JPH10140302A - 低残留磁束密度で低鉄損の無方向性けい素鋼板およびその製造方法、ならびに低突入電流で低損失のトランス - Google Patents
低残留磁束密度で低鉄損の無方向性けい素鋼板およびその製造方法、ならびに低突入電流で低損失のトランスInfo
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- JPH10140302A JPH10140302A JP30995896A JP30995896A JPH10140302A JP H10140302 A JPH10140302 A JP H10140302A JP 30995896 A JP30995896 A JP 30995896A JP 30995896 A JP30995896 A JP 30995896A JP H10140302 A JPH10140302 A JP H10140302A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】機器の大型化やコスト増大等をもたらすことな
く偏磁による突入電流を防止することができ、かつ損失
の増大によるトランスの過熱の問題が生じない、低残留
磁束密度で低鉄損の無方向性けい素鋼板およびその製造
方法、ならびにそのような鋼板をコアとして用いたトラ
ンスを提供すること。 【解決手段】板厚方向にSiの濃度勾配を有し、表層S
i濃度のほうが板厚中心部のSi濃度より低く、表層の
Si濃度と板厚中心近傍の最高のSi濃度との差が0.
5wt%以上あり、表層のSi濃度が0〜6.6wt%
の範囲にある低残留磁束密度で低鉄損の無方向性けい素
鋼板。
く偏磁による突入電流を防止することができ、かつ損失
の増大によるトランスの過熱の問題が生じない、低残留
磁束密度で低鉄損の無方向性けい素鋼板およびその製造
方法、ならびにそのような鋼板をコアとして用いたトラ
ンスを提供すること。 【解決手段】板厚方向にSiの濃度勾配を有し、表層S
i濃度のほうが板厚中心部のSi濃度より低く、表層の
Si濃度と板厚中心近傍の最高のSi濃度との差が0.
5wt%以上あり、表層のSi濃度が0〜6.6wt%
の範囲にある低残留磁束密度で低鉄損の無方向性けい素
鋼板。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、偏磁による突入電
流が問題となるトランスに使用する無方向性けい素鋼板
に関し、特に低残留磁束密度で低鉄損の無方向性けい素
鋼板およびその製造方法、ならびにその鋼板をコアに用
いたトランスに関する。
流が問題となるトランスに使用する無方向性けい素鋼板
に関し、特に低残留磁束密度で低鉄損の無方向性けい素
鋼板およびその製造方法、ならびにその鋼板をコアに用
いたトランスに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、トランスには、小型化および高効
率化のため、方向性けい素鋼板が使用されている。方向
性けい素鋼板は、磁束密度が高く、低鉄損であるため、
小型化および高効率化には適した材料である。しかしな
がら、方向性けい素鋼板は残留磁束密度が高いため、ト
ランスに偏磁が生じ、トランスの再起動時に定格電流の
数十倍もの突入電流が発生し、ブレーカーが作動してト
ランスの起動が不可能となることがある。
率化のため、方向性けい素鋼板が使用されている。方向
性けい素鋼板は、磁束密度が高く、低鉄損であるため、
小型化および高効率化には適した材料である。しかしな
がら、方向性けい素鋼板は残留磁束密度が高いため、ト
ランスに偏磁が生じ、トランスの再起動時に定格電流の
数十倍もの突入電流が発生し、ブレーカーが作動してト
ランスの起動が不可能となることがある。
【0003】このような突入電流を防止するため、トラ
ンスの設計動作磁束密度を下げるか、または磁路にギャ
ップを設けることが行われている。しかし、前者の場合
はトランスが大型化し、後者の場合は組立コストが増大
するという問題が生じる。
ンスの設計動作磁束密度を下げるか、または磁路にギャ
ップを設けることが行われている。しかし、前者の場合
はトランスが大型化し、後者の場合は組立コストが増大
するという問題が生じる。
【0004】したがって、突入電流を避けるためには、
残留磁束密度の低い材料が求められる。このように残留
密度の低い材料を使用すれば、突入電流を避けることが
