JPH10142080A - トルク検出装置用トルク−磁気変換器 - Google Patents

トルク検出装置用トルク−磁気変換器

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JPH10142080A
JPH10142080A JP31145496A JP31145496A JPH10142080A JP H10142080 A JPH10142080 A JP H10142080A JP 31145496 A JP31145496 A JP 31145496A JP 31145496 A JP31145496 A JP 31145496A JP H10142080 A JPH10142080 A JP H10142080A
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JP
Japan
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torque
tensile stress
magnetic
magnetostrictive
axis
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JP31145496A
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Inventor
Nobuyoshi Sugitani
伸芳 杉谷
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 トルク−磁気変換器の変換感度及び変換精度
を向上させる。 【解決手段】 軸線Aに沿って互いに嵌合する実質的に
円柱状の軸12及び実質的に円筒状の磁歪管14を有す
るトルク−磁気変換器10。軸の外面又は磁歪管の内面
に少なくとも周方向に延在する溝16が設けられ、磁歪
管は軸に焼嵌めされることにより、磁歪管には周方向の
引張り応力Fc に加えて軸線方向の引張り応力Fa も残
留し、これにより磁気異方性の方向が軸線Aに対し傾斜
した方向に設定されている。変換器にトルクが作用する
と磁気異方性の度合(透磁率)が変化するので、磁歪管
の軸線方向の磁界の強さの変化はトルクの大きさに対応
し、両者の対応関係は軸線方向の引張り応力が残留して
いない場合に比して高精度である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トルク検出装置に
係り、更に詳細にはトルク検出装置用のトルク−磁気変
換器に係る。
【0002】
【従来の技術】トルク検出装置のトルク−磁気変換器の
一つとして、例えば特開平5−196517号公報に記
載されている如く、軸線に沿って互いに嵌合する実質的
に円柱状の軸及び実質的に円筒状の磁歪管を有し、磁歪
管には軸線周りの周方向の1軸の磁気異方性及び周方向
の磁界が与えられたトルク−磁気変換器が従来より知ら
れている。
【0003】かかるトルク−磁気変換器によれば、軸に
軸線周りのトルクが作用すると、磁歪管には軸線に対し
±45°傾斜した方向に圧縮応力及び引張り応力が発生
し、これらの応力による磁歪管の歪(磁歪変位)により
後に詳細に説明する磁歪効果の逆現象として磁気特性が
変化され、これにより磁歪管に周方向に与えられている
磁界の一部が軸線に対し45°傾斜した周方向に偏向さ
れる。かくして偏向された磁界の周方向の成分は閉磁路
を構成するので、この成分を外部より検出することはで
きないが、上記偏向された磁界の軸線方向の成分は外部
より検出可能であり、従ってこの軸線方向の成分の強度
及び方向を検出することによりトルクの大きさ及び方向
を検出することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし上記公開公報に
記載されたトルク−磁気変換器に於いては、磁歪管が軸
に締り嵌めされることにより、磁歪管に軸線周りの周方
向に引張り応力が与えられ、これにより磁歪管に軸線周
りの周方向の1軸の磁気異方性が与えられ、従って磁歪
効果の逆現象による磁気特性は周方向については向上さ
れているが、磁気特性の変化の検出方向である軸線方向
については全く改善されていない。従って上述の従来の
変換器に於けるトルク−磁気変換の感度及び精度は低
く、この変換器によってはトルク検出装置のトルク検出
感度及び検出精度を十分に向上させることができない。
【0005】本発明は、磁歪管に軸線周りの周方向の1
軸の磁気異方性及び周方向の磁界が与えられた従来のト
ルク−磁気変換器に於ける上述の如き問題に鑑みてなさ
れたものであり、本発明の主要な課題は、磁気特性の変
化の検出方向である軸線方向について磁歪効果の逆現象
による磁気特性を改善することにより、トルク−磁気変
換器の変換感度及び変換精度を向上させることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述の如き主要な課題
は、本発明によれば、請求項1の構成、即ち軸線に沿っ
て互いに嵌合する実質的に円柱状の軸及び実質的に円筒
状の磁歪管を有し、前記軸の外面又は前記磁歪管の内面
に少なくとも周方向に延在する溝が設けられ、前記磁歪
管は正の磁歪定数を有する磁歪材にて形成され、前記軸
に焼嵌めされているトルク検出装置用トルク−磁気変換
器によって達成される。
【0007】一般に機械的圧入や金属の変態を利用して
軸と磁歪管とが締り嵌めされる場合には、磁歪管に比較
的大きい周方向の引張り応力が残留するが軸線方向に残
留する引張り応力は非常に小さい。また磁歪管の温度が
軸の温度よりも相対的に高く設定された状態で軸と磁歪
管とが嵌合され、しかる後それらの温度が常温にもたら
される焼嵌めの場合にも、軸と磁歪管との間に軸線方向
の相対的な滑りが生じるので、軸線方向に残留する引張
り応力は小さい。
【0008】これに対し本発明に従って軸の外面又は磁
