JPH10136979A - 新規酸性α−アミラーゼ及びその製造法 - Google Patents

新規酸性α−アミラーゼ及びその製造法

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JPH10136979A
JPH10136979A JP30224596A JP30224596A JPH10136979A JP H10136979 A JPH10136979 A JP H10136979A JP 30224596 A JP30224596 A JP 30224596A JP 30224596 A JP30224596 A JP 30224596A JP H10136979 A JPH10136979 A JP H10136979A
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amylase
acidic
starch
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microorganism
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JP30224596A
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English (en)
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Iwao Kojima
岩夫 小島
Yuji Suzuki
裕治 鈴木
Giyourei Riyuu
暁麗 劉
Tomoko Adachi
朋子 足立
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NAGASE SEIKAGAKU KOGYO KK
Original Assignee
NAGASE SEIKAGAKU KOGYO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】新規酸性α−アミラーゼを提供し、酸性かつ高
温条件下で澱粉を液化することにより、従来の澱粉分解
工業における種々の問題点を一挙に解決すること。 【解決手段】以下の性質: 1)基質特異性:澱粉に作用し、主としてマルトペンタ
オースおよびマルトヘキサオースを生成する; 2)至適pH:約pH4.0である; 3)pH安定性:90℃、15分間の加熱条件下で約pH4.5〜
5.0で安定である; 4)温度安定性:pH4.5において15分間保持した場合、8
0℃まで安定である; 5)至適温度:約80℃〜90℃である; 6)分子量:ゲル濾過法で約55,000〜60,000である;お
よび、 7)等電点:約4.2である; を有する酸性α−アミラーゼ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は新規な酸性α−ア
ミラーゼ及びその製造方法、その新規な酸性α−アミラ
ーゼを用いる澱粉の液化方法に関する。更に詳しくは、
バチルス属に属する微生物を培養することにより得られ
る酸性α−アミラーゼ及びその製造方法、澱粉スラリー
の液化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】澱粉からブドウ糖、マルトースなどのオ
リゴ糖を生成させる工程は、α−アミラーゼを用いる澱
粉の液化工程とグルコアミラーゼによる糖化工程を含ん
でいる。トウモロコシ澱粉を原料とする場合には、二段
液化法及びジェットクッカー法による液化が常法として
用いられている。その方法は、まず、澱粉をpH6〜6.
5、95〜105℃の条件下でBacillus licheniformisBaci
llus subtilis等が生産するα−アミラーゼで液化さ
せ、次いで、pH4.5、60℃の条件下でAspergill us niger
等が生産するグルコアミラーゼで糖化させるという工程
を含んでいる。
【0003】これまでに知られているα−アミラーゼの
ほとんどは至適pHが6付近であるために、澱粉の液化に
おいては水酸化カルシウムなどにより澱粉スラリーのpH
を6付近まで上昇させた後、液化工程が実施されてい
る。しかしながら、液化工程に次ぐ糖化工程では、現在
主に使用されているグルコアミラーゼの至適pHが4.5付
近であることから、再度pHを4.5付近に調整し直すとい
う煩雑な工程が必要となっている。またpH6以上の液化
では、アルカリ異性化により糖化後のグルコース収量の
低下があると言われている。
【0004】更に、現在実用されているα−アミラーゼ
はα−アミラーゼの失活を抑制する目的でカルシウムイ
オン(工業的には95〜105℃の条件下で澱粉の液化を行
うには水酸化カルシウム等が3mM程度)が添加されるの
が常法であるが、次の精製段階でのカルシウムイオンの
