JP3734580B2 - 半導体装置の作製方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本明細書で開示する発明は、レーザー光の照射により、結晶化された結晶性珪素膜を利用した薄膜トランジスタの作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体薄膜にレーザー光を照射することにより各種アニールを行う技術が知られている。例えば、ガラス基板上に薄膜トランジスタを作製する際に、まず非晶質珪素膜(アモファスシリコン膜)をガラス基板上にプラズマCVD法等で成膜し、それにパルス発振型で紫外光領域の発振を行うエキシマレーザー光を照射することにより、結晶性珪素膜を得る技術が知られている。
【0003】
エキシマレーザーが利用されるのは、珪素膜のアニールに適するような照射エネルギー密度と波長が得られるからである。
【0004】
しかし、通常のレーザー光は数mm角程度のスポット状のビーム形状であるので、数十cm角の大きさを有するガラス基板を利用した際等に生産性が問題となる。
【0005】
この問題を解決するために、レーザー光を光学系により、長さ数十cmの線状に加工し、この線状のレーザービーム(線状レーザーと称する)を走査することにより、大面積への対応を行う技術が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記線状レーザーを用いた方法により、薄膜トランジスタを作製た場合、以下のような問題が生じる。薄膜トランジスタを作製する場合、それが単体で作製されるのではなく、集積化したものとして作製される。
【0007】
例えば、周辺駆動回路を一体化したアクティブマトリクス型の液晶表示装置に薄膜トランジスタを利用する場合、周辺駆動回路を構成するシフトレジスタやバッファー回路、さらにアナログスイッチ回路といった回路は、同じ回路パターンが繰り返されて配置されるものとなる。
【0008】
このような構成を得るために線状のレーザー光を利用すると、得られた液晶ディスプレイの表示に細かい縞模様が観察される。この縞模様はその長手方向が直交した2種類に分類される。即ち、縦縞及び横縞として観察される。
【0009】
なお、レーザー光の走査方向を90°回転させても、やはり縦縞及び横縞は観察される。
【0010】
この縞模様は、アニール後の珪素膜を観察した場合にも結晶性のむらとして認識することができる。
【0011】
本発明者らの知見によれば、上記の縦縞及び横縞は、線状のレーザービームの長手方向における照射エネルギー密度のバラツキ、及び走査方向におけるレーザーエネルギー密度のバラツキに関係する。
【0012】
線状のレーザービームの長手方向における照射エネルギー密度のバラツキは、発振器内部における放電開始箇所のバラツキに起因する。即ち、発振器から出るレーザー光の密度分布に偏りが生じ、それが光学系において拡大される結果として生じる。特に線状のレーザービームは、数cm角のスポットビームを光学系により、幅数mm、長さ数十cmに成形するので、発振器内部における放電箇所の偏りは、大きく拡大されたものとなる。
【0013】
上記線状のレーザービームの長手方向における照射エネルギー密度のバラツキは、レーザー発振器内部における空間的な発振位置のバラツキによるものと理解することができる。
【0014】
また、線状のレーザービームの走査方向おける照射エネルギー密度のバラツキは、発振器の安定性、即ち発振毎における照射エネルギー密度のバラツキに起因する。
【0015】
これは、レーザー発振器の時間的な発振強度のバラツキによるものと理解することができる。
【0016】
上記の時間的及び空間的なレーザー発振のバラツキは、レーザー発振器の構造や発振方法に起因するものである。本明細書で開示する発明は、以下の事項を前提とし、大面積へのアニール効果の不均一性を解決することを課題とする。
【0017】
(1)パルス発振型のエキシマレーザーを利用する。
(2)光学系により成形した線状のレーザー光を利用する。
(3)レーザー発振器からのレーザー光が上述したようなエネルギー密度のゆらぎを有している。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本明細書で開示する発明は、非晶質珪素膜を形成する工程と、前記非晶質珪素膜の表面に形成された不純物膜を除去する工程と、紫外領域の波長を有する線状のエキシマレーザー光を走査して照射することにより前記非晶質珪素膜を結晶化させる工程と、を有することを特徴とする。
【0019】
上記構成において、レーザー光の照射時に非晶質珪素膜の温度を室温または室温以下に冷却することを特徴とする。
