JP2007101427A - 磁歪式トルク検出装置用磁気ヘッド - Google Patents

磁歪式トルク検出装置用磁気ヘッド Download PDF

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昌武 直江
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正宏 増澤
Masahiro Mita
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Abstract

【課題】磁歪検出型の回転軸トルク検出装置において、回転軸への追加工を不要とし、さらに磁気ヘッドの励磁・検出コイルの巻線方法を簡素化して巻回数に依存した高感度化が容易な構造を提供する。
【解決手段】磁歪特性を有する回転軸10に対して、空隙を介して矩形状軟磁性部を周方向へ交互に並ベ、前記軟磁性部を回転軸に対して略45度傾斜させ、その外周にコイルを巻回した磁気ヘッドによって、回転軸のねじり応力を精度良く検出する。
【選択図】図5

Description

本発明は、磁歪特性を利用して回転軸の軸トルクを非接触で検出する装置に関するもので、特に自動車分野、産業機械分野などに適用するものである。
自動車のパワーステアリング機構やエンジン制御機構、動力伝達機構などでは軸トルクを正確に検出する手段が古くから望まれている。検出精度を高めることにより、精密制御や効率向上が可能となるため、これまでに様々な手法が提案されてきた。なかでも回転軸の磁歪特性を利用して非接触で軸トルクを検出する手法は、応答性に優れ、高感度化が比較的容易であり、過負荷耐量も大きいことから、トーションバーのねじれ量からトルク検出を行なう従来手法に代わる方式として注目されている。
例えば特許文献1では、図15(a)に示す様に、回転軸に傾斜角を有する磁性膜115を固着させて、回転軸外周のソレノイドコイルで励磁・検出を行なう手法が提案されている。ところが、この方式は回転軸に磁性膜を接着する等の追加工を施す必要があり、実用上、その磁性膜の剥離が信頼性の低下を招く。さらに、軸の専用化や大径化が必須となるため、装着性が悪い。
また特許文献2では、図15(b)に示す様に、回転軸を無加工とし、ループコイルを一定の傾斜角を保ちながら配置することで特許文献1と同様にトルク検出を行なう手法が提案されている。この方式は軸への追加工が不要であるが、感度を高めるために軸の長手方向へ向かって広い領域を検出する必要があるので、装置の大型化が懸念される。
さらに特許文献3では、図15(c)に示す様に、特許文献2の課題を克服すべくコイル部分を大幅にコンパクト化する構造が提案されているが、コイル構造が複雑なため多数巻が困難であり、コイルの巻回数に依存した高感度化は実現し難い。
上記3種の構造は、何れもコイルが回転軸に隣接しているため、軸の回転振れや異物混入などの影響を受けてコイルが断線する危険性が高く、それらを防止して構造信頼性を確保するためにコイル部分を樹脂などで覆って補強したり、軸とコイル間の空隙を拡大して感度を犠牲にしたりといった回避策が必要になると思われる。
また特許文献4では、図15(d)に示す様に、回転軸の外周にU字形鉄心を設ける構造が記載されている。しかし、U字形鉄心を回転軸の外周に複数並べようとすると、構造が複雑化してコンパクト化が困難になり、生産性も悪い。
特開平1−94230 特開平6−273247 特開平6−194239 特許2905561
本発明の磁歪式トルク検出装置用磁気ヘッドは、上述した従来の磁歪式トルク検出装置の信頼性、小型化、高感度化、生産性に関わる課題を解決するためのものである。
本発明は、磁歪特性を有する回転軸に対して、空隙を介して矩形状軟磁性部が回転軸周回方向に並んだ磁気ヘッドコアであり、前記矩形状軟磁性部を回転軸の長手方向に対して傾斜させるとともに、前記磁気ヘッドコアに励磁・検出用のコイルを巻回するものである。
第一の矩形状軟磁性部の長辺と第二の矩形状軟磁性部の長辺の前記中心線に対する傾斜角度は+35〜+55度であることが好ましい。
第一の矩形状軟磁性部の長辺と第二の矩形状軟磁性部の長辺の前記中心線に対する傾斜角度は−35〜−55度であることが好ましい。
回転軸表面の透磁率変化量を検出するには、第一の軟磁性体と第二の軟磁性体はそれぞれ第一の内スリーブと第二の内スリーブを有し、第一の内スリーブと第二の内スリーブと回転軸表面との各空隙が、第一の矩形状軟磁性部と第二の矩形状軟磁性部との空隙よりも大きいことが好ましい。
前記中心線に対する傾斜角度が+35〜+55度である矩形軟磁性部をもつ磁気ヘッドと傾斜角度が−35〜−55度である矩形軟磁性部をもつ磁気ヘッドとを組み合わせて、1対で利用することが好ましい。
以下に、磁歪検出型の回転軸トルク検出装置の原理とともに、本発明の特長を示す。センサに設けられた励磁コイルへ電流を流すと、コイル周辺には図1(a)に示す様な磁束201が発生する。コイルで発生する磁束201は、コイルと直交する面内で右ネジの法則に従って閉ループを形成する。また、コイルの巻き方など磁気回路の工夫によって、複数の閉磁路を形成する場合が多い。なお、軸の回転によってセンサとの相対位置が変化しても、軸に回転トルクが加わって歪が生じない限り透磁率が変化しないため、コイルのインダクタンスにも変化は生じない。