除去工程も工程煩雑化の一因となっている。
【0005】上記問題点を解決すべく、pH4付近の酸性
領域で作用しかつ耐熱性を有する各種α−アミラーゼ分
離され、研究されている。現在知られているBa cillus a
cidoca ldarius由来の酸性α-アミラーゼを表1に示す。
【0006】
【表1】
【0007】しかしながら、未だ、高温で酸性条件下で
澱粉の液化に使用し得る酵素が得られていないのが現状
である。
【0008】他方で、近年活発に行われている超好熱菌
の研究成果として、各種超耐熱性酵素が見いだされてい
る。例えば、超好熱菌由来の超耐熱性中性α−アミラー
ゼは、その活性がカルシウムイオンに依存せず、その超
耐熱性ゆえに高温酸性条件下でトウモロコシ澱粉の液化
に使用できる可能性がある。しかしながら、超好熱菌の
酵素発現量は非常に低く、工業生産には遺伝子組み換え
株として用いざるをえず、食品業界での使用は非常に困
難である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って、遺伝子組換え
によらずに大量生産が可能であり、酸性側に至適pH及び
安定pH範囲を有しかつ耐熱性であるα−アミラーゼが求
められている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは、酸性側
に至適pH及び安定pH範囲を有し、かつ耐熱性であるα−
アミラーゼを生産する菌株を求めるために広く自然界よ
り検索した結果、京都府福知山市の土壌中から採取され
Baci llus acidocald arius KSTM-2037株が、上記目的
を達成するものであることを発見し、本願発明を完成す
るに至った。Bacil lus acidocalda rius由来の耐熱性か
つ耐酸性α−アミラーゼは既に報告されているが(表
1)、本願発明のα−アミラーゼの耐熱性はそれを上回
るものであることから、新規酵素である。
【0011】
【発明の実施の形態】本願発明は、以下の1)から7)
の理化学的性質を有する酸性α−アミラーゼに関する。
【0012】1)基質特異性:澱粉に作用し、マルトペ
ンタオースおよびマルトヘキサオースを生成する; 2)至適pH:約pH4.0である; 3)pH安定性:100mM酢酸緩衝液中で90℃、15分間の加
熱条件下で約pH4.5〜5.0で安定である; 4)温度安定性:100mM酢酸緩衝液中pH4.5において15分
間保持した場合、80℃まで安定である; 5)至適温度:約80℃〜90℃である; 6)分子量:ゲル濾過法で約55,000〜60,000である;お
よび、 7)等電点:約4.2である。
【0013】好適な実施態様においては、至適温度が3m
Mのカルシウムイオンの存在による影響を受けない酸性
α-アミラーゼである。
【0014】さらに、本願発明は、上記酸性α−アミラ
ーゼを製造する方法であって、バチルス属に属する微生
物を培養する工程を包含する。
【0015】好適な実施態様においては、前記微生物が
バチルス アシドカルダリウス(Bacillus acidocaldari
us)である。
【0016】さらに好適な実施態様においては、前記微
生物がバチルス アシドカルダリウス(Bacillus acidoc
aldarius) KSTM-2037株である。
【0017】また、本願発明は、澱粉を液化する方法で
あって、上記酸性α−アミラーゼと澱粉とを反応させる
工程を包含する。
【0018】好適な実施態様においては、前記酸性α−
アミラーゼがバチルス アシドカルダリウス(Bacillus
acidocaldarius)から得られる。
【0019】さらに好適な実施態様においては、前記微
生物がバチルス アシドカルダリウス(Bacillus acidoc
aldarius) KSTM-2037株である。
【0020】好適な実施態様においては、前記反応が、
85℃以上の温度で行われる。
【0021】好適な実施態様においては、前記反応が、
pHが4.0から5.5の間で行われる。さらに、好適な実施態
様においては、前記反応が、カルシウムを添加しないで
行われる。
【0022】以下、本願発明を説明する。
【0023】(本アミラーゼを生産する菌株の選択と同
定)本願発明の酸性α−アミラーゼは、Bacillus属菌、
特にBacillus acidocaldarius KSTM-2037株)により生
産される。この菌株は、京都府福知山市の土壌中から単
離された。単離された微生物は、以下に示すような菌学
的性状を示した。菌学的性質の試験及び分類法は「バー
ジェーズマニュアル」に従って行った。
