JPH10133149A - 回折光学素子及びそれを用いた光学系 - Google Patents

回折光学素子及びそれを用いた光学系

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JPH10133149A
JPH10133149A JP30715496A JP30715496A JPH10133149A JP H10133149 A JPH10133149 A JP H10133149A JP 30715496 A JP30715496 A JP 30715496A JP 30715496 A JP30715496 A JP 30715496A JP H10133149 A JPH10133149 A JP H10133149A
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diffraction
optical element
grating
diffractive optical
diffraction grating
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Takehiko Nakai
中井  武彦
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 使用波長域全域で設計次数の回折効率が高く
なり、且つそれにより、設計回折次数近傍の回折効率が
大幅に低減するような回折光学素子及びそれを用いた光
学系を得ること。 【解決手段】 基板上にアッベ数が異なる少なくとも2
つの材質より成る第1,第2の回折格子を各ピッチ毎に
対応するように重ねた回折光学素子であって、該第1の
回折格子は1周期内で一方向に厚さが減少する格子を有
し、該第2の回折格子は1周期内で該一方向に厚さが増
加する格子を有していること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は回折光学素子及びそ
れを用いた光学系に関し、特に使用波長領域の光束が特
定次数(設計次数)に集中するような回折格子構造を有
し、所望の分光特性が高い回折効率で得られる写真用カ
メラ、ビデオカメラ、双眼鏡、プロジェクター、望遠
鏡、顕微鏡、複写器等の各種の光学系に好適なものであ
る。
【0002】
【従来の技術】光学系には種々の諸収差が存在し、これ
らの収差を補正するように各光学要素が組み立てられて
いる。従来より光学系に於いて発生する諸収差のうち色
収差は、分散特性の異なる硝材を組み合わせることによ
り減じていた。例えば、望遠鏡等の対物レンズでは、分
散の小さい硝材を正レンズとし分散の大きい硝材を負レ
ンズとし、これらを組み合わせることで軸上に現れる色
収差を消していた。このためレンズの構成枚数が制限さ
れる場合や使用できる硝材が限られている場合などでは
色収差の補正を十分にすることが出来なかった。
【0003】また、従来の硝材の組み合わせにより色収
差を減じる方法に対して、レンズ面やあるいは光学系の
1部に回折作用を有する回折光学素子(以下「回折格
子」とも言う)を設けることで、色収差を減じる方法が
SPIE Vol.1354 International Lens Design Confer
ence(1990)等の文献や特開平4-213421号公報、特開平6-
324262号公報、USP5,044,706等により開示されている。
これは、光学系中の屈折面と回折面とでは、ある基準波
長の光線に対する色収差の出方が逆方向に発現するとい
う物理現象を利用したものである。
【0004】このことを図16を用い簡単に説明する。
回折光学素子1は屈折率1の空気中におかれており、光
軸3に対し垂直に配置されているものとする。ここで回
折格子2の周期ピッチがPの場合、光軸3に平行な光線
Aの回折方向θは、 Psin θ=mλ ・・・・・・(1) となる方向に回折光が生じる。ここでmは回折次数であ
りλは波長である。
【0005】図では、周期的構造を一方向についてのみ
示したが、この様な周期的構造を光軸等ある光軸を中心
に回転対称に構成し、回折格子の周期ピッチを徐々に変
化させることによりこの周期的構造を有する輪帯構造は
レンズとして作用する。このような回折作用を利用した
レンズは、式(1)よりある次数では波長が長いほど回
折される角度が大きくなることから、波長による結像点
の位置関係が屈折レンズの同じ方向のパワーをもつもの
と逆になる。前述の文献等は主としてこの原理を利用し
て収差(色収差)を補正している。
【0006】屈折においては、1本の光線は屈折後も1
本の光線であるのに対し、回折においては、各次数に光
が複数に分かれてしまう。そこで、レンズ系として回折
光学素子を用いる場合には、使用波長領域の光束が特定
次数(以後「設計次数」と言う)に集中するように回折
格子構造を決定する。特定の次数に光の強度が集中して
いる場合では、それ以外の回折光の方向は式(1)で表
されるものの、その光線の強度は低いものとなり、強度
が0の場合にはその回折光は存在しないものとなる。
【0007】m次の回折光の回折効率を高めようとする
場合、位相差を与えるための構造において2πmの位相
差を回折方向の各光路光線に与えられれば、各光線は干
渉し、強められることになる。
【0008】格子の高さがdであり、その材質の屈折率
がnであるような透過型の回折格子において、次数mの
光線に2πmの位相差を与えるために、 2πm=2πd(n−1)/λ ・・・・・・(2) となることが必要になる。式(2)の条件が各ピッチ間
で成立している場合、その回折効率はもっとも高くな
る。
【0009】この回折作用を得るための回折光学素子の
