JP4376702B2 - 光ファイバ母材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光ファイバ母材の製造方法に関するものである。
光ファイバ素線の製造方法としては、例えば、以下に示す方法が挙げられる。
まず、VAD(Vapor phase Axial Deposition)法などにより、出発部材にガラス微粒子の原料ガスを酸水素火炎とともに吹き付けてスート体を形成する。次いで、このスート体を電気炉などにより1200℃程度で脱水した後、1500℃程度で焼結して、透明ガラス化することにより、コアロッドを作製する。次いで、コアロッドを所定の外径になるように延伸して、外付け法などにより、その外周にガラス微粒子を外付けして光ファイバ用多孔質母材を作製する。その後、この光ファイバ用多孔質母材を、必要ならば脱水した後、焼結して光ファイバ母材を作製する。
このようにして作製された光ファイバ母材を所定の温度、線引き速度、張力にて溶融紡糸して光ファイバ裸線を形成した後、光ファイバ裸線を被覆材で被覆して被覆層を形成し、光ファイバ素線を得る。
このような光ファイバ素線の製造方法における光ファイバ母材の製造工程では、通常、コアロッドの表面に存在する傷や異物を取り除くために、これを延伸する前、および、これにガラス微粒子を外付けする前に、酸水素火炎により、コアロッドの表面の火炎研磨を行う。
図4は、従来の火炎研磨方法を示す模式図である。
コアロッド100の表面を火炎研磨するには、コアロッド100を治具などで把持し、その光軸を中心として回転させる。この状態で、バーナ101をコアロッド100の長手方向に沿って移動させながら、バーナ101から吹き出す酸水素火炎をコアロッド100の表面に吹き付けることにより、コアロッド100の表面が研磨される。
コアロッドの表面の火炎研磨を行う理由としては、以下のようなことが挙げられる。
コアロッドの表面に傷や異物が存在したまま、ガラス微粒子を外付けすると、光ファイバ母材には、コアロッドと、外付け層(クラッド層)との界面近傍に異物、気泡、輝点や、欠陥などが現れる。このような異常部が存在する光ファイバ母材を用いて光ファイバ素線を製造すると、線引き中に光ファイバ素線が断線したり、最終的に得られる光ファイバ素線の光学特性が劣化する。
しかしながら、コアロッドの表面に火炎研磨を施すと、コアロッドの表面近傍にSi−OH結合が生成し、結果として、コアロッドの表面近傍に水酸基濃度の高い領域ができる。このままの状態で、コアロッドにガラス微粒子を外付けすると、最終的に得られる光ファイバ母材には、コアロッドと、外付け層との界面近傍に水酸基濃度の高い領域ができてしまう。このような水酸基濃度の高い領域が存在する光ファイバ母材を用いて光ファイバ素線を製造すると、光ファイバ素線の線引き時に、水酸基が光ファイバ素線のコアおよびクラッド中に拡散する。特に、光ファイバ素線のコア方向に拡散した水酸基は、波長1383nm近傍における吸収損失(水酸基に起因する波長1383nm近傍における吸収損失)の原因となる。
近年、CWDM(Coarse−WDM:広間隔波長多重)伝送のEバンド(1360nm〜1460nm)における光ファイバの伝送損失を低減するために、Si−OH結合(水酸基)に起因する波長1383nm近傍の損失を低減した光ファイバが求められている。
そこで、従来、波長1383nm近傍における吸収損失が所定の値以下になるまで、光ファイバ母材の外付け倍率を小さくして、コアロッドと、外付け層との界面近傍における水酸基濃度を低減する方法などが採用されていた。
ここで、外付け倍率を、(外付け後の光ファイバ用多孔質母材の外径)/(外付け前のコアロッドの外径)で定義する。
しかしながら、外付け倍率を小さくする方法を採用した場合、得られる光ファイバ母材が小さくなるため、光ファイバ母材1本当たりから製造できる光ファイバ長(全長)が短くなるので、水酸基濃度を低減した光ファイバの製造コストを削減することができなかった。
