JPH10155862A - フレキシブル浴槽 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 折り畳や持ち運び及び収納が可能であり、身
体障害者など通常の浴槽では入浴が困難な人でも簡単に
入浴することができるフレキシブル浴槽を提供する。 【解決手段】 織布に樹脂３をコーティングした非透水
性で、かつフレキシブルな素材からなる開孔を有する袋
状の浴槽本体５の下部に、排水量調整機能を備えた排水
孔１１を設けたフレキシブル浴槽。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、折り畳むことによ
って持ち運び及び収納が可能であるとともに、身体障害
者など通常の浴槽では入浴が困難な人でも簡単に入浴す
ることができるフレキシブル浴槽に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来からある通常の浴槽は、木材、タイ
ル貼り、ステンレス、ホーロー、ＦＲＰなどの素材から
なる箱状の浴槽であり、住宅の浴場内に固定または半固
定状態で据え置かれるものであった。また、それらの浴
槽に入浴する際には、洗い場と浴槽との仕切りを乗り越
えて入浴する必要があり、脚が不自由な老齢者や身体障
害者にとっては入浴すること自体が困難なものとなって
いた。

【０００３】浴槽を埋め込んで、洗い場の高さより低く
位置させることによって、入浴する際に乗り越えなけれ
ばならない仕切りの高さを低くするような工夫がなされ
ているものも見られるが、ほとんど脚の動かない人にと
っては根本的な解決とはいえず、結局、他の人に抱き上
げてもらって入浴するかもしくは、ホイストなどの大が
かりな装置を用いて身体をつり上げて移動させて浴槽内
に入り、また浴槽から出る際にも同様に身体をつり上げ
て出るという方法を採らざるを得なかった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記のような方法での
入浴は、入浴者を抱き上げることができるだけの人数の
他の人が必要となること、かなりの手間がかかってしま
うこと、また十分に注意しているつもりでも、落下して
負傷するという危険が避けられないことなどの問題があ
り、どうしても随時入浴可能という環境にはなりにくか
った。

【０００５】また、ホイストのような大がかりな装置を
取り付けるには、多大なコストがかかるだけでなく、広
いスペースを必要とし、使用できる場合が限られてくる
という問題があった。

【０００６】そこで、本発明では、入浴する際に高い仕
切りを乗り越えることなく入浴することができ、介添え
者が一人いれば落下の危険もなく容易に入浴でき、しか
も高価な装置や大きなスペースを必要せず、また、適度
な量の排水や、徐々に湯を入れ換えることによる湯温の
調節、湯汚れの防止等の機能を備えるとともに、断熱保
温性や肌触りにも優れた快適に入浴することができるフ
レキシブル浴槽の提供を目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するために請求項１では、織布に樹脂をコーティン
グした非透水性で、かつフレキシブルな素材からなる開
孔を有する袋状であり、折り畳み可能な浴槽本体の下部
に、排水量調整機能を備えた排水孔を設けたことを特徴
とするフレキシブル浴槽を提供するものであって、高い
仕切りのない状態に浴槽を変形させて入浴者を中に入
れ、その後浴槽内に給湯することができるので、脚の不
自由な老齢者や身体障害者であっても容易に入浴するこ
とが可能である。また、上から湯を足しながら排水孔よ
り徐々に排水することによって湯汚れを防止し、また上
から足す湯の温度を調節することによって浴槽内の湯温
を調節することができる。

【０００８】次に請求項２によると、排水孔の浴槽本体
外側にホースを接続し、該ホースの一部を浴槽の上部位
置から下部位置の間を上下動可能に配置するとともに、
所望の位置で一時的に固定する手段を有しており、バル
ブ等を使用した排水量の調節機能に比べて、排水孔に異
物が詰まったり、バルブの開閉動作が異物によって重く
なるといった問題が発生せず、徐々に排水するという機
能を快適に付与することができる。

【０００９】また、請求項３では、織布に樹脂をコーテ
ィングした非透水性かつフレキシブルな素材からなり折
り畳み可能な袋状の浴槽本体の内表面に、伸縮性を有す
る編布を積層した構成からなるフレキシブル浴槽を用い
ることによって、浴槽内には伸縮性を有する編布を積層
しているので、肌に触れる部分は柔らかく肌触りに優れ
ている。

