JPH10152326A - スピネル型構造を有するリチウム−マンガン複合酸化物の製造方法 - Google Patents

スピネル型構造を有するリチウム−マンガン複合酸化物の製造方法

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JPH10152326A
JPH10152326A JP9208243A JP20824397A JPH10152326A JP H10152326 A JPH10152326 A JP H10152326A JP 9208243 A JP9208243 A JP 9208243A JP 20824397 A JP20824397 A JP 20824397A JP H10152326 A JPH10152326 A JP H10152326A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高エネルギー密度を有すると共に、サイクル特
性にすぐれるリチウム二次電池の正極材料として好適に
用いることができるスピネル型構造を有するリチウム−
マンガン複合酸化物を低廉な原料を用いて簡単且つ効率
よく製造する方法を提供する。 【解決手段】第1は、水又は炭素数1〜3の脂肪族低級
アルコール又はこれらの混合物からなる溶剤中にて、水
酸化リチウム又は炭酸リチウムから選ばれるリチウム化
合物と二酸化マンガンとを混合して、ゲル状物質とし、
これを乾燥し、焼成する。第2は、水又は炭素数1〜3
の脂肪族低級アルコール又はこれらの混合物からなる溶
剤中にて、ギ酸及び酢酸から選ばれる有機酸の存在下
に、水酸化リチウム又は炭酸リチウムから選ばれるリチ
ウム化合物と二酸化マンガンとを混合して、ゲル状物質
とし、これを乾燥し、焼成する。いずれの方法において
も、上記ゲル状物質を調製し、これを加熱して、乾燥、
焼成するに際して、そのための加熱の少なくとも一部を
マイクロ波加熱によれば、スピネルLiMnを効
率よく製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非水電解質(有機
電解質)リチウムイオン二次電池の正極材料に好適に用
いることができるリチウム−マンガン複合酸化物の製造
方法に関し、詳しくは、4V級高エネルギー密度を有す
ると共に、サイクル特性にすぐれるリチウムイオン二次
電池の正極材料として好適に用いることができるスピネ
ル型構造を有するリチウム−マンガン複合酸化物を低廉
な原料を用いて簡単な方法で製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、リチウム/コバルト複合酸化物
(コバルト酸リチウム)、LiCoOが非水電解質リ
チウムイオン二次電池のための高性能の正極材料として
用いられているが、しかし、コバルトは、資源量が少な
く、高価であるので、最近、スピネル型構造を有するリ
チウム−マンガン複合酸化物、即ち、スピネルLiMn
が次世代の非水電解質リチウムイオン二次電池の
正極材料として注目されている。
【0003】スピネルLiMnを正極材料とする
非水電解質リチウムイオン二次電池によれば、充放電に
際して、リチウムイオンを結晶格子内にドープ又は脱ド
ープさせることができるので、結晶格子の構造破壊を大
きくは伴わず、充放電を安定して行なうことができ、か
くして、非水電解質リチウムイオン二次電池の正極材料
としての実用化が研究されている。
【0004】従来、スピネルLiMnの製造方法
としては、特開平4−198028号公報に記載されて
いるように、二酸化マンガンとリチウム化合物のそれぞ
れの粉末を直接機械的に乾式混合し、得られた粉末混合
物を高温で焼成する方法が知られている。
【0005】しかし、二酸化マンガンとリチウム化合物
を機械的に混合して、サブミクロンレベルの均一な粉末
混合物を得ることは困難であり、また、これら金属の酸
化物の熱伝導率が非常に低いので、このような粉末混合
物を焼成して、スピネルLiMnを得るには、特
開平7−78611号公報に記載されているように、高
温にて10〜100時間もの長時間にわたって焼成し、
更に、このような高温での焼成を繰り返して行なうこと
が必要である。しかも、このようにして得られる正極材
料は、その初期充放電容量が理論値(148mAh/
g)に遠く及ばないものである。また、このようなスピ
ネルLiMnを正極材料とする非水電解質リチウ
ムイオン二次電池の充放電を繰り返すと、その容量の劣
化が著しいという欠点もある。
【0006】他方、酢酸マンガンと酢酸リチウムとをエ
チレングリコールに加熱溶解させた後、上記溶剤を除去
して、ゲル状混合物とし、これを焼成して、スピネルL
iMnを得る方法が特開平6−203834号公
報に記載されているが、この方法においては、用いる原
料がいずれも高価であって、スピネルLiMn
工業的な製造方法としては、採用し難い。
【0007】一般に、2種の粉末固体を反応物質として