また、光ファイバ母材の外径を所定の範囲内にするためには、外付け前のコアロッドの外径を大きくする必要がある。
ところで、外付け工程において、ガラス微粒子をコアロッドの外周に外付けする際には、外付け層の嵩密度の制御をしなければらない。
しかしながら、コアロッドの外径が大きくなると、コアロッド表面の温度が十分に上昇しないため、この外周にガラス微粒子を外付けする際に、ガラス微粒子の温度が低くなる。特に、ガラス微粒子を外付けする初期段階において、ガラス微粒子の温度が低いと、ガラス微粒子が、コアロッド表面に強固に吸着することができない。したがって、光ファイバ用多孔質母材を焼結して、透明ガラス化する際に、外付け層(クラッド層)の剥離やずれが生じるという問題があった。
このような問題を解決するためには、ガラス微粒子をコアロッドに外付けする際に、原料ガス、酸素ガスおよび水素ガスの流量や、ガラス微粒子をコアロッドに吹き付けるためのバーナの移動速度を調整しなければならず、非常に手間が掛かる。そのため、この製造方法は、製造コストが嵩むという問題があった。
このようなことを考慮すると、コアロッドと外付け層との界面近傍に存在する水酸基の濃度をより低減することができれば、従来と同様の外付け倍率で外付けを行うことができると考えられる。そうすれば、製造コストを低減し、かつ、製造効率を向上した、水酸基濃度の低い光ファイバ素線の製造方法を実現することができる。
そこで、特許文献1では、コアロッドの表面に火炎研磨を施すことにより、水酸基の生成を抑制する方法が検討されている。この特許文献1では、火炎研磨時の酸水素火炎における、酸素に対する水素のモル比を2以下にすることにより、水酸基の生成を抑制する方法が提案されている。この方法では、火炎研磨時のコアロッドの表面温度を1200℃以上、1700℃以下として、水酸基がコアロッド内に拡散する速度を遅くすることにより、最終的に得られる光ファイバ母材の水酸基濃度を低減している。
しかしながら、この方法では、コアロッドの表面温度が低いため、コアロッドの表面のエッチング効果が低く、コアロッドの表面に存在する傷や異物などを取り除くという、火炎研磨本来の目的を果たすことができないという問題がある。
このような問題を解決するためには、コアロッドの表面を十分にエッチングすることができる条件で、かつ、コアロッドの表面に存在する傷や異物などを十分に取り除くことができる火炎研磨法の開発が望まれている。火炎研磨法において、エッチング効果を得るためには、コアロッドの表面の最高到達温度が1700℃を超える必要がある。この温度域では、新たに外部から水酸基がコアロッド内に侵入し、酸水素火炎における水素と酸素の流量比によっては、光ファイバ母材内に水酸基が高濃度に残留してしまう場合がある。
特開2003ー137582号公報
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、コアロッドと外付け層との界面近傍に存在する水酸基の濃度を低減し、高い外付け倍率で外付け層を外付けすることができる光ファイバ母材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために、バーナをコアロッドの長手方向に沿って相対的に移動させながら、バーナから吹き出す酸水素火炎によってコアロッドの表面を加熱することにより、コアロッドの表面を研磨する火炎研磨工程を備えた光ファイバ母材の製造方法であって、前記火炎研磨工程において、バーナから吹き出す酸水素火炎によって表面温度の最高値が1700℃を超えるように加熱した直後のコアロッドの表面を、冷却手段によって冷却するとともに、冷却しない場合のコアロッドの表面温度が1500℃以上、1700℃以下の領域を冷却し、かつ、前記コアロッドの表面における前記冷却手段によって冷却している場合の温度分布と、前記コアロッドの表面における前記冷却手段によって冷却していない場合の温度分布との差の最大値を50℃以上、400℃以下とする光ファイバ母材の製造方法を提供する。
