JPH10135148A - レーザー照射システム及びその応用方法 - Google Patents

レーザー照射システム及びその応用方法

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JPH10135148A
JPH10135148A JP30595796A JP30595796A JPH10135148A JP H10135148 A JPH10135148 A JP H10135148A JP 30595796 A JP30595796 A JP 30595796A JP 30595796 A JP30595796 A JP 30595796A JP H10135148 A JPH10135148 A JP H10135148A
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semiconductor thin
thin film
film
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直人 楠本
Shunpei Yamazaki
舜平 山崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 線状のエキシマレーザーを用いた非晶質珪素
膜の結晶化に際して、得られる結晶性珪素膜の結晶性の
むらを改善する。 【解決手段】 スピンエッチャー318を備えた室31
5において、非晶質珪素膜の表面に形成された酸化膜を
除去し、その後に非酸化性の雰囲気中において、レーザ
ー照射室304でのレーザー光の照射を行い、非晶質珪
素膜の結晶化を行う。こうすることで、結晶性の均一な
結晶性珪素膜を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本明細書で開示する発明は、
レーザー光の照射を行い各種処理を行うシステムに関す
る。またその応用方法に関する。例えば、半導体にレー
ザー光を照射することにより、各種アニールを行うシス
テム及びその応用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体薄膜にレーザー光を照射すること
により各種アニールを行う技術が知られている。例え
ば、ガラス基板上に薄膜トランジスタを作製する際に、
まず非晶質珪素膜(アモファスシリコン膜)をガラス基
板上にプラズマCVD法等で成膜し、それにパルス発振
型で紫外光領域の発振を行うエキシマレーザー光を照射
することにより、結晶性珪素膜を得る技術が知られてい
る。
【0003】エキシマレーザーが利用されるのは、珪素
膜のアニールに適するような照射エネルギー密度が得ら
れるからである。また、紫外光領域を利用するのは、珪
素の結晶化や珪素膜中における不純物元素を活性化させ
るのに適する波長だからである。
【0004】しかし、通常のレーザー光は数mm角程度
のスポット状のビーム形状であるので、数十cm角の大
きさを有するガラス基板を利用した際等に生産性が問題
となる。
【0005】この問題を解決するために、レーザー光を
光学系により、長さ数十cmの線状に加工し、この線状
のレーザービーム(線状レーザーと称する)を走査する
ことにより、大面積への対応を行う技術が知られてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記線状レーザーを用
いた方法により、薄膜トランジスタを作製じた場合、以
下のような問題が生じる。薄膜トランジスタを作製する
場合、それが単体で作製されるのではなく、集積化した
ものとして作製される。
【0007】例えば、周辺駆動回路を一体化したアクテ
ィブマトリクス型の液晶表示装置に薄膜トランジスタを
利用する場合、周辺駆動回路を構成するシフトレジスタ
やバッファー回路、さらにアナログスイッチ回路といっ
た回路は、同じ回路パターンが繰り返されて配置される
ものとなる。
【0008】このような構成を得るために線状のレーザ
ー光を利用すると、得られた液晶ディスプレイの表示に
細かい縞模様が観察される。この縞模様はその長手方向
が直交した2種類に分類される。即ち、縦縞及び横縞と
して観察される。
【0009】なお、レーザー光の走査方向を90°回転
させても、やはり縦縞及び横縞は観察される。
【0010】本発明者らの知見によれば、上記の縦縞及
び横縞は、線状のレーザービームの長手方向における照
射エネルギー密度のバラツキ、及び走査方向におけるレ
ーザーエネルギー密度のバラツキに関係する。
【0011】線状のレーザービームの長手方向における
照射エネルギー密度のバラツキは、発振器内部における
放電開始箇所のバラツキに起因して、発振器から出るレ