図1(a)の無負荷状態から、図1(b)の様に軸へ回転トルクを付与すると、軸の長手方向に対して+45°と−45°傾斜する方向に、引張応力(+σ)と圧縮応力(−σ)とがそれぞれ直交しながら同時に発生する。ここで、正の磁歪を有する磁性材料に引張応力が加わると透磁率が増加し、逆に圧縮応力が加わると透磁率が減少する。
この透磁率の変化量や差分量を検出すれば、トルクの正負や絶対量を推定することができる。例えば、図1に示す様に軸に対して−45°傾斜する方向に螺旋状の励磁コイルがあると仮定する。コイルで発生する磁束は、右ネジの法則に従って閉磁路を形成するので、コイルとは直交する+45°方向の面内における透磁率変化の影響を大きく受ける。ここで、+45°方向に引張応力が加わったと仮定すると、無負荷時に比べて磁束が流れ易くなるので、コイルのインダクタンスは無負荷時に比べて増加する。反対に圧縮応力が加わると、インダクタンスは減少する。
前記磁気ヘッドによって、そのインダクタンスの変化量からトルクを推定するには、無負荷時と+45°または−45°のどちらか一方向の透磁率変化を検出すれば良いことになる。また、+45°と−45°の両方向の透磁率変化を同時に検出し、その差分量を知ることで、より高精度にトルクを推定することが可能になる。+45°と−45°の両方向の透磁率変化を同時に検出する手段としては、図2(a)(b)に示す様な軟磁性体を図5のように組み合わせて、1対で利用することで実現可能となる。
磁歪式の回転軸トルク検出装置では、軸に対して+45°および、または−45°傾斜方向の透磁率変化を読み取ることが重要であり、特許文献1ではコイルを軸の回転方向に沿って傾斜角なくソレノイド状に巻回する代わりに、回転軸に±45°傾斜する方向へ磁性膜を設けることで傾斜方向のみに磁束が流れる様に工夫している。また、特許文献2や特許文献3ではコイルに傾斜角を持たせることで軸トルクを検出可能にしている。
特許文献1の構造は、コイルが単純なソレノイド状のために多数巻が容易で、高感度化し易いという大きな特長を有するものの、軸への追加工が必要なことが信頼性や生産性を悪化させていた。
そこで本方式では回転軸を無加工とし、図9〜13に示すように回転軸10に対して空隙27を介して矩形状軟磁性部1〜8または11〜18が周方向に並んだ複数の磁極部を形成し、その軟磁性部が回転軸に対して傾斜角を有するとともに、磁極部へ励磁するためのコイル24または30が単純なソレノイド状であることを構造上の主な特徴としている。
軸への複雑な加工を不要にすることで、装着性と製造コストを大幅に改善することができる。また特許文献1の様に信頼性を損なうことがない。また、コイルをソレノイド状にできるので、巻回数に依存した高感度化が容易になる。さらに、コイルを矩形状軟磁性部の外周面に配置できるので、コイルが回転軸と接触し、断線する危険性を回避することができる。そしてさらに、回転軸と矩形状軟磁性部との空隙を大幅に縮小して、高感度化を図ることも容易になる。
磁気ヘッドの構造として、前記矩形状軟磁性部は回転軸の長手方向に対して絶対値で35〜55°の傾斜角度を有することが好ましい。なお、軟磁性部の傾斜角度は、回転軸のねじり応力が発生する方向である45°に揃えるのが最も好ましい。しかし、回転軸と磁気ヘッド間の空隙部によって、磁束の流れる方向が若干変化するため、磁気ヘッドの軟磁性部の傾斜角度が理想値である45°に対して±10°の範囲でずれても、検出精度に顕著な差を生じることがない。
図3〜5に示すように、隣り合う矩形状軟磁性部、例えば1と5、5と2、2と6の間隔が等間隔かつ複数個を配置することによって、磁歪特性のばらつきがある回転軸であっても、回転軸周方向の透磁率変化の平均値を確実に検出することができる。また回転軸の振れ回りが起きても、安定した信号が得られる。
図6、7に示すように、矩形状軟磁性部19、21の一組が矩形状軟磁性部20、22の一組と十分に間隔が空いていても良い。この場合、矩形状軟磁性部の長さを十分に長くすることができるので、信号を検出できる範囲が広くなり、透磁率変化を精確に検出することが可能となる。よってセンサ感度が高くなる。また、前記した多数の軟磁性部があるヘッド(図2〜5)よりも組み立てが容易となる。
励磁・検出コイル24で発生する磁束27は、磁気ヘッドの軟磁性体片ごとに分割されながら傾斜方向に沿って流れ、図11、12に示すように、一方の矩形状軟磁性部2に流れ込んだ磁束は空隙27を介して回転軸へ流れる。その回転軸へ流れ込んだ磁束が、隣接する矩形状軟磁性部6に流れ、そして内スリーブ9および外スリーブ23に流れることで磁気回路を構成する。このように回転軸表面の±45°に生じている透磁率を検出することが可能となる。ここで図9、10は矩形状軟磁性部、内スリーブ、外スリーブに回転軸を挿入した状態である。図9は外スリーブとコイルのみを断面で表し、図10は矩形状軟磁性部、内スリーブ、外スリーブ、コイル及び回転軸の断面を表している。図11は磁束の流れを示し、図12は図11のA−B間の断面図である。
