JPH10155490A - 新規セマフォリン遺伝子(ii) - Google Patents

新規セマフォリン遺伝子(ii)

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JPH10155490A
JPH10155490A JP8332900A JP33290096A JPH10155490A JP H10155490 A JPH10155490 A JP H10155490A JP 8332900 A JP8332900 A JP 8332900A JP 33290096 A JP33290096 A JP 33290096A JP H10155490 A JPH10155490 A JP H10155490A
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JP
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dna
semaphorin
polypeptide
leu
present
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JP8332900A
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English (en)
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Shinobu Inagaki
忍 稲垣
Tatsuo Furuyama
達雄 古山
Atsushi Kosugi
厚 小杉
Masaya Toyama
正弥 遠山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Pharmaceuticals Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Pharmaceuticals Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】神経疾患や免疫疾患に係わる診断、治療又は研
究のために有用な、新規なセマフォリン遺伝子、該遺伝
子からコードされるポリペプチド、該ポリペプチドの発
現ベクター、該発現ベクターを導入した形質転換体、該
形質転換体を用いる組換えタンパク質の生産方法、前記
セマフォリン遺伝子に相補的なDNA又はRNA、前記
ポリペプチドに結合する抗体又はその断片、並びに前記
遺伝子を導入されて得られたトランスジェニック動物を
提供すること。 【解決手段】配列表の配列番号:1に記載のポリペプチ
ドをコードするDNA、前記DNAによりコードされる
ポリペプチド、前記DNAを含む発現ベクター、前記発
現ベクターが導入された形質転換体、前記形質転換体を
用いる組換えタンパク質の生産方法、前記DNAに相補
的なDNAもしくはRNA、前記ポリペプチドに特異的
に結合する抗体又はその断片及び前記DNAを生殖細胞
に導入させて得られたトランスジェニック動物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セマフォリンファ
ミリーに属するセマフォリン遺伝子に関する。さらに詳
しくは、新規なセマフォリン遺伝子、該遺伝子からコー
ドされるポリペプチド、該ポリペプチドの発現ベクタ
ー、該発現ベクターを導入した形質転換体、該形質転換
体を用いる組換えタンパク質の生産方法、前記セマフォ
リン遺伝子に相補的なDNA又はRNA、前記ポリペプ
チドに結合する抗体又はその断片、並びに前記遺伝子を
導入することによって得られたトランスジェニック動物
に関する。
【0002】
【従来の技術】1992年、バッタの神経のガイダンスに関
係する遺伝子の一つとして、ファシクリンIV(後の G-s
ema I)がクローニングされた。翌年、この遺伝子の高等
生物でのホモログを探索する過程で、類似のドメインを
コードし、昆虫からウイルス、線虫、ヒトにわたって広
く分布する遺伝子ファミリーの存在が明らかになり、一
群の遺伝子は「セマフォリン遺伝子」と名付けられた。
現在では、10以上のセマフォリンファミリーに属する遺
伝子が報告されている(Cell, 81, 471-474(1995))。
【0003】前記セマフォリン遺伝子群は、それがコー
ドするアミノ酸配列において、セマフォリンドメインと
呼ばれる約 500個のアミノ酸からなる特徴的な構造を有
するのが特徴である(Neuron, 14, 941-948(1995) 、Ce
ll, 75, 1389-1399(1993))。セマフォリン相互間で、前
記アミノ酸配列上のホモロジーは 80%-20%であり、必ず
しも高くはないが、13個の保存された位置に存在するシ
ステインを代表とする一部のアミノ酸は、非常によく保
存されている。セマフォリンドメイン以外の部分は、セ
マフォリン相互で変化に富み、分泌型、膜結合型のいず
れもが存在し、さらにIgドメインを有するもの、トロン
ボスポンジンドメインを有するもの、カルボキシ末端に
塩基性アミノ酸のクラスタを有するものなど、その構造
は多様である。
【0004】前記セマフォリンの中で機能が確認されて
いるものは、バッタのファシクリンIV、ショウジョウバ
エのセマフォリンI,II、ニワトリのコラプシン、及びほ
乳類におけるコラプシンホモローグであるセマフォリン
III などごく一部であるが、これらのセマフォリンは全
て、個体の発生段階、すなわち胚又は胎児の段階におけ
る神経ネットワーク形成過程で、軸索伸長やシナプス形
成を抑制的に制御することが知られている(Neuron, 1
4, 941-948(1995) 、Neuron, 14, 949-959(1995) 、Cel
l, 81, 631-639(1995) 、Cell, 75, 1389-1399(1993)
、Cell, 75, 217-227(1993) 、Neuron, 9, 831-845(19
92)) 。
【0005】このようにセマフォリン遺伝子は、個体の
発生段階において、その機能を発現していることが知ら
れているが、成体においても何らかの機能を発現してい
るのか否かは、未だ明らかにされていない。しかし、い
くつかのセマフォリン遺伝子においては、神経ネットワ
ークの形成が終了している成体においても発現している
ことが知られており、該成体においても何らかの機能を
有していることが示唆されている。例えば、成体の中枢
神経系には再生能力のないことが広く知られているが、
前述の如く、神経の伸長に抑制的に働くセマフォリンの
中に、成体の中枢神経の再生阻止因子として機能してい
るものが存在していることも考えられる(Nature, 378,
439-440 (1995)) 。また、最近報告されたセマフォリン
III のノックアウトマウスの研究から、ある種のセマフ
ォリンが心筋の成長抑制に働いているという可能性が示
唆されている(Nature, 383, 525-528 (1996))。更に、
免疫系においても、ある種のセマフォリンがBリンパ球
の凝集及び生存維持に関与していることが示唆されてい
る(Proc.Natl.Acad.Sci. USA, 93, 11780-11785 (199
6))。
【0006】このように、神経系のみならず非神経系に
おいても、セマフォリンは重要な機能を担っていること
が明らかになりつつあり、該セマフォリンの研究にはま
すます大きな関心が集められている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、神経
疾患、さらには免疫疾患に係わる診断、治療又は研究の
ために有用な、新規なセマフォリン遺伝子、該遺伝子か
らコードされるポリペプチド、該ポリペプチドの発現ベ
クター、該発現ベクターを導入した形質転換体、該形質
転換体を用いる組換えタンパク質の生産方法、前記セマ
フォリン遺伝子に相補的なDNA又はRNA、前記ポリ
ペプチドに結合する抗体又はその断片、並びに前記遺伝
子を導入されて得られたトランスジェニック動物を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記の如く、セマフォリ
ンの研究は、ますます大きな関心が寄せられているが、
20近く存在すると予想されている全てのセマフォリン
遺伝子の構造が明らかにされたわけではない。本発明者
らは、鋭意探索した結果、セマフォリンファミリーに属
する新規なセマフォリン遺伝子のクローニングに成功し
た。該セマフォリンは、神経の伸長に対して抑制的に作
用するものであり、さらに以下に示すように他の公知の
セマフォリンには見られない特徴を有することを見出し
た。
【0009】すなわち本発明のセマフォリン遺伝子は、
胎生期においては脳及び胸腺で強く発現し、一方成体に
おいては免疫系の組織で、とりわけ胸腺で強く発現し、
脳では殆ど発現していないという、公知のセマフォリン
には見られない特徴を有することを見出した。また本発
明のセマフォリンは、その発現タンパクの分子量が脳と
胸腺で異なるという特徴を有することも見出した。さら
に本発明のセマフォリンは、胸腺細胞の細胞表面に発現
しているという特徴を有することも見出した。
【0010】以上の知見より、本発明のセマフォリン
は、神経系のみならず免疫系で、とりわけ胸腺において
機能していることが考えられる。なお、本発明のセマフ
ォリンと同様に免疫系で機能しているセマフォリンとし
ては、唯一、CD100が知られており(Proc.Natl.Ac
ad.Sci.,USA, 93, 11780-11785 (1996))、このCD10
0は、Bリンパ球の凝集及び生存維持に関与しているこ
とが示唆されている。しかし、本発明のセマフォリンと
CD100との成体でのノーザン解析の結果を比較する
と、例えば本発明のセマフォリンの胸腺での発現レベル
は脾臓のそれよりも格段に高いのに対し、CD100で
は胸腺よりもむしろ脾臓において発現レベルが高くなっ
ている、あるいは脳における両者の発現レベルが異なっ
ている、等の違いが見られる。また前記文献においてC
D100はBリンパ球の凝集及び生存維持に関与してい
ることが示唆されているが、一方、本発明の新規セマフ
ォリンは後述の如く、胸腺細胞の分化・成熟に関与して
いることが示唆されていることから、機能面でも異なっ
ているものと考えられる。従って、本発明のセマフォリ
ンとCD100とは同じ免疫系に関与するセマフォリン
であっても、異なる分子である。本発明は、以上のよう
な知見に基づき完成するに至ったものである。
【0011】即ち、本発明の要旨は、(1) 配列表の
配列番号:1に記載のアミノ酸配列、又はその一部であ