ーザー光の密度分布に偏りが生じ、それが光学系におい
て拡大される結果として生じる。
【0012】上記線状のレーザービームの長手方向にお
ける照射エネルギー密度のバラツキは、レーザー発振器
内部における空間的な発振位置のバラツキによるものと
理解することができる。
【0013】また、線状のレーザービームの走査方向お
ける照射エネルギー密度のバラツキは、発振器の安定
性、即ち発振毎における照射エネルギー密度のバラツキ
に起因する。
【0014】これは、レーザー発振器の時間的な発振強
度のバラツキによるものと理解することができる。
【0015】上記の時間的及び空間的なレーザー発振の
バラツキは、レーザー発振器の構造や発振方法に起因す
るものである。本明細書で開示する発明は、以下の事項
を前提とし、大面積へのアニール効果の不均一性を解決
することを課題とする。
【0016】(1)パルス発振型のエキシマレーザーを
利用する。 (2)光学系により成形した線状のレーザー光を利用す
る。 (3)レーザー発振器からのレーザー光が上述したよう
なエネルギー密度のゆらぎを有している。
【0017】
【課題を解決するための手段】本明細書で開示する発明
の一つは、半導体薄膜に対してレーザー光の照射を行う
レーザーシステムであって、レーザー光の照射を行う前
に半導体薄膜表面の不純物膜(特に酸化膜)を除去する
手段を有することを特徴とする。
【0018】他の発明の構成は、半導体薄膜に対してレ
ーザー光の照射を行うレーザーシステムであって、レー
ザー光の照射を行う前に半導体薄膜表面の不純物膜を除
去する手段と、レーザー光の照射時に半導体薄膜を冷却
する手段と、を有することを特徴とする。
【0019】他の発明の構成は、半導体薄膜に対してレ
ーザー光の照射を行うレーザーシステムであって、レー
ザー光の照射を行う気密性を有するチャンバーと、半導
体薄膜表面の不純物膜を除去する手段を有する気密性を
有するチャンバーと、半導体薄膜を加熱する機能を有す
る気密性を有するチャンバーと、を有することを特徴と
する。
【0020】他の発明の構成は、半導体薄膜に対してレ
ーザー光の照射を行うレーザーシステムであって、レー
ザー光の照射を行う気密性を有する第1のチャンバー
と、半導体薄膜表面の不純物膜を除去する手段を有する
気密性を有する第2のチャンバーと、半導体薄膜を加熱
する機能を有する気密性を有する第3のチャンバーと、
を有し、第1のチャンバーには、半導体薄膜を冷却する
機能を有し、前記各チャンバー間においては、気密性を
保って試料の搬送が行えることを特徴とする。
【0021】他の発明に構成は、半導体薄膜に対してレ
ーザー光の照射を行うレーザーシステムであって、レー
ザー光の照射を行う気密性を有する第1のチャンバー
と、半導体薄膜表面の不純物膜を除去する手段を有する
気密性を有する第2のチャンバーと、半導体薄膜を加熱
する機能を有する気密性を有する第3のチャンバーと、
を有し、第1のチャンバーには、半導体薄膜を冷却する
機能を有し、前記各チャンバーは内部を非酸化性雰囲気
に保つ機能を有し、前記各チャンバー間においては、非
酸化性雰囲気を保って試料の搬送が行えることを特徴と
する。
【0022】上記構成において、非酸化性雰囲気とし
て、不活性雰囲気または還元雰囲気または減圧雰囲気が
選択される。
【0023】不活性雰囲気としては、窒素、アルゴン、
ヘリウム、キセノンから選ばれた一種または複数種類で
なる雰囲気を挙げることができる。
【0024】還元雰囲気としては、水素及び/または一
酸化炭素雰囲気、または水素及び/または一酸化炭素雰
囲気を含有する雰囲気を挙げることができる。
【0025】減圧雰囲気というのは、酸化が進行しない
程度に減圧状態なっている雰囲気、または高真空状態の
ことをいう。
【0026】また、上記の各雰囲気を組み合わせる構成
としてもよい。例えば、雰囲気を一端不活性雰囲気に置
換し、それから減圧状態とすることにより、雰囲気中で
の酸化を極力抑制するような構成としてもよい。
【0027】他の発明は、レーザー光の照射を行う前に
半導体薄膜表面の不純物膜を除去する手段を有するレー
ザー照射システムの応用方法であって、半導体薄膜表面
の不純物膜を除去した後に非酸化性雰囲気を保った状態
でレーザー光の照射を半導体薄膜表面に行うことを特徴
とする。
【0028】他の発明の構成は、レーザー光の照射を行
う気密性を有する第1のチャンバーと、半導体薄膜表面
の不純物膜を除去する手段を有する気密性を有する第2
のチャンバーと、半導体薄膜を冷却する機能を有する気
密性を有する第3のチャンバーと、を有し、第1のチャ
ンバーには、半導体薄膜を冷却する機能を有し、前記各
チャンバー間においては、気密性を保って試料の搬送が
行えるレーザー照射システムの応用方法であって、半導
