JPH10142074A - 抵抗型温度センサ - Google Patents

抵抗型温度センサ

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JPH10142074A
JPH10142074A JP31282396A JP31282396A JPH10142074A JP H10142074 A JPH10142074 A JP H10142074A JP 31282396 A JP31282396 A JP 31282396A JP 31282396 A JP31282396 A JP 31282396A JP H10142074 A JPH10142074 A JP H10142074A
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JP
Japan
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temperature
resistance
temperature sensor
alumina
film
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Withdrawn
Application number
JP31282396A
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English (en)
Inventor
Nobuo Kaihara
伸男 海原
Minoru Ogasawara
稔 小笠原
Masatada Yodogawa
正忠 淀川
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TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 室温から1,000℃〜1,300℃程度まで
の温度範囲において、短時間で温度を検出することがで
き、且つ耐熱性,耐環境性に優れ、長時間の使用に耐え
得る抵抗型温度センサの提供。 【解決手段】 厚膜基体の絶縁体としてアルミナを用
い、導電体としてアルミナと同程度の小さい熱膨張係数
を有する導電性セラミックである金属珪化物を使用し、
アルミナ絶縁基体上に金属珪化物を主成分とする薄膜感
温抵抗体を印刷によって形成し、薄膜感温抵抗体が印刷
された厚膜基体を多数積層し、薄膜感温抵抗体間をアル
ミナ絶縁基体に形成されたスルーホールに埋め込まれた
金属珪化物導電体によって接続することによって感温抵
抗体回路を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動車排気ガスや石
油ストーブ、ガスコンロ等の高温度雰囲気の温度を検出
するための抵抗型温度センサに関わるものである。
【0002】
【従来の技術】高温を短時間で検出する温度センサにお
いて、温度センサには耐熱,耐環境,耐熱衝撃性に優
れ、且つ熱容量が小さいことが要求される。いいかえれ
ば、温度センサに対して、感温部が高温に長時間曝され
ても化学変化が生じにくく、自動車排気ガスや燃料燃焼
ガス中に存在する硫黄酸化物等の腐食性ガスに対する十
分な耐蝕性を具備していることが要求される。
【0003】従来、高温を検出するセンサとして熱電対
センサあるいは抵抗型温度センサが使用されているが、
応答が速く、耐熱性,耐環境性が優れているものはな
い。そのため、充分な耐熱性,耐環境性がない感温材料
を使用する場合には、その表面を耐熱性,耐環境性材料
で被覆することが行われている。
【0004】一般に、高温を短時間で検出する用途で
は、急激な温度変化がある環境の中に温度センサを設置
して温度を検知することがあるので、温度センサは耐熱
衝撃性が優れている材料で構成する必要がある。また、
感温部の温度が環境の温度変化に短時間で追随できるた
めには、感温部の熱容量は可能な限り小さい物である必
要がある。
【0005】これまでに、感温部材料として、タングス
テン(W),白金(Pt)等の耐熱性を有する金属ある
いは金属化合物が用いられることがあるが、タングステ
ン,白金等の耐熱金属は熱膨張係数が大きいため容器等
に熱膨張係数が小さいセラミックを使用した場合には耐
熱衝撃性の点で信頼度が低い。
【0006】一方、感温部材料として金属に代えて金属
酸化物からなるサーミスタを使用し、サーミスタ層をセ
ラミック基体上に形成した抵抗型温度センサが実開平2
−45603号公報に、また金属とセラミックの混合物
であるサーメットを使用し、サーメット層をセラミック
基体上に形成した抵抗型温度センサが特開平7−190
863号公報に記載されているが、これらは何れも1,
000℃以上の温度における耐熱性を有していない。
【0007】温度センサによる測定結果の温度に対する
応答性をよくするためには、感温部の熱容量を小さくす
ることにより温度追随性を確保する必要がある。そし
て、感温部の熱容量を小さくするには、感温部の形状寸
法を小さくすればよい。しかし、温度センサを自動車エ
ンジン等の過酷な環境で使用する場合には、装置動作中
の振動、衝撃に耐える機械的強度が、また、そのような
装置への温度センサを組み付けは強固なものである必要
があるため、組み付け作業工程に支障のない程度の機械
的強度が要求される。しかしながら、セラミック基体上
にサーミスタ層あるいはサーメット層を形成することに
よって構成された温度センサにおいては感温部がある程
度の大きさを要求されるセラミック基板上に形成されて
いるため、感温部全体の形状寸法の小型化には限界があ
り、したがって熱容量の低減に限界がある。このよう
に、従来技術では、室温から1,000℃以上の高温ま
での温度範囲にわたって、短時間でその温度を検知する
ことができる温度センサはこれまでになかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本出願の発明は、室温
から1,000℃〜1,300℃程度までの温度範囲にお
いて、5秒以内という短時間で温度を検出することがで
き、且つ耐熱性,耐環境性に優れ、長時間の使用に耐え
得る抵抗型温度センサを提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本出願においては厚膜基体の絶縁体としてアルミナ
