JPH10139987A - 難燃性ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

難燃性ポリエステル樹脂組成物

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JPH10139987A
JPH10139987A JP29903196A JP29903196A JPH10139987A JP H10139987 A JPH10139987 A JP H10139987A JP 29903196 A JP29903196 A JP 29903196A JP 29903196 A JP29903196 A JP 29903196A JP H10139987 A JPH10139987 A JP H10139987A
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JP
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polyester resin
flame
carbon atoms
phosphate
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JP29903196A
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Inventor
Hiroshi Koyama
央 小山
Kazufumi Hirobe
和史 広部
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 難燃性、成形品薄肉部の離型性にすぐれると
ともに臭気が低減された、塩素含有化合物および臭素含
有化合物を含有しない難燃性樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 (A)触媒にゲルマニウム系化合物を用
いて重合させた熱可塑性ポリエステル樹脂20〜99%
(重量%、以下同様)、(B)特定のリン系難燃剤1〜
30%および(C)強化充填剤0〜50%からなり、合
計が100%の難燃性ポリエステル樹脂組成物(I)、
または難燃性ポリエステル樹脂組成物(I)60〜99
%および(D)メラミン・イソシアヌル酸付加物1〜4
0%が合計100%になる難燃性ポリエステル樹脂組成
物(II)を使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難燃性、成形品薄
肉部の離型性にすぐれるとともに臭気が低減された、塩
素含有化合物および臭素含有化合物をいずれも含有しな
い難燃性ポリエステル樹脂組成物を製造し、使用する技
術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】ポリアルキレンテレフタレートなどに代
表される熱可塑性ポリエステル樹脂は、そのすぐれた特
性から電気および電子機器部品ならびに自動車部品など
に広く使用されている。近年、とくに電気および電子機
器部品分野では、火災に対する安全性を確保するため、
UL−94(米国アンダーライターズラボラトリー規
格)V−0に適合するような高度な難燃性が要求される
例が多く、このため種々の難燃剤が検討されている。
【0003】熱可塑性ポリエステル樹脂に難燃性を付与
するばあい、一般的に、難燃剤としてハロゲン系難燃剤
が、必要に応じて三酸化アンチモンなどの難燃助剤と併
用して用いられている。しかしながら、ハロゲン系難燃
剤は難燃化効果は大きいものの、樹脂加工時にハロゲン
系難燃剤の分解によって生成したハロゲン化合物がコン
パウンド用押出機のシリンダーや成形用金型の表面など
を腐食させたりする問題がある。このため、ハロゲン系
難燃剤を全く使用しないで難燃化する方法が検討されて
いる。
【0004】このような難燃剤の1つとして、水酸化ア
ルミニウムや水酸化マグネシウムなどの無機系難燃剤が
知られている。しかしながら、これらの無機系難燃剤
は、その難燃化効果が著しく小さいため、高度な難燃性
をうるためには多量に添加する必要があり、この際に樹
脂本来の特性が損われるという問題がある。
【0005】一方、ハロゲンを含まない難燃剤として、
リン系難燃剤やトリアジン化合物(たとえばメラミン・
シアヌル酸付加物)などのチッ素系難燃剤の使用が種々
検討されている。リン系難燃剤としては、一般的なもの
にトリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホス
フェート、トリクレジルホスフェートなどがあげられる
が、熱可塑性ポリエステル樹脂の耐熱性や物性の低下、
高温条件下におけるこれらリン系難燃剤の揮発、ブリー
ドの問題があるため、近年、リン酸エステルの縮合物な
ど比較的分子量の大きいリン系難燃剤が検討されてい
る。このようなリン系難燃剤を使用した難燃性樹脂組成
物としては、特公昭51−19858号公報、特公昭5
1−39271号公報、特開昭52−102255号公
報などがあげられる。
【0006】また、UL−94 V−0に適合するよう
なより高度な難燃性を達成するために、さらにチッ素系
難燃剤を併用する方法も種々検討されており、たとえば
特開平5−70671号公報や特開平6−157880
号公報には、特定のリン系難燃剤とメラミン・シアヌル
酸付加物とを併用した難燃性樹脂組成物が開示されてい
る。しかし、機械的強度、耐衝撃性、耐湿性などが低下
する。
【0007】本発明者らは、熱可塑性ポリエステル樹脂
に、リン系難燃剤と、チッ素系難燃剤としてメラミン・
シアヌル酸付加物などのトリアジン化合物とを添加して
用いる際に生じる機械的強度、耐衝撃性、耐湿性などの
低下に対し、1分子中にエポキシ基などの官能基を2個
以上有する化合物を併用することによって改善できるこ
とを見出し、すでに出願している(特開平7−1968
43号公報、特開平7−233311号公報)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
熱可塑性ポリエステル樹脂にリン系難燃剤その他を配合
した樹脂組成物は、押出成形や射出成形などの樹脂加工
時にリン系難燃剤が分解し、その結果生成したフェノー
ル、クレゾール、キシレノールなどの芳香族ヒドロキシ
化合物などによって不快な臭気が発生するという問題が
ある。また、射出成形時、とくに成形品の厚さが比較的