【００１０】また、請求項４では独立気泡の発泡体シー
トを浴槽本体と編布のあいだに介在積層したフレキシブ
ル浴槽としており、浴槽の断熱保温性を高め湯温が下が
らないようにしている。そして、請求項５では前記発泡
体シートの厚みを１．５〜３ｍｍと限定しているので、
断熱保温性とフレキシブル性の両面で良好な浴槽とする
ことができる。請求項６においては、浴槽本体には開孔
から延びる切れ目を有しており、該切れ目には非透水性
のファスナーを設けており、ファスナーの開閉によって
容易に浴槽への出入りができる。

【００１１】

【発明の実施の形態】図１は本発明のフレキシブル浴槽
の使用形態を示す斜視図であり、図２はフレキシブル浴
槽の要部断面図である。

【００１２】本発明のフレキシブル浴槽１は、織布２に
樹脂３をコーティングした非透水性でかつフレキシブル
な素材からなり、人間が丁度立った状態で入れる程度の
等身大の高さよりやや短めで上部が開孔４した袋状の浴
槽本体５と、該浴槽本体５の内表面に積層した独立気泡
の発泡体シート６と、更に表面側に積層した伸縮性を有
する編布７からなっている。

【００１３】また、浴槽本体５の少なくとも一箇所に縦
方向の切れ目が入っており、やはり非透水性のファスナ
ー８が取り付けられている。更に、上端には複数のフッ
ク９が固定されており、湯を張った状態で壁などに予め
固定したハンガー１０などに引っかけることができるよ
うになっている。

【００１４】上端に設けるフック９は、図に示した形態
に限られるものではなく、種々の形態の金具を用いるこ
とができ、多数のフックを取り付けたものや、筒状の金
具を用いて棒状のハンガーに挿入する形態のものや、フ
レキシブル浴槽の端部を折り返して縫い付けた筒状のも
のでも構わない。

【００１５】そして、浴槽本体５の最下部には、排水孔
１１が設けてあり、更に排水孔１１にはホース１２が取
り付けられている。そのホース１２の他方の端部１３は
浴室の床にある排水孔１４に接続されており、浴槽本体
５の背面側において、浴槽本体５を引っかけたハンガー
１０に吊り下げたチェーン体１５の可動部材１６に、前
記ホース１２の中間部１２ａを取り付けている。そうす
ることによって、中間部１２ａはチェーン体１５に沿っ
て上下動させることができ、中間部１２ａの高さによっ
て浴槽本体５内の湯量や排水量を調節することができ
る。

【００１６】チェーン体１５は、例えばこの実施例を用
いているようなボール体が多数つながったボールチェー
ンであり、可動部材１６は図３に示すように前記ボール
チェーンを通す貫通孔１６ａと、通常はボール体にスト
ッパー１６ｂが当接することによって一定の位置に一時
的に固定されており、バネ１６ｃ付きのボタン１６ｄを
押すことによって、ストッパー１６ｂが外れて上下動可
能になり所望の位置に動かすことができるような部材で
ある。

【００１７】このような機構を利用することによって、
ホース１２の中間部１２ａを所望の位置に固定すること
ができるとともに、必要となれば簡単に位置を変えるこ
とができる。しかし、上下動させることができてかつ一
時的に所望の位置に固定できるような機能を持つ、機構
であれば上記の例に限定することなく、様々な機構が使
用可能である。

【００１８】また、湯量や排水量を調節する別の実施例
としては、図４に示すよう排水孔１１とホース１２のあ
いだに、開閉バルブのついたコック１７を介在させる方
法があり、開閉バルブの開け具合によって排水量を調節
することができる。ただ、浴槽本体５内のゴミが排水の
際に詰まりにくいという点や、給湯しながら簡単に湯量
を一定に保つことができるという点で、ホース１２の中
間部１２ａの位置を変えることによる排水方法の方が好
ましい形態と言える。また、浴槽本体５に排水孔１１を
設けることによって、その排水孔１１に気泡発生器を取
り付けて泡風呂にする等の付加機能を与えることもでき
る。

【００１９】浴槽本体５に用いられる織布２としては、
綿などの天然繊維、金属繊維、ガラス繊維、炭素繊維な
どの無機繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポ
リアクリロニトリル繊維、ポリビニルアルコール繊維、
ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、アラミド繊維
などの有機合成繊維などを織った織布が用いられる。

