JPH10151560A - ワイヤソー用ワイヤ - Google Patents

ワイヤソー用ワイヤ

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JPH10151560A
JPH10151560A JP32800496A JP32800496A JPH10151560A JP H10151560 A JPH10151560 A JP H10151560A JP 32800496 A JP32800496 A JP 32800496A JP 32800496 A JP32800496 A JP 32800496A JP H10151560 A JPH10151560 A JP H10151560A
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JP
Japan
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wire
quartz glass
wire saw
abrasive
strand
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JP32800496A
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English (en)
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Seishiro Ohashi
晴志郎 大橋
Shinichi Okada
伸一 岡田
Masahiro Sakamoto
正寛 坂本
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Hitachi Cable Ltd
Original Assignee
Hitachi Cable Ltd
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Publication date
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23DPLANING; SLOTTING; SHEARING; BROACHING; SAWING; FILING; SCRAPING; LIKE OPERATIONS FOR WORKING METAL BY REMOVING MATERIAL, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23D61/00Tools for sawing machines or sawing devices; Clamping devices for these tools
    • B23D61/18Sawing tools of special type, e.g. wire saw strands, saw blades or saw wire equipped with diamonds or other abrasive particles in selected individual positions
    • B23D61/185Saw wires; Saw cables; Twisted saw strips

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Processing Of Stones Or Stones Resemblance Materials (AREA)
  • Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価で、抗張力が高く、かつ、スライス歩留
り及びスライス効率が高いワイヤソー用ワイヤを提供す
るものである。 【解決手段】 素線2の材料として石英ガラスまたは高
純度合成石英ガラスを用いたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ワイヤソー用ワイ
ヤに係り、特に、シリコンインゴット、化合物半導体イ
ンゴット、磁性材料、水晶体などを切断するのに用いる
ワイヤソー用ワイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体および電子材料としてのウ
エハーやチップを母材から切り出すには、内周刃カッタ