具体的な構造は、キノフォームとよばれ、この位相差2
πを与える間が連続的になっているもの、連続的な位相
差分布を階段状に近似したバイナリー形状に構成したも
のやその微小な周期的構造を三角波形状に近似し構成し
たもの等が公知である。こうした構造は、光学系中に平
板の表面に形成されたり、レンズ表面に形成されたりす
ることでその回折効果を発生する。また、このような回
折光学素子は、リソグラフィー等の半導体プロセスや切
削等により製造される。
【0010】さらに、このような回折光学素子は、硝子
の分散により屈折面で発生する色収差に対してとくにそ
の補正する効果がおおきいが、その周期的構造の周期を
変化させることで非球面レンズ的な効果をも持たせるこ
とができ収差の低減に大きな効果がある。
【0011】公知例に示されているものは、回折の効果
により諸収差とくに色収差が低減しており、回折光学素
子を光学系に組み込んだ効果が収差図上等で確認するこ
とが出来る。しかしながら、その収差低減に寄与した回
折光の回折効率が、高くなければ実際上その光線は存在
しないものとなるため、収差低減を果たす光線の回折効
率が十分高いことが必要になる。また、設計次数以外の
回折次数をもった光線が存在する場合は、設計次数の光
線とは別な所に結像するため、フレアやゴーストとな
り、像のコントラストの低下を引き起こす。従って回折
効果を利用した光学系においては、回折効率の分布及び
設計次数以外の光線の振る舞いについても十分考慮する
事が重要である。
【0012】図14に一般的な光学系の分光透過特性を
示す。図中横軸は、波長を表し、縦軸は分光透過率を表
している。この分光透過特性は、ガラスによる光の吸収
や屈折面における光の反射などによって決定される。こ
の光学系は、使用波長域で評価対象に合わせた分光透過
特性が要求される。
【0013】回折光学素子をある面に形成した場合、特
定の回折次数に対する回折効率の特性を図13に示す。
この図で、横軸は波長をあらわし、縦軸は回折効率を表
している。この回折光学素子は、1次の回折次数(図中
実線)において、使用波長領域でもっとも回折効率が高
くなるように設計されている。即ち設計次数は1次とな
る。さらに、設計次数近傍の回折次数(1次±1次)の
回折効率も併せ並記しておく。図に示されるように、設
計次数では回折効率はある波長で最も高くなり(以下
「設計波長」と言う)それ以外の波長では徐々に低くな
る。この原因を説明する。(2)式では位相差が2πと
なるための格子の厚みを示したが、設計波長でこの条件
を満たすように格子の厚みを設定した場合、その他の波
長ではその条件より若干はずれてしまうことになり、こ
のために回折効率の低下が発生する。
【0014】例えば図12に示すように、回折光学素子
1を構成する回折格子2の微小構造を8段の階段状のバ
イナリー構造により形成したとき、回折光学素子1の1
次光に対する設計波長を530nmとすると、実際の格子
構造は(2)式より2πm=2πd(n−1)/λで、
m=1,λ=530nm,n=1.461としたときの厚
みd=1150nmを8等分した厚み143.7nmに各段
の厚みがなっている。このとき設計波長での回折効率は
およそ95%になり、波長400nmでの1次光の回折効
率は約67%、波長650nmでの1次光に対する回折効
率は85%になる。従って、回折効果を利用した光学系
においてはこの設計波長を、その光学系が使用される波
長領域の中心付近に設定するなどの考慮が必要である。
設計次数における回折効率だけを考えれば、それは分光
透過特性と同様に考えなければならない。
【0015】回折光学素子を含む光学系の回折面を除く
分光透過特性を波長の関数で表した物を、ηLENS、
回折光学素子の回折効率をηDOEとするとき、光学系
全体の設計次数での分光透過特性は、 η(λ)=ηLENS(λ)×ηDOE(λ) のように表される。図14に示した分光特性を有する光
学系に、図13のような回折効率を有する回折面を付加
した場合、設計次数での分光透過特性は図15の様にな
る。従って使用する波長領域においては設計次数におけ
る回折効率を高くたもつことが望まれる。
【0016】次に設計次数以外の次数の回折光の影響に
ついて説明する。設計次数以外の次数の光は、評価面上
にデフォーカスした状態でのることになる。このことを
簡単に説明する。ここで設計次数を1次とし、回折効果
を有するレンズのパワーが正とすると、設計次数より高
い次数(2次,3次,・・・ )の回折光は式(1)より回
折角が大きくなり、1次の結像位置より手前に結像す
る。この回折位置は、回折次数が設計次数より離れるに
従い、大きくなる。同様に設計次数より低い次数(0
次,−1次,・・・ )の回折光は1次の結像位置より後側
に結像する。評価面は設計次数の回折光結像位置に置か
れるので、これら設計次数以外の回折光は、結像面上に
デフォーカスした状態でのることになる。
【0017】この内、設計次数から離れた次数の回折光
は、評価面上ではかなりぼけているため、結像には寄与
せず、全面にフレアのような状態で付加される。
【0018】一方、設計次数近傍の回折次数(1次±1
次)の回折光は、結像性能を評価するような空間周波数
領域では、解像していないが、完全にぼけた状態でもな
く、低い空間周波数領域では解像している。このため、
この回折次数の回折効率が大きいと、設計回折光の回り
にかなり大きなサイドローブのあるようなスポットとな
り、光学性能は悪化する。ただし、図13に示されてい
る様に設計次数近傍の回折次数(0次,2次)の回折効
率は、設計波長でほぼ0となり、設計波長から離れた波
長でのみ、数%の回折効率を有している。従って、使用
波長域で積分された光量においては、2%程度、評価面