【0024】 A.形態 (1) 細胞の形 桿菌(やや湾曲) (2) 細胞の大きさ 0.4−0.6×1.5−3.0μm (3) 運動性の有無 + (4) 胞子の育無 + (5) グラム染色 +(幼若細胞) (6) 坑酸性染色 − B.各培地における生育状態 (1) 標準寒天平板培養(pH5修正) 薄茶色,光沢有り,スムーズ, 不正円(波状) (2) 標準寒天斜面培養(pH5修正) 薄茶色,光沢有り,スムーズ (3) 標準液体培養(pH5修正) 全体的にほぼ均一に混濁 (4) 標準ゼラチン穿刺培養(pH5修正) 殆ど生育せず (5) リトマスミルク 変化なし C.生理学的性質 (1) 硝酸塩の還元性 − (2) 脱窒反応 − (3) メチルレッド試験 ND (4) VPテスト − (5) インドールの生成 − (6) 硫化水素の生成 − (7) 澱粉の加水分解 + (8) クエン酸の利用 ND (9) 無機窒素源の利用 硝酸塩 + アンモニウム塩 + (10) 色素の生成 − (11) ウレアーゼ活性 ND (12) オキシダーゼ活性 − (13) カタラーゼ活性 + (14) 生育の範囲 pH 6.0− 5.5+ 4.5+ 4.0− 温度 40℃− 45℃+ 60℃+ 65℃− (15) 酸素に対する態度 好気性 (16) ジオキシアセトンの生成 − (17) 馬尿酸の分解 ND (18) アミノ酸の分解 リジン ND アルギニン ND オルニチンND (19) フェニルアラニンの脱アミノ ND (20) 温度抵抗性(85℃,10分) + (21) 塩化ナトリウムの耐性 2.0%+ 5.0%− 7.0%− 10%− (22) サブロウ寒天培地における生育 − (23) 0.001%リゾチーム培地の生育 − (24) チロシンの分解 − (25) クエン酸・アンモニウム寒天培地 でのアルカリ産生 ND (26) カゼインの分解 − (27) ゼラチンの分解 − (28) 嫌気性培地における生育 − (29) マッコンキー培地における生育 − (30) レシチナーゼ反応 ND (31) VP培地におけるアルカリ産生 ND (32) 糖類の利用と生酸性 (a) L−アラビノース − (b) D−キシロース + (c) D−グルコース + (d) D−マンノース + (e) D−フラクトース + (f) D−ガラクトース + (g) 麦芽糖 + (h) ショ糖 − (i) 乳糖 − (j) トレハロース + (k) D−ソルビット − (l) D−マンニット + (m) イノシット + (n) グリセリン + (o) 澱粉 + (p) メリビオース − (q) サリシン ± (r) エタノール − *ND:測定できず 以上から、この微生物はバチルス アシドカルダリウス
(Baci llus acidocald arius) KSTM-2037株と命名され、
工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託されており、
その受託番号はFERM P-15941である。
【0025】(培養方法)本願発明の酸性α−アミラー
ゼは、例えば、この KSTM-2037株を培養して得られ得
る。培養は、通常通気撹拌培養等により行われ得る。用
いる培地には、当業者が通常用いる炭素源、窒素源、そ
の他の必要な無機塩、ミネラルなどを含み得る。
【0026】炭素源としては、例えば、グルコース、廃
糖蜜、転化糖等の他、資化し得る炭水化物、油脂、脂肪
酸、アルコール(例えば、メタノール、エタノール)、
各種澱粉、澱粉液化液、デキストリン等が、単独でまた
は必要に応じて適宜混合して用いられ得る。
【0027】窒素源としては、例えば、ポリペプトン、
酵母エキス、肉エキス、大豆粉、コーンスチープリカ
ー、コーンミル等の有機窒素源の他、硫酸アンモニウ
ム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アン
モニウム等の無機窒素源が、単独でまたは必要に応じて
適宜混合して用いられ得る。
【0028】無機塩およびミネラルとしては、例えば、
リン酸塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、マンガン
塩、鉄塩、亜鉛塩、コバルト塩、ナトリウム塩、カリウ
ム塩あるいは各種ビタミン類が、単独でまたは必要に応
じて適宜混合して、用いられ得る。
【0029】培地のpHは通常pH4.5〜5.5、好ましくはpH
4.5〜5.0である。培養温度は通常45〜60℃、好ましくは
55〜60℃である。培養は、培養温度あるいは培養pH、通
気攪拌の条件等により変動するが、本願発明に用いる微
生物の生育及びα−アミラーゼの生産に十分な時間を考
慮すると、一般には18時間から3日間、行われる。
【0030】(酸性α-アミラーゼの精製方法)本願発
明の酸性α-アミラーゼは以下のような方法により精製
され得る。まず、培養液を遠心分離または濾過すること
によって菌体を分離して上清を得る。この上清から通常
の精製手段、例えば、塩析法、例えばエタノール、アセ
トン等を用いる溶媒沈澱法、等電点沈澱法、電気泳動
