JP4011629B2 - 新規セマフォリン遺伝子(i) - Google Patents

新規セマフォリン遺伝子(i) Download PDF

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Description

【発明の属する技術分野】
本発明は、セマフォリンファミリーに属する新規なセマフォリン及びその遺伝子に関する。さらに詳しくは、神経伸長抑制活性を有する新規なセマフォリン及びその類似タンパク質、またはこれらのタンパク質のペプチド断片、抗体、あるいはこれらのタンパク質をコードする遺伝子(DNA)、該遺伝子の発現ベクター、該発現ベクターを導入した形質転換細胞、該形質転換細胞を用いる組換えタンパク質の生産方法、前記遺伝子のアンチセンスヌクレオチド、前記遺伝子の挿入及び欠損に係るトランスジェニック動物、前記タンパク質に対するアンタゴニストのスクリーニング方法、さらには前記タンパク質、ペプチド、抗体、遺伝子あるいはアンチセンスヌクレオチド等の、医薬、診断薬あるいは研究用試薬としての用途に関する。
【従来の技術】
1992年、バッタの神経のガイダンスに関係する遺伝子の一つとして、ファシクリンIV(後のG-sema I)がクローニングされた。翌年、この遺伝子の高等生物でのホモログを探索する過程で、類似のドメインをコードし、昆虫からウイルス、線虫、ヒトにわたって広く分布する遺伝子ファミリーの存在が明らかになり、一群の遺伝子は「セマフォリン遺伝子」と名付けられた。現在では、10以上のセマフォリンファミリーに属する遺伝子が報告されている(Cell, 81, 471-474(1995))。
前記セマフォリン遺伝子群は、それがコードするアミノ酸配列において、セマフォリンドメインと呼ばれる約500個のアミノ酸からなる類似の構造を有するのが特徴である(Neuron, 14, 941-948(1995)、Cell, 75, 1389-1399(1993))。セマフォリン相互間で、前記アミノ酸配列上のホモロジーは80%-20%であり、必ずしも高くはないが、13個の保存された位置に存在するシステインを代表とする一部のアミノ酸は、非常によく保存されている。セマフォリンドメイン以外の部分は、セマフォリン相互で変化に富み、分泌型、膜結合型のいずれもが存在し、さらにIgドメインを有するもの、トロンボスポンジンドメインを有するもの、カルボキシ末端に塩基性アミノ酸のクラスタを有するものなど、その構造は多様である。
前記セマフォリンの中で機能が確認されているものは、バッタのファシクリンIV、ショウジョウバエのセマフォリンI,II、ニワトリのコラプシン、及びほ乳類におけるコラプシンホモローグであるセマフォリンIIIなどごく一部であるが、これらのセマフォリンは全て、個体の発生段階、すなわち胚又は胎児の段階における神経ネットワーク形成過程で、軸索の伸長やシナプス形成を抑制的に制御することが知られている(Neuron, 14, 941-948(1995)、Neuron, 14, 949-959(1995)、Cell, 81, 631-639(1995)、Cell, 75, 1389-1399(1993)、Cell, 75, 217-227(1993)、Neuron, 9, 831-845(1992))。
このようにセマフォリン遺伝子は、個体の発生段階において、その機能を発現していることが知られているが、成体においても何らかの機能を発現しているのか否かは、未だ明らかにされていない。しかし、いくつかのセマフォリン遺伝子においては、神経ネットワークの形成が終了している成体においても発現していることが知られており、該成体においても何らかの機能を有していることが示唆されている。例えば、成体の中枢神経系には再生能力のないことが広く知られているが、前述の如く、神経の伸長に抑制的に働くセマフォリンの中に、成体の中枢神経の再生阻止因子として機能しているものが存在していることも考えられる(Nature, 378, 439-440(1995))。また、最近報告されたセマフォリンIIIのノックアウトマウスの研究から、ある種のセマフォリンが心筋の成長抑制に働いているという可能性が示唆されている(Nature, 383, 525-528(1996))。更に、免疫系においても、ある種のセマフォリンがBリンパ球の凝集及び生存維持に関与していることが示唆されている(Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 93, 11780-11785(1996))。
このように、神経系のみならず非神経系においても、セマフォリンは重要な機能を担っていることが明らかになりつつあり、該セマフォリンの研究にはますます大きな関心が集められている。
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、主として神経疾患に係わる治療、診断又は研究のために有用な、新規なセマフォリン及びその類似タンパク質、またはこれらのタンパク質のペプチド断片、抗体、あるいはこれらのタンパク質をコードする遺伝子(DNA)、該遺伝子の発現ベクター、該発現ベクターを導入した形質転換細胞、該形質転換細胞を用いる組換えタンパク質の生産方法、前記遺伝子のアンチセンスヌクレオチド、前記遺伝子の挿入及び欠損に係るトランスジェニック動物、前記タンパク質に対するアンタゴニストのスクリーニング方法、さらには前記タンパク質、ペプチド、抗体、遺伝子あるいはアンチセンスヌクレオチド等の、医薬、診断薬あるいは研究用試薬としての用途を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
前記の如く、セマフォリンの研究は、ますます大きな関心が寄せられているが、20以上存在すると予想されている全てのセマフォリン遺伝子の構造が明らかにされているわけではない。本発明者らは未だ知られていない未知のセマフォリンをクローニングするために、既知のセマフォリン間でホモロジーを有する部分を利用することを考えた。まず既知のセマフォリンのうち、ニワトリ由来のコラプシン及びバッタ由来のG−SemaIの間でホモロジーを有する部分に着目し、この部分に相当する部分を増幅するための合成プライマーを作製した。この合成プライマーを用いて先のコラプシンあるいはG−SemaI以外の新規セマフォリンがクローニングされてくるか否かは不明であったが、本発明者らはマウス胚由来のcDNAを鋳型にして先の合成プライマーを用いてPCR反応を行ったところ、新規なセマフォリン遺伝子をクローニングすることに成功した。
解析の結果、本発明の新規セマフォリンは構造上、膜貫通領域を有していなかったことから、分泌型のセマフォリンサブファミリーに属するものであることが明らかとなった。なお分泌型のセマフォリンとしては現在まで5〜6種類が知られているが、そのうち活性まで明らかになっているものは僅かに1種類のみである。本発明のセマフォリンは分泌型であるため、それ自身が医薬・診断薬又は当該分野の研究用試薬になり得るという特徴を有している。
さらに研究を重ねた結果、本発明のセマフォリンは、神経の伸長に対して抑制的に作用するものであり、また該遺伝子は胎生期から発現し、成体においては中枢及び末梢組織の広範囲に渡って局在して発現するという特徴を有することも見出した。
即ち、本発明の要旨は、
(1) 以下の(a)又は(b)のタンパク質をコードする遺伝子、