可能なため、設計磁束密度を低くしていたトランスの設
計磁束密度を高くすることができる。
残留磁束密度の低い材料が求められる。このように残留
密度の低い材料を使用すれば、突入電流を避けることが
可能なため、設計磁束密度を低くしていたトランスの設
計磁束密度を高くすることができる。
【0005】しかし、このことにより新たな問題が発生
する。すなわち、磁束密度が高くなることにより損失が
増大してトランスが過熱することである。したがって、
過熱の原因である材料の鉄損を低下させることが必要と
なる。
する。すなわち、磁束密度が高くなることにより損失が
増大してトランスが過熱することである。したがって、
過熱の原因である材料の鉄損を低下させることが必要と
なる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる事情に
鑑みてなされたものであって、機器の大型化やコスト増
大等をもたらすことなく偏磁による突入電流を防止する
ことができ、かつ損失の増大によるトランスの過熱の問
題が生じない、低残留磁束密度で低鉄損の無方向性けい
素鋼板およびその製造方法、ならびにそのような鋼板を
コアとして用いたトランスを提供することを目的とす
る。
鑑みてなされたものであって、機器の大型化やコスト増
大等をもたらすことなく偏磁による突入電流を防止する
ことができ、かつ損失の増大によるトランスの過熱の問
題が生じない、低残留磁束密度で低鉄損の無方向性けい
素鋼板およびその製造方法、ならびにそのような鋼板を
コアとして用いたトランスを提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく検討を重ねた結果、以下の2つの知見を得
るに至った。1つは、厚さ方向にSiの濃度勾配を形成
することにより残留磁束密度を著しく低下させることが
できることである。2つ目は、濃度勾配は鋼板表面から
内部に向かって濃度が高くなる場合と低くなる場合が考
えられるが、内部に向かってSi濃度が高くなるほど鉄
損を低くする観点からは有利であることである。
を解決すべく検討を重ねた結果、以下の2つの知見を得
るに至った。1つは、厚さ方向にSiの濃度勾配を形成
することにより残留磁束密度を著しく低下させることが
できることである。2つ目は、濃度勾配は鋼板表面から
内部に向かって濃度が高くなる場合と低くなる場合が考
えられるが、内部に向かってSi濃度が高くなるほど鉄
損を低くする観点からは有利であることである。
【0008】本発明は、このような知見に基づいて完成
されたものであって、第1に、板厚方向にSiの濃度勾
配を有し、表層Si濃度のほうが板厚中心部のSi濃度
より低く、表層のSi濃度と板厚中心近傍の最高のSi
濃度との差が0.5wt%以上あり、表層のSi濃度が
0〜6.6wt%の範囲にあることを特徴とする低残留
磁束密度で低鉄損の無方向性けい素鋼板を提供するもの
である。
されたものであって、第1に、板厚方向にSiの濃度勾
配を有し、表層Si濃度のほうが板厚中心部のSi濃度
より低く、表層のSi濃度と板厚中心近傍の最高のSi
濃度との差が0.5wt%以上あり、表層のSi濃度が
0〜6.6wt%の範囲にあることを特徴とする低残留
磁束密度で低鉄損の無方向性けい素鋼板を提供するもの
である。
【0009】第2に、Siを6.6wt%以下含有する
けい素鋼板を、AlCl3ガスと窒素ガスとの混合ガス
と反応させ、鋼板表面にAl濃度の高い部分を形成し、
次いで拡散均熱してAlを板内部に部分的に拡散させる
ことを特徴とする低残留磁束密度で低鉄損の無方向性け
い素鋼板の製造方法を提供するものである。
けい素鋼板を、AlCl3ガスと窒素ガスとの混合ガス
と反応させ、鋼板表面にAl濃度の高い部分を形成し、
次いで拡散均熱してAlを板内部に部分的に拡散させる
ことを特徴とする低残留磁束密度で低鉄損の無方向性け
い素鋼板の製造方法を提供するものである。
【0010】第3に、上記鋼板をコア材に使用したこと
を特徴とする低突入電流で低損失のトランスを提供する
ものである。
を特徴とする低突入電流で低損失のトランスを提供する
ものである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。まず、低残留磁束密度について説明する。板厚方
向にSiの濃度勾配をつけた場合の残留磁束密度(B