前記火炎研磨工程において、コアロッドの長手方向に沿って、表面温度の最も高い領域からの距離が100mm以上、300mm以下の領域を冷却することが好ましい。
上記光ファイバ母材の製造方法において、前記冷却手段はコアロッドの表面に窒素ガスを吹き付けることにより、コアロッドの表面を冷却するものであることが好ましい。
本発明の光ファイバ母材の製造方法によれば、コアロッドの表面を研磨する火炎研磨工程において、バーナから吹き出す酸水素火炎によって加熱した直後のコアロッドの表面を、冷却手段によって冷却するから、コアロッドの表面に存在する傷や異物を取り除くために十分なエッチング効果を確保しつつ、コアロッドの表面近傍に残留する水酸基の濃度を低減することができる。したがって、このコアロッドに対する外付け工程、脱水工程、焼結工程を順に経て作製された光ファイバ母材を溶融紡糸して得られた光ファイバ素線は、波長1383nm近傍における水酸基に起因する吸収損失が低減されたものとなる。また、本発明の光ファイバ母材の製造方法によれば、外付け倍率を大きくすることができるため、製造コストを低減することができる。
以下、本発明を実施した光ファイバ母材の製造方法について、図面を参照して説明する。
まず、火炎研磨工程によって、コアロッドの表面近傍に残留する水酸基の濃度について検討する。
コアロッドの表面に残留する水酸基濃度は、コアロッドの表面のエッチング速度、コアロッド内に拡散する水酸基の拡散速度によって決まると考えられる。
これまでに、コアロッドの表面のエッチング速度が速いほど、コアロッド内に拡散する水酸基の拡散速度が遅いほど、コアロッドの表面近傍に残留する水酸基の濃度を低減することができることが分かっている。
ここで、図4に示すようにコアロッドの表面を、その長手方向に沿って火炎研磨し、火炎研磨中のコアロッドの表面近傍における水酸基濃度の経時変化を調査した。
ここでは、コアロッドの長手方向に沿って、速度55mm/minで移動するバーナから吹き付けられる酸水素火炎によって、外径30mmのコアロッドの表面を研磨し、バーナがある位置に来たときにバーナの火炎を止め、室温で冷却した。また、バーナに供給する水素の流量を150L/min、酸素の流量を75L/minとした。
調査の結果を図1に示す。
図1(a)は、コアロッドの表面の長手方向に沿う温度分布を示すグラフである。図1(b)は、コアロッドの長手方向に沿った外径変化を示すグラフである。図1(c)は、コアロッドの長手方向に沿った表面近傍における水酸基濃度の変化を示すグラフである。
調査の結果を説明するために、図1に示す(a)、(b)、(c)のグラフを、A、B、C、D、Eの5つの領域に分割した。
領域Aは、コアロッドの長手方向におけるバーナが到達する前の領域、すなわち、バーナから吹き出す酸水素火炎によって直接加熱されていない領域であり、表面温度が1500℃未満の領域である。この領域Aでは、コアロッドの外径が変化せず、また、水酸基濃度が増加していないことが分かる。
領域Bは、コアロッドの長手方向におけるバーナが到達する直前の領域であり、表面温度が1500℃以上、1700℃以下の領域である。この領域Bでは、コアロッドの外径が変化せず、水酸基濃度が増加することが分かる。
領域Cは、コアロッドの長手方向におけるバーナから吹き出す酸水素火炎が当たっている付近の領域であり、表面温度が1700℃を超える領域である。この領域Cでは、コアロッドの外径が減少し、水酸基濃度はほとんど変化しない。これは、水酸基がコアロッド内に拡散すると共に、コアロッドの表面がエッチングされるためである。
領域Dは、コアロッドの長手方向におけるバーナが通過した直後の領域であり、表面温度が1500℃以上、1700℃以下の領域である。この領域Dでは、コアロッドの外径が変化せず、水酸基濃度が増加することが分かる。
領域Eは、コアロッドの長手方向におけるバーナが通過した後の領域、すなわち、バーナから吹き出す酸水素火炎によって直接加熱された後の領域であり、表面温度が1500℃未満の領域である。この領域Eでは、コアロッドの外径が変化せず、また、水酸基濃度が増加していないことが分かる。