(Al23)を用い、導電体としてアルミナと同程度の
小さい熱膨張係数を有する導電性セラミックである金属
珪化物を使用し、アルミナ絶縁基体上に金属珪化物を主
成分とする薄膜感温抵抗体を印刷によって形成し、薄膜
感温抵抗体が印刷された厚膜基体を多数積層し、薄膜感
温抵抗体間をアルミナ絶縁基体に形成されたスルーホー
ルに埋め込まれた金属珪化物導電体によって接続するこ
とによって感温抵抗体回路を形成する。
【0010】使用される金属珪化物は、耐熱金属の珪化
物である珪化モリブデン(MoSi2),珪化タングス
テン(WSi2),珪化チタン(TiSi2),珪化タン
タル(TaSi2)の他に比較的低い温度のみで使用可
能な金属珪化物として珪化クロム(CrSi2),珪化
鉄(FeSi2),珪化コバルト(CoSi2)が使用可
能であり、特に珪化モリブデンは絶縁基体であるアルミ
ナとの熱膨張係数が同程度であるため最も適している。
【0011】積層構造の基体を製造する方法として、シ
ート法あるいはシルクスクリーン印刷法が用いられる
が、何れの方法でも塗料状の絶縁体材料を厚膜に成形乾
燥し、その後感温抵抗体パターン印刷する。
【0012】
【作用】本発明の温度センサは、感温部材料が熱膨張係
数が小さい金属珪化物を主体として構成されているため
熱膨張係数の小さいアルミナを主成分とする絶縁セラミ
ック材料と組み合わせても十分な熱衝撃特性を得ること
が出来る。さらに、珪化モリブデン等の金属珪化物を主
体とする導体材料とアルミナを主成分とする絶縁セラミ
ック材料との交互の積層構造で基体を構成することによ
り、結果としてアルミナを主成分とする絶縁セラミック
材料より優れた熱衝撃特性を有する基体を実現すること
ができる。
【0013】本発明の抵抗型温度センサの構造は積層構
造で形成される。このことにより、感温部分の厚みを周
りの素体の厚みより薄い構造にする必要がある場合に、
温度センサ素子を形成する工程で基体を形成する材料の
シートを、感温部に位置する部分を打ち抜いて積層する
ことで本発明の構造を容易に形成できるため、製造工程
の変更はほとんどない。
【0014】
【実施例】本発明の具体的実施例を説明するに当たり、
発明全体について説明する。 [基本的構造]本発明の抵抗型温度センサの構造は積層
構造に形成される。このことにより、感温部分の厚みが
周りの素体の厚みより薄い構造にする必要がある場合、
温度センサ素子を形成する工程で基体を形成する材料の
シートを、感温部に位置する部分を打ち抜いて積層する
ことで本発明の構造を容易に形成できるので、ほとんど
同じ製造工程で製造できるからである。
【0015】本発明の素子は、二種類の材料厚膜を同一
層に配置した構造とされるが、このような構成はシート
工法により膜全体の厚み寸法のバラツキが少ない厚膜を
形成することができる。また、感温部は絶縁体厚膜上に
スクリーン印刷により感温抵抗体のパターンを印刷し、
積層された複数の感温抵抗体パターンをスルーホールに
よって相互に接続して構成された感温抵抗体回路によっ
て構成される。
【0016】本発明の抵抗型温度センサの機能を実現す
るためには、測定信号を外部の処理回路へ伝達するため
の接続部と、抵抗型温度センサを保持取り付けるための
構造が必要であるが、本発明の抵抗型温度センサは高温
を測定することを目的としているので、当然これらの構
造は耐熱性を考慮に入れた設計仕様が必要となる。
【0017】本発明の抵抗型温度センサは、温度センサ
素子の感温部の反対側の端部に外部接続用の端子接続部
が設けられており、この部分にニッケルメッキを施すこ
とでリード部材との接続を行うことができ、抵抗型温度
センサ素子とリード部材との電気的な接続は銀蝋による
蝋接、あるいは溶接によって接続することで耐熱性、機
械的強度を有する接続構造を実現することができる。
【0018】本発明の抵抗型温度センサでは、抵抗型温
度センサ素子をアルミナを主成分とするセラミック管等
の耐熱性を有する管の中に挿入し、セラミックセメント
等の耐熱性を有する充填材で素子を保持固定する。この
構造にすることにより、必要な耐熱性が実現される。
【0019】[材料]本発明の抵抗型温度センサ素子
は、温度を検出する感温部、素子を外部回路に接続する
接続部及び感温部と接続部を電気的に接続する導電部か
ら構成される。これらの感温部、導電部及び接続部はす
べてセラミックを積層構造に形成することによって構成
され、積層構造中にあって感温部を構成する抵抗材料、
導電部及び接続部を構成する導電材料は、電気回路を構
成するために適宜絶縁材料によって電気的に分離される
必要がある。そのため、本発明においては、セラミック
感温抵抗材料、セラミック導電材料及びセラミック絶縁
材料が使用される。
【0020】絶縁材料に要求される絶縁抵抗値は、望ま
しくは100MΩ以上少なくとも1MΩあれば十分であ
る。アルミナからなる絶縁材料は、高温度で1010Ω・
cm程度の比抵抗を呈するから、感温部寸法を後に説明す
る本発明の代表的な寸法である幅=1.2mm,長さ=6m
m,層厚=35μmとした場合に、3×1012Ωの層間
絶縁抵抗が得られから、本発明で使用するのに適した絶
縁体材料であるといえる。
【0021】感温抵抗部の抵抗値は、絶縁体との抵抗値
比が概ね1,000あれば、漏れ電流値が1/1,000
となるため実用的な精度で温度を測定することが可能で
ある。感温抵抗部の抵抗値が数十KΩ以上の場合には、
実用的な測定電圧において測定電流が微少であり測定精
度を維持する困難さがある。そのため、感温抵抗部の抵
抗値は数KΩ以下であることが望ましい。このように、
前述の本発明の代表的な感温部寸法で例えば1KΩの抵
抗値を実現する場合、抵抗体の比抵抗は0.3Ω・cm程
度となる。この比抵抗は、金属珪化物の1つである珪化
モリブデンの組成をアルミナに対して30体積%以上と
することにより得ることができる。なお、所定の感温部
抵抗値を得るためには抵抗材料にアルミナやムライト等
の絶縁物を混合して抵抗値を調整することができる。
【0022】導電部及び接続部の抵抗値は、絶縁部と同
様に抵抗値の比が概ね1,000あれば、電圧降下が1
/1,000となるため実用的な精度で温度を測定する
ことが可能な抵抗値例えば数Ωの抵抗を得ることができ