用いる固相反応は、反応物質を構成するイオンや原子の
移動が可能となる高温に上記粉末固体を加熱して、これ
ら2種の固相間において、イオンや原子を相互拡散させ
ることによって起こる。このような固相反応において
は、2種の粉末固体を分子レベルで均一に混合すること
ができないので、固相反応は、固相相互の接触部で反応
が始まり、それらの界面に反応生成物が生成する。この
ようにして、2種の固相の界面に反応生成物が生成し、
更に、反応が進行するためには、少なくとも一方の固相
のイオンや原子がその反応生成物の層を通過して、他の
固相中に拡散する物質輸送が行なわれることが必要であ
る。従って、粒子が微細であればあるほど、拡散距離は
短く、拡散面は大きくなるので、均一な組成を有する緻
密な生成物を容易に得ることができる。
【0008】従来、乾式法によって、スピネルLiMn
を製造する場合、出発原料である二酸化マンガン
とリチウム化合物とを混合することが必要であるが、こ
こに、二酸化マンガンは、その粒径が数ミクロンから数
十ミクロンの範囲にあり、他方、水酸化リチウムの粒径
は、これらの約100倍もあるので、これらを均一に混
合することができない。更に、前述したように、二酸化
マンガンやマンガン酸リチウムのような金属酸化物は、
熱伝導率が小さいため、電気炉を用いて数百℃まで加熱
するとき、試料の表面から内部まで温度が均一になるに
は数時間を必要とする。
【0009】かくして、従来の乾式法に従って、スピネ
ルLiMnを製造するために、原料である粉末固
体の混合物を高温で焼成する場合に、その焼成温度と時
間が適当でないときは、上記混合物中に温度差が生じ、
局部的な元素の濃縮が発生して、最終生成物として、ス
ピネルLiMn以外のものが生成する。特に、焼
成温度が高すぎるときは、望ましくない副生物が生成す
るのみならず、生成した複合酸化物の結晶化が過度に進
行し、結果として、得られる電池の特性を低下させるこ
ともある。
【0010】即ち、スピネルLiMnの合成にお
いては、原料である粉末固体を均一に混合することと、
得られた粉末固体の混合物を均一に高温に加熱して、望
ましい固相反応を速やかに進行させることが非常に重要
である。
【0011】本発明者らは、スピネルLiMn
合成に関して、上記観点から鋭意研究した結果、水、ア
ルコール又はこれらの混合物からなる溶剤中にて、好ま
しくは、後二者の溶剤中にて、水酸化リチウム又は炭酸
リチウムから選ばれるリチウム化合物、好ましくは、水
酸化リチウムと二酸化マンガンとを混合して、水酸化リ
チウムを溶剤中に溶解させ、生成したリチウムイオンを
多孔性の二酸化マンガンの粒子の微細孔中に拡散させる
ことによって、二酸化マンガンとリチウム化合物とのゲ
ル状の均一な混合物を容易に得ることができ、このよう
な混合物を焼成することによって、好ましい態様によれ
ば、マイクロ波による加熱と電気炉を用いる加熱とを併
用することによって、目的とするスピネルLiMn
を容易に且つ効率よく得ることができることを見出し
て、本発明に至ったものである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、本発
明は、従来のスピネルLiMnの製造における種
々の問題を解決するためになされたものであって、高エ
ネルギー密度を有すると共に、サイクル特性にすぐれる
リチウム二次電池の正極材料として好適に用いることが
できるスピネル型構造を有するリチウム−マンガン複合
酸化物を低廉な原料を用いて簡単且つ効率よく製造する
方法を提供することを目的とし、特に、二酸化マンガン
とリチウム化合物との均一な混合物を容易に得ること
と、この混合物の短時間の焼成によって、特性にすぐれ
るスピネルLiMnを容易に得ることができる方
法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明によるスピネル型
構造を有するリチウム−マンガン複合酸化物の製造方法
の第1は、水又は炭素数1〜3の脂肪族低級アルコール
又はこれらの混合物からなる溶剤中にて、水酸化リチウ
ム又は炭酸リチウムから選ばれるリチウム化合物と二酸
化マンガンとを混合して、ゲル状混合物とし、これを乾
燥し、焼成することを特徴とする。
【0014】本発明による第2の方法は、水又は炭素数
1〜3の脂肪族低級アルコール又はこれらの混合物から
なる溶剤中にて、ギ酸及び酢酸から選ばれる有機酸の存
在下に、水酸化リチウム又は炭酸リチウムから選ばれる
リチウム化合物と二酸化マンガンとを混合して、ゲル状
混合物とし、これを乾燥し、焼成することを特徴とす
る。
【0015】特に、本発明によれば、上記第1、第2の
いずれの方法においても、上記ゲル状混合物を調製し、
これを加熱して、乾燥、焼成するに際して、そのための
加熱に、マイクロ波を用いる加熱と電気炉を用いる加熱
とを併用することによって、サイクル特性にすぐれるリ
チウム二次電池の正極材料として好適に用いることがで