r)の変化を図1に示す。サンプルとしては、0.3m
m板厚のSi含有量が0.0wt%から3.0wt%の
けい素鋼板を浸アルミ処理して作製したものを用いた。
浸アルミ処理においては、1200℃に加熱した鋼板
と、20vol%のAlCl3 と80vol%のN2 と
の混合ガスとを反応させ、鋼板表面からAlを浸透さ
せ、その後N2 中で均熱してAlを板中心部へ拡散浸透
させた。Alが浸透すると、もともと鋼板に添加されて
いたSiはAlにおいやられるように板内部に向かって
移動し、板厚中央部のSi濃度が上昇する。ここでは、
Al浸透時間と拡散時間とを変化させ、種々のSi濃度
勾配を有するサンプルを作製し、磁気特性を測定した。
する。まず、低残留磁束密度について説明する。板厚方
向にSiの濃度勾配をつけた場合の残留磁束密度(B
r)の変化を図1に示す。サンプルとしては、0.3m
m板厚のSi含有量が0.0wt%から3.0wt%の
けい素鋼板を浸アルミ処理して作製したものを用いた。
浸アルミ処理においては、1200℃に加熱した鋼板
と、20vol%のAlCl3 と80vol%のN2 と
の混合ガスとを反応させ、鋼板表面からAlを浸透さ
せ、その後N2 中で均熱してAlを板中心部へ拡散浸透
させた。Alが浸透すると、もともと鋼板に添加されて
いたSiはAlにおいやられるように板内部に向かって
移動し、板厚中央部のSi濃度が上昇する。ここでは、
Al浸透時間と拡散時間とを変化させ、種々のSi濃度
勾配を有するサンプルを作製し、磁気特性を測定した。
【0012】図1は50Hzで1.4Tまで磁化した時
の残留磁束密度を測定した結果を示すものであり、横軸
はサンプルの断面についてX線マイクロアナライザーで
Siを定量分析し、その最高値と最低値との差(ΔS
i)をとったものである。
の残留磁束密度を測定した結果を示すものであり、横軸
はサンプルの断面についてX線マイクロアナライザーで
Siを定量分析し、その最高値と最低値との差(ΔS
i)をとったものである。
【0013】この図に示すように、Siの濃度勾配を形
成し、ΔSiが増加すると残留磁束密度は単調に低下す
る。また、図より、残留磁束密度を20%以上低下させ
るためにはΔSiを0.5%以上とすることが必要であ
ることがわかる。ΔSiを増加させると残留磁束密度が
低下する原因は完全には解明されていないが、Si濃度
により格子定数が変化することから、Siの濃度勾配を
形成することにより板内に張力が発生するためと推定さ
れる。
成し、ΔSiが増加すると残留磁束密度は単調に低下す
る。また、図より、残留磁束密度を20%以上低下させ
るためにはΔSiを0.5%以上とすることが必要であ
ることがわかる。ΔSiを増加させると残留磁束密度が
低下する原因は完全には解明されていないが、Si濃度
により格子定数が変化することから、Siの濃度勾配を
形成することにより板内に張力が発生するためと推定さ
れる。
【0014】したがって、本発明では、Siの濃度勾配
を形成し、表層Si濃度のほうが板厚中心部のSi濃度
より低く、表層のSi濃度と板厚中心近傍の最低のSi
濃度との差が0.5wt%以上であることを要件として
いる。なお、この場合において、板厚方向のSi濃度を
測定する方法は特に限定されないが、X線マイクロアナ
ライザーで測定することが好適である。
を形成し、表層Si濃度のほうが板厚中心部のSi濃度
より低く、表層のSi濃度と板厚中心近傍の最低のSi
濃度との差が0.5wt%以上であることを要件として
いる。なお、この場合において、板厚方向のSi濃度を
測定する方法は特に限定されないが、X線マイクロアナ
ライザーで測定することが好適である。
【0015】このように鋼板の厚さ方向にSiの濃度勾
配をつけること自体は、特開昭62−227033号か
ら227036号まで、特開昭62−227077号、
および特開平4−246157号の各公報に開示されて
いる。しかし、これらの目的は、浸珪処理法で高けい素
鋼板を製造する際に、拡散処理時間を短くするため、途
中で拡散処理を中断することにあり、その結果としてS
iの濃度勾配が形成されるのであり積極的にSiの濃度
勾配を形成するという思想は含まれていない。また、こ
れらにおいて形成されるSiの濃度勾配は、本発明とは
逆に内部のほうがSi濃度が低い。これらにおいて拡散
処理を中断する時間は鉄損が劣化しない範囲で決められ
ている。鉄損は種々の要因で決定されるが、これを低下
