開ポジションとなっているが、電子制御ユニット7
0から駆動信号が出力されたときには閉ポジションとな
る。
【0068】以上のように構成されたブレーキ液圧制御
装置80では、電子制御ユニット70の制御を受けて、
急ブレーキが踏まれたときに車輪がロック状態となるの
を防止するアンチロック・ブレーキ・システム(AB
S)、急発進時や軟弱路面で車輪が空転するのを防止す
るトラクションコントロール(TRC)等が動作する。
これらの制御は、各スピードセンサ122〜128から
の検出信号に基づいて求められる推定車両速度、車体速
度に対する車体速度と車輪速度との差の比率(ABSで
のスリップ率)、または車輪速度に対する車輪速度と車
体速度との比率(TRCでのスリップ率)等に基づい
て、車輪と路面との摩擦力とコーナリングフォースによ
る操舵性とが両立するスリップ率の範囲内となるよう、
ブレーキ液圧制御装置80が備える各バルブの開閉によ
って、各ホイールシリンダ132〜138のブレーキ液
の圧力の制御が行なわれる。ブレーキ液圧制御装置80
では、通常は、ブレーキペダル190を踏み込むことに
よるブレーキマスタシリンダ192内のブレーキ液の圧
力変化がホイールシリンダ132〜138に伝えられる
が、上記ABSやTRC等の制御が行なわれるときに
は、ホイールシリンダ132〜138はブレーキマスタ
シリンダ192との流路の接続を切り離されて、作動流
体給排部30A側からブレーキ液の給排を受けて制動力
を制御される。本発明では、ブレーキ液圧の制御に重点
はないから、ブレーキ液圧の制御に関するこれ以上の説
明は省略する。
【0069】次に、こうして構成されたサスペンション
装置10Aにおいて行なわれる車両用ブレーキ装置20
の動作の制御およびブレーキ液圧制御装置80の制御の
様子について図7に例示するブレーキおよびブレーキ液
圧制御処理ルーチンに基づいて説明する。本ルーチン
は、第1実施例のブレーキおよび車高制御処理ルーチン
と同様に、イグニションスイッチがオンとされた後に所
定時間毎に繰り返し実行される。
【0070】本ルーチンのステップS400〜ステップ
S490は、第1実施例のブレーキおよび車高制御処理
ルーチンにおけるステップS100〜ステップS190
と同様の処理であり、本ルーチンのステップS510〜
ステップS540は、同じくブレーキおよび車高制御処
理ルーチンにおけるステップS210〜ステップS24
0と同様の処理であるため、詳しい説明は省略する。す
なわち、非常ブレーキスイッチオン、ブレーキペダルが
最大量踏み込まれた状態、車速が所定値以下の条件に適
合する場合には、車両用ブレーキ装置20の作動あるい
は作動状態の維持が行なわれる。また、上記した車両用
ブレーキ装置の作動が要求されている条件に適合しない
場合には、車両用ブレーキ装置20の作動を解除する、
あるいは車両用ブレーキ装置20を作動させない状態の
ままで、ブレーキ液圧制御装置80の作動の要否を判断
する。また、本ルーチンでは、ステップS540におい
て車両用ブレーキ20を作動させた後にも、ブレーキ液
圧制御装置80の作動の要否の判断を行なう。
【0071】上記したブレーキ液圧制御装置80の作動
の要否の判断は、ステップS495において行なう。こ
こでは、既述したように、各スピードセンサ122〜1
28からの検出信号に基づいて求められる推定車両速度
と車体速度とに基づいて、ブレーキ液圧制御の要否が判
断される。ステップS495において、ブレーキ液圧制
御を行なう必要があると判断された場合には、ステップ
S500のブレーキ液圧制御処理ルーチンに移行する。
このブレーキ液圧制御処理ルーチンは、ブレーキおよび
ブレーキ液圧制御処理ルーチンのサブルーチンであっ
て、ブレーキ液圧制御装置80を構成する既述した各電
磁バルブの開閉状態を制御することによってホイールシ
リンダ132〜138内のブレーキ液圧を制御し、スリ
ップ率を、車輪と路面との摩擦力とコーナリングフォー
スによる操舵性とが両立する範囲内となるようにする。
ステップS500のブレーキ液圧制御処理ルーチンの終
了後、あるいは、ステップS495においてブレーキ絵
威圧制御を行なう必要がないと判断された場合には、本
ルーチンを終了する。
【0072】以上説明した第2実施例のサスペンション
装置10Aによれば、第1実施例のサスペンション装置
10と同様に、車両用ブレーキ装置20とブレーキ液圧
制御装置80とが作動流体給排部30を共有しているた