きるスピネルLiMnを効率よく製造することが
できるので、スピネルLiMnの工業的な製造に
有利である。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明においては、原料物質とし
て、二酸化マンガンと共に、水酸化リチウム又は炭酸リ
チウムから選ばれる少なくとも1種のリチウム化合物が
いずれも粉末で用いられる。しかし、これら原料物質
は、いずれも、特に、その粒径において限定されるもの
ではない。
【0017】本発明による第1の方法によれば、水又は
炭素数1〜3の脂肪族低級アルコール又はこれらの混合
物からなる溶剤中にて、水酸化リチウム又は炭酸リチウ
ムから選ばれるリチウム化合物と二酸化マンガンとを混
合して、ゲル状混合物とし、これを乾燥し、焼成するこ
とによって、スピネルLiMnを得る。この第1
の方法の好ましい一態様によれば、先ず、二酸化マンガ
ンを上記溶剤に加えて、懸濁液を調製し、次いで、これ
に水酸化リチウムを加えて、このリチウム化合物を溶剤
中に溶解させ、かくして得られた混合物を攪拌混合し
て、ゲル状混合物を生成させる。本発明において、この
ように、リチウム化合物と二酸化マンガンとを溶剤中で
混合し、反応させて、ゲル状混合物を得る方法を溶液含
浸法ということがある。
【0018】ここに、上記溶剤である炭素数1〜3の脂
肪族低級アルコールとしては、例えば、メタノール、エ
タノール、n−プロパノール、イソプロパノール等を用
いることができるが、これらのなかでは、特に、メタノ
ールが好ましい。本発明において、最も好ましい溶剤
は、20重量%までの水を含んでいてもよい上記脂肪族
アルコールである。
【0019】本発明によるスピネルLiMnの製
造方法において、前記リチウム化合物の量は、通常、二
酸化マンガン2モル部に対して1モル部を用いればよ
い。本発明によれば、二酸化マンガンに対するリチウム
化合物の使用量を適宜に調節することによって、Li
Mnなる組成式を有し、xが0.9〜1.2の範
囲の数であり、好ましくは、0.95〜1.15の範囲
の数であるスピネルLiMnを得ることができ
る。従って、本発明によれば、化学量論的なスピネル型
構造を有するリチウム−マンガン複合酸化物も、非化学
量論的なものも、容易に製造することができる。
【0020】また、用いる溶剤の量は、特に、限定され
るものではないが、通常、二酸化マンガン100gに対
して、20〜200mLの範囲が好ましい。このよう
に、溶剤中でリチウム化合物と二酸化マンガンとを混合
すれば、通常、1時間以内にゲル状混合物が生成する。
【0021】より詳細には、本発明の方法において、溶
剤が前記アルコールを含む場合、この溶剤に二酸化マン
ガンと前記リチウム化合物、好ましくは、水酸化リチウ
ムを加え、混合することによって、リチウム化合物は、
アルコールとの間に発熱を伴う化学反応を起こして、イ
オンとして溶剤中に溶解し、このリチウムイオンが多孔
性の二酸化マンガンの粒子の細孔中に拡散し、かくし
て、均一なゲル状混合物が生成する。このようなゲル状
混合物を、必要に応じて、加熱し、乾燥させた後、高温
で焼成することによって、目的とするスピネルLiMn
を得ることができる。
【0022】本発明による第2の方法は、前述した溶剤
中にて、上記溶剤中にギ酸及び酢酸から選ばれる有機酸
を存在下に、前記リチウム化合物と二酸化マンガンとを
混合して、ゲル状混合物とする以外は、前述した第1の
方法と同じである。この第2の方法によれば、上記ゲル
状混合物を、必要に応じて、加熱して、乾燥した後、焼
成することによって、粒径の大きいスピネル型構造を有
するリチウム−マンガン複合酸化物を得ることができ
る。特に、この方法も、前述したアルコールを含む溶剤
を用いることが好ましい。
【0023】この第2の方法の好ましい一態様によれ
ば、アルコールを含む溶剤中に、二酸化マンガンと上記
リチウム化合物とを加え、更に、これに上記有機酸を加
えることによって、リチウム化合物のみならず、二酸化
マンガンも、上記有機酸との発熱を伴う化学反応によっ
て、溶剤中に溶解し、リチウム化合物とのゲル状混合物
を生成する。それ故に、この方法によれば、リチウム化
合物とマンガン化合物とは、分子レベルで均一に混合す
るので、一層均一なゲル状混合物を得ることができる。
【0024】また、上記有機酸は、二酸化マンガンを溶
剤中に溶解するために有用であるのみならず、リチウム
原料として炭酸リチウムを用いた場合、この炭酸リチウ
ムとの化学反応によって、これを溶剤中に溶解させるた
めにも有用である。
【0025】第2の方法において、ギ酸又は酢酸の使用
量は、特に、限定されるものではないが、通常、リチウ
ム化合物に対して、1/10当量以上であればよく、好
ましくは、1〜10当量の範囲である。有機酸として
は、その使用量にもよるが、二酸化マンガンの一部又は
全部が速やかに反応して、溶剤中に溶解するので、特
に、ギ酸が好ましく用いられる。