ー、ワイヤソー、および一部には外周刃カッターが用い
られている。
【0003】近年、シリコンウエハーでは大口径化が進
んでいるが、内周刃カッターでウエハースライスが可能
な技術的限界は8″(インチ)品までであり、生産の採
算性の面では6″品までとの見方が有力である。
【0004】内・外周刃カッターによるウエハースライ
スと比較して、ワイヤソーによるウエハースライスは、
同時に多数枚(場合により50枚以上)のウエハースラ
イスが可能であり、本質的に高スループットが期待でき
るため、現在、盛んに用いられるようになりつつあり、
将来的に需要が見込まれる12″品の場合、当然、ワイ
ヤソーによるウエハースライスになるであろうと予測さ
れている。
【0005】一般にワイヤソーでは、ピアノ線を母材に
押当てながら走行させ、その接触部位に潤滑油に砥粒を
分散させた特殊切削油(以下、砥粒スラリと呼ぶ)を注
入して母材をスライスする遊離砥粒方式である砥粒スラ
リ注入方式が用いられている。
【0006】従来のワイヤソー装置の斜視図を図5に示
す。図5(a)は、往復走行型ワイヤソー装置を示し、
図5(b)は、一方向走行型ワイヤソー装置を示してい
る。
【0007】図5(a)、(b)に示すように、往復走
行型ワイヤソー装置および一方向走行型ワイヤソー装置
は、ワイヤ21を溝車12a,12b,12cの表面に
形成された溝(図示せず)に沿って巻回してなる。
【0008】往復走行型ワイヤソー装置の場合、ワイヤ
ソー用ワイヤ21をいずれかの方向(図中では左右方
向)に張力を掛けて走行させると共に、支持台15に載
置された被加工インゴット14に相対的に押付ける。こ
の時、溝車12a,12b,12cの中央部に設けられ
た砥粒スラリ供給手段16から供給される砥粒スラリ1
3を、被加工インゴット14の表面に流し込みながらウ
エハースライスを行う。
【0009】また、一方向走行型ワイヤソー装置の場
合、ワイヤソー用ワイヤ21を一方向(図中では右方
向)に張力を掛けて走行させると共に、支持台15に載
置された被加工インゴット14に相対的に押付ける。こ
の時、ワイヤソー用ワイヤ21の走行方向において、被
加工インゴット14の直前に設けられた溝車(図中では
溝車12c)と被加工インゴット14との間に設けられ
た砥粒スラリ供給手段26から供給される砥粒スラリ1
3を、ワイヤソー用ワイヤ21の表面に流し込みながら
塗布してウエハースライスを行う。
【0010】このように、ワイヤソー装置においては、
ワイヤに張力を掛けて用いるため、ワイヤは高い抗張力
を有する必要がある。このため、一般にワイヤソー用ワ
イヤとしては、ピアノ線や、高価な特殊合金鋼線、金属
結晶組織を調整した超高強度合金線(特開平1−222
814号公報参照)、アモルファス合金線などが用いら
れている。
【0011】現在、これらのワイヤソー用ワイヤを用い
たウエハースライスにおいては、生産コスト面から、切
り代の低減によるなお一層の歩留りの向上が期待されて
いる。歩留り向上のために切り代を小さくするには、ワ
イヤ線径を小さくする必要がある。
【0012】このため、従来用いられている直径0.1
6mm程度のワイヤ線径を更に小さくするための様々な
検討がなされていると同時に、益々、ワイヤの抗張力レ
ベルの向上が望まれている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、砥粒ス
ラリ注入方式においては、砥粒スラリのワイヤソーへの
喰込みが不安定であるためにスライス効率が良くない。
さらに、瞬間的または部分的な砥粒スラリの欠如(喰込
み不足)が原因で発生する傷、いわゆる“ソーマーク”
が起因となって、ウエハースライス後のポリッシュ工程
(鏡面研磨工程)における歩留りの低下と生産効率の低
下を招いている。
【0014】砥粒スラリ注入方式では、砥粒の喰込みが
不安定で、かつ、効率的でないため、様々な改善を施し
てスライス効率の向上を図っている。例えば、 金属
単線または撚線からなる素線(ワイヤ)の表面に螺旋状
の溝を形成したもの(実願昭60−21620号(実公
昭61−137421号公報)等参照)、 金属単線
または撚線からなる素線(ワイヤ)の表面に、ダイヤモ
ンド砥粒またはSiC砥粒を、溶融金属またはメッキな
どでメタル担持(メタルボンド)させたもの(商品名;
ワイヤモンド、住友電気報,昭和63年3月第132
号,p.118〜122参照)、などが提案されてい
る。