(a)配列番号:1に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号:1に記載のアミノ酸配列のうち1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ神経伸長抑制活性を有するタンパク質
(2) 以下の(a)又は(b)のDNAからなる遺伝子、
(a)配列番号:2に記載の塩基配列からなるDNA
(b)配列番号:2に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ神経伸長抑制活性を有するタンパク質をコードするDNA
(3) ヒトcDNAライブラリー又はヒトゲノムライブラリーからクローニングされるDNAであって、配列番号:2に記載の塩基配列からなるDNAの少なくとも一部からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA、
(4) 前記(1)又は(2)記載の遺伝子、あるいは前記(3)記載のDNAの、いずれかを発現することによって得られるタンパク質、
(5) 前記(1)又は(2)記載の遺伝子、あるいは前記(3)記載のDNAの、いずれかを含有する発現ベクター、
(6) 前記(5)記載の発現ベクターを導入することにより得られる形質転換体、
(7) 前記(5)記載の発現ベクター内に存在する前記(1)又は(2)記載の遺伝子、あるいは前記(3)記載のDNAが安定に保持される、前記(6)記載の形質転換体、
(8) 前記(6)又は(7)記載の形質転換体を培養し、発現される組換えタンパク質を回収することからなる、組換えタンパク質の生産方法、
(9) 前記(4)記載のタンパク質の、少なくとも6アミノ酸以上の部分よりなるペプチド、
(10) 前記(1)又は(2)記載の遺伝子、あるいは前記(3)記載のDNAの、少なくとも8塩基以上の部分に対応するアンチセンスヌクレオチド、あるいはその化学的修飾体、
(11) 細胞内に導入されて前記(4)記載のタンパク質の発現を抑制する前記(10)記載のアンチセンスヌクレオチド、あるいはその化学的修飾体、
(12) 前記(4)記載のタンパク質、あるいは前記(9)記載のペプチドに特異的に結合する抗体又はその断片、
(13) 前記(1)又は(2)記載の遺伝子、前記(3)記載のDNA、前記(4)記載のタンパク質、前記(9)記載のペプチド、前記(10)又は(11)記載のアンチセンスヌクレオチド又はその化学的修飾体、あるいは前記(12)記載の抗体又はその断片の、いずれかを有効成分として含有する医薬、
(14) 前記(4)記載のタンパク質の少なくとも1つを含有することを特徴とする、末梢神経の伸長抑制剤、
(15) 前記(4)記載のタンパク質を用いることを特徴とする、配列番号:1に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質に対するアンタゴニストのスクリーニング方法、並びに
(16) 前記(1)又は(2)記載の遺伝子、あるいは前記(3)記載のDNAのいずれかを人為的に染色体中に挿入したか、あるいはいずれかをノックアウトさせたトランスジェニック動物、に関する。
【発明の実施の形態】
本発明において遺伝子とはDNAとも呼ばれるものであり、新規セマフォリンに係わる神経伸長抑制活性を有するタンパク質をコードする遺伝子であれば特に限定されないが、例えば配列表の配列番号:1に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子、又は配列表の配列番号:2に記載の塩基配列からなる遺伝子等のマウス新規セマフォリン遺伝子が挙げられる。さらに、配列番号:1に記載のアミノ酸配列のうち1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子や、配列番号:2に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする遺伝子も、神経伸長抑制活性を有するタンパク質をコードする限り、本発明の遺伝子に含まれる。以下、これらの遺伝子につき順次説明する。
1)マウス型新規セマフォリンをコードする遺伝子
前記遺伝子のうち「配列番号:1に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子」、「配列番号:2に記載の塩基配列からなる遺伝子」とは本発明においてクローニングされたマウス型の新規セマフォリン遺伝子である。
該遺伝子は、例えば既知のセマフォリンであるコラプシン及びG−SemaIの間でホモロジーを有する部分を増幅できるオリゴヌクレオチドプライマーを用い、マウス胚由来の1本鎖cDNAを鋳型にしてPCR反応を行い、得られた増幅断片をプローブにして成体マウス脳のcDNAライブラリー等をスクリーニングすることにより、クローニングすることができる。これらクローニングの個々の技法は、例えばMolecular Cloning 2nd Ed.(Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989))等の基本書を参照することにより行うことができる。PCRは、例えばMcPhersonらの編纂によるPCR(IRL Press(1991))を参考にして行うことができる。クローニングされたDNAの塩基配列の決定は、市販のシーケンスキット等を用いる通常の方法により行うことができる。
本発明の新規セマフォリン遺伝子と既に報告されているセマフォリン遺伝子とを比較すると、マウスのセマフォリンD(ニワトリコラプシンのマウスホモローグ)とはアミノ酸レベルで全体の54%の一致を示し、また配列の一部のみが知られているニワトリのコラプシン−5とセマフォリンドメイン内において、アミノ酸レベルで85%の一致を示す。
2)新規セマフォリンの改変タンパク質をコードする遺伝子
前記遺伝子のうち、「配列番号:1に記載のアミノ酸配列のうち1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ神経伸長抑制活性を有するタンパク質をコードする遺伝子」とは、いわゆる本発明の新規セマフォリンの「改変タンパク質」のうち、神経伸長抑制活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を指す。該タンパク質をコードする遺伝子は、例えば部位特異的突然変異誘発(Methods in Enzymology, 100, 448- (1983))やPCR法(Molecular Cloning 2nd Edt. 15章,Cold Harbor Laboratory Press(1989)、"PCR A Practical Approach" IRL Press 200-210(1991))等により、当業者ならば容易に行うことができる。なおここで、欠失、置換及び/又は付加されるアミノ酸残基の数は、上記部位特異的変異誘発等の周知の方法により欠失、置換及び/又は付加できる程度の数を指す。
ここで、神経伸長抑制活性を有するとは、神経ネットワーク形成過程において、神経の成長円錐に対する退縮活性を有すること、あるいは神経の伸長阻害活性を有することをいう。これらの活性は、具体的には以下の方法により測定することができる。
すなわち、神経の成長円錐に対する退縮活性は、M.Igarashi et al., Science vol.259 pp77-79(1993)を参考に行うことができ、また、神経の伸長阻害活性は、J.A-Davies et.al. Neuron vol.2 pp11-20(1990)やM.Bastmeyer J.Neurosci.vol.11 pp626-640(1991)などを参考に測定することができる。