って、かつ神経伸長抑制活性を有するポリペプチドをコ
ードするDNA、(2) 配列表の配列番号:2に記載
の塩基配列、又はその一部であって、かつ神経伸長抑制
活性を有するポリペプチドをコードするDNA、(3)
配列表の配列番号:1に記載のアミノ酸配列におい
て、1又は2以上のアミノ酸残基の欠失、付加、挿入又
は置換の少なくとも1つを生じさせ、かつ神経伸長抑制
活性を有するポリペプチドをコードするDNA、(4)
配列表の配列番号:2に記載の塩基配列において、1
又は2以上の塩基の欠失、付加、挿入又は置換の少なく
とも1つを生じさせ、かつ、神経伸長抑制活性を有する
ポリペプチドをコードするDNA、(5) ヒトcDN
Aライブラリー又はヒトゲノムライブラリーからクロー
ニングされるDNAであって、配列表の配列番号:2に
記載の塩基配列を有するDNAの少なくとも一部、又は
該DNAの相補鎖の少なくとも一部からなるDNAとス
トリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA、
(6) 配列表の配列番号:1に記載のアミノ酸配列と
87%以上の同一性を有し、かつ神経伸長抑制活性を有
するポリペプチドをコードするDNA、(7) 前記
(1)〜(6)いずれか記載のDNAを含有するDN
A、(8) 前記(1)〜(7)いずれか記載のDNA
によりコードされるポリペプチド、(9) 前記(8)
記載のポリペプチドの全部又は一部を含むポリペプチ
ド、(10) 前記(1)〜(7)いずれか記載のDN
Aを含む発現ベクター、(11) 前記(10)記載の
発現ベクターを導入することにより得られる形質転換
体、(12) 前記(11)記載の形質転換体を、前記
(10)記載の発現ベクターの発現可能な条件下で培養
することを特徴とする、神経伸長抑制活性を有する組換
えタンパク質の生産方法、(13) 前記(1)〜
(7)いずれか記載のDNAと相補的な配列を有する、
8塩基以上からなるDNAもしくはRNA又はそれらの
化学的修飾体、(14) 細胞内に導入されて前記
(8)又は(9)記載のポリペプチドの発現を抑制する
前記(13)記載のDNAもしくはRNA又はそれらの
化学的修飾体、(15) 前記(8)又は(9)記載の
ポリペプチドに特異的に結合する抗体又はその断片、
(16) 前記(1)〜(7)いずれか記載のDNAを
人為的に生殖細胞に導入させて得られたトランスジェニ
ック動物、(17) 動物がマウスである、前記(1
6)記載のトランスジェニック動物、に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明においてDNAとは、新規
セマフォリンに係わる神経伸長抑制活性を有するポリペ
プチドをコードするDNAであれば特に限定されない
が、例えば、配列表の配列番号:1に記載のアミノ酸配
列もしくはその一部をコードするDNA、又は配列表の
配列番号:2に記載の塩基配列もしくはその一部からな
るDNA等のマウス新規セマフォリン遺伝子が挙げられ
る。さらに、配列番号:1に記載のアミノ酸配列におい
て、1又は2以上のアミノ酸残基の欠失、付加、挿入又
は置換の少なくとも1つの変異を生じさせたポリペプチ
ドをコードするDNAや、配列番号:2に記載の塩基配
列において、1又は2以上の塩基の欠失、付加、挿入又
は置換の少なくとも1つの変異を生じさせたDNAも、
神経伸長抑制活性を有するポリペプチドをコードする限
り、本発明のDNAに含まれる。
【0013】前記アミノ酸配列もしくは塩基配列に変異
を導入することは、例えば部位特異的突然変異誘発(Me
thods in Enzymology, 100, 448- (1983))やPCR法
(Molecular Cloning 2nd Edt. 15 章,Cold Harbor Lab
oratory Press (1989)、"PCR APractical Approach" IR
L Press 200-210(1991)) 等により、当業者ならば容易
に行うことができる。
【0014】ここで、神経伸長抑制活性を有するとは、
神経ネットワーク形成過程において、神経の成長円錐に
対する退縮活性を有すること、あるいは神経の伸長阻害
活性を有することをいう。これらの活性は、具体的には
以下の方法により測定することができる。すなわち、神
経の成長円錐に対する退縮活性は、M.Igarashi et al S
cience vol.259 pp77-79(1993)を参考に行うことがで
き、また、神経の伸長阻害活性は、J.A.Davies et.al.
Neuron vol.2 pp11-20(1990)やM.Bastmeyer J.Neurosc
i.vol.11 pp626-640(1991) などを参考に測定すること
ができる。
【0015】簡単に述べると、前者の活性測定は、ラミ
ニンやコラーゲン、ポリリジン、ポリオルニチン等の神
経突起の伸長と成長円錐の形成を促進する物質をコーテ
ィングした培養容器の中で通常の条件で培養した神経細
胞 (Bankerらの編纂によるCulturing Nerve Cells MIT
Press(1991) など)に対し、本発明のDNA由来の発現
産物を添加することによって行う。添加後、成長円錐の
退縮が起こるのに充分な時間(通常添加後30分から1
時間)が経過した時点で、この神経細胞を1%グルタル
アルデヒドなどで固定し、顕微鏡下で退縮を起こした成
長円錐の数を計数する。通常、試料の平均化は試料内に
含まれる総蛋白量によって行う。一方、後者の活性を測
定するには、本発明のDNA由来の発現産物をマイクロ
ポアフィルターやガラスやプラスティック製の培養容器
の表面の一部分にコーティングし、通常の条件で培養し
た神経細胞から伸びる突起が、このコーティング面との
境界に達しても、停止したり、回避したりしてその面内
に侵入できないこと、コーティング面上で伸長速度が遅
くなることなどを指標とする。コラーゲンゲル中で本発
明のDNA発現細胞の塊と神経細胞とを同時に培養した
場合には、伸長する神経突起が本発明のDNA発現細胞
の塊の中に侵入できないことも指標とできる(Cell,81,
621-629 (1995)) 。
【0016】また、本発明のDNAは、ヒトcDNAラ
イブラリー又はヒトゲノムライブラリーからクローニン
グされるDNAであって、配列番号:2に記載の塩基配
列を有するDNAの少なくとも一部又は該DNAの相補
鎖の少なくとも一部からなるDNAと、ストリンジェン
トな条件下でハイブリダイズするDNAも含有する。ク
ローニングの方法は、例えばMolecular Cloning 2nd E
d.(Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)) 、
あるいは McPhersonらの編纂による PCR(1991)IRL Pres
s等に記載されている。ライブラリーとしては、胸腺、
脾臓などの組織由来のcDNAライブラリー、ヒトゲノ
ムライブラリーを用いることが好ましい。前記クローニ
ングされるDNAは、全長のDNA、約100塩基以上
のDNA断片のいずれでも構わない。好ましい態様にお
いては、これらは、5' 転写調節領域、3' 転写調節領
域、エキソンのノンコーディング配列、イントロン等の
ゲノムDNAが挙げられる。これらのアミノ酸をコード
しない配列も、後述のアンチセンスオリゴヌクレオチド
を用いる薬剤の開発等に非常に有用である。
【0017】また、本発明のDNAは、配列表の配列番
号:1に記載のアミノ酸配列と87%以上の同一性を有
し、かつ神経伸長抑制活性を有するポリペプチドをコー
ドするDNAも包含する。さらに本発明のDNAは、前
記DNAを含有するDNAも含むものである。
【0018】本発明のDNAは、既知のセマフォリン遺
伝子間でホモロジーを有する塩基配列をPCRにより増
幅し、該増幅断片をプローブにして成体マウス脳のcD
NAライブラリー等をスクリーニングすることによりク
ローニングすることができる。これらクローニングの技
法は、例えばMolecular Cloning 2nd Ed.(Cold Spring
Harbor Laboratory Press (1989)) 等の基本書を参照す
ることにより行うことができる。PCRは、例えば McP
hersonらの編纂による PCR(1991) IRL Pressを参考にし
て行うことができる。クローニングされたDNAの塩基
配列の決定は、市販のシーケンスキット等を用いる通常
の方法により行うことができる。なお本発明の新規セマ
フォリン遺伝子の塩基配列の公開に伴い、当業者なら
ば、該遺伝子の一部をプローブに用いその全長を容易に
クローニングすることができる。また、本発明の新規セ
マフォリン遺伝子と既に報告されているマウスのセマフ
ォリン遺伝子とを比較すると、セマフォリンドメイン内
において、セマフォリンF(FEBS. Lett. 370, 269-272
(1995)) とアミノ酸レベルで51%、セマフォリンCと
48%、セマフォリンBと44%、そしてセマフォリン
A、セマフォリンD、セマフォリンE(Neuron, 14, 94
1-948(1995))と40〜43%の一致を示す。CD100
とは、アミノ酸レベルで約85%の同一性を示す。
【0019】本発明のポリペプチドとは、本発明のDN
Aによりコードされるポリペプチド、又は該ポリペプチ
ドの全部又は一部を含むポリペプチドである。具体的に
は、配列番号:2記載の第61位〜第2643位の塩基
配列を有する最長のオープンリーディングフレームから
コードされる配列番号:1記載のアミノ酸配列を有する
マウス新規セマフォリンが挙げられる。該セマフォリン
はセマフォリンドメインを有するが、これは配列番号:
1の第42位から第553位までのアミノ酸配列に相当
する。また、本発明の新規セマフォリンは、配列番号:
1のアミノ酸配列の第565位〜629位にイムノグロ
ブリン様ドメインを有しており、さらに膜貫通領域を有
しているものと推測される。従って、セマフォリンファ
ミリーの中でも膜結合型のクラスIVのセマフォリンサブ
ファミリーに属するものと予想される。
【0020】本発明に用いられる発現ベクターは、例え
ば、pET、pCDM8等の公知の発現ベクターが挙げ
られるが、本発明のDNAが挿入でき発現可能なベクタ
ーであれば特に限定されない。
【0021】本発明の形質転換体とは、前記発現ベクタ
ーを所望の宿主細胞に導入することにより得られる。宿
主細胞としては、原核生物細胞または真核生物細胞のい
ずれでもよく、用いる発現ベクターに応じて選ばれる。
発現ベクターを導入する方法としては、例えば、リン酸
カルシウム法、DEAEデキストラン法、電気穿孔法(F.M.