させるためには残留磁束密度を高くすることが必要であ
り、上記各公報の技術は残留磁束密度があまり低下しな
い範囲で、Siの濃度勾配の許容値を求めたものである
といえる。これに対して本発明は残留磁束密度を低下さ
せるために積極的にSiの濃度勾配を形成したものであ
り、濃度勾配の方向も逆である。
配をつけること自体は、特開昭62−227033号か
ら227036号まで、特開昭62−227077号、
および特開平4−246157号の各公報に開示されて
いる。しかし、これらの目的は、浸珪処理法で高けい素
鋼板を製造する際に、拡散処理時間を短くするため、途
中で拡散処理を中断することにあり、その結果としてS
iの濃度勾配が形成されるのであり積極的にSiの濃度
勾配を形成するという思想は含まれていない。また、こ
れらにおいて形成されるSiの濃度勾配は、本発明とは
逆に内部のほうがSi濃度が低い。これらにおいて拡散
処理を中断する時間は鉄損が劣化しない範囲で決められ
ている。鉄損は種々の要因で決定されるが、これを低下
させるためには残留磁束密度を高くすることが必要であ
り、上記各公報の技術は残留磁束密度があまり低下しな
い範囲で、Siの濃度勾配の許容値を求めたものである
といえる。これに対して本発明は残留磁束密度を低下さ
せるために積極的にSiの濃度勾配を形成したものであ
り、濃度勾配の方向も逆である。
【0016】本発明において、内部に向かってSi濃度
が高くなるような濃度勾配を形成するのは、上述したよ
うに鉄損を低下させる観点からより有利なためである。
鉄損は添加されるSi量に逆比例して低下するが、Si
の濃度勾配を形成すると全Si量を従来のけい素鋼板よ
り多くすることができるためより鉄損を低下させること
ができる。この効果は内部に向かってSi濃度が低くな
る濃度勾配でも奏することができるが、この場合には表
面のSi量が増加するため、加工性の観点からSi量が
制限される。これに対して、本発明のように内部のSi
濃度を高くすればこのような制約が小さく、全Si量を
より多くしてより低鉄損のけい素鋼板を得ることができ
る。ただし、表面のSi量が6.6wt%を超えると加
工性が悪くなり、部品加工時に表層から割れが発生して
破断に至るため、表面を含む表層のSi量を6.6wt
%以下とすることが必要である。また、本発明では中央
のSi濃度が高いのであるから、表層のSi濃度は0で
もよい。したがって、本発明では表層のSi濃度を0〜
6.6wt%と規定している。
が高くなるような濃度勾配を形成するのは、上述したよ
うに鉄損を低下させる観点からより有利なためである。
鉄損は添加されるSi量に逆比例して低下するが、Si
の濃度勾配を形成すると全Si量を従来のけい素鋼板よ
り多くすることができるためより鉄損を低下させること
ができる。この効果は内部に向かってSi濃度が低くな
る濃度勾配でも奏することができるが、この場合には表
面のSi量が増加するため、加工性の観点からSi量が
制限される。これに対して、本発明のように内部のSi
濃度を高くすればこのような制約が小さく、全Si量を
より多くしてより低鉄損のけい素鋼板を得ることができ
る。ただし、表面のSi量が6.6wt%を超えると加
工性が悪くなり、部品加工時に表層から割れが発生して
破断に至るため、表面を含む表層のSi量を6.6wt
%以下とすることが必要である。また、本発明では中央
のSi濃度が高いのであるから、表層のSi濃度は0で
もよい。したがって、本発明では表層のSi濃度を0〜
6.6wt%と規定している。
【0017】本発明では、表層Si濃度のほうが板厚中
心部のSi濃度より低い濃度勾配を形成するが、その方
法は特に限定されない。ただし、このようなSiの濃度
勾配を有効にかつ簡易に形成するためには、上述したよ
うにAlCl3ガスと窒素ガスとの混合ガスを用いて、
鋼板にAl濃度の高い部分を形成し、次いで拡散均熱し
てAlを板内部に部分的に拡散する方法を採用すること
が好ましい。
心部のSi濃度より低い濃度勾配を形成するが、その方
法は特に限定されない。ただし、このようなSiの濃度
勾配を有効にかつ簡易に形成するためには、上述したよ
うにAlCl3ガスと窒素ガスとの混合ガスを用いて、
鋼板にAl濃度の高い部分を形成し、次いで拡散均熱し
てAlを板内部に部分的に拡散する方法を採用すること
が好ましい。
【0018】Alを浸透させることによりSiが内部に
