JPH10148822A - 液晶表示素子用基板 - Google Patents

液晶表示素子用基板

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JPH10148822A
JPH10148822A JP31067596A JP31067596A JPH10148822A JP H10148822 A JPH10148822 A JP H10148822A JP 31067596 A JP31067596 A JP 31067596A JP 31067596 A JP31067596 A JP 31067596A JP H10148822 A JPH10148822 A JP H10148822A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、軽量性、耐熱性に優れると共に、均
質な透明性、透明電極を形成した際の密着性および特に
屈曲に対するクラックの発生を防止できる優れた耐屈曲
性を有する液晶表示素子用基板の開発を課題とする。 【課題手段】本発明は、透明樹脂基板の少なくとも片面
が無機酸化物の透明皮膜で被覆されており、その無機酸
化物の透明皮膜が金属アルコキシドの加水分解・重縮合
体からなり、金属アルコキシドの加水分解・重縮合時の
溶媒として分子量が70以上のアルコキシエタノール、
ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルの群から
選ばれた親水性溶媒を用いたことを特徴とする液晶表示
素子用基板を提供するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置にお
ける液晶セルの形成などに好適な樹脂系の液晶表示素子
用基板に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶セルの大画面化、携帯通信端末の増
加等に伴い、これまでのガラス基板では割れやすく、且
つ重いという難点があるため薄型で、かつ軽いという利
点を有する樹脂基板が検討されている。しかしながら、
樹脂基板にはガラス基板に比べて耐熱性、表面硬度、I
TO等の透明電極との密着性に劣る難点があり、その克
服が種々試みられている。従来、前記の克服手段として
は樹脂基板にシリカ等の無機物を蒸着する方式、シリコ
ーン系やアクリル系のハードコート膜を設ける方式が知
られている。しかしながら、無機物蒸着の樹脂基板では
その無機蒸着層と樹脂基板との密着性に乏しい問題点が
有り、アクリル系等のハードコート膜を設けた樹脂基板
では耐熱性や表面硬度、透明電極との密着性の向上効果
が不充分である問題点があった。本願出願人は、これら
の問題を解決するため、先に特開平7−199165号
において、透明樹脂基板の少なくとも片面が無機酸化物
の透明皮膜で被覆されており、その無機酸化物の透明皮
膜が金属アルコキシドの加水分解・重縮合体からなる液
晶表示素子用基板を提案したが、この際使用する溶媒に
は特別な配慮はなされてあらず、通常使用される低級ア
ルコールが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、軽量性、耐
熱性に優れると共に、均質な透明性、透明電極を形成し
た際の密着性および特に屈曲に対するクラックの発生を
防止できる優れた耐屈曲性を有する液晶表示素子用基板
の開発を課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、透明樹脂基板
の少なくとも片面が無機酸化物の透明皮膜で被覆されて
おり、その無機酸化物の透明皮膜が金属アルコキシドの
加水分解・重縮合体からなり、金属アルコキシドの加水
分解・重縮合時の溶媒として分子量が70以上のアルコ
キシエタノール、ジアルキレングリコールモノアルキル
エーテルの群から選ばれた親水性溶媒を用いたことを特
徴とする液晶表示素子用基板を提供するものである。本
発明の液晶表示素子用基板は、金属アルコキシドの加水
分解・重縮合体からなる無機酸化物の透明皮膜で少なく
とも片面が被覆された透明樹脂基板からなるものであ
る。 本発明においては、透明樹脂基板に金属アルコキ
シドの加水分解・重縮合体からなる無機酸化物の透明皮
膜を形成する際の金属アルコキシドを溶解する溶媒とし
て、特定の高分子量の親水性溶媒を用いることにより、
液晶表示素子用基板の均質な透明性や皮膜の耐屈曲性な
どを向上させることができる。
【0005】その金属アルコキシドとしては、例えばア
ルコキシシラン、アルコキシアルミニウム、アルコキシ
チタン、アルコキシアンチモン、アルコキシジルコニウ