め、サスペンション装置10A全体の構成を簡素化する
ことができる。すなわち、ブレーキ液圧制御装置80を
搭載する車両に新たに車両用ブレーキ装置20を搭載し
ても、この車両用ブレーキ装置20に作動流体を給排す
るための装置を特に設ける必要がなく、車両構成の複雑
化や構成部材の増加を抑えることができる。
【0073】また、第2実施例のサスペンション装置1
0Aでは、車両用ブレーキ装置20とブレーキ液圧制御
装置80とは作動流体給排部30を共有しているが、ブ
レーキ液圧制御装置80に優先して車両用ブレーキ装置
20が作動する構成となっており、車両の安全な減速、
停車が確保されている。すなわち、ブレーキ液圧制御装
置80は、急ブレーキが踏まれたとき、例えば、ブレー
キペダルが踏み込まれ、車輪加速度が所定値以下でスリ
ップ率が所定値以上変化したときに作動する。また、車
両用ブレーキ装置20は、既述したように、特に凍結し
た路面などで車速が遅いときであってブレーキペダルを
踏み込んでも充分な制動力が得られない場合に有効であ
り、使用者によって非常ブレーキスイッチからの入力が
行なわれ、ブレーキペダルが所定量(実施例では最大
量)踏み込まれ、車速が所定値以下のときに作動する。
このような車両用ブレーキ装置20の効果が発揮される
凍結路(ミラー路)などにおける状況では、車輪と路面
との間の摩擦力が非常に小さく、アンチロック・ブレー
キ・システム(ABS)によるスリップ率の制御の効果
が充分に得られない場合がある。このようにブレーキ液
圧制御を行なう効果が充分に発揮され難い状況において
も、ブレーキ液圧制御装置の動作よりも車両用ブレーキ
装置の動作を優先することによって、車両を安全に減
速、停止させることが可能となる。
【0074】第2実施例のサスペンション装置10Aが
備えるブレーキ液圧制御装置80の構成は図6に示した
が、ブレーキ液圧制御装置80の構成は図6に示した構
成に限るものではなく、ブレーキマスタシリンダ192
と各ホイールシリンダ132〜138とを接続する配管
およびこれらの配管に設けられた各電磁バルブは、異な
る構成としてもよい。
【0075】上記第1および第2実施例では、車両用ブ
レーキ装置20と、他の車両装置である車高調整装置5
0またはブレーキ液圧制御装置80との間で、作動流体
の給排を行なう作動流体給排部30,30Aを共有する
こととしたが、作動流体給排部30,30Aを共有する
代わりに、作動流体給排部が備えるモータを駆動するポ
ンプだけを共有することとしてもよい。
【0076】このような場合にも、2種類の車両装置に
作動流体を給排するために設けるポンプは一つで済むた
め、車両用ブレーキ装置20を車両に搭載することによ
って車両構成が複雑化したり構成部材が増加してしまう
のを抑えることができる。また、作動流体給排部におい
てポンプだけを共有する場合には、車両用ブレーキ装置
ともう一つの車両装置とは、異なる流体を作動流体とし
て用いる構成とすることができる。
【0077】以上本発明の実施例について説明したが、
本発明はこうした実施例に何等限定されるものではな
く、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる
様態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例のサスペンション装置10の構成の
概略を表わす説明図である。
【図2】サスペンション装置10において車両用ブレー
キ装置20と作動流体給排部30の構成だけを表わした
説明図である。
【図3】サスペンション装置10において車両用ブレー
キ装置20と作動流体給排部30の構成だけを表わした
説明図である。
【図4】サスペンション装置10において実行されるブ
レーキおよび車高制御処理ルーチンを表わすフローチャ
ートである。
【図5】ブレーキおよび車高制御処理ルーチンのサブル
ーチンである非常ブレーキ作動処理ルーチンを表わすフ
ローチャートである。
【図6】第2実施例のサスペンション装置10Aが備え
るブレーキ液圧制御装置80の構成の概略を表わす説明
図である。
【図7】サスペンション装置10Aにおいて実行される
ブレーキおよびブレーキ液圧制御処理ルーチンを表わす
フローチャートである。
【符号の説明】