体薄膜表面の不純物膜を除去した後に非酸化性雰囲気の
気密性を保った状態で冷却された半導体薄膜に対してレ
ーザー光を照射することを特徴とする。
【0029】なお、本明細書で開示する発明は、気相法
で成膜された非晶質珪素膜を結晶化させる技術のみでは
なく、結晶性珪素膜に対する不純物イオンの注入後のア
ニール技術にも利用することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】不純物膜を除去することにより、
レーザー照射後の膜質が安定するのは、非晶質珪素膜と
不純物膜との熱伝導率の違いに起因する。不純物膜と
は、酸化物、有機物、窒化物を少なくも一つ含む膜であ
る。特に酸化物(酸化珪素)は非晶質珪素膜の表面に形
成され易く、その影響が大きい。以下においては、主に
非晶質珪素膜の表面に形成される酸化膜について説明す
る。
【0031】厚さが1000Å以下であるような非晶質
珪素膜は、膜中の不均一性が顕著に現れてしまう。当
然、そのような非晶質珪素膜上に形成された酸化膜にも
不均一性が現れる。このことは、酸化膜以外の場合のも
言えるが、酸化膜(自然酸化膜も含む)の場合が最もそ
の傾向が顕著になる。
【0032】エキシマレーザー光には、そもそも時間的
及び空間的にゆらぎが存在する。レーザー光が非晶質珪
素膜に照射されると、そこから周囲に熱が瞬間的に伝導
するのであるが、その伝導状態は、レーザー自体の照射
エネルギー密度のバラツキと上記膜の不均一性を反映し
たものとなる。
【0033】線状のレーザーを利用した場合、熱伝導に
より結晶化した端部にこの不均一性が現れる。当然この
端部は線状(筋状)なものとなる。エキシマレーザーを
利用した場合、パルス発振により、次々とレーザー光が
照射されるが、この時上記線状の領域は、レーザー発振
の不均一性と非晶質珪素膜と酸化膜の不均一性とを反映
したものとして現れる。
【0034】換言すれば、レーザー発振の不均一性と非
晶質珪素膜と酸化膜の不均一性とが相乗して、さらに強
調されたものとして現れる。
【0035】そして、これが縞模様状に結晶状態(膜
質)が変化してしまうものとして観察される。
【0036】酸化珪素膜の熱伝導率は、非晶質珪素膜の
それに比較して、数パーセント以下である。従って、非
晶質珪素膜の表面に酸化膜が存在すると、上記の不均一
性がさらに助長されたものとなる。
【0037】また、レーザー照射時の加熱も上記の不均
一性(熱伝導の不均一性)をさらに助長するものとな
る。
【0038】また、膜厚が400Å以下というように薄
くなる場合も上記の膜質の不均一性が顕在化する。
【0039】
【実施例】
〔実施例1〕図1に本実施例で示すレーザーシステムの
上面から見た概要を示す。図において、310、30
9、304、315、301が気密性を有するチャンバ
ーである。各チャンバーには、真空排気ポンプ、不活性
ガス導入系が配置されている。
【0040】310で示されるチャンバーは、試料(基
板)をシステムに搬入するためのロード室である。30
9が試料を加熱するための加熱室である。304は、線
状のレーザー光を試料に捜査しながら照射するためのチ
ャンバーである。315は、試料(非晶質珪素膜)の表
面の酸化膜を除去するためのチャンバーである。301
は、各チャンバーに対して共通に配置された試料の搬送
室である。
【0041】以下に動作の一例を示す。ここでは、試料
としてガラス基板上に非晶質珪素膜が成膜されたものを
用いる例を示す。
【0042】最初、全てのチャンバーは、一端高真空状
態に真空引きがされた後、さらに窒素によりパージされ
ている状態(常圧)とする。また全てのゲイトバルブ3
11、318、313、314を閉鎖した状態とする。
【0043】まず、試料は多数毎が収納されたカセット
313毎前室312に搬入される。カセット312の搬
入後、図示しない前室312の扉を閉鎖する。
【0044】この状態において、ゲイトバルブ311を
開け、カセット313から試料を1枚(例えば300で
示される)ロボットアーム302によって搬送室301
に取り出す。この際、搬入室310において基板の位置
合わせが行われる。
【0045】ここでゲイトバルブ311を閉鎖し、つい
でゲイトバルブ308を開ける。そして加熱室309へ
の試料を移送する。加熱室309では、400℃の温度
で30分の加熱処理が行われ、非晶質珪素膜中の水素の
離脱が促進される。
【0046】この加熱処理は、窒素雰囲気中で行い、膜
の表面に酸化膜が形成されないようにする。
【0047】水素の離脱を行うのは、後の結晶化工程に
おいて、水素の密度が低い法が膜の結晶化がより促進さ
れ、高い結晶性が得られるからである。
【0048】加熱室309には、ロボットアームにより
次々に試料が搬入され、同じタイミングでもって、外部
