JP2004172357A - 非接触型温度センサとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】セラミック基板2上に搭載されたサーミスタ素子3を有している。セラミック基板2は、板面の中空部としてすくなくとも上面が開放されたキャビティ4を有し、該キャビティ4を挟んで表面に向き合わせに電極パターン5a、5bの対が付されている。キャビティ4は、サーミスタ素子3の搭載前に成形されたものであり、サーミスタ素子3は、自己保形性を有するシートであり、前記中空部を跨がり、セラミック基板に架橋構造に搭載されてセラミック基板2の両電極パターン5a、5bに接続されているものである。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、温度センサ、特に非接触で温度を検知する非接触型の温度センサ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
非接触型の温度センサは、物体の表面温度、例えば複写機の定着装置に用いられる加熱定着ローラの表面温度を非接触で検知するような目的に使用する温度センサである。
【0003】
従来、非接触型の温度センサには、厚膜形サーミスタやフレーク形サーミスタが用いられ、断熱構造として、サーミスタの各電極に接着したPt線を、対のステム間に張り渡し、サーミスタを宙吊りに保持してその断熱性を確保していた。しかしながら、厚膜形サーミスタやフレーク形サーミスタを用いるかぎり、微小化を目指すにしても、一定の形態を保持できる大きさが必要であり、量産性にも限界があった。また熱応答性の向上には限界があった。この限界を超えるために、薄膜サーミスタを用いる試みが提案されている。(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−223555号公報(段落0030、図3)
【特許文献2】
特開平8−97444号公報(段落、0030、0031、0056、図1、図2)
【0005】
薄膜サーミスタによれば、厚膜形サーミスタやフレーク形サーミスタに比べて熱応答性を大幅に改善することが可能になるが、特許文献1には、断面形状が長方形の導光部からなる保持体と、感熱素子が設けられた樹脂フイルムと、蓋部材とから構成された非接触温度センサが図示され、感熱素子は薄膜サーミスタを用いるが、それに限定するものではない、と説明されているのみで、具体的にどのような薄膜サーミスタが用いられるかが明らかにされているわけではない。
【0006】
特許文献2には、薄膜サーミスタを用いた温度センサの構造として、図7、図8に示すように基板10の中央に中空部11が開口され、基板の中空部11を覆って、基板熱絶縁膜12が張られ、熱絶縁膜12の中央に赤外線検出部13を有し、赤外線検出部13に、アモルファスシリコンなどで構成された薄膜抵抗体14を有する例が示されている。
【0007】
基板10はシリコンなどで構成され、中空部11の平面形状は、略正方形の4か所の角部分に丸みがつけられていて、鋭い角のない形状に成形されている。基板熱絶縁膜12は、下層から窒化シリコン12a、酸化シリコン12b、窒化シリコン12cの3層の積層構造である。熱酸化膜12の製造方法に関しては、「シリコン単結晶の(100)面を表面にもつ厚さ300μmの基板10の上に、プラズマCVD法により、厚さ1000Åの窒化シリコン膜12a、厚さ5000Åの酸化シリコン膜12b、厚さ1000Åの窒化シリコン膜12cの3層を形成し、その際の成膜条件として導入ガスにモノシラン及びアンモニア、モノシラン及び一酸化二窒素を用い、基板温度400℃、及び250℃、周波数13.56MHzに設定し、さらに基板10の裏面にも窒化シリコン膜を同様に形成する」ことが説明されている。
【0008】
このように3層のシリコン層は、プラズマCVD法によって形成されるうえに、熱絶縁層12の上には、下部電極15が形成される。下部電極15は、クロムを電子ビーム蒸着法により、基板温度150℃で、厚さ0.2μm堆積し、その後フォトリソグラフィー技術を用いて、下部電極15のパターンが4隅の角に丸みをつけたパターンとなるように、レジストをパターニングし、パターンのエッチング後にレジストを除去して成形される。
【0009】