【0015】の方法は、砥粒スラリを用いることに代
わりはないため、“ソーマーク”の発生のおそれが完全
に無くなるわけではない。
【0016】また、の方法は、その製造工程が複雑な
ため、非常に高価なワイヤとなっており、いわゆる工業
生産材として広く用いられるには至っていない。
【0017】の方法の場合、ワイヤが高価であり、生
産コストが高いという問題を回避するために、このワイ
ヤの両端を接続してリング状に形成した、いわゆるエン
ドレスワイヤとしての実用例もあるが、ワイヤ接続部の
強度が不十分であり、かつ、砥粒効果が強すぎてワイヤ
ソー装置における各ガイド類の損耗が激しいといった問
題がある。
【0018】そこで本発明は、上記課題を解決し、安価
で、抗張力が高く、かつ、スライス歩留り及びスライス
効率が高いワイヤソー用ワイヤを提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に請求項1の発明は、素線の材料として石英ガラスまた
は高純度合成石英ガラスを用いたものである。
【0020】請求項2の発明は、上記素線が、石英ガラ
スまたは高純度合成石英ガラス繊維、又はその繊維束、
或いはその撚線である請求項1記載のワイヤソー用ワイ
ヤである。
【0021】請求項3の発明は、上記素線の表面に、金
属、有機材料、無機材料の中から選択される1種または
2種以上の材料で被覆層を形成した請求項1および請求
項2記載のワイヤソー用ワイヤである。
【0022】請求項4の発明は、上記被覆層の表面に、
砥粒を金属材料又は有機材料或いは無機材料で担持させ
た請求項3記載のワイヤソー用ワイヤである。
【0023】以上の構成によれば、素線の材料として石
英ガラスまたは高純度合成石英ガラスを用いたため、安
価で、抗張力が高く、かつ、スライス歩留り及びスライ
ス効率が高いワイヤソー用ワイヤを得ることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0025】本発明のワイヤソー用ワイヤの横断面図を
図1に示す。図1(a)は、砥粒無しワイヤソー用ワイ
ヤを示し、図1(b)は、砥粒付きワイヤソー用ワイヤ
を示している。
【0026】図1(a)に示すように、砥粒無しワイヤ
ソー用ワイヤ1は、石英ガラスからなる素線2の外周に
極薄被覆層(以下、プリコートと呼ぶ)3を被覆してな
るものである。
【0027】素線2の材料である石英ガラスとしては、
光ファイバやライトガイドなどに用いられている石英ガ
ラスであればよく、天然水晶を原料に精製した石英ガラ
ス、全合成石英ガラスなどが挙げられる。この場合、通
信用光ファイバのごとく屈折率調整のための微量元素ド
ープは不要であることは言うまでもない。
【0028】素線2の直径は、特に限定するものではな
いが、50〜200μmφが特に好ましい。ここで、5
0〜200μmφの石英ガラスからなる素線2の抗張力
は4,000〜4,800N/mm2 であり、80μm
φの一般的なピアノ線で得られる抗張力(3,00〜
3,500N/mm2 )と同等以上である。
【0029】プリコート3は、石英ガラスからなる素線
2の表面におけるマイクロクラックの成長防止のために
形成されるものであり、金属、有機材料、無機材料の中
から選択される1種または2種以上の材料からなる。
【0030】あまり高い抗張力を必要としない砥粒無し
ワイヤソー用ワイヤ1においては、素線2の材料とし
て、石英ガラスの代わりにパイレックスガラス(耐熱ガ
ラス)や多成分ガラスなどを用いてもよく、これによっ
て更に安価な素線を得ることができる。
【0031】砥粒無しワイヤソー用ワイヤ1は超長尺品
であることが必須であるが、石英ガラスとして、例え
ば、純度が99.9999%(6N)の四塩化珪素(S
iCl4 )を原料とした全合成石英ガラスを用いること
によって、全長に亘って欠陥がない高抗張力の素線を得
ることができる。
【0032】最外層にバインダー層および砥粒が被覆さ
れていない図1(a)に示した砥粒無しワイヤソー用ワ
イヤ1であっても本発明は成立するが、最外層にバイン
ダー層および砥粒が被覆された砥粒付きワイヤソー用ワ
イヤであってもよい。
【0033】すなわち、図1(b)に示すように、石英
ガラスからなる素線2の外周にプリコート3を被覆し、
プリコート3の外周に、砥粒5が分散されたバインダー
層4を被覆した砥粒付きワイヤソー用ワイヤ11であっ
てもよい。
【0034】バインダー層4の材料としては、特に限定