に置かれた感光物の種類によっては、0.5%程度のわ
ずかな光量である。さらにこの光量が評価面ではぼけて
いるため、単位面積当たりの光量は低下し、通常はサイ
ドローブとしては、検出されない。
【0019】しかしながら、この回折効果を利用した光
学系をカメラのレンズ(撮影系)等に応用した場合に
は、特殊な条件を考慮する必要がある。カメラの場合、
評価面にはフィルムやCCD等が使用され、撮影条件
(被写体、露出条件)は様々な場合が発生する。この
内、被写体の一部に高輝度な光源が存在する場合等は、
高輝度な光源部はフィルムやCCDの適正露光より飽和
させ、他の被写体部で適正露光に調整し撮影されるケー
スがある。この場合、光源部は適正露光の数倍になって
いるため、前述の設計次数近傍の回折次数の回折光も数
倍される。そのため光源部の回りに、後光がさしたよう
にサイドローブが見られることがある。
【0020】したがって、カメラのような様々な露光条
件を有する光学系に回折光学素子を用いた場合、この設
計次数近傍の回折次数の効率を少なくすることが望まし
い。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の回折光学素子では、設計次数(1次光)における設
計波長と異なる波長での回折効率は設計波長から離れる
にしたがって低下している。そして、この回折効率の低
下した分は設計次数近傍の次数(例えば0次と+2次)
の回折光束となり、前述したように評価面にフレアとし
てのり、画像に悪影響を与えてしまう。
【0022】また光学系に複数の回折光学素子を用いる
場合には、このフレアの影響のほかに設計次数での回折
効率も問題になる。従来例で示したように、設計波長5
30nmでは95%の回折効率があるのに対し、波長40
0nmでは67%まで低下してくる。このような回折光学
素子を例えば2枚、光学系中に使用した場合は、設計波
長では90%の合成の回折効率をもつが、波長400nm
では45%まで低下し、透過率の観点からも問題となっ
ていた。
【0023】本発明は回折光学素子をアッベ数(分散)
の異なる材質より成る少なくとも2つの回折格子を重ね
合わせて構成することによって設計次数の回折効率を使
用波長領域全域で高く、かつ設計回折次数近傍の次数の
回折効率を低減することができ、光学系に適用したとき
は色収差等の諸収差を良好に補正することができる写真
用カメラ、ビデオカメラ、双眼鏡、プロジェクター、望
遠鏡、顕微鏡、複写器等の各種の光学系に好適な回折光
学素子及びそれを用いた光学系の提供を目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明の回折光学素子
は、 (1−1)基板上にアッベ数が異なる少なくとも2つの
材質より成る第1,第2の回折格子を各ピッチ毎に対応
するように重ねた回折光学素子であって、該第1の回折
格子は1周期内で一方向に厚さが減少する格子を有し、
該第2の回折格子は1周期内で該一方向に厚さが増加す
る格子を有していることを特徴としている。
【0025】特に、(1-1-1) 前記第1,第2の回折格子
は所定波長域の光束が特定次数に集中する格子構造より
成っていること、(1-1-2) 前記第1,第2の回折格子の
1周期内の格子は複数の階段形状より成っていること、
(1-1-3) 前記第1,第2の回折格子の1周期内の格子は
厚さが連続的に変化する形状より成っていること、(1-1
-4) 前記第1,第2の回折格子の1周期内の格子はキノ
フォーム形状より成っていること、(1-1-5) 前記第1,
第2の回折格子の基準波長での材質の屈折率をn1,n
2、厚さをd1,d2とし、光学光路長L1,L2を L1=(n1−1)d1 L2=(n2−1)d2 と表わしたとき、重ね合わせた光学光路長が1周期内で
前記一方向において減少するときは、前記第1,第2の
回折格子の材質のアッベ数を各々ν1,ν2とすると
き、 ν2<ν1 なる条件を満足すること、(1-1-6) 前記第1,第2の回
折格子の基準波長での材質の屈折率をn1,n2、厚さ
をd1,d2とし、光学光路長L1,L2を L1=(n1−1)d1 L2=(n2−1)d2 と表わしたとき、重ね合わせた光学光路長が1周期内で
前記一方向において増加するときは、前記第1,第2の
回折格子の材質のアッベ数を各々ν1,ν2とすると
き、 ν2<ν1 なる条件を満足すること、(1-1-7) 前記第1,第2の回
折格子は1次元格子より成っていること、(1-1-8) 前記
第1,第2の回折格子は同心円格子より成っているこ
と、(1-1-9) 前記第1,第2の回折格子の組を複数、前
記基板上に設けていること、(1-1-10)前記第1の回折格
子は1周期内で前記一方向に厚さが単調減少する格子を
有していること、(1-1-11)前記第2の回折格子は1周期
内で前記一方向に厚さが単調増加する格子を有している
こと、(1-1-12)前記第1の回折格子は1周期内で前記一
方向に厚さが単調減少する格子を有し、前記第2の回折
格子は1周期内で前記一方向に厚さが単調増加する格子
を有していること、(1-1-13)前記基板は平行平板である
こと、(1-1-14)前記基板は曲率を有した曲面であること
等を特徴としている。
【0026】本発明の光学系は、構成(1−1)の回折
光学素子を用いていることを特徴としている。
【0027】
【発明の実施の形態】図1は本発明の回折光学素子の実
施形態1の要部正面図、図2は図1の回折光学素子の要
部断面図である。
【0028】図中、1は回折光学素子である。本実施形
態の回折光学素子1は互いに分散の異なる複数の材質よ
り成る複数の回折格子、例えば互いに分散の異なる2つ