熱絶縁膜12の中央部に形成される赤外線検出部13はアモルファスシリコンの薄膜抵抗体14などで構成されるが、アモルファスシリコンの薄膜抵抗体14は、モノシランと水素ガスを用いて、プラズマCVD法により特定の条件の下で1μm堆積し、その後フォトリソグラフィー技術を用いて薄膜抵抗体が4隅の角に丸みをつけた形状になるように、レジストをパターニングし、このパターンをマスクにアモルファスシリコンの薄膜抵抗体14をパターンエッチングし、エッチング後レジストを残して所望のパターンに成形される。
【0010】
さらに、薄膜抵抗体14の上には下部電極15と同様の工程により上部電極16が形成され、上部電極16の上には赤外線吸収層19としてプラズマCVD法により酸化シリコン薄膜が形成され、前記同様に赤外線吸収層19の4隅に丸みをつけた形状になるようにレジストをパターニングし、そのパターンをマスクに赤外線吸収層19パターンエッチングし、レジストを除去すれば所望のパターンの赤外線吸収層19が得られる。最後にアルミニウムを電子ビーム蒸着法により一定厚みに堆積し、フォトリソグラフィー技術を用いて所望のパターンの電極端子17、18を形成することにより、赤外線検出部13を完成するのである。
【0011】
中空部11は、赤外線検出部13を搭載した基板10の裏面側から熱絶縁膜近傍の部分を等方性エッチングにより除去することによって形成される。あるいは、基板部を単結晶基板と、その単結晶基板の表面側に形成した多結晶基板とで構成し、基板の裏面側から異方性エッチングを行い、多結晶シリコン層に達する中空部11を形成した後、多結晶シリコン層を等方性エッチングにより除去することによって形成される。特許文献2においては、上記一連の処理によって、基板の中空部上に熱絶縁膜を張るように形成した構造を“いわゆるダイアフラム構造”と呼ばれると定義している。
【0012】
そして、特許文献2に記載された赤外線検出素子は、上記のように構成することによって、要するに、中空部11の上方の熱絶縁膜12上に形成された赤外線検出部13で赤外線吸収によって発生した熱が中空部11を覆う熱絶縁膜12を介して基板10に伝達されることになるので、赤外線検出部13から基板10へ熱が逃げにくく、その結果、赤外線検出部13に供給された赤外線のエネルギーを赤外線検出部13の温度上昇に効率よく変換することができ、結果として赤外線検出部13に形成された薄膜抵抗体(サーミスタ)14の温度変化が大きくなり素子の感度を向上させることができる。
【0013】
引用文献2は、従来のダイヤフラム構造では、熱絶縁膜に歪が生じ、熱絶縁膜を破壊するという問題があったことを指摘し、表面側開口の平面形状を鋭い角のない形状とすることによって、熱絶縁膜が歪んだり、破壊したりするという従来技術の問題点を解消し、熱絶縁膜に歪や破壊を防止して製造歩留まりを向上させることを意図したものであることを説明している。上記のように表面側開口の平面形状を鋭い角のない形状に設定することによって、薄膜抵抗体を基板上に安定に支え、しかも、薄膜抵抗体を基板の中空部上に保持して熱安定性を向上でき、検出感度を向上できる効果を得ることができるとしている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献2に記載された発明によるときには、基板上に形成する層構成を従来と変えることなく、容易に形成できる、1種類のエッチング液で、異方性エッチングを途中で中断せずに、容易に形成できる、熱絶縁膜に応力集中が最も生じにくいような最適な形状を選択できる等といったさまざまな効果が強調されているが、中空部の形成にエッチング処理が必要であることは必ずしも成形が容易であることにはならないものと思われる。このようなエッチングは、一般にその処理に8〜9時間を要するのが通例であるからである。
【0015】
引用文献2に云う、いわゆるダイヤフラム構造は、基板の中空部上に熱絶縁膜を形成した構造である。酸化シリコンなどによる熱絶縁膜は、基板の平面上に形成しなければならないから、基板の表面上に、熱絶縁膜を形成し、熱絶縁膜上に赤外線検出部を形成する処理を順に行った後、基板の裏面側から熱絶縁膜近傍の基板の部分をエッチングして中空部を形成することによって得るほかに方法はないものと思われる。
【0016】