Ausubel らの編纂によるCurrent Protocols inMolecula
r Biology, John Wiley & Sons (1987))等の公知の方
法を用いればよい。
【0022】本発明の組換えタンパク質は、前記形質転
換体を、前記発現ベクターの発現可能な条件下で培養す
ることにより得られる神経伸長抑制活性を有するタンパ
ク質である。本発明のポリペプチドであるセマフォリン
は、その構造上、配列番号:1のアミノ酸配列の第73
4位〜755位に疎水性アミノ酸領域を有することか
ら、膜結合型のタンパク質であると推測されるため、形
質転換された細胞の細胞膜画分にセマフォリンが局在し
ていることが示唆される。従って、該細胞膜画分をその
まま用いることにより、前記のように、該セマフォリン
の活性測定を容易に行うことができる。なお、該細胞膜
画分は、本発明のセマフォリン発現細胞をホモゲナイズ
した後、遠心によって分離、精製することにより容易に
調製することができる(Neuron 2, 31-37(1990))。
【0023】また、生産された組換えタンパク質は、通
常のカラムクロマトグラフィー又は後述の本発明の抗体
を用いたアフィニティー精製等の方法により容易に精製
することができる。
【0024】本発明のDNAと相補的な配列を有する、
8塩基以上からなるDNAもしくはRNAとは、アンチ
センスオリゴヌクレオチド、もしくはアンチセンスRN
A又はアンチセンスDNAなどと呼ばれるものを指し
(以下、これらをアンチセンスヌクレオチドと総称す
る)、合成機を用いて人工的に合成したり、通常と逆の
向き(すなわちアンチセンスの向き)に遺伝子を発現さ
せることなどによって得ることができる。これらアンチ
センスヌクレオチドは、in situ ハイブリダイゼーショ
ン等の研究用試薬として利用できる。
【0025】前記アンチセンスヌクレオチドの化学的修
飾体とは、アンチセンスヌクレオチドの細胞内への移行
性または細胞内での安定性を高めることができる化学的
修飾体を表し、例えば、ホスホロチオエート、ホスホロ
ジチオエート、アルキルホスホトリエステル、アルキル
ホスホナート、アルキルホスホアミデート等の誘導体が
挙げられ、公知の文献に従って、調製することができる
("Antisense RNA andDNA" WILEY-LISS刊 1992 P.1-5
0、J.Med.Chem. 36, 1923-1937(1993))。
【0026】前記アンチセンスヌクレオチド又はそれら
の化学的修飾体は、細胞内に導入されて本発明のポリペ
プチドの発現を抑制することが可能である。通常の遺伝
子の転写によって生産されるmRNAはセンス鎖であるが、
アンチセンスヌクレオチド又はそれらの化学的修飾体
は、細胞内でセンス鎖mRNAに結合し、該mRNAからの翻訳
を抑制することにより、本発明のポリペプチドであるセ
マフォリンの産生を抑制することができる。このような
作用を有することにより、アンチセンスヌクレオチド又
はそれらの化学的修飾体は、例えば後述の如く中枢神経
の再生促進剤となり得る。作製したアンチセンスヌクレ
オチド又はそれらの化学的修飾体が、目的の抑制効果を
有しているか否かは、例えば、以下の二つの方法によ
り、容易に見出すことができる。一つは、本発明の新規
セマフォリンを発現する細胞に、細胞外からアンチセン
スヌクレオチド又はその化学的修飾体そのものを直接導
入した後、該セマフォリンの発現量の変化を指標にする
方法であり、もう一つは、該アンチセンスRNAを転写
によって生成することが可能な遺伝子を、前記セマフォ
リン発現細胞に導入した後、該セマフォリンの発現量の
変化を指標にする方法である。
【0027】前記の発現抑制効果を有するアンチセンス
ヌクレオチドとしては、好ましくは転写開始部位、翻訳
開始部位、5’非翻訳領域、エキソンとイントロンとの
境界領域もしくは 5'CAP領域に相補的な配列であること
が望ましい。
【0028】本発明の抗体は、本発明のポリペプチドに
特異的に結合する抗体であればポリクローナル抗体又は
モノクローナル抗体のいずれでも構わない。例えばカレ
ントプロトコルズ イン イムノロジー2.4.1-2.6.6 頁
(1992刊、ジェー・イー・コリガン編集)に記載された
方法に従って、本発明のポリペプチドの全部又は一部を
用いてウサギやマウス等を免疫することにより、容易に
作製され得る。これらの抗体を精製後、ペプチダーゼで
分解することにより得られる抗体の断片も本発明の抗体
に含まれる。該抗体の用途としては、アフィニティーク
ロマトグラフィー、cDNAライブラリーのスクリーニ
ング、医薬・診断薬・実験用試薬等が挙げられる。
【0029】本発明のトランスジェニック動物は、本発
明のDNAを人為的に生殖細胞に導入させることにより
作製する。本発明のトランスジェニック動物には、本発
明のDNAを発現する動物ばかりではなく、本発明のD
NAが破壊され、その機能が欠損したいわゆるノックア
ウト動物も含まれる。DNAの破壊は、公知の方法によ
り行うことができる(相澤慎一著 ジーンターゲッティ
ング 1995年 羊土社)。用いられる動物としては、ヒ
ト以外の、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ等の実
験動物及びウシ、ブタ等の家畜等が挙げられるが、遺伝
子工学、細胞工学的な技術開発が目覚ましいマウスが好
適に用いられる。
【0030】トランスジェニックマウスを例にとって、
トランスジェニック動物の作製方法を簡単に述べる。第
1の方法は、マウスの受精卵の前核中にDNAをマイク
ロインジェクションする方法、第2の方法は、8細胞期
胚に組換えレトロウイルスを感染させることにより、D
NAを導入する方法、第3の方法は、全能性を有する胚
性幹細胞(ES細胞)に、エレクトロポレーション法等
によりDNAを導入し、これを他の胞胚に注入して、キ
メラを作製する方法が知られている(ビー=ホーガンら
の編纂によるマニピュレーション オブ マウスエンブ
リオ 1986年コールドスプリングハーバーラボラトリ
ー、相澤慎一著 ジーンターゲッティング1995年 羊土
社)。
【0031】前記方法により得られたトランスジェニッ
ク動物は、医薬品開発のためのモデル動物として、ある
いは医薬品のスクリーニング用の動物として非常に有用
である。
【0032】次に、本発明の新規セマフォリンの有用性
につき説明する。 1)当該研究領域における試薬としての有用性 前記のように、本発明のセマフォリンは、神経の伸長に
対し抑制的に作用するものである一方、免疫系で、とり
わけ胸腺において機能していることが考えられる。この
ような神経系以外で機能を有するという新しいタイプの
セマフォリンに関し、その遺伝子の発現、タンパク質の
分布や機能などを調べることは、当該領域の研究にとっ
て非常に重要である。本発明は、かかる目的のために利
用可能なDNA、ポリペプチド、抗体、組換えタンパク
質、トランスジェニック動物等を提供することができ
る。
【0033】2)医薬・診断薬としての有用性 本発明のポリペプチドの一つの態様は、神経の伸長に対
して抑制的に作用するものである。従って、末梢神経の
伸長を抑制することにより、アトピー性皮膚炎などの免
疫疾患、あるいは疼痛等の治療薬などになることが考え
られる。
【0034】また、本発明のポリペプチドの別の態様
は、胸腺において機能を有するものである。本発明のセ
マフォリンは胸腺の皮質部分に、中でも特に外皮質部分
に高発現していることがin situ ハイブリダイゼーショ
ン実験により示される。この外皮質部分は、未分化な胸
腺細胞の分化・成熟が行われている部位である。従って
該部位で高発現している本発明のセマフォリンは、胸腺
細胞の分化・成熟に関与していることが考えられる。さ
らに、前記胸腺細胞は、成熟の進行に伴って外皮質から
深皮質を通って髄質へと移動していくことが知られてい
るが、神経系において、セマフォリンが「軸索のガイダ
ンス」という細胞の移動に関与していることを考慮する
と、本発明のセマフォリンが、未成熟な胸腺細胞の成熟
に伴う移動に関与していることが考えられる。以上のよ
うに本発明のセマフォリンは胸腺細胞の分化に関与して
いることが示唆されるため、全身性エリテマトーデス、
慢性関節リウマチなどの自己免疫疾患等の治療及び診断
に有用であることが考えられる。すなわち、本発明のセ
マフォリンの発現異常が自己免疫疾患の原因となってい
ることも考えられ、その場合は該セマフォリンそのも
の、あるいはその中和抗体、アンチセンスヌクレオチド
又はその化学的修飾体、あるいはペプチド等が、自己免
疫疾患の治療薬あるいは診断薬となり得る。
【0035】アンチセンスヌクレオチド又はその化学的
修飾体を治療薬として用いる場合、これらのアンチセン
スヌクレオチド等の好ましい長さとしては、塩基配列の
特異性の点から8塩基以上、さらに好ましくは12塩基