薄肉であるばあいに、成形品を金型から排出する際に一
部変形したり、排出されずに金型内に残ったりするな
ど、離型性にも問題がある。とくに前述の臭気の問題
は、樹脂加工時の作業性を低下させるだけでなく、成形
品としたのちも臭気が残存するばあいがあるため、えら
れる成形品はすぐれた諸特性を兼ね備えながらも、商品
価値が著しく低下してしまうという問題がある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記のよ
うな問題を改善するべく鋭意検討を重ねた結果、驚くべ
きことに、熱可塑性ポリエステル樹脂にリン系難燃剤を
使用するにあたり、特定の触媒を用いて重合させた熱可
塑性ポリエステル樹脂を使用するばあいには、前記諸問
題が改善され、難燃性、成形品薄肉部の離型性がすぐれ
るとともに臭気が低減した、塩素含有化合物および臭素
含有化合物をいずれも含有しない難燃性ポリエステル樹
脂組成物がえられることを見出し、本発明を完成するに
至った。
【0010】すなわち、本発明は、(A)触媒にゲルマ
ニウム系化合物を用いて重合させた熱可塑性ポリエステ
ル樹脂20〜99%(重量%、以下同様)、(B)一般
式(I):
【0011】
【化3】
【0012】(式中、R1〜R3はいずれも1価の基であ
り、それぞれ独立に炭素数1〜12の脂肪族基、炭素数
6〜12の芳香族基、炭素数3〜12の脂環式基、R4
は炭素数6〜20の1価の芳香族基、Xは2価の基であ
り、炭素数2〜30の脂肪族基、炭素数6〜30の芳香
族基もしくは炭素数3〜30の脂環式基またはこれらの
組み合わせからなる2価の結合基、mはそれぞれ独立し
て0または1、r個のnはそれぞれ独立して0〜5、p
およびqはそれぞれ0〜2で、かつrは1〜3であっ
て、p+q+r=3を満足する)で表わされるリン系難
燃剤1〜30%、および(C)強化充填剤0〜50%か
らなり、(A)成分〜(C)成分の合計が100%であ
ることを特徴とする難燃性ポリエステル樹脂組成物(請
求項1)、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)がポリアル
キレンテレフタレート樹脂である請求項1記載の難燃性
ポリエステル樹脂組成物(請求項2)、熱可塑性ポリエ
ステル樹脂(A)がポリエチレンテレフタレート樹脂で
ある請求項1または2記載の難燃性ポリエステル樹脂組
成物(請求項3)、リン系難燃剤(B)が一般式(I
I):
【0013】
【化4】
【0014】(式中、R5〜R16はそれぞれ独立して水
素原子または炭素数1〜4のアルキル基、4個のR15
16は異なっていてもよい、Yは直接結合、炭素数1〜
3のアルキレン基、−S−、−SO2−、−O−、−C
O−または−N=N−である2価の結合基、tは0また
は1を示す)で表わされる縮合リン酸エステル系難燃剤
である請求項1記載の難燃性ポリエステル樹脂組成物
(請求項4)、および請求項1記載の難燃性ポリエステ
ル樹脂組成物60〜99%および(D)メラミン・シア
ヌル酸付加物1〜40%を合計量が100%になるよう
に含有することを特徴とする難燃性ポリエステル樹脂組
成物(請求項5)に関する。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明では、触媒にゲルマニウム
系化合物を用いて重合させた熱可塑性ポリエステル樹脂
(A)(以下、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)と記載
するばあい、触媒にゲルマニウム系化合物を用いて重合
させたものである)が使用される。熱可塑性ポリエステ
ル樹脂として、ゲルマニウム系触媒を用いて重合させた
ものを用いるため、成形品薄肉部の離型性を改善するこ
とができ、一般式(I)で表わされるリン系難燃剤を用
いたばあいにも芳香族ヒドロキシ化合物による臭気を低
減させることができる。
【0016】前記熱可塑性ポリエステル樹脂は、芳香族
ジカルボン酸またはエステル形成能を有するそれらの誘
導体と2価アルコールまたはエステル形成能を有するそ
れらの誘導体とを重縮合することによりえられる飽和ポ
リエステル樹脂であり、樹脂組成物に熱可塑性を付与す
るとともに高度な耐熱性、耐薬品性、電気的性質、耐湿
性、加工性、機械的性質などの特性を付与するものとし
て使用される成分である。
【0017】前記芳香族ジカルボン酸の具体例として
は、たとえばテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン
ジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン
アントラセンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルジカ
ルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,
4′−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル
酸などの炭素数8〜22の芳香族ジカルボン酸があげら
れる。これらのうちではテレフタル酸、ナフタレンジカ
ルボン酸が耐熱性、耐薬品性、耐湿性が良好である点か
ら好ましい。
【0018】前記2価アルコールの具体例としては、た
とえばエチレングリコール、プロパンジオール、ブタン
ジオール、ヘキサンジオール、デカンジオール、ネオペ
ンチルグリコールなどの炭素数2〜15の2価脂肪族ア
ルコール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジ
メタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキ
シル)プロパンなどの炭素数6〜20の2価脂環式アル
コール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロ
パン、ハイドロキノンなどの炭素数6〜40の2価芳香
族アルコールまたは2価フェノール系化合物があげられ
る。これらのうちではエチレングリコール、ブタンジオ
ールが耐熱性、耐湿性が良好である点から好ましい。
【0019】前記芳香族ジカルボン酸および2価アルコ
ールから製造した熱可塑性ポリエステル樹脂の例として
は、ポリアルキレンテレフタレート樹脂、ポリアルキレ
ンナフタレート樹脂、ポリアルキレンイソフタレート樹