ムなどの加水分解・重縮合により透明な無機酸化物を形
成しうる適宜なものを用いうる。反応の容易性等の点よ
り好ましく用いうる金属アルコキシドは、アルコキシシ
ランであり、特に一般式 R1 −Si(−OR2 3 またはSi(−OR3 4 (ただし、R1 、R2 、R3 は、同種または異種の炭素
数が1〜4のアルキル基)で表されるアルコキシシラン
が好ましく用いられる。熱処理の条件により、透明皮膜
中には、未反応のアルコキシ基や上記一般式におけるR
1 の有機基が残存した有機成分含有の透明皮膜が形成さ
れることとなる。有機成分を含有する場合には、その含
有量が20重量%以下の透明皮膜であることが透明電極
の密着性の点より望ましい。
【0006】ちなみに前記の一般式で表されるアルコキ
シシランの具体例としては、例えばテトラメトキシシラ
ン、テトラエトキシシラン、テトラ-n- プロポキシシラ
ン、テトライソプロポキシシラン、テトラ-n- ブトキシ
シラン、テトラ-sec- ブトキシシラン、テトラ-tert-ブ
トキシシランの如きテトラアルコキシシラン、メチルト
リメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチル
トリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n-プ
ロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシ
ラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピル
トリエトキシシラン、γ- クロロプロピルトリメトキシ
シラン、γ- クロロプロピルトリエトキシシラン、メチ
ルイソプロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシ
ラン、イソプロピルトリイソプロポキシシラン、n-プロ
ピルトリイソプロポキシシラン、メチルトリ-n- プロポ
キシシラン、エチルトリ-n- プロポキシシラン、イソプ
ロピルトリ-n- プロポキシシラン、n-プロピルトリ-n-
プロポキシシラン、γ- クロロプロピルトリイソプロポ
キシシラン、γ- クロロプロピルトリ-n- プロポキシシ
ラン、メチルジメトキシイソプロポキシシラン、メチル
メトキシジイソプロポキシシラン、エチルジエトキシイ
ソプロポキシシラン、エチルエトキシジイソプロポキシ
シラン、メチルジエトキシイソプロポキシシラン、メチ
ルエトキシジイソプロポキシシランの如きモノアルキル
トリアルコキシシランなどが挙げられる。
【0007】透明皮膜の形成は、例えば金属アルコキシ
ドと水を特定の高分子量の親水性溶媒に溶解させた溶液
を例えばキャスティング方式、スピンコート方式、ディ
ッピング方式等の適宜な方式で透明基板上に展開し、そ
れを加熱処理して水や溶媒を蒸発させ、無機酸化物皮膜
を形成することができる。形成する透明皮膜の厚さは、
使用目的等に応じて適宜に決定することができ、一般に
は0.1〜20μm、好ましくは0.1〜5μmとされ
る。 前記した展開液の調整に際しては、2種以上の金
属アルコキシドを用いることもできる。また、加水分解
・重縮合反応の促進の点より、酸または塩基を加えると
よい。一般に、無機酸としては塩酸、硫酸、硝酸など
が、有機酸としては酢酸、蟻酸、蓚酸などが用いられ
る。塩基としては、アンモニア、有機のアミノ化合物な
どが用いられる。金属アルコキシドの有機溶媒希釈液に
水、酸、アルカリ等を混入させ室温で撹拌すればよく、
濃度、時間、温度で任意に反応をコントロールする事が
できる
【0008】本発明における親水性溶媒は、水を十分溶
解できることが必要であり、アルコキシエタノール、ジ
アルキレングリコールモノアルキルエーテルの群から選
ばれた溶媒が使用される。この親水性溶媒としては、溶
媒蒸発後に形成される透明皮膜の硬さを調節するため、
および透明皮膜上に透明電極を形成する上で屈曲による
クラックの発生を防止するため、分子量が70以上と大
きく沸点が高い溶媒が用いられる。アルコキシエタノー
ル系溶媒としては、2-メトキシエタノール、2-エトキシ
エタノール、2-イソプロポキシエタノール、2-ブトキシ
エタノール、2-イソペンチルオキシエタノールなどが例
示される。ジアルキレングリコールモノアルキルエーテ
ル系溶媒としては、ジエチレングリコールモノメチルエ
ーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジ
エチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレン
グリコールモノメチルエーテルなどが例示される。
【0009】これらの親水性溶媒の分子量は、70以
上、好ましくは70〜250のものが用いられる。これ
らの高分子量の溶媒を単独で用いてもよいし、低級アル
コールの如き低分子量の溶媒との混合溶媒として用いて
もよい。その場合に耐屈曲性や密着性の良い膜とするに
は、低分子量の溶媒は重量で80%以下、好ましくは5
0%以下とすると良い。また、単独又は混合溶媒の沸点
は、使用される基板の耐熱性、作業性の面から80℃〜
300℃の範囲が適当である。金属アルコキシドの加水
分解物の溶解性の面から、上記親水性溶媒に対して水の
溶解性は、20℃にて15%以上であることが好まし
い。溶解性が悪いと金属アルコキシドの加水分解・重縮
合物の凝集を生じ、光学的に不透明な皮膜となる場合が
ある。低級アルコール系溶媒としては、メチルアルコー
ル、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロ
ピルアルコール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアル
コール、tert- ブチルアルコールなどが例示される。
【0010】本発明において、透明樹脂基板に形成され
る透明皮膜には無機酸化物粒子を分散含有させることも
できる。かかる無機酸化物粒子の含有により表面が凹凸
形状の透明皮膜を形成でき、これによりその凹凸構造に
基ずくアンカー効果等により透明電極等の密着力をより
向上させることができる。無機酸化物粒子としては、例
えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化アンチモン、
ジルコニアなどからなる透明皮膜中で透明性を示す適宜
な粒子を用いることができ、本発明の目的の点よりはア
ルミナ粒子が好ましい。粒子の大きさは形成する透明皮
膜の厚さ等により適宜に決定されるが、形成皮膜の透明
性の点より0.1μm以下、好ましくは0.05μm以
下が使用される。
【0011】無機酸化物粒子含有の透明皮膜の形成は、
例えば上記した展開液の調整に際して、1種または2種
以上の無機酸化物粒子を配合して分散させ、その展開液
を用いて、透明皮膜を形成する方式などにより行なうこ
とができる。透明皮膜における無機酸化物粒子の含有量
は、85重量%以下とすることが好ましい。その含有量
が85重量%を超えると透明樹脂基板との密着性が低下
したり、脆い透明皮膜が形成される場合がある。透明皮
膜を設ける対象の透明樹脂基板としては、熱可塑性樹脂
や熱硬化性樹脂などの適宜な樹脂からなるものを用いう
る。ITO蒸着膜等からなる透明電極を設ける液晶セル
用のものとしては、蒸着処理時の耐熱性等の点より13
0℃以上、好ましくは150℃以上のガラス転移温度を
有するものが良い。また、セル内の液晶の変質防止やセ
ル寿命等の点より耐薬品性、透明性、光学的等方性、低
吸湿性、低吸水性、酸素等のガスバリア性に優れるもの
が好ましい。
【0012】透明樹脂基板の形成に一般に用いられる樹
脂の例としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、
ポリエーテルスルホン、ポリエステル、ポリスルホン、
ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルイミド、ポリ
アミド等の熱可塑性樹脂やエポキシ系樹脂、不飽和ポリ
エステル、ポリジアリルフタレート、ポリイソボニルメ
タクリレート等の熱硬化性樹脂などが挙げられる。かか
る樹脂は1種または2種以上を用いることができ、他成
分との共重合体や混合物などを用いうる。耐熱性等の点
より好ましく用いうる透明樹脂基板は、エポキシ系樹
脂、特にエポキシ樹脂と酸無水物系硬化剤とリン系硬化
触媒を含有するエポキシ系組成物の硬化体からなるもの
である。そのエポキシ樹脂としては、ビスフェノール型
やノボラック型、脂環式型や多官能型などの種々のエポ
キシ樹脂を用いることができ、特に限定はない。
【0013】酸無水物系硬化剤としては、例えば無水フ
タル酸、3,6エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル
酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、ヘキサヒドロ無水
フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒ
ドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸な