に搬出される。加熱室309外に搬出された試料は、ロ
ボットアーム302により、エッチング室315に搬入
される。この際、ゲイトバルブ314の開閉が行われ
る。
【0049】エッチング室315では、試料がスピナー
316上に配置され、ノズル317から滴下されるエッ
チング液(BHFまたはHF溶液)により、試料上に非
晶質珪素膜表面のエッチング(酸化膜の除去)が行われ
る。
【0050】この際、非晶質珪素膜の表面の酸素は除去
され、弗素によってその表面がターミネイトされた状態
が得られる。
【0051】酸化膜の除去後、図示しない別のノズルか
ら純水を噴射させ、試料の線状を行う。さらに図示しな
いノズルから窒素噴射を行い試料を乾燥させる。
【0052】なお、318で示されるのはカップと呼ば
れる溶液が飛び散らないようにするための遮蔽物であ
る。
【0053】次にゲイトバルブ314を開け、ロボット
アーム302により、試料を搬送室301に搬出する。
そしてゲイトバルブ303を閉め、さらにゲイトバルブ
303を開ける。そして試料をレーザー室304に搬入
する。試料の搬入後、ゲイトバルブ303は閉鎖する。
【0054】レーザー室304では、1次元的に移動す
るステージ305に配置されたペルチャ素子を利用した
冷却手段を備えたステージ306は配置されている。そ
してステージ306上に置かれた試料に対して、線状の
レーザーが照射される。この際、ステージ305がレー
ル307に沿って移動することで、走査しながらのレー
ザー光の照射が行われる。
【0055】また、レーザー光の照射の際、試料はステ
ージ306から冷却される。冷却温度は、室温〜−10
℃程度とする。
【0056】レーザー光の照射が終了したら、ゲイトバ
ルブ303を開け、試料をロボットアーム302によっ
て搬送室301に取り出し、さらにゲイトバルブ303
の閉鎖、ゲイトバルブ311を開けて、カセット313
にレーザー結晶化処理の終了した試料の搬入を行う。
【0057】以上の工程を繰り返し行うことにより、カ
セット313に収納された全ての試料の結晶化を行う。
【0058】〔実施例2〕本実施例では、酸化膜さらに
はその他不純物膜の除去を行う手段として、ドライエッ
チング方法を採用したシステムの場合を示す。
【0059】図2の本実施例の概要を示す。図1と同じ
符号は、実施例1に示したものと同じである。図2に示
すシステムが図1と異なるのは、ゲイトバルブ401で
搬送室301と連結されたエッチングチャンバー402
には、電極404(平行平板電極の一方)上に配置され
た試料403に対して、ドライエッチングを行い、表面
の酸化膜を除去する構成とした点である。
【0060】〔実施例3〕図3に非晶質珪素膜の表面に
形成されている酸化膜を除去した場合としない場合とに
おけるレーザー照射後の膜の見かけ上の屈折率とレーザ
ー照射時の照射エネルギー密度との関係を示す。
【0061】屈折率は、エリプソメトリで計測し、エネ
ルギー照射密度は、照射されたレーザー光の一部を外部
に取り出し、それをディテクターで計測した値から求め
たものである。これらの計測値は、絶対的なものではな
く、相対的なものである。
【0062】またレーザー光は、線状にビーム加工され
たKrFエキシマレーザー(波長248nm)を利用し
たものである。
【0063】利用した試料は、プラズマCVD法で成膜
した厚さ500Åの非晶質珪素膜を空 気中において4
50℃の温度で1時間加熱し、膜中の水素を離脱させた
ものを用いた。
【0064】酸化膜は、上記水素出しの加熱処理中に形
成されたものである。また、その膜厚は数十Å程度であ
る。
【0065】また、酸化膜の除去の方法は、バッファー
ドフッ酸によるウェットエッチングによるものである。
【0066】屈折率が、その値が小さい程、膜表面の荒
れが大きく、またその結晶性が優れていることを示して
いる。
【0067】なお、この膜表面荒れと結晶性との関係
は、一見矛盾しているようであるが、レーザー光の照射
によって得られた結晶性珪素膜においては、一般的に膜
表面の荒れが大きい方が膜の結晶性が高いというデータ
が得られている。
【0068】図3から明らかなように、レーザー光の照
射エネルギー密度の変化に対しての屈折率の変化、即ち
レーザー光の照射エネルギー密度の変化に対しての結晶
性と表面の荒れの程度は、酸化膜を除去した試料の場合
の方が小さい。
【0069】これは、酸化膜を除去した試料において
は、そうでない試料に比較して、照射エネルギー密度の
バラツキに対して、膜質の変化が小さいことを示してい
る。即ち、不可避に発生してしまうエネルギー密度のゆ
らぎに対して、得られる膜質(換言すればアニール効
果)の変化が小さいことを示している。
【0070】図4に示すには、出発膜である非晶質珪素