コアロッド内に拡散する水酸基の拡散速度は、拡散係数と関係している。
ここで拡散係数Dは、下記の式(1)で表現される。
D(T)=D・T・exp(−Ed/RT) (1)
ここで、Dは温度依存性のない拡散定数(mm/sec)、Tは絶対温度(K)、Edは活性化エネルギー(cal/mol)、Rは気体定数(cal/mol/K)をそれぞれ表している。
上記の式(1)から分かるように、拡散係数Dは、温度の上昇に伴って大きくなる。
このことから、コアロッドの表面温度が1500℃以上の領域(上記の領域B、領域C、領域D)においては、高温になるほど、コアロッド内への水酸基の拡散が顕著になる。したがって、エッチング量の小さい領域B、Dでは、コアロッド表面近傍の水酸基濃度は上昇していく。
実験的には温度測定値が1700℃を超える場合、コアロッドの表面のエッチング効果が得られた。領域Cでは、水酸基の拡散と共に、コアロッドの表面のエッチング効果のため、コアロッドの表面近傍では、見かけの水酸基濃度はほとんど変化しない。したがって、火炎研磨工程の目的は、コアロッドの表面をエッチングして、コアロッドの表面に存在する傷や異物を取り除くことにあるから、コアロッドの長手方向において、コアロッドの表面温度の最高値は1700℃を超えることが必要である。すなわち、コアロッドの表面温度が、エッチング効果が得られない1700℃以下、コアロッド内への水酸基の拡散が顕著になる1500℃以上となる領域(上記の領域B、領域D)において、水酸基濃度が増加しているといえる。
そこで、本発明では、領域B、領域Dのようなコアロッドの表面温度が1500℃以上、1700℃以下の領域を狭くすることにより、火炎研磨後にコアロッドの表面近傍に残留する水酸基の濃度を減少する。すなわち、火炎研磨工程において、コアロッドの表面の長手方向に沿う温度分布を、より急峻にすることにより、コアロッドの表面近傍に残留する水酸基の濃度を減少する。
コアロッドの表面の長手方向に沿う温度分布を急峻にする方法としては、以下の2つの方法が挙げられる。
(a)火炎研磨工程において、酸水素火炎の照射面積が狭いバーナを用いてコアロッドの表面に火炎研磨を施す。
(b)火炎研磨工程において、コアロッドの表面の長手方向に沿って、バーナから吹き出す酸水素によって加熱している領域の両側の領域(例えば、上記の領域B、領域D)を、冷却手段を用いて冷却し、コアロッドの表面温度を低下させる。
上記(a)の方法は、バーナを照射面積が狭いものに交換しなければならないので、製造コストが嵩む。さらに、照射面積を狭くすることにより、コアロッドの表面のエッチング速度が遅くなることが懸念される。
そこで、上記(b)の方法により、コアロッドの表面近傍に残留する水酸基の濃度を減少することを試みた。その結果、水酸基濃度の低減されたコアロッドが得られた。このコアロッドを用いて、光ファイバ母材を作製し、この光ファイバ母材を溶融紡糸して光ファイバ素線を作製して、この光ファイバ素線の波長1383nm近傍における吸収損失を測定したところ、従来の方法で作製した光ファイバ母材を溶融紡糸して得られた光ファイバ素線よりも低損失であった。
そこで、本発明の光ファイバ母材の製造方法では、バーナから吹き出す酸水素火炎によって加熱した直後のコアロッドの表面を、冷却手段によって冷却することにより、コアロッド内に拡散する水酸基の拡散速度を低減して、コアロッドの表面近傍に残留する水酸基の濃度を低減する。
本発明の光ファイバ母材の製造方法では、まず、VAD法などにより、出発部材にガラス微粒子の原料ガスを酸水素火炎とともに吹き付けてスート体を形成する。次いで、このスート体を電気炉などにより1200℃程度で脱水した後、1500℃程度で焼結して、透明ガラス化することにより、コアロッドを作製する。
次いで、バーナから吹き出す酸水素火炎によってコアロッドの表面を加熱することにより、コアロッドの表面を研磨して、コアロッドの表面に存在する傷や異物を取り除く(火炎研磨工程)。
次いで、コアロッドを所定の外径になるように延伸する。