【0020】
また、非晶質珪素膜の膜厚を40nm〜80nmとすることを特徴とする。
【0021】
不純物膜は、酸化物、窒化物、有機物から選ばれた少なくとも一つを含む膜として定義される。主に関係するのは酸化膜である。
【0022】
不純物膜の除去は、特にBHFやHF等のフッ酸を含むエッチャントによって行いうと効果的である。これは、非晶質珪素膜の表面をフッ素によってターミネイトすることにより、レーザー照射前に非晶質珪素膜の表面に不純物膜が形成されないようにすることに効果がある。
【0023】
【発明の実施の形態】
非晶質珪素膜の表面に形成された自然酸化膜に代表される不純物膜をエッチングで除去することにより、その後の線状レーザー光の照射時における結晶化をむらなく行わせることができる。
【0024】
酸化膜を除去することにより、レーザー照射後の膜質が安定するのは、非晶質珪素膜と酸化珪素膜との熱伝導率の大きな違いに起因する。
【0025】
厚さが100nm以下であるような非晶質珪素膜は、膜中の不均一性が顕著に現れてしまう。当然、そのような非晶質珪素膜上に形成された酸化膜にも不均一性が現れる。
【0026】
エキシマレーザー光には、そもそも時間的及び空間的にゆらぎが存在する。レーザー光が非晶質珪素膜に照射されると、そこから周囲に熱が瞬間的に伝導するのであるが、その伝導状態は、レーザー自体の照射エネルギー密度のバラツキと上記膜の不均一性を反映したものとなる。
【0027】
線状のレーザーを利用した場合、熱伝導により結晶化した端部にこの不均一性が現れる。当然この端部は線状(筋状)なものとなる。エキシマレーザーを利用した場合、パルス発振により、次々とレーザー光が照射されるが、この時上記線状の領域は、レーザー発振の不均一性と非晶質珪素膜と酸化膜の不均一性とを反映したものとして現れる。
【0028】
換言すれば、レーザー発振の不均一性と非晶質珪素膜と酸化膜の不均一性とが相乗して、さらに強調されたものとして現れる。
【0029】
そして、これが縞模様状に結晶状態(膜質)が変化してしまうものとして観察される。
【0030】
酸化珪素膜の熱伝導率は、非晶質珪素膜のそれに比較して、数パーセント以下である。従って、非晶質珪素膜の表面に酸化膜が存在すると、上記の不均一性がさらに助長されたものとなる。
【0031】
このことは、酸化膜以外の有機膜や窒化膜についてもいえることである。
【0032】
また、レーザー照射時の加熱も上記の不均一性(熱伝導の不均一性)をさらに助長するものとなる。
【0033】
また、膜厚が40nm以下というように薄くなる場合も上記の膜質の不均一性が顕在化する。
【0034】
【実施例】
〔実施例1〕図1にレーザーアニールにより、結晶性珪素膜を得る工程の概略を示す。まず、ガラス基板101上にプラズマCVD法または減圧熱CVD法により、非晶質珪素膜102を50nmの厚さに成膜する。
【0035】
非晶質珪素膜102の成膜後、膜の表面には不純物膜103が不可避に形成される。これは、成膜装置から試料の取り出しや搬送時に不可避に形成されてしまう。この不純物膜は、酸化膜(自然酸化膜)が主であり、その他有機膜、さらには窒化膜でもって構成される。(実際には、それらが混合した膜が形成される)
【0036】
こうして図1(A)に示す状態を得る。次にBHF(バッファードフッ酸)またはHF(フッ酸)を用いて、非晶質珪素膜102表面に形成された不純物膜をエッチングする。このエッチングは、ドライエッチング法を利用して行うのでもよい。
【0037】
このエッチチング後には、膜の表面はフッ素及び水素でターミネイトされ、数時間は自然酸化膜や有機膜が形成されることが防がれる。
【0038】
上記のエッチング後にレーザー光の照射を行うことにより、非晶質珪素膜を結晶化させる。レーザー光としては、KrFエキシマレーザ、XeClエキシマレーザー等の紫外領域の発振を行うエキシマレーザーを用いる。
【0039】
またその照射方法は、光学系により、幅数mm、長さ数十cmの線状にビーム加工したものを、その幅方向に走査しながら照射するものとする。こうすることで、大面積への対応を行うことができる。
【0040】
図3に非晶質珪素膜の表面に形成されている酸化膜を除去した場合としない場合とにおけるレーザー照射後の膜の見かけ上の屈折率とレーザー照射時の照射エネルギー密度との関係を示す。
【0041】
屈折率は、エリプソメトリで計測し、エネルギー照射密度は、照射されたレーザー光の一部を外部に取り出し、それをディテクターで計測した値から求めたものである。これらの計測値は、絶対的なものではなく、相対的なものである。
【0042】