膜の膜厚と、得られた結晶性珪素膜のラマン強度変動の
関係を示したものである。なお利用した試料の作製条件
は、図3に示すデータを得たものと同じである。
【0071】図4から明らかなように、出発膜の膜厚が
400Å以上であれば、得られる結晶性珪素膜のラマン
強度、即ち得られる結晶性珪素膜の結晶性はそれ程変動
しないことがわかる。
【0072】図5に示すのは、レーザー光の照射時にお
ける温度(基板加熱温度)と得られた結晶性珪素膜のラ
マン強度との関係を示すものである。なお利用した試料
の作製条件は、図3に示すデータを得たものと同じであ
る。
【0073】図5から明らかなように、加熱をする程、
得られる膜のラマン強度(結晶性を反映したものと解釈
される)の変動は大きくなる。特に、試料である非晶質
珪素膜の膜厚が300Åの場合は、膜厚が500Åの場
合に比較してこの傾向が極めて顕著になる。
【0074】即ち、図5からは、レーザー光を照射する
対象となる非晶質珪素膜の膜厚は、300Åより500
Åの方が良く、また加熱は行わず25℃(室温)でレー
ザー光の照射を行うことが良い、という結論が得られ
る。
【0075】また、図9に非晶質珪素膜に対するレーザ
ー光の照射時における酸化膜の有無、さらに加熱の有無
における得られた結晶性珪素膜の表面を写した写真を示
す。
【0076】図9(A)は、酸化膜の除去を行わず、室
温でレーザー光を照射した場合に得られる結晶性珪素膜
の表面を写した写真である。この写真は、ランプからの
光を膜の表面に反射させて、膜質のムラが現れやすいよ
うにして、写真撮影を行ったものである。
【0077】図9(B)は、酸化膜の除去を行い、40
0℃の加熱状態でレーザー光を照射した場合に得られる
結晶性珪素膜の表面を写した写真である。
【0078】図9(C)は、酸化膜の除去を行い、室温
でレーザー光を照射した場合に得られる結晶性珪素膜の
表面を写した写真である。
【0079】(A)〜(C)の写真を見れば判るよう
に、酸化膜の除去を行うことにより、縞状のムラ(これ
は結晶性の不均一性を反映したものと考えられる)が少
なくすることができる。さらにレーザー照射時に加熱を
行わないことで、縞状のムラをより少なくすることがで
きる。
【0080】以上、図3〜図5及び図9に示すデータよ
り、レーザー光の照射エネルギー密度の変動に対しての
影響を抑制するたの対策して以下の事項が導かれる。
【0081】(1)非晶質珪素膜表面の酸化膜を徹底し
て除去してから、レーザー光の照射を行う。 (2)非晶質珪素膜表面の膜厚は、400Å以上とす
る。また、紫外領域の光の吸収状態を考慮すると、その
膜厚の上限は1000Å以下、好ましくは800Å以下
とする。 (3)レーザー光の照射時には、試料を加熱しない。さ
らには冷却する。
【0082】上記の要素を少なくとも一つ満たすことに
より、照射エネルギー密度の変動に対して得られる膜質
の変化を小さいものとすることができる。
【0083】上記(1)〜(3)の要素は、できるだけ
多くの満足することが好ましい。従って、できることな
ら上記(1)〜(3)に要素を全て満足することがより
好ましい。
【0084】なお上記(2)に膜厚の条件を1000Å
とするのは、それ以上の膜厚になると、レーザーの吸収
が膜表面付近に集中し、厚さ方向における結晶性の違い
が顕在化するからである。またレーザー光の照射による
結晶化をより効果的に行うには、その膜厚を800Å以
下とすることがより好ましい。
【0085】〔実施例4〕本実施例では、周辺駆動回路
一体型のアクティブマトリクス型の液晶表示装置の作製
工程を示す。
【0086】図6に作製工程を示す。まずガラス基板
(または石英基板)501上に図示しない下地膜を成膜
する。ここでは、図示しない下地膜としてスパッタ法に
より、酸化珪素膜を3000Åの厚さに成膜する。
【0087】次にプラズマCVD法(または減圧熱CV
D法)により、非晶質珪素膜502を500Åの厚さに
成膜する。こうして図6(A)に示す状態を得る。
【0088】次に実施例1または実施例2に示したシス
テムを利用してレーザー光の照射を行い、非晶質珪素膜
502を結晶化させ、結晶性珪素膜を得る。結晶性珪素
膜を得たら、それをパターニングすることにより、図6
(B)の51、52、53で示される薄膜トランジスタ
の活性層を形成する。
【0089】ここで、51がPTFTの活性層であり、
52がNTFTの活性層である。この2つのTFTでも
って、周辺駆動回路を構成するCMOSが構成される。
また、53が画素に配置されるNTFTの活性層であ
る。
【0090】ゲイト絶縁膜として機能する酸化珪素膜5
03をプラズマCVD法により、1000Åの厚さに成
膜する。さらに図示しないアルミニウム膜をスパッタ法