どが挙げられ、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒド
ロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メ
チルテトラヒドロ無水フタル酸などの無色ないし淡黄色
の酸無水物が好ましく用いうる。酸無水物系硬化剤の配
合量は、エポキシ樹脂における1エポキシ当量あたり
0.5〜1.3当量が好ましい。リン系硬化触媒として
は、アルキルホスフィン類、ホスフィンオキサイド類、
ホスホニウム塩類などが挙げられる。その配合量は、酸
無水物系硬化剤100重量部あたり、0.2〜10重量
部、好ましくは0.5〜4重量部である。
【0014】透明樹脂基板の形成は、例えば注型成型方
式、トランスファ成形方式、流延成形方式、射出成形方
式、ロール塗工成形方式、押出成形方式、キャスティン
グ成形方式、反応射出成形方式(RIM)などの適宜な
方式で行なうことができる。その形成に際しては、必要
に応じて例えば染料、変性剤、変色防止剤、酸化防止
剤、紫外線吸収剤、離型剤、反応性希釈剤、非反応性希
釈剤などの適宜な添加剤を透明性を損なわない範囲で適
宜に配合することができる。形成する透明樹脂基板の厚
さは、薄型化や軽量性等の点より1mm以下、就中0.5
〜0.08mmが好ましい。なお透明樹脂基板のかかる厚
さは、上記したごとく同種または異種の樹脂からなる2
層または3層以上の積層物として達成されていてもよ
い。従って透明樹脂基板は、樹脂の単層物やその積層物
として形成されてもよい。
【0015】本発明の液晶表示素子用基板は、液晶表示
装置、就中、液晶セルの形成に好ましく用いうるが、例
えば厚さ0.4mmの場合、分光光度計による波長600
nmの光の透過率が60%以上、就中80%以上の透明性
を示すものが好ましく用いられる。なお本発明の液晶表
示用基板の実用に際しては、ガス透過性の低減を目的と
したガスバリア層やハードコート層などの機能膜を付設
することもできるし、位相差板や偏光板と接合すること
もできる、従って本発明の液晶表示素子用基板は、それ
をベース層とする種々の機能層との重畳物などからなる
複層物として実用に供することができる。前記した液晶
セルの形成は、例えば液晶表示素子用基板に透明電極パ
ターンを形成して対向配置し、その液晶表示素子用基板
間に液晶を封入する方法などにより行なうことができ
る。その透明電極ないしパターンの形成は、例えば酸化
スズ、酸化インジウム、金、白金、パラジウムの如き透
明電極形成材をスパッタリング法等により蒸着する方式
や透明導電塗料を塗布する方式などの従来に準じた方式
で行なうことができる。透明電極上に必要に応じて設け
られる液晶配列用の配向膜も同様に従来に準じた方式で
行なうことができる。形成する液晶セルは、例えばTN
型、STN型、TFT型、強誘電性液晶型など任意であ
る。
【0016】
【実施の態様】
【実施例1】エポキシ当量185のビスフェノールA型
エポキシ樹脂100部(重量部、以下同じ)とメチルヘ
キサヒドロ無水フタル酸95部とトリフェニルフォスフ
ィン1部からなる混合物を型に注入し、100℃で2時
間、次いで170℃で16時間硬化処理して厚さ0.4
mmの透明樹脂基板を得た。次ぎにテトラエトキシシラン
30部、2-エトキシエタノール45部、水30部及び硝
酸0.06部を混合してなる溶液を、前記の透明樹脂基
板上に塗布し、170℃で1時間加熱処理して厚さ2μ
mの透明皮膜を付設し、液晶表示用基板を得た。その透
明皮膜に於ける有機成分は有機成分の含有量をNMR分
析により測定したところ10%以下であった。また、皮
膜の硬さを鉛筆硬度で測定したところ、2Hであった。
【0017】
【実施例2】テトラエトキシシランに代えて、メチルト
リメトキシシラン30部を用いた他は実施例1に準じて
透明皮膜を形成し、液晶表示素子用基板を得た。その透
明皮膜における有機成分の含有量は10%以下であっ
た。また、皮膜の硬さを鉛筆硬度で測定したところ、2
Hであった。
【0018】
【実施例3】テトラエトキシシラン30部、2-ブトキシ
エタノール60部、水30部及び硝酸0.06部を混合
してなる溶液に平均粒子径0.02μmのシリカ粒子1
0部を分散させた液を用いて透明皮膜を形成した他は実
施例に準じて液晶表示素子用基板を得た。その透明皮膜
に於ける有機成分は10重量%以下であった。また、皮
膜の硬さを鉛筆硬度で測定したところ、4Hであった。
【0019】
【実施例4】テトラエトキシシラン30部、2-ブトキシ
エタノール60部、水30部及び硝酸0.06部を混合
してなる溶液に平均粒子径0.03μmのアルミナ粒子
10部を分散させた液を用いて透明皮膜を形成した他は