するものではなく、例えば、金属材料、ポリアミドイミ
ド樹脂などの有機材料、ガラスなどの無機材料などが挙
げられる。
【0035】砥粒5としては、特に限定するものではな
く、例えば、GC砥粒(JISで規定)、アルミナ、炭
化珪素などが挙げられる。
【0036】次に、本発明の製造方法を説明する。
【0037】石英ガラス母材、特に高純度石英ガラス母
材を加熱溶融紡糸して石英ガラス細線からなる素線2を
作製し、その後、この素線2の表面にタンデムラインで
プリコート3を被覆して砥粒無しワイヤソー用ワイヤ1
を作製する。
【0038】本発明の砥粒無しワイヤソー用ワイヤ1に
おいては、全長に亘って、従来のピアノ線などの高抗張
力金属線よりも優れた高抗張力特性(4,000〜4,
800N/mm2 )を有しており、かつ、安価に作製す
ることができる。
【0039】また、本発明の砥粒無しワイヤソー用ワイ
ヤ1は、同サイズの高抗張力金属線と比較しても軽量で
あるため、往復走行型ワイヤソー装置における走行方向
反転時の慣性モーメントの低減および立上げ速度の高速
化に寄与し、走行速度の向上およびワイヤソー装置の低
剛性化が図れる。
【0040】さらに、本発明の砥粒無しワイヤソー用ワ
イヤ1は、高抗張力金属線と比較して温度差および張力
変動による伸びが小さいため、安定したスライスが期待
できる。
【0041】次に、バインダーを溶剤中に溶解した溶解
液を混練すると共に、この溶解液中に砥粒5を分散させ
てなる砥粒分散溶解液を、砥粒無しワイヤソー用ワイヤ
1の表面に塗布し、その後、砥粒分散溶解液が塗布され
た砥粒無しワイヤソー用ワイヤ1を加熱炉に通すことに
よって焼付けを施し、砥粒付きワイヤソー用ワイヤ11
を作製する。
【0042】溶剤としては、特に限定するものではな
く、例えば、ジメチルフェノールなどが挙げられる。
【0043】本発明の砥粒付きワイヤソー用ワイヤ11
においては、バインダーを含んだ溶剤中に砥粒5を分散
させたものを、砥粒無しワイヤソー用ワイヤ1の表面に
塗布焼付けしているため、少なくとも焼付け後における
砥粒付きワイヤソー用ワイヤ11の表面には溶剤は蒸発
して無くなっており、砥粒無しワイヤソー用ワイヤ1の
表面には極薄膜のバインダーが被覆されていると共に、
そのバインダーの表面から砥粒5が部分的に露出してい
る。なお、バインダーの種類や厚さ等によっては、バイ
ンダーの表面から砥粒が露出されない場合もある。
【0044】砥粒付きワイヤソー用ワイヤ11の表面に
砥粒5が担持されているため、ウエハースライス時にお
いて、砥粒付きワイヤソー用ワイヤ11と被加工インゴ
ット(以下、ワークと呼ぶ)との間における砥粒スラリ
の喰い込みが瞬間的または部分的に欠如しても“ソーマ
ーク”が生じるおそれがない。
【0045】すなわち、本発明の砥粒付きワイヤソー用
ワイヤ11は、表面の砥粒5と砥粒スラリ中の砥粒のW
砥粒でウエハースライスを行うため、従来のワイヤソー
用ワイヤと比較すると、砥粒の喰い込みが格段に向上す
ると共に、スライス効率の向上が図れる。
【0046】また、本発明の砥粒付きワイヤソー用ワイ
ヤ11においては、ウエハースライス時における砥粒の
喰い込みが良好なため、ワークへの押付力を従来のワイ
ヤソー用ワイヤ程に大きくしなくてもウエハースライス
が可能となる。このため、ワイヤソー用ワイヤのワイヤ
張力の低減化を図ることができ、延いてはワイヤ線径の
細径化を図ることができる。したがって、ウエハースラ
イスの切り代を低減することができ、歩留りの向上が図
れる。
【0047】さらに、本発明の砥粒付きワイヤソー用ワ
イヤ11は、ワークの材質によっては、砥粒スラリを用
いること無く、砥粒が含まれていない潤滑油だけでウエ
ハースライスを行うことができる。すなわち、砥粒スラ
リの作製、維持、管理が不要または大幅に軽減されるた
め、ウエハースライス時の作業工程を簡略化することが
できると共に、汚れ作業環境を向上させることができ
る。
【0048】尚、バインダーの材質を適宜選択すること
により、砥粒5のバインダーへの固着力を変えることが
可能であることは言うまでもなく、一般的な砥石で例え
ると、硬い砥石または軟らかい砥石を適宜選択すること
ができる。また、砥粒5のサイズを適宜選択することに
より、スライスを行うワークの材質及び/又はスライス
の目的・条件(例えば、高速切断や低表面粗さ切断等)
に応じてそれぞれ最適なスライスを可能にすることは言
うまでもない。