る。前述の本発明の代表的な感温部寸法で例えば1Ωの
抵抗値を実現するための比抵抗は3×10-4Ω・cm程度
となる。この比抵抗は、珪化モリブデンの組成を50体
積%とした場合にこの比抵抗を得ることができる。ま
た、珪化モリブデンの組成が50体積%以上であれば、
導電部及び接続部として必要な数Ω以下の抵抗値を得る
ことができる。なお、導電部の材料は感温部の抵抗体と
同じ材料で構成してもよいが、導電部の抵抗値は感温部
の抵抗値より低い方が望ましい。
【0023】さらに、アルミナ単体だと熱衝撃性がそれ
ほど優れてはいないが、絶縁材料として用いられるアル
ミナと熱膨張係数が同程度である珪化モリブデンをアル
ミナと組み合わせて積層体を構成した場合には十分な耐
熱衝撃性を確保することができる。
【0024】本発明で使用される主要な材料は珪化モリ
ブデンとアルミナであるが、緻密な焼結体を形成するた
めに焼成時の焼結反応を望ましい状態で制御する必要が
ある。珪化モリブデン等の金属珪化物は分解によりモリ
ブデン(Mo)等の金属成分が蒸発・揮散し、もう一方
の化合物成分であるシリコン(Si)の酸化物であるシ
リカ(SiO2)が残留するため、導体材料の比抵抗が
モリブデンの蒸発揮散量によって変動する。したがっ
て、抵抗値制御には工程条件の厳密な管理が必要であ
る。
【0025】導体材料の比抵抗制御を目的としてアルミ
ナを主成分とする絶縁物を混合するが、残留したシリカ
とアルミナによりムライト(3Al23・2SiO2
系の化合物が生成される。原材料としてムライトを含有
させないで導体材料を構成した場合でも本発明の温度セ
ンサを形成するために工程条件の厳密な管理をすれば問
題はないが、ムライトを含有させることにより珪化モリ
ブデンの分解を抑制することができ、よりたやすく導体
材料の比抵抗を制御することができる。
【0026】また、成分中にマグネシア(MgO)が含
有されているとコージェライト(2MgO・Al23
5SiO2)系の化合物が生成されムライトと同様に珪
化モリブデンの分解を抑制することができ、よりたやす
く導電材料の比抵抗を制御することができる。ただし、
ムライトの含有量が概ね15体積%、マグネシアの含有
量が概ね5重量%を越えると導体材料の焼結が阻害さ
れ、緻密な焼結体を得ることが困難となるため、ムライ
トとマグネシアの含有量には上限がある。なお、この場
合ムライトとマグネシアは共存させても、夫々単独で含
有させてもよい。
【0027】絶縁体材料には、導体材料との強固な接着
性が必要である。したがって、導体材料に含有される絶
縁体材料と同様の組成が望ましい。シリカを含有するこ
とで接着性はさらに向上し、より好ましい素体を形成す
ることができる。但し、含有量が概ね0.5重量%を越
えると絶縁体の焼結が阻害され、焼結体の緻密化が困難
となる。
【0028】感温抵抗部や導電部はこれらの緻密なセラ
ミックで覆われているため、環境に対して安定性を保つ
ことができる。さらに温度センサ素子を形成した後でそ
の表面にアルミナやシリカを主成分とする焼成膜を形成
することにより耐環境性を向上させることができる。こ
の焼成膜はアルミナやシリカをCVD(Chemical Vapou
r Deposition)によって生成するか、あるいは、それら
のスラリに浸漬して付着させた後焼成することによって
形成することができる。
【0029】[材料の製造]セラミック積層体を製造す
るときに原材料に要求される性状は、乾燥性、粘性が適
当であって、厚膜の形成時にクラックや乾燥むらを生じ
ないこと、形成された表面の平滑度に問題がないこと等
である。望ましい性状を実現するために、材料の粉体特
性に応じて塗料の濃度、バインダの種類と添加量が適切
に選択される。また、積層体を形成した後、焼成工程で
焼結反応により素体を形成する必要がある場合、材料の
塗料を製造する時点で、最適な粒度分布や分散度を実現
しているのが望ましい。
【0030】一般に、本発明に使用される金属の珪化物
のような難焼結性の材料の場合には、材料を十分微細に
粉砕することにより焼結時の活性度が高くなり、より低
い焼結温度での焼結が可能となる。ところが、最適な粒
度分布や分散度を実現するための材料の製造条件と、最
適な塗料の製造条件は、多くの場合異なっており、塗料
を製造する前に適当な粉体特性になるように材料の前処
理をしておく必要がある。
【0031】本発明で使用される金属珪化物の場合、活
性度を高めるための微粉砕処理を空気中で行うと、金属
珪化物を構成している金属及び珪素がたやすく酸化され
てしまう。また、多くの場合前処理の条件は、塗料の製
造条件より溶媒の濃度が高く、すなわちスラリ濃度が低
いのが一般的である。したがって、前処理工程では粉砕
後に乾燥してから、所定の塗料組成になるように塗料を
構成する材料を再び調合する必要がある。
【0032】本発明で使用される金属珪化物の場合、上
記したように前処理後の材料の取り扱いにおいて、酸化
を防止するために真空中や窒素中等非酸化性雰囲気中で
取り扱うとか、溶剤分が残留しているときは酸化による
発熱での発火が起こらないよう取り扱う等の注意が必要
である。本発明の材料の製造方法によれば、以上に記し
た問題点が解決されるとともに、工程が短縮される。
【0033】すなわち、最適の粉砕条件で粉砕した後
で、真空脱気装置、フィルタプレス等の濃縮機で溶媒を
一部除去し、その後で不足のバインダ、可塑剤等の塗料
成分を調合し最適の性状の塗料を製造する。このことに
より、微粉砕された活性度の高い材料粉体が溶剤スラリ
として取り扱われるため、空気中での酸化や酸化による
発火などを防止することができ、乾燥工程や、酸化防止
のための保管工程を省略することができる。また、粉砕
工程でのスラリ粘度を塗料の粘度より低くすることがで
きるため、ボールミル、メディアミル等の分散装置から
材料を取り出すとき、及びメディアと分離するときに材
料を歩留まりよく回収することができる。
【0034】[焼成条件]本発明の素子積層体は、いわ
ゆる難焼結性の金属珪化物を構成成分として含んでいる
ため、少なくとも1,200℃望ましくは1,400℃以
上の温度で焼成する必要がある。また、金属珪化物は2
00度程度の低温範囲でも空気中で酸化されるので、非
酸化性雰囲気で焼成する必要がある。非酸化性雰囲気は