以上であり、合成の容易さの点から200塩基以下、さ
らに好ましくは25塩基以下が望ましい。一方、アンチ
センスRNAを細胞内で生産する方法において、生産さ
れるアンチセンスRNAの好ましい長さとしては、塩基
配列の特異性、結合力の強さの点から100塩基以上、
さらに好ましくは300塩基以上、特に好ましくは50
0塩基以上が望ましい。
【0036】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明はこれらの実施例等によりなんら限定
されるものではない。
【0037】実施例1新規セマフォリン遺伝子のクローニング 1)セマフォリンドメインをコードするcDNA断片の
増幅 ICRマウスの14日胚よりファストトラック(インビ
トロジェン社製)を用いてmRNAを単離し、続いてM
LV逆転写酵素及びランダムヘキサマープライマーを用
いて1本鎖cDNAを合成した。次に、既知のセマフォ
リン遺伝子であるコラプシンとG−SemaIとの間で
ホモロジーを有する部分( Cell, 75, 217-227 (1993)
)を増幅する目的で、以下の2本のDNAプライマー
(5'-TACGACGTN(A/C/T)TNTT(C/T)AT(A/C/T)GG-3'、5'-T
CCCAIGC(A/G)CA(A/G)TAIGG(A/G)TC-3') を合成し、前記
一本鎖cDNAを鋳型にして FEBS.Lett.370, 269-272
(1995)に記載の条件でPCR反応を行った。得られたP
CR産物を 1.5% アガロースゲル電気泳動に供すること
により、予想されたサイズである約300pb の断片部分を
分離・精製し、この断片をpCRscript SK(+) (ストラタ
ジーン社製)に挿入した。この約300bp の断片を、以下
のcDNAライブラリースクリーニング用のプローブと
した。
【0038】2)cDNAクローンの単離 前記1)で得られた約300bp のcDNA断片をランダム
プライミング(ファルマシア社製)を用いて32Pでラベ
ルしたものをプローブに用い、以下のようにして成体マ
ウス脳cDNAライブラリー(ストラタジーン社製)を
スクリーニングした。すなわち該cDNAライブラリー
のファージDNAをナイロンフィルター(ハイボンド−
N、アマシャム社製)に写し、DNAの変性、中和を行
った後固定し、これと前記1)のプローブとのハイブリ
ダイゼーション反応を行うことによりスクリーニングを
行った。ハイブリダイーションは、ハイブリダイゼーシ
ョンバッファー(5 ×SSPE (0.9M NaCl,50mM NaH2PO4(p
H7.7), 5mM EDTA)、5 ×デンハルト溶液、0.5% SDS、20
μg/ml変性サケ精子DNA)中、42℃にて行った。
【0039】3)DNAシーケンシング 前記2)で得られた最長のcDNAクローンに対し、タ
ック・ダイ・プライマー・サイクルシークエンスキッ
ト、あるいはタック・ダイ・ターミネーター・サイクル
シークエンスキットとABI373A DNAシークエ
ンサー(アプライドバイオシステム社製)を用い、ジデ
オキシチェーンターミネーション法による塩基配列の決
定を行った。最終的な塩基配列は、両鎖についてシーケ
ンシングを行うことにより決定した。決定したcDNA
の塩基配列を配列番号:2に示す。また、最長のオープ
ンリーディングフレームから推定されるアミノ酸配列
を、配列番号:1に示す。この遺伝子の配列を、既知の
データベース上の配列と比較した結果、この遺伝子はマ
ウス由来の新規遺伝子であることが判明した。更に、配
列番号:1のアミノ酸配列の第42位〜第553位がい
わゆるセマフォリンドメイン配列と相同性を有してお
り、またセマフォリン遺伝子間で良く保存されている1
3個のシステインが保存されていたことから、セマフォ
リンファミリーに属する新規なセマフォリンであること
が確認された。なお、本発明の新規セマフォリンは、配
列番号:1のアミノ酸配列の第565位〜629位にイ
ムノグロブリン様ドメインを有しており、また第734
位〜第755位に疎水度の高い領域があり、膜貫通領域
であると推測される。従って、セマフォリンファミリー
の中でも膜結合型セマフォリンサブファミリーに属する
ものと予想される。
【0040】実施例2In situ ハイブリダイゼーションによる新規セマフォリ
ンmRNAの胎児での発現分布の解析 ddY 妊娠マウスを SLCより購入した。vaginal plug確認
日を胎生 0.5日として胎生14.5日のマウス胚をドライア
イスパウダーで凍結させた後、クリオスタットを用いて
−15℃下、厚さ15μm の凍結切片を作製し、FEBS.Let
t.,370,269-272(1995)に記載の方法にて in situハイブ
リダイゼーションを行った。ハイブリダイゼーションに
用いたアンチセンス及びセンスRNAプローブは、実施
例1−1)にてpCRscriptSK(+) にライゲートした約30
0bp のPCR 断片を、各々T3及びT7 RNAポリメラーゼを用
いて35S-UTP でラベルすることにより作製した。アンチ
センスRNAプローブを用いた場合、本発明のセマフォ
リン遺伝子は神経系組織のいたるところに発現してお
り、特に皮質板(cortical plate) 、後根神経節(DRG)
で強い発現が見られた。驚いたことに、神経系以外の組
織では胸腺で非常に強い発現が見られた。また発現レベ
ルは劣るものの、肺及び腎臓でも発現が見られた。一
方、肝臓ではバックグラウンドレベルの発現しか認めら
れなかった。なお、センスRNAプローブを用いた対照
では、明確な発現は認められなかった(図1)。また成
体の胸腺を用いて同様の in situハイブリダイゼーショ
ン実験を行った結果、本発明のセマフォリンは胸腺の皮
質部分に、中でも特に外皮質部分に高発現していること
が明らかとなった。この外皮質部分は、未分化な胸腺細
胞の分化・成熟が行われている部位である。従って該部
位で高発現している本発明のセマフォリンは、胸腺細胞
の分化・成熟に関与していることが考えられる。
【0041】実施例3RNase プロテクションアッセイによる新規セマフォリン
mRNAの成体での発現分布の解析 Anal.Biochem. 162,156-159 (1987)に記載のグアニジン
イソチオシアネート−フェノール−クロロホルム抽出法
により、種々の細胞株及び種々のマウス臓器から全RN
Aを調製した。その際、血液の豊富な臓器(肝臓、肺、
腎臓、脳)は、血球細胞の混入を最小限に抑えるために
左心室から右心房へ20mlのPBS を灌流した後に解剖し
た。RNAは、灌流後臓器の色が白っぽく変化した後、
抽出を行った。各RNAサンプルを1%アガロースゲルに
て電気泳動し、臭化エチジウムで染色後、UV照射下、
18S rRNA,28S rRNA のバンドを検出し、目視にてRNA
が分解していないことを確認した。RNase プロテクショ
ンアッセイは、J.Immunol., 153, 4478-4487 (1994) に
記載の方法に若干の変更を加えて行った。簡単に述べる
と、まず配列番号:2の本発明のセマフォリン遺伝子の
第1位〜第260位に相当するcDNA断片を pBluesc
ript SK にサブクローニングし、このプラスミドを制限
酵素により直鎖状にした。標識アンチセンスRNAプロ
ーブは、α-32P UTP (デュポン−NEN)及び T3 RNA ポリ
メラーゼを用いて調製した。該RNAプローブを6%ポリ
アクリルアミドゲル電気泳動にて分離・精製した。前記
全RNAサンプル(各5 μg)と 1〜2×105cpmのα-32P
標識アンチセンスRNAプローブを、それぞれハイブリ
ダイズさせた。ハイブリダイゼーションは、15μl のハ
イブリダイゼーションバッファー(40mM PIPES(pH6.4),4
00mM NaCl, 80% formamide, 1mM EDTA) 中、50℃で12〜
20時間反応させることにより行った。その後、各反応サ
ンプルを RNase AとRNase T1により37℃、60分間処理
し、6%ポリアクリルアミド/7M尿素ゲル電気泳動に付し
た。結果はオートラジオグラフィーにて解析した(図
2)。
【0042】図2に示したように、本発明の新規セマフ
ォリンのmRNAは成体の脳、腎臓、胸腺、脾臓、肺、心臓
及び骨髄で発現していたが、肝臓では発現が認められな
かった。さらに本発明の新規セマフォリンのmRNAは、他
の組織と比較してとりわけ免疫系の組織で、中でも特に
胸腺で、その発現レベルが高かった。脳においては、前
記in situ ハイブリダイゼーションアッセイにおける発
現レベルは高かったが、このRNase プロテクションアッ
セイにおいては非常に弱いものであった。これらの結果
より、本発明の新規セマフォリンmRNAの脳での発現レベ
ルは、成熟に伴って減少することが考えられた。一方各