またレーザー光は、線状にビーム加工されたKrFエキシマレーザー(波長248nm)を利用したものである。
【0043】
利用した試料は、プラズマCVD法で成膜した厚さ50nmの非晶質珪素膜を空気中において450℃の温度で1時間加熱し、膜中の水素を離脱させたものを用いた。
【0044】
酸化膜は、上記水素出しの加熱処理中に形成されたものである。また、その膜厚は数nm程度である。
【0045】
また、酸化膜の除去の方法は、バッファードフッ酸によるウェットエッチングによるものである。
【0046】
屈折率が、その値が小さい程、膜表面の荒れが大きく、またその結晶性が優れていることを示している。
【0047】
なお、この膜表面荒れと結晶性との関係は、一見矛盾しているようであるが、レーザー光の照射によって得られた結晶性珪素膜においては、一般的に膜表面の荒れが大きい方が膜の結晶性が高いというデータが得られている。
【0048】
図3から明らかなように、レーザー光の照射エネルギー密度の変化に対しての屈折率の変化、即ちレーザー光の照射エネルギー密度の変化に対しての結晶性と表面の荒れの程度は、酸化膜を除去した試料の場合の方が小さい。
【0049】
これは、酸化膜を除去した試料においては、そうでない試料に比較して、照射エネルギー密度のバラツキに対して、膜質の変化が小さいことを示している。即ち、不可避に発生してしまうエネルギー密度のゆらぎに対して、得られる膜質(換言すればアニール効果)の変化が小さいことを示している。
【0050】
図4に示すには、出発膜である非晶質珪素膜の膜厚と、得られた結晶性珪素膜のラマン強度変動の関係を示したものである。なお利用した試料の作製条件は、図3に示すデータを得たものと同じである。
【0051】
図4から明らかなように、出発膜の膜厚が40nm以上であれば、得られる結晶性珪素膜のラマン強度、即ち得られる結晶性珪素膜の結晶性はそれ程変動しないことがわかる。
【0052】
図5に示すのは、レーザー光の照射時における温度(基板加熱温度)と得られた結晶性珪素膜のラマン強度との関係を示すものである。なお利用した試料の作製条件は、図3に示すデータを得たものと同じである。
【0053】
図5から明らかなように、加熱をする程、得られる膜のラマン強度(結晶性を反映したものと解釈される)の変動は大きくなる。特に、試料である非晶質珪素膜の膜厚が30nmの場合は、膜厚が50nmの場合に比較してこの傾向が極めて顕著になる。
【0054】
即ち、図5からは、レーザー光を照射する対象となる非晶質珪素膜の膜厚は、30nmより50nmの方が良く、また加熱は行わず25℃(室温)でレーザー光の照射を行うことが良い、という結論が得られる。
【0055】
また、図6に非晶質珪素膜に対するレーザー光の照射時における酸化膜の有無、さらに加熱の有無における得られた結晶性珪素膜の表面を写した写真を示す。
【0056】
図6(A)は、酸化膜の除去を行わず、室温でレーザー光を照射した場合に得られる結晶性珪素膜の表面を写した写真である。この写真は、ランプからの光を膜の表面に反射させて、膜質のムラが現れやすいようにして、写真撮影を行ったものである。
【0057】
図6(B)は、酸化膜の除去を行い、400℃の加熱状態でレーザー光を照射した場合に得られる結晶性珪素膜の表面を写した写真である。
【0058】
図6(C)は、酸化膜の除去を行い、室温でレーザー光を照射した場合に得られる結晶性珪素膜の表面を写した写真である。
【0059】
(A)〜(C)の写真を見れば判るように、酸化膜の除去を行うことにより、縞状のムラ(これは結晶性の不均一性を反映したものと考えられる)が少なくすることができる。さらにレーザー照射時に加熱を行わないことで、縞状のムラをより少なくすることができる。
【0060】
以上、図3〜図6に示すデータより、レーザー光の照射エネルギー密度の変動に対しての影響を抑制するたの対策して以下の事項が導かれる。
【0061】
(1)非晶質珪素膜表面の酸化膜を徹底して除去してから、レーザー光の照射を行う。
(2)非晶質珪素膜表面の膜厚は、40nm以上とする。また、紫外領域の光の吸収状態を考慮すると、その膜厚の上限は100nm以下、好ましくは80nm以下とする。
(3)レーザー光の照射時には、試料を加熱しない。さらには冷却する。
【0062】
上記の要素を少なくとも一つ満たすことにより、照射エネルギー密度の変動に対して得られる膜質の変化を小さいものとすることができる。
【0063】
上記(1)〜(3)の要素は、できるだけ多くの満足することが好ましい。従って、できることなら上記(1)〜(3)に要素を全て満足することがより好ましい。
【0064】