前記磁気ヘッドを得る手段として、互いの部品を切削や鍛造、鋳造などで個別に製作した後に、接着やネジ止め等によって組み立てを行なう手法が選択できる。
励磁・検出コイルの巻線方式としては、図15の特許文献4に記載のごとく軟磁性体片の各々へソレノイド状に巻き付ける方式の他に、図9、10に記載のごとく矩形状軟磁性部を取り囲む様に一様に巻回することができる。この方式は、巻線作業が容易であり、回転軸が振動し、コイルと接触することによって断線する危険性が無いため、より高い構造信頼性を得ることができる。
さらに、図13に記載のごとく外スリーブの外周側面に励磁コイルを設け、矩形状軟磁性部の外周側面に検出コイルを設けることによって回転軸表面の透磁率変化量を検出しトルクの絶対値とトルクの印加方向を識別することができる。
本発明により、トルクを検出する回転軸への複雑な追加工が不要になる。また、回転軸の回転振れが生じた場合であっても、軸がコイルに接触し、断線させる危険性が無いことから、磁気ヘッド部分の構造信頼性が向上する。さらに、励磁・検出コイルの巻線処理が容易なため、装置全体としての生産性も向上する。また、コイルの巻数を容易に増やすことができ、高いセンサ感度が得られる。
以下、本発明の実施形態について図面とともに説明する。
(全体構成)
本発明の磁歪式トルク検出装置の一実施形態を示す。
磁気ヘッドは図3に示すように、回転軸の長手方向に対して45度の傾斜角を有する4つの矩形状軟磁性1〜4とそれらに対向する4つの矩形状軟磁性部5〜8が回転軸の外周方向に交互に並んでいる。
矩形状軟磁性部、内スリーブおよび外スリーブには鉄(SS400)を使用し、各々の部材をアルミのネジで固定した。図9、10は前記矩形状軟磁性部の外周側へ励磁・検出用のコイルを巻回して磁気ヘッドを形成し、その内周側へ被験物である回転軸10を挿入した例を示す。なお、回転軸はニッケル・モリブデン鋼を使用した。
回転軸の外径はΦ18mm、内スリーブの内径はΦ18.2mm、外スリーブの内径はφ30mm、矩形状軟磁性部と回転軸の空隙は2mmとした。励磁・検出コイルにはΦ0.5mmのエナメル線を使用し、矩形状軟磁性ヨークの外周側へ100ターン巻回し、交流電流の周波数を1kHzとした。
回転軸へ−200〜+200Nmのトルクを付与した時の、コイルのインダクタンス変化を実測したものを図14に示す。図より、トルクを付与した時のインダクタンス変化は良好な直線性を示すことが解かる。従って、本発明の構成に回路処理を加えれば、極めて直線性の良い出力信号が得られることになる。
本発明の一実施例に関わるトルク検出の原理を示す模式図である。 本発明の一実施例に関わる矩形状軟磁性部と内スリーブの模式図である。 本発明の一実施例に関わるトルク検出装置の模式図である。 本発明の一実施例に関わるトルク検出装置の模式図である。 本発明の一実施例に関わるトルク検出装置の模式図である。 本発明の一実施例に関わる矩形状軟磁性部と内スリーブの模式図である。 本発明の一実施例に関わるトルク検出装置の模式図である。 本発明の一実施例に関わる矩形状軟磁性部と内スリーブの模式図である。 本発明の一実施例に関わるトルク検出装置の模式図である。 本発明の一実施例に関わるトルク検出装置の模式図である。 本発明の一実施例に関わるトルク検出装置の動作原理を示す図である。 本発明の一実施例に関わるトルク検出装置の動作原理を示す図である。 本発明の一実施例に関わるコイル巻線方法を示す模式図である。 本発明の一実施例に関わる実験結果を示すグラフである。 他の実施例を示す模式図である。
符号の説明
1:矩形状軟磁性部A(第一の矩形状軟磁性部)
2:矩形状軟磁性部B(第一の矩形状軟磁性部)
3:矩形状軟磁性部C(第一の矩形状軟磁性部)
4:矩形状軟磁性部D(第一の矩形状軟磁性部)
5:矩形状軟磁性部E(第二の矩形状軟磁性部)
6:矩形状軟磁性部F(第二の矩形状軟磁性部)
7:矩形状軟磁性部G(第二の矩形状軟磁性部)
8:矩形状軟磁性部H(第二の矩形状軟磁性部)
9:内スリーブ
10:回転軸
11:矩形状軟磁性部I(第一の矩形状軟磁性部)
12:矩形状軟磁性部J(第一の矩形状軟磁性部)
13:矩形状軟磁性部K(第一の矩形状軟磁性部)
14:矩形状軟磁性部L(第一の矩形状軟磁性部)
15:矩形状軟磁性部M(第二の矩形状軟磁性部)
16:矩形状軟磁性部N(第二の矩形状軟磁性部)
17:矩形状軟磁性部O(第二の矩形状軟磁性部)
18:矩形状軟磁性部P(第二の矩形状軟磁性部)
19:矩形状軟磁性部Q(第一の矩形状軟磁性部)
20:矩形状軟磁性部R(第一の矩形状軟磁性部)
21:矩形状軟磁性部S(第二の矩形状軟磁性部)
22:矩形状軟磁性部T(第二の矩形状軟磁性部)
23:外スリーブ
24:励磁・検出コイルA
25:磁束
26:矩形状軟磁性部間の空隙
27:矩形状軟磁性部と回転軸表面間の空隙
28:励磁・検出コイルB
29:内スリーブと回転軸表面間の空隙
102:回転軸
110:軟磁性ヨーク
113:励磁・検出コイル
115:軟磁性体片
201:磁束
300:第一の軟磁性体
310:第一の軟磁性体
400:第二の軟磁性体
410:第二の軟磁性体