脂、ポリアリレート樹脂などがあげられる。これらのう
ちでは、ポリアルキレンテレフタレート樹脂やポリアル
キレンナフタレート樹脂が、加工性、機械的性質、電気
的性質、耐熱性などのバランスにすぐれ、高性能である
という点から好ましい。
【0020】前記ポリアルキレンテレフタレート樹脂の
具体例としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポ
リブチレンテレフタレート樹脂、ポリヘキサメチレンテ
レフタレート樹脂、ポリシクロヘキサンジメチレンテレ
フタレート樹脂などが、また、ポリアルキレンナフタレ
ート樹脂の具体例としては、ポリエチレンナフタレート
樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、ポリシクロヘキ
サンジメチレンナフタレート樹脂などがあげられる。こ
れら具体例のなかでとくに好ましいものとしては、加工
性、耐熱性、耐薬品性のバランスがよりすぐれ、高性能
であるという点から、ポリエチレンテレフタレート樹脂
があげられる。
【0021】前記熱可塑性ポリエステル樹脂には、必要
に応じて好ましくは20%以下、さらに好ましくは10
%以下の割合で、芳香族ジカルボン酸以外の他のカルボ
ン酸成分、2価アルコール以外の他のアルコール成分、
オキシ酸成分、さらにはエステル形成能を有するこれら
の誘導体や環状エステルなどの共重合成分を共重合させ
てもよい。
【0022】前記共重合成分の例としては、前記他のカ
ルボン酸成分である、炭素数4〜12の脂肪族カルボン
酸、炭素数8〜15の脂環式カルボン酸、トリ以上の芳
香族ポリカルボン酸、エステル形成能をもつこれらの誘
導体などがあげられる。その具体例としては、アジピン
酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マ
レイン酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,3−シクロヘ
キサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボ
ン酸などの脂環式ジカルボン酸、トリメシン酸、トリメ
リット酸、ピロメリット酸などの芳香族トリまたはテト
ラカルボン酸、エステル形成能を有する前記カルボン酸
誘導体などがあげられる。また、前記他のアルコール成
分の例としては、炭素数3〜15のトリ以上の脂肪族ポ
リアルコール、炭素数6〜20のトリ以上の脂環式ポリ
アルコール、炭素数6〜40のトリ以上の芳香族ポリア
ルコールまたはポリフェノール系化合物、エステル形成
能をもつこれらの誘導体などがあげられる。その具体例
としては、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの脂
肪族トリまたはテトラアルコール、エステル形成能をも
つこれらの誘導体などがあげられる。また、前記オキシ
酸成分の具体例としては、p−オキシ安息香酸、p−ヒ
ドロキシエトキシ安息香酸などのオキシ酸、エステル形
成能をもつこれらの誘導体があげられ、前記環状エステ
ルの具体例としては、ε−カプロラクトンなどがあげら
れる。
【0023】前記熱可塑性ポリエステル樹脂には、成形
性、耐衝撃性、えられる成形品の表面性などを改良する
目的で、数平均分子量100〜10000、さらには5
00〜5000のポリオキシアルキレングリコールを一
部共重合させてもよい。前記ポリオキシアルキレングリ
コールの具体例としては、ポリエチレングリコール、ポ
リプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコー
ル、およびこれらのランダムまたはブロック共重合体お
よび一般式(III):
【0024】
【化5】
【0025】(式中、R17は炭素数2〜5のアルキレン
基、Zは直接結合または炭素数1〜3のアルキレン基、
−S−、−SO2−、−O−、−CO−もしくは−N=
N−である2価の結合基、aおよびbはそれぞれ1以上
の整数で、かつa+bは3以上、好ましくは4〜20の
整数、(a+b)個のR17はそれぞれ異なっていてもよ
い)で示されるビスフェノール化合物のアルキレングリ
コール付加物などの変性ポリオキシアルキレングリコー
ルなどがあげられる。これらの中では、共重合時の熱安
定性が良好で、本発明の樹脂組成物からえられる成形品
の耐熱性が低下しにくいなどの理由から、ビスフェノー
ルAのポリエチレングリコール付加物が好ましい。
【0026】前記ポリアルキレングリコールを共重合さ
せる割合としては、熱可塑性ポリエステル樹脂中に0.
1〜20%、さらには0.1〜10%になるようにする
のが耐熱性、耐薬品性、機械的強度、難燃性の点から好
ましい。
【0027】前記重合反応触媒として用いられるゲルマ
ニウム系化合物としては、二酸化ゲルマニウムなどのゲ
ルマニウム酸化物、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲ
ルマニウムテトライソプロポキシドなどのゲルマニウム
アルコキシド、水酸化ゲルマニウムおよびそのアルカリ
金属塩、ゲルマニウムグリコレート、塩化ゲルマニウ
ム、酢酸ゲルマニウムなどがあげられる。これらは単独
で用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのな
かでは二酸化ゲルマニウムが重合における反応性にすぐ
れ、かつ副生成物が少ない点から好ましい。
【0028】重合触媒として用いられるゲルマニウム系
化合物の添加量は、熱可塑性ポリエステル樹脂に対して
0.005〜0.1%が好ましく、0.01〜0.05
%がさらに好ましい。0.005%未満では重合反応の
進行が遅く、0.1%をこえると反応後に樹脂中に残存
するゲルマニウム系化合物によって副反応が生じやすく
なる傾向がある。また、添加時期は重合反応開始前の任
意の時点でよい。
【0029】熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の製造方
法は、公知の重合方法、たとえば溶融重縮合法、固相重
縮合法、溶液重合法などによってうることができる。
【0030】重合時に樹脂の色調を改良するため、リン
酸、亜リン酸、次亜リン酸、リン酸モノメチル、リン酸
ジメチル、リン酸トリメチル、リン酸メチルジエチル、
リン酸トリエチル、リン酸トリイソプロピル、リン酸ト