歪管の内面に少なくとも周方向に延在する溝が設けられ
た軸及び磁歪管が焼嵌めされる場合には、エッジ部の食
い込みや変形により軸と磁歪管との間の軸線方向の相対
的な滑りが効果的に抑制されると共に、軸線方向の引張
り応力に起因して磁歪管に割れが発生したり軸が磁歪管
より抜け出したりすることが畝部の変形により効果的に
抑制される。従って図21に示されている如く周方向の
引張り応力Fc に加えて軸線方向(磁歪管の軸線Aに沿
う方向)の引張り応力Fa も残留し、一般に軸線方向の
引張り応力Faは周方向の引張り応力Fc よりも小さ
い。
【0009】磁歪効果は一般に磁歪材に磁界が与えられ
たときの磁歪材の長さの変化として表されるが、トルク
の検出に於いて利用される磁歪効果はその逆現象と呼ば
れるべきものであり、磁歪材に応力、従って長さの変化
を与えた場合に於ける磁歪材の磁気特性の変化である。
磁歪材の長さの変化を与えても磁界の向きが特定されな
いので磁界が発生する訳ではなく、応力方向に磁界が向
き易くなるものと考えられる。即ち磁歪効果の逆現象は
応力方向の透磁率が高くなる現象であり、磁歪材がコイ
ルにより励磁される場合には磁束が応力方向に通り易く
なり、磁歪材が着磁されその磁界の方向が応力方向とは
異なる場合にはその磁界の磁束の一部が応力方向に偏向
される現象と考えられる。
【0010】また図22に示されている如く一般的には
磁歪定数λと磁界の強さHとの関係にて示される磁歪効
果は磁歪材にプレロードが与えられると向上し、同一の
磁界の強さに対する磁歪定数が高くなると共にヒステリ
シスが小さくなることが知られている。この現象は、プ
レロードの方向に沿う磁化曲線が図23に於いて破線に
て示された通常の磁化曲線より図23に於いて実線にて
示されている如く変化し、プレロードの方向の透磁率及
び残留磁化が大きくなり保磁力が低下すると共に、初期
磁化曲線が原点に近い領域に於いても実質的にリニアに
なることに対応している。
【0011】磁歪効果の逆現象として変化する透磁率μ
は磁歪効果を表す磁歪定数λが大きくなればこれに対応
して大きくなり、従って磁歪定数が正の磁歪材に引張り
応力がプレロードとして与えられれば、プレロードが与
えられない場合に比して透磁率μが大きくなることによ
って応力の検出感度及び検出精度が向上し、また透磁率
μのヒステリシスが小さくなって応力に対する透磁率の
関係のリニアリティが高くなるので、応力の検出誤差が
減少し、このことによっても検出精度が向上する。
【0012】上記請求項1の構成によれば、軸の外面又
は磁歪管の内面に少なくとも周方向に延在する溝が設け
られ、磁歪管は軸に焼嵌めされ、これにより磁歪管には
周方向のみならず磁気的特性変化の検出方向である軸線
方向にも引張り応力が与えられており、この焼嵌めによ
る軸線方向の引張り応力はプレロードとして作用するの
で、磁歪管に周方向の引張り応力しか与えられていない
従来の変換器の場合に比して磁気特性の変化の検出方向
である軸線方向の透磁率μが高く且つ応力に対する透磁
率の関係のリニアリティが高く、従って従来に比してト
ルク−磁気変換の感度及び精度が高くなる。
【0013】即ち図24に示されている如く、軸にトル
クTが作用すると磁歪管にはその軸線Aに対し±45°
の方向に引張り応力Ftt及び圧縮応力tcが発生するの
で、従来の変換器を用いてトルクを検出する場合には、
プレロードが0の状況にて引張り応力Fttが作用した場
合のその引張り応力の方向(軸線Aに対し±45°の方
向)の透磁率μの指標D1 (例えば磁界の強さ)の軸線
方向の成分D1 ・ cos45°が検出される。
【0014】これに対し、本発明の変換器を用いてトル
クが検出される場合には、上記軸線方向の成分D1 ・ c
os45°ではなく、図25に示されている如く、焼嵌め
による軸線方向の引張り応力Fa の軸線Aに対し±45
°の方向の成分(Fa ・ cos45°)/2がプレロード
として作用している状況にてトルクによる引張り応力F
ttが作用した場合のその引張り応力の方向(軸線Aに対
し±45°の方向)の透磁率μの指標D2 の軸線方向の
成分D2 ・ cos45°が検出される。
【0015】従来の変換器及び本発明の変換器の磁歪管
に励磁により与えられ又は着磁により与えられている磁
界の強さ及び方向が同一とすると、軸線Aに対し±45
°方向に作用する引張り応力の大小関係よりD2 >D1
であると共に、トルクによる引張り応力Fttに対するD
2 のリニアリティはD1 のそれよりも高く、従って指標
D1 の軸線方向成分に加えて指標D2 の軸線方向の成分
を検出することによりトルクを高感度且つ高精度に検出
することが可能になる。
【0016】また本発明によれば、上述の主要な課題を
効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前
記軸は非磁性体にて形成され(請求項2の構成)、また
上記請求項1の構成に於いて、前記軸は負の磁歪定数を
有する磁歪材にて形成される(請求項3の構成)。
【0017】一般に、軸100の外面又は磁歪管102
の内面に少なくとも周方向に延在する溝104が設けら
れた軸及び磁歪管が焼嵌めされると、図26に示されて
いる如く磁歪管には軸線方向の引張り応力Fa が残留す
るが、軸にはこれに対応する軸線方向の圧縮応力Facが
残留する。従って軸及び磁歪管の両方が正の磁歪定数を
有する磁歪材にて形成されると、磁歪管に於いて生じる
磁歪効果の逆現象(透磁率の増大)が軸に於いて生じる
磁歪効果(透磁率の減少)によって減殺され、十分な磁
歪効果の逆現象を発生させることができない。また軸が
実質的に磁歪効果を有しない磁性材にて形成されると、
磁歪管内に於いて磁歪効果の逆現象により生じた磁束が
軸を通過する閉磁路が形成され、磁界が外部に出ないた
め、磁界を検出することができなくなる。
【0018】上記請求項2の構成によれば、軸は非磁性
体にて形成されるので、磁歪管に於いて生じる磁歪効果
の逆現象が軸に於いて軸に於いて生じる磁歪効果の逆現