の材質より成る第1の回折格子2aと第2の回折格子2
bの2つの回折格子を基板11上で各ピッチ毎に対応す
るように重ね合わせた構成より成っている。そして図2
に示すように回折格子2a,2bの1周期(格子ピッチ
P)内の複数の段差形状は、その格子厚がa段,b段,
・・・・h段と一方向にいくに従って第1の回折格子2aで
は単調減少し、第2の回折格子2bでは一方向にいくに
従って単調増加する段差構造より成っている。
【0029】このように本実施形態の回折光学素子1
は、2種類の分散の異なる材質から成る第1,第2の回
折格子2a,2bの各段差部の重ね合わせにより合成さ
れた1つの回折格子とした場合に所望の回折効率が得ら
れる構成になっている。
【0030】図3は本実施形態の回折光学素子の回折効
率の説明図である。
【0031】同図において、横軸は波長を表わし、本発
明の回折光学素子が使用される波長域が示されている。
本実施形態においては設計次数は1次であり、この回折
光学素子が使用される波長域中で1次光の回折効率が最
も高くなっている(図中実線)。また、この回折光学素
子が使用される波長は主として最低波長400nmから最
高波長700nmの可視光領域である。また設計次数近傍
の次数の回折光として、0次、2次の回折効率も各々点
線、一点鎖線で示している。従来例に比べて、設計次数
で使用波長全域での回折効率が増え、一方,0次、2次
の回折効率が減少している。上記所望の回折効率を得る
ため、本発明では回折光学素子の格子として少なくとも
2種類の分散の異なる材質から成る前述の形状の第1,
第2の回折格子を重ね合わせる構成で実現している。
【0032】次に本実施形態の回折光学素子1の具体的
な格子構造について図2に示した8段のバイナリー型の
回折格子を例にとり説明する。
【0033】今、便宜上、回折格子の設計次数を+1次
とする。基板11及び第1の回折格子2aの材質には石
英ガラスを使用し、第2の回折格子2bの材質にはTi
2を使用した。従って第1の回折格子2aの材質の屈
折率n1は、波長530nm,400nm,650nmにおい
て、それぞれ1.461,1.470,1.457であ
る。一方、第2の回折格子2bの材質の屈折率n2は、
それぞれ2.335,2.581,2.282となる。
【0034】次に1周期内の回折格子の各段を図2に示
すように、左から順に段部a,b,c,d,e,f,
g,hと置くことにする。a段は第1の回折格子2aの
みから成り、厚みd1aは2011.8nmに設定してい
る。次にb段は第1,第2の回折格子2a,2bより成
り、このうちb段の第1の回折格子の厚みd1bは17
24.4nm、第2の回折格子2bの厚みd2bは49.
6nmに設定している。同様にc段,d段といくに従っ
て、第1の回折格子の厚みd1c,d1d,・・・・は14
37nm,1149.6nmと287.4nmずつ減少してい
き、h段で第1の回折格子2aの厚みは0になる。また
第2の回折格子2bの厚みはd2c,d2d,・・・・は9
9.2nm,148.8nmと49.6nmずつ増加してい
き、h段で第2の回折格子2bのみとなり、厚みd2h
は347.2nmに設定している。
【0035】まず波長530nmの光線に対して、前述の
回折格子はどのような振る舞いをするか説明する。まず
各段に対して光学光路長Lを計算してみる。波長530
nmにおける第1,第2の回折格子の材質の屈折率n1,
n2はn1=1.461,n2=2.335である。a
段は第1の回折格子のみからなっているので光学光路長
Laは、 La=(n1−1)da=(1.461−1)*2011.8=927.4nm となる。同様にしてb段の光学光路長Lbは第1の回折
格子の光学光路長L1bと第2の回折格子部の光学光路
長L2bの和となり、 Lb=L1b+L2b=(n1−1)d1b+(n2−1)d2b =(1.461−1)*1724.4+(2.335−1)*49.6=861.2nm となる。以下順にLc=794.9nm,Ld=728.7nm,Le
=662.4nm,Lf=596.2nm,Lg=529.9nmとなり、h
段で第2の回折格子のみとなり、光学光路長Lhは、L
h=(n2−1)dh=(2.335−1)*347.3=463.7nm
となる。
【0036】隣合う段部での光学光路長差は各々66.
25nmとなる。回折光学素子において回折効率が最も高
くなる波長は光路長差が波長と等しくなる波長である。
8段の回折格子形状において各段の光学光路長差が6
6.25nmとなる場合、全光路長差は66.25nm*8
=530nmとなる。従って前述の回折格子の構造は波長
530nmの光線に対しては、設計波長が530nmで作成
された回折格子と見做すことができる。
【0037】次に波長400nmの光線に対して、前述の
回折格子はどのような振る舞いをするか説明する。同様
に各段に対して光学光路長Lを計算してみる。波長40
0nmにおける第1,第2の回折格子の材質の屈折率n
1,n2はn1=1.470,n2=2.581であ
る。
【0038】a段での光学光路長Laは、 La=(n1−1)da=(1.470−1)*2011.8=945.5nm となる。同様にしてb段の光学光路長Lbは、 Lb=L1b+L2b=(n1−1)d1b+(n2−1)d2b =(1.470−1)*1724.4+(2.581−1)*49.6=888.9nm となる。以下順にLc=738.3nm,Ld=681.6nm,Le
=625.0nm,Lf=568.3nm,Lg=511.7nmとなり、h
段で第2の回折格子のみとなり、光学光路長Lhは、L
h=(n2−1)dh=(2.581−1)*347.3=549.1nm
となる。
【0039】隣合う段部での光学光路長差は各々56.