【0049】次に、本発明の他の実施の形態を説明す
る。
【0050】本発明の砥粒無し及び砥粒付きワイヤソー
用ワイヤにおいては、素線として石英ガラス細線を用い
ていたが、他の実施の形態のワイヤソー用ワイヤにおい
ては、素線として石英ガラスまたは高純度合成石英ガラ
ス繊維、又はその繊維束、或いはその撚線を用いるもの
である。
【0051】本実施の形態によるワイヤソー用ワイヤに
おいても、本発明の砥粒無し及び砥粒付きワイヤソー用
ワイヤと同様の効果を発揮することは言うまでもなく、
かつ、スライス効率の向上が期待できる。素線の形状・
形態は、スライスを行うワークの材質及び/又はスライ
スの目的・条件に応じて適宜選択する。
【0052】
【実施例】純度99.999%(5N)の四塩化珪素
(SiCl4 )をペーパライズすると共に、酸水素バー
ナ火焔中で化学反応させて、ポーラスな二酸化珪素(S
iO2 )単体を化学気相軸付法(VAD法)により作製
する。
【0053】このポーラスな二酸化珪素を電気炉中を通
過させると共に、加熱焼結してガラス化し、φ30mm
の合成石英ガラス棒を作製する。
【0054】次に、この合成石英ガラス棒を電気炉にお
いて、不活性ガス雰囲気中、1,980℃でφ80μm
に紡糸して素線を作製し、その直後、素線を溶融Ni槽
中を通過させて、素線の周りに平均厚さで5μmのNi
被覆層(プリコート)を形成し、外径90μm、全長3
0kmの砥粒無しワイヤソー用ワイヤを作製する。
【0055】この砥粒無しワイヤソー用ワイヤの製造2
日後の破断強度を調べ、試料数n=100でワイブル特
性を評価した。
【0056】砥粒無しワイヤソー用ワイヤのワイブル特
性評価結果を図2に示す。図中の縦軸は、破断確率
(%)を示し、図中の横軸は、引張強さ(kgf)を示
している。
【0057】図2に示すように、引張強さが約2.4k
gfにおいて、プロットした点が略一直線上に並んでお
り、良好なワイブル特性を示していることが伺える。
【0058】また、約300日間、室内に放置した砥粒
無しワイヤソー用ワイヤにおいても、図2と同様の結果
が得られた。
【0059】すなわち、素線の外周にNiプリコートを
被覆しているため、室内で約300日間経過した後で
も、素線の強度低下は無く、Niプリコートが空気中の
水分の浸入を十分防止しているものと推定される。
【0060】次に、ポリアミドイミドワニス100重量
部に、#1200の炭化珪素砥粒を30重量部分散させ
ると共に、十分に混練する。この混練物を砥粒無しワイ
ヤソー用ワイヤの表面に塗布し、その後、混練物を塗布
した砥粒無しワイヤソー用ワイヤを加熱炉に通し、35
0〜400℃で焼付けを施し、φ0.16mmの砥粒付
きワイヤソー用ワイヤを作製する。
【0061】砥粒付きワイヤソー用ワイヤの表面を走査
型電子顕微鏡で観察した写真を図3に示す。図中の顕微
鏡の倍率は200倍であり、一目盛りは15μmであ
る。
【0062】図3に示すように、砥粒付きワイヤソー用
ワイヤの表面は、バインダー層で被覆されているもの
の、部分的にバインダー層の表面から炭化珪素砥粒が露
出していることがわかる。
【0063】本実施例で作製したワイヤソー用ワイヤを
汎用のワイヤソー装置にセットし、潤滑油のみで106
mmφのガリウム砒素化合物半導体インゴットを31枚
一括スライスした。この時、ウエハーの目標厚さは2m
mとした。
【0064】この結果、本発明の砥粒付きワイヤソー用
ワイヤを用いてウエハースライスを完了するのに要する
時間は、従来のワイヤソー用ワイヤを用い、砥粒スラリ
を注入しながらウエハースライスを行った時の約半分で
あり、スライス効率の向上が確認された。
【0065】実施例における砥粒付きワイヤソー用ワイ
ヤでスライスを行ったウエハーの横断面の一部の表面粗
さを粗さ計測器で計測した時のチャートを図4に示す。
図中の縦目盛りはウエハー表面の高さ(μm;一目盛り
0.2μm)を示し、横目盛りはウエハーの径方向長さ
(mm;一目盛り5mm)を示している。
【0066】図4に示すように、ウエハーの横断面の一
部の表面粗さは、最大で4〜5μm程度であり、従来の
ワイヤソー用ワイヤでスライスした時よりも表面粗さ変
動がやや大きいものの、この表面粗さ変動は、砥粒サイ
ズや作業条件などを最適化することにより更に小さくす
ることが可能である。
【0067】すなわち、ウエハースライス所要時間およ
びウエハーの横断面の表面粗さなどは、砥粒の材質・形