象によって減殺されることが防止されると共に、磁歪効
果の逆現象により磁歪管内に於いて発生され又は偏向さ
れた磁束が軸を通過しこれを外部に取り出せなくなるこ
とが確実に防止される。
【0019】また上記請求項3の構成によれば、軸は負
の磁歪定数を有する磁歪材にて形成されるので、軸に残
留する軸線方向の圧縮応力により軸にも磁歪効果の逆現
象が発生されると共に、その磁歪効果の逆現象は磁歪管
に発生する磁歪効果の逆現象と同一であり、従って上記
請求項2の構成の場合に比してトルク−磁気変換の感度
及び精度が更に一層高くなる。
【0020】また本発明によれば、上述の主要な課題を
効果的に達成すべく、上記請求項2又は3の構成に於
て、前記磁歪管と前記軸との間に前記軸線の周りに所定
のプレトルクが与えられ(請求項4の構成)、前記溝は
前記軸線の周りに螺旋状に延在するよう構成され(請求
項5の構成)、前記磁歪管は前記軸線の周りに周方向に
着磁され(請求項6の構成)、前記磁歪管は前記軸線の
周りに螺旋状に着磁される(請求項7の構成)。
【0021】一般に、図25(A)と図27(A)との
比較より解る如く、軸100にトルクTが作用すること
により磁歪管102に発生する引張り応力Fttの方向は
トルクTの方向によって異なるが、図25(B)及び図
27(B)に示されている如く、磁歪効果の逆現象とし
て引張り応力Fttにより変化される透磁率μの指標D2
の軸線方向の成分D2 ・ cos45°はトルクTの方向に
拘らずトルクの大きさが同一であれば同一であり、従っ
てトルクTの方向を判別するためには別の手段が必要で
ある。
【0022】請求項4の構成によれば、磁歪管と軸との
間に軸線の周りに所定のプレトルクが与えられるので、
図28に示されている如く、プレトルクTp により磁歪
管に与えられる軸線に対し45°の方向の引張り応力を
Fptとし圧縮応力をFpcとすると、軸に作用するトルク
Tの方向がプレトルクの方向と同一である場合には、磁
歪管の引張り応力はFpt+(Fa ・cos 45°)/2+
Fttとなって増大するのに対し、図29に示されている
如く、軸に作用するトルクの方向がプレトルクの方向と
は逆である場合には、磁歪管の引張り応力はFpt+(F
a ・cos 45°)/2−Fttとなって減少する。従って
磁歪管の引張り応力の増減、換言すればその引張り応力
により変化される透磁率μの指標D2 の軸線方向の成分
の増減によりトルクの方向を判定し、増減の大きさによ
りトルクの大きさを判定することが可能になる。
【0023】また請求項5の構成によれば、溝は前記軸
線の周りに螺旋状に延在しているので、焼嵌めにより磁
歪管には周方向に加えて溝に垂直な軸線の周りの方向に
も引張り応力が残留し、この引張り応力はプレトルクに
より磁歪管に与えられるプレ引張り応力と同様オフセッ
トの引張り応力として作用する。従ってこの構成の場合
にも請求項4の構成の場合と同様トルクの方向及び大き
さを判定することが可能になる。
【0024】また請求項6の構成によれば、磁歪管は軸
線の周りに周方向に着磁されており、周方向の磁界を有
しているので、軸にトルクが作用することにより軸線に
対し45°の方向の引張り応力が磁歪管に与えられる
と、磁界の磁束の一部が引張り応力の方向に偏向される
が、その偏向方向はトルクの方向によって異なり、従っ
て例えば軸線に沿う磁界の強さ及び方向によりそれぞれ
トルクの大きさ及び方向を判定することが可能になる。
【0025】更に請求項7の構成によれば、磁歪管は軸
線の周りに螺旋状に着磁されており、軸線に対し傾斜し
た周方向の磁界を有しているので、軸に作用するトルク
により磁歪管に与えられる引張り応力の軸線に対する傾
斜方向が磁界の傾斜方向と同一である場合には、軸にト
ルクが作用していない場合に比してその方向の透磁率が
高くなることにより磁束が増大し、軸に作用するトルク
により磁歪管に与えられる引張り応力の方向が磁界の方
向とは軸線に対し逆の方向に傾斜している場合には、軸
にトルクが作用していない場合に比してその方向の透磁
率が低くなることにより磁束が減少する。従って例えば
軸線に沿う磁界の強さの増減及びその増減量によりそれ
ぞれトルクの方向及び大きさを判定することが可能にな
る。
【0026】
【課題解決手段の好ましい態様】本発明の一つの好まし
い態様によれば、上記請求項4の構成に於いて、溝は軸
線の周りに周方向に延在するよう構成される(好ましい
構成1)。
【0027】本発明の一つの好ましい態様によれば、上
記請求項4の構成に於いて、溝はプレトルクにより磁歪
管に与えられる引張り応力とは反対の方向に軸線に対し
傾斜して軸線の周りに螺旋状に延在するよう構成される
(好ましい構成2)。
【0028】本発明の他の一つの好ましい態様によれ
ば、上記請求項6の構成に於いて、溝は軸線の周りに周
方向に延在するよう構成される(好ましい構成3)。
【0029】本発明の他の一つの好ましい態様によれ
ば、上記請求項6の構成に於いて、溝は軸線の周りに螺
旋状に延在するよう構成される(好ましい構成4)。
【0030】本発明の他の一つの好ましい態様によれ
ば、上記好ましい構成4の構成に於いて、軸線に対する
溝の傾斜角は45°よりも大きい値に設定される(好ま
しい構成5)。
【0031】
【発明の実施の形態】以下に添付の図を参照しつつ、本
発明を軸が非磁性材にて形成された実施形態について詳
細に説明する。
【0032】尚これより説明する実施形態は磁歪管が着
磁されない実施形態のグループ(A)と磁歪管が着磁さ
れる実施形態のグループ(B)とに大別される。また磁
歪管が着磁されないグループはトルクの方向判別が可能
であるよう磁気異方性にオフセットを与えるための手段
により下記の表1に示されている如く二つのグループに
分類される。同様に磁歪管が着磁された実施形態のグル
ープはトルクの方向判別が可能であるよう着磁する方向
により下記の二つのグループに分類される。
【0033】