法、イオン交換クロマトグラフィー法、ゲル濾過法、ア
フィニティークロマトグラフィー法、晶出法などの通常
の酵素の精製手段を単独で、あるいは適宜組み合わせる
ことによって精製され得る。得られた酵素は凍結乾燥粉
末とし得る。必要に応じて脱塩処理後、凍結乾燥され得
る。
【0031】(力価測定法) (基質溶液の調製)基質溶液を次のように調製する:無
水物として1gの精製馬鈴薯澱粉を分散させながら0.4N
−NaOHを25ml加え、沸騰水中で10分間加熱溶解する。こ
の溶解液を冷却し、0.4N−CH3COOHを25ml加えて、pHをH
Clで4.5に調整した後、100mlに定容する。これにより、
1(重量)%の馬鈴薯澱粉溶液が得られ、これを基質溶液
とする。
【0032】(酵素活性の測定)基質溶液10mlに酵素液
1mlを加えて40℃で10分間反応させ、その反応液1mlを
取り出し1/10N HCl 10ml中に入れ反応を停止する。こ
の反応停止した液を0.5ml取り、0.005%ヨード(ヨーカ
カリ0.05%を含む)10mlに加え、生ずる青色の660μmに
おける吸光度を分光光度計にて測定し、次式によって、
酵素活性(糊精化力)を計算する。
【0033】
【数1】
【0034】上記測定法で、吸光度を40℃で、1分間に
1%低下させたときの酸性α-アミラーゼ活性(糊精化
力)を1単位と定義する。
【0035】(酵素的性質の検討)上記の方法で得られ
た酸性α−アミラーゼ(以下、本願発明の酸性α-アミ
ラーゼという)は、以下の方法でその性質を調べ得る。
【0036】1)基質特異性:本願発明の酸性α-アミ
ラーゼを、上記1重量%澱粉を含む基質溶液に、80℃、
60分間の条件下、作用させる。反応後、反応液を薄層ク
ロマトグラフィーで分析することにより、主としてマル
トペンタオースおよびマルトヘキサオースが生成してい
ることを確認し得る。生成物の検出は、シリカゲル60薄
層プレート(メルク社製)を用い、イソプロピルアルコ
ール:アセトン:水=40:40:20で室温で展開したとき
に、マルトペンタオースは0.14、マルトヘキサオースは
0.1のRf値を与える。なお、発色は、発色液(アニリン4
ml、ジフェニルアミン4g、アセトン200ml、85%リン酸30
mlの混合液)を用いて、105℃、30分加熱して行う。
【0037】2)至適pH:至適pHは、前記基質溶液のpH
を種々変えて、80℃、10分間反応させて測定する。本願
発明の酸性α-アミラーゼの至適pHは、約pH4.0である。
【0038】3)pH安定性:各pHの100mM酢酸緩衝液中
で90℃、15分間処理した後、処理液の残存活性を前記力
価測定法により、pH4.5、80℃、30分間反応させて測定
する。本願の酸性α-アミラーゼのpH安定性は、約pH4.5
〜5.0の範囲である。
【0039】4)温度安定性:100mM酢酸緩衝液pH4.5中
で、各温度で15分間処理した後、処理液の残存活性を前
記力価測定法により、pH4.5、80℃、30分間反応させて
測定する。本願発明の酸性α-アミラーゼは、80℃で15
分処理後も100%の残存活性を有している。
【0040】5)至適温度:前記力価測定法により種々
の温度で10分間反応させて測定する。本願の酸性α-ア
ミラーゼは、80〜90℃に最適温度を有する。
【0041】6)分子量:カラムとして、Sephadex-100
を用い、10mM NaClを含む50mM酢酸緩衝液(pH5.0)中でゲ
ル濾過して測定する。本願発明の酸性α-アミラーゼの
分子量は約55,000から約60、000である。
【0042】7)等電点:等電点電気泳動法を用いて測
定し得る。本願の酸性α-アミラーゼの等電点は4.2であ
る。
【0043】さらに、本願発明の酸性α-アミラーゼの
至適温度、至適pH、温度安定性、およびpH安定性は、カ
ルシウムイオンの存在により影響されない。
【0044】本願発明の酸性α-アミラーゼが精製され
ると、その(部分)アミノ酸配列を基に、この酸性α-
アミラーゼ遺伝子を取得できる。このようにして得られ
た遺伝子配列(アミノ酸配列)を一部改変して、当業者
は周知の方法を用いて、容易に本願発明と同等の酸性α
-アミラーゼを取得し得る。例えば、部位特異的突然変
異、M13ファージを用いる欠失突然変異などの方法で遺
伝子配列を改変して、変異型の酸性α-アミラーゼを取
得し得る。また、当業者に周知の変異方法を用いても、
変異型の酸性α-アミラーゼを取得し得る。従って、こ
れらの変異型の酸性α-アミラーゼであって、実質的に
本願発明の酵素と同等の性質を有する酵素も本願発明の
範囲内にある。
【0045】以下、実施例により本願発明の内容を更に
具体的に説明するが、本願発明の範囲はこれら実施例に
限定されるものではない。
【0046】
【実施例】
(実施例1) (微生物の培養と酵素の精製) 1)シード培養 可溶性澱粉1%、ポリペプトン 0.25%、酵母エキス 0.