次いで、再びバーナから吹き出す酸水素火炎によってコアロッドの表面を加熱することにより、コアロッドの表面を研磨して、コアロッドの表面に存在する傷や異物を取り除く(火炎研磨工程)。
次いで、外付け法などにより、コアロッドの外周にガラス微粒子を外付けして光ファイバ用多孔質母材を作製する。その後、この光ファイバ用多孔質母材を脱水、焼結して光ファイバ母材を得る。
本発明では、火炎研磨工程において、バーナをコアロッドの長手方向に沿って相対的に移動させながら、バーナから吹き出す酸水素火炎によってコアロッドの表面を加熱し、酸水素火炎で加熱した直後のコアロッドの表面を、冷却手段によって冷却する。
なお、バーナをコアロッドの長手方向に沿って相対的に移動させるとは、バーナ自体をコアロッドの長手方向に沿って移動させるか、または、コアロッドをバーナに対して平行に移動させることを意味している。
ここで、火炎研磨工程について詳細に説明する。
図2は、本発明における火炎研磨工程を示す模式図である。
コアロッド10の表面を火炎研磨するには、コアロッド10を治具などで把持し、その光軸を中心として回転させる。この状態で、バーナ11をコアロッド10の長手方向に沿って移動させながら、バーナ11から吹き出す酸水素火炎をコアロッド10の表面に吹き付けて、酸水素火炎によってコアロッド10の表面を加熱する。さらに、酸水素火炎で加熱した直後のコアロッド10の表面を、冷却手段12から吹き出す冷却ガスによって冷却する。
冷却手段12としては、コアロッド10の表面に、窒素ガスなどの冷却ガスを吹き付けることにより、コアロッド10の表面を冷却することができるものであればいかなるものでも用いることができる。また、冷却ガスとしては、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスなどを用いることができるが、冷却ガスのコストを考慮すると、窒素ガスが好ましい。また、研磨後のコアロッド10の表面に異物を付着させないために、高純度のガスを用いることが好ましい。また、ガスの不純物を除去するためにフィルタなどを用いることにより、空気を冷却ガスとして用いることもできる。
本発明では、冷却手段12としては、コアロッド10の表面に窒素ガスを吹き付けることができるノズルを有する冷却装置を用いた。
また、火炎研磨工程において、冷却手段12から吹き出す冷却ガスによって冷却する、酸水素火炎で加熱した直後のコアロッド10の表面の領域は、酸水素火炎で加熱されて、表面温度が1500℃以上、1700℃以下の領域である。
コアロッド10の表面温度が1500℃以上、1700℃以下の領域を冷却すれば、コアロッド10の表面近傍に残留する水酸基の濃度を効果的に低減することができる。
コアロッド10の表面温度が1500℃未満の領域のみを冷却すると、図1の領域Bを冷却することができないため、水酸基濃度低減効果は得られない。一方、コアロッド10の表面温度が1700℃を超える領域のみを冷却すると、コアロッド10の表面のエッチング速度が遅くなるため、水酸基濃度低減効果は得られない。
また、火炎研磨工程において、コアロッド10の表面における冷却手段12によって冷却した場合の温度分布と、コアロッド10の表面における冷却手段12によって冷却していない場合の温度分布の差の最大値が50℃以上、400℃以下であることが好ましく、100℃以上、300℃以下であることがより好ましい。
冷却している場合の温度分布と、冷却していない場合の温度分布の差の最大値が50℃未満では、コアロッド10の表面近傍に残留する水酸基の濃度を低減する効果があまり得られない。一方、上記表面温度分布の差の最大値が400℃を超えると、コアロッド10には、急冷されることによって生じた歪みが残留する。このコアロッド10に残留している歪みは、後段の工程(ガラス微粒子の外付け、光ファイバ用多孔質母材の脱水、焼結など)において、コアロッド10が割れる原因となる。