簡単に述べると、前者の活性測定は、ラミニンやコラーゲン、ポリリジン、ポリオルニチン等の神経突起の伸長と成長円錐の形成を促進する物質をコーティングした培養容器の中で通常の条件で培養した神経細胞(Bankerらの編纂によるCulturing Nerve Cells MIT Press(1991)など)に対し、本発明の遺伝子由来の発現産物を添加することによって行う。添加後、成長円錐の退縮が起こるのに充分な時間(通常添加後30分から1時間)が経過した時点で、この神経細胞を1%グルタルアルデヒドなどで固定し、顕微鏡下で退縮を起こした成長円錐の数を計数する。通常、試料の平均化は試料内に含まれる総蛋白量によって行う。
一方、後者の活性を測定するには、例えば前記本発明の遺伝子発現細胞の塊と神経細胞とをコラーゲンマトリックス中で共培養した際に、該遺伝子発現細胞に向かって神経細胞が伸長しないか、伸長が抑制されることを指標とする。
さらに、神経組織をトリプシン処理により単細胞化し、これを本発明の遺伝子発現細胞の培養上清で処理した際に、神経突起の伸長した神経細胞の数がコントロールと比較して有意に少ないことを指標とすることもできる。
以上のようにして得られた改変タンパク質の具体例としては、例えば本発明のセマフォリンのヒト型あるいはマウス型の改変タンパク質が挙げられる。
3)新規セマフォリン遺伝子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする遺伝子
前記遺伝子のうち、「配列番号:2に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ神経伸長抑制活性を有するタンパク質をコードする遺伝子」とは、例えば本発明のセマフォリンのヒト型あるいはラット型等の、哺乳類全ての型の新規セマフォリン遺伝子が挙げられる。またそれ以外にも、配列番号:2に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする遺伝子であれば、神経伸長抑制活性を有する限り本発明の遺伝子に含まれる。ESTデータベースの検索より、クローニングによって得られる本発明のヒト型新規セマフォリン遺伝子は、登録番号W16752の第1位から第200位で示される配列を一部として含む、あるいは該配列と非常に似た(95%以上、好ましくは98%以上)一致する配列を含んでいるものと考えられる。従って、前記EST配列をもとにして、本発明のヒト型新規セマフォリン遺伝子を容易にクローニングすることができる。スクリーニング用のライブラリーとしては、ヒトゲノムライブラリーもしくはヒトcDNAライブラリーを用いることができ、好ましくはヒトの神経系の組織由来のcDNAライブラリーを用いる。
ここで「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」遺伝子とは、例えば、後述の実施例1に記載の塩濃度が5×SSPE、温度が42℃程度の条件下でハイブリダイズするような遺伝子を指す。
本発明のDNAの範疇には、ヒトcDNAライブラリー又はヒトゲノムライブラリーからクローニングされるDNAであって、配列番号:2に記載の塩基配列からなるDNAの少なくとも一部からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAも含まれる。
該DNAのクローニングの方法は、例えばMolecular Cloning 2nd Ed.(Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989))、あるいはMcPhersonらの編纂によるPCR(1991)IRL Press等に記載されている。ライブラリーとしては、ヒトゲノムライブラリーを用いることが好ましい。また、前記したようにESTデータベースに登録されている登録番号W16752の第1位から第200位で示される配列をもとにして本発明のDNAをクローニングすることも可能である。
前記クローニングされるDNAは、全長のDNA、約100塩基以上のDNA断片、あるいは該DNA断片の一本鎖(正鎖、あるいは相補鎖)の形態のものを含む。好ましい態様においては、これらは、5’転写調節領域、3’転写調節領域、エキソンのノンコーディング配列、イントロン等のゲノムDNAが挙げられる。これらアミノ酸をコードしない配列も、後述のアンチセンスヌクレオチドを用いる薬剤の開発等において、非常に有用である。
本発明においてタンパク質とは、本発明の遺伝子(DNA)を発現することによって得られるタンパク質である。具体的には、配列番号:2記載の第370位〜第2694位の塩基配列を有する最長のオープンリーディングフレームからコードされる配列番号:1記載のアミノ酸配列を有するマウス新規セマフォリンが挙げられる。該セマフォリンはセマフォリンドメインを有するが、これは配列番号:1の第49位から第572位までのアミノ酸配列に相当する。また該マウス新規セマフォリンはN末端にシグナル配列を有し、該シグナル配列は膜に移行する際にプロセシングを受けて除去され、成熟タンパクとなることが考えられる。配列番号:1の場合、その第20位以降のアミノ酸配列からなるタンパク質が成熟タンパクであると考えられる。このようなシグナル配列の除去された成熟タンパクあるいはその改変タンパク質等も、前記本発明の遺伝子を発現することによって得られるタンパク質であるため、本発明のタンパク質に含まれる。
本発明に用いられる発現ベクターは、例えば、pET、pCDM8等の公知の発現ベクターが挙げられるが、本発明の遺伝子あるいはDNAが挿入された発現可能なベクターであれば特に限定されない。
本発明の形質転換体とは、前記発現ベクターを所望の宿主細胞に導入することにより得られる。宿主細胞としては、原核生物細胞または真核生物細胞のいずれでもよく、用いる発現ベクターに応じて選ばれる。形質転換体のうち、前記発現ベクター内に存在する外来遺伝子が細胞内において安定に保持された形質転換体が、より好ましい。
発現ベクターを導入する方法としては、例えば、リン酸カルシウム法、DEAEデキストラン法、電気穿孔法(F.M.Ausubelらの編纂によるCurrent Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons(1987))等の公知の方法を用いればよい。
本発明の組換えタンパク質は、前記形質転換体を培養し、発現される組換えタンパク質を回収することにより得られる、神経伸長抑制活性を有するタンパク質である。本発明のセマフォリンは、その構造上、分泌型のタンパク質であると推測されるため、形質転換された細胞の培養上清は、セマフォリンを含んでいることが示唆される。従って、該培養上清をそのまま用いることにより、前記のように、該セマフォリンの活性測定を容易に行うことができる。
また、生産された組換えタンパク質は、通常のカラムクロマトグラフィー又は後述の本発明の抗体を用いたアフィニティー精製等の方法により容易に精製することができる。