細胞株においては、T細胞系(EL4,2B4) 、B細胞系(LK,
70Z/3,NS-1) 、骨髄性細胞(WEHI3,J774)、肥満細胞腫(P
815)では発現していたが、胸腺及び骨髄由来の間質細胞
(MRL104.8a, BMST) 及び繊維芽細胞(BALB3T3) では発現
が認められなかった。以上の結果より、本発明の新規セ
マフォリンは、主に造血系の細胞において発現している
ことが示唆された。
【0043】実施例4新規セマフォリンに対する抗血清の作製 本発明の新規セマフォリンとグルタチオン−S−トラン
スフェラーゼ(GST)との融合タンパクでウサギを免
疫し、本発明の新規セマフォリンに対するポリクローナ
ル抗体を調製した。方法を以下に記す。ウサギ免疫用に
用いる本発明の新規セマフォリンとGSTとの融合タン
パク(以下、Sema-GSTと称す) 、及び抗血清の精製に用
いるヒスチジンタグの付いた本発明の新規セマフォリン
タンパク(以下、Sema-Hisと称す) の2つのタンパクを
コードする各プラスミドベクターを構築するために、ま
ずpGEX-4T2ベクター (ファルマシア社製) 及び pET21a
ベクター(ノバジェン社製、マディソン、WI) をEcoRI
及び XhoI で切断した。新規セマフォリンの細胞内ドメ
インに相当する部分のcDNAの両端に EcoRIとXhoIサ
イトを付加したcDNA断片を作製するために、以下の 2つ
のプライマー(5'-CGGGGAATTCTCCTACAACTGCTACAAGGG-3'
、 5'-AAATCTCGAGGTCCCCGTCAGCATCCGAAT-3'(EcoRI 及
びXhoIサイトを下線で示す))を用いてPCR 反応を行っ
た。反応後、得られたcDNA断片をEcoRI 及びXhoIで
切断し、これを前記ベクターにライゲートした。得られ
た各プラスミドで大腸菌 XL1-blue を形質転換し、50
μg/mlアンピシリンを含む500ml LB培地中、37℃で培養
した。融合タンパクは、培養液の OD600が0.4 になった
時点で0.1mM IPTGを添加して誘導することにより発現さ
せた。更に 6時間培養した後、各菌体を遠心分離し、20
mlの20mM Tris-HCl(pH7.4), 100mM NaCl, 1mM EDTA, 1%
Triton X-100, 1mMPMSF に懸濁した。その後、各菌体
を超音波処理により溶解し、4 ℃、10,000×g で30分間
遠心した。得られた上清を、それぞれ、グルタチオン−
セファロースビーズ(ファルマシア社製)又は Ni-NTA
レジン (キアゲン社製、ヒルデン) を用いて添付のプロ
トコールに従い精製した。精製Sema-GSTは、使用まで-8
0 ℃で保存した。一方、精製Sema-Hisを、臭化シアン酸
活性化セファロース(ファルマシア)ゲルとカップリン
グさせることにより、アフィニティーカラムを作製し
た。
【0044】次に、前記精製Sema-GST融合タンパクをフ
ロイント完全アジュバントと混合後、二匹のウサギに免
疫した。以後 2週間毎に、該融合タンパクをフロイント
の不完全アジュバントと混合させて、同様の免疫を行っ
た。免疫後、採血した血清を、前記Sema-Hisアフィニテ
ィーカラムに通すことにより精製し、本発明のポリクロ
ーナル抗体とした。
【0045】実施例5インフルエンザウイルスヘマグルチニン(HA)と新規
セマフォリンとの融合タンパクの作製 HAと本発明の新規セマフォリンとの融合タンパク(以
下、Sema-HA と称す)を作製するために、HAのエピト
ープのタンデムリピートに対応するDNA 断片を、以下の
オリゴヌクレオチド(5'-GGCCGCTTACCCATACGATGTTCCGGAT
TACGCTTACCCATATGATGTTCCGGATTACGCTTAA-3' 、5'-CTAGT
TAAGCGTAATCCGGAACATCATATGGGTAAGCGTAATCCGGAACATCGTA
TGGGTAAGC-3') をアニールすることにより作製した。該
DNA 断片を mFas-Fcプラスミド (Cell, 75, 1169-1178
(1993)) の NotI-XbaIサイトに挿入した。該プラスミド
の BamHI-NotI 部分はFasの細胞外部分とヒトIgG
1のFc部分との融合タンパクをコードする部分である
が、この部分を pBluescript SK ベクターの EcoRI-Xho
I サイト中にクローニングされた本発明の新規セマフォ
リンの 2.6kb BamHI-NotI 断片で置き換えた。以上のよ
うにして作製されたSema-HA融合プラスミドは、配列番
号:1のアミノ酸配列の第 1位〜第860 位が、制限酵素
リンカーとpBluescript SKベクター由来の26アミノ酸(L
EVDGIDKLDIEFLQPGGSTSSRAAA)を介してHAのタンデムリ
ピートに結合したものをコードしている。次に、該プラ
スミドをDEAEデキストラン法 (J.Biol.Chem., 250, 233
7-2343 (1995))により 100mm培養皿中で培養したCOS-7
細胞にトランスフェクションし、10% FCSを含むDMEM
培地中で2日間培養した。培養後、細胞を回収して PBS
で2回洗浄し、遠心分離により沈殿させ、後述のイムノ
ブロット分析まで−20℃で保存した。
【0046】実施例6抗血清の特異性の確認 実施例4で得られたウサギ抗血清が本発明の新規セマフ
ォリンに特異的なものであるかどうかを確認するため
に、実施例5にて調製したCOS−7細胞で発現させた
Sema−HAタンパクを用いて、以下のイムノブロッ
ト分析を行った。実施例5で得られた細胞を 1×サンプ
ルバッファー(1%SDS, 10% glycerol, 50mM Tris-HCl(pH
6.8), 0.05%BPB, 3%2ME)に溶解し、該溶解物の1/20容量
/レーンを6%SDS-PAGEにて分画し、PVDFメンブレン(Imm
obilon-P、ミリポア社製) に電気泳動的にトランスファ
ーした。抗−HA抗体によりSema-HA タンパクを検出する
ために、メンブレンを5% BSA含有TBS(50mM Tris-HCl
(pH7.6), 150mM NaCl) でブロックし、抗HAモノクロー
ナル抗体(12CA5;ベーリンガーマンハイム社製)0.5μg/
mlと共にインキュベートし、その後、アフィニティー精
製ウサギ抗マウスIgG抗体(キャッペル社製) を5000倍
希釈したものと共にインキュベートした。メンブランを
PBS-0.1% Tween20で洗浄した後、ホースラディッシュペ
ルオキシターゼ結合プロテインA(アマシャム社製)と
共にインキュベートした。更に該メンブランをPBS-0.1%
Tween 20 で洗浄した後、ECL システム(アマシャム社
製) を用いてバンドの検出を行った(図3)。一方、本
発明の新規セマフォリンに対する抗血清によりSema
−HAタンパクを検出するには、このメンブレンをスト
リッピングバッファー(100mM 2−メルカプトエ
タノール、2%SDS、62.5mM Tris・HC
l(pH6.8))中、50℃、30分間インキュベー
トすることにより抗体プローブをはがした後、5%スキ
ムミルクを含むPBSで2時間ブロックし、前記アフィニ
ティー精製抗血清を1000倍希釈したものとインキュベー
トした。その後、メンブレンをPBS−0.1% Tw
een20で洗浄する操作以降は上記と同様にして、バ
ンドの検出を行った。
【0047】抗HA抗体を用いたイムノブロット分析の結
果を図3Aに示す。抗HA抗体でイムノブロットされたHA
タグ付きの本発明の新規セマフォリン(Sema-HA) は、還
元条件下のSDS-PAGEにおいて約125kDaの位置に検出され
た。該Sema-HA の予想される分子量は約100kDaである
が、本発明の新規セマフォリンには推定上、8 つのN型
糖鎖結合部位が存在するため、この分子量の相違は糖鎖
の付加によると推定される。次に、図3Aで使用したメ
ンブレンから抗体プローブをはがし、本発明の新規セマ
フォリンに対する抗血清を再度ブロットした結果を図3
Bに示す。該抗血清でイムノブロットされた Sema-HA
は、図3Aと同じ位置に検出された。従って、該抗血清
は本発明の新規セマフォリンに特異的なものであること
が確認された。
【0048】実施例7新規セマフォリンタンパクの組織特異的発現分布の解析 マウスの種々の組織を氷冷した溶解バッファー(1% Tri
ton X-100, 50mM Tris-HCl(pH7.4), 300mM NaCl, 10 μ
g/mlアプロチニン, 10μg/mlロイペプチン, 1mM PMSF,
5mM EDTA) 中でホモジナイズして溶解し、その後遠心分
離により核を除去した。該溶解物を 2×サンプルバッフ
ァー(2% SDS, 20%グリセロール, 100mMTris-HCl(pH6.