【表1】 A…磁歪管が着磁されない A1…周方向溝とプレトルクとの組合せ …第一の実施形態 A2…螺旋状溝 …第二の実施形態 B…磁歪管が着磁される B1…周方向着磁 B1−1…周方向着磁と周方向溝との組合せ…第三の実施形態 B1−2…周方向着磁と螺旋状溝との組合せ…第四の実施形態 B2…螺旋状着磁 …第五の実施形態
【0034】第一の実施形態 図1は本発明によるトルク検出装置用トルク−磁気変換
器の第一の実施形態を示す縦断面図(A)及び側面図
(B)である。
【0035】この実施形態は上記A1に分類される実施
形態であり、図1に於いて、変換器10は軸線Aに沿っ
て互いに密に嵌合する実質的に円柱状の軸12と実質的
に円筒状の磁歪管14とよりなっている。軸12は低透
磁率の非磁性体にて形成され、磁歪管14は磁歪定数が
正の磁歪材にて形成され、軸12はその大径部12Aに
て磁歪管14に焼嵌めされている。尚以上の構成は特に
言及がない限り後述の他の実施形態についても同様であ
る。
【0036】軸12の大径部12Aの外面には軸線Aの
周りに周方向に延在し軸線に沿って実質的に均等に互い
に隔置された複数個の溝16が設けられており、各溝の
間の畝部18にて磁歪管14の内面に密に当接してい
る。特にこの実施形態に於いては、例えば軸12に軸線
Aの周りのトルクが与えられた状態にて焼嵌めされるこ
とにより、軸12及び磁歪管14には軸線Aの周りのプ
レトルクTp が与えられている。
【0037】図2(A)に示されている如く、焼嵌めに
よる周方向の引張り応力及び軸線方向の引張り応力をそ
れぞれFc 及びFa とすると、これらの引張り応力は四
つの合力Ft (=(Fc +Fa )/2)と等価である。
従って磁歪管14には、図2(A)に示された焼嵌めに
よる周方向の引張り応力Fc 及び軸線方向の引張り応力
Fa の合力Ft と、図2(B)に示されたプレトルクT
p による軸線Aに対し45°傾斜した方向の引張り応力
Fpt及び圧縮応力Fpcとの合力、即ち図2(C)に示さ
れている如く軸線Aに対し傾斜した方向の引張り応力F
pb及びこれよりも周方向に近い方向の引張り応力Fpdが
作用し、引張り応力Fpbの方向に高い磁気異方性が与え
られている。
【0038】この実施形態の変換器10に図3に示され
ている如くプレトルクTp と同一方向のトルクTd が作
用することにより、軸線Aに対し45°傾斜した方向の
引張り応力Fdt及び圧縮応力Fdcが作用すると、引張り
応力Fpb及び引張り応力Fdtの合力Fe は元の引張り応
力Fpbよりも大きい最大の引張り応力であり、またこの
合力Fe の軸線Aに対する傾斜角は引張り応力Fpbの傾
斜角よりも小さい。従って引張り応力Fpbと同一方向に
傾斜した方向の磁気異方性(透磁率)が増大され、その
増大量はトルクTd の大きさに実質的に比例する。
【0039】これに対しこの実施形態の変換器に図4に
示されている如くプレトルクTp とは逆方向のトルクT
d が作用することにより、軸線Aに対し45°傾斜した
方向の引張り応力Fdt及び圧縮応力Fdcが図3の場合と
は逆の方向に作用すると、引張り応力Fpb及び圧縮応力
Fdcの合力Ff は最大の引張り応力であるが元の引張り
応力Fpbよりも小さく、またこの合力Ff の軸線Aに対
する傾斜角は引張り応力Fpbよりも大きい。従って引張
り応力Fpbと同一方向に傾斜した方向の透磁率が低減さ
れ、その低減量はトルクTd の大きさに実質的に比例す
る。
【0040】かくして図示の第一の実施形態によれば、
磁歪管14の軸線Aに対し傾斜した方向の透磁率が変換
器に作用するトルクTd の方向及び大きさに応じて変化
するので、例えば図5(A)又は(B)に示されている
如く変換器10に励磁及び検出装置20を適用し、磁歪
管14を軸線Aの周りの周方向又は軸線Aに沿う方向に
励磁し、軸線Aに沿う方向の磁界の強さの変化を検出す
ることによりトルクTd の方向及び大きさを検出するこ
とができる。
【0041】特に図5(A)に示された励磁及び検出装
置20は、所謂フラックスゲートであり、変換器10の
磁歪管14に軸線Aに沿って延在する実質的に棒状の軟
磁性材製のコア22と、コア22に巻回された励磁コイ
ル24及び検出コイル26と、励磁コイル24に通電し
コア22を励磁する駆動回路28と、コア22の磁束密
度を検出し処理する信号処理回路30とを有している。
コア22の両端は磁歪管14の両端に近接してこれに対
向している。駆動回路28は例えばコア22が十分に飽
和する程度に励磁コイル24に大振幅の三角波電圧を印
加し、信号処理回路30は電磁誘導により検出コイル2
6に発生される起電力の電圧を検出し処理するようにな
っている。
【0042】この図5(A)の装置は、軸12の透磁率
の変化の影響を受けず、また局部的に強い磁場を形成す
ることにより低いインダクタンスにて検出感度を高くす
ることができ、更にはインダクタンスが低いことにより
励磁コイルを高周波にて駆動することができ、これによ
り磁歪効果によるインダクタンスの変動を高感度に検出
することができるという特徴を有する。また二つのコイ
ルを有するコア22を磁歪管の周りに好ましくは等間隔
に複数個配設することにより、各コアに対する変換器1
0の傾動等に起因するコアの両端と磁歪管との間の距離
の変動を相互に相殺し、これにより傾動等の影響を排除
することも可能である。
【0043】また図5(B)に示された励磁及び検出装
置20に於いては、励磁コイル24及び検出コイル26
は磁歪管14の対応する端部近傍に巻回され、磁歪管に
より支持されている。磁歪管、励磁コイル24、検出コ
イル26の周りには、実質的に円筒状をなす軟磁性材製
のハウジング32が配置されている。ハウジング32の
円筒部はコイル24及び26より径方向外方へ隔置さ
れ、ハウジングの両端は円筒部より内方へ突出するリン
グ状をなし、磁歪管に近接してこれに対向している。従
って励磁コイル24により発生された磁束線34はハウ
ジング32を通過する。