本発明においてペプチドとは、本発明のタンパク質の有するアミノ酸配列のうち、少なくとも6アミノ酸以上の部分よりなるペプチド断片を指す。ここで、「少なくとも6アミノ酸以上」との限定は、安定な構造をとり得る最小のサイズが6アミノ酸であることによるが、好ましくは8アミノ酸以上の長さよりなるペプチドが、より好ましくは10〜20アミノ酸程度の長さよりなるペプチドが挙げられる。なお該ペプチドは、10〜20個程度の短いものであればペプチド合成装置により合成することができるし、長いものであれば通常の遺伝子工学的手法により(たとえば制限酵素処理等により)調製されたDNAを、動物細胞等に発現させることにより得ることができる。なお、このようにして作製されたペプチドを、通常の方法により修飾することも可能である。
これらペプチドは、後述のように医薬への応用が可能である他、抗体作製のためにも使用することができる。
本発明の遺伝子あるいはDNAの、少なくとも8塩基以上の部分に対応するアンチセンスヌクレオチドとは、アンチセンスオリゴヌクレオチド、もしくは、アンチセンスRNA又はアンチセンスDNAなどと呼ばれるものを指し、合成機を用いて人工的に合成したり、通常と逆の向き(すなわちアンチセンスの向き)に遺伝子を発現させることなどによって得ることができる。アンチセンスヌクレオチドは、本発明のセマフォリンの発現を抑制する目的で使用される他、in situハイブリダイゼーション等の研究用試薬としても利用できる。
前記アンチセンスヌクレオチドの化学的修飾体とは、アンチセンスヌクレオチドの細胞内への移行性または細胞内での安定性を高めることができる化学的修飾体を表し、例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、アルキルホスホトリエステル、アルキルホスホナート、アルキルホスホアミデート等の誘導体が挙げられ、公知の文献に従って、調製することができる("Antisense RNA and DNA" WILEY-LISS刊1992 P.1-50、J.Med.Chem. 36, 1923-1937(1993))。
前記アンチセンスヌクレオチド又はその化学的修飾体は、細胞内に導入されて本発明のタンパク質の発現を抑制することが可能である。通常の遺伝子の転写によって生産されるmRNAはセンス鎖であるが、アンチセンスヌクレオチド又はその化学的修飾体は、細胞内でセンス鎖mRNAに結合し、該mRNAからの翻訳を抑制することにより、本発明のセマフォリンの産生を抑制することができる。このような作用を有することにより、アンチセンスヌクレオチド又はその化学的修飾体は、例えば後述の如く中枢神経の再生促進剤となり得る。
作製したアンチセンスヌクレオチド又はその化学的修飾体が、目的の抑制効果を有しているか否かは、例えば以下の二つの方法により容易に見出すことができる。一つは、本発明の新規セマフォリンを発現する細胞に、細胞外からアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその化学的修飾体そのものを直接導入した後、該セマフォリンの発現量の変化を指標にする方法であり、もう一つは、該アンチセンスRNAを転写によって生成することが可能な遺伝子を前記セマフォリン発現細胞に導入した後、該セマフォリンの発現量の変化を指標にする方法である。
前記の発現抑制効果を有するアンチセンスヌクレオチドとしては、好ましくは転写開始部位、翻訳開始部位、5’非翻訳領域、エキソンとイントロンとの境界領域もしくは5'CAP領域に相補的な配列であることが望ましい。
本発明の抗体は、本発明のタンパク質あるいはペプチドに特異的に結合する抗体であればポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体のいずれでも構わない。例えばカレント プロトコルズ イン イムノロジー2.4.1-2.6.6頁(1992刊、ジェー・イー・コリガン編集)に記載された方法に従って、本発明のタンパク質あるいはペプチドの全部又は一部を用いてウサギやマウス等を免疫することにより、容易に作製され得る。これらの抗体を精製後、ペプチダーゼで分解することにより得られる抗体の断片も本発明の抗体に含まれる。該抗体の用途としては、アフィニティークロマトグラフィー、cDNAライブラリーのスクリーニング、医薬・診断薬・実験用試薬等が挙げられる。
本発明の新規セマフォリンに対するアンタゴニストのスクリーニング方法は、例えば本発明の新規セマフォリンの有する神経伸長抑制活性を阻害する物質を探索するためのスクリーニング方法を指す。該スクリーニングは、前記した本発明のセマフォリンの活性測定系に本発明のタンパク質を添加し、さらにそこへ被験物質(ペプチド、改変タンパク質、低分子化合物等)を添加することによって容易に行うことができる。即ち、本発明のセマフォリン等のタンパク質を添加して行う活性測定実験において、培養の期間を通して或いはその一時期だけ、被験物質を培養液に添加することによって、本発明のタンパク質の有する活性(例えば神経伸長抑制活性)が阻害されることを指標とする。また、同濃度の被験物質単独では神経細胞の生存、突起伸長などに対して影響しないことを確認することも重要である。この両者が満たされた場合、この被験物質を本発明のセマフォリンのアンタゴニストと認定することができる。被験物質はあらかじめ水溶液であることが好ましいが、DMSOなどの有機溶媒を溶媒として用いることもできる。いずれの場合も神経細胞などのアッセイ用の細胞に対する溶媒の影響を除くために、加える体積は最小限にすることが大切であり、具体的には培養液に対して等量以下、好ましくは1/10以下、更に好ましくは1/100以下になるようにする。このようにして得られた本発明の新規セマフォリンのアンタゴニストは、後述の如く中枢神経の再生促進剤となるものが存在し得る。
本発明のトランスジェニック動物は、本発明の遺伝子あるいはDNAを人為的に染色体中に挿入するか、あるいはいずれかをノックアウトすることにより作製される。すなわち本発明のトランスジェニック動物には、本発明のDNAを発現する動物ばかりではなく、本発明のDNAが破壊され、その機能が欠損したいわゆるノックアウト動物も含まれる。DNAの破壊は、公知の方法により行うことができる(相澤慎一著 ジーンターゲッティング 1995年 羊土社)。
用いられる動物としては、ヒト以外の、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ等の実験動物及びウシ、ブタ等の家畜等が挙げられるが、遺伝子工学、細胞工学的な技術開発が目覚ましいマウスが好適に用いられる。
トランスジェニックマウスを例にとって、トランスジェニック動物の作製方法を簡単に述べる。第1の方法は、マウスの受精卵の前核中にDNAをマイクロインジェクションする方法、第2の方法は、8細胞期胚に組換えレトロウイルスを感染させることにより、DNAを導入する方法、第3の方法は、全能性を有する胚性幹細胞(ES細胞)に、エレクトロポレーション法等によりDNAを導入し、これを他の胞胚に注入して、キメラを作製する方法などが知られている(ビー=ホーガンらの編纂によるマニピュレーション オブ マウスエンブリオ 1986年コールドスプリングハーバーラボラトリー、相澤慎一著 ジーンターゲッティング 1995年 羊土社)。
前記方法により得られたトランスジェニック動物は、医薬品開発のためのモデル動物として、あるいは医薬品のスクリーニング用の動物として非常に有用である。
次に、本発明の新規セマフォリン等(新規セマフォリンのタンパク、DNA、ペプチド、アンチセンスヌクレオチド、抗体及びトランスジェニック動物)の有用性につき説明する。
1)当該研究領域における試薬としての有用性