【0026】以上のように、本発明による第1の方法に
おいては、リチウム化合物がアルコールを含む溶剤と反
応して、溶剤中に溶解し、リチウムイオンが多孔性の二
酸化マンガンの粒子の細孔中に速やかに拡散して、均一
なゲル状混合物を生成し、第2の方法によれば、リチウ
ム化合物が上記溶剤と反応して、溶剤に溶解して、リチ
ウムイオンを生成すると共に、二酸化マンガンが有機酸
と反応して、溶剤に溶解するので、リチウムとマンガン
とが分子レベルで混合して、均一なゲル状混合物を生成
する。
【0027】特に、第2の方法によって、ゲル状混合物
を調製し、これを焼成することによって、好ましくは、
マイクロ波による加熱と電気炉を用いる加熱とを併用し
て焼成することによって、より成長した結晶からなるリ
チウム−マンガン複合酸化物を得ることができる。
【0028】前述したように、二酸化マンガンとリチウ
ム化合物を機械的に混合する方法によれば、サブミクロ
ンレベルの均一な粉末混合物を得ることが困難である
が、本発明によれば、均一なゲル状混合物を容易に得る
ことができる。
【0029】本発明によれば、第1及び第2の方法のい
ずれにおいても、このようにして得られたゲル状混合物
を、必要に応じて、乾燥した後、焼成することによっ
て、スピネルLiMnを得ることができる。
【0030】本発明によれば、このゲル状混合物の乾燥
手段として、単純にゲル状混合物を加熱することによっ
て乾燥してもよいが、噴霧乾燥してもよい。特に、本発
明に従って、ゲル状混合物を噴霧乾燥すれば、二酸化マ
ンガンとリチウム化合物との均一な混合物を一定の粒径
を有する微粒子として得ることができるので有利であ
り、更に、このようにして得られた微粒子状の混合物を
焼成することによって、特に、その後の粉砕を要せずし
て、高エネルギー密度を有すると共に、サイクル特性に
すぐれるリチウムイオン二次電池の正極材料として好適
に用いることができるスピネルLiMnを得るこ
とができる。
【0031】本発明によれば、ゲル状混合物を乾燥した
後、空気雰囲気中、500〜800℃の範囲の温度で1
〜15時間、焼成することによって、比較的低温の段階
において、通常、300℃以下の温度にて、リチウム化
合物と二酸化マンガン化合物の反応によって、スピネル
LiMnの核が生成し、この後、焼成温度の上昇
と共に、上記反応が進行して、スピネルLiMn
の微結晶が成長し、かくして、本発明によれば、比表面
積の大きいスピネルLiMnを容易に得ることが
できる。
【0032】本発明によれば、650〜800℃の比較
的高温で焼成すれば、比較的短時間、例えば、5〜10
時間程度の焼成にて、スピネルL1Mnを得るこ
とができ、他方、500〜650℃の比較的低温で焼成
しても、精々、10〜15時間程度の短時間にて、スピ
ネルLiMnを得ることができる。高温におい
て、余りに長時間にわたって焼成すれば、スピネルLi
Mn結晶を過度に成長させるが、しかし、このよ
うなスピネルLiMnをリチウムイオン二次電池
の正極材料として用いても、充放電特性が特に改善され
ることはない。
【0033】本発明によれば、第1及び第2の方法のい
ずれにおいても、このようにして得られたゲル状混合物
を、必要に応じて、乾燥した後、これをマイクロ波加熱
して焼成することによって、スピネルLiMn
得ることができる。ゲル状混合物を乾燥する場合、10
0℃までの温度に加熱して、水分を、通常10%以下、
好ましくは数%以下とすればよい。例えば、5%以下と
するのが好ましい。上記ゲル状混合物の乾燥手段とし
て、前述したように、噴霧乾燥してもよい。しかし、後
述するように、上記ゲル状混合物の乾燥手段として、マ
イクロ波加熱を用いることもできる。
【0034】マイクロ波は、既によく知られているよう
に、波長が1mm(周波数300GHz)から1m程度
(周波数300MHz)である電磁波の一種であり、従
来、通信、高周波加熱、レーダー、医療等に利用されて
いるが、本発明においては、特に、波長が3〜30cm
(周波数1000〜10000MHz)の範囲のものが
好ましく用いられる。但し、マイクロ波加熱に用いるこ
とができるマイクロ波には、法的な規制があって、現
在、我国では、2450MHzの周波数のものを実用的
に用いることができる。
【0035】マイクロ波加熱の原理も、既によく知られ
ており、誘電体(被加熱物質)にマイクロ波を照射する
と、誘電損失によって、誘電体自身が発熱する。一般
に、平行な一対の電極板間に誘電体力率tanδ、比誘
電率εなる被加熱物質を置き、電極板間間隔D(c
m)に周波数f(MHz)、電圧V(V)の電源を接続
するとき、上記被加熱物質に吸収される単位体積当りの
電力P、即ち、発生熱量は、上記被加熱物質と電極との
間に空隙がないとすれば、次式で与えられる。
【0036】P=(5/9)fεtanδ(V/D)
×10−12(W・cm−3) 上式から明らかなように、発生熱量は、用いるマイクロ