8), 0.1%BPB, 6% 2ME) と混合し、5 分間煮沸し、サン
プルとした。該サンプル(10μg/レーン) を 6% SDS-PA
GEにより分画し、以後は前記実施例6に記載の方法と同
様にして、実施例4で得られた抗血清を用いたイムノブ
ロット分析を行った(図3)。
【0049】結果を図3Cに示す。本発明の新規セマフ
ォリンタンパクは、胸腺において高発現していることが
判明した。一方、肝臓においては発現していなかった。
この結果は実施例3にて示したmRNAの発現結果に一
致していた。脳では、胸腺より低いレベルで発現してお
り、またわずかではあるが腎臓でも発現していた。ま
た、脳で検出されたサイズは胸腺におけるそれと比較す
ると小さいものであった。この胸腺と脳でのサイズの違
いの理由は不明であるが、本発明の新規セマフォリンの
翻訳後の修飾が、組織により異なる為かもしれない。
【0050】実施例8新規セマフォリンの細胞表面での発現 本発明の新規セマフォリンの配列は細胞膜ドメインをコ
ードしているため、該新規セマフォリンは細胞表面で発
現している可能性がある。この可能性を確かめるため
に、胸腺細胞の細胞表面をビオチン化し、細胞表面のタ
ンパクを該新規セマフォリンに対する抗体で免疫沈降し
た。細胞表面のビオチン化は、J.Exp.Med.,171,477-488
(1990) に記載の方法にて行った。ビオチン化の後、細
胞を 0.5mlの溶解バッファー(実施例7に記載)で溶解
し、該溶解物をプロテインA−セファロース(ファルマ
シア社製)であらかじめ処理した後、プロテインAセフ
ァロースに結合させた本発明のセマフォリンに対する抗
血清と共に4 ℃、1時間免疫沈降させた。該反応物を溶
解バッファーで溶解後、SDS-PAGEに供し、その後PVDFメ
ンブレンに電気泳動的にトランスファーした。該メンブ
レンを5%BSA 含有 PBSでブロックした。ビオチン化され
たタンパクは、ストレプトアビジン−ビオチン化ペルオ
キシターゼ混合物(アマシャム社製) とECL システムに
より検出した(図4)。
【0051】図4に示したように、イムノブロット分析
により検出されたのと同じ位置に存在するタンパクが、
本発明の新規セマフォリンに対する抗血清により免疫沈
降された。従って、本発明の新規セマフォリンは胸腺細
胞の細胞表面に発現していることが証明された。また、
同様の実験を成熟Tリンパ球等についても行った結果、
胸腺細胞と同様、本発明の新規セマフォリンが、その細
胞表面に発現していることが示された。
【0052】実施例9新規セマフォリンの活性測定 発現プラスミド pUCSRαに実施例1で得られた本発明の
新規セマフォリン遺伝子を組み込み、発現プラスミドを
作製する。この発現プラスミドをDEAEデキストラン
法でCOS7細胞に導入し、2日後に、 Neuron 2, 31-
37(1990)に記載の方法によって該新規セマフォリンを含
む細胞膜画分を調製する。この該セマフォリンを含む膜
画分と、同様の方法で該セマフォリンを導入していない
COS7細胞から調製した膜画分とを、in vitroで培養
した神経細胞の培養液に添加し、成長円錐の退縮活性を
比較する(M.Igarashi et al Science vol.259 pp77-79
(1993))。その結果、該セマフォリン遺伝子の発現プラ
スミドを導入したCOS7細胞の膜画分が、有為に高い
成長円錐の退縮活性を有することが明らかとなる。
【0053】
【発明の効果】本発明により、神経疾患や免疫疾患に係
わる診断、治療又は研究のために有用な、新規なセマフ
ォリン遺伝子、該遺伝子からコードされるポリペプチ
ド、該ポリペプチドの発現ベクター、該発現ベクターを
導入した形質転換体、該形質転換体を用いる組換えタン
パク質の生産方法、前記セマフォリン遺伝子に相補的な
DNA又はRNA、前記ポリペプチドに結合する抗体又
はその断片、並びに前記遺伝子を導入されて得られたト
ランスジェニック動物が提供される。
【0054】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:861 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Met Arg Met Cys Ala Pro Val Arg Gly Leu Phe Leu Ala Leu Val Val 5 10 15 Val Leu Arg Thr Ala Val Ala Phe Ala Pro Val Pro Arg Leu Thr Trp 20 25 30 Glu His Gly Glu Val Gly Leu Val Gln Phe His Lys Pro Gly Ile Phe 35 40 45 Asn Tyr Ser Ala Leu Leu Met Ser Glu Asp Lys Asp Thr Leu Tyr Val 50 55 60 Gly Ala Arg Glu Ala Val Phe Ala Val Asn Ala Leu Asn Ile Ser Glu 65 70 75 80 Lys Gln His Glu Val Tyr Trp Lys Val Ser Glu Asp Lys Lys Ser Lys 85 90 95 Cys Ala Glu Lys Gly Lys Ser Lys Gln Thr Glu Cys Leu Asn Tyr Ile 100 105 110 Arg Val Leu Gln Pro Leu Ser Ser Thr Ser Leu Tyr Val Cys Gly Thr 115 120 125 Asn Ala Phe Gln Pro Thr Cys Asp His Leu Asn Leu Thr Ser Phe Lys 130 135 140 Phe Leu Gly Lys Ser Glu Asp Gly Lys Gly Arg Cys Pro Phe Asp Pro 145 150 155 160 Ala His Ser Tyr Thr Ser Val Met Val Gly Gly Glu Leu Tyr Ser Gly 165 170 175 Thr Ser Tyr Asn Phe Leu Gly Ser Glu Pro Ile Ile Ser Arg Asn Ser 180 185 190 Ser His Ser Pro Leu Arg Thr Glu Tyr Ala Ile Pro Trp Leu Asn Glu 195 200 205 Pro Ser Phe Val Phe Ala Asp Val Ile Gln Lys Ser Pro Asp Gly Pro 210 215 220 Glu Gly Glu Asp Asp Lys Val Tyr Phe Phe Phe Thr Glu Val Ser Val 225 230 235 240 Glu Tyr Glu Phe Val Phe Lys Leu Met Ile Pro Arg Val Ala Arg Val 245 250 255 Cys Lys Gly Asp Gln Gly Gly Leu Arg Thr Leu Gln Lys Lys Trp Thr 260 265 270 Ser Phe Leu Lys Ala Arg Leu Ile Cys Ser Lys Pro Asp Ser Gly Leu 275 280 285 Val Phe Asn Ile Leu Gln Asp Val Phe Val Leu Arg Ala Pro Gly Leu 290 295 300 Lys Glu Pro Val Phe Tyr Ala Val Phe Thr Pro Gln Leu Asn Asn Val 305 310 315 320 Gly Leu Ser Ala Val Cys Ala Tyr Thr Leu Ala Thr Val Glu Ala Val 325 330 335 Phe Ser Arg Gly Lys Tyr Met Gln Ser Ala Thr Val Glu Gln Ser His 340 345 350 Thr Lys Trp Val Arg Tyr Asn Gly Pro Val Pro Thr Pro Arg Pro Gly 355 360 365 Ala Cys Ile Asp Ser Glu Ala Arg Ala Ala Asn Tyr Thr Ser Ser Leu 370 375 380 Asn Leu Pro Asp Lys Thr Leu Gln Phe Val Lys Asp His Pro Leu Met 385 390 395 400 Asp Asp Ser Val Thr Pro Ile Asp Asn Arg Pro Lys Leu Ile Lys Lys 405 410 415 Asp Val Asn Tyr Thr Gln Ile Val Val Asp Arg Thr Gln Ala Leu Asp 420 425 430 Gly Thr Phe Tyr Asp Val Met Phe Ile Ser Thr Asp Arg Gly Ala Leu 435 440 445 His Lys Ala Val Ile Leu Thr Lys Glu Val His Val Ile Glu Glu Thr 