【００２０】そして、その織布２にコーティングする樹
脂３としては、ポリ塩化ビニル（ＰＶＣ）、クロロプレ
ンゴム（ＣＲ）塩素化ポリエチレン（ＣＰＥ）、エチレ
ン酢酸ビニル（ＥＶＡ）、ポリ塩化ビニリデン（ＰＶＤ
Ｆ）、ポリウレタン（ＰＵ）、クロロスルホン化ポリエ
チレン（ＣＳＭ）、ポリエステル（ＰＥＴ）、ポリメチ
ルメタクリレート（ＰＭＭＡ）、４フッ化エチレン（Ｐ
ＴＦＥ）、シリコン（ＳＩ）などが用いられ、通常、樹
脂をロールコーターを用いて厚みを調整したのち、ヒー
トラミネーターまたはドライラミネーターを用いるなど
の方法で、前記織布２にコーティングする。

【００２１】浴槽本体５の表面に積層する発泡体シート
６としては、クロロプレンゴム（ＣＲ）、天然ゴム（Ｎ
Ｒ）などのゴムを発泡させたものやポリ塩化ビニル（Ｐ
ＶＣ）、ポリエチレン（ＰＥ）、ポリプロピレン（Ｐ
Ｐ）、ポリスチレン（ＰＳ）、の樹脂を発泡させたもの
が用いられ、発泡倍率は体積比で５〜１０倍程度より好
ましくは７〜８倍程度が適当である。

【００２２】そして、発泡体シートの厚みは断熱保温性
と浴槽を折り畳む際のフレキシブル性を考慮して好適な
範囲を採択する必要がある。その範囲は、１．５〜３ｍ
ｍの範囲で用いることが好ましく、１．５ｍｍ未満であ
ると断熱保温性が不足し、３ｍｍを越えても断熱保温性
はあまり向上せず、逆にフレキシブル性を損なうことに
なるので好ましくない。

【００２３】浴槽本体５と発泡体シート６との接着は、
浴槽本体を樹脂系接着剤にて糊引きしたあと常温から６
０℃でドライラミネーターにより圧着する。浴槽本体５
と八方体シート６ともに通気性がないので、エアが溜ま
りやすく、エア溜まりが生じにくくするために加熱せず
に行うことが好ましい。また、発泡体シート６の更に表
面側に積層する編布７は、直接人の肌に触れる部分であ
ることから、伸縮性を有し、できるだけ肌触りのよい素
材であることが好ましく、ポリアミド繊維、ポリアクリ
ロニトリル繊維、ポリエステル繊維からなるジャージィ
と呼ばれる生地などの丸編布が好適に用いられる。

【００２４】このフレキシブル浴槽１の使用法は、図３
のように、入浴時にはまずファスナー８を開けて椅子１
１などの上に広げて人がその上に腰掛ける。そして上部
のフック９を壁から突出したハンガー１０などにかけ
て、ファスナー８を閉じる。そして適温の湯を適量注ぐ
ことによって、浴槽内に湯を張る。そうすることによっ
て人は、高い仕切りを乗り越えることなく浴槽内に入る
ことができる。

【００２５】また、浴槽から出るときは、排水孔１１か
ら湯を排水するか、ファスナー８を開くことによって排
水し、フック９を外して広げる。そうすることによって
人は、やはり高い仕切りを乗り越えることなく、浴槽か
ら出ることができる。

【００２６】そして、浴槽の内面には発泡シート６を積
層しているので長時間に渡って湯の温度を適温に維持で
きるとともに、肌に触れる部分には伸縮性を有する編布
７を設けているので湯を注ぐまでの間や湯を注いでから
も、冷たい思いをすることなく快適に入浴することがで
きる。

【００２７】図４に示すのは、他の形態に係わる斜視図
である。この形態では、人が横たわった状態で使用する
ことができるようになっており、浴槽本体５は高さが低
く縦に長い形状となっている。そして、上部の一端にの
み開孔４が開いており、そこから上部の中央に向かって
ファスナー８が付いているとともに上部の周囲にはフッ
ク９が取り付けられている。更に開孔４の開いた側には
枕１２が取り付けられている。浴槽本体５の素材や発泡
シート６、編布７、また排水孔１１およびホース１２等
からなる排水機能が設けられている点では前述の形態と
何ら変わるところはない。

【００２８】この形態の場合の使用法は、入浴時には、
浴槽本体５の上部にあるファスナー８を開けて床面に広
げる。そして人がその上に枕１９に頭を載せることがで
きる向きに横たわる。フック９を周囲に配置したハンガ
ー１０にかけて、ファスナー８を閉じる。そして開孔４
から湯を注ぐ。

【００２９】また浴槽から出るときには、排水孔１１か
ら排水するかもしくはファスナー８を開けて排水し、フ
ック９をハンガー１０から外す。そしてハンガー１０を
移動させて浴槽から出る。以上のように、本発明のフレ
キシブル浴槽を用いることによって、脚の不自由な老齢
者や身体障害者でも容易に入浴することができる。