波加熱装置の周波数(f)とマイクロ波電界強度(V/
D)に比例し、更に、被加熱物質は、誘電損失係数ε
tanδの値が高いほど、マイクロ波の吸収による発
熱効果が大きいことが理解される。
【0037】このようなマイクロ波加熱は、熱伝導と異
なり、マイクロ波のエネルギーは光速度で瞬間的に被加
熱物質中に浸透し、数秒から数分で被加熱物が発熱す
る。更に、被加熱物質の表面から内部まで、同時に等し
く発熱する。他方、二酸化マンガンやマンガン酸リチウ
ムのような金属酸化物は、熱伝導率が小さいので、前述
したように、電気炉を用いて数百℃まで加熱して、試料
の表面から内部まで温度が均一になるには、数時間を必
要とし、また、焼成温度を任意に制御することが困難で
ある。
【0038】しかし、本発明に従って、前述したよう
に、二酸化マンガンとリチウム化合物とのゲル状混合物
を調製し、これにマイクロ波を照射して加熱すれば、二
酸化マンガンやスピネルLiMnは、熱伝導率が
低くとも、マイクロ波の吸収性にはすぐれており、かく
して、通常、数分乃至10分程度で混合物を所定の高温
度に加熱することができ、しかも、均一に加熱すること
ができる。二酸化マンガンとリチウム化合物との混合物
のマイクロ波加熱による焼成に際して、必要ならば、途
中で混合物を粉砕し、再度、マイクロ波加熱してもよ
い。
【0039】従って、本発明の方法によれば、二酸化マ
ンガンとリチウム化合物とのゲル状混合物を調製し、必
要に応じて、乾燥させた後、マイクロ波加熱装置の容量
やマイクロ波加熱する混合物の量にもよるが、通常、5
分乃至1.5時間程度、300〜800℃の範囲、好ま
しくは、500〜750℃の範囲の温度にマイクロ波加
熱すれば、目的とするスピネルLiMnを得るこ
とができる。このようにして得られるスピネルLiMn
は、均一な組成を有する緻密な粉末であって、リ
チウムイオン二次電池正極活物質としてすぐれた充放電
特性を有する。
【0040】このように、ゲル状混合物の焼成のために
マイクロ波加熱を用いれば、焼成のために電気炉のみを
用いる方法に比べて、著しく短時間にて、特性にすぐれ
るスピネルLiMnを容易に得ることができる。
【0041】前述したように、本発明によれば、前記ゲ
ル状混合物の乾燥手段として、マイクロ波加熱を用いて
もよい。この場合、加熱温度は、200℃以下となるよ
うに調節するのが好ましい。この後、前述したように、
マイクロ波加熱によって、300〜800℃で焼成すれ
ば、スピネルLiMnを得ることができる。
【0042】特に、本発明に従って、溶液含浸法にて、
二酸化マンガンとリチウム化合物とからなるゲル状混合
物を調製し、これを乾燥し、マイクロ波加熱によって焼
成して、スピネルLiMnを得る場合、比較的低
温の段階において、通常、300℃以下の温度にて、リ
チウム化合物と二酸化マンガンの反応によって、スピネ
ルLiMnの核が生成し、この後、焼成温度の上
昇と共に、上記反応が進行して、スピネルLiMn
の微結晶が成長し、かくして、本発明によれば、比表
面積の大きいスピネルLiMnを容易に得ること
ができる。
【0043】焼成時間は、前述したように、5分乃至
1.5時間程度であり、過度に長時間にわたる焼成は、
スピネルLiMn結晶を過度に成長させるが、こ
のようなスピネルLiMnをリチウム二次電池の
正極材料として用いても、電池の充放電特性は特に改善
されない。
【0044】本発明によれば、二酸化マンガンとリチウ
ム化合物とのゲル状混合物を溶液含浸法にて調製した
後、このゲル状混合物をマイクロ波加熱と電気炉加熱と
を併用して焼成することが好ましい。このような方法に
よれば、高い充放電容量の非水電解質リチウムイオン二
次電池を与えるスピネルLiMnを容易に且つ効
率よく得ることができる。
【0045】このように、二酸化マンガンとリチウム化
合物とのゲル状混合物を先ず、マイクロ波加熱し、引続
き、電気炉にて加熱する場合、マイクロ波加熱するその
ゲル状混合物の量や、また、用いるマイクロ波加熱装置
の容量にもよるので、一概に定めることはできないが、
通常、マイクロ波加熱装置を用いて、2〜30分間加熱
して、500〜650℃程度まで加熱し、引続き、30
分から12時間程度、電気炉にて650〜800℃に加
熱焼成すればよい。このように、二酸化マンガンとリチ
ウム化合物とのゲル状混合物をマイクロ波加熱と電気炉
加熱とを併用して加熱焼成することによって、生成する
スピネルLiMnの過度の結晶化を抑えて、充放
電容量の高いスピネルLiMnを得ることができ
る。
【0046】また、本発明によれば、上記とは反対に、
前記ゲル状混合物を電気炉を用いて、250〜350℃
の温度で1〜5時間、加熱焼成した後、必要に応じて、
粉砕し、次いで、マイクロ波にて焼成してもよい。
【0047】以上のように、本発明の方法によれば、前
述したように、溶液含浸法にて、リチウム化合物と二酸
化マンガンとからなるゲル状混合物を得、これを焼成し