アルゴンガス雰囲気が好ましく、窒素雰囲気は金属珪化
物を窒化する傾向があり、結果として抵抗の温度特性を
変化させるため好ましくない。
【0035】金属珪化物は空気中でたやすく酸化される
ため、本発明の温度センサ素子の実使用条件下におい
て、金属珪化物の酸化はその性能の安定性を低下させる
ことになり、酸化を抑制する必要がある。そのために
は、焼結後の素体の密度を可能な限り高めることが望ま
しい。焼結後の素体の密度を高めるために、昇温過程の
一部、若しくは昇温過程の一部と安定部の一部を真空度
50Torr以上、望ましくは真空度10Torr以上
にすることにより、焼結後の素体の密度を高めることが
できる。焼成過程の一部を真空にする効果は、焼結が進
展し、結晶組織の空孔が緻密化によて閉気孔になったと
き、焼成雰囲気の真空度が高いときは、閉気孔内も真空
度が高い状態となり、その後さらに緻密化が進むと閉気
孔が消滅し、高密度化が達成される。
【0036】なお、焼成全工程の真空度が高い場合は、
成分特にシリカの蒸発が著しく、好ましくない。また、
焼成過程で圧力を加えて焼成することは、緻密化を促進
するので好ましい。加圧焼成は、いわゆるホットプレス
焼成でもHIP(Hot Isostatic Pressing)焼成あるい
は他の何れの加圧焼成であってもよい。ただ、加圧焼成
は常圧焼成より費用がかかるので、常圧焼成によって目
的とする緻密化が達成できる場合はそれに越したことは
ない。
【0037】1,800℃を超える温度での焼成は、ア
ルミナを主成分とするセラミック基体の融点に近く、具
体的には、セラミック基体の一部が融解、あるいは蒸発
して消滅、若しくは金属珪化物と反応し、目的とする構
造を形成するのが困難であり、好ましくない。
【0038】[積層体の製造]積層体を構成する厚膜層
は、所定の特性を有する材料の塗料をポリエチレンフィ
ルム上に塗布乾燥し、不要部分を除去した後、同様にし
て形成された他の特性を有する材料の厚膜層を不要部分
が除去された箇所に埋め込むことで部分的に異なる特性
を有する厚膜層を形成し、このようにして形成された厚
膜層を順次積層することによって製造される。また、所
定の特性を有する材料の塗料厚膜をポリエチレンフィル
ム上に塗布乾燥し必要な大きさに切断して組み合わせる
ことにより製造することもできる。さらに、厚み寸法の
精度が要求されない場合には、スクリーン印刷により厚
膜層を形成することもできる。
【0039】絶縁体厚膜上への感温抵抗体パターンの印
刷は、何れの段階、すなわち、絶縁体厚膜からのポリエ
チレンフィルムの剥離後、あるいは絶縁体厚膜への導体
厚膜の埋め込み後の何れの時でもよいが、本発明の感温
素子においては、導体厚膜の一部分を感温抵抗体回路の
導電部として機能させるために感温抵抗体パターンを導
体厚膜に接続する必要があり、そのために感温抵抗体パ
ターンを導体厚膜上にまで印刷する必要がある。したが
って、感温抵抗体パターンの印刷は絶縁体厚膜への導体
厚膜の埋め込み後に行うのが望ましい。
【0040】積層工程中に印刷工程を組み入れると装置
が複雑になるだけでなく、厚膜の積層数が増えるにした
がって印刷面の高さ位置を変更しなければならないた
め、厚膜の積層は感温抵抗体パターンの印刷が終了した
後にするのが望ましい。このようにすれば、印刷装置と
積層装置を分離することができるため、全体装置の構造
が単純になる。
【0041】次に、本発明実施例の温度センサの構成を
図面を参照しながら説明する。図1に示されたのは、本
発明実施例の抵抗型温度センサ素子の積層構造図であ
り、図2に分解構造を、図3に使用される厚膜体のパタ
ーンを示す。図1に示された積層体は図3にA〜Gとし
てパターンが示されている長さ100mm,幅80mm,厚
さ35μmである6種類の厚膜層を上から、A−B−A
−B−A−B−A−B−A−B−(C−D−E−D−E
−G−F−G−E−D−E−D−C)−B−A−B−A
−B−A−B−A−B−Aの順で積層されることによっ
て構成されている。なお、ここで括弧内に示された厚膜
体パターン上に印刷により感温抵抗部が構成される。な
お、図1に示されている同一層間の区切りは焼結終了後
には消滅している。
【0042】この抵抗型温度センサ素子素体は、図2に
示されたように、上部保護部1,感温部2及び下部保護
部3が重ね合わされて構成されており、感温部2を構成
する厚膜体中最上部に配置されたパターンDの厚膜体及
び下部保護層3を構成する厚膜体中最上部に配置された
パターンCの厚膜層上に、図4(a)に示されるパター
ンPの感温抵抗体が印刷されている。
【0043】上部保護部1及び下部保護部3はパターン
Aの厚膜層及びパターンBの厚膜層が交互に10層積層
され、各々の上下端はパターンAの厚膜層とされてい
る。これらの上部保護部1及び下部保護部3の一部には
パターンAの厚膜層に形成された開孔4及びパターンB
の厚膜層に形成された開孔5によって、開孔部6及び7
が形成されており、感温部2の感温抵抗体はこれらの開
孔部6と7の間に設けられている。
【0044】図3に示された厚膜体パターンには、絶縁
体にスルーホールが形成されそのスルーホールに導体が
埋め込まれているものがある。すなわち、パターンDに
はスルーホール8が、パターンEにはスルーホール9
が、パターンFにはスルーホール10が、パターンGに
はスルーホール11が、各々形成されそれらのスルーホ
ールに導体が埋め込まれている。
【0045】この実施例では、パターンD,E,F,G
及びCの厚膜体に感温抵抗体パターンが印刷されるが、
図4により感温抵抗体パターンと厚膜体パターンとの関
係を説明する。印刷される感温抵抗体パターンは図2に
示されたパターンPの他に類似したパターンQ及び感温
抵抗体パターンではないパターンR及びSが用いられ
る。なお、図4においてスルーホールは感温抵抗体パタ
ーンの下になって見えないため、スルーホールについて
は考慮することなく説明する。(a)に示されたのは厚
膜体パターンC及びDに感温抵抗体パターンPが、
(b)に示されたのは厚膜体パターンEに感温抵抗体パ
ターンQ及びパターンR,Sが、(c)に示されたのは
厚膜体パターンDに感温抵抗体パターンQが、(d)に
示されたのは厚膜体パターンFに感温抵抗体パターンQ
及びパターンR,Sが、(e)に示されたのは厚膜体パ