掃き寄せられる理由は完全には解明されていないが、A
lが浸透するとSiの活量係数が増大し、固溶度が低下
するためと推定される。したがって、Al以外の元素で
あっても同じ効果が得られ、ガスとして反応させるため
沸点の低い塩化物等が存在する元素であればよい。例え
ば、C,Mg,P,Ca,Ga,Ge,Se,Sb,T
i,V,Cr,Mn,Co,Ni,Cu,Zn,Zr,
Nb,Mo,Cd,Ta,W,Sなどが考えられる。
掃き寄せられる理由は完全には解明されていないが、A
lが浸透するとSiの活量係数が増大し、固溶度が低下
するためと推定される。したがって、Al以外の元素で
あっても同じ効果が得られ、ガスとして反応させるため
沸点の低い塩化物等が存在する元素であればよい。例え
ば、C,Mg,P,Ca,Ga,Ge,Se,Sb,T
i,V,Cr,Mn,Co,Ni,Cu,Zn,Zr,
Nb,Mo,Cd,Ta,W,Sなどが考えられる。
【0019】このようにして得られた本発明の無方向性
けい素鋼板は、低残留磁束密度および低鉄損であるた
め、これをコア材として使用することにより低突入電流
で低鉄損のトランスを得ることができる。
けい素鋼板は、低残留磁束密度および低鉄損であるた
め、これをコア材として使用することにより低突入電流
で低鉄損のトランスを得ることができる。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。表
1に示す組成の0.3mm厚および0.1mm厚のけい
素鋼板を連続化学気相蒸着ラインで表面からAlの浸透
・拡散処理を実施した。この処理においては、N2ガス
雰囲気中で1200℃に加熱後、20vol%のAlC
l3 と80vol%のN2 との混合ガスを鋼板表面に吹
きつけて反応させ、表層にAl濃化層を形成した。次い
で、N2ガス雰囲気中で均熱してAlを鋼板内部へ拡散
させた。この際に、均熱時間を変化させて種々のSi分
布を有する鋼板を製造した。また、一部のサンプルはA
lの浸透処理に先立ち、同じラインでSiCl4ガスを
用いてSiを添加して、板厚方向に均一な高Si鋼板と
した後、上記Al浸透処理を行い、Siの濃度勾配を形
成した。
1に示す組成の0.3mm厚および0.1mm厚のけい
素鋼板を連続化学気相蒸着ラインで表面からAlの浸透
・拡散処理を実施した。この処理においては、N2ガス
雰囲気中で1200℃に加熱後、20vol%のAlC
l3 と80vol%のN2 との混合ガスを鋼板表面に吹
きつけて反応させ、表層にAl濃化層を形成した。次い
で、N2ガス雰囲気中で均熱してAlを鋼板内部へ拡散
させた。この際に、均熱時間を変化させて種々のSi分
布を有する鋼板を製造した。また、一部のサンプルはA
lの浸透処理に先立ち、同じラインでSiCl4ガスを
用いてSiを添加して、板厚方向に均一な高Si鋼板と
した後、上記Al浸透処理を行い、Siの濃度勾配を形
成した。
【0021】
【表1】
【0022】このようにして得られた鋼板の磁気特性を
測定した後、この鋼板をコアとして用いて単相50H
z、1kVAのトランスを作製した。これを1.4Tま
で磁化して位相制御した際の突入電流を測定した。突入
電流は定格電流との比である突入電流比で評価した。磁
気特性としては、鉄損W10/50および残留磁束密度の値
を測定した。ΔSi、表層Si濃度、鉄損、残留磁束密
度、突入電流比の値を表2に示す。
測定した後、この鋼板をコアとして用いて単相50H
z、1kVAのトランスを作製した。これを1.4Tま
で磁化して位相制御した際の突入電流を測定した。突入
電流は定格電流との比である突入電流比で評価した。磁
気特性としては、鉄損W10/50および残留磁束密度の値
を測定した。ΔSi、表層Si濃度、鉄損、残留磁束密
度、突入電流比の値を表2に示す。
【0023】
【表2】
【0024】この表に示すように、本発明の範囲内の鋼
板は、残留磁束密度が低くかつ鉄損も低いため、これら
をコアとして用いたトランスは突入電流特性に優れかつ
低損失であることが明らかとなった。
板は、残留磁束密度が低くかつ鉄損も低いため、これら
をコアとして用いたトランスは突入電流特性に優れかつ
低損失であることが明らかとなった。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
板厚方向にSiの濃度勾配を形成し、表層Si濃度を板
厚中心部のSi濃度より低くし、表層のSi濃度と板厚