リブチルなどの化合物を添加してもよい。さらに、えら
れた熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の結晶化度を高め
るために、重合時に一般に知られている有機または無機
の各種結晶核剤(たとえばタルクなど)の1種以上を加
えてもよい。
【0031】熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の固有粘
度(フェノール/テトラクロロエタンが重量比で1/1
の混合溶媒中、25℃で測定)は0.4〜1.2dl/
gであるのが好ましく、とくに0.5〜1.0dl/g
であるのが好ましい。前記固有粘度が0.4dl/g未
満では機械的強度や耐衝撃性が低下する傾向があり、
1.2dl/gをこえると流動性が低下する傾向があ
る。
【0032】前記のごときゲルマニウム系化合物を用い
て重合させた熱可塑性ポリエステル樹脂(A)は単独で
用いてもよく2種以上併用してもよい。
【0033】本発明で用いられるリン系難燃剤(B)
は、一般式(I):
【0034】
【化6】
【0035】(式中、R1〜R3はいずれも1価の基であ
り、それぞれ独立に炭素数1〜12の脂肪族基、炭素数
6〜12の芳香族基、炭素数3〜12の脂環式基、R4
は炭素数6〜20の1価の芳香族基、Xは2価の基であ
り、炭素数2〜30の脂肪族基、炭素数6〜30の芳香
族基もしくは炭素数3〜30の脂環式基またはこれらの
組み合わせからなる2価の結合基、mはそれぞれ独立し
て0または1、r個のnはそれぞれ独立して0〜5、p
およびqはそれぞれ0〜2で、かつrは1〜3であっ
て、p+q+r=3を満足する)で表わされる、1分子
中における少なくとも1つのリン原子上の置換基のうち
少なくとも1つが芳香族アルコキシ基で置換された化合
物であり、塩素原子、臭素原子を含まず、熱安定性が良
好な難燃剤として使用される成分である。
【0036】一般式(I)中のR1〜R3は、それぞれ独
立に炭素数1〜12の1価の脂肪族基(たとえばメチル
基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−
ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシ
ル基など)、炭素数6〜12の1価の芳香族基(たとえ
ばフェニル基、クレジル基、ジメチルフェニル基、ナフ
チル基など)、炭素数3〜12の1価の脂環式基(たと
えばシクロヘキシル基、シクロペンチル基、シクロドデ
シル基など)であり、R1〜R3がこれらのばあい、樹脂
中での分散性がよい点から好ましい。これらのうちでは
1、R2、R3がともに炭素数6〜12の1価の芳香族
基であって、具体的にはフェニル基、クレジル基、ジメ
チルフェニル基、ナフチル基であるのが、より一層熱安
定性にすぐれる点から好ましい。
【0037】また、一般式(I)中のR4は、フェニル
基、クレジル基、ジメチルフェニル基、ナフチル基、エ
チルフェニル基、プロピルフェニル基などの炭素数6〜
20の1価の芳香族基であるが、このばあい、熱安定性
の点から好ましい。これらのなかでもクレジル基、ジメ
チルフェニル基、ナフチル基であるのが、より一層熱安
定性、耐湿性がよくなる点から好ましい。
【0038】さらに、一般式(I)中のXは、炭素数2
〜30の2価の脂肪族基(たとえばエチレン基、プロピ
レン基、i−プロピレン基、ブチレン基、1,1−ジメ
チルメチレン基など)、炭素数6〜30の2価の芳香族
基(たとえばフェニレン基、メチルフェニレン基、ビフ
ェニレン基など)、炭素数3〜30の2価の脂環式基
(たとえばシクロヘキシレン基、シクロペンチレン基、
シクロドデシレン基など)、前記2価の脂肪族基、芳香
族基、脂環式基が組み合わさった2価の基(たとえば2
価のビスフェノールA基など)であるが、これらのばあ
い、熱安定性が良好になる。これらのなかでもフェニレ
ン基、2価のビスフェノールA基であるのが合成が容易
であり、耐熱性、耐湿性が良好である点から好ましい。
【0039】一般式(I)中の(p+q+n×r)個の
mはそれぞれ独立しており、0または1であるが、1の
ばあい、樹脂中での分散性がより良好になる。
【0040】また、一般式(I)中のnは、0〜5であ
るが、このばあい、樹脂中での分散性がよくなり、とく
にnが1〜3のばあいが好ましい。
【0041】さらに、一般式(I)中のpおよびqはそ
れぞれ0〜2で、かつrは1〜3であって、p+q+r
=3を満足する値であるが、このため、
【0042】
【化7】
【0043】基が少なくとも1つは存在し、樹脂中での
分散性がよい。
【0044】前記のごとき一般式(I)で表わされるリ
ン系難燃剤(B)のうち好ましい一般式のものとして
は、たとえば一般式:
【0045】
【化8】
【0046】で表わされるものがあげられる。
【0047】前記リン系難燃剤(B)の具体例として
は、芳香族アルコキシ基を有するホスフェート、ホスホ
ネート、ホスフィネートおよびこれらの縮合物があげら
れる。これらの化合物の中でも、熱可塑性ポリエステル
樹脂(A)に対する相溶性がよく、かつ難燃性にすぐれ
る点から、芳香族アルコキシ基を有するホスフェートお
よびそれらの縮合物が好ましく、さらにホスフェート自
体の熱安定性が良好である点から、リン原子上の全ての
置換基が芳香族アルコキシ基で置換されたホスフェート
およびその縮合物が好ましい。
【0048】前記リン原子上の全ての置換基が芳香族ア
ルコキシ基で置換されたホスフェートの具体例としては
トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェー
ト、ジクレジルフェニルホスフェート、クレジルジフェ
ニルホスフェート、トリキシリルホスフェート、ジキシ
リルフェニルホスフェート、キシリルジフェニルホスフ
ェート、トリ(イソプロピルフェニル)ホスフェート、
トリビフェニルホスフェート、トリナフチルホスフェー
トおよびこれらの縮合物、さらには一般式(II):
【0049】
【化9】
【0050】(式中、R5〜R16はそれぞれ独立して水
素原子または炭素数1〜4のアルキル基(メチル基、エ
チル基、プロピル基、ブチル基など)、4個のR15、R
16はそれぞれ異なっていてもよい、Yは直接結合、炭素
数1〜3のアルキレン基(メチレン基、エチレン基、
1,1−ジメチルメチレン基、プロピレン基など)、−
S−、−SO2−、−O−、−CO−または−N=N−