前記のように、本発明のセマフォリンは、神経の伸長に対し抑制的に作用するものであるが、一方、セマフォリン遺伝子は、免疫抑制作用などの未知の機能を有している可能性も指摘されており(Cell, 75, 1389-1399(1993))、セマフォリン遺伝子の発現、セマフォリンタンパク質の分布や機能などを調べることは、当該領域の研究にとって非常に重要である。本発明は、かかる目的のために利用可能なDNA、タンパク質、ペプチド、抗体、アンチセンスヌクレオチド、トランスジェニック動物を提供することができる。なお、本発明の新規セマフォリンは分泌型タンパク質であるため、研究用試薬として用いる場合、好都合である。
2)医薬・診断薬としての有用性
本発明のタンパク質の一つの態様は、神経の伸長に対して抑制的に作用するものである。従って末梢神経の伸長を抑制することにより、アトピー性皮膚炎などの免疫疾患、あるいは疼痛等の治療薬などになることが考えられる。
また従来の技術においても述べたように、近年、ある種のセマフォリンが末梢の非神経系においても機能を担っている可能性が示唆されている。すなわち、ある種のセマフォリンが心筋の成長抑制に働いているという可能性が示唆されており(Nature, 383, 525-528(1996))、また免疫系においてもある種のセマフォリンがBリンパ球の凝集及び生存維持に関与していることが示唆されている(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93, 11780-11785(1996))。さらに最近、ある種のセマフォリンがリウマチにおける免疫反応において何らかの役割を担っていることも示唆されている(B.B.R.C.,234, 153-156(1997))。また肺癌への関与も示唆されている(Proc.Natl.Acad.Sci USA,93,4120-4125(1996))。
さらに以下に述べる理由により、本発明のセマフォリンは細胞の移動あるいは浸潤といった運動を抑制することができると考えられる。すなわち細胞自体の運動においてアクチンの細胞骨格は重要な働きをしているが、神経の成長円錐の運動においても、同様にアクチンの細胞骨格が非常に重要な働きをしていることが明らかとなっている。また、両者においてアクチン細胞骨格の形成は、Rhoファミリーに属するG蛋白の関与する類似のメカニズムによって制御されていることが明らかとなっている(Genes Develop. 8, 1787-1802(1994), Cell,81,53-62(1995))。本発明のセマフォリンはアクチンの脱重合を介して成長円錐の伸長を抑制していると予想されるが、同様のメカニズムによって、セマフォリンに対する受容体を発現している細胞に対しても移動・浸潤といった運動を抑制することができると考えられる。このことは、最近、セマフォリンと同様に成長円錐の退縮を起こす神経ガイダンス因子として知られているエフリンが、神経冠細胞の移動を抑制することが示されたことによっても裏付けられている(Neuron,18383-396(1997))。
以上の知見を考え合わせると、本発明の新規セマフォリンタンパク、DNA等が癌細胞や免疫細胞の浸潤あるいは移動に対して抑制作用を有し、抗アレルギー剤、免疫抑制剤、あるいは抗癌剤として利用されることも考えられる。
また本発明の新規セマフォリンは後述の実施例2に記載の如く、末梢組織の広範囲に渡り、かつ局在して発現していることにより、これらの部位又はその近傍において何らかの機能を担っている可能性が示唆される。従ってこの場合、本発明の新規セマフォリンは、実施例2で示された発現部位における疾患の治療薬あるいは診断薬となり得る。
なお前記1)にも述べたように、本発明のセマフォリンは分泌型タンパク質であるため、医薬又は診断薬として用いる場合、好都合である。
一方、天然型セマフォリンのセマフォリン受容体への結合を阻害する物質が、セマフォリンの有する神経の伸長抑制作用を抑制するアンタゴニストとなる可能性が示唆される。本発明のセマフォリンは中枢神経系においても発現していることから、中枢神経の再生阻止因子であるとも考えられ、その場合、アンタゴニスト能を有するペプチド、抗体、あるいはアンチセンスヌクレオチドが中枢神経の再生を促進し、脊髄損傷等の治療薬となり得る。なお、これらアンタゴニストの中には前述のスクリーニング方法によって見出されるものが存在する。
以上、本発明の新規セマフォリン等の医薬・診断薬としての利用性について記載したが、投与量及び投与方法としては、例えばセマフォリンタンパク、ペプチドあるいは抗体においては、適当な安定化剤、緩衝液、希釈液と共に製剤化し、1回当たり数百μgから2g、好ましくは数十mg以下を用いることができる。投与回数を減らすために徐法性製剤を利用したり、オスモティックポンプなどで長期間に渡って少量ずつ投与する方法も可能である。あるいは該セマフォリンタンパク質等を発現する細胞を生体内に移植することによっても可能である。
アンチセンスヌクレオチドを医薬として用いる場合は、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその化学的修飾体をそのまま投与する方法、およびアンチセンスRNAを細胞内で生産する方法があり、以下のような投与量、投与方法が考えられる。
アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその化学的修飾体をそのまま投与する方法において、このアンチセンスオリゴヌクレオチドの好ましい長さとしては、例えば5−200塩基のものが挙げられ、さらに好ましくは8−25塩基が挙げられ、特に好ましくは12−25塩基のものが挙げられる。アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその化学的修飾体を安定化材、緩衝液、溶媒などと混合して製剤化した後、投与時には抗生物質、抗炎症剤、麻酔薬などと同時に用いることもできる。こうして調製された製剤は様々な方法で投与可能であるが、好ましくは障害部位に対して局所的に投与される。頻回の投与を避けるために徐放性のミニペレット製剤を調製し患部近くに埋め込むことも可能である。あるいはオスモチックポンプなどを用いて患部に連続的に徐々に投与することも可能である。通常投与量は作用部位における濃度が0.1nM-10μMになるように調製する。
一方、アンチセンスRNAを細胞内で生産する方法において、このアンチセンスRNAの好ましい長さとしては、例えば100塩基以上が挙げられ、好ましくは300塩基以上が挙げられ、さらに好ましくは500塩基以上が挙げられる。
アンチセンスRNAを産生する遺伝子の患者への導入方法としては、直接生体内の細胞に遺伝子を導入するin vivo法、及び体外である種の細胞に遺伝子を導入し、その細胞を体内に戻すex vivo法がある(日経サイエンス,1994年4月号,20-45頁、月刊薬事,36(1),23-48(1994)、実験医学増刊,12(15),(1994)、およびこれらの引用文献等)が、in vivo法がより好ましい。
in vivo法としては、組換えウイルスを用いる方法及びその他の方法(日経サイエンス、1994年4月号、20-45頁、月刊薬事、36(1)、23-48(1994)、実験医学増刊、12(15)、全頁(1994)、及びこれらの引用文献等)のいずれの方法も適用することができる。