【００３０】

【発明の効果】以上のように、本発明の請求項１では、
織布に樹脂をコーティングした非透水性で、かつフレキ
シブルな素材からなる開孔を有する袋状であり、折り畳
み可能な浴槽本体の下部に、排水量調整機能を備えた排
水孔を設けたことを特徴とするフレキシブル浴槽を提供
するものであって、高い仕切りのない状態に浴槽を変形
させて入浴者を中に入れ、その後浴槽内に給湯すること
ができるので、脚の不自由な老齢者や身体障害者であっ
ても容易に入浴することが可能である。また、上から湯
を足しながら排水孔より徐々に排水することによって湯
汚れを防止し、また上から足す湯の温度を調節すること
によって浴槽内の湯温を調節することができる。

【００３１】次に請求項２によると、排水孔の浴槽本体
外側にホースを接続し、該ホースの一部を浴槽の上部位
置から下部位置の間を上下動可能に配置するとともに、
所望の位置で一時的に固定する手段を有しており、バル
ブ等を使用した排水量の調節機能に比べて、排水孔に異
物が詰まったり、バルブの開閉動作が異物によって重く
なるといった問題が発生せず、徐々に排水するという機
能を快適に付与することができる。

【００３２】また、請求項３では、織布に樹脂をコーテ
ィングした非透水性かつフレキシブルな素材からなり折
り畳み可能な袋状の浴槽本体の内表面に、伸縮性を有す
る編布を積層した構成からなるフレキシブル浴槽を用い
ることによって、浴槽内には伸縮性を有する編布を積層
しているので、肌に触れる部分は柔らかく肌触りに優れ
ている。

【００３３】また、請求項４では独立気泡の発泡体シー
トを浴槽本体と編布のあいだに介在積層したフレキシブ
ル浴槽としており、浴槽の断熱保温性を高め湯温が下が
らないようにしている。

【００３４】そして、請求項５では前記発泡体シートの
厚みを１．５〜３ｍｍと限定しているので、断熱保温性
とフレキシブル性の両面で良好な浴槽とすることができ
る。請求項６においては、浴槽本体には開孔から延びる
切れ目を有しており、該切れ目には非透水性のファスナ
ーを設けており、ファスナーの開閉によって容易に浴槽
への出入りができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のフレキシブル浴槽の使用形態を示す斜
視図である。

【図２】本発明のフレキシブル浴槽の要部断面図であ
る。

【図３】チェーン体と可動部材の機能を示す断面図であ
る。

【図４】排水孔にコックが取り付けられたところの斜視
図である。

【図５】本発明のフレキシブル浴槽の使用方法を説明す
る斜視図である。

【図６】本発明のフレキシブル浴槽の別の使用形態を示
す斜視図である。

【符号の説明】

１ フレキシブル浴槽 ２ 織布 ３ 樹脂 ４ 開孔 ５ 浴槽本体 ６ 発泡体シート ７ 編布 ８ ファスナー ９ フック １０ ハンガー １１ 排水孔 １２ ホース １２ａ 中間部 １３ 端部 １４ 排水孔 １５ チェーン体 １６ 可動部材 １７ コック １８ 椅子 １９ 枕

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 織布に樹脂をコーティングした非透水性
   で、かつフレキシブルな素材からなる開孔を有する袋状
   であり、折り畳み可能な浴槽本体の下部に、排水量調整
   機能を備えた排水孔を設けたことを特徴とするフレキシ
   ブル浴槽。
2. 【請求項２】 排水孔の浴槽本体外側にホースを接続
   し、該ホースの一部を浴槽の上部位置から下部位置の間
   を上下動可能に配置するとともに、所望の位置で一時的
   に固定する手段を有する請求項１記載のフレキシブル浴
   槽。
3. 【請求項３】 浴槽本体の内表面に、伸縮性を有する編
   布を積層した請求項１乃至２に記載のフレキシブル浴
   槽。
4. 【請求項４】 浴槽本体と編布の間に独立気泡の発泡体
   シートを介在積層した請求項１乃至３に記載のフレキシ
   ブル浴槽。
5. 【請求項５】 発泡体シートの厚みが１．５〜３ｍｍの
   範囲である請求項４記載のフレキシブル浴槽。
6. 【請求項６】 袋状の浴槽本体には開孔から延びる少な
   くとも一箇所の切れ目を有しており、該切れ目には非透
   水性のファスナーを設けた請求項１乃至５に記載のフレ
   キシブル浴槽。