JPH10149936A - 変圧器の鉄心の輸送治具及びその組立方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 容易かつ迅速に組立ができる変圧器の鉄心の
輸送治具及びその組立方法を提供すること。 【解決手段】 各相レグ鉄心２と下部ヨーク鉄心３をＥ
形状に積層組立し、各相レグ鉄心部を支持部材４にて挟
み、且つヨーク鉄心部３をヨーク鉄心締付金具８にて固
定し、前記支持部材相互を起立用部材５を介して連結し
たことを特徴とする変圧器の鉄心の輸送治具。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は変圧器の鉄心の輸送
治具及びその組立方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来よりビルの電気室に設置される変圧
器は、難燃性を特長とする乾式変圧器が多く使用されて
いる。これらの既設の変圧器を容量増加あるいは老朽化
等により新しい変圧器と取り換える場合、その変圧器の
搬入については種々の制約が生じてくる。一般に既設ビ
ルの電気室は地下に設けられることが多く、またビル建
設時、電気機器を電気室へ搬入する際に使用した搬入口
あるいは、マシンハッチが残されるケースはほとんどな
い。そのため新しい変圧器は人用通路あるいはエレベー
ター等を利用して搬入することになり、中容量以下の比
較的小型変圧器の場合でも、その完成状態では外形寸法
及び重量において搬入制限がある場合には鉄心自体も分
解する場合がある。

【０００３】従来の変圧器の分割、組立ての様子につい
て図面を用いて説明する。図８は、変圧器の鉄心及びコ
イルを輸送、搬入用に分解した状態を示したものであ
る。図８（ａ）は鉄心を４分割したものであり、鉄心は
下部ヨーク鉄心３ａ、上部ヨーク鉄心３ｂ、レグ鉄心２
により構成される。図８（ｂ）は、レグ鉄心２に取付け
られるコイル９を示している。

【０００４】図９及び図１０は、変圧器を鉄心単位部品
まで分割した場合の再組立の様子を示すものである。設
置現場への輸送は、図８に示されるように、鉄心、コイ
ルがそれぞれ分割した状態で行われ、現地で組立てが行
われる。

【０００５】ここで、現地での変圧器の組立ての大まか
な手順は、下部ヨーク鉄心３ａに各レグ鉄心２を取付
け、各レグ鉄心２にそれぞれコイル３を挿入し、最終的
に上部ヨーク鉄心３ｂを各レグ鉄心２に取付けることに
より、完成するものである。

【０００６】下部ヨーク鉄心３ａ、上部ヨーク鉄心３
ｂ、レグ鉄心２は非常に重量のあるものなので、下部ヨ
ーク鉄心３ａに各レグ鉄心２を取付けを行う際には、図
９に示されるような鉄心積層作業台１ｂが用いられる。

【０００７】すなわち、工場内の起立装置（図示せず）
と同等の機構を持った鉄心積層作業台１ｂ上にてレグ鉄
心２と下部ヨーク鉄心３ａを積層組み合わせ作業が行わ
れる。図９（ａ）は鉄心積層作業台１ｂでレグ鉄心２と
下部ヨーク鉄心３ａとの組合わせ作業が完了した状態を
上部より見た図である。また、図９（ｂ）は図９（ａ）
の側面図である。なお、鉄心積層作業台１ｂ上でレグ鉄
心２と下部ヨーク鉄心３ａとの組合わせを行う際には、
事前に下部ヨーク鉄心３ａにヨーク鉄心締付金具８が取
付けられる。

【０００８】鉄心積層作業台１ｂ上にレグ鉄心２と下部
ヨーク鉄心３ａとが組合わせられると、鉄心積層作業台
１ｂに組込まれたジャッキ１２を稼働させて鉄心積層作
業台１ｂを起立させる。鉄心積層作業台１ｂを起立させ
ることによって、レグ鉄心２と下部ヨーク鉄心３ａとを
所望の場所に設置し、その後、レグ鉄心２にコイル３を
挿入し、最終的に上部ヨーク鉄心３ｂを各レグ鉄心２に
取付けることにより、完成するものである。

【０００９】また鉄心を図８に示されるように単位部品
まで分割した場合の輸送時の様子を図１１に示す。鉄心
の荷姿は、木製のまな板１０の上にレグ鉄心２または上
部ヨーク鉄心３ｂ、下部ヨーク鉄心３ａを載せ、バンド
１１にて縛り固定する。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】しかしながらこの方法
には次のような欠点がある。 （１）各相レグ鉄心２と各上下部ヨーク鉄心３ａ，３ｂ
は、薄板を何枚も積層しているため、輸送の際、上下左
右の振動等によりずれ及び曲げ等が生じ、現地にて補
正、修正等の余分な作業が必要となる。