組換えウイルスを用いる方法としては、例えばレトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、ポリオウイルス、シンビスウイルス等のウイルスゲノムにセマフォリン遺伝子を組み込んで生体内に導入する方法が挙げられる。この中で、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス等を用いた方法が特に好ましい。
その他の方法としては、リポソーム法、リポフェクチン法等が挙げられ、特にリポソーム法が好ましい。
ex vivo法としては上記方法以外にマイクロインジェクション法、リン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法等も用いることができる。
患者への投与方法は、治療目的の疾患、症状などに応じた適当な投与経路により投与される。例えば、静脈、動脈、皮下、筋肉内等に投与するか、または神経などの疾患の対象部位に直接投与することができる。例えば、脊髄に感染させると脊髄で特異的にセマフォリン遺伝子の発現が抑制される。通常、本願のアンチセンスヌクレオチドの発現は数日から数カ月持続し、この1回の感染で神経の再生等が十分に起こる。発現が弱いときは、再感染することもできる。in vivo法により投与される場合は、製剤形態(例えば、液剤など)をとりうるが、一般的には有効成分であるアンチセンスヌクレオチドを含有する注射剤等とされ、必要に応じて、慣用の担体等を加えても良い。また、アンチセンスヌクレオチドを含有するリポソームまたは膜融合リポソーム(センダイウイルス(HVJ)ーリポソーム等)においては、懸濁剤、凍結剤、遠心分離濃縮凍結剤などのリポソーム製剤の形態とすることができる。
製剤中のアンチセンスヌクレオチドの含量は、治療目的の疾患、患者の年齢、体重等により適宜調節することができるが、通常0.0001-100mg、好ましくは0.001-10mgであり、これを数日ないし数カ月に1回投与するのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
図1:実施例3のノーザンブロッティング法による電気泳動の写真である。図中、レーンE10、E12、E14、E16、P0、P7、P14及びADは、それぞれ、胎生10日、胎生12日、胎生14日、胎生16日、生後0日、生後7日、生後14日、成体を表す。また、上側の矢印は本発明の新規セマフォリンのバンドを、下側の矢印はGAPDH〔2〕のバンドを示す。
図2:実施例5の新規セマフォリンの活性測定(2)の結果を示す顕微鏡写真である。図の中央に位置するのが後根神経節組織片であり、左の黒い部分は新規セマフォリンとアルカリフォスファターゼとの融合タンパクを発現するNIH3T3細胞の細胞塊を、また右側の黒い部分はコントロールであるアルカリフォスファターゼ発現NIH3T3細胞の細胞塊を示す。コントロール細胞側への神経突起の伸長と比較して、セマフォリン発現細胞側への神経突起の伸長が抑制されていることが観察される。
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
実施例1
新規セマフォリン遺伝子のクローニング
1)セマフォリンドメインをコードするcDNA断片の増幅
ICRマウス(紀和実験動物社製)の14日胚よりファストトラック(インビトロジェン社製)を用いてmRNAを単離し、続いてMLV逆転写酵素及びランダムヘキサマープライマーを用いて、該mRNAを鋳型として一本鎖cDNAを合成した。次に、既知のセマフォリン遺伝子であるコラプシンとG−SemaIとの間でホモロジーを有する部分(Cell, 75, 217-227(1993))を増幅する目的で、以下の2種類の合成オリゴヌクレオチドプライマー(5'-TACGACGTN(A/C/T)TNTT(C/T)AT(A/C/T)GG-3'、5'-TCCCAIGC(A/G)CA(A/G)TAIGG(A/G)TC-3')を用いて、前記一本鎖cDNAを鋳型としてFEBS.Lett.370, 269-272(1995)に記載の条件で、PCR反応を行った。得られたPCR産物を1.5%アガロースゲル電気泳動に供することにより、予想された約300pbのサイズを有するDNA断片を分離・精製した。このDNA断片をpCRscript SK(+)(ストラタジーン社製)に挿入し、以下のcDNAライブラリースクリーニング用のプローブとした。
2)cDNAクローンの単離
ランダムプライミング(ファルマシア社製)を用いて、前記1)で得られた約300bpのcDNA断片を32Pで標識したものをプローブとして、以下のようにして成体マウス脳cDNAライブラリー(ストラタジーン社製)をスクリーニングした。すなわち、該cDNAライブラリーのファージDNAを転写し、変性させ、中和させた後固定させたナイロンフィルター(ハイボンド−N、アマシャム社製)と、前記プローブとのハイブリダイゼーションを行い、陽性クローンを得た。ハイブリダイゼーションは、ハイブリダイゼーションバッファー(5×SSPE(0.9M NaCl,50mM NaH2PO4(pH7.7),5mM EDTA)、45%ホルムアミド、5×デンハルト溶液、0.5% SDS、20μg/ml変性サケ精子DNA)中、42℃で16時間行った。
3)DNAシーケンシング
前記2)で得られたクローンの内、最長のcDNAを有するクローンのDNAについて、タック・ダイ・プライマー・サイクルシークエンスキット又はタック・ダイ・ターミネーター・サイクルシークエンスキット並びにABI373A DNAシークエンサー(アプライドバイオシステム社製)を用い、ジデオキシチェーンターミネーション法による塩基配列の決定を行った。決定したcDNAの塩基配列を配列番号:2に示す。最長のオープンリーディングフレームは、配列番号:2の第370位〜第2694位に相当し、該ORFに対応するアミノ酸配列を、配列番号:1に示す。
配列番号:2の塩基配列を既知のデータベース上の塩基配列と比較した結果、この遺伝子は新規遺伝子であることが判明した。更に、配列番号:1のアミノ酸配列の第49位から第572位が、いわゆるセマフォリンドメイン配列と相同性を有することやセマフォリン遺伝子間で良く保存されている13個のシステインが存在することから、セマフォリンファミリーに属する新規なセマフォリンであることが確認された。
なお、本発明の新規セマフォリンは、アミノ酸配列の第591位〜第659位にイムノグロブリン様ドメインを有しているが、膜貫通領域を有していないことから、分泌型セマフォリンサブファミリーに属するものと予想される。
本発明の新規セマフォリン遺伝子のcDNA全長をpUCSRαに組み込んだプラスミドpSRαmS(I)をE.coli JM109株に導入して得られた形質転換体であるE.coli JM109(pSRαmS(I))は、茨城県つくば市東1丁目1番3号、工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託されている(微生物の表示:E.coli JM109(pSRαmS(I));受託日:平成9年10月24日;受託番号:FERM BP-6157))。
実施例2
In situハイブリダイゼーションによる新規セマフォリン遺伝子の発現分布の解析
1)方法
1.スライドの作製
ddYマウス(SLC社より購入)から各臓器を採取し、ドライアイスパウダーで凍結させた後、クリオスタットを用いて−15℃で、厚さ14μmの切片を調製し、スライドを作製した。
2.プローブの作製
