JPH10141838A - 脱臭装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 冷凍・冷蔵室内の脱臭効果を十分に高め、悪
臭の収納商品，食品への付着を回避可能にする。 【解決手段】 冷凍・冷蔵室２におけるエバポレータ３
を通過する空気の流路に、光触媒を担持した光触媒担持
体４ａおよび紫外線ランプ４ｂを並置する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、冷凍・冷蔵車な
どに搭載される冷凍・冷蔵室内を脱臭するのに用いられ
る脱臭装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から、冷凍・冷蔵食品を産地から消
費者へ搬送するのに冷凍・冷蔵車が用いられる。かかる
冷凍・冷蔵車の冷凍・冷蔵室内は、冷凍・冷蔵食品の種
類に応じた臭いで常時充満されており、これが鼻をつく
ような悪臭に変化するように場合があるところから、そ
の臭いを除去しようとするニーズが高まっている。

【０００３】とくに、省エネルギおよび経費節約の観点
から、混載物流および往復で異種の食品などの品物を運
搬する場合には、異様な悪臭が冷凍・冷蔵室内に充満す
るばかりでなく、その悪臭が他の品物に移り、商品価値
を損ねることがあった。これに対し、今日では、オゾン
方式を採用した脱臭装置が広く実用されるに及んで、あ
る程度の効果が得られている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
従来のオゾン方式による脱臭装置にあっては、十分の脱
臭効果を上げるためには大量のオゾンが必要であり、こ
れが却って人体への悪影響や生鮮食料品の傷みを招く場
合があるという課題があった。また、オゾンを荷室であ
る冷凍・冷蔵室に放出しない脱臭方法として、オゾンと
悪臭との反応場としての吸着剤（活性炭等）を用いる方
法も提供されているが、寿命，使用量，コスト，結露に
よる効果の低減などの点で実用上難点があった。

【０００５】また、従来のいずれの脱臭装置にあって
も、これに悪臭ガスを通過させる必要があり、冷凍・冷
蔵室のエバポレータからの冷気を循環させるために必要
となる十分な風量を確保するのに、十分に容量の大きい
送風ファンを用意しなければならず、このためその送風
ファンの設置スペースを確保することが必要となるほ
か、電力消費量が大きくなり、コストアップが避けられ
ないという課題があった。

【０００６】また、脱臭効果が不十分である場合には、
エバポレータの熱交換用ファンや送風ファンに悪臭成分
が付着し、これが生鮮食料品等への臭い転移の原因にな
るという課題があった。

【０００７】この発明は前記のような従来の課題を解決
するものであり、冷凍・冷蔵室内の脱臭効果を十分に高
めることができ、悪臭が収納した商品や食品へ付着する
のを回避でき、さらにこれをローコストかつ省スペース
にて実現できる脱臭装置を得ることを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】前記目的達成のため、請
求項１の発明にかかる脱臭装置は、冷凍・冷蔵室におけ
るエバポレータを通過する空気の流路に、光触媒を担持
した光触媒担持体および紫外線ランプを並置するように
したものである。

【０００９】また、請求項２の発明にかかる脱臭装置
は、前記光触媒担持体および紫外線ランプを前記エバポ
レータの吹出口付近の天井に取り付けるようにしたもの
である。

【００１０】また、請求項３の発明にかかる脱臭装置
は、前記光触媒担持体および紫外線ランプを冷凍・冷蔵
室の床下に設置するようにしたものである。

【００１１】また、請求項４の発明にかかる脱臭装置
は、前記光触媒担持体および紫外線ランプの近傍に、冷
凍・冷蔵室内の空気をこれらに集中して誘導するための
整流板を設けたものである。

【００１２】また、請求項５の発明にかかる脱臭装置
は、前記光触媒担持体および紫外線ランプはこれらを一
組としてユニット化するようにしたものである。

【００１３】また、請求項６の発明にかかる脱臭装置
は、前記光触媒担持体を、光触媒材料をガラス繊維にす
き込んで形成したものである。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の一形態を
図について説明する。図１はこの発明の冷凍・冷蔵車に
搭載された冷凍・冷蔵室内の脱臭装置を示す概念図であ
り、同図において、１は冷凍・冷蔵車、２はこの冷凍・
冷蔵車１に搭載された冷凍・冷蔵室で、この冷凍・冷蔵
室２内の運転席側に近い天井２ａには、冷凍サイクルを
構成するエバポレータ３が取り付けられている。

【００１５】このエバポレータ３は前記冷凍サイクル内
の高圧の冷媒を減圧により蒸発させて、周囲の蒸発熱を
奪って冷却する機能を有し、このエバポレータ３に向っ
てこれの外部に付設された送風ファンにより空気を送る
ことで、吹き出し口から所望風量の冷却空気を吹き出さ
せることができる。