なお、上記の表面温度の差が50℃以上、400℃以下となるようにするためには、例えば、冷却手段12が、コアロッド10の表面に窒素ガスを吹き付けることができるノズルを有する冷却装置である場合、コアロッド10に吹き付ける窒素ガスの流量を10L/min〜100L/minとすることが望ましい。
さらに、火炎研磨工程において、コアロッド10の長手方向に沿って、酸水素火炎で加熱した直後のコアロッド10の表面において、コアロッド10の表面温度の最も高い領域(酸水素火炎の中心)からの距離dが300mm以内の領域を、冷却手段12によって冷却することが好ましい。
距離dが300mmを超えると、図1の領域Bを効率良く冷却することができないため、水酸基濃度低減効果が得られない。
以下、実験例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実験例に限定されるものではない。
(実験例)
VAD法により作製した、コアと第一クラッド部とからなる外径110mmのコアロッドを用意した。このコアロッドは、脱水、焼結工程を経ているため、十分に脱水されており、水酸基に起因する波長1383nm近傍における吸収損失から計算すると、コアロッド内に残留する水酸基の濃度は1ppb以下であった。
このコアロッドについて、延伸する前と、この外周にガラス微粒子を外付けする前の2回、火炎研磨を施した。この火炎研磨工程では、バーナをコアロッドの長手方向に沿って速度55mm/minで移動させながら、バーナから吹き付けられる酸水素火炎によってコアロッドの表面を研磨すると共に、酸水素火炎で加熱した直後のコアロッドの表面を、冷却手段から吹き出す窒素ガスによって冷却することにより、外径29mmのコアロッドを得た。ここでは、バーナに供給する水素の流量を150L/min、酸素の流量を75L/minとした。
本実験例では、延伸前のロッドと延伸後のロッドにそれぞれ火炎研磨を行ったが、延伸後のロッドに本発明の火炎研磨方法を適用することが有効であった。延伸前のロッドでは、本発明の火炎研磨方法を適用することは有効であるが、後工程で再び、延伸後のロッドを火炎研磨してエッチングするため、その効果が小さいためである。
火炎研磨工程において、窒素ガスによりコアロッドの表面を冷却する条件を以下の(1)〜(4)に示す4通りに変化させて、4種類のコアロッドを作製した。
(1)窒素ガスを吹き付ける位置と、酸水素火炎の中心との距離:100mm
(2)窒素ガスを吹き付ける位置と、酸水素火炎の中心との距離:300mm
(3)窒素ガスを吹き付ける位置と、酸水素火炎の中心との距離:500mm
(4)窒素ガスを吹き付けない
火炎研磨後のコアロッドの外周に、外付け倍率が4.17となるようにガラス微粒子を外付けして光ファイバ用多孔質母材を作製した。
この光ファイバ用多孔質母材を脱水、焼結して、光ファイバ母材を得た。
条件(1)〜(4)の火炎研磨工程において、火炎研磨中のコアロッドの表面近傍における水酸基濃度の経時変化を調査した。ここでは、バーナから吹き付けられる酸水素火炎によって、コアロッドの表面を研磨し、バーナがある位置に来たときにバーナの火炎を止め、室温で冷却した。結果を図3に示す。
なお、水酸基濃度の測定を以下のようにして行った。
最終的に得られた光ファイバ母材を光軸に対して垂直に切断して、円盤状のガラス板を作製し、このガラス板の両面を光学研磨して、厚み1.0mmの試料とした。その後、赤外分光法(IR)により、0.1mm間隔で、この試料の半径方向の水酸基の濃度を測定し、光ファイバ母材の半径方向における水酸基の濃度を算出した。
図3(a)の結果から、コアロッドの表面の冷却している領域の表面温度は、冷却していない領域の表面温度よりも200℃程度低下したことが分かった。なお、コアロッドの表面に対する窒素ガスの吹き付け量を変化させて冷却効率を上げていき、コアロッドの表面の冷却している領域の表面温度を、冷却していない領域の表面温度よりも400℃以上低くすると、コアロッドには歪みが残留する。このコアロッドに残留した歪みは、後段の工程において、光ファイバ母材が割れる原因となる。