ターンGに感温抵抗体パターンQが各々印刷されたもの
であり、これらが前に説明した順に積層される。
【0046】これらの感温抵抗体パターン及びスルーホ
ールによって構成された感温抵抗体回路を図5に示す。
なお、この図においては感温抵抗体パターン及びスルー
ホールのみを示してあり、厚膜体は省略されている。こ
の図に示された感温抵抗体回路は2個のパターンPの感
温抵抗体の間に10個のパターンQの感温抵抗体が配置
され、これらの感温抵抗体パターンP及びQがスルーホ
ール8〜11によってパターンP−スルーホール8−パ
ターンQ−スルーホール9−パターンQ−スルーホール
8−パターンQ−スルーホール9−パターンQ−スルー
ホール11−パターンQ−スルーホール10−パターン
Q−スルーホール11−パターンQ−スルーホール9−
パターンQ−スルーホール8−パターンQ−スルーホー
ル9−パターンQ−スルーホール8−パターンPの順で
直列に接続されている。
【0047】本実施例の抵抗型温度センサで用いる材料
について説明する。 (1)材料の調製 抵抗体材料として、粒径2μmのMoSi2を40体積
%、粒径0.4μmのAl23を60体積%の組成と
し、これらの原材料と溶剤としてのトルエンを、アルミ
ナ磁器製ポットに投入し、分散用メディアとしてアルミ
ナボールを用いて15時間分散し、その後分散後バイン
ダとしてエチルセルロース樹脂のトルエン40%溶液を
加え攪拌器で混合し、抵抗体塗料を得る。
【0048】導電体材料として、粒径2μmのMoSi
2を90体積%、粒径0.4μmのAl23を10体積%
の組成で、溶剤としてトルエンを用い、これらの材料を
アルミナ磁器製ポットに投入し、分散用メディアとして
アルミナボールで15時間分散した。分散後バインダと
してエチルセルロース樹脂のトルエン40%溶液を加え
攪拌器で混合する。
【0049】構造用導体材料として粒径2μmのMoS
2を90体積%、粒径0.4μmのAl23を10体積
%の組成で、バインダとしてメタアクリル樹脂、溶剤と
してトルエン、エタノール、可塑剤としてBPBGを用
い、これらの材料をアルミナ製磁器製ポットに投入し、
分散用メディアとしてアルミナボールで15時間分散す
る。
【0050】絶縁体材料として、粒径0.4μmのAl2
3を90体積%、粒径0.4μmのムライトを10体積
%、粒径0.4μmのMgOを3重量%、粒径0.4μm
のSiO2を0.3重量%の組成とし、構造用導体材料と
同様にこれらの原材料とバインダとしてメタアクリル樹
脂、溶剤としてトルエン及びエタノール、可塑剤として
BPBGをアルミナ磁器製ポットに投入し、分散用メデ
ィアとしてアルミナボールを用いて15時間分散し、絶
縁体塗料を得る。
【0051】(2)シートの製造 上記工程で製造した導体塗料及び絶縁体塗料を、シート
コーターにより乾燥後の厚さが35μmになるようにド
クターブレードの高さを調節してでポリエチレンフィル
ム上に幅80mmの塗布膜を成膜し、導体シート及び絶縁
体シートを得る。成膜した導体シート及び絶縁体シート
をそれぞれ積層体を製造する際のスタック寸法に合わせ
て長さ100mmに切断する。
【0052】(3)厚膜層の製造 温度センサを構成する各厚膜層は導体と絶縁体とから構
成されている。図6に示されたのは、図3にCで示され
た厚膜体を製造する方法である。
【0053】(a)に示されたのは上記シートの製造に
おいて製造された抵抗体シートであり、ポリエチレンフ
ィルム21上に構造用導体厚膜22が塗布されている。
この構造用導体厚膜22に破線で示した切り込み23を
入れ、切り込み23に従って構造用導体厚膜24を残し
てその間の構造用導体厚膜を剥離することにより、
(b)に示された素材を得た。
【0054】一方、(c)に示されたのは上記シートの
製造において製造された絶縁体シートであり、ポリエチ
レンフィルム25上に絶縁体厚膜26が塗布されてい
る。この絶縁体厚膜26に破線で示した切り込み27を
入れ、切り込み27に従って絶縁体厚膜28を残してそ
の外側の絶縁体厚膜を剥離することにより、(d)に示
された素材を得る。
【0055】次に、(e)に示されたように、(b)に
示された導体シートの上下を倒置し(d)に示された絶
縁体シート上に積層し、0.1kg/cm2の圧力を10秒間
加えた後、ポリエチレンフィルム21を取り除くことに
より、(f)に示された厚膜体を得る。
【0056】図7に図6に示された工程によって得られ
た厚膜体に感温抵抗体パターンを印刷する工程を示す。
この工程においては、ポリエチレンフィルム25上に載
置された導体厚膜24及び絶縁体厚膜28からなる厚膜
素体シートを(a)に示された印刷用基板31上に載置
し、(b)に示すようなスクリーン印刷法により絶縁体
厚膜28上にスクリーン32を介して感温抵抗体材料を
スクィージ33を用いて印刷することにより感温抵抗体
薄膜34を形成し、(c)に示されたような感温抵抗体
パターンPが形成された感温抵抗厚膜を得る。
【0057】このように形成されたシートを、図1に示
す構造になるように積層するために、各層に相当するシ
ートを準備し、各層が図1に示す構造になるようにシー
トの種類を代えて所定の順序で積層する。具体的には、
最初に保護部3にあたるシートを準備して積層し、次に
感温部2を構成するシートを準備して積層し、最後に作
成して保護部1にあたるシートを準備して積層する。
【0058】(4)積層体の製造 所定の積層が終了した後、スタック用基板から積層体を
外し、加圧用金型に入れ、1.5kg/cm2の圧力を300
秒間加えて加圧した。
【0059】(5)積層体の切断 所定の積層が終了した後、スタック用基板から積層体を
外し、加圧用金型に入れ、1.5kg/cm2の圧力を300
秒間加えた。次に、両面テープを張り付けた切断用基板
に、積層体を貼り付け、幅2.4mmピッチでダイヤモン
ド刃で切断し長さ50mm、厚さ3mmの積層体を得る。
【0060】(6)焼結体の製造 本発明の素子積層体は、いわゆる難焼結性の金属珪化物
を構成成分として含んでいるので、少なくとも1,20
0℃望ましくは1,400℃以上の温度で焼成する必要
がある。また、金属珪化物は200度程度の低温範囲で
空気中で容易に酸化され、金属珪化物の酸化はその性能
の安定性を低下させることになるため、酸化を抑制する
