JPH10131938A - ねじ部材と板状部材の結合体およびその製造方法 - Google Patents

ねじ部材と板状部材の結合体およびその製造方法

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JPH10131938A
JPH10131938A JP28625596A JP28625596A JPH10131938A JP H10131938 A JPH10131938 A JP H10131938A JP 28625596 A JP28625596 A JP 28625596A JP 28625596 A JP28625596 A JP 28625596A JP H10131938 A JPH10131938 A JP H10131938A
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screw
plate
hole
washer
bolt
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JP28625596A
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Kenichiro Tanabe
健一郎 田辺
Shinichi Taguchi
信一 田口
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Nissan Motor Co Ltd
Topura Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Topura Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ねじ部材と板状部材を独立して処理加工する
ことが可能なねじ部材と板状部材の結合体を提供する。 【解決手段】 ワッシャ2をボルト1に組込んだ結合体
である。ボルト1は、従来と同様なものである。組込前
のワッシャ2は、リング状の平板面の穴の周縁が皿状
で、この周縁が穴の中心軸方向に角度α(鋭角)で傾斜
したものを用い、穴径はボルト1のねじ部1aの外径よ
りも大きい。図1(A)に示すように、ワッシャ2を、
ボルト1のねじ部1aに挿入して、非ねじ部1bに嵌合
させる。図1(B)に示すように、ワッシャ2の穴の周
縁の皿状の部分を塑性変形させるとワッシャ2の穴径が
前記ねじ部の外径よりも小さくされて、ワッシャ2が組
込まれる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ボルトや小ねじな
どのねじ部材と、ワッシャなどの板状部材との結合体お
よびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ボルトや小ねじなどのねじ部材
は、ワッシャをはめ込んで使用する場合が多いが、ねじ
部材にワッシャを手作業ではめ込む必要がある。そこ
で、あらかじめ、ねじ部材にワッシャを組み込んだもの
が知られている。
【0003】図12は、従来のワッシャ組込4Tボルト
の成形工程の説明図である。図12(A)ないし図12
(D)は成形工程を順に示した説明図である。図中、1
はボルト、1aはねじ部、1bは非ねじ部、1cは頭
部、71は線材、72はヘッダ加工済線材、73はワッ
シャである。このボルト1は、ねじ部が転造加工により
成形されたものである。
【0004】図12(A)に示すように、ボルト1の素
材として所定長さの線材71を用いる。図12(B)に
示すように冷間鍛造によるヘッダ加工を施して頭部を成
形する。図12(C)に示すように、ワッシャ73を挿
入する。ワッシャ73の穴の内径は、後述するねじ部1
aの雄ねじの外径よりも小さく、かつ、ヘッダ加工済線
材72の外径よりも大きく設定されている。図12
(D)に示すように、転造加工によりねじ部1aが形成
される。
【0005】転造加工することにより塑性変形で成形さ
れたねじ部1aのネジ山の外径は、ワッシャ73の内径
より大きくされ、この時点でワッシャ73はボルト1に
組み込まれ、ボルト1からワッシャ73が脱落しない状
態となる。その後、メッキ等の表面処理を行ない、ねじ
部1a、頭部1c、ねじ部1aと頭部1cの間にある非
ねじ部1bからなるボルト1と、このボルト1の非ねじ
部1bに嵌合するワッシャ73とを有する結合体が製造
される。
【0006】また、従来のワッシャ組込タッピングネジ