63nmとなる。つまり全光路長差は56.63nm*8=
453nmとなる。従って前述の回折格子の構造は400
nmの光線に対しては、設計波長が453nmで作成された
回折格子と見做すことができる。
【0040】設計次数における回折効率の低下は設計波
長からずれるほど大きくなることが知られている。従来
の回折格子では、設計波長を決定したら使用波長領域に
おいて設計波長は殆ど変化しないため、前述の従来例で
示したように波長400nmの光線は、設計波長530nm
から大きく離れて、回折効率は67%まで低下してい
た。しかし本実施形態では、波長400nmの光線におい
ては設計波長は453nmに変化したように見做されるの
で従来例に比べて、設計波長からのずれは低減する。言
い換えれば回折効率は大幅に改善され、約93%となる
高い回折効率を得ている。
【0041】さらに本実施形態における発明の効果を明
瞭にするため、図2に示す構成を第1の回折格子2aの
成分と第2の回折格子2bの成分にわけた図4に示す構
成で説明する。光学光路長の変化の点から考えれば、第
1の回折格子2aと第2の回折格子2bが近接している
条件では格子の順番を入れ替えても同等である。近接し
ていない場合は、各回折格子で回折が生じるので、本実
施形態とは異なる特性を示すことになる。ここで図から
明らかなように、これは2種類の回折格子の重ね合わせ
と考えれば良い。前述の説明では、各段毎に発生する光
学光路長の点から説明を加えた。ここでは各材質毎の光
学光路長の点から説明を加える。
【0042】まず波長530nmの光束から考察する。こ
の波長の下では8段の第1の回折格子の1周期内の全光
学光路長L1は1060nmである。これは以下の式で求
められる。
【0043】 L1=(n1−1)(da−dh)*N/(N−1) =(1.461−1)(2011.8−0)*8/7=1060nm ここでNは階段数である。設計波長λ0と設計次数mは
L=m×λ0を満たす値となる。可視域での使用では、
この回折格子形状は設計次数m1=2で設計波長λ01
=530nmの回折格子と考えられる。一方第2の回折格
子は同様にL2=−530nmとなっている。つまりこの
第2の回折格子は設計次数m2=−1で設計波長λ02
=530nmの回折格子と考えられる。従って合成の回折
光学素子としては、L=L1+L2=530nmで設計次
数m=1でλ0=530nmの回折格子と同様の作用をす
る。
【0044】次に波長400nmについて同様に全光学光
路長L’を求めると L1’=1081nm=1060+21=L1+ΔL L2’=−628nm=−530−98=L2+ΔL2 となり、合成の回折光学素子としては、L’=L1’+
L2’=453nmで設計次数m=1でλ0=453nmの
回折格子と同様の作用をする。このように第1の回折格
子と第2の回折格子が近接している条件では独立の格子
として、全光学光路長を求めた後、加え合わせても本実
施形態の効果は得られる。
【0045】次に波長400nmで設計波長400nmとな
る条件を求めてみる。上述の説明から明白であるが、全
光学光路長L’がL’=400nmとなれば良い。つまり
波長が530nmから400nmに変わったときの全光学光
路長の変化量ΔLが波長差400−530=−130nm
となれば波長400nmで設計波長400nmとなる。前述
の実施例では変化量ΔLは、 ΔL=ΔL1+ΔL2=21−98=−77 となっている。では変化量ΔLをΔL=−130nmにす
るにはどうすれば良いか考察する。
【0046】まず1つの手段はΔL1の変化量に比べて
ΔL2の変化量がより大きくなるように材質を選択すれ
ば良い。つまり第1の回折格子2aの材質のアッベ数を
ν1、第2の回折格子の材質のアッベ数をν2としたと
き、ν2<ν1のものを選び、ΔL=−130nmとすれ
ば良い。
【0047】2つめの手段は各回折格子の厚みを厚くす
れば良い。具体的に示すと、第1の回折格子として波長
530nmでL1=1382nm、第2の回折格子としてL
2=−852nmとすれば、波長530nmでは全光学光路
長は530nmとなる。また波長400nmでは、 L1’=1409nm=1382+27=L1+ΔL1 L2’=−1009nm=−852−157=L2+ΔL
2 となり、光学光路長の変化量はΔL=−130nmとな
る。本発明ではこのように回折格子として材質の分散が
大きいものが使用できない場合は、各回折格子の厚みを
適した値に設定し、これによって同様の効果を得てい
る。図5にこのときの回折効率を示す。同図に示すよう
に波長530nmと波長400nmで高い回折効率をもって
いることがわかる。このように格子厚を調整することで
任意の2波長において回折効率を従来例での設計波長並
みに保つようにしている。また上記の関係から各回折格
子が単独で満たす設計波長と、合成された回折格子の設
計波長の間には、相関はないことが判る。
【0048】以上述べたように、本実施形態では、 (イ)2つの異なる分散をもつ材質の回折光学素子を重
ね合わせて用いること。
【0049】(ロ)合成の光学光路長が維持されれば、
近接する領域においては、各回折格子の順番と形状は任
意に変更してもよいこと。
【0050】(ハ)2つの回折格子は、光学光路長が1
周期内で減少する回折格子と増加する回折格子の組み合
わせで構成すること。
【0051】(ニ)全光学光路長が1周期内で減少する
場合は、増加する回折格子2bの材質の分散(アッベ数
ν2)が、減少する回折格子2aの材質の分散(アッベ