10,10A…サスペンション装置 12…センサ・スイッチ群 20…車両用ブレーキ装置 21…制動部 22…アクチュエータ 23…シリンダピストン 24…非常ブレーキ弁 25…コイルスプリング 26…ガスバネ 27…回動レバー 28…ブレーキ部材 29…係合部 30,30A…作動流体給排部 32…ポンプ 33…アキュムレータ 34,62…モータ 35,37…圧力センサ 36…チェックバルブ 38…減圧バルブ 39…リザーバ 40〜48…管路 50…車高調整装置 51…車高センサ 52…車輪 53…サスペンション部材 54…アクチュエータ 55…コイルスプリング 56…シリンダピストン 64…ガスバネ 66…前輪レベリング弁 68…前輪ゲートバルブ 70…電子制御ユニット 72…CPU 74…ROM 76…RAM 78…入出力インターフェース 80…ブレーキ液圧制御装置 81…管路 82〜88…チェックバルブ 92〜98…パイプ 102,106…リターンカットバルブ 104,108…パイプ 112,114…前輪 116,118…後輪 122〜128…スピードセンサ 132〜138…ホイールシリンダ 137…分配パイプ 142〜146…マスタカットバルブ 152〜158…アキュムレータカットバルブ 162〜168…リザーバカットバルブ 172〜178…パイプ 179…集合パイプ 181…分配パイプ 182〜188…パイプ 190…ブレーキペダル 192…ブレーキマスタシリンダ 192A…前方室 192B…後方室 194,196…パイプ 197…プロポーショニングバルブ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両に搭載され、所定の非常時には可動
    部を路面に向かって移動させ、可動部の端部構造と路面
    とを接触させることによって制動力を発生させる車両用
    ブレーキ装置であって、 前記可動部を移動させるための駆動力発生用作動流体を
    給排する流体給排手段と、 前記所定の非常時であると判断される条件下において指
    示を出力し、前記流体給排手段を駆動することによって
    前記可動部を移動させて路面と接触させる制御部とを備
    え、 前記流体給排手段は、前記車両に搭載され、前記作動流
    体が発生する駆動力を利用して動作する所定の車両装置
    であって、上記車両用ブレーキ装置とは異なる車両装置
    に対しても前記作動流体を給排する車両用ブレーキ装
    置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の車両用ブレーキ装置であ
    って、 前記制御部は、 前記所定の非常時であると判断される条件下において指
    示を出力する他に、前記所定の非常時とは異なる所定の
    条件下において指示を出力して前記所定の車両装置を駆
    動し、 前記所定の非常時であると判断される条件下において、
    前記所定の車両装置の駆動を要する所定の条件が重なる
    場合には、前記所定の車両装置を駆動する指示の出力に
    優先して、前記可動部を路面に向かって移動させて制動
    力を発生させる指示を出力する車両用ブレーキ装置。
  3. 【請求項3】 前記所定の車両装置は、車体と車輪との
    間に設けられて該車体を懸架する車体懸架手段を備え、
    前記作動流体の給排を受けて前記車体懸架手段が車高増
    減方向に伸縮することによって車高を調整する車高調整
    装置である請求項2記載の車両用ブレーキ装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CZ308505B6 (cs) * 2019-06-18 2020-09-30 Karel Rous Krizová brzda a krizový brzdný systém vozidel pozemního provozu tuto brzdu obsahující

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CZ308505B6 (cs) * 2019-06-18 2020-09-30 Karel Rous Krizová brzda a krizový brzdný systém vozidel pozemního provozu tuto brzdu obsahující
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