特許文献2に記載された発明のように、いわゆるダイアフラム構造、すなわち、基板の表面上に、熱絶縁膜と、熱絶縁膜上に赤外線検出部を形成した後、基板の裏面側からエッチングして中空部を形成する処理によるときには、エッチング処理に莫大な手数と時間を要するのみならず、3層の積層構造による熱絶縁膜と、その上に赤外線検出部を形成する処理が必要であり、そもそも、熱絶縁膜に歪が生じ、熱絶縁膜を破壊するというような問題が生ずるのは、基板の中空部上に熱絶縁膜を形成する、いわゆるダイアフラム構造によることが原因であるものといわざるを得ない。
【0017】
本発明の目的は、予め中空部が形成されたセラミック基板と、自己保形性を有するソリッドタイプのサーミスタ素子との組合わせを用いて構成する非接触型温度センサおよびその製造方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明による非接触型温度センサにおいては、セラミック基板上に搭載されたサーミスタ素子を有する非接触型温度センサであって、
サーミスタ素子は、自己保形性を有するシートであり、
セラミック基板は、板面の中空部としてすくなくとも上面が開放されたキャビティを有し、表面には該キャビティを挟んで電極パターンの対が向き合わせに付され、
キャビティは、サーミスタ素子の搭載前に成形されたものであり、
サーミスタ素子は、前記中空部を跨がってセラミック基板の両電極パターンに接着されているものである。
【0019】
また、セラミック基板には、サーミスタ素子に熱膨張係数が近い材質でかつ熱伝導率が小さい材質のものが選定使用されているものである。
【0020】
また、セラミック基板の成形処理と、サーミスタ素子の加工処理と、組合せ処理と、分割処理とを有する非接触型温度センサの製造方法であって、
セラミック基板の成形処理は、セラミック基板をマトリックス状に区画し、各区画内には、中空部として少なくとも上面が開放されたキャビティを開口し、該キャビティを挟み、電極ペーストを用いて電極パターンをスクリーン印刷によって一定の幅に形成する処理であり、
サーミスタ素子の加工処理は、サーミスタペーストの塗布膜を焼成して自己保形性を有するシートに焼成し、セラミック基板の各区画内に収まる大きさに裁断する処理であり、
組合せ処理は、セラミック基板の各区画の電極パターン上に跨がって、サーミスタ素子の加工処理によって得られたサーミスタ素子を搭載し、電極パターンを焼成してサーミスタ素子をセラミック基板の各区画上に接着する処理であり、
分割処理は、サーミスタ素子が搭載されたセラミック基板を各区画ごとのチップに裁断する処理である。
【0021】
また、組合せ処理は、基板の上面にスクリーン印刷によって形成された電極パターンが未だ乾燥しないうちにサーミスタ素子を各区画のキャビティを跨がらせてセラミック基板上に搭載し、その後電極パターンを乾燥し、焼成してサーミスタ素子をセラミック基板の両電極パターンに接着させる処理である。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図によって説明する。図1(a)、(b)において、本発明による非接触型温度センサのチップ1は、セラミック基板2上に搭載されたサーミスタ素子3を有している。サーミスタ素子3は、サーミスタペースト塗布膜を焼成して加工された自己保形性を有するソリッドタイプのシートである。セラミック基板2には、サーミスタ素子3に熱膨張係数が近い材質でかつ熱伝導率が小さい材質のものが選定使用されている。
【0023】
熱膨張係数が(8.2〜9.0)×10−6/℃のサーミスタ素子を用いたときに、セラミック基板には、ジルコニア(熱膨張係数10.5×10−6/℃)、ステアタイト(熱膨張係数7.4〜9.2×10−6/℃)、フォルステライト(熱膨張係数9.7〜10.1×10−6/℃)などを用いることができる。サーミスタ素子3に熱膨張係数が近い材質のセラミック基板を選定使用することによって、サーミスタ素子3が発熱膨張しても、サーミスタ素子3と、セラミック基板2間に生ずる熱歪は小さい。
【0024】
セラミック基板2は、板面に、中空部としてすくなくとも上面が開放されたキャビティ4を有し、該キャビティ4を挟んでセラミック基板2の表面には、電極パターン5a、5bの対が向き合わせに付されているものである。図1(b)は、有底のキャビティ4を示しているが、キャビティ4は、図1(c)のように無底、即ち上下両面が開放された中空部であっても良い。キャビティ4は、後述するように基板の板面に穴あけ加工を施すことによって成形されたものである。
【0025】