実施例に準じて液晶表示素子用基板を得た。その透明皮
膜に於ける有機成分は10重量%以下であった。また、
皮膜の硬さを鉛筆硬度で測定したところ、4Hであっ
た。
【0020】
【実施例5】2-エトキシエタノールに代えて、ジエチレ
ングリコールモノエチルエーテル45部を用いた他は実
施例1に準じて透明皮膜を形成し、液晶表示素子用基板
を得た。その透明皮膜における有機成分の含有量は10
%以下であった。また、皮膜の硬さを鉛筆硬度で測定し
たところ、3Hであった。
【0021】
【比較例1】透明皮膜形成用溶液として、イソプロピル
アルコールを用いた以外は、実施例1に準じて液晶表示
用基板を得た。
【0022】〔評価〕実施例および比較例で得た液晶表
示素子用基板の透明皮膜の上に、スパッタリング方式で
ITOからなる厚さ約0.1μmの透明電極を設けた。
この基板における透明電極の表面抵抗は、いずれの場合
も40Ω/□であった。次に、この基板のITO面(透
明電極側)を内側にして40mmφの円柱に巻き付け、ク
ラック発生の有無を顕微鏡にて観察した。さらに、上記
透明電極を設けた基板を150℃で1時間加熱し、熱履
歴による状態の変化を調べた。前記において、実施例に
おいてはいずれの場合にも加熱後の透明電極を含む基板
全体に外観上の変化は全くなく、表面抵抗の変化もなか
った。また、屈曲によるクラック発生も認められなかっ
た。一方、比較例の場合には、透明電極にクラックを生
じ、抵抗の増加を示した。上記の試験結果を表1に示し
た。
【0023】
【表1】
【0024】
【発明の効果】本発明においては、透明樹脂基板に金属
アルコキシドの加水分解・重縮合体からなる無機酸化物
の透明皮膜を形成する際の金属アルコキシドを溶解する
溶媒として、特定の高分子量の親水性溶媒を用いること
により、溶媒の蒸発が除々に進行するため形成される皮
膜内部の微細なボイド等の発生が抑制され、均質な透明
皮膜を形成できると共に、透明電極を形成した際の屈曲
に対するクラックの発生を防止できる特徴を有してい
る。また本発明によれば、軽量性、耐熱性、透明性、透
明電極との密着性、耐屈曲性に優れる液晶表示素子用基
板を得ることができ、それを用いて従来のガラス基板を
用いた液晶セルと同等の画質を達成しつつ、約60%の
軽量化を実現した、耐湿性、耐衝撃性に優れる液晶セル
を形成することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明樹脂基板の少なくとも片面が無機酸
    化物の透明皮膜で被覆されており、その無機酸化物の透
    明皮膜が金属アルコキシドの加水分解・重縮合体からな
    り、金属アルコキシドの加水分解・重縮合時の溶媒とし
    て分子量が70以上のアルコキシエタノール、ジアルキ
    レングリコールモノアルキルエーテルの群から選ばれた
    親水性溶媒を用いたことを特徴とする液晶表示素子用基
    板。
  2. 【請求項2】 透明皮膜の有機成分含有量が20重量%
    以下である請求項1記載の液晶表示素子用基板。
  3. 【請求項3】 透明皮膜が無機酸化物粒子を分散含有す
    る請求項1〜2記載の液晶表示素子用基板。
  4. 【請求項4】 透明樹脂基板がエポキシ樹脂と酸無水物
    系硬化剤とリン系硬化触媒を含有するエポキシ系組成物
    の硬化体からなる請求項1〜3記載の液晶表示素子用基
    板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7507436B2 (en) 2003-07-04 2009-03-24 Nitto Denko Corporation Electroconductive cellulose-based film, a method of producing the same, an anti-reflection film, an optical element, and an image display

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7507436B2 (en) 2003-07-04 2009-03-24 Nitto Denko Corporation Electroconductive cellulose-based film, a method of producing the same, an anti-reflection film, an optical element, and an image display

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