である2価の結合基、tは0または1を示す)で表わさ
れる縮合リン酸エステルなどがあげられる。
【0051】前記リン系難燃剤(B)の中でも、成形加
工時にそれ自体が低揮発性で、かつ熱安定性が良好で、
しかも熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の熱安定性、物
性を損いにくい点から、一般式(II)で表わされる縮合
リン酸エステルが好ましい。
【0052】一般式(II)中、R5〜R9のうち少なくと
も1つが炭素数1〜4のアルキル基および(または)R
10〜R14のうち少なくとも1つが炭素数1〜4のアルキ
ル基であるばあいには、より一層熱安定性がすぐれる点
から好ましい。また、このばあい、分子量が大きくなる
ため、より一層揮発性が低くなるという点からも好まし
い。
【0053】前記縮合リン酸エステルの具体例として
は、たとえばレゾルシノールビス(ジフェニル)ホスフ
ェート、メチルレゾルシノールビス(ジフェニル)ホス
フェート、ハイドロキノンビス(ジフェニル)ホスフェ
ート、ビスフェノールビス(ジフェニル)ホスフェー
ト、ビスフェノールAビス(ジフェニル)ホスフェー
ト、ビスフェノールSビス(ジフェニル)ホスフェー
ト、式(IV):
【0054】
【化10】
【0055】で表わされるレゾルシノールビス(ジ−
2,6−キシリル)ホスフェート、メチルレゾルシノー
ルビス(ジ−2,6−キシリル)ホスフェート、式
(V):
【0056】
【化11】
【0057】で表わされるハイドロキノンビス(ジ−
2,6−キシリル)ホスフェート、ビスフェノールビス
(ジ−2,6−キシリル)ホスフェート、ビスフェノー
ルAビス(ジ−2,6−キシリル)ホスフェート、ビス
フェノールSビス(ジ−2,6−キシリル)ホスフェー
ト、レゾルシノールビス(ジクレジル)ホスフェート、
メチルレゾルシノールビス(ジクレジル)ホスフェー
ト、ハイドロキノンビス(ジクレジル)ホスフェート、
ビフェノールビス(ジクレジル)ホスフェート、式(V
I):
【0058】
【化12】
【0059】で表わされるビスフェノールAビス(ジク
レジル)ホスフェート、ビスフェノールSビス(ジクレ
ジル)ホスフェート、レゾルシノールビス(ジ−2,
4,6−トリメチルフェニル)ホスフェート、メチルレ
ゾルシノールビス(ジ−2,4,6−トリメチルフェニ
ル)ホスフェート、ハイドロキノンビス(ジ−2,4,
6−トリメチルフェニル)ホスフェート、ビスフェノー
ルビス(ジ−2,4,6−フェニル)ホスフェート、ビ
スフェノールAビス(ジ−2,4,6−トリメチルフェ
ニル)ホスフェート、ビスフェノールSビス(ジ−2,
4,6−トリメチルフェニル)ホスフェート、およびこ
れらの縮合物があげられる。これらの中でも、レゾルシ
ノールビス(ジ−2,6−キシリル)ホスフェート、ハ
イドロキノンビス(ジ−2,6−キシリル)ホスフェー
トおよびビスフェノールAビス(ジクレジル)ホスフェ
ートが、熱安定性にすぐれ、かつ揮発性が低い点から好
ましい。
【0060】これらリン系難燃剤(B)は単独で用いて
もよく2種以上併用してもよい。
【0061】本発明において、必要に応じて使用される
強化充填剤(C)としては、ガラス繊維、炭素繊維など
の繊維状強化充填剤、チタン酸カリウム、セッコウ繊維
などのウイスカー状強化充填剤、タルク、クレイ、ワラ
ストナイト、モンモリロナイト、マイカ、ベントナイ
ト、カオリン、炭酸カルシウムなどの粉末状強化充填剤
などがあげられる。これらは単独で用いてもよく2種以
上を併用してもよい。これらの中では、機械的性質など
の特性がより一層すぐれるという理由からガラス繊維が
好ましい。
【0062】前記ガラス繊維としては、一般的に使用さ
れている公知のガラス繊維を用いることができるが、作
業性の観点から、集束剤で処理されたチョップドストラ
ンドガラス繊維を用いるのが好ましい。また、マトリッ
クス樹脂とガラス繊維との密着性を高めるために、ガラ
ス繊維の表面をカップリング剤で処理したものが好まし
く、バインダーを用いたものであってもよい。
【0063】前記カップリング剤としては、たとえばγ
−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキ
シプロピルトリメトキシシランなどのアルコキシシラン
化合物が、またバインダーとしては、たとえばエポキシ
樹脂、ウレタン樹脂などが好ましく使用されるが、これ
らに限定されるものではない。
【0064】前記ガラス繊維の繊維径は1〜20μm、
繊維長は0.01〜50mmであるのが好ましい。繊維
径が1μm未満のばあい、添加しても期待するような補
強効果がえられにくい傾向があり、20μmをこえる
と、流動性や成形品の表面性が低下する傾向がある。繊
維長が0.01mm未満のばあい、添加しても期待する
ような補強効果がえられにくい傾向があり、50mmを
こえると流動性や成形品の表面性が低下する傾向があ
る。
【0065】本発明の難燃性ポリエステル樹脂組成物
(I)(熱可塑性ポリエステル樹脂(A)、リン系難燃
剤(B)および強化充填剤(C)からなる組成物)にし
める熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の割合は、20〜
99%であり、好ましくは22〜90%であり、さらに
好ましくは25〜80%である。含有割合が20%未満
のばあい、押出加工が困難となり、99%をこえるばあ
い、難燃性不足となる。
【0066】また、難燃性ポリエステル樹脂組成物
(I)にしめるリン系難燃剤(B)の割合は、1〜30
%であり、好ましくは2〜27%であり、さらに好まし
くは3〜25%である。含有割合が1%未満であると、
難燃性が低下し、30%をこえると、離型性が低下する
とともに、臭気が著しくなる。
【0067】さらに、難燃性ポリエステル樹脂組成物
(I)にしめる強化充填剤(C)の割合は、0〜50%
であり、好ましくは5〜45%であり、さらに好ましく
は8〜42%である。使用量が50%をこえると成形
性、離型性が低下する。
【0068】難燃性ポリエステル樹脂組成物(I)に
は、さらにメラミン・シアヌル酸付加物(D)を配合し
て、さらに高度な難燃性などを付与した難燃性ポリエス
テル樹脂組成物(II)にしてもよい。
【0069】前記メラミン・シアヌル酸付加物(D)
は、メラミン(2,4,6−トリアミノ−1,3,5−