【0044】この図5(B)の装置は、検出コイルが囲
む領域全体、即ち磁歪管全体の磁束変化を検出すること
ができ、従ってトルクを感度よく検出することができ、
またハウジング32に対する変換器10の傾動等が生じ
ても、ある部位に於ける磁歪管14とハウジングとの間
の距離の変化が他の部位に於けるこれらの間の距離の変
化によって相殺されるので、磁歪管に対するハウジング
の相対変位に起因する検出誤差は生じないという特徴を
有する。
【0045】第二の実施形態 図6は本発明によるトルク検出装置用トルク−磁気変換
器の第二の実施形態を示す縦断面図である。尚図6に於
いて図1に示された部分と同一の部分には図1に於いて
付された符号と同一の符号が付されており、このことは
後述の他の実施形態についても同様である。
【0046】この実施形態は上記A2に分類される実施
形態であり、この実施形態に於いては、軸12に形成さ
れた複数個の溝14は軸線Aに対し実質的に45°傾斜
して軸線の周りに螺旋状に延在し、軸線に沿って実質的
に均等に互いに隔置されている。この実施形態の軸12
及び磁歪管14は軸線Aの周りのプレトルクが与えられ
ることなく互いに焼嵌めされているが、溝16及び畝部
18が軸線Aに対し傾斜していることにより、磁歪管1
4には溝及び畝部に垂直な方向にも引張り応力が残留し
ている。
【0047】従って図7(A)に示されている如く、こ
の実施形態の磁歪管14には焼嵌めにより周方向の引張
り応力Fc に加えて溝及び畝部に垂直な方向の引張り応
力Fgtも与えられており、よって図7(B)に示されて
いる如く、磁歪管14には焼嵌めによる周方向の引張り
応力Fc と溝及び畝部に垂直な方向の引張り応力Fgtと
の合力として軸線Aに対し溝16及び畝部18とは逆方
向に傾斜した方向に高い引張り応力Fgbが残留してい
る。
【0048】この実施形態の変換器10に図8に示され
ている如くトルクTd が作用することにより、軸線Aに
対し引張り応力Fgtと同一の方向に傾斜した引張り応力
Fdt及びこれに垂直な方向の圧縮応力Fdcが作用する
と、引張り応力Fgb及び引張り応力Fdtの合力Fg は元
の引張り応力Fgbよりも大きい最大の引張り応力であ
り、またこの合力Fg の軸線Aに対する傾斜角は引張り
応力Fgbの傾斜角よりも小さい。従って引張り応力Fgb
と同一方向に傾斜した方向の透磁率が増大され、その増
大量はトルクTd の大きさに実質的に比例する。
【0049】これに対しこの実施形態の変換器に図9に
示されている如く図8のトルクTdとは逆方向のトルク
Td が作用することにより、軸線Aに対し45°傾斜し
た方向の引張り応力Fdt及び圧縮応力Fdcが図8の場合
とは逆の方向に作用すると、引張り応力Fgb及び圧縮応
力Fdcの合力Fh は最大の引張り応力であるが元の引張
り応力Fgbよりも小さく、またこの合力Fh の軸線Aに
対する傾斜角は引張り応力Fgbよりも大きい。従って引
張り応力Fgbと同一方向に傾斜した方向の透磁率が低減
され、その低減量はトルクTd の大きさに実質的に比例
する。
【0050】従ってこの第二の実施形態に於いても、磁
歪管14が励磁された状態にて変換器10に軸線Aの周
りにトルクTd が作用すると、軸線Aに対し溝16及び
畝部18とは逆方向に傾斜した方向の引張り応力が増減
し、これに対応して軸線Aに沿う方向の磁界の強さが増
減するので、この磁界の強さの変化を図5(A)又は
(B)に示された励磁及び検出装置20と同様の装置に
よって検出することによりトルクTd の方向及び大きさ
を検出することができる。
【0051】尚第一及び第二の実施形態に適用される励
磁及び検出装置は本発明の一部をなすものではなく、ま
た図5(A)又は(B)に示された装置に限定されるも
のでもなく、励磁コイルと、検出コイル又は他の磁気検
出手段と、磁歪管と共働して励磁コイルにより発生され
た磁束線のための磁束通路を形成するコア又はハウジン
グと、駆動回路及び検出回路とを有する限り、任意の構
成のものであってよい。
【0052】第三の実施形態 図10は本発明によるトルク検出装置用トルク−磁気変
換器の第三の実施形態を示す縦断面図(A)、正面図
(B)、側面図(C)である。尚このことはそれぞれ第
四及び第五の実施形態を示す図14及び図18について
も同様である。
【0053】図10に示された第三の実施形態は上記B
1−1に分類される実施形態であり、この実施形態に於
いては、軸12に形成された複数個の溝16は第一の実
施形態の場合と同様軸線Aの周りに周方向に延在し軸線
に沿って実質的に均等に互いに隔置されているが、この
実施形態の軸12及び磁歪管14は軸線Aの周りのプレ
トルクが与えられることなく互いに焼嵌めされており、
また図10(B)及び(C)に於いて磁束線Bにより示
されている如く磁歪管14は軸線Aの周りに周方向に着
磁されている。
【0054】図11(A)に示されている如く、この実
施形態の磁歪管14には焼嵌めによる周方向の引張り応
力Fc 及び軸線方向の引張り応力Fa が残留しているの
で、四つの合力Ft (=(Fc +Fa )/2)が作用し
ている状況と等価である。従って変換器10に図11
(B)に示されている如くトルクTd が作用することに
より、軸線Aに対し45°傾斜した方向の引張り応力F
dt及び圧縮応力Fdcが作用すると、図11(C)に示さ
れている如く引張り応力Ft 及び引張り応力Fdtの合力
Fi は元の引張り応力Ft よりも大きい最大の引張り応
力であり、またこの合力Fi の軸線にAに対する傾斜角
は引張り応力Ft よりも小さい。従って引張り応力Fdt
と同一方向に傾斜した方向の透磁率が増大され、これに
より磁束線Bの一部がその方向に偏向され、かくして偏
向される磁束線の量はトルクTd の大きさに実質的に比
例する。
【0055】これに対しこの実施形態の変換器に図12
(A)に示されている如く図11(B)のトルクTd と
は逆方向のトルクTd が作用することにより、軸線Aに