の成形工程においては、図示を省略するが、上述したワ
ッシャ組込4Tボルトの場合の図12(A),図12
(B)と同様に冷間鍛造によるヘッダ加工を施して頭部
を成形し、図12(C)と同様にワッシャを挿入する。
ワッシャ73の板厚が薄い場合などには、浸炭を防ぐた
めワッシャに銅メッキなどの防炭処理を施す場合もあ
る。引き続き図12(D)と同様に、転造加工によりね
じ部が形成される。その後、熱処理(浸炭)を施し、メ
ッキ等の表面処理を施して、タッピングねじにワッシャ
が組み込まれた結合部材が製造される。
【0007】さらにまた、従来の熱処理を要するワッシ
ャ組込ボルトの成形工程においては、図12(A)と同
様に冷間鍛造によるヘッダ加工を施して頭部を成形し、
強度区分7T,9Tなどの熱処理およびアニールなどの
調質を行なう。その後、図12(C),図12(D)と
同様に、ワッシャ挿入およびねじ部の転造加工をしてメ
ッキ等の表面処理を行なう。
【0008】上述したワッシャ組込タッピングネジの場
合、従来技術では熱処理(浸炭)工程で耐熱上問題があ
る材質のワッシャの組込が不可能であった。また、ワッ
シャ組込4Tボルト,熱処理を要するワッシャ組込ボル
トの場合を含め、いずれの場合についても、上述した組
込方法では、メッキ等の表面処理工程において問題のあ
る材質のワッシャの組込が不可能であり、さらに、ねじ
部材とワッシャとを異なる表面処理にすることも不可能
であった。
【0009】したがって、従来は、ねじ部材と同様な熱
処理条件では耐熱上の問題がある材質のワッシャを使用
する場合、ねじ部材と同様なメッキなどの処理工程にお
いて問題のある材質のワッシャを使用する場合、ねじ部
材とワッシャの表面処理を異なるものとする場合などに
は、組込化が不可能であった。そのため、ワッシャの穴
径をねじ部材の雄ねじ外径よりも大きくし設定し、あら
かじめ、ねじ部材単体とワッシャ単体とを作業者が手嵌
めしてから締め付けるという作業工程となり作業負荷が
高くなっていた。
【0010】上述した説明では、ワッシャを組み込む場
合について説明したが、ねじ部材と他の板状部材とを結
合する場合においても、上述した熱処理や表面処理など
に問題がある場合がある。
【0011】図13は、電線接続用端子片をボルトに組
み込む場合の従来の説明図である。図中、81は電線接
続用端子片、81aは圧着部、81bは爪、62は絶縁
被覆、63は銅線、82は鍔付きボルト、82aは鍔部
である。電線接続用端子片81と鍔付きボルト82とは
別体である。電線接続用端子片81は、リング状の平板
の一部が外側に延在し圧着部81aを構成している。圧
着部81aの側面にはそれぞれ2個の爪81bを有す
る。鍔付きボルト82は、頭部と鍔部82aとが一体的
に成形されたものであるが、通常のボルトにワッシャを
嵌め込んだものを用いてもよい。あるいは、ワッシャを
嵌め込まない単に通常のボルトのみでもよい。
【0012】電線の端部の絶縁被覆62とこの被覆が除
去されて露出した多心の銅線63とは、圧着部81aに
おいて爪81bによりかしめられ、電線接続用端子片8
1の圧着部81aと銅線63とは圧着により電気的に接
続される。作業者は、まず電線接続用端子片81の穴に
鍔付きボルト82を通し、次に鍔付きボルト82を相手
側のナットやねじ穴などに締め付ける。
【0013】このような場合、電線接続用端子片81に
電線を圧着接続した状態ではもちろん、圧着接続する前
に電線接続用端子片81を鍔付きボルト82に組み込む
ことは、熱処理や表面処理などを伴う場合、製造が困難
であった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した事
情に鑑みてなされたもので、ねじ部材と板状部材を独立
して処理加工することが可能である、ねじ部材と板状部
材の結合体およびその製造方法を提供することを目的と
するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
おいては、頭部とねじ部と前記頭部および前記ねじ部の
間にあり前記ねじ部の外径よりも小径の非ねじ部を有す
るねじ部材と、穴を有する板状部材を有し、前記非ねじ
部と前記穴とが嵌合したねじ部材と板状部材の結合体に
おいて、前記板状部材は、前記穴の穴径が前記ねじ部の
外径よりも大きい状態で前記非ねじ部に挿入された後、
前記穴の周縁部分が塑性変形されることにより前記穴径
が前記ねじ部の外径よりも小さくされたものであること
を特徴とするものである。
【0016】請求項2に記載の発明においては