トリアジン)とシアヌル酸(2,4,6−トリヒドロキ
シ−1,3,5−トリアジン)および(または)その互
変異体が形成する付加物である。メラミン・シアヌル酸
付加物は、メラミンの溶液とシアヌル酸の溶液とを混合
して塩を形成させる方法や、一方の溶液に他方を加えて
溶解させながら塩を形成させる方法などによってうるこ
とができる。メラミンとシアヌル酸の混合比にはとくに
限定はないが、熱可塑性ポリエステル樹脂の熱安定性が
損われにくいという点から等モルに近い方がよく(たと
えばモル比で1/0.8〜1/1.2)、とくにモル比
で1:1が好ましい。また、メラミン・シアヌル酸付加
物(D)の平均粒径は、添加する熱可塑性ポリエステル
樹脂組成物(I)の成形加工性、物性を低下させにくい
などの点から、0.01〜100μmであるのが好まし
く、さらに0.5〜10μmであるのが好ましい。
【0070】メラミン・シアヌル酸付加物(D)の添加
量は、難燃性ポリエステル樹脂組成物(I)との合計量
が100%になるように1〜40%、好ましくは3〜3
8%、さらに好ましくは5〜35%である。1%未満で
はさらにメラミン・シアヌル酸付加物(D)を加えて難
燃性を改良する効果が充分えられず、40%をこえると
成形性が低下する。
【0071】なお、メラミン・シアヌル酸付加物(D)
を添加する難燃性ポリエステル樹脂組成物(I)として
は、合計量が100%になるように熱可塑性ポリエステ
ル樹脂(A)20〜99%、さらには25〜90%、リ
ン系難燃剤(B)1〜30%、さらには2〜27%、強
化充填剤(C)0〜50%、さらには5〜45%からな
るのが、難燃性、成形品薄肉部の離型性、臭気の点から
好ましい。
【0072】本発明の樹脂組成物(I)、(II)には、
必要に応じて、さらに他の配合剤、たとえば無機系、有
機系のリン系難燃剤(B)以外の難燃剤、難燃補助剤、
ヒンダードフェノール化合物、ホスファイト化合物、チ
オエーテル化合物、1官能および(または)2官能以上
の多官能エポキシ化合物などの安定剤、紫外線吸収剤、
離型剤、着色剤、結晶核剤、帯電防止剤、滑剤、可塑
剤、他のポリマーなどを、本発明の目的を損わない範囲
で配合することができる。
【0073】本発明の樹脂組成物(I)、(II)は各成
分を種々の方法で混合して製造することができる。たと
えば、通常の撹拌混合機に各成分、添加剤を入れて撹拌
混合し、さらに押出機で溶融混練する方法などでうるこ
とができる。強化充填剤(C)の添加方法にもとくに限
定はないが、すぐれた補強効果がえられるという点か
ら、サイドフィーダーを用いて、押出機途中から添加す
る方法が好ましい。リン系難燃剤(B)が液体であるば
あいには、押出機の途中から液体供給ポンプなどを用い
て添加するのが好ましい。
【0074】本発明の樹脂組成物(I)、(II)は、各
種の成形法により種々の形態、たとえば各種成形品、シ
ート、パイプ、ボトルなどの成形に使用される。しか
も、高度な難燃性を有し、かつその他の特性とのバラン
スが良好で高性能であるため、家電、OA機器などの電
子・電気部品などの射出成形品などに好適に使用され
る。
【0075】本発明の組成物が、(A)触媒にゲルマニ
ウム系化合物を用いて重合させたポリアルキレンテレフ
タレート樹脂20〜99%、(B)一般式(II)で表わ
される縮合リン酸エステル系難燃剤1〜30%、および
(C)強化充填剤0〜50%からなり、(A)成分〜
(C)成分の合計量が100%である難燃性ポリアルキ
レンテレフタレート樹脂組成物のばあいには、難燃性、
離型性、低臭気性にすぐれ、加工性/機械的性質/電気
的特性/耐熱性のバランスが良好になる。
【0076】前記難燃性ポリアルキレンテレフタレート
樹脂組成物60〜99%および(D)メラミン・シアヌ
ル酸付加物1〜40%を合計量が100%になるように
含有する組成物のばあいには、高度な難燃性を有し、離
型性、低臭気性にすぐれ、加工性/機械性質/電気的特
性/耐熱性のバランスが良好になる。
【0077】また、本発明の組成物が、(A)触媒にゲ
ルマニウム系化合物を用いて重合させたポリエチレンテ
レフタレート樹脂20〜99%、(B)一般式(II)で
表わされる縮合リン酸エステル系難燃剤1〜30%、お
よび(C)強化充填剤0〜50%からなり、(A)成分
〜(C)成分の合計が100%である難燃性エチレンテ
レフタレート樹脂組成物のばあいには、難燃性、離型
性、低臭気性にすぐれ、加工性/耐熱性/耐薬品性のバ
ランスがさらに良好になる。
【0078】前記難燃性ポリエチレンテレフタレート樹
脂組成物60〜99%および(D)メラミン・シアヌル
酸付加物1〜40%を合計量が100%になるように含
有する組成物のばあいには、高度な難燃性を有し、離型
性、低臭気性にすぐれ、加工性/耐熱性/耐薬品性のバ
ランスがさらに良好になる。
【0079】
【実施例】つぎに、本発明の組成物を実施例に基づいて
具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるもの
ではない。
【0080】実施例1 熱可塑性ポリエステル樹脂(A)として二酸化ゲルマニ
ウムを触媒(樹脂中に300ppm含有)に用いて重合
させた固有粘度(フェノール/テトラクロロエタンが重
量比で1/1の混合溶媒中、25℃で測定、以下同様)
0.75dl/gで、充分に乾燥させたポリエチレンテ
レフタレート(a−1)39%、リン系難燃剤(B)と
してレゾルシノールビス(ジ−2,6−キシリル)ホス
フェート(式(IV)の化合物)(b−1)(大八化学
(株)製、商品名PX−200)15%、メラミン・シ
アヌル酸付加物(D)(日産化学(株)製、商品名MC
690、平均粒径約1μm)15%、酸化防止剤として
テトラキスメチレン−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシハイドロシンナメートメタン(旭電化工業
(株)製、商品名アデカスタブAO−60)1%の混合
物を予めドライブレンドしたのち、シリンダー温度を2
70〜280℃に設定したベント式45mmφ同方向2
軸押出機(日本製鋼所(株)製、商品名TEX44)の
ホッパーに供給するとともに、強化充填剤(C)として
ガラス繊維(日本電気硝子(株)製、商品名T−195
H/P、繊維径11μm、繊維長3mm)30%を押出
機のサイドフィーダーから途中添加して、溶融混練する
ことによりペレットを製造した。
【0081】えられたペレットを140℃で4時間乾燥