必要がある。非酸化雰囲気で焼成する必要がある。非酸
化性雰囲気はアルゴンガス雰囲気が好ましく、窒素雰囲
気は金属珪化物を窒化する傾向があり、結果として抵抗
の温度特性を変化させ好ましくない。
【0061】このようにして得られた抵抗型感温素子素
体を図8(a)に示す。自動車排ガスの温度を測定する
用途では、排ガス中の残留炭素の素子表面への付着が生
じ、付着した残留炭素で導体層間が電気的に短絡される
おそれがあるので、素子表面に表面保護層として絶縁層
を形成するのが好ましい。この表面保護層として、熱膨
張係数がアルミナを主成分とする素体と同程度の材料を
用いるのが好ましい。また、その厚さは素子の応答速度
に影響するので、できる限り薄い方がよく、具体的には
20μm以下、好ましくは10μm以下の厚みに形成す
る。
【0062】SiO2を主成分とする膜はアルミナを主
成分とする膜より酸化抑制効果は高いが、熱膨張係数が
素体と若干異なるため、熱衝撃で膜にクラック等が生じ
やすく、できる限り薄い方がよい。そのために、SiO
2を主成分とする膜は20μm以下、好ましくは10μ
mの厚みで形成する必要がある。また、SiO2を主成
分とする膜は500℃以上、好ましくは1,000℃か
ら1,400℃の温度範囲で空気中に数時間曝すことで
も形成できる。500℃以下では酸化膜形成に長時間を
要し実用的でない。また、SiO2を主成分とする膜を
形成した後で、さらにアルミナを主成分とする膜を形成
することでさらに素子の信頼性を向上できる。これらの
膜はCVD法あるいはスラリ塗布,浸漬,印刷,転写等
で付着させた後、乾燥及び熱処理をすることによって形
成することができる。
【0063】以上の観点から、切断後の積層体を窒化硼
素の基板に積載し、窒素ガス中において2時間600℃
で脱バインダを行った後、アルゴンガス中において1時
間1,750℃で焼成した。さらに、HIPによって2,
000気圧のアルゴンガス中で2時間1,650℃で焼
成後、空気中において1時間1,400℃で表面酸化処
理を行った。このようにして表面層を形成した素子断面
模式図を図8(b)及び(c)に示す。これらにおい
て、(b)はシリカを主成分とした保護膜40を形成し
た例であり、(c)はさらにその上にアルミナを主成分
とした保護膜39を形成した例である。
【0064】(7)接続端子加工 表面酸化処理後、図8(a)に示された積層端面の導体
部分をサンドブラスト加工することにより、接続端子4
1及び42を形成する。なお、図8(a)は図1を倒し
て見た斜視図である。次いで、これらの接続端子41及
び42にニッケル(Ni)めっき用のパラジウム(P
d)触媒を印刷し、乾燥後熱処理し、ニッケル無電解メ
ッキを施す。
【0065】(8)組立・加工 ニッケル無電解メッキが施された接続端子41及び42
を洗浄し乾燥した後、図8(d)に示されたリード部材
43及び44の接続部45及び46に抵抗型感温素子素
体の接続端子41及び42を狭持させそのニッケルメッ
キ部分と銀蝋により蝋付けした。
【0066】リード部材43及び44が接続された抵抗
型感温素子素体を図8(e)に示されたアルミナ管47
に挿入し、図8(f)に示されたようにセラミックセメ
ント48を充填し、90℃で0.5時間乾燥した後、1
20℃で2時間の熱処理を行い、硬化させた。
【0067】このようにして得られた実施例の温度セン
サ組立体の電気的特性測定結果を表1及び表2に示す。
表1に示されたのは、温度を変化させた場合の抵抗値の
変化を抵抗値そのものと常温(25℃)と比較した場合
の変化率について示したものである。また、表2は40
0℃の硝石融液中に浸漬することにより応答速度を測定
した結果を示したものである。さらに、図9に表1をグ
ラフ化したものを、図10に表2をグラフ化したものを
示す。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】表1及び対応する図9のグラフによれば、
本発明実施例の温度センサはいずれも温度変化に対して
抵抗値が十分に大きく変化していることが明らかであ
る。
【0071】また、表2及び対応する図10のグラフに
よれば、本発明実施例の温度センサはいずれも十分な応
答速度をもって抵抗値が所期の値に変化していることが
明らかである。
【0072】[実施例2]これまでに説明した実施例に
おいて用いられている金属珪化物は珪化モリブデンだけ
であるが、金属珪化物にはこの他に種々のものが知られ
ており、珪化モリブデン以外の金属珪化物も抵抗型感温
素子を構成するセラミック材料として使用可能である。
以下、珪化モリブデン以外の金属珪化物を抵抗型感温素
子を構成するセラミック材料として使用する場合につい
て説明する。
【0073】金属珪化物としては種々のものが知られて
いるが、珪化物を構成する金属により、電気的特性、物
理的特性、化学的特性が異なっている。高温雰囲気の温
度検出の用途においては、温度検出に必要な抵抗温度特
性の他に耐熱性と耐酸化性に優れたものが最も望まし
く、本発明の場合のように最高使用温度が1,300℃
付近である場合にはモリブデン(Mo),タングステン
(W),チタン(Ti),タンタル(Ta)の珪化物が
適当であり、その中でも材料価格、製造の難易度等を総
合的に判断すると珪化モリブデンが望ましい。しかし、
珪化タングステン(WSi2)等の他の金属の珪化物を
用いた場合でも十分に使用に耐える抵抗型温度センサを
実現することが可能である。
【0074】以下に抵抗材料として珪化タングステンを
使用した抵抗型温度センサの例を説明する。この抵抗型
温度センサは材料が異なる他は図1に示された実施例1
の抵抗型温度センサと同じ構成を有しているため、共通
する部分の説明は省略する。
【0075】(1)材料の調製 抵抗体材料として、粒径3μmの珪化タングステンを4
0体積%、粒径0.4μmのアルミナを60体積%の組
成とし、これらの原材料とバインダとしてメタアクリル
樹脂、溶剤としてトルエン及びエタノール、可塑剤とし
てBPBGをアルミナ磁器製ポットに投入し、分散用メ
ディアとしてアルミナボールを用いて15時間分散し、
抵抗体塗料を得る。
【0076】絶縁体材料として、粒径0.4μmのアル
ミナを90体積%、粒径0.4μmのムライトを10体
積%、粒径0.4μmのマグネシアを3重量%、粒径0.