数ν1)より大きいこと、即ちν2<ν1が好ましい。
【0052】(ホ)全光学光路長が1周期内で増加する
場合(図2の状態を紙面の裏側から見たような場合)
は、減少する回折格子2bの材質の分散(アッベ数ν
2)が、増加する回折格子2aの材質の分散(アッベ数
ν1)より大きいこと、即ちν2<ν1が好ましい。
【0053】尚、このことは、図2において第2の回折
格子2bの増加率が第1の回折格子2aの減少率よりも
大きく、全光学光路長が1周期内で右上がりに増加する
場合も同様である。
【0054】(ヘ)特に光学光路長が1周期内で減少す
るときは単調減少するのが良い。
【0055】(ト)特に光学光路長が1周期内で増加す
るときは単調増加するのが良い。
【0056】(チ)特に全光学光路長が1周期内で減少
するときは単調減少するのが良い。
【0057】(リ)特に全光学光路長が1周期内で増加
するときは単調増加するのが良い。
【0058】以上述べた説明は、1周期の回折格子形状
に限定して説明を行った。しかし、回折格子の回折効率
については、回折格子のピッチは影響しないことが知ら
れている。つまり本実施形態は図1に示すような1次元
の回折格子の他に、例えば図6に示すような回折光学レ
ンズ等あらゆる格子ピッチ形状を有する回折光学素子も
同様に応用することができる。図6の回折光学素子1は
回折格子を同心円状に形成したものであり、格子断面形
状は図2に示す構造と同じである。
【0059】また回折格子の格子断面の形状は図2に示
すような階段形状の格子や、図7に示すようなキノフォ
ーム形状のもの等が適用可能であるが、特に限定したも
のではなく公知の格子形状を利用することができる。
【0060】また、実施形態の説明では平板上に回折格
子部を設けた回折光学素子について示しているが、レン
ズ曲面表面に設けても同様の効果が得られる。
【0061】また、本実施形態では、2種類の異なる分
散からなる材質により構成された回折光学素子について
の例を示したが、2種類に限定するものではなく、3種
類以上でも同様の効果が得られる。
【0062】また本実施形態では、2つの回折格子の組
み合わせについての例を示したが、これらの組み合わせ
を複数用いても良い。また3つ以上の組み合わせでも、
少なくとも1組の格子厚が単調増加と単調減少で構成さ
れていれば、本実施形態と同様の効果を得ることができ
る。
【0063】また本実施形態では、回折次数が1次光の
場合を示したが、1次光に限定するものではなく、2次
光などの異なった回折光であっても、合成光学光路長を
所望の回折次数で所望の設計波長となるように設定すれ
ば同様の効果が得られる。
【0064】また、本実施形態では可視域での使用に関
して説明したが、波長域に限定はなく、使用波長域が広
波長域であるものでは本発明の効果を得ることができ
る。
【0065】図8は本発明の回折光学素子を用いた光学
系の実施形態2の要部概略図である。本実施形態は回折
光学素子1をカメラ等の撮影レンズの一部に適用した場
合を示している。図中、4は撮影レンズで内部に絞り5
と前述した構成の回折光学素子1を持っている。6は結
像面であるフィルムである。
【0066】本実施形態では撮影レンズとして屈折レン
ズ部での透過率と回折格子2の回折効率(透過率)の合
計で所定の透過率が得られるように設定している。従来
例では、図13に示すように回折格子の回折効率(透過
率)が波長によりかなり変化していたため、撮影レンズ
として必要とされる分光特性を得るため、図10に示す
ような分光特性が、屈折レンズ部に必要となり、屈折レ
ンズ部に特殊なダイクロ膜などを使用する必要があっ
た。また分光特性を所望の特性にするため、図11に示
すように、設計波長近傍の回折光量を落として、合成透
過率の分光特性の色みを補正せざるを得なかった。これ
に対して、本発明では回折格子の回折効率は使用波長領
域で高く維持されているので、特殊な膜も必要なく通常
の屈折レンズと同等に取り扱うことができる。
【0067】図8に示す実施形態では、絞り5近傍の平
板ガラス11の面に回折光学素子1を設けているが、こ
れに限定するものではなく、レンズ曲面の表面に設けて
も良いし、撮影レンズ内に複数、回折光学素子を使用し
ても良い。
【0068】また本実施形態ではカメラの撮影レンズの
場合を示したが、これに限定するものではなく、ビデオ
カメラの撮影レンズ、事務機のイメージスキャナーや、
デジタル複写機のリーダーレンズ等に使用しても同様の
効果が得られる。
【0069】図9は本発明の回折光学素子を用いた光学
系の実施形態3の要部概略図である。本実施形態は回折
光学素子1を双眼鏡等の観察光学系の一部に適用した場
合を示している。
【0070】図中、7は対物レンズ、8は像を成立させ
るためのプリズム、9は接眼レンズである。図中3は、
この光学系の光軸であり、1は回折光学素子であり、基
板11に対物レンズの結像面6での色収差等を補正する
目的で形成されている。
【0071】本実施形態では、対物レンズ7の一部に回
折光学素子1を形成した場合を示したが、これに限定す
るものではなく、プリズム表面や接眼レンズ内の位置で
あっても同様の効果が得られる。しかしながら、結像面
より物体側に設けることで対物レンズ7のみでの色収差
の低減効果があるため、肉眼の観察系の場合少なくとも
対物レンズ側に設けることが望ましい。
【0072】また本実施形態では双眼鏡に適用した場合
を示したが、これに限定するものではなく地上望遠鏡や
天体観測用望遠鏡等であっても良く、またレンズシャッ