により4000Åの厚さに成膜し、それをパターニング
することにより、ゲイト電極504、505、506を
形成する。
【0091】次に得られたゲイト電極のパターンを陽極
とした陽極酸化を行うことにより、陽極酸化膜507、
508、509を1000Åの厚さに形成する。陽極酸
化膜は、ゲイト電極を電気的及び物理的に保護する機能
を有している。こうして図6(B)に示す状態を得る。
【0092】ここでは、低抵抗を有するアルミニウムを
材料として、ゲイト電極を構成する例を示すが、他の導
電性材料を利用するのでもよい。
【0093】次に図6(B)に示す状態において、導電
型を付与するための不純物元素のドーピングを行う。こ
こでは、まずPTFTを構成する活性層に対して、選択
的にB(ボロン)のドーピングをプラズマドーピング法
でもって行い、次にNTFTを構成する活性層に対し
て、選択的にP(リン)のドーピングをプラズマドーピ
ング法でもって行う。
【0094】こうして、周辺駆動回路を構成するPTF
Tのソース領域507、チャネル領域508、ドレイン
領域509が自己整合的に形成される。また、周辺駆動
回路を構成するNTFTのソース領域512、チャネル
領域511、ドレイン領域510を自己整合的に形成さ
れる。また、画素マトリクスに配置されるNTFTのソ
ース領域513、チャネル領域514、ドレイン領域5
15が自己整合的に形成される。こうして図6(C)に
示す状態を得る。
【0095】なお、本実施例においては、陽極酸化膜5
07、508、509が存在する関係で、その厚さの分
でオフセットゲイト領域がチャネルとソース/ドレイン
領域の間に形成される。しかし、その寸法は1000Å
(実際はプラズマドーピング時における注入イオンの回
り込みにより、さらに小さくなると考えられる)程度で
あるので、ここではその存在は無視する。なお、陽極酸
化膜の膜厚を2000Å程度以上といように厚くした場
合には、オフセットゲイト領域の効果が顕在化する。
【0096】次に第1の層間絶縁膜として、2000Å
厚の窒化珪素膜516とポリイミド樹脂でなる膜517
を積層する。ここでは、窒化珪素膜をプラズマCVD法
により成膜し、ポリイミド樹脂でなる膜をスピンコート
法でもって成膜する。
【0097】そしてコンタクトホールの形成を行い、周
辺駆動回路のPTFTのソース電極518、NTFTの
ソース電極520、両TFTに共通のドレイン電極51
9を形成する。これで、PTFTとNTFTとが相補型
に構成されたCMOSが得られる。
【0098】さらに、画素マトリクスに配置されるNT
FTのソース電極521とドレイン電極522とを形成
する。ここで、ソース電極521は、ゲイト配線と共に
画素マトリクス領域において格子状に配置されたソース
配線から延在したものとして形成される。こうして図6
(D)に示す状態を得る。
【0099】次に第2の層間絶縁膜として、ポリイミド
樹脂でなる絶縁膜523をスピンコート法でもって成膜
する。そしてコンタクトホールの形成を行い、ITOで
もって画素電極524を形成する。
【0100】こうして図6(E)に示す周辺駆動回路と
アクティブマトクス回路とを同一ガラス基板上に集積化
したアクティブマトリクス型の液晶ディスプレイを構成
する片方の基板が完成する。
【0101】なお、液晶ディスプレイを構成するには、
さらに配向膜の形成、配向処理等が必要とされる。
【0102】〔実施例5〕図7に図1や図2で示すレー
ザージステムに利用される光学系の概略を示す。図7に
おいて、発振器101から発振されたレーザー光は、レ
ンズ102とレンズ103で構成される光学系によっ
て、所定のビーム形状と所定のエネルギー密度の分布を
有したレーザー光にまず成形される。
【0103】そしてこのレーザー光は3つのホモジナイ
ザー11、12、13によってそのビーム内エネルギー
密度の分布が補正される。
【0104】ホモジナイザー11は、最終的に線状に成
形されるレーザービームの幅方向におけるビーム内エネ
ルギー密度の補正を行なう役割を担っている。しかし、
線状レーザービームの幅方向の寸法は、数mm程度であ
るので、このホモジナイザー604が果たす役割はそう
大きなものではない。
【0105】換言すれば、ホモジナイザー11の光学パ
ラメータの設定や調整はそれ程微妙なものではない。
【0106】ホモジナイザー12と13は、最終的に線
状に成形されるレーザービームの長手方向におけるビー
ム内エネルギー密度の補正を行なう役割を担っている。
【0107】レーザービームは、長手方向に10cm以
上も引き延ばされるので、このホモジナイザー12と1
3の光学パラメータの設定は慎重に行なう必要がある。
【0108】ここでは、レーザービームの長手方向にお
ける照射エネルギー密度の分布をより均一化するために