4μmのシリカを0.3重量%の組成とし、抵抗体材料
と同様にこれらの原材料とバインダとしてメタアクリル
樹脂、溶剤としてトルエン及びエタノール、可塑剤とし
てBPBGをアルミナ磁器製ポットに投入し、分散用メ
ディアとしてアルミナボールを用いて15時間分散し、
絶縁体塗料を得る。
【0077】(2)シートの製造 上記工程で製造した抵抗体塗料及び絶縁体塗料を、シー
トコーターにより乾燥後の厚さが35μmになるように
ドクターブレードの高さを調節してでポリエチレンフィ
ルム上に幅80mmの絶縁体塗料膜を成膜し、抵抗体シー
ト及び絶縁体シートを得る。成膜した抵抗体及び絶縁体
シートをそれぞれ積層体を製造する際のスタック寸法に
あわせて長さ100mmに切断する。
【0078】(3) 積層体の製造 実施例2と同様にして厚膜層を形成し、所定の積層が終
了した後、積層体を加圧用金型に入れ、1.5Kg/cm2
の圧力を300秒間加える。次に、幅4.8mmピッチで
切断し長さ50mm厚さ3mmの積層体を得る。
【0079】(4) 焼結体の製造 切断後の積層体を、窒素ガス中において2時間600℃
で脱バインダを行った後、アルゴンガス中において2時
間1,650℃で焼成する。さらに、HIP法により2,
000気圧のアルゴンガス中において2時間1,600
℃で焼成後、空気中において1時間1,400℃で表面
酸化処理を行う。酸化処理後、端子接続部をサンドブラ
ストする。
【0080】(5) 組立・加工 端子接続部にパラジウム触媒を印刷し、乾燥後に熱処理
した後、ニッケル無電解めっきを施した。洗浄乾燥後リ
ード部材を銀蝋で接合した素子をアルミナ管に挿入し、
セラミックセメントを充填し、乾燥後に熱処理硬化す
る。
【0081】このようにして得られた温度センサ素子試
料の電気的特性測定結果を表3及び表4に示す。表3は
この実施例の試料の抵抗値の温度による変化を示すもの
であり、表4は400℃の硝石融液中で測定した抵抗値
の応答速度を示すものである。
【0082】
【表3】
【0083】
【表4】 また、図11は表3の抵抗値の温度による変化率をグラ
フで示したものであり、図12は表4の抵抗値の変化率
の応答速度を示すグラフである。
【0084】表3及び対応する図11のグラフによれ
ば、珪化タングステンを抵抗体材料に用いた実施例2の
抵抗型温度センサは温度変化に対して抵抗値が十分に大
きく変化していることが明らかである。
【0085】また、表4及び対応する図12のグラフに
よれば、珪化タングステンを抵抗体材料に用いた実施例
3の温度センサは充分な応答速度をもって抵抗値が所期
の値に変化していることが明らかである。
【0086】[実施例3]以上説明したように、モリブ
デン,タングステン,チタン及びタンタルの珪化物を抵
抗材料として用いる抵抗型温度センサは1,300℃付
近の高温でも使用可能であるが、最高使用温度が1,0
00℃付近という比較的低い温度範囲での用途では、こ
れら以外の殆どの金属珪化物が使用可能であり、特に周
期率表におけるIVA族元素,VA族元素,VIA族元素,V
III族元素の金属珪化物は利用可能性が高い。中でもク
ロム(Cr),鉄(Fe),コバルト(Co)の珪化物
は材料価格、製造の容易性を総合的に判断して望ましい
材料である。
【0087】これらの金属珪化物である珪化クロム(C
rSi2),珪化鉄(FeSi2),珪化コバルト(Co
Si2)は、珪化モリブデンや珪化タングステンのよう
な高融点金属の珪化物よりも耐熱性は劣るが、使用条件
が1,000℃程度という比較的低い温度範囲で使用す
る場合には十分に使用可能である。そこで、耐熱性が高
いがより高価である珪化モリブデン,珪化タングステ
ン,珪化チタン,珪化タンタルに代えてより安価な珪化
クロム,珪化鉄,珪化コバルトを抵抗体材料として用い
た実施例1と同じ構造の抵抗型温度センサについて説明
する。
【0088】(1) 材料の調製 抵抗材料の組成を、試料A,試料B,試料Cについて各
々、 試料A:粒径2.5μmの珪化クロムを40体積%、粒
径0.4μmのアルミナを60体積%、 試料B:粒径3.4μmの珪化鉄を40体積%、粒径
0.4μmのアルミナを60体積%、 試料C:粒径2μmの珪化コバルトを40体積%、アル
ミナを60体積%、 とし、絶縁体材料は上記実施例1と同様の組成とする。
【0089】(2) 積層体の製造 実施例1と同様に厚膜層を形成し所定の積層が終了した
後、積層体を加圧用金型に入れ、1.5Kg/cm2の圧力
を300秒間加える。次に、幅4.8mmピッチで切断し
長さ50mm厚さ3mmの積層体試料を得る。
【0090】(3) 焼結体の製造 切断後の積層体を、窒素ガス中において2時間600℃
で脱バインダを行った後、アルゴンガス中で2時間1,
250℃で焼成する。さらに、HIP法により1,50
0気圧のアルゴンガス中で2時間1,200℃で焼成
後、空気中において1時間1,100℃で表面酸化処理
を行う。酸化処理後、端子接続部をサンドブラストす
る。
【0091】(4) 素子の組立・加工 端子接続部にパラジウム触媒を印刷し、乾燥後に熱処理
した後、ニッケル無電解めっきを施した。洗浄乾燥後リ