実施例1−3)で得られたcDNAのBamHI-EcoRIフラグメント(約680bp)をBluescript KS+(ストラタジーン社製)に挿入した後BamHIで切断したDNAを鋳型として、T3 RNAポリメラーゼを用いて35S−UTPで標識したアンチセンスRNAプローブを作製した。
3.スライドの前処理
前記1.で得られた切片を10%ホルマリン溶液で20分間固定後、PBSで2回洗浄し、10μg/mlプロテアーゼKを含む50mM Tris−HCl(pH8.0)・5mM EDTA溶液で5分間処理した。該切片をPBSで1回洗浄後、10%ホルマリン溶液で5分間再度固定し、0.25%無水酢酸を含む0.1M トリエタノールアミン溶液で10分間処理した。さらに、該切片をPBSで1回洗浄後、70%、90%、100%アルコールで処理することにより脱水した。
4.ハイブリダイゼーション
前記2.で作製したプローブをスライド1枚あたり1×106cpmとなるようにハイブリダイゼーションバッファー(50%ホルムアミド、20mM Tris−HCl(pH8.0)、5mM EDTA、0.3M NaCl:1%デンハルト溶液、0.2%サルコシル、200μg/ml酵母tRNA、200μg/mlサケ精子DNA)に添加し、該バッファーをスライドにのせて55℃で一晩インキュベートした後、次のような操作を行った。
▲1▼ 5×SSC、1% 2−メルカプトエタノール溶液、55℃で15分間
▲2▼ 2×SSC、50%ホルムアミド、5% 2−メルカプトエタノール溶液、65℃で30分間
▲3▼ 10mM Tris−HCl、1mM EDTA、0.5M NaCl溶液、37℃で30分間
▲4▼ 1mg/ml RNアーゼAを含む前記▲3▼溶液、37℃で30分間
▲5▼ 2×SSC、50%ホルムアミド、5% 2−メルカプトエタノール溶液、65℃で30分間
▲6▼ 2×SSC、室温で10分間
▲7▼ 0.1×SSC、室温で10分間
最後に、70%、90%、100%アルコールで処理することにより脱水した。
5.オートラジオグラフィー
写真乳剤(ILford K-5、イルフォード社製)を用いて、ミクロオートラジオグラフィーを行った。
2)結果
本発明の新規セマフォリン遺伝子は、主として以下の部位に分布していた(新生マウスと記載しない限り、成熟マウスでの分布を示す)。
▲1▼ 末梢組織
歯(新生マウスでの発現)
ゾウゲ芽細胞
内耳(新生マウスでの発現)
ラセン神経節
半器官上皮
卵形襄斑
球形襄斑

気管
気管支、細気管支の上皮〜平滑筋層
腎臓
糸球体あるいはボウマン嚢内葉
卵巣
卵胞の顆粒層
皮膚
毛母基
顔面、脊椎などの軟骨
ヒゲの毛根とその周囲
▲2▼ 中枢神経系
眼球
網膜の神経細胞層と内顆粒層
海馬
大脳皮質
深層(5・6層)
大脳基底核(線条体、淡蒼球、対角帯核)
視床網様核
小脳
顆粒細胞層
嗅球
糸球体層
僧帽体細胞層
内顆粒層
橋核
三叉神経脊髄路核
三叉神経主知覚核
後根神経節の一部の神経細胞(新生マウスでの発現)
孤束核
網様体
実施例3
ノーザンブロッティングによる新規セマフォリン遺伝子の発現分布の解析
1)方法
妊娠ddYマウスより、胎生10、12、14及び16日のマウス(vaginal plug確認日を胎生0日として)を採取した。胎生10日は体全体、胎生12日は頭部、胎生14日、16日、生後0日、7日、14日及び成熟マウスは脳より、QuickPrep Micro mRNA Purification Kit(Pharmacia社製)を用いてmRNAを精製し、それぞれ4μg/レーンのmRNAを1%アガロース・ホルムアルデヒドゲルを用いて電気泳動に付した後、ナイロン膜(Hybond N, Amarsham)に転写した。実施例1−3)で得られたcDNAのXbaI-HindIIIフラグメント(約790bp)を鋳型として、ランダムラベリングキット(Phamacia)を用いてα−32PdCTPで標識したプローブを作製した。同様にして、内部標準としてGAPDH〔2〕も標識した。
前記プローブ及びGAPDH〔2〕を、ハイブリダイゼーション溶液(50%ホルムアミド、5×SSC、5×デンハルト液、25mMリン酸ナトリウムバッファー(pH6.8)、5mM EDTA、0.1%SDS、20μg/mlサケ精子DNA)に、それぞれ、1×106cpm/mlとなるように添加し、前記ナイロン膜と42℃で一晩ハイブリダイズさせた。最終的に該ナイロン膜を0.1×SSC、0.1%SDS中で65℃で10分×3回及び20分×3回洗浄した後、バイオイメージアナライザーBAS1000(Fuji Film社製)で一晩露光することにより、バンドの検出を行った。
2)結果
結果を図1に示す。本発明の新規セマフォリン遺伝子は、調べた全てのステージにおいてその発現が認められた。
実施例4
動物細胞における新規セマフォリンの発現
実施例1−2)で得られた本発明の新規セマフォリン遺伝子をNIH3T3細胞に導入することにより、本発明の新規セマフォリンを発現させた。
まず、実施例1−2)で得られた新規セマフォリンcDNAのコーディング領域をAP(アルカリフォスファターゼ)−1ベクター(Flanagan,JG.and Leader,P. Cell vol.63,pp185-194(1990))に挿入し、新規セマフォリン−アルカリフォスファターゼ融合タンパク発現用のベクターを作製した。
2μgの前記ベクターDNAを、Flanagan,JG.and Leder,P. Cell vol.63,pp185-194(1990)記載の方法に従い、リン酸カルシウム共沈殿法によりNIH3T3細胞に導入した。24時間後に細胞をトリプシン処理して剥がし、10%FCS(GIBCO BRL)含有DMEM中で懸濁した後、これを98ウエルディッシュに播いた。その後培養を続け、ジェネティシン存在下で安定にアルカリフォスファターゼ活性を発現する形質転換細胞をスクリーニングした。アルカリフォスファターゼ活性の測定は、前述の形質転換細胞の培養上清を採取し、これにアルカリフォスファターゼの基質であるp−ニトロフェニルフォスフェートを加えて発色させ、その後OD405nmの吸光度を測定することによって行った(Flanagan,JG.and Leder,P. Cell vol.63,pp185-194(1990))。
その結果、安定にアルカリフォスファターゼ活性を発現する形質転換細胞を得たため、この細胞を本発明の新規セマフォリン−アルカリフォスファターゼ融合タンパク発現細胞として、後述の実施例5の活性測定系に供した。なおコントロールとして、セマフォリンcDNAの挿入のないAP−1ベクターを用いて上記と同じ実験を行い、アルカリフォスファターゼのみを発現するコントロールの形質転換細胞を調製した。
実施例5
新規セマフォリンの活性測定(1)
実施例1−2)で得られたcDNAを、プラスミドpUCSRαに挿入して発現プラスミドを作製する。該発現プラスミドを、DEAEデキスラン法により、COS7細胞にトランスフェクトし、1日後、2日後に培養上清を回収する。該培養上清と対照のトランスフェクトしないCOS7細胞の培養上清とを、各々インビトロで一晩培養して十分突起を伸ばした神経細胞の培養液に添加し、M.Igarashi et al Science vol.259 pp77-79(1993)に記載の方法で成長円錐の退縮活性を測定する。その結果、本発明のセマフォリン遺伝子を発現させたCOS7細胞の培養上清が、有意に高い成長円錐の退縮活性を有することが明らかとなる。
新規セマフォリンの活性測定(2)