中心近傍の最低のSi濃度との差を0.5wt%以上と
し、表層のSi濃度を0〜6.6wt%の範囲としたの
で、低残留磁束密度で低鉄損の無方向性けい素鋼板を得
ることができる。したがって、これをコアとしてトラン
スを構成することにより、機器の大型化やコスト増大等
をもたらすことなく偏磁による突入電流を防止すること
ができ、かつ鉄損による損失を小さくすることができ
る。
板厚方向にSiの濃度勾配を形成し、表層Si濃度を板
厚中心部のSi濃度より低くし、表層のSi濃度と板厚
中心近傍の最低のSi濃度との差を0.5wt%以上と
し、表層のSi濃度を0〜6.6wt%の範囲としたの
で、低残留磁束密度で低鉄損の無方向性けい素鋼板を得
ることができる。したがって、これをコアとしてトラン
スを構成することにより、機器の大型化やコスト増大等
をもたらすことなく偏磁による突入電流を防止すること
ができ、かつ鉄損による損失を小さくすることができ
る。
【図1】鋼板のΔSiと残留磁束密度との関係を示す
図。
図。
Claims (3)
- 【請求項1】 板厚方向にSiの濃度勾配を有し、表層
Si濃度のほうが板厚中心部のSi濃度より低く、表層
のSi濃度と板厚中心近傍の最高のSi濃度との差が
0.5wt%以上あり、表層のSi濃度が0〜6.6w
t%の範囲にあることを特徴とする低残留磁束密度で低
鉄損の無方向性けい素鋼板。 - 【請求項2】 Siを6.6wt%以下含有するけい素
鋼板を、AlCl3ガスと窒素ガスとの混合ガスと反応
させ、鋼板表面にAl濃度の高い部分を形成し、次いで
拡散均熱してAlを板内部に部分的に拡散させることを
特徴とする低残留磁束密度で低鉄損の無方向性けい素鋼
板の製造方法。 - 【請求項3】 請求項1の鋼板をコア材に使用したこと
を特徴とする低突入電流で低損失のトランス。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30995896A JPH10140302A (ja) | 1996-11-07 | 1996-11-07 | 低残留磁束密度で低鉄損の無方向性けい素鋼板およびその製造方法、ならびに低突入電流で低損失のトランス |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30995896A JPH10140302A (ja) | 1996-11-07 | 1996-11-07 | 低残留磁束密度で低鉄損の無方向性けい素鋼板およびその製造方法、ならびに低突入電流で低損失のトランス |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10140302A true JPH10140302A (ja) | 1998-05-26 |
Family
ID=17999414
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP30995896A Pending JPH10140302A (ja) | 1996-11-07 | 1996-11-07 | 低残留磁束密度で低鉄損の無方向性けい素鋼板およびその製造方法、ならびに低突入電流で低損失のトランス |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10140302A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN100453689C (zh) * | 2006-01-26 | 2009-01-21 | 北京航空航天大学 | 一种采用包埋渗硅工艺制备高硅电工钢片的方法 |
WO2009072394A1 (ja) * | 2007-12-03 | 2009-06-11 | Nippon Steel Corporation | 高周波鉄損の低い無方向性電磁鋼板及びその製造方法 |
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1996
- 1996-11-07 JP JP30995896A patent/JPH10140302A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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