後、射出成形機を用いてシリンダー温度280℃、金型
温度120℃で試験片を作製したのち、下記方法にした
がって難燃性および臭気を評価した。また、離型性を評
価した。結果を表1に示す。
【0082】(難燃性)UL−94規格にしたがって、
厚さ1/16インチ、長さ127mm、幅12mmの試
料を作製して難燃性を測定した。なお、難燃性評価結果
のnot−VはUL−94 V規格に不適合であること
を示す。
【0083】(臭気)射出成形を行なって金型より取り
出した直後の成形品の臭気を調べ、下記基準にしたがっ
て評価した。
【0084】 ◎:全く臭気がない ○:ほとんど臭気がない ×:若干臭気がある ××:臭気がある
【0085】(離型性)えられたペレットを140℃で
4時間乾燥後、射出成形機を用いて、シリンダー温度2
80℃、金型温度60℃、射出1次圧力120kg/c
2(ゲージ圧)、射出2次圧力60kg/cm2(ゲー
ジ圧)にて、直径2cm×厚さ0.2cmの円盤上に直
径1cm×高さ3cm×厚さ0.1cmの円筒形部分を
有する離型性評価試験片を作製し、金型より成形品が排
出される際の様子を観察し、下記基準にしたがって、離
型性を評価した。
【0086】 ○:成形品の金型内への残留および変形が認められない ×:成形品の金型内への残留はないものの変形が一部認
められる ××:成形品の金型内への残留および変形が認められる
【0087】実施例2 実施例1において使用したポリエチレンテレフタレート
(a−1)のかわりに二酸化ゲルマニウムを触媒(樹脂
中に300ppm含有)として重合させた固有粘度が
0.6dl/gで充分に乾燥させたポリエチレンテレフ
タレート(a−2)を使用した以外は実施例1と同様に
して評価した。結果を表1に示す。
【0088】実施例3 実施例1において使用したレゾルシノールビス(ジ−
2,6−キシリル)ホスフェート(b−1)のかわりに
ハイドロキノンビス(ジ−2,6−キシリル)ホスフェ
ート(式(V)の化合物)(b−2)(大八化学(株)
製、商品名PX−201)を使用した以外は実施例1と
同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0089】実施例4 実施例1において使用したレゾルシノールビス(ジ−
2,6−キシリル)ホスフェート(b−1)のかわりに
ビスフェノールAビス(ジクレジル)ホスフェート(式
(VI)の化合物)(b−3)(大八化学(株)製、商品
名CR−741C)を使用した以外は実施例1と同様に
して評価した。結果を表1に示す。
【0090】実施例5 実施例1において使用したレゾルシノールビス(ジ−
2,6−キシリル)ホスフェート(b−1)のかわりに
レゾルシノールビス(ジフェニル)ホスフェート(b−
4)(旭電化工業(株)製、商品名アデカスタブPF
R)を使用した以外は実施例1と同様にして評価した。
結果を表1に示す。
【0091】実施例6 実施例1において使用したレゾルシノールビス(ジ−
2,6−キシリル)ホスフェート(b−1)のかわりに
トリ−2,6−キシリルホスフェート(b−5)(大八
化学(株)製、商品名PX−130)を使用した以外は
実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0092】実施例7 実施例1において使用したガラス繊維を使用せずに、ポ
リエチレンテレフタレート(a−1)の使用量を39%
から54%に、レゾルシノールビス(ジ−2,6−キシ
リル)ホスフェート(b−1)の使用量を15%から2
0%に、メラミン・シアヌル酸付加物(D)の使用量を
15%から25%にかえた以外は実施例1と同様にして
評価した。結果を表1に示す。
【0093】実施例8 ポリエチレンテレフタレート(a−1)の使用量を39
%から60%に、レゾルシノールビス(2,6−キシリ
ル)ホスフェート(b−1)の使用量を15%から14
%に、強化充填剤(C)の使用量を30%から10%に
かえた以外は実施例1と同様にして評価した。結果を表
1に示す。
【0094】実施例9 ポリエチレンテレフタレート(a−1)の使用量を39
%から40%に、レゾルシノールビス(2,6−キシリ
ル)ホスフェート(b−1)の使用量を15%から9%
に、強化充填剤(C)の使用量を30%から40%に、
メラミン・シアヌル酸付加物(D)の使用量を15%か
ら10%にかえた以外は実施例1と同様にして評価し
た。結果を表1に示す。
【0095】
【表1】
【0096】実施例10 実施例1において使用したメラミン・シアヌル酸付加物
(D)を使用せずに、ポリエチレンテレフタレート(a
−1)の使用量を39%から46%に、レゾルシノール
ビス(ジ−2,6−キシリル)ホスフェート(b−1)
の使用量を15%から18%に、ガラス繊維の使用量を
30%から35%にかえた以外は実施例1と同様にして
評価した。結果を表2に示す。
【0097】実施例11 実施例10において使用したレゾルシノールビス(ジ−
2,6−キシリル)ホスフェート(b−1)のかわりに
ハイドロキノンビス(ジ−2,6−キシリル)ホスフェ
ート(b−2)を使用した以外は実施例8と同様にして
評価した。結果を表2に示す。
【0098】実施例12 実施例10において使用したレゾルシノールビス(ジ−
2,6−キシリル)ホスフェート(b−1)のかわりに
ビスフェノールAビス(ジクレジル)ホスフェート(b
−3)を使用した以外は実施例8と同様にして評価し
た。結果を表2に示す。
【0099】実施例13 実施例10において使用したレゾルシノールビス(ジ−
2,6−キシリル)ホスフェート(b−1)のかわりに
レゾルシノールビス(ジフェニル)ホスフェート(b−
4)を使用した以外は実施例8と同様にして評価した。
結果を表2に示す。
【0100】実施例14 実施例10において使用したレゾルシノールビス(ジ−
2,6−キシリル)ホスフェート(b−1)のかわりに
トリ−2,6−キシリルホスフェート(b−5)を使用
した以外は実施例8と同様にして評価した。結果を表2
に示す。
【0101】実施例15 ポリエチレンテレフタレート(a−1)の使用量を46
%から69%に、レゾルシノールビス(2,6−キシリ
ル)ホスフェート(b−1)の使用量を18%から20
%に、強化充填剤(C)の使用量を35%から10%に
かえた以外は実施例8と同様にして評価した。結果を表
2に示す。
【0102】実施例16 ポリエチレンテレフタレート(a−1)の使用量を46