対し45°傾斜した方向の引張り応力Fdt及び圧縮応力
Fdcが図8の場合とは逆の方向に作用すると、この場合
の引張り応力Ft 及び引張り応力Fdtの合力Fj も元の
引張り応力Ft よりも大きい最大の引張り応力であり、
またこの合力Fj の軸線Aに対する傾斜角は引張り応力
Ft よりも小さい。従ってこの場合にも引張り応力Fdt
と同一方向に傾斜した方向の透磁率が増大され、磁束線
Bの一部がその方向に偏向され、かくして偏向される磁
束線の量はトルクTd の大きさに実質的に比例する。
【0056】図11(C)と図12(B)との比較より
解る如く、軸線Aに対する合力Fi及びFj の傾斜方向
は互いに逆方向であるので、磁束線が偏向される方向も
互いに逆方向である。従ってこの第三の実施形態によれ
ば、偏向される磁束線による軸線方向の磁界の方向及び
強さを例えば図13に示された検出装置36によって検
出することによりトルクTd の方向及び大きさを検出す
ることができる。
【0057】尚図13に示された検出装置36はホール
効果素子を利用したものであり、一対のリング部材38
と、軸線Aに平行に延在し二つのリング部材を一体的に
接続する接続部材40とよりなり、接続部材40の途中
にホール効果素子42が設けられている。リング部材3
8及び接続部材40は軟磁性材にて形成されている。各
リング部材は変換器10の磁歪管14の外径よりも僅か
に大きい内径を有し、磁歪管の端部の位置にてこれより
僅かに径方向外方に均等に隔置されている。
【0058】第四の実施形態 図14に示された第四の実施形態は上記B1−2に分類
される実施形態であり、この実施形態に於いては、軸1
2に形成された複数個の溝16は軸線Aに対し例えば8
0°傾斜して軸線の周りに螺旋状に延在し、軸線に沿っ
て実質的に均等に互いに隔置されており、軸12及び磁
歪管14は軸線Aの周りのプレトルクが与えられること
なく互いに焼嵌めされ、図14(B)に白抜きの矢印に
て示されている如く、磁歪管14は焼嵌め後に軸線の周
りの周方向に磁化されることにより着磁されている。
【0059】溝16及び畝部18は第二の実施形態の場
合と同様軸線Aに対し傾斜しているので、図15(A)
に示されている如く、磁歪管14には焼嵌めによる周方
向の引張り応力Fc に加えて溝及び畝部に垂直な方向の
引張り応力Fgtも与えられているが、溝及び畝部の傾斜
角は第二の実施形態の場合よりも大きいので、図15
(B)に示されている如く、磁歪管14には焼嵌めによ
る周方向の引張り応力Fc と溝及び畝部に垂直な方向の
引張り応力Fgtとの合力として軸線Aに対し溝及び畝部
とは逆方向に傾斜した方向に高い引張り応力Fgbが残留
している。
【0060】従って磁歪管14は溝及び畝部とは逆方向
に傾斜した方向に高い引張り応力Fgbが残留している状
態にて周方向に磁化されるので、これにより形成される
磁界は図14(B)及び(C)に於いて磁束線Bにより
示されている如く高い引張り残留応力Fgbの方向(溝及
び畝部とは逆方向に傾斜した透磁率が最も高い方向)と
実質的に同一の方向に傾斜した螺旋状をなしている。
【0061】この実施形態に於いて、図16(A)に示
されている如くトルクTd が作用することにより、軸線
Aに対し45°傾斜した方向の引張り応力Fdt及び圧縮
応力Fdcが作用すると、図16(B)に示されている如
く引張り応力Fgb及び引張り応力Fdtの合力Fg は元の
引張り応力Fgbよりも大きい最大の引張り応力であり、
またこの合力Fg の軸線Aに対する傾斜角は引張り応力
Fgbの傾斜角よりも小さい。従って引張り応力Fgbと同
一方向に傾斜した方向の透磁率が増大され、これにより
磁束線Bの一部がその方向に偏向され、かくして偏向さ
れる磁束線の量はトルクTd の大きさに実質的に比例す
る。
【0062】これに対し図17(A)に示されている如
く図16(A)の場合とは逆方向のトルクTd が作用す
ることにより、軸線Aに対し45°傾斜した方向の引張
り応力Fdt及び圧縮応力Fdcが図16(A)の場合とは
逆の方向に作用すると、引張り応力Fgb及び圧縮応力F
dcの合力Fh は最大の引張り応力であるが元の引張り応
力Fgbよりも小さく、またこの合力Fh の軸線Aに対す
る傾斜角は引張り応力Fgbよりも大きい。従って引張り
応力Fgbと同一方向に傾斜した方向の透磁率が低減さ
れ、磁束線Bの一部が合力Fh の方向に偏向され、かく
して偏向される磁束線の量はトルクTd の大きさに実質
的に比例する。換言すれば、合力Fh の方向の磁束線の
減少量はトルクTd の大きさに実質的に比例する。
【0063】従ってこの実施形態によれば、図13に示
された検出装置36と同様の検出装置によって軸線Aに
沿う方向の磁界の強さを検出し、変換器にトルクが作用
していない場合に於ける磁界の強さを基準値として、磁
界の強さの基準値よりの増加又は減少によりトルクTd
の方向を検出し、磁界の強さの増減量によりトルクTd
の大きさを検出することができる。
【0064】第五の実施形態 図18に示された第五の実施形態は上記B2に分類され
る実施形態であり、この実施形態に於いては、軸12に
形成された複数個の溝14は第三の実施形態の場合と同
様軸線Aの周りに周方向に延在し軸線に沿って実質的に
均等に互いに隔置され、軸12及び磁歪管14は軸線A
の周りのプレトルクが与えられることなく互いに焼嵌め
されているが、磁束線Bにより示されている如く、磁歪
管14が着磁されることにより形成された磁界は周方向
ではなく軸線Aの周りの螺旋状をなしており、軸線Aに
対する磁束線Bの傾斜角は図示の実施形態に於いては4
5°よりも大きい角度に設定されている。
【0065】この実施形態に於ける磁歪管14の引張り
残留応力は上述の第三の実施形態の場合と同様であり、
従ってこの実施形態の変換器10にトルクTd が作用す
ると引張り応力は第三の実施形態の場合と同様トルクT
d の方向に応じて図11及び図12の如く変化する。即
ち、図11の状況に於いては、引張り応力Fi の方向の