Claims (5)

  1. 回転軸の周囲に配置した第一の軟磁性体と第二の軟磁性体とスリーブとを備え、
    第一の軟磁性体と第二の軟磁性体はそれぞれ第一の矩形状軟磁性部と第二の矩形状軟磁性部を有し、第一の矩形状軟磁性部と第二の矩形状軟磁性部とは空隙を介して回転軸と対向し、第一の矩形状軟磁性部の長辺と第二の矩形状軟磁性部の長辺とは互いに空隙を介して対向し且つ回転軸の中心線に対して傾斜し、スリーブは第一の軟磁性体と第二の軟磁性体とを磁気的に結合し、第一の矩形状軟磁性部と第二の矩形状軟磁性部より外周側に巻回した励磁・検出用のコイルを備えることを特徴とする磁気ヘッド。
  2. 第一の矩形状軟磁性部の長辺と第二の矩形状軟磁性部の長辺の前記中心線に対する傾斜角度は+35〜+55度とすることを特徴とする請求項1に記載の磁気ヘッド。
  3. 第一の矩形状軟磁性部の長辺と第二の矩形状軟磁性部の長辺の前記中心線に対する傾斜角度は−35〜−55度とすることを特徴とする請求項1に記載の磁気ヘッド。
  4. 第一の軟磁性体と第二の軟磁性体はそれぞれ第一の内スリーブと第二の内スリーブを有し、第一の内スリーブと第二の内スリーブと回転軸表面との各空隙が、第一の矩形状軟磁性部と第二の矩形状軟磁性部との空隙よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の磁気ヘッド。
  5. 請求項2に記載の磁気ヘッドと請求項3に記載の磁気ヘッドとを組み合わせてなることを特徴とする複合磁気ヘッド。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012103012A (ja) * 2010-11-05 2012-05-31 Shinano Kenshi Co Ltd 磁歪式トルク検出装置
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