%から51%に、レゾルシノールビス(2,6−キシリ
ル)ホスフェート(b−1)の使用量を18%から8%
に、強化充填剤(C)の使用量を35%から40%にか
えた以外は実施例8と同様にして評価した。結果を表2
に示す。
【0103】
【表2】
【0104】比較例1 実施例1において使用したポリエチレンテレフタレート
(a−1)のかわりに、三酸化アンチモンを触媒(樹脂
中に300ppm含有)として重合させた固有粘度が
0.75dl/gで充分に乾燥させたポリエチレンテレ
フタレート(a−3)を使用した以外は実施例4と同様
にして評価した。結果を表3に示す。
【0105】比較例2 実施例4において使用したポリエチレンテレフタレート
(a−1)のかわりに、三酸化アンチモンを触媒として
重合させた固有粘度が0.75dl/gで充分に乾燥さ
せたポリエチレンテレフタレート(a−3)を使用した
以外は実施例4と同様にして評価した。結果を表3に示
す。
【0106】比較例3 実施例5において使用したポリエチレンテレフタレート
(a−1)のかわりに、三酸化アンチモンを触媒として
重合させた固有粘度が0.75dl/gで充分に乾燥さ
せたポリエチレンテレフタレート(a−3)を使用した
以外は実施例5と同様にして評価した。結果を表3に示
す。
【0107】比較例4 実施例6において使用したポリエチレンテレフタレート
(a−1)のかわりに、三酸化アンチモンを触媒として
重合させた固有粘度が0.75dl/gで充分に乾燥さ
せたポリエチレンテレフタレート(a−3)を使用した
以外は実施例6と同様にして評価した。結果を表3に示
す。
【0108】比較例5 実施例1において使用したレゾルシノールビス(ジ−
2,6−キシリル)ホスフェート(b−1)を使用せず
に、ポリエチレンテレフタレート(a−1)の使用量を
44%から54%にかえた以外は実施例1と同様にして
評価した。結果を表3に示す。
【0109】比較例6 実施例1において使用したポリエチレンテレフタレート
(a−1)の使用量を39%から29%に、レゾソルシ
ノールビス(ジ−2,6−キシリル)ホスフェート(b
−1)の使用量を15%から40%に、ガラス繊維の使
用量を30%から20%に、メラミン・シアヌル酸付加
物の使用量を15%から10%にかえた以外は実施例1
と同様にして評価した。結果を表3に示す。
【0110】比較例7 実施例1において使用したポリエチレンテレフタレート
(a−1)の使用量を39%から34%に、レゾソルシ
ノールビス(ジ−2,6−キシリル)ホスフェート(b
−1)の使用量を15%から10%に、ガラス繊維の使
用量を30%から10%に、メラミン・シアヌル酸付加
物の使用量を15%から45%にかえた以外は実施例1
と同様にして評価した。結果を表3に示す。
【0111】
【表3】
【0112】
【発明の効果】本発明の難燃性ポリエステル樹脂組成物
は、塩素含有化合物および臭素含有化合物をいずれも含
有しない組成物であるが、難燃性、成形品薄肉部の離型
性にすぐれるとともに臭気が低減されている。したがっ
て、本発明の難燃性ポリエステル樹脂組成物は電気・電
子部品などの成形材料として好適に使用でき、工業的に
有用である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)触媒にゲルマニウム系化合物を用
    いて重合させた熱可塑性ポリエステル樹脂20〜99重
    量% (B)一般式(I): 【化1】 (式中、R1〜R3はいずれも1価の基であり、それぞれ
    独立して炭素数1〜12の脂肪族基、炭素数6〜12の
    芳香族基、炭素数3〜12の脂環式基、R4は炭素数6
    〜20の1価の芳香族基、Xは2価の基であり、炭素数
    2〜30の脂肪族基、炭素数6〜30の芳香族基もしく
    は炭素数3〜30の脂環式基またはこれらの組み合わせ
    からなる2価の結合基、mはそれぞれ独立して0または
    1、r個のnはそれぞれ独立して0〜5、pおよびqは
    それぞれ0〜2で、かつrは1〜3であって、p+q+
    r=3を満足する)で表わされるリン系難燃剤1〜30
    重量%、および (C)強化充填剤0〜50重量%からなり、(A)成分
    〜(C)成分の合計が100重量%であることを特徴と
    する難燃性ポリエステル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 熱可塑性ポリエステル樹脂(A)がポリ
    アルキレンテレフタレート樹脂である請求項1記載の難
    燃性ポリエステル樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 熱可塑性ポリエステル樹脂(A)がポリ
    エチレンテレフタレート樹脂である請求項1または2記
    載の難燃性ポリエステル樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 リン系難燃剤(B)が一般式(II): 【化2】 (式中、R5〜R16はそれぞれ独立して水素原子または
    炭素数1〜4のアルキル基、4個のR15、R16は異なっ
    ていてもよい、Yは直接結合、炭素数1〜3のアルキレ
    ン基、−S−、−SO2−、−O−、−CO−または−
    N=N−である2価の結合基、tは0または1を示す)
    で表わされる縮合リン酸エステル系難燃剤である請求項
    1記載の難燃性ポリエステル樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の難燃性ポリエステル樹脂
    組成物60〜99重量%および(D)メラミン・シアヌ
    ル酸付加物1〜40重量%を合計量が100重量%にな
    るように含有することを特徴とする難燃性ポリエステル
    樹脂組成物。
JP29903196A 1996-11-11 1996-11-11 難燃性ポリエステル樹脂組成物 Pending JPH10139987A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002030209A (ja) * 2000-07-14 2002-01-31 Sumitomo Bakelite Co Ltd 難燃性樹脂組成物

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