透磁率が増大され、これにより磁束線Bの一部がその方
向に偏向され、かくして偏向される磁束線の量はトルク
Td の大きさに実質的に比例するのに対し、図12の状
況に於いては、引張り応力Fj と同一方向に傾斜した方
向の透磁率が増大され、磁束線Bの一部がその方向に偏
向され、かくして偏向される磁束線の量、換言すれば元
の磁束線の減少量はトルクTd の大きさに実質的に比例
する。
【0066】従ってこの実施形態に於いても、図13に
示された検出装置36と同様の検出装置によって軸線A
に沿う方向の磁界の強さを検出し、磁界の強さの基準値
よりの増加又は減少によりトルクTd の方向を検出し、
磁界の強さの増減量によりトルクTd の大きさを検出す
ることができる。
【0067】尚第三乃至第五の実施形態に適用される検
出装置も本発明の一部をなすものではなく、また図13
に示された検出装置に限定されるものでもなく、軸線A
に沿う方向の磁界の強さを検出し得るものである限り、
例えば核磁気共鳴法を利用した検出装置等であってもよ
い。
【0068】また軸線Aの周りの螺旋状に磁界を形成す
る方法としては、図19に示されている如く二回着磁す
る方法や図20に示されている如く傾斜して着磁する方
法などがある。但し何れの方法の場合にも、本発明に従
って磁歪管に周方向及び軸線方向の両方向に残留引張り
応力が与えられていなければ、螺旋状の磁界を形成する
ことはできない。
【0069】図19に示された方法に於いては、まず図
19(A)に於いて磁束線Bにより示されている如く磁
歪管14が軸線Aの周りに周方向に着磁され、次いで図
19(B)に於いて白抜きの矢印にて示されている如く
磁歪管に軸線Aに沿う方向の磁界が与えられ、これによ
り図19(C)に示されている如く、磁束線Bが軸線A
に対し傾斜した方向に偏向される。
【0070】また図20に示された方法に於いては、一
つ又は複数の励磁コイル44を有するヨーク46であっ
て、実質的にコの字形をなし互いに他に対し左右方向に
オフセットされた先端を有するヨークが使用され、ヨー
クの先端が磁歪管14の対応する端面に対向する状態に
て励磁コイル44に通電され、その状態にて磁歪管が軸
線Aの周りにゆっくりと回転され、これにより図20に
於いて磁束線Bにて示されている如く磁歪管が螺旋状に
着磁される。
【0071】以上に於ては本発明を特定の実施形態につ
いて詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定
されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実
施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろ
う。
【0072】例えば上述の各実施形態に於いては、軸1
2は非磁性材にて形成されているが、磁歪管14に於け
る磁歪効果の逆現象と同一の逆現象が軸に於いても発生
するよう、軸は負の磁歪定数を有する磁歪材(例えばニ
ッケル)にて形成されてもよく、その場合には図示の各
実施形態の場合よりも変換感度及び変換精度を更に一層
向上させることができる。
【0073】また上述の各実施形態に於いては、軸14
の外面に溝16が形成されており、従って磁歪管の内面
に溝が形成される場合に比して溝を容易に形成すること
ができるが、溝は磁歪管の内面に形成されてもよい。
【0074】また上述の第一の実施形態と第二の実施形
態とが組み合わされ、これにより第一又は第二の実施形
態の場合よりも変換感度及び変換精度が更に一層向上す
るよう構成されてもよい。
【0075】更に上述の各実施形態に於ける溝や磁束線
の軸線Aに対する傾斜角は図示の角度に限定されるもの
ではなく、他の角度に設定されてもよい。例えば第四の
実施形態に於いては、溝16の傾斜角は約80°である
が、この角度は任意の角度であってよく、特に図15
(B)の合力Fgbの傾斜角が実質的に45°になるよう
45°よりも大きい角度に設定されることが好ましい。
【0076】
【発明の効果】以上の説明より明らかである如く、本発
明の請求項1の構成によれば、磁歪管には周方向のみな
らず磁気的特性変化の検出方向である軸線方向にもプレ
ロードとして引張り応力が与えられるので、磁歪管に周
方向の引張り応力しか与えられていない従来の変換器の
場合に比して、変換器に作用するトルクに起因する軸線
方向の磁気特性の変化を大きくすると共にトルクに対す
る磁気特性の変化の関係のリニアリティを高くし、これ
により従来に比してトルク−磁気変換の感度及び精度を
高くすることができる。
【0077】また請求項2の構成によれば、磁歪管に於
いて生じる磁歪効果の逆現象が軸に於いて軸に於いて生
じる磁歪効果の逆現象によって減殺されることを防止す
ると共に、磁歪効果の逆現象により磁歪管内に於いて発
生され又は偏向された磁束が軸を通過しこれを外部に取
り出せなくなることを確実に防止し、これによりトルク
を磁気特性の変化に確実に且つ効率的に変換させること
ができる。
【0078】また請求項3の構成によれば、軸に残留す
る軸線方向の圧縮応力により軸にも磁歪管に発生する磁
歪効果の逆現象と同一の逆現象を発生させることがで
き、従って上記請求項2の構成の場合に比してトルク−
磁気変換の感度及び精度を更に一層高くすることができ
る。
【0079】また請求項4乃至7の構成によれば、トル
クの大きさを判定することができるだけでなく、磁歪管
及び軸の相対回転の方向を検出することなくトルクの方
向を確実に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるトルク−磁気変換器の第一の実施
形態を示す縦断面図(A)及び側面図(B)である。
【図2】第一の実施形態の磁歪管に作用する応力を示す
ベクトル図である。
【図3】第一の実施形態に於いてプレトルクTp とは逆
方向のトルクTd が作用した場合に於ける応力を示すベ
クトル図である。