450 455 460 Gln Leu Phe Arg Asp Phe Glu Pro Val Leu Thr Leu Leu Leu Ser Ser 465 470 475 480 Lys Lys Gly Arg Lys Phe Val Tyr Ala Gly Ser Asn Ser Gly Val Val 485 490 495 Gln Ala Pro Leu Ala Phe Cys Glu Lys His Gly Ser Cys Glu Asp Cys 500 505 510 Val Leu Ala Arg Asp Pro Tyr Cys Ala Trp Ser Pro Ala Ile Lys Ala 515 520 525 Cys Val Thr Leu His Gln Glu Glu Ala Ser Ser Arg Gly Trp Ile Gln 530 535 540 Asp Met Ser Gly Asp Thr Ser Ser Cys Leu Asp Lys Ser Lys Glu Ser 545 550 555 560 Phe Asn Gln His Phe Phe Lys His Gly Gly Thr Ala Glu Leu Lys Cys 565 570 575 Phe Gln Lys Ser Asn Leu Ala Arg Val Val Trp Lys Phe Gln Asn Gly 580 585 590 Glu Leu Lys Ala Ala Ser Pro Lys Tyr Gly Phe Val Gly Arg Lys His 595 600 605 Leu Leu Ile Phe Asn Leu Ser Asp Gly Asp Ser Gly Val Tyr Gln Cys 610 615 620 Leu Ser Glu Glu Arg Val Arg Asn Lys Thr Val Ser Gln Leu Leu Ala 625 630 635 640 Lys His Val Leu Glu Val Lys Met Val Pro Arg Thr Pro Pro Ser Pro 645 650 655 Thr Ser Glu Asp Val Gln Thr Glu Gly Ser Lys Ile Thr Ser Lys Met 660 665 670 Pro Val Gly Ser Thr Gln Gly Ser Ser Pro Pro Thr Pro Ala Leu Trp 675 680 685 Ala Thr Ser Pro Arg Ala Ala Thr Leu Pro Pro Lys Ser Ser Ser Gly 690 695 700 Thr Ser Cys Glu Pro Lys Met Val Ile Asn Thr Val Pro Gln Leu His 705 710 715 720 Ser Glu Lys Thr Val Tyr Leu Lys Ser Ser Asp Asn Arg Leu Leu Met 725 730 735 Ser Leu Leu Leu Phe Ile Phe Val Leu Phe Leu Cys Leu Phe Ser Tyr 740 745 750 Asn Cys Tyr Lys Gly Tyr Leu Pro Gly Gln Cys Leu Lys Phe Arg Ser 755 760 765 Ala Leu Leu Leu Gly Lys Lys Thr Pro Lys Ser Asp Phe Ser Asp Leu 770 775 780 Glu Gln Ser Val Lys Glu Thr Leu Val Glu Pro Gly Ser Phe Ser Gln 785 790 795 800 Gln Asn Gly Asp His Pro Lys Pro Ala Leu Asp Thr Gly Tyr Glu Thr 805 810 815 Glu Gln Asp Thr Ile Thr Ser Lys Val Pro Thr Asp Arg Glu Asp Ser 820 825 830 Gln Arg Ile Asp Glu Leu Ser Ala Arg Asp Lys Pro Phe Asp Val Lys 835 840 845 Cys Glu Leu Lys Phe Ala Asp Ser Asp Ala Asp Gly Asp 850 855 860
【0055】配列番号:2 配列の長さ:2769 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA 配列 GAATTCGGCA CGAGGCCATC CATGTGTGCC CGTTGCTGAA GGCCTCGGTG GCCCCTGCCC 60 ATGAGGATGT GTGCCCCCGT TAGGGGGCTG TTCTTGGCCC TGGTGGTAGT GTTGAGAACC 120 GCGGTGGCAT TTGCACCTGT GCCTCGGCTC ACCTGGGAAC ATGGAGAGGT AGGTCTGGTG 180 CAGTTTCACA AGCCAGGCAT CTTTAACTAC TCGGCCTTGC TGATGAGTGA GGACAAAGAC 240 ACTCTGTATG TAGGCGCCCG GGAAGCAGTC TTTGCAGTGA ATGCGCTGAA CATCTCTGAG 300 AAGCAACATG AGGTATATTG GAAGGTCTCT GAAGACAAAA AATCCAAGTG TGCAGAGAAG 360 GGGAAATCAA AGCAGACGGA ATGCCTAAAC TACATTCGAG TACTACAGCC ACTAAGCAGC 420 ACTTCCCTCT ATGTGTGTGG GACCAATGCG TTCCAGCCCA CCTGTGACCA CCTGAACTTG 480 ACATCCTTCA AGTTTCTGGG GAAAAGTGAA GATGGCAAAG GAAGATGCCC CTTCGACCCC 540 GCCCACAGCT ACACATCAGT CATGGTTGGG GGCGAGCTCT ACTCTGGGAC GTCCTATAAT 600 TTCTTGGGCA GTGAACCCAT CATCTCTCGA AACTCTTCCC ACAGTCCCTT GAGGACGGAG 660 TATGCCATCC CGTGGCTGAA CGAGCCTAGC TTCGTCTTTG CTGACGTGAT CCAGAAAAGC 720 CCAGATGGTC CGGAGGGTGA AGATGACAAG GTCTACTTCT TTTTTACGGA GGTATCCGTG 780 GAGTACGAAT TCGTCTTCAA GTTGATGATC CCGCGAGTTG CCAGGGTGTG CAAGGGCGAC 840 CAGGGCGGCC TGCGGACTTT GCAAAAAAAG TGGACCTCCT TCCTAAAGGC CAGGCTGATC 900 TGCTCCAAGC CAGACAGTGG CCTGGTCTTC AACATACTTC AGGATGTGTT TGTGCTGAGG 960 GCCCCGGGCC TCAAGGAGCC TGTGTTCTAT GCGGTCTTCA CCCCACAGCT GAACAATGTG 1020 GGTCTGTCAG CGGTGTGCGC CTACACACTG GCCACGGTGG AGGCAGTCTT CTCCCGTGGA 1080 AAGTACATGC AGAGTGCCAC AGTGGAGCAG TCTCACACCA AGTGGGTGCG CTACAATGGC 1140 CCAGTGCCCA CTCCCCGACC TGGAGCGTGT ATCGACAGTG AGGCCCGGGC AGCCAACTAC 1200 ACCAGCTCCT TGAATCTCCC AGACAAAACA CTGCAGTTTG TAAAAGACCA CCCTTTGATG 1260 GATGACTCAG TGACCCCGAT AGACAACAGA CCCAAGCTGA TCAAAAAAGA TGTAAACTAC 1320 ACCCAGATAG TGGTAGACAG GACCCAGGCC CTGGATGGGA CTTTCTACGA CGTCATGTTC 1380 ATCAGCACAG ACCGGGGAGC TCTGCATAAA GCAGTCATCC TTACAAAAGA GGTGCATGTC 1440 ATCGAGGAGA CCCAACTCTT CCGGGACTTT GAACCGGTCC TAACTCTGCT GCTATCGTCA 1500 AAGAAGGGGA GGAAGTTTGT CTATGCAGGC TCCAACTCTG GAGTGGTCCA AGCGCCCCTG 1560 GCATTCTGCG AAAAGCACGG TAGCTGTGAA GACTGTGTGT TAGCACGGGA CCCCTACTGT 1620 GCCTGGAGCC CAGCCATCAA GGCCTGTGTT ACCCTGCACC AGGAAGAGGC CTCCAGCAGG 1680 GGCTGGATTC AGGACATGAG CGGTGACACA TCCTCATGCC TGGATAAGAG TAAAGAAAGT 1740 TTCAACCAGC