なお上記(2)に膜厚の条件を100nmとするのは、それ以上の膜厚になると、レーザーの吸収が膜表面付近に集中し、厚さ方向における結晶性の違いが顕在化するからである。またレーザー光の照射による結晶化をより効果的に行うには、その膜厚を80nm以下とすることがより好ましい。
【0065】
また冷却の温度は、室温以下〜−20℃程度が適当である。
〔実施例2〕本実施例では、周辺駆動回路一体型のアクティブマトリクス型の液晶表示装置の作製工程を示す。
【0066】
図2に作製工程を示す。まずガラス基板(または石英基板)501上に図示しない下地膜を成膜する。ここでは、図示しない下地膜としてスパッタ法により、酸化珪素膜を300nmの厚さに成膜する。
【0067】
次にプラズマCVD法(または減圧熱CVD法)により、非晶質珪素膜502を50nmの厚さに成膜する。こうして図2(A)に示す状態を得る。
【0068】
次に実施例1に示した様にして、表面の不純物層を除去する。そしてKrFエキシマレーザー光の照射を行い、非晶質珪素膜502を結晶化させ、結晶性珪素膜を得る。結晶性珪素膜を得たら、それをパターニングすることにより、図2(B)の51、52、53で示される薄膜トランジスタの活性層を形成する。
【0069】
ここで、51がPTFTの活性層であり、52がNTFTの活性層である。この2つのTFTでもって、周辺駆動回路を構成するCMOSが構成される。また、53が画素に配置されるNTFTの活性層である。
【0070】
ゲイト絶縁膜として機能する酸化珪素膜503をプラズマCVD法により、100nmの厚さに成膜する。さらに図示しないアルミニウム膜をスパッタ法により400nmの厚さに成膜し、それをパターニングすることにより、ゲイト電極504、505、506を形成する。
【0071】
次に得られたゲイト電極のパターンを陽極とした陽極酸化を行うことにより、陽極酸化膜507、508、509を100nmの厚さに形成する。陽極酸化膜は、ゲイト電極を電気的及び物理的に保護する機能を有している。こうして図2(B)に示す状態を得る。
【0072】
ここでは、低抵抗を有するアルミニウムを材料として、ゲイト電極を構成する例を示すが、他の導電性材料を利用するのでもよい。
【0073】
次に図2(B)に示す状態において、導電型を付与するための不純物元素のドーピングを行う。ここでは、まずPTFTを構成する活性層に対して、選択的にB(ボロン)のドーピングをプラズマドーピング法でもって行い、次にNTFTを構成する活性層に対して、選択的にP(リン)のドーピングをプラズマドーピング法でもって行う。
【0074】
こうして、周辺駆動回路を構成するPTFTのソース領域507、チャネル領域508、ドレイン領域509が自己整合的に形成される。また、周辺駆動回路を構成するNTFTのソース領域512、チャネル領域511、ドレイン領域510を自己整合的に形成される。また、画素マトリクスに配置されるNTFTのソース領域513、チャネル領域514、ドレイン領域515が自己整合的に形成される。こうして図2(C)に示す状態を得る。
【0075】
なお、本実施例においては、陽極酸化膜507、508、509が存在する関係で、その厚さの分でオフセットゲイト領域がチャネルとソース/ドレイン領域の間に形成される。しかし、その寸法は100nm(実際はプラズマドーピング時における注入イオンの回り込みにより、さらに小さくなると考えられる)程度であるので、ここではその存在は無視する。なお、陽極酸化膜の膜厚を200nm程度以上といように厚くした場合には、オフセットゲイト領域の効果が顕在化する。
【0076】
次に第1の層間絶縁膜として、200nm厚の窒化珪素膜516とポリイミド樹脂でなる膜517を積層する。ここでは、窒化珪素膜をプラズマCVD法により成膜し、ポリイミド樹脂でなる膜をスピンコート法でもって成膜する。
【0077】
そしてコンタクトホールの形成を行い、周辺駆動回路のPTFTのソース電極518、NTFTのソース電極520、両TFTに共通のドレイン電極519を形成する。これで、PTFTとNTFTとが相補型に構成されたCMOSが得られる。
【0078】
さらに、画素マトリクスに配置されるNTFTのソース電極521とドレイン電極522とを形成する。ここで、ソース電極521は、ゲイト配線と共に画素マトリクス領域において格子状に配置されたソース配線から延在したものとして形成される。こうして図2(D)に示す状態を得る。
【0079】
次に第2の層間絶縁膜として、ポリイミド樹脂でなる絶縁膜523をスピンコート法でもって成膜する。そしてコンタクトホールの形成を行い、ITOでもって画素電極524を形成する。
【0080】