て、スピネル型構造を有するリチウム−マンガン複合酸
化物を得るものであり、従って、低廉な出発原料を用い
て、簡単な方法にて、高エネルギー密度を有すると共
に、サイクル特性にすぐれる非水電解質リチウムイオン
二次電池の正極材料として好適に用いることができるス
ピネルLiMnを得ることができる。
【0048】更に、本発明の方法に従って、溶液含浸法
にて二酸化マンガンとリチウム化合物とのゲル状混合物
を調製した後、これをマイクロ波加熱を含む加熱によっ
て、乾燥、焼成することによって、著しく短時間にて、
高エネルギー密度を有すると共に、サイクル特性にすぐ
れ、かくして、特性の改良された非水電解質リチウムイ
オン二次電池の正極材料として好適に用いることができ
るスピネルLiMnを簡単に且つ効率よく得るこ
とができる。
【0049】以下に実施例を挙げて本発明を説明する
が、本発明はこれら実施例により何ら限定されるもので
はない。以下の実施例において、用いた二酸化マンガン
は、その純度が約92%であるので、二酸化マンガン中
のマンガン量が58重量%であるとして、リチウム化合
物に対する所要量を求めた。
【0050】実施例1 メタノール0.5Lに攪拌しながら、二酸化マンガン粉
末1.05kgを加えて、懸濁液を調製した。これに攪
拌下に水酸化リチウム一水和物粉末0.23kgを加
え、水酸化リチウムをメタノールに溶解させ、次いで、
攪拌下にギ酸0.5Lを加えた。二酸化マンガンは、発
熱を伴って、メタノール/ギ酸混合物に溶解して、ゲル
状混合物を生成した。このゲル状混合物を130℃で3
時間加熱して乾燥した後、350℃で1時間、その後、
650℃で5時間焼成して、スピネルLiMn
得た。
【0051】上記ゲル状混合物と共に、これを200〜
800℃の100℃ごとに2時間乃至30分間、焼成し
て得られた焼成物のX線回折図を図1に示す。図1にお
いて、最も下に位置する回折図は、焼成前のゲル状混合
物を示す。
【0052】実施例2 水400mL中に二酸化マンガン粉末1.05kgを加
え、得られた懸濁液に炭酸リチウム粉末215gを加
え、更に、この後、酢酸360mLを加え、攪拌下に混
合して、炭酸リチウムを発熱を伴う化学反応によって溶
剤中に溶解させて、二酸化マンガンとのゲル状混合物を
生成させた。このゲル状混合物を乾燥した後、650℃
で10分、30分、1時間又は5時間、焼成した。
【0053】このようにして、比較的短時間の焼成によ
って得られたスピネルLiMnを正極材料とする
非水電解質リチウムイオン二次電池(以下、単に電池と
いう。)の充放電曲線をそれぞれ図2に示す。図中、充
電を負で表わす。放電電流密度は0.4mA/cm
ある。試験用電池において、電解液としては、プロピレ
ンカーボネート(PC)とジエチルカーボネート(DE
C)の1:4(体積比)の混合液に1M濃度となるよう
にLiPFを溶解させたものを用いた。以下において
も、同じ。
【0054】実施例3 メタノールIL中に、攪拌しながら、二酸化マンガン粉
末2.13kgを加えて、懸濁液を調製し、この懸濁液
中に水酸化リチウム一水和物粉末0.46kgを加え、
混合し、溶解させて、ゲル状混合物を得た。これを10
0℃で1時間加熱して乾燥し、次いで、350℃で2時
間焼成し、この後、650℃で5時間で焼成して、スピ
ネルLiMnを得た。
【0055】このようにして得られたスピネルLi
(x=0.98)を正極材料とする電池の最初
の3回の充放電曲線を図3に示す。図中、充電を負で表
わす。同様にして、xが1.03、1.08、1.1
3、1.18又は1.23であるスピネルLiMn
を調製し、これらについても、最初の3回の充放電
曲線をそれぞれ図3に示す。図中、充電を負で表わす。
また、本実施例によるスピネルLiMnのサイク
ル特性を図4に示すように、50回にわたるサイクルの
後も約95%の容量を保持している。
【0056】このように、本発明の方法によって得られ
るスピネルLiMnを正極材料とする電池は、リ
チウム含有量の広い範囲にわたって、高い放電容量を有
し、最初の充放電容量は125〜140mAh/gであ
る。
【0057】実施例4 メタノール5L中に、攪拌しながら、二酸化マンガン粉
末10.5kgを加えて、懸濁液を調製し、この懸濁液
に水酸化リチウム一水和物粉末2.31kgを加えて、
溶解させ、かくして、ゲル状混合物を得た。このゲル状
混合物を噴霧乾燥した後、得られた乾燥物を粉砕するこ
となく、650℃で5時間焼成して、スピネルLiMn
を得た。
【0058】このスピネルLiMnを正極材料と
する電池のサイクル特性を図4に示すように、50回に
わたるサイクルの後も、約95%の容量を保持してい
る。放電電流密度は0.4mA/cmである。
【0059】実施例5 メタノール0.35Lを攪拌しながら、これに二酸化マ
ンガン1.05kgと水酸化リチウム一水和物0.23
kgとを加え、混合し、反応させて、Mn/Liモル比
2のゲル状混合物を得た。このゲル状混合物500gを