サーミスタ素子3は、キャビティ4の中空部を跨がってセラミック基板2上に搭載されている。したがって、サーミスタ素子3は、キャビティ4の中空部を跨ぎ、少なくともその両端部分がセラミック基板2の開口縁に保持され、キャビティ4を挟んでセラミック基板1上に付された両電極パターン5a、5bに接着されている。図1においては、シート状のサーミスタ素子3の両端部分である2辺を電極パターン5a、5bが付されたセラミック基板2の開口縁(図上左右の対向縁)に保持させ、セラミック基板2の上下の開口縁と、サーミスタ素子3の上下縁との間に隙間が形成された例を示しているが、さらにサーミスタ素子3の上下縁のいづれか一方の縁、あるいは上下縁をセラミック基板2の板面に支持させ、サーミスタ素子3を3辺あるいは4辺支持によってセラミック基板2に保持させるようにしてもよい。もっとも、セラミック基板2に対する支持面積が増えるに従って、熱絶縁性は低下する。特許文献2に記載されたいわゆるダイアフラム構造(基板の中空部に熱絶縁膜を張るように形成した構造)に対し、本発明の構造を架橋構造(キャビティ4の中空部を跨がってセラミック基板2上にサーミスタ素子が搭載された構造)というものとする。
【0026】
本発明による非接触型温度センサは、セラミック基板の成形処理と、サーミスタ素子の加工処理と、組合せ処理と、分割処理とによって製造される。
【0027】
以下に本発明による非接触温度センサの製造工程を順を追って説明する。
(1)セラミック基板の成形処理
セラミック基板の成形処理は、セラミック基板をマトリックス状に区画し、各区画内には、中空部として少なくとも上面が開放されたキャビティを開口し、該キャビティを挟み、電極ペーストを用いて電極パターンをスクリーン印刷によって一定の幅に形成する処理である。
【0028】
図2(a)において、まず、非接触温度センサのチップとなる予定の大きさに応じてセラミック基板2となる例えばジルコニア基板の板面をマトリックス状に区画7し、同時に区画7内の中央部位にキャビティ4を所定の大きさにマトリックス状に穴あけ加工する。キャビティ4は、有底、無底の何れであっても良い。キャビティ4は、焼成後のセラミック基板2に穴あけ加工を施すことによっても成形できるが、基板2を焼成する前のグリーンシートに対して穴あけ加工を施せば、打ち抜き、あるいはプレス加工を用いて容易に成形できる。
【0029】
区画7は、縦横の線によって示した。縦横の線は、板面を縦横に区画する溝6であり、溝6は、後の分割処理によって個々のチップに裁断するために予定された大きさにセラミック基板2の板面をマトリックス状に区画するものである。
【0030】
次にキャビティ4を成形したセラミック基板2の各キャビティ4を挟んで各区画7の基板2の上面にスクリーン印刷によって、図2(b)に示すように電極パターン5a、5bの対を区画7ごとに印刷する。キャビティ4を焼成前の基板のグリーンシートに成形したときには、グリーンシートを焼成し、焼成後のセラミック基板の各区画に電極パターン5a、5bを施す。
以下にセラミック基板2の寸法、一区画の寸法、キャビティの大きさの一例を示すが、本発明は以下の例に限られるものではない。
aセラミック基板:60.7mm×54.4、mm、厚み0.2mm
b一区画の大きさ:6.3mm×3.15mm
cキャビティの開口の大きさ:1.5mm×1.5mm
【0031】
(2)サーミスタ素子の加工処理
サーミスタ素子の加工処理は、サーミスタペーストの塗布膜を焼成して自己保形性を有するシート8に成形し、セラミック基板2の各区画7内に収まる大きさに裁断する処理である。図3(a)において、サーミスタペーストの塗布膜によって形成されたグリーンシートを焼成して得られたシート8に自己保形性を保有させる。図中、9は後に切断が予定された区画を示しているが、サーミスタ素子3に区画するためにシート8上に縦横の線が引かれるわけではない。
【0032】
次に得られた自己保形性を有するシート8を予め定められた区画ごとに切断して図3(b)に示すように定型(例えば3mm×1mm)のサーミスタ素子3に加工する。セラミック基板の成形処理は、サーミスタ素子の加工処理と並行して行われ、セラミック基板の成形処理後のセラミック基板2と、サーミスタ素子の加工処理後のサーミスタ素子3は、セラミック基板の成形処理に引き続いて行われる組合せ処理に導入される。
【0033】
(3)組合せ処理