【００１１】（２）各相レグ鉄心２と下部ヨーク鉄心３
ａを積層組み合わせする鉄心積層作業台１ｂは搬入制限
により分解可能な構造を必要とするだけでなく、重量が
大きく鉄心を起立させる機構を備えているため、その製
作費が非常に高価となる。また搬入制限の違いにより何
種類かの鉄心積層作業台をその都度製作しなければなら
ず、治具としての共用化が困難である。

【００１２】（３）各相レグ鉄心２と上下部ヨーク鉄心
３ａ，３ｂの輸送用治具と鉄心起立用治具が別々のた
め、治具の取り換えが必要であるため作業効率が悪い。
本発明の目的は上述のような輸送時及び組立時に生じる
問題点を解決し、容易かつ迅速に組立ができる変圧器の
鉄心の輸送治具及びその組立方法を提供するものであ
る。

【００１３】

【課題を解決するための手段】課題を解決するために第
１の発明は、各相レグ鉄心と上下部各ヨーク鉄心を分割
して個々を支持部材にて挟み、この支持部材を組立用部
材と共用したことを特徴とする。

【００１４】並びに、第２の発明は、各相レグ鉄心と下
部ヨーク鉄心をＥ形状に積層組立し、各相レグ鉄心部を
支持部材にて挟み、且つヨーク鉄心部をヨーク鉄心締付
金具にて固定し、前記支持部材相互を起立用部材を介し
て連結したことを特徴とする。

【００１５】並びに、第３の発明は、第１の発明におけ
る支持部材で固定されたレグ鉄心を鉄心積層作業台に配
置し、下部ヨーク鉄心を積層組立した後、前記輸送治具
相互を起立用部材にて相互に連結することにより鉄心を
組立ることを特徴とする。また、第４の発明は、第２の
発明における輸送治具の起立用部材に取り付けてある複
数個の吊り耳を使用して鉄心を起立することを特徴とす
る。

【００１６】上記手段によれば、以下の効果を奏するこ
とができる。 （１）レグ鉄心とヨーク鉄心を支持部材にて挟み、スタ
ッドにて締付固定することにより各鉄心の輸送時の振動
等による変形及びずれ等の不具合を防止し、ヨーク鉄心
を積層組立する際の組立精度を悪化させない。

【００１７】（２）鉄心を支持部材にて挟みスタッドに
て締付固定し、相互に連結し、一体化することにより輸
送時の振動等による変形及びずれ等の不具合を防止し、
ヨーク鉄心を積層組立する際の組立精度を悪化させな
い。

【００１８】（３）１，２項の治具を使用することによ
り、いろいろな搬入制限に対応でき、容易に現地作業で
きるため工期を短縮できる。 （４）下部鉄心挿入後、ヨーク鉄心締付金具と前記レグ
鉄心支持部材を起立用部材を介して相互に連結すること
により一体化でき、起立時の鉄心のずれを防止し、また
容易に起立作業することができる。

【００１９】（５）起立用部材に取り付けてある吊り耳
を使用することにより、工場内と同様の起立機構の付い
た鉄心積層作業台が必要ないため安価である。また容易
に起立作業することができる。

【００２０】

【発明の実施の形態】第１の発明に基づく一実施例を図
１と図２を用いて説明する。図１は、分解したレグ鉄心
２の図で（ａ）は上面、（ｂ）は側面からみた図を示
す。また図２は、分解したヨーク鉄心３の図で（ａ）は
上面、（ｂ）は側面からみた図を示す。

【００２１】レグ鉄心２及びヨーク鉄心３を積層組立
後、鉄心支持部材４ａ、４ｂと上下締付スタッド６ａ、
６ｂにて横置き固定したものである。レグ鉄心２は支持
部材４ａ、４ｂと上下締付スタッド６ａ、６ｂにて固定
することで輸送時の上下、水平方向の外力に対して、変
形、ずれを生じさせない。同様にヨーク鉄心３は支持部
材４ｃ、４ｄと上下締付スタッド６ａ、６ｂにて固定す
ることで輸送時の上下、水平方向の外力に対して、変
形、ずれを生じさせない。