実施例1−2)で得られたcDNAを、プラスミドpUCSRαに挿入して発現プラスミドを作製する。該発現プラスミドを、DEAEデキスラン法により、COS7細胞にトランスフェクトし、発現細胞の塊を形成させた後、神経細胞と適当な距離をおいて、適当な培養液を含むコラーゲンゲルマトリックス中に封入する。なお、対照としてトランスフェクトしないCOS7細胞の塊も同様に封入する。数日間培養した後突起の伸長を調べると、本発明のセマフォリン遺伝子発現COS7細胞の方向に向かう神経突起の伸長が抑制されていることが観察される。
同じ実験を、実施例4で作製した新規セマフォリン発現NIH3T3形質転換細胞を用いても行うことができる。
具体的には、まず胎生12.5日〜14.5日のマウス胚より常法により取り出した後根神経節の組織片を、培養液(ハンクス液、ニッスイ)中に入れる。この後根神経節組織片を、実施例4で作製した本発明の新規セマフォリン発現NIH3T3細胞(新規セマフォリンとアルカリフォスファターゼとの融合タンパクを発現する細胞)及びコントロールのNIH3T3細胞(アルカリフォスファターゼのみを発現する細胞)の細胞塊から400〜800μmの距離に位置するようにし、これら全ての細胞塊及び組織片をコラーゲンゲルマトリックス中に封入する。コラーゲンゲルマトリックスはTessier-Iavigne,M.and Goodman,C.S., Science,274, 1123-1133(1996)の方法に従い、コラーゲン、10×BME及びNaHCO3/NaOHを8:1:1になるように混合し、37℃で30分間インキュベートすることによりマトリックスのポリメライゼーションを行い、50ng/mlのマウスNGF(Boehringer-Mennheim)を含有する培養液(10%FCS(GIBCO BRL)含有DMEM培養液)2mlを、先のコラーゲンゲルマトリックスに添加する。
24〜46時間培養後、前記後根神経節及びNIH3T3細胞を4%パラホルムアルデヒド含有リン酸バッファーで固定し、オリンパスIMT−2倒立型位相差顕微鏡により観察する。後根神経節の組織片外縁から神経突起の拡がりの外周までの距離を測定することにより、コラーゲンゲル中への神経突起の伸長が測定される(Messersmith et al. Neuron,14,pp949-959(1995))。
その結果、コントロールのNIH3T3細胞が置かれた側への神経突起の伸長の程度と比較して、新規セマフォリン発現NIH3T3細胞が置かれた側への神経突起の伸長が有意に減少していることから、本発明の新規セマフォリンは、神経突起の伸長を抑制したことが明らかとなる(図2)。
新規セマフォリンの活性測定(3)
胎生11.5日〜12.5日の後根神経節組織片をトリプシンで分離する。次に、コントロールの馴化培地(AP−1ベクターで形質転換したNIH3T3細胞を4日間培養した培養液に50ng/mlのマウスNGF(Boehringer Mennheim)を添加した培養液)、あるいは本発明の新規セマフォリンとアルカリフォスファターゼとの融合タンパクを発現するNIH3T3細胞を4日間培養した馴化培地に50ng/mlのマウスNGFを添加した培養液中に、先のトリプシンで単離した後根神経節細胞を低密度で播く。37℃で18時間培養後、細胞を4%パラホルムアルデヒドで1時間固定する。細胞の直径の2倍以上の長さまで伸長した神経突起を「神経突起」と定義し、神経突起を有する細胞数を計測する。
その結果、コントロールの培養液で処理した後根神経節細胞では71.9%が神経突起を有していたのに対し、本発明の新規セマフォリンを有する培養液で処理した後根神経節細胞では12.9%しか神経突起を有していないことから、本発明の新規セマフォリンは、神経突起の伸長を抑制することが明らかとなる。
【発明の効果】
本発明により、神経伸長抑制活性を有する新規なセマフォリン及びその類似タンパク質、またはこれらのタンパク質のペプチド断片、抗体、あるいはこれらのタンパク質をコードする遺伝子、該遺伝子の発現ベクター、該発現ベクターを導入した形質転換細胞、該形質転換細胞を用いる組換えタンパク質の生産方法、前記遺伝子のアンチセンスヌクレオチド、前記遺伝子の挿入及び欠損に係るトランスジェニック動物、前記タンパク質に対するアンタゴニストのスクリーニング方法が提供される。さらに、前記タンパク質、遺伝子等を用いる医薬、診断薬又は研究用試薬により、主として神経疾患に係わる診断、治療又は研究の飛躍的な進歩が期待される。
【配列表】
配列番号:1
配列の長さ:775
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:ペプチド
配列
Figure 0004011629
Figure 0004011629
Figure 0004011629
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Figure 0004011629
配列番号:2
配列の長さ:2898
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA
配列:
Figure 0004011629
Figure 0004011629
Figure 0004011629

Claims (12)

  1. 以下の(a)又は(b)のタンパク質をコードする遺伝子:
    (a)配列番号:1に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質;
    (b)配列番号:1に記載のアミノ酸配列のうち1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ後根神経節の神経伸長抑制活性を有するタンパク質。
  2. 以下の(a)又は(b)のDNAからなる遺伝子:
    (a)配列番号:2に記載の塩基配列からなるDNA
    (b)配列番号:2に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ後根神経節の神経伸長抑制活性を有するタンパク質をコードするDNA。
  3. 請求項1又は請求項2記載の遺伝子を発現することによって得られる後根神経節の神経伸長抑制活性を有するタンパク質。
  4. 請求項1又は請求項2記載の遺伝子がコードするタンパク質。
  5. 請求項1又は請求項2記載の遺伝子を含有する発現ベクター。
  6. 請求項記載の発現ベクターを導入することにより得られる形質転換体。
  7. 請求項記載の発現ベクター内に存在する請求項1又は請求項2記載の遺伝子が安定に保持される、請求項記載の形質転換体。
  8. 請求項又は請求項記載の形質転換体を培養し、発現される組換えタンパク質を回収することからなる、組換えタンパク質の生産方法。
  9. 請求項又は請求項記載のタンパク質に特異的に結合する抗体又はその断片。
  10. 請求項又は請求項記載のタンパク質の少なくとも1つを含有することを特徴とする、末梢神経の伸長抑制剤。
  11. 請求項又は請求項記載のタンパク質を用いることを特徴とする、請求項又は請求項のタンパク質に対するアンタゴニストのスクリーニング方法。
  12. 請求項1又は請求項2記載の遺伝子を人為的に染色体中に挿入したか、あるいはいずれかをノックアウトさせたトランスジェニック非ヒト動物。
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