組合せ処理は、セラミック基板2の各区画7の電極パターン5a、5b上に跨がって、サーミスタ素子の加工処理によって得られたサーミスタ素子3を搭載し、電極パターン5a、5bを焼成してサーミスタ素子3をセラミック基板2の各区画7上に接着する処理であって、組合せ処理は基板2の上面にスクリーン印刷によって形成された電極パターン5a、5bが未だ乾燥しないうちに行われる処理である。
【0034】
図4において、各区画7のキャビティ4を跨がらせてサーミスタ素子3をセラミック基板上2に架橋構造に搭載し、電極パターン5a、5bを乾燥後、これを焼成してサーミスタ素子3の両端をセラミック基板1の両電極パターン5a、5bに接着させる。
【0035】
(4)分割処理
分割処理は、サーミスタ素子3が各区画7内に搭載されたセラミック基板2を各区画7毎に裁断する処理である。サーミスタ素子3を接着したセラミック基板2を予定した区画7に沿って図5のように個々のチップ1,1、・・・に切り離す。
【0036】
セラミック基板2を個々のチップ1に裁断することによって、図1に示すように、チップ1は、上面が開放された中空部を有し、中空部の空間を跨がって両電極に接着されたサーミスタ素子3がセラミック基板2に搭載された架橋構造の非接触型温度センサとなる。
【0037】
得られた非接触型温度センサは、導通チェックが行われ、その後、製品に加工するため、例えばステムに搭載され、リード線の引出し、或いは基板電極パターンとステム端子との接続が行われ、特性選別後、製品として出荷される。
【0038】
上記一連の処理によって、得られた架橋構造の非接触型温度センサのセンサチップ1は、サーミスタ素子3がセラミック基板2のキャビティ4の中空部によって熱的に隔離されるため、感度に優れ、サーミスタ素子は、薄いシートのため、熱容量が小さく、応答性に優れている。また、サーミスタ素子は、自己保形性を有するシートのため、少なくとも両端部分がセラミック基板の開口縁に安定に支えられて変形することがない。
【0039】
本発明による架橋構造の非接触型温度センサは、中空部としてのキャビティを予め形成したセラミック基板を使用するので、特許文献1のようにエッチング処理による後加工は不要であり、シート状のサーミスタ素子をセラミック基板に搭載して、個々のチップに切断するのみのため、成形加工が極めて容易である。
【0040】
本発明の製造方法によれば。個々のチップに切り離す前の段階でセラミック基板の各区画内にキャビティの穴あけ加工を行うため、全区画に対してキャビティの一括穴あけ加工が可能となり、特に焼成前のグリーンシートに対して穴あけ加工を行えば、プレス、打ち抜き加工を用い、同時一発加工によってきわめて容易に穴あけ加工を行うことができる。
【0041】
しかも、本発明の架橋構造によるときには、電極パターンはセラミック基板側に形成し、基板に搭載したサーミスタ素子のシートを、キャビティの中空部を跨って両電極パターンに接着し、乾燥後そのまま焼き付けることによってサーミスタ素子をセラミック基板の電極パターンに一体に接続できるため、サーミスタ素子側には、電極を形成する必要がなく、サーミスタ素子をセラミック基板の区画に搭載するに際しては、サーミスタ素子がセラミック基板の電極パターンに接触されればよいため、セラミック基板の各区画へのサーミスタ素子の搭載時の位置決めを厳密に行う必要はない。要するにサーミスタ素子の両端がセラミック基板上に付された電極パターンに接触する位置がずれたとしても抵抗値のばらつきは少ない。
【0042】
図6に、本発明による非接触型温度センサ(非接触型温度センサのチップ(ジルコニア基板)の大きさ:6.3mm×3.15mm、厚み0.2mm、キャビティの開口の大きさ:1.5mm×1.5mm、サーミスタ素子(シート厚み 30μm))の熱応答性の1例を示す。図6に明らかなとおり、熱時定数は、248msであった。この値は、サーモパイルなどの熱応答速度(500ms)に比べて1/2であり、薄膜サーミスタと同等の早さである。本発明によれば、シート状のサーミスタを用いて薄膜サーミスタと同等の応答特性が得られることが証明された。
【0043】
【発明の効果】
以上のように本発明は、予め中空部としてのキャビティを打抜きおよびプレス加工などの方法を用いて加工したセラミック基板にサーミスタ素子を搭載することによって、架橋構造の非接触型温度センサに加工するものであり、特に予めキャビティを一括加工が可能のため、特許文献2に示したようにサーミスタを搭載後、エッチング処理にて中空部を形成する場合に比して製造工程を大幅に簡略化でき、複雑な技術的問題を生起する余地はすくない。