25%、NaCl 0.25%、MgSO4・7H2O 0.05%、MnCl2・4H2O
0.001%、CaCl2・2H2O 0.05%、KH2PO4 0.2%、(NH4)2S
O4 0.2%からなる培地(pH4.5)500mlを3L容三角フラス
コに入れ、121℃で20分殺菌後、Bacillus acidocaldari
us KSTM-2037を接種し、60℃、160rpmで2日間培
養し、シードを得た。
【0047】2)培養 1)と同じ組成の培地300Lを500L容培養タンクに入
れ、121℃で20分殺菌後、上記シードを0.67%(2L)移
植し、60℃、160rpmで3日間培養した。その結果、培養
液1mlあたり4.9単位のα-アミラーゼが生産された。
【0048】3)酵素の精製 α-アミラーゼを含む上記培養液を遠心分離(7,000rp
m、30分)して、上清を得た。この上清をさらに限外濾
過により濃縮後、凍結乾燥したものを粗酵素サシプルと
した。粗酵素サンプルを蒸留水に溶解し、硫酸アンモニ
ウムを40%飽和になるように加え5℃で一夜沈澱を生成
させた。生成した沈澱を遠心分離により回収後、デリカ
スタ−H−100(三和澱粉工業(株)製)に吸着させ
た。吸着酵素を温蒸留水で溶出後、凍結乾燥し、酵素標
品とした。
【0049】(実施例2) (酵素的性質の検討) 1)最適反応温度 実施例1で得られた本願発明の酸性α−アミラーゼ(5
単位)を1%可溶性澱粉(pH4.5)と10分間反応させ、
本願発明の酸性α−アミラーゼの活性の温度依存性及び
カルシウムイオン添加による酵素活性への影響を調べ
た。結果を表2に示した。
【0050】
【表2】
【0051】表2より明らかなように、本願発明の酸性
α−アミラーゼは80〜90℃に至適温度を持ち、その至適
温度はカルシウムイオンの有無に依存しなかった。
【0052】2)至適pH 実施例1で得られた本願発明の酸性α−アミラーゼ(5
単位)を、1%可溶性澱粉と80℃で10分間反応させ、本
願発明の酸性α−アミラーゼの活性の至適pH、およびカ
ルシウムイオン添加による酵素活性への影響を調べた。
結果を表3に示した。
【0053】
【表3】
【0054】表3より明らかなように、本願発明の酸性
α−アミラーゼはpH4.0に至適pHを持ち、その至適pHは
カルシウムイオンの有無に依存しなかった。
【0055】3)温度安定性 実施例1で得られた本願発明の酸性α−アミラーゼ(10
単位)を、数種の温度で15分間処理後、残存活性を測定
し、本願発明の酸性α−アミラーゼの温度安定性及び、
カルシウムイオン添加による酵素活性への影響を調べ
た。結果を表4に示した。
【0056】
【表4】
【0057】表4より明らかなように、本願発明の酸性
α−アミラーゼは80℃まで安定であり、その温度安定性
はカルシウムイオンの有無に依存しなかった。
【0058】4)pH安定性 実施例1で得られた本願発明の酸性α−アミラーゼ(10
単位)を、数種のpHで15分間処理後、残存活性を測定
し、本願発明の酸性α−アミラーゼのpH安定性、及びカ
ルシウムイオン添加による酵素活性への影響を調べた。
結果を表5に示した。
【0059】
【表5】
【0060】表5より明らかなように、本願発明の酸性
α−アミラーゼはpH4.5〜5.0まで安定であり、そのpH安
定性はカルシウムイオンの有無に依存しなかった。
【0061】(実施例3) (澱粉の液化)約40(W/V)%のコーンスターチスラリー
に15u/gDS(DS:基質乾物)の酸性α−アミラーゼを添加
し、スラリーのpHをHCl/NaOHにて4.5に調整した後、予
め90℃程度に保持した水中に徐々に添加した。添加終了
後、90℃でさらに10分間保持した後、温度を130℃に上
昇させた。上昇後、同温度で10分間保持した。約90℃に
冷却後、再度α−アミラーゼ 10u/gDSを添加し、90℃で
さらに60分間保持した。対照として現在工業的に使用さ
れている市販のα−アミラーゼ剤「スピターゼHS」
(ナガセ生化学工業(株)製)をpH6で用いてテストを行
った。その結果を表6に示した。なお、スピターゼHS
の場合は、スラリーのpH調整をCa(OH)2で行った。
【0062】
【表6】
【0063】本願発明の酸性α-アミラーゼは、従来使
用されている中性α-アミラーゼと比べても、遜色がな
いことがわかる。
【0064】(実施例4) (液化した澱粉の糖化)実施例3で得られた澱粉液化液
に、本願発明の酸性α-アミラーゼを用いる場合にはpH
を調整することなく、市販の糖化酵素剤「アミラックス
プラス」(ナガセ生化学工業(株)製)4u/gDSを添加し、
60℃にて48時間糖化反応を行った。スピターゼを用いた
場合には、pHを4.5に調整して、同様に行った。その結
果を表7に示した。