こうして図2(E)に示す周辺駆動回路とアクティブマトクス回路とを同一ガラス基板上に集積化したアクティブマトリクス型の液晶ディスプレイを構成する片方の基板が完成する。
【0081】
なお、液晶ディスプレイを構成するには、さらに配向膜の形成、配向処理等が必要とされる。
【0082】
〔実施例3〕本実施例では、ボトムゲイト型の薄膜トランジスタの作製工程を示す。まず図7(A)に示すようにガラス基板上にゲイト電極702を形成する。そして、ゲイト絶縁膜として機能する酸化珪素膜703を成膜し、さらに非晶質珪素膜704を成膜する。
【0083】
非晶質珪素膜の成膜後、その表面には、705で示される不純物膜が不可避に形成される。こうして図7(A)に示す状態を得る。
【0084】
次にエッチングにより不純物膜705を除去し、さらにレーザー光の照射を行うことにより、非晶質珪素膜704を結晶化させ、結晶性珪素膜706を得る。
【0085】
こうして図7(B)に示す状態を得る。図7(C)に示すように次にレジストマスク707を基板裏面からの露光により形成する。そして、ソース/ドレイン領域を形成するための不純物のドーピングをレジストマスク707を用いて行い、ソース領域708、ドレイン領域710を形成する。またこの際、チャネル領域709が画定する。
【0086】
ドーピングの終了後、レジストマスクを除去し、再度のレーザー光の照射を行う。この工程でドーパントの活性化とドーピング時の損傷のアニールとが行われる。
【0087】
次に図7(D)に示すように、層間絶縁膜として窒化珪素膜710を成膜し、さらにポリイミド樹脂でなる層間絶縁膜711を形成する。そしてコンタクトホールの形成を行い、ソース電極712とドレイン電極713を形成する。こうしてガラス基板上にボトムゲイト型の薄膜トランジスタが完成する。
【0088】
図8に図7(C)に示すものとは異なるドーピング方法を示す。(A)に示すのは、ドーピント元素を含んだ薄い膜801を成膜し、その後に基板上または基板裏面側からレーザー光の照射を行う方法である。この方法を採用した場合、膜が瞬間的に溶融し、そこからドーパント元素がソース/ドレイン領域となるべき領域に拡散する。こうして、一導電型を有するソース/ドレイン領域が形成される。
【0089】
(B)に示すには、ドーパント元素を含んだ雰囲気中においてレーザー光を基板表面また裏面から行うことにより、ドーピングを行う方法である。図には、P(リン)が含まれた雰囲気を利用した場合の例が模式的に示されている。
【0090】
【発明の効果】
本明細書で開示する発明を利用することにより、大面積へのアニール効果の不均一性を解決して、薄膜トランジスタでなる回路を均一性よく形成することができる。そして、表示ムラのないアクティブマトリクス型の液晶ディスプレイを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 レーザーアニールにより結晶性珪素膜を得る工程を示す図。
【図2】 周辺駆動回路一体型のアクティブマトリクス型の液晶表示装置のTFT部分の作製工程を示す図。レーザー照射システムの概略を示す図。
【図3】 非晶質珪素膜表面の酸化膜がレーザー結晶化時に与える影響を示す図。
【図4】 レーザーアニール後のラマン強度と非晶質珪素膜の膜厚の関係を示す図。
【図5】 レーザー照射時の試料の温度とラマン強度との関係を示す図。
【図6】 レーザー照射後の結晶性珪素薄膜の表面の状態を示す写真。
【図7】 薄膜トランジスタの作製工程を示す図。
【図8】 ドーピング手段を示す図。
【符号の説明】
101 ガラス基板
102 非晶質珪素膜
103 自然酸化膜を主とする不純物膜

Claims (3)

  1. 膜厚が40nm〜50nmである非晶質珪素膜をプラズマCVD法で形成し、
    前記非晶質珪素膜を空気中で加熱して前記非晶質珪素膜中の水素を離脱させ
    前記加熱によって前記非晶質珪素膜の表面に形成された酸化物を除去した後に、加熱しない室温において、表面が前記酸化物を除去した状態の非晶質珪素膜に対して、光学系により線状に成形された紫外領域の波長を有するパルス発振型のエキシマレーザー光を走査して照射することにより前記非晶質珪素膜を結晶化させることを特徴とする半導体装置の作製方法。
  2. 請求項において、前記酸化物の除去はフッ酸を含むエッチャントによって行い、前記非晶質珪素膜の表面をフッ素によってターミネイトすることを特徴とする半導体装置の作製方法。
  3. 請求項1または2において、前記パルス発振型のエキシマレーザー光はエネルギー密度のゆらぎを有することを特徴とする半導体装置の作製方法。
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