ターカメラやビデオカメラ等の光学式のファインダーで
あっても同様の効果が得られる。
【0073】また実施形態1と同様に回折格子面の構造
については階段形状やキノフォーム等いずれであっても
同様の効果が得られる。
【0074】
【発明の効果】本発明によれば以上のように、回折光学
素子をアッベ数(分散)の異なる材質より成る少なくと
も2つの回折格子を重ね合わせて構成することによって
設計次数の回折効率を使用波長領域全域で高く、かつ設
計回折次数近傍の回折効率を大幅に低減することがで
き、光学系に適用したときは色収差等の諸収差を良好に
補正することができる写真用カメラ、ビデオカメラ、双
眼鏡、プロジェクター、望遠鏡、顕微鏡、複写器等の各
種の光学系に好適な回折光学素子及びそれを用いた光学
系を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の回折光学素子の実施形態1の要部概
略図
【図2】 本発明の回折光学素子の実施形態1の一部分
の要部断面図
【図3】 本発明の回折光学素子の実施形態1の回折効
率の説明図
【図4】 本発明の回折光学素子の実施形態1の一部分
の要部断面図
【図5】 本発明の回折光学素子の実施形態1の異なる
格子厚での回折効率の説明図
【図6】 本発明の回折光学素子を光学レンズより構成
したときの要部概略図
【図7】 本発明の回折光学素子の他の格子構造の説明
【図8】 本発明の回折光学素子を用いた光学系の実施
形態2の要部概略図
【図9】 本発明の回折光学素子を用いた光学系の実施
形態3の要部概略図
【図10】 従来の回折光学素子を用いた光学系の屈折
率の分光特性の説明図
【図11】 従来の回折光学素子を用いた光学系の総合
分光特性の説明図
【図12】 従来の回折格子の説明図
【図13】 従来の回折格子の回折効率の説明図
【図14】 一般的なレンズの分光特性の説明図
【図15】 分光特性と回折効率の積の説明図
【図16】 回折作用の説明図
【符号の説明】
1 回折光学素子 2 回折格子 2a 第1の回折格子 2b 第2の回折格子 3 光軸 4 光学系 5 絞り 6 結像面 7 対物レンズ 8 プリズム 9 接眼レンズ 10 評価面 11 基板
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年11月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正内容】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は回折光学素子及びそ
れを用いた光学系に関し、特に使用波長領域の光束が特
定次数(設計次数)に集中するような回折格子構造を有
し、所望の分光特性が高い回折効率で得られる写真用カ
メラ、ビデオカメラ、双眼鏡、プロジェクター、望遠
鏡、顕微鏡、複写機等の各種の光学系に好適なものであ
る。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正内容】
【0005】図では、周期的構造を一方向についてのみ
示したが、この様な周期的構造を光軸等ある軸を中心に
回転対称に構成し、回折格子の周期ピッチを徐々に変化
させることによりこの周期的構造を有する輪帯構造はレ
ンズとして作用する。このような回折作用を利用したレ
ンズは、式(1)よりある次数では波長が長いほど回折
される角度が大きくなることから、波長による結像点の
位置関係が屈折レンズの同じ方向のパワーをもつものと
逆になる。前述の文献等は主としてこの原理を利用して
収差(色収差)を補正している。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正内容】
【0025】特に、(1-1-1) 前記第1,第2の回折格子
は所定波長域の光束が特定次数に集中する格子構造より
成っていること、(1-1-2) 前記第1,第2の回折格子の
1周期内の格子は複数の階段形状より成っていること、
(1-1-3) 前記第1,第2の回折格子の1周期内の格子は
厚さが連続的に変化する形状より成っていること、(1-1
-4) 前記第1,第2の回折格子の1周期内の格子はキノ
フォーム形状より成っていること、(1-1-5)前記第1,
第2の回折格子の基準波長での材質の屈折率をn1,n
2、厚さをd1,d2とし、光学光路長L1,L2を L1=(n1−1)d1 L2=(n2−1)d2 と表わしたとき、重ね合わせた光学光路長が1周期内で
前記一方向において減少するときは、前記第1,第2の
回折格子の材質のアッベ数を各々ν1,ν2とすると
き、 ν2<ν1 なる条件を満足すること、(1-1-6) 前記第1,第2の回
折格子の基準波長での材質の屈折率をn1,n2、厚さ
をd1,d2とし、光学光路長L1,L2を L1=(n1−1)d1 L2=(n2−1)d2 と表わしたとき、重ね合わせた光学光路長が1周期内で
前記一方向において増加するときは、前記第1,第2の
回折格子の材質のアッベ数を各々ν2,ν1とすると
き、 ν2<ν1 なる条件を満足すること、(1-1-7) 前記第1,第2の回
折格子は1次元格子より成っていること、(1-1-8) 前記
第1,第2の回折格子は同心円格子より成っているこ
と、(1-1-9) 前記第1,第2の回折格子の組を複数、前
記基板上に設けていること、(1-1-10)前記第1の回折格
子は1周期内で前記一方向に厚さが単調減少する格子を
有していること、(1-1-11)前記第2の回折格子は1周期