図3(b)の結果から、火炎研磨工程の条件に応じて、コアロッドの外径の減少量に差がなかったことが分かった。これは、条件(1)〜(4)において、コアロッドの表面温度の最も高い領域の分布に差がないので、コアロッドをなすガラスの昇華量(エッチング効果)に差がなかったためであると考えられる。火炎研磨工程は、コアロッドの表面に存在する傷や異物を取り除くことを目的としているため、このように、エッチング効果が変わらないことは好ましい。
図3(c)の結果から、コアロッドの表面に窒素ガスを吹き付けることにより、窒素ガスを吹き付けない場合よりも、コアロッドの表面近傍に残留する水酸基の濃度を低減する効果が大きいことが分かった。これは、コアロッドの表面において、1500〜1700℃の温度で保持される時間を短くするほど、新たに外部からコアロッド内に侵入する水酸基の量が少なくなるためであると考えられる。また。窒素ガスを吹き付ける位置と、酸水素火炎の中心との距離が500mmの場合(条件(3))、水酸基の濃度を低減する効果が得られなかったことから、窒素ガスを吹き付ける位置と、酸水素火炎の中心との距離は300mm以内(条件(1)、(2))が好ましいことが分かった。
このようにして作製された光ファイバ母材を所定の温度、線引き速度、張力にて溶融紡糸して光ファイバ裸線を形成した後、光ファイバ裸線を被覆材で被覆して被覆層を形成し、光ファイバ素線を得た。
得られた光ファイバ素線について、波長1383nm近傍における水酸基に起因する吸収損失を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0004376702
表1の結果から、窒素ガスを吹き付ける位置と、酸水素火炎の中心との距離を300mm以内(条件(1)、(2))とすることにより、波長1383nm近傍における水酸基に起因する吸収損失を低減する効果が得られることが分かった。
(a)はコアロッドの表面の長手方向に沿う温度分布を示すグラフ、(b)はコアロッドの長手方向に沿った外径変化を示すグラフ、(c)はコアロッドの長手方向に沿った表面近傍における水酸基濃度の変化を示すグラフである。 本発明における火炎研磨工程を示す模式図である。 (a)はコアロッドの表面の長手方向に沿う温度分布を示すグラフ、(b)はコアロッドの長手方向に沿った外径変化を示すグラフ、(c)はコアロッドの長手方向に沿った表面近傍における水酸基濃度の変化を示すグラフである。 従来の火炎研磨方法を示す模式図である。
符号の説明
10・・・コアロッド、11・・・バーナ、12・・・冷却手段。

Claims (3)

  1. バーナをコアロッドの長手方向に沿って相対的に移動させながら、バーナから吹き出す酸水素火炎によってコアロッドの表面を加熱することにより、コアロッドの表面を研磨する火炎研磨工程を備えた光ファイバ母材の製造方法であって、
    前記火炎研磨工程において、バーナから吹き出す酸水素火炎によって表面温度の最高値が1700℃を超えるように加熱した直後のコアロッドの表面を、冷却手段によって冷却するとともに、
    冷却しない場合のコアロッドの表面温度が1500℃以上、1700℃以下の領域を冷却し、かつ、前記コアロッドの表面における前記冷却手段によって冷却している場合の温度分布と、前記コアロッドの表面における前記冷却手段によって冷却していない場合の温度分布との差の最大値を50℃以上、400℃以下とすることを特徴とする光ファイバ母材の製造方法。
  2. 前記火炎研磨工程において、コアロッドの長手方向に沿って、表面温度の最も高い領域からの距離が100mm以上、300mm以下の領域を冷却することを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  3. 前記冷却手段はコアロッドの表面に窒素ガスを吹き付けることにより、コアロッドの表面を冷却するものであることを特徴とする請求項1または2に記載の光ファイバ母材の製造方法。
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