マイクロ波加熱装置(500W)に載置し、90分間加
熱して、スピネルLiMnを得た。
【0060】原料として用いた上記水酸化リチウム一水
和物の電子顕微鏡写真を図5(倍率50倍)に示し、二
酸化マンガンの電子顕微鏡写真を図6(倍率5000
倍)に示し、本発明に従って、溶液含浸法によって得ら
れたゲル状混合物の電子顕微鏡写真を図7(倍率500
0倍)に示し、更に、上述したようにして得られた上記
スピネルLiMnの電子顕微鏡写真を図8(倍率
5000倍)に示す。
【0061】図5と図6との比較から、二酸化マンガン
に比べて、水酸化リチウム一水和物が著しく大きい粒子
であることが理解される。しかし、本発明に従って、リ
チウム化合物と二酸化マンガンとのゲル状混合物を調製
し、乾燥させて得られる混合物には、図7にみられるよ
うに、リチウム化合物がみられない。即ち、本発明によ
れば、リチウム化合物がイオン化して、二酸化マンガン
の多孔性の粒子の細孔内に含浸された均一な混合物を得
ることができることが示される。図8によれば、生成し
たスピネルLiMnは、均一であって、一部、結
晶化がみられる。
【0062】実施例6 メタノール1.05Lを攪拌しながら、これに二酸化マ
ンガン2.63kgと水酸化リチウム一水和物0.54
kgとを加え、水酸化リチウムを溶剤に溶解させて、M
n/Liモル比2のゲル状混合物を得た。このゲル状混
合物をマイクロ波加熱装置(500W)にて加熱し、乾
燥させた後、2.5kgをマイクロ波加熱装置(5k
W)にて13分、18分又は23分間、加熱した。この
ようにして得られたスピネルLiMnを正極材料
とする電池の充放電特性を図11に示す。初期の充放電
容量は約120mAh/gであった。
【0063】実施例7 メタノール0.35Lを攪拌しながら、これに二酸化マ
ンガン1.05kgと水酸化リチウム一水和物0.23
kgとを加え、水酸化リチウムを溶剤に溶解させて、M
n/Liモル比2のゲル状混合物を得た。このゲル状混
合物500gをマイクロ波加熱装置(500W)に載置
し、30分間加熱した。このようにして得られたスピネ
ルLiMnのX線回折図を図10に示し、このス
ピネルLiMnを正極材料とする電池のサイクル
特性を図9に示す。放電電流密度は0.4mA/cm
である。初期の充放電容量は約120mAh/gである
が、その後、105〜110mAh/gで安定してい
る。
【0064】実施例8 メタノール0.70Lを攪拌しながら、これに二酸化マ
ンガン2.10kgと水酸化リチウム一水和物0.47
kgとを加え、水酸化リチウムを溶剤に溶解させ、得ら
れた混合物を攪拌して、Mn/Liモル比2のゲル状混
合物を生成させた。このゲル状混合物を乾燥させた後、
0.2kgをマイクロ波加熱装置(1.6kW)にて5
分間、加熱して、650〜700℃とした後、直ちに電
気炉によって750℃で所定時間、加熱した。このよう
にして得られたスピネルLiMnを正極材料とす
る電池の充放電特性を表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】表1中、特に、第1サイクルに示すよう
に、リチウム化合物と二酸化マンガンとのゲル状混合物
をマイクロ波加熱した後、電気炉加熱することによっ
て、得られるスピネルLiMnを正極材料とする
電池は著しく高い充放電容量を有する。スピネルLiM
の理論充放電容量は148mAh/gである。
【0067】実施例9 メタノール1.5Lを攪拌しながら、これに二酸化マン
ガン3.15kgを加えて、懸濁液を調製した。次い
で、これに攪拌下に水酸化リチウム一水和物0.69k
gを加え、混合し、反応させて、ゲル状混合物を得た。
このゲル状混合物をマイクロ波加熱装置(3.0kW)
にて5分間、加熱し、乾燥させた後、更に、20分間、
マイクロ波加熱して、スピネルLiMn(試料A
という。)を得た。このスピネルLiMnを正極
材料とする電池の充放電特性を図12に示す。
【0068】実施例10 メタノール0.5Lを攪拌しながら、これに二酸化マン
ガン1.05kgを加えて、懸濁液を調製した。次い
で、これに攪拌下に水酸化リチウム一水和物0.23k
gを加え、混合し、反応させて、ゲル状混合物を得た。
このゲル状混合物を100℃で1時間加熱し、乾燥させ
た後、電気炉を用いて、700℃で10時間、加熱焼成
して、スピネルLiMn(試料Bという。)を得
た。このスピネルLiMnを正極材料とする電池
の充放電特性を図12に示す。また、このスピネルLi
Mnの電子顕微鏡写真(倍率5000倍)を図1
3に示す。
【0069】実施例11 蒸留水0.5Lを攪拌しながら、これに二酸化マンガン
1.05kgを加えて、懸濁液を調製した。次いで、こ
れに攪拌下に水酸化リチウム一水和物0.23kgを加
え、攪拌下に加熱して、ゲル状混合物を得た。このゲル
状混合物をマイクロ波加熱装置(1.5kW)にて10
分間、加熱し、乾燥させた後、電気炉を用いて、700