【図4】第一の実施形態に於いてプレトルクTp と同一
方向のトルクTd が作用した場合に於ける応力を示すベ
クトル図である。
【図5】第一の実施形態の変換器に適用された一つの励
磁及び検出装置を示す側面図(A)及び他の一つの励磁
及び検出装置を示す縦断面図(B)である。
【図6】本発明によるトルク−磁気変換器の第二の実施
形態を示す縦断面図である。
【図7】第二の実施形態に於ける磁歪管の残留引張り応
力を示すベクトル図である。
【図8】第二の実施形態に於いて残留引張り応力Fgtと
同一の傾斜方向の引張り応力Fdtが生じるトルクTd が
作用した場合に於ける応力を示すベクトル図である。
【図9】第二の実施形態に於いて残留引張り応力Fgtと
同一の傾斜方向の圧縮応力Fdcが生じるトルクTd が作
用した場合に於ける応力を示すベクトル図である。
【図10】本発明によるトルク−磁気変換器の第三の実
施形態を示す縦断面図(A)、正面図(B)、側面図
(C)である。
【図11】第三の実施形態に於いてトルクTd が作用し
た場合に於ける応力を示すベクトル図である。
【図12】第三の実施形態に於いて図11の場合とは逆
方向のトルクTd が作用した場合に於ける応力を示すベ
クトル図である。
【図13】第三の実施形態のトルク−磁気変換器に適用
された検出装置を示す縦断面図(A)及び平面図(B)
である。
【図14】本発明によるトルク−磁気変換器の第四の実
施形態を示す縦断面図(A)、正面図(B)、側面図
(C)である。
【図15】第四の実施形態に於ける磁歪管の残留引張り
応力を示すベクトル図である。
【図16】第四の実施形態に於いて残留引張り応力Fgb
と同一の傾斜方向の引張り応力Fdtが生じるトルクTd
が作用した場合に於ける応力を示すベクトル図である。
【図17】第四の実施形態に於いて残留引張り応力Fgb
と同一の傾斜方向の圧縮応力Fdcが生じるトルクTd が
作用した場合に於ける応力を示すベクトル図である。
【図18】本発明によるトルク−磁気変換器の第五の実
施形態を示す縦断面図(A)、正面図(B)、側面図
(C)である。
【図19】磁歪管を二回着磁することにより螺旋状に磁
界を形成する方法を示す説明図である。
【図20】先端が互いにオフセットされたヨークを用い
て螺旋状に磁界を形成する方法を示す説明図であり、特
に(A)は平断面図であり(B)は縦断面図である。
【図21】本発明のトルク−磁気変換器の磁歪管に残留
する引張り応力を示すベクトル図である。
【図22】プレロードがある場合(実線)及びプレロー
ドがない場合(破線)について磁歪効果を示すグラフで
ある。
【図23】プレロードがある場合(実線)及びプレロー
ドがない場合(破線)について磁化曲線を示すグラフで
ある。
【図24】従来の変換器に於けるトルク検出原理を示す
説明図である。
【図25】本発明の変換器に於けるトルク検出原理を示
す説明図である。
【図26】本発明の変換器の軸に圧縮応力が残留するこ
とを示す説明図である。
【図27】図25の場合とは逆方向にトルクが作用した
場合に於ける本発明の変換器のトルク検出原理を示す説
明図である。
【図28】プレトルクTp と同一の方向のトルクTが作
用した場合に於ける応力を示すベクトル図である。
【図29】プレトルクTp とは逆方向にトルクTが作用
した場合に於ける応力を示すベクトル図である。
【符号の説明】
10…変換器 12…軸 14…磁歪管 16…溝 18…畝部 20…励磁及び検出装置 36…検出装置

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】軸線に沿って互いに嵌合する実質的に円柱
    状の軸及び実質的に円筒状の磁歪管を有し、前記軸の外
    面又は前記磁歪管の内面に少なくとも周方向に延在する
    溝が設けられ、前記磁歪管は正の磁歪定数を有する磁歪
    材にて形成され、前記軸に焼嵌めされているトルク検出
    装置用トルク−磁気変換器。
  2. 【請求項2】請求項1のトルク検出装置用トルク−磁気
    変換器に於いて、前記軸は非磁性体にて形成されている
    ことを特徴とするトルク検出装置用トルク−磁気変換
    器。
  3. 【請求項3】請求項1のトルク検出装置用トルク−磁気
    変換器に於いて、前記軸は負の磁歪定数を有する磁歪材
    にて形成されていることを特徴とするトルク検出装置用
    トルク−磁気変換器。
  4. 【請求項4】請求項2又は3のトルク検出装置用トルク
    −磁気変換器に於いて、前記磁歪管と前記軸との間に前
    記軸線の周りに所定のプレトルクが与えられていること
    を特徴とするトルク検出装置用トルク−磁気変換器。
  5. 【請求項5】請求項2又は3のトルク検出装置用トルク
    −磁気変換器に於いて、前記溝は前記軸線の周りに螺旋
    状に延在していることを特徴とするトルク検出装置用ト
    ルク−磁気変換器。
  6. 【請求項6】請求項2又は3のトルク検出装置用トルク
    −磁気変換器に於いて、前記磁歪管は前記軸線の周りに
    周方向に着磁されていることを特徴とするトルク検出装
    置用トルク−磁気変換器。
  7. 【請求項7】請求項2又は3のトルク検出装置用トルク
    −磁気変換器に於いて、前記磁歪管は前記軸線の周りに
    螺旋状に着磁されていることを特徴とするトルク検出装
    置用トルク−磁気変換器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006184040A (ja) * 2004-12-27 2006-07-13 Nissan Motor Co Ltd トルク検出装置
WO2006100887A1 (ja) * 2005-03-22 2006-09-28 Ntn Corporation センサ付車輪用軸受

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