ード部材を銀蝋で接合した素子をアルミナ管に挿入し、
セラミックセメントを充填し、乾燥後に熱処理硬化す
る。
【0092】以上のように製造した温度センサ素子の電
気的特性測定結果を以下の表5及び表6に示す。表5は
抵抗値の温度に依る変化を示すものであり、表6は40
0℃の硝石融液中で測定した抵抗値の応答速度を示すも
のである。また、図13は表5の抵抗値の温度による変
化率を示すグラフであり、図14は表6の応答速度を抵
抗値の変化率を示すグラフである。
【0093】
【表5】
【0094】
【表6】
【0095】表5及び対応する図13のグラフによれ
ば、これらの抵抗材料を用いた抵抗型温度センサは温度
変化に対して抵抗値は十分に大きく変化していることが
明らかである。
【0096】表6及び対応する図14のグラフによれ
ば、これらの抵抗材料を用いた抵抗型温度センサは十分
な応答速度をもって抵抗値が所定の値に変化しているこ
とが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例の抵抗型温度センサ素子の積層構
造図。
【図2】本発明実施例の抵抗型温度センサ素子の分解構
造図。
【図3】本発明実施例の抵抗型温度センサに使用される
厚膜体のパターン。
【図4】感温抵抗体パターンと厚膜体パターンとの関係
説明図。
【図5】感温抵抗体パターン及びスルーホールによって
構成された感温抵抗体回路。
【図6】厚膜体製造方法の説明図。
【図7】厚膜体に感温抵抗体パターンを印刷する工程
図。
【図8】抵抗型感温センサ組立体の説明図。
【図9】表1の抵抗値の温度による変化率を示すグラ
フ。
【図10】表2の抵抗値の変化率の応答速度を示すグラ
フ。
【図11】表3の抵抗値の温度による変化率を示すグラ
フ。
【図12】表4の抵抗値の変化率の応答速度を示すグラ
フ。
【図13】表5の抵抗値の温度による変化率を示すグラ
フ。
【図14】表6の応答速度を抵抗値の変化率を示すグラ
フ。
【符号の説明】
1 上部保護部 2 感温部 3 下部保護部 4,5 開孔 6,7 開孔部 8,9,10,11 スルーホール 21,25 ポリエチレンフィル 22 構造用導体厚膜 23,27 切り込み 24 構造用導体厚膜 26,28 絶縁体厚膜 31 印刷用基板 32 スクリーン 33 スクィージ 34 感温抵抗体薄膜 39,40 保護膜 41,42接続端子 43,44 リード部材 45,46 接続部 47 アルミナ管 48 セラミックセメント

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 MoSi2等の金属珪化物を含む導体材
    料で抵抗回路をアルミナを主成分とする絶縁基体上に形
    成し、少なくとも一層以上の積層された構造で、少なく
    とも抵抗回路が感温部とリード部とで形成され、且つ抵
    抗回路が二層以上の積層構造を取る場合層間をスルーホ
    ールで抵抗回路が接続されており、感温部の周辺の厚さ
    が温度センサ素体の厚さより薄い形状、即ち感温部を含
    む積層構造の外側上下部分の少なくとも一方が、リード
    部材料、若しくは感温部材料と同一の材料と、絶縁基体
    材料との少なくとも一層以上の積層構造であるか、若し
    くは感温部を含む積層構造の外側上下部分の少なくとも
    一方の感温部付近が、切り欠かれた形状の抵抗型温度セ
    ンサ。
  2. 【請求項2】 感温部の材料が、MoSi2等の金属珪
    化物を30〜100体積%、残部がアルミナを主成分と
    した絶縁物で、且つその絶縁物が、ムライトを15体積
    %以下、MgOを5重量%以下含み、リード部の材料
    が、MoSi2等の金属珪化物を50〜100体積%、
    残部がアルミナを主成分とした絶縁物で、且つその絶縁
    物が、ムライトを15体積%以下、MgOを5重量%以
    下含み、絶縁基体の材料がアルミナを主成分とし、ムラ
    イトを15体積%以下、MgOを5重量%以下、SiO
    2を0.5重量%以下含む積層構造である、請求項1記載
    の抵抗型温度センサ。
  3. 【請求項3】 感温部を含む積層構造の外側上下部分の
    少なくとも一方が、リード部材料、若しくは感温部材料
    と同一の材料と、絶縁基体材料との少なくとも一層以上
    の積層構造である、請求項1又は請求項2記載の抵抗型
    温度センサ。
  4. 【請求項4】 感温部を含む積層構造の部分の外側周囲
    が、リード部材料、若しくは感温部材料と同一の材料
    と、絶縁基体材料との少なくとも一層以上の積層構造で
    ある、請求項1,請求項2又は請求項3記載の抵抗型温
    度センサ。
  5. 【請求項5】 リード部の外部との電気的接続をする部
    分を除いた、少なくとも感温部を含む素体の外側が、ア
    ルミナを主成分、若しくはSiO2を主成分とする少な
    くとも一層の膜で覆われている請求項1,請求項2,請
    求項3又は請求項4記載の抵抗型温度センサ。
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