℃で10時間、加熱焼成して、スピネルLiMn
(試料Cという。)を得た。このスピネルLiMn
を正極材料とする電池の充放電特性を図12に示す。
【0070】実施例12 メタノール0.5Lを攪拌しながら、これに二酸化マン
ガン1.05kgを加えて、懸濁液を調製した。次い
で、これに攪拌下に水酸化リチウム一水和物0.23k
gを加え、更に、ギ酸0.15Lを加え、水酸化リチウ
ムと共に二酸化マンガンをも溶解させた。得られた混合
物を攪拌し、ゲル状混合物を得た。このゲル状混合物を
マイクロ波加熱装置(1.5kW)にて10分間、加熱
し、乾燥させた後、電気炉を用いて、700℃で10時
間、加熱焼成して、スピネルLiMnを得た。こ
のスピネルLiMnを正極材料とする電池の充放
電特性を図14に示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の方法によって得られたゲル状混合
物を乾燥した後、これを焼成したときの焼成温度別のX
線回折図を示す。
【図2】は、本発明の方法によって得られたゲル状混合
物を乾燥した後、これを650℃の温度で種々の時間に
わたって焼成してスピネルLiMnを得て、これ
を正極材料とする試験用電池(非水電解質リチウムイオ
ン二次電池)の正極材料として用いたときの電池の充放
電曲線を示す。
【図3】は、xが0.98、1.03、1.08、1.
13、1.18又は1.23におけるスピネルLi
を正極材料とする電池の最初の3回の充放電曲
線をそれぞれ示す。
【図4】は、実施例3及び実施例4によるスピネルLi
Mnを正極材料とする電池のサイクル特性を示
す。
【図5】は、実施例5において、原料として用いた水酸
化リチウム一水和物粉末の電子顕微鏡写真(倍率50
倍)である。
【図6】は、実施例5において、原料として用いた二酸
化マンガン粉末の電子顕微鏡写真(倍率5000倍)で
ある。
【図7】は、実施例5において、上記水酸化リチウム一
水和物と二酸化マンガンとをメタノール中で混合して得
られた溶液含浸法によるゲル状混合物物を乾燥させたも
のの電子顕微鏡写真(倍率5000倍)である。
【図8】は、実施例5において、ゲル状混合物をマイク
ロ波加熱して得られたスピネルLiMnの電子顕
微鏡写真(倍率5000倍)である。
【図9】は、実施例6において得られたスピネルLiM
の充放電特性を示すグラフである。
【図10】は、実施例7において、本発明の方法によっ
て得られたスピネルLiMnのX線回折図を示
す。
【図11】は、実施例7において得られたスピネルLi
Mnを正極材料とする電池の充放電容量のサイク
ル特性を示すグラフである。
【図12】は、実施例9〜11で得られたスピネルLi
Mnを正極材料とする電池のサイクル特性を示す
グラフである。
【図13】は、実施例10において得られたスピネルL
iMn(試料B)の電子顕微鏡写真(倍率500
0倍)である。
【図14】は、実施例12で得られたスピネルLiMn
を正極材料とする電池の充放電特性を示すグラフ
である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水又は炭素数1〜3の脂肪族低級アルコー
    ル又はこれらの混合物からなる溶剤中にて、水酸化リチ
    ウム又は炭酸リチウムから選ばれるリチウム化合物と二
    酸化マンガンとを混合して、ゲル状混合物とし、これを
    乾燥し、焼成することを特徴とするスピネル型構造を有
    するリチウム−マンガン複合酸化物の製造方法。
  2. 【請求項2】水又は炭素数1〜3の脂肪族低級アルコー
    ル又はこれらの混合物からなる溶剤中にて、ギ酸及び酢
    酸から選ばれる有機酸の存在下に、水酸化リチウム又は
    炭酸リチウムから選ばれるリチウム化合物と二酸化マン
    ガンとを混合して、ゲル状混合物とし、これを乾燥し、
    焼成することを特徴とするスピネル型構造を有するリチ
    ウム−マンガン複合酸化物の製造方法。
  3. 【請求項3】脂肪族低級アルコールがメタノールである
    請求項1又は2に記載の方法。
  4. 【請求項4】ゲル状混合物を500〜800℃の範囲の
    温度で焼成する請求項1又は2に記載の方法。
  5. 【請求項5】請求項1又は2に記載の方法において、ゲ
    ル状混合物を焼成する際に、焼成のための加熱の少なく
    とも一部をマイクロ波加熱によることを特徴とする方
    法。
  6. 【請求項6】ゲル状混合物を300〜800℃の温度に
    マイクロ波加熱して焼成する請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】ゲル状混合物を先ず、マイクロ波加熱し、
    次いで、電気炉にて600〜800℃の温度に加熱して
    焼成する請求項5に記載の方法。
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