12と13で示されるようにレーザービームの長手方向
における照射エネルギー密度の分布を制御するホモジナ
イザーを2つ配置する。
【0109】106と107と109で示されるレンズ
は、レーザービームを線状に成形する役割を担ってい
る。即ち、レンズ106と109とはレーザービームを
幅方向に狭めるために機能する。また、レンズ107は
2つのホモジナイザー12及び13と共同してレーザー
ビームを長手状に引き延ばすために機能する。
【0110】図7に示す構成においては、線状に成形さ
れたレーザービームの長手方向における照射エネルギー
密度の制御を12及び13の2つのホモジナイザーによ
って行っている。
【0111】このように2つのホモジナイザーを利用す
ることにより、線状のレーザー光の長手方向における照
射エネルギー密度の分布をより均一化することができ
る。そして、線状のレーザー光の照射によるアニール効
果を均一なものとすることができる。なおホモジナイザ
ーの数は必要に応じてさらに増やしてもよい。
【0112】また、それ程の均一性が要求されない線状
のレーザービームの幅方向においては一つのホモジナイ
ザーを配置し、必要とする均一性を得ている。
【0113】〔実施例6〕本実施例は、図7に示す光学
系と基本的に同じ構成を有するが、各種光学パラメータ
の設定が少し異なる構成の例である。
【0114】図8に本実施例の構成を示す。図8に示す
構成においては、ホモジナイザー12と13の位置関係
が図1に示す場合と異なっている。この場合、ホモジナ
イザー12と13の位置関係の変更に従って、各レンズ
の光学パラメーターのー設定も図7の場合とは変更する
必要がある。
【0115】図8に示す構成においても線状のレーザー
ビームの長手方向における照射エネルギー密度の均一化
をより計ることができる。
【0116】〔実施例7〕本実施例は、加熱室309で
の水素出しのための加熱を酸化性の雰囲気中(例えば、
空気雰囲気または酸素雰囲気)で行うものである。こう
すると、非晶質珪素膜の表面に数十Å程度の熱酸化膜が
自然酸化膜に重ねてさらに形成される。
【0117】しかし、この際、非晶質珪素膜の表面に付
着した有機物の除去が行われる。こうすることで、レー
ザー結晶化の際に有機物の影響により、結晶化が阻害さ
れたり、むらになってしまったりすることを抑制するこ
とができる。
【0118】なお、形成された熱酸化膜はエッチングで
除去すればよいので、何ら問題はない。
【0119】
【発明の効果】本明細書で開示する発明を利用すること
により、大面積へのアニール効果の不均一性を解決する
ことができる。即ち、レーザー発振器からのレーザー光
の照射エネルギー密度が時間的に、また位置的にゆらい
でも、その影響が非晶質珪素膜のアニール時に現れるこ
とを抑制することができる。そして、縞模様表示の無い
周辺駆動回路一体型のアクティブマトリクス型の液晶表
示装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 レーザー照射システムの概略を示す図。
【図2】 レーザー照射システムの概略を示す図。
【図3】 非晶質珪素膜表面の酸化膜がレーザー結晶化
時に与える影響を示す図。
【図4】 レーザーアニール後のラマン強度と非晶質珪
素膜の膜厚の関係を示す図。
【図5】 レーザー照射時の試料の温度とラマン強度と
の関係を示す図。
【図6】 周辺駆動回路一体型のアクティブマトリクス
型の液晶表示装置のTFT部分の作製工程を示す図。
【図7】 光学系の概略を示す図。
【図8】 光学系の概略を示す図。
【図9】 レーザー照射後の結晶性珪素薄膜の表面の状
態を示す写真。
【符号の説明】
300 試料 301 搬送室 302 ロボットアーム 303 ゲイトバルブ 304 レーザー照射室 305 移動ステージ 306 ステージ(冷却手段付き) 307 レール 308 ゲイトバルブ 309 加熱室 310 搬入室 311 ゲイトバルブ 312 前室 313 試料を収納したカセット 314 ゲイトバルブ 315 エッチング室 316 スピナー 317 ノズル 318 カップ

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】半導体薄膜に対してレーザー光の照射を行
    うレーザーシステムであって、 レーザー光の照射を行う前に半導体薄膜表面の不純物膜
    を除去する手段を有することを特徴とするレーザー照射
    システム。
  2. 【請求項2】半導体薄膜に対してレーザー光の照射を行
    うレーザーシステムであって、 レーザー光の照射を行う前に半導体薄膜表面の不純物膜
    を除去する手段と、 レーザー光の照射時に半導体薄膜を冷却する手段と、 を有することを特徴とするレーザー照射システム。