状・サイズ・付着量、バインダーの材質、それらの混合
比、それらの塗布厚さ、ワーク材質、スライス作業条
件、および目標スライス厚さなどによって定まるもので
あって、それぞれ最適な条件を組み合わせることにより
更に向上させることができる。
【0068】本実施例は、あくまでも一例にしかすぎ
ず、砥粒無しワイヤソー用ワイヤにおいては、素線サイ
ズ、プリコート材質・形状(例えば、プリコート材とし
て、一般の通信用光ファイバに用いられている紫外線硬
化型樹脂材料やCuを用いるとか、Niプリコート材の
外周に更にAuを被覆する等)などの条件を最適に組み
合わせることによって、ワイヤコストを低価格に抑えな
がらウエハースライス所要時間およびウエハーの横断面
の表面粗さなどを向上させることができる。
【0069】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、次のよう
な優れた効果を発揮する。
【0070】(1) 素線材料として石英ガラスまたは
高純度合成石英ガラスを用いているため、従来の高抗張
力線と比較して、強度が同等以上、かつ、製作コストが
非常に安価となり、しかも、素線径が小さくなる程、そ
の効果が大きくなる。
【0071】(2) ウエハースライス時におけるワー
クに対する砥粒スラリの喰込みが格段に向上するため、
スライス効率が向上すると共に、スライス時間の短縮が
図れる。
【0072】(3) ワイヤに印加する張力を低レベル
にすることができるため、ワイヤ径を小さくすることが
可能となり、スライス歩留りが向上する。
【0073】(4) ワークの材質によっては、砥粒ス
ラリを用いること無く、砥粒が含まれていない潤滑油だ
けでウエハースライスを行うことができるため、ウエハ
ースライス時の作業工程を簡略化することができると共
に、汚れ作業環境を向上させることができる。
【0074】(5) 砥粒サイズやバインダー材質など
を適宜選択することにより、ワーク材質、スライス条
件、およびスライス目的に合った最適なワイヤソー用ワ
イヤを得ることができる。
【0075】(6) 金属材料を全く使用しないワイヤ
では、スライスされたウエハーに対する金属コンタミネ
ーション(汚染)の心配を無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のワイヤソー用ワイヤの横断面図であ
る。
【図2】砥粒無しワイヤソー用ワイヤのワイブル特性評
価結果である。
【図3】砥粒付きワイヤソー用ワイヤの表面を走査型電
子顕微鏡で観察した写真である。
【図4】実施例における砥粒付きワイヤソー用ワイヤで
スライスを行ったウエハーの横断面の一部の表面粗さを
粗さ計測器で計測した時の図である。
【図5】従来のワイヤソー装置の斜視図である。
【符号の説明】
1,11 ワイヤソー用ワイヤ 2 素線 3 プリコート(被覆層) 4 バインダー層(金属材料又は有機材料或いは無機材
料) 5 砥粒

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 素線の材料として石英ガラスまたは高純
    度合成石英ガラスを用いたことを特徴とするワイヤソー
    用ワイヤ。
  2. 【請求項2】 上記素線が、石英ガラスまたは高純度合
    成石英ガラス繊維、又はその繊維束、或いはその撚線で
    ある請求項1記載のワイヤソー用ワイヤ。
  3. 【請求項3】 上記素線の表面に、金属、有機材料、無
    機材料の中から選択される1種または2種以上の材料で
    被覆層を形成した請求項1および請求項2記載のワイヤ
    ソー用ワイヤ。
  4. 【請求項4】 上記被覆層の表面に、砥粒を金属材料又
    は有機材料或いは無機材料で担持させた請求項3記載の
    ワイヤソー用ワイヤ。
JP32800496A 1996-11-08 1996-11-25 ワイヤソー用ワイヤ Pending JPH10151560A (ja)

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Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32800496A JPH10151560A (ja) 1996-11-25 1996-11-25 ワイヤソー用ワイヤ
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