【００１６】また、４は一対の光触媒担持体４ａ，４ａ
間に紫外線ランプ４ｂを介装したものを１ユニットとし
て構成された脱臭装置であり、この１ユニットまたは複
数ユニットが、エバポレータ３を通過する空気の流路、
ここでは吸気部分に設置されている。なお、図１では２
ユニット分の脱臭装置４が設けられている。を示してあ
る。

【００１７】なお、前記光触媒担持体４ａ，４ａは通気
抵抗の小さいハニカム構造体などとして形成されてお
り、例えば、衝撃を受けて割れることがなく、水に溶け
ず、光によって分解しないガラス繊維に光触媒粉をすき
込んだものからなる。また、紫外線ランプ４ｂとして
は、中心波長が３６０ｎｍのものを使用して、人体や食
品などの商品に害を与えないようにしている。また、光
触媒として酸化チタン（ＴｉＯ2 ）を主成分とするもの
などが用いられる。

【００１８】ここで、脱臭装置４の幅寸法はエバポレー
タ３の幅と等しくすることができるため、幅方向に紫外
線ランプ４ｂを設置し、これを挟むように、しかもこれ
に平行となるように光触媒担持体４ａを配置すること
で、圧力損失を少なくでき、しかもエバポレータ３への
負荷を少なくでき、従ってエバポレータ３による冷却性
能の劣化を極力抑えることができる。

【００１９】図２はかかる脱臭装置４を２ユニット分並
設したものを具体的に示し、矢印方向に送風ファンによ
って吹き込まれた悪臭空気は、まず、フィルタ５を通過
して塵埃が除去された後、各光触媒担持体４ａを通過し
て無臭空気に浄化されて脱臭装置４外の冷凍・冷蔵室２
内に吹き出される

【００２０】なお、前記脱臭装置４は冷凍・冷蔵室２の
容量や悪臭の程度に応じて複数ユニットが任意に付け足
されるように組付け可能である。つまり、前記悪臭の強
さなどに応じてユニット単位で後から追加的に付設する
ことも任意である。

【００２１】かかる構成になる脱臭装置４では、送風フ
ァン（図示しない）によってエバポレータ３付近に空気
の流通を生じさせると、悪臭を含んだ空気は、まず、光
触媒担持体を通過するとき悪臭がこれに吸着された後、
紫外線ランプおよび光触媒による光分解作用によって脱
臭が行われて放出される。このときの脱臭効果は温度の
影響を受けにくい。また、この場合には、悪臭の空気が
エバポレータ３を通過する前に脱臭するため、エバポレ
ータ３自体に悪臭が吸着するのを防止できる。

【００２２】図３はこのような脱臭装置４による脱臭効
果を、従来の取付方法および従来のオゾン方式による脱
臭装置の脱臭効果と比較して示したものである。この実
験では、悪臭ガスとしてトリメチルアミン（魚臭の代
表）を用いて官能評価にて測定しており、この発明の脱
臭効果が従来の各脱臭方法に比べて優れていることが分
かる。

【００２３】すなわち、臭気強度を「０」が無臭、
「１」がやっと感知できる臭い（検知閾値濃度）、
「２」が何の臭いか分かる弱い臭い（認知閾値濃度）、
「３」が楽に感知できる臭い、「４」が強い臭い、
「５」が強烈な臭いとした場合に、本発明では脱臭効果
が、臭気強度が２ランク、つまり「４」から「２」近く
まで弱められたことが分かる。

【００２４】また、前記実験をもとに、実車にて１３ｃ
ｍ3 の冷凍・冷蔵室２内に５０Ｋｇの鯵を置いて脱臭実
験を行ったところ、図４に示すような結果が得られた。
この場合にも、前記悪臭ガスの場合と同じく２ランク程
度臭気強度を下げることができた。また、鯵の鮮度結果
を緩慢にできることも分かった。

【００２５】図５はこの発明の実施の他の形態を示す。
これはエバポレータ３の下部に、脱臭装置４の近傍に臨
むように整流板６を取り付けたものを示す。この整流板
６はエバポレータ３がから放出されて、冷凍・冷蔵室２
内を循環してきた悪臭の空気を脱臭装置４内へ集中的に
誘導するように機能し、これによって脱臭装置４による
脱臭効果を更に十分なものにすることができる。

【００２６】図６はこの発明の実施の他の形態を示す。
これは、図１では脱臭装置４をエバポレータ３の吸込口
側に設置したのに対し、エバポレータ３の吹出口側の天
井２ａに設置してある。これによれば、冷凍・冷蔵室２
の商品や食品が載荷されることがない天井２ａ付近の空
間を有効に利用でき、また、エバポレータ３に悪臭が付
着し、この悪臭が再放出されても、その悪臭を必ず脱臭
装置４内に通すことができるため、冷凍・冷蔵室２内が
臭うのを防止できる。