【0044】
また、本発明によれば、特許文献2に云うようないわゆるダイアフラム構造、すなわち、中空部に自己保形性のない熱絶縁膜を張るような構造によらず、したがって、熱絶縁膜を形成した側とは反対側の面を選択エッチングするというような厄介な処理によらず、予め穴あけ加工を施したセラミック基板にサーミスタ素子として自己保形性を有するシートを搭載して架橋構造に構成するため、製造工程を極めて簡略化でき、サーミスタ素子に薄型のシートを用いて、熱容量が小さく、熱放散性が小さく、従って応答性に優れた非接触型高感度の温度センサを提供できる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明による非接触型温度センサの一実施形態を示す平面図、(b)は断面側面図、(c)は他の実施形態を示す断面側面図である。
【図2】(a)は、ジルコニア基板のグリーンシートのシート面をマトリックス状の区画7を想定し、同時に区画7内の中央部位にキャビティを所定の大きさにマトリックス状に打抜いた状態を示す図、(b)は、電極パターンの対を区画ごとに印刷した状態を示す図である。
【図3】(a)はサーミスタペーストの塗布膜によって形成されたグリーンシートを焼成してセラミックシートに加工した状態を示す図、(b)はセラミックシートを定型のサーミスタ素子に加工した状態を示す図である。
【図4】セラミック基板とサーミスタ素子とを組み合わせた状態を示す図である。
【図5】セラミック基板を区画ごとに裁断したチップを示す図である。
【図6】本発明による非接触型温度センサの熱応答特性の一例を示すグラフである。
【図7】特許文献2に示された赤外線検出素子の平面図である。
【図8】特許文献2に示された赤外線検出素子の断面図である。
【符号の説明】
1 チップ
2 セラミック基板
3 サーミスタ素子
4 キャビティ
5a、5b 電極パターン
6 区画を形成する縦横の溝
7 区画
8 セラミックシート
9 区画
Claims (4)
- セラミック基板上に搭載されたサーミスタ素子を有する非接触型温度センサであって、
サーミスタ素子は、自己保形性を有するシートであり、
セラミック基板は、板面の中空部としてすくなくとも上面が開放されたキャビティを有し、表面には該キャビティを挟んで電極パターンの対が向き合わせに付され、
キャビティは、サーミスタ素子の搭載前に成形されたものであり、
サーミスタ素子は、前記中空部を跨がってセラミック基板の両電極パターンに接着されているものであることを特徴とする非接触型温度センサ。 - セラミック基板には、サーミスタ素子に熱膨張係数が近い材質でかつ熱伝導率が小さい材質のものが選定使用されていることを特徴とする請求項1に記載の非接触型温度センサ。
- セラミック基板の成形処理と、サーミスタ素子の加工処理と、組合せ処理と、分割処理とを有する非接触型温度センサの製造方法であって、
セラミック基板の成形処理は、セラミック基板をマトリックス状に区画し、各区画内には、中空部として少なくとも上面が開放されたキャビティを開口し、該キャビティを挟み、電極ペーストを用いて電極パターンをスクリーン印刷によって一定の幅に形成する処理であり、
サーミスタ素子の加工処理は、サーミスタペーストの塗布膜を焼成して自己保形性を有するシートに焼成し、セラミック基板の各区画内に収まる大きさに裁断する処理であり、
組合せ処理は、セラミック基板の各区画の電極パターン上に跨がって、サーミスタ素子の加工処理によって得られたサーミスタ素子を搭載し、電極パターンを焼成してサーミスタ素子をセラミック基板の各区画上に接着する処理であり、
分割処理は、サーミスタ素子が搭載されたセラミック基板を各区画ごとのチップに裁断する処理であることを特徴とする非接触型温度センサの製造方法。 - 組合せ処理は、基板の上面にスクリーン印刷によって形成された電極パターンが未だ乾燥しないうちにサーミスタ素子を各区画のキャビティを跨がらせてセラミック基板上に搭載し、その後電極パターンを乾燥し、焼成してサーミスタ素子をセラミック基板の両電極パターンに接着させる処理であることを特徴とする請求項3に記載の非接触型温度センサの製造方法。
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