【００２２】本発明は輸送時の上下、水平方向の外力に
よる鉄心の変形、ずれがないため鉄心特性を悪化させな
い。第２の発明に基づく一実施例を図３と図４を用いて
説明する。

【００２３】図３は各相のレグ鉄心２と下部ヨーク鉄心
３の組立図、また図４は支持部材４ａ、４ｂ、ヨーク鉄
心締付金具８ａ、８ｂ、起立用部材５ａ、５ｂを取付け
た図で（ａ）は上面、（ｂ）は側面から見た図を示す。

【００２４】レグ鉄心２と下部レグ鉄心３を組立後、レ
グ鉄心２を支持部材４ａ、４ｂにて挟み、上下締付スタ
ッド６ａ、６ｂにて固定する。また下部ヨーク鉄心３に
ヨーク鉄心締付金物８ａ、８ｂを固定する。さらに各相
の支持部材４ａ、４ｂを起立用部材５ａ、５ｂを介して
相互に連結し一体化する。

【００２５】本実施例によれば、レグ鉄心２、ヨーク鉄
心３、支持部材４ａ、４ｂ、起立用部材５ａ、５ｂとヨ
ーク鉄心締付金物８ａ、８ｂが一体化しているので輸送
及び起立時の上下、水平方向の外力に対して、変形、ず
れを生じさせない。さらに、起立用部材５ａ、５ｂを取
付けたまま輸送するので現地ですぐ起立作業ができる。
さらに、輸送及び起立時の上下、水平方向の外力による
鉄心の変形、ずれがなく、鉄心特性を悪化させない。さ
らに、現地にて起立用部材等の組立がないため工期の短
縮ができる。

【００２６】鉄心２，３を支持部材４ａ，４ｂ，４ｃ，
４ｄと締付スタッド６ａ，６ｂにて固定したり、また起
立用部材５ａ，５ｂにて鉄心を一体化することにより輸
送時の変形、ずれを生じさせない。本状態にて輸送する
ことにより、現地での組立作業が容易にできる。本発明
は輸送時において鉄心が部材で支持されているため、鉄
心の変形、ずれがなく、鉄心特性を悪化させない。輸送
すると現地での組立作業が容易に行えるため工期の短縮
が図れる。

【００２７】第３の発明に基づく一実施例について図５
を用いて説明する。図５は上述の実施例に基づくて輸送
した鉄心の組立図で（ａ）は上面、（ｂ）は側面から見
た図を示す。

【００２８】変圧器の鉄心組立は、各相のレグ鉄心２を
図３に示す如く支持部材４ａ、４ｂを取付たまま組立所
定寸法を保って配置する。また、図５に示すようにヨー
ク鉄心締付金具８ａ、８ｂをジャッキ１２により所定位
置に配置し、支持部材４ｃを取り外した下部ヨーク鉄心
３ａを積層組立する。

【００２９】下部ヨーク鉄心３ａ組立後、起立用部材５
ａ、５ｂを介して各層のレグ鉄心の支持部材４ａ、４ｂ
を相互に連結する。レグ鉄心２の支持部材４ａ、４ｂを
組立治具として使用することより部品点数を少くするこ
とができる。鉄心組立時においてレグ鉄心２の支持部材
４ａ、４ｂを外すことなく容易に組立することができ
る。レグ鉄心２、ヨーク鉄心３、支持部材４ａ，４ｂ、
起立用部材５ａ，５ｂとヨーク鉄心締付金物８ａ，８ｂ
が一体化しているので起立時の上下、水平方向の外力に
よる鉄心の変形、ずれが生じさせない。レグ鉄心２と下
部ヨーク鉄心３ａの組立または起立用部材５ａ，５ｂは
横置きにて組立を行えるため重量物を高く持ち上げるこ
となく組立作業ができる。

【００３０】レグ鉄心輸送、ヨーク鉄心積み、鉄心の起
立を兼用できる治具としたため、治具部品点数が少な
く、安価である。レグ鉄心の治具を外すことなく鉄心組
立が行えるため作業性が良好となる。

【００３１】組立、起立においてレグ鉄心が部材で支持
されているため鉄心の変形、ずれがなく、鉄心特性を悪
化させない。下部ヨーク鉄心は低位置でかつ横方向から
挿入組立できるため、重量物を高く持ち上げる必要がな
く、作業性が良好となり、組立治具に制約を受ける現地
作業に適している。