ATTTTTTCAA GCACGGCGGC ACAGCGGAAC TCAAATGTTT CCAAAAGTCC 1800 AACCTAGCCC GGGTGGTATG GAAGTTCCAG AATGGCGAGT TGAAGGCCGC AAGTCCCAAG 1860 TACGGCTTTG TGGGCAGGAA GCACCTGCTC ATCTTCAACC TGTCGGACGG AGACAGCGGC 1920 GTGTACCAGT GCCTGTCAGA GGAAAGGGTG AGGAATAAAA CGGTCTCCCA GCTGCTGGCC 1980 AAGCACGTTC TGGAAGTGAA GATGGTACCT CGGACCCCCC CCTCACCTAC CTCAGAGGAT 2040 GTTCAGACAG AAGGTAGTAA GATCACATCC AAAATGCCGG TTGGATCTAC CCAGGGGTCC 2100 TCTCCCCCTA CCCCGGCTCT GTGGGCAACC TCCCCCAGAG CCGCCACCCT ACCTCCCAAG 2160 TCCTCCTCCG GCACATCCTG TGAACCAAAG ATGGTCATCA ACACGGTCCC CCAGCTCCAC 2220 TCAGAGAAGA CGGTGTATCT CAAGTCCAGT GACAACCGCC TGCTCATGTC TCTCCTCCTC 2280 TTCATCTTTG TCCTCTTCCT CTGCCTCTTT TCCTACAACT GCTACAAGGG CTACCTGCCC 2340 GGACAGTGCT TAAAATTCCG CTCAGCCCTG CTGCTTGGAA AGAAAACACC CAAGTCAGAC 2400 TTCTCTGACC TGGAGCAGAG TGTGAAGGAG ACACTGGTCG AGCCTGGGAG CTTCTCCCAG 2460 CAGAACGGCG ACCACCCCAA GCCAGCCCTG GATACGGGCT ATGAAACGGA GCAGGACACC 2520 ATCACCAGCA AAGTCCCCAC GGATCGTGAG GACTCGCAAC GGATCGATGA ACTCTCTGCC 2580 CGGGACAAAC CGTTTGATGT CAAGTGTGAA CTGAAGTTTG CAGATTCGGA TGCTGACGGG 2640 GACTGAGGCC AGCGTGTCCC AGCCCATGCC CCTCTGTCTT CGTGGAGAGT GTTGTGTTGA 2700 GCCCATTCAG TAGCCGAGTC TTGTCACTCT GTGCCAGCCT CAGTCCTGTG TCCCCTTTTT 2760 CTCTGGTTT 2769
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例2のin situ ハイブリダイゼー
ションの結果を示すX線写真である。図1Aは、35S−
UTPで標識した新規セマフォリン遺伝子のアンチセン
スRNAプローブを用いた結果を示すX線写真である。
図中、T、Cx、DRG、B、SC、OE、Lu及びL
iは、それぞれ、胸腺、大脳皮質、後根神経節、脳幹、
脊髄、嗅覚上皮、肺、肝臓を表す。図1Bは、アンチセ
ンスRNAプローブの代わりにセンスRNAプローブを
用いて、同様の実験を行った結果を示すX線写真であ
る。
【図2】図2は、実施例3のRNase プロテクションアッ
セイの結果を示す電気泳動の写真である。レーン1 、8
及び18は、対照として、本実験に用いたアンチセンス
RNAプローブを電気泳動した結果を示す。レーン7、
17及び27は、対照として、酵母のtRNAを用いて
本実験を行った結果を示す。
【図3】図3は、実施例6及び実施例7のイムノブロッ
ト分析の結果を示す電気泳動の写真である。図3Aは、
Sema−HAを、抗HA抗体でイムノブロットした結
果を示す電気泳動の写真である。図中、三角印は、Se
ma−HAの位置を示す。mockのレーンは、対照と
して、プラスミドを用いずに同様のトランスフェクショ
ンを施したCOS−7細胞の溶解物を用いて、本実験を
行った結果を示す。図3Bは、新規セマフォリン抗血清
を用いて、図3Aと同様にイムノブロットを行った結果
を示す電気泳動の写真である。図3Cは、種々の組織に
おける新規セマフォリンの発現を調べたイムノブロット
分析の結果を示す電気泳動の写真である。図中、矢印
は、新規セマフォリンの位置を示す。
【図4】図4は、実施例8の新規セマフォリンの細胞表
面での発現を示す電気泳動の写真である。図4Aは、胸
腺細胞の細胞表面で新規セマフォリンが発現しているこ
とを示す電気泳動の写真である。対照のレーンは、新規
セマフォリンの抗血清を用いる代わりに正常ウサギ血清
を用いて本実験を行った結果を示す。図4Bは、肝臓と
胸腺について、図3Cと同様に実験を行った結果を示す
電気泳動の写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12N 5/10 C12P 21/02 C C12P 21/02 C12N 5/00 B //(C12N 5/10 C12R 1:91) (C12P 21/02 C12R 1:91)

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列表の配列番号:1に記載のアミノ酸
    配列、又はその一部であって、かつ神経伸長抑制活性を
    有するポリペプチドをコードするDNA。
  2. 【請求項2】 配列表の配列番号:2に記載の塩基配
    列、又はその一部であって、かつ神経伸長抑制活性を有
    するポリペプチドをコードするDNA。
  3. 【請求項3】 配列表の配列番号:1に記載のアミノ酸
    配列において、1又は2以上のアミノ酸残基の欠失、付
    加、挿入又は置換の少なくとも1つを生じさせ、かつ神
    経伸長抑制活性を有するポリペプチドをコードするDN
    A。
  4. 【請求項4】 配列表の配列番号:2に記載の塩基配列
    において、1又は2以上の塩基の欠失、付加、挿入又は
    置換の少なくとも1つを生じさせ、かつ、神経伸長抑制
    活性を有するポリペプチドをコードするDNA。
  5. 【請求項5】 ヒトcDNAライブラリー又はヒトゲノ
    ムライブラリーからクローニングされるDNAであっ
    て、配列表の配列番号:2に記載の塩基配列を有するD
    NAの少なくとも一部、又は該DNAの相補鎖の少なく
    とも一部からなるDNAとストリンジェントな条件下で
    ハイブリダイズするDNA。
  6. 【請求項6】 配列表の配列番号:1に記載のアミノ酸
    配列と87%以上の同一性を有し、かつ神経伸長抑制活
    性を有するポリペプチドをコードするDNA。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6いずれか記載のDNAを含
    有するDNA。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7いずれか記載のDNAによ
    りコードされるポリペプチド。
  9. 【請求項9】 請求項8記載のポリペプチドの全部又は
    一部を含むポリペプチド。
  10. 【請求項10】 請求項1〜7いずれか記載のDNAを
    含む発現ベクター。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の発現ベクターを導入
    することにより得られる形質転換体。
  12. 【請求項12】 請求項11記載の形質転換体を、請求
    項10記載の発現ベクターの発現可能な条件下で培養す
    ることを特徴とする、神経伸長抑制活性を有する組換え
    タンパク質の生産方法。
  13. 【請求項13】 請求項1〜7いずれか記載のDNAと
    相補的な配列を有する、8塩基以上からなるDNAもし
    くはRNA又はそれらの化学的修飾体。
  14. 【請求項14】 細胞内に導入されて請求項8又は9記
    載のポリペプチドの発現を抑制する請求項13記載のD
    NAもしくはRNA又はそれらの化学的修飾体。
  15. 【請求項15】 請求項8又は9記載のポリペプチドに
    特異的に結合する抗体又はその断片。
  16. 【請求項16】 請求項1〜7いずれか記載のDNAを
    人為的に生殖細胞に導入させて得られたトランスジェニ
    ック動物。
  17. 【請求項17】 動物がマウスである、請求項16記載
    のトランスジェニック動物。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7001766B2 (en) 1999-07-20 2006-02-21 Curagen Corporation Nucleic acid sequences encoding human angiopoietin-like polypeptides

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