  3. 【請求項3】半導体薄膜に対してレーザー光の照射を行
    うレーザーシステムであって、 レーザー光の照射を行う気密性を有するチャンバーと、 半導体薄膜表面の不純物膜を除去する手段を有する気密
    性を有するチャンバーと、 半導体薄膜を加熱する機能を有する気密性を有するチャ
    ンバーと、 を有することを特徴とするレーザー照射システム。
  4. 【請求項4】半導体薄膜に対してレーザー光の照射を行
    うレーザーシステムであって、 レーザー光の照射を行う気密性を有する第1のチャンバ
    ーと、 半導体薄膜表面の不純物膜を除去する手段を有する気密
    性を有する第2のチャンバーと、 半導体薄膜を加熱する機能を有する気密性を有する第3
    のチャンバーと、 を有し、 第1のチャンバーには、半導体薄膜を冷却する機能を有
    し、 前記各チャンバー間においては、気密性を保って試料の
    搬送が行えることを特徴とするレーザー照射システム。
  5. 【請求項5】半導体薄膜に対してレーザー光の照射を行
    うレーザーシステムであって、 レーザー光の照射を行う気密性を有する第1のチャンバ
    ーと、 半導体薄膜表面の不純物膜を除去する手段を有する気密
    性を有する第2のチャンバーと、 半導体薄膜を加熱する機能を有する気密性を有する第3
    のチャンバーと、 を有し、 第1のチャンバーには、半導体薄膜を冷却する機能を有
    し、 前記各チャンバーは内部を非酸化性雰囲気に保つ機能を
    有し、 前記各チャンバー間においては、非酸化性雰囲気を保っ
    て試料の搬送が行えることを特徴とするレーザー照射シ
    ステム。
  6. 【請求項6】請求項1乃至請求項5において、 レーザーは、線状にビーム加工された紫外領域の波長を
    有するエキシマレーザーであることを特徴とするレーザ
    ー照射システム。
  7. 【請求項7】請求項1乃至請求項5において、 不純物膜の除去をウエットエッチング法またはドライエ
    ッチング法で行うことを特徴とするレーザー照射システ
    ム。
  8. 【請求項8】請求項1乃至請求項5において、 不純物膜は、酸化物、有機物、窒化物から選ばれた少な
    くとも一種類を含むことを特徴とするレーザー照射シス
    テム。
  9. 【請求項9】請求項5において、 非酸化性雰囲気として、不活性雰囲気または還元雰囲気
    または減圧雰囲気が選択されることを特徴とするレーザ
    ー照射システム。
  10. 【請求項10】レーザー光の照射を行う前に半導体薄膜
    表面の不純物膜を除去する手段を有するレーザー照射シ
    ステムの応用方法であって、 半導体薄膜表面の不純物膜を除去した後に非酸化性雰囲
    気を保った状態でレーザー光の照射を半導体薄膜表面に
    行うことを特徴とするレーザー照射システムの応用方
    法。
  11. 【請求項11】レーザー光の照射を行う気密性を有する
    第1のチャンバーと、 半導体薄膜表面の不純物膜を除去する手段を有する気密
    性を有する第2のチャンバーと、 半導体薄膜を冷却する機能を有する気密性を有する第3
    のチャンバーと、 を有し、 第1のチャンバーには、半導体薄膜を冷却する機能を有
    し、 前記各チャンバー間においては、気密性を保って試料の
    搬送が行えるレーザー照射システムの応用方法であっ
    て、 半導体薄膜表面の不純物膜を除去した後に非酸化性雰囲
    気の気密性を保った状態で冷却された半導体薄膜に対し
    てレーザー光を照射することを特徴とするレーザー照射
    システムの応用方法。
  12. 【請求項12】請求項10または請求項11において、 半導体薄膜は厚さが400Å〜1000Åの非晶質珪素
    膜であることを特徴とするレーザー照射システムの応用
    方法。
  13. 【請求項13】請求項10または請求項11において、 非酸化性雰囲気として、不活性雰囲気または還元雰囲気
    または減圧雰囲気が選択されることを特徴とするレーザ
    ー照射システムの応用方法。
  14. 【請求項14】請求項10乃至請求項11において、 レーザーは、線状にビーム加工された紫外領域の波長を
    有するエキシマレーザーであることを特徴とするレーザ
    ー照射システムの応用方法。
  15. 【請求項15】請求項10または請求項11において、 半導体薄膜は厚さが400Å〜1000Åであり、不純
    物イオンのドーピングが行われた膜であることを特徴と
    するレーザー照射システムの応用方法。
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