内で前記一方向に厚さが単調増加する格子を有している
こと、(1-1-12)前記第1の回折格子は1周期内で前記一
方向に厚さが単調減少する格子を有し、前記第2の回折
格子は1周期内で前記一方向に厚さが単調増加する格子
を有していること、(1-1-13)前記基板は平行平板である
こと、(1-1-14)前記基板は曲率を有した曲面であること
等を特徴としている。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0074
【補正方法】変更
【補正内容】
【0074】
【発明の効果】本発明によれば以上のように、回折光学
素子をアッベ数(分散)の異なる材質より成る少なくと
も2つの回折格子を重ね合わせて構成することによって
設計次数の回折効率を使用波長領域全域で高く、かつ設
計回折次数近傍の回折効率を大幅に低減することがで
き、光学系に適用したときは色収差等の諸収差を良好に
補正することができる写真用カメラ、ビデオカメラ、双
眼鏡、プロジェクター、望遠鏡、顕微鏡、複写機等の各
種の光学系に好適な回折光学素子及びそれを用いた光学
系を達成することができる。

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上にアッベ数が異なる少なくとも2
    つの材質より成る第1,第2の回折格子を各ピッチ毎に
    対応するように重ねた回折光学素子であって、該第1の
    回折格子は1周期内で一方向に厚さが減少する格子を有
    し、該第2の回折格子は1周期内で該一方向に厚さが増
    加する格子を有していることを特徴とする回折光学素
    子。
  2. 【請求項2】 前記第1,第2の回折格子は所定波長域
    の光束が特定次数に集中する格子構造より成っているこ
    とを特徴とする請求項1の回折光学素子。
  3. 【請求項3】 前記第1,第2の回折格子の1周期内の
    格子は複数の階段形状より成っていることを特徴とする
    請求項1又は2の回折光学素子。
  4. 【請求項4】 前記第1,第2の回折格子の1周期内の
    格子は厚さが連続的に変化する形状より成っていること
    を特徴とする請求項1又は2の回折光学素子。
  5. 【請求項5】 前記第1,第2の回折格子の1周期内の
    格子はキノフォーム形状より成っていることを特徴とす
    る請求項1又は2の回折光学素子。
  6. 【請求項6】 前記第1,第2の回折格子の基準波長で
    の材質の屈折率をn1,n2、厚さをd1,d2とし、
    光学光路長L1,L2を L1=(n1−1)d1 L2=(n2−1)d2 と表わしたとき、重ね合わせた光学光路長が1周期内で
    前記一方向において減少するときは、前記第1,第2の
    回折格子の材質のアッベ数を各々ν1,ν2とすると
    き、 ν2<ν1 なる条件を満足することを特徴とする請求項1〜5のい
    ずれか1項記載の回折光学素子。
  7. 【請求項7】 前記第1,第2の回折格子の基準波長で
    の材質の屈折率をn1,n2、厚さをd1,d2とし、
    光学光路長L1,L2を L1=(n1−1)d1 L2=(n2−1)d2 と表わしたとき、重ね合わせた光学光路長が1周期内で
    前記一方向において増加するときは、前記第1,第2の
    回折格子の材質のアッベ数を各々ν1,ν2とすると
    き、 ν2<ν1 なる条件を満足することを特徴とする請求項1〜5のい
    ずれか1項記載の回折光学素子。
  8. 【請求項8】 前記第1,第2の回折格子は1次元格子
    より成っていることを特徴とする請求項1〜7のいずれ
    か1項記載の回折光学素子。
  9. 【請求項9】 前記第1,第2の回折格子は同心円格子
    より成っていることを特徴とする請求項1〜7のいずれ
    か1項記載の回折光学素子。
  10. 【請求項10】 前記第1,第2の回折格子の組を複
    数、前記基板上に設けていることを特徴とする請求項1
    〜9のいずれか1項記載の回折光学素子。
  11. 【請求項11】 前記第1の回折格子は1周期内で前記
    一方向に厚さが単調減少する格子を有していることを特
    徴とする請求項1〜10のいずれか1項記載の回折光学
    素子。
  12. 【請求項12】 前記第2の回折格子は1周期内で前記
    一方向に厚さが単調増加する格子を有していることを特
    徴とする請求項1〜10のいずれか1項記載の回折光学
    素子。
  13. 【請求項13】 前記第1の回折格子は1周期内で前記
    一方向に厚さが単調減少する格子を有し、前記第2の回
    折格子は1周期内で前記一方向に厚さが単調増加する格
    子を有していることを特徴とする請求項1〜10のいず
    れか1項記載の回折光学素子。
  14. 【請求項14】 前記基板は平行平板であることを特徴
    とする請求項1〜13のいずれか1項記載の回折光学素
    子。
  15. 【請求項15】 前記基板は曲率を有した曲面であるこ
    とを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項記載の回
    折光学素子。
  16. 【請求項16】 請求項1から15のいずれか1項記載
    の回折光学素子を用いたことを特徴とする光学系。
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