【0065】
【表7】
【0066】本願発明の酸性α-アミラーゼを用いた場
合には、濾過性およびG1収率において従来使用されて
いる中性α-アミラーゼに比べて良好な結果が得られ
た。
【0067】
【発明の効果】本願発明の新規酸性α−アミラーゼは、
高温かつ酸性条件下で澱粉の液化に使用され得る。酸性
条件下で反応を行うことにより、アルカリ異性化による
糖化後のグルコース収量の低下が避けられる。また、活
性にカルシウムイオンを必要としないので、従来の酵素
を用いる場合に必要とされたカルシウムの添加が不要と
なるため、負荷の大きいカルシウムイオンの除去工程が
省略できるとともに、グルコアミラーゼを用いる糖化工
程で、再度pHを調製する必要がなく、グルコース製造
工程における著しい改善が可能となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C12S 3/02 C12R 1:07) (72)発明者 足立 朋子 京都府福知山市長田野町1−52 ナガセ生 化学工業株式会社福知山工場内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】以下の理化学的性質を有する酸性α−アミ
    ラーゼ: 1)基質特異性:澱粉に作用し、主としてマルトペンタ
    オースおよびマルトヘキサオースを生成する; 2)至適pH:約pH4.0である; 3)pH安定性:100mM酢酸緩衝液中で90℃、15分間の加
    熱条件下で約pH4.5〜5.0で安定である; 4)温度安定性:100mM酢酸緩衝液中pH4.5において15分
    間保持した場合、80℃まで安定である; 5)至適温度:約80℃〜90℃である; 6)分子量:ゲル濾過法で約55,000〜60,000である;お
    よび、 7)等電点:約4.2である。
  2. 【請求項2】さらに、至適温度が3mMのカルシウムイオ
    ンの存在による影響を受けない、請求項1に記載の酸性
    α-アミラーゼ。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の酸性α−アミラーゼを製
    造する方法であって、バチルス属に属する微生物を培養
    する工程を包含する、方法。
  4. 【請求項4】前記微生物がバチルス アシドカルダリウ
    ス(Baci llus acidocald arius)である請求項3記載の製
    造方法。
  5. 【請求項5】前記微生物がバチルス アシドカルダリウ
    ス(Baci llus acidocald arius) KSTM-2037株である請求
    項4記載の製造方法。
  6. 【請求項6】澱粉を液化する方法であって、請求項1ま
    たは請求項2に記載の酸性α−アミラーゼと澱粉とを反
    応させる工程を包含する、方法。
  7. 【請求項7】前記酸性α−アミラーゼがバチルス アシ
    ドカルダリウス(Ba cillus acidoca ldarius)から得られ
    る、請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】前記微生物が、バチルス アシドカルダリ
    ウス(Bacillus acidocaldarius) KSTM-2037株である、
    請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】前記反応が、85℃以上の温度で、pHが4.0
    から5.5の間で行われる、請求項8に記載の方法。
  10. 【請求項10】前記反応が、カルシウムを添加しない、
    請求項8に記載の方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1435391A1 (en) * 2001-12-19 2004-07-07 Genencor International, Inc. A process for hydrolyzing starch without pH adjustment
EP1435390A1 (en) 2001-12-19 2004-07-07 Genencor International, Inc. A process for hydrolyzing starch without ph adjustment
WO2005058343A1 (ja) * 2003-12-17 2005-06-30 Two Cells Co., Ltd. ストレプトコッカス・ミュータンス及びストレプトコッカス・ソブリヌスに対する殺菌剤

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