【００２７】図７はこの発明の実施の他の形態を示す。
これはエバポレータ３を包む枠（またはケース）内に脱
臭装置４の光触媒担持体４ａおよび紫外線ランプ４ｂを
配置したものであり、これにより冷凍・冷蔵室２内に脱
臭装置４を設置するためのスペースを別に設ける必要が
なくなるほか、エバポレータ３自体への悪臭の付着を抑
えることができる。なお、エバポレータ３の製造時か
ら、これの光触媒脱臭装置への使用が分かっている場合
には、始めからエバポレータ３に組み込んでおくことが
できる。

【００２８】また、エバポレータ３を通過した空気は冷
やされて下方に降下するように循環するため、冷凍・冷
蔵室２内の床２ｂの上であって、図８に示すように床２
ｂ上に配置した床としてのすのこ２ｃの下部に設けても
よく、この場合にも流通する空気の脱臭を前記の場合と
同様にて効果的に実施できる。

【００２９】

【発明の効果】以上のように、この発明によれば、冷凍
・冷蔵室におけるエバポレータを通過する空気の流路
に、光触媒を担持した光触媒担持体および紫外線ランプ
を並置するように構成したので、冷凍・冷蔵室内の脱臭
効果を十分に高めることができるとともに、悪臭が商品
や食品に付着するのを回避でき、これをローコストかつ
省スペースにて実現できるという効果が得られる。

【００３０】また、請求項２の発明によれば、前記光触
媒担持体および紫外線ランプを前記エバポレータの吹出
口付近の天井に取り付けるように構成したので、商品な
どを設置しない天井付近の空間を有効利用できるととも
に、エバポレータ自体に付着した悪臭が放出されても、
これを有効に捕獲脱臭して、悪臭の少ない空気を冷凍・
冷蔵室内に送出できるという効果が得られる。

【００３１】また、請求項３の発明によれば、前記光触
媒担持体および紫外線ランプを冷凍・冷蔵室の床下に設
置するように構成したので、冷凍・冷蔵室内の脱臭を効
率的に実施できるという効果が得られる。

【００３２】また、請求項４の発明によれば、前記光触
媒担持体および紫外線ランプの近傍に、冷凍・冷蔵室内
の空気をこれらに集中して誘導するための整流板を設け
るように構成したので、脱臭装置による脱臭効果を大幅
に効率化できるという効果が得られる。

【００３３】また、請求項５の発明によれば、前記光触
媒担持体および紫外線ランプはこれらを一組としてユニ
ット化するように構成したので、冷凍・冷蔵室の容積や
悪臭の程度に応じて必要なユニット数の脱臭装置を着脱
可能に、必要部位に装着できるという効果が得られる。

【００３４】また、請求項６の発明によれば、前記光触
媒担持体を、光触媒材料をガラス繊維にすき込んで形成
したので、光触媒担持体に割れを生じたり、水に溶けた
り、光によって分解されるという欠点をなくすることが
でき、耐久性を大幅に向上できるという効果が得られ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施の一形態による脱臭装置を示す
概念図である。

【図２】図１における脱臭装置の構成を一部破断して示
す要部の斜視図である。

【図３】この発明の脱臭装置の脱臭効果を示す特性図で
ある。

【図４】この発明の脱臭装置の脱臭効果を示す特性図で
ある。

【図５】この発明の実施の他の形態による脱臭装置を示
す概念図である。

【図６】この発明の実施の他の形態による脱臭装置を示
す概念図である。

【図７】この発明の実施の他の形態による脱臭装置を示
す概念図である。

【図８】この発明の実施の他の形態による脱臭装置を示
す概念図である。

【符号の説明】

２ 冷凍・冷蔵室 ２ａ 天井 ２ｂ 床 ３ エバポレータ ４ 脱臭装置 ４ａ 光触媒担持体 ４ｂ 紫外線ランプ ６ 整流板

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 冷凍・冷蔵室におけるエバポレータを通
   過する空気の流路に、光触媒を担持した光触媒担持体お
   よび紫外線ランプが並置されていることを特徴とする脱
   臭装置。
2. 【請求項２】 前記光触媒担持体および紫外線ランプが
   前記エバポレータの吹出口付近の天井に取り付けられて
   いることを特徴とする請求項１に記載の脱臭装置。
3. 【請求項３】 前記光触媒担持体および紫外線ランプが
   冷凍・冷蔵室の床下に設置されていることを特徴とする
   請求項１に記載の脱臭装置。
4. 【請求項４】 前記光触媒担持体および紫外線ランプの
   近傍に、冷凍・冷蔵室内の空気をこれらに集中して誘導
   するための整流板が設けられていることを特徴とする請
   求項１に記載の脱臭装置。
5. 【請求項５】 前記光触媒担持体および紫外線ランプは
   これらを一組としてユニット化されていることを特徴と
   する請求項１に記載の脱臭装置。
6. 【請求項６】 前記光触媒担持体が、光触媒材料をガラ
   ス繊維にすき込んだものであることを特徴とする請求項
   １に記載の脱臭装置。