【００３２】第４の発明に基づく実施例を図６と図７を
用いて説明する。図６は組立てられた鉄心の持ち上げ方
法を表した図を示す。また図７は組立てられた鉄心の起
立方法を表した図を示す。

【００３３】起立用部材５ａに取り付けてある吊り耳の
吊り穴１３ａ、１３ｂにワイヤ７ａとワイヤ７ｂを掛け
て吊り上げる。鉄心の起立はワイヤ７ａを吊り穴１３ａ
より取り外し、ワイヤ７ａを起立用部材５ｂの吊り穴１
３ｃに掛け、ワイヤ７ｂを下げると同時にワイヤ７ａを
吊り上げ、鉄心を起立させる。

【００３４】起立用部材５ａ、５ｂはレグ鉄心支持部材
４ａ、４ｂとボルトにて着脱自在に取り付けられてお
り、鉄心の起立は図６に示す如く吊り穴１３ａ、１３ｂ
にワイヤ７ａ、ワイヤ７ｂを掛け吊り上た後、図７に示
す如く吊り穴１３ａ、１３ｃにワイヤ７ａ、ワイヤ７ｂ
を掛けて行う。

【００３５】本発明は鉄心の起立をワイヤにて行うた
め、工場内の起立機構を備えた鉄心積層作業台が必要な
いため、安価である。また容易に作業できるため、作業
性が良好となる。

【００３６】

【発明の効果】本発明は輸送治具と組立治具を兼用して
いるため、安価であるとともに現地における鉄心組立作
業が容易かつ迅速に行える。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例におけるレグ鉄心、輸送
治具を組合せた状態を示す図。

【図２】本発明の第１の実施例におけるヨーク鉄心、輸
送治具を組合せた状態を示す図。

【図３】本発明の第２の実施例におけるレグ鉄心、下部
ヨーク鉄心を組合せた状態を示す図。

【図４】本発明の第２の実施例におけるレグ鉄心、下部
ヨーク鉄心を組合せた状態に輸送治具を取付けた図。

【図５】本発明の第３の実施例における輸送された鉄心
の現地組立状態を示す図。

【図６】本発明の第４の実施例における鉄心起立方法を
示す図。

【図７】本発明の第４の実施例における鉄心起立方法を
示す図。

【図８】従来の変圧器の鉄心コイル分解状態を示す図。

【図９】従来方法の鉄心組立状態を示す図。

【図１０】従来方法の鉄心起立方法を示す図。

【図１１】従来方法の鉄心輸送状態を示す図。

【符号の説明】

２はレグ鉄心、３ａは下部ヨーク鉄心、４ａ，４ｂ，４
ｃ，４ｄは支持部材、５ａ，５ｂは起立用部材、６ａ，
６ｂは上下締付スタッド、７ａ，７ｂはワイヤ、８ａ，
８ｂはヨーク鉄心締付金物、１３ａ，１３ｂは吊り穴で
ある。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 各相レグ鉄心と上下部各ヨーク鉄心を分
   割して個々を支持部材にて挟み、この支持部材を組立用
   部材と共用したことを特徴とする変圧器の鉄心の輸送治
   具。
2. 【請求項２】 各相レグ鉄心と下部ヨーク鉄心をＥ形状
   に積層組立し、各相レグ鉄心部を支持部材にて挟み、且
   つヨーク鉄心部をヨーク鉄心締付金具にて固定し、前記
   支持部材相互を起立用部材を介して連結したことを特徴
   とする変圧器の鉄心の輸送治具。
3. 【請求項３】 各相レグ鉄心と上下部各ヨーク鉄心を分
   割して個々を支持部材にて挟み、この支持部材で固定さ
   れたレグ鉄心を鉄心積層作業台に配置し、下部ヨーク鉄
   心を積層組立した後、前記輸送治具相互を起立用部材に
   て相互に連結することにより鉄心を組立ることを特徴と
   する変圧器の鉄心の組立方法。
4. 【請求項４】 各相レグ鉄心と下部ヨーク鉄心をＥ形状
   に積層組立し、各相レグ鉄心部を支持部材にて挟み、且
   つヨーク鉄心部をヨーク鉄心締付金具にて固定し、前記
   支持部材相互を起立用部材を介して連結した輸送治具の
   起立用部材に取り付けてある複数個の吊り耳を使用して
   鉄心を起立させることを特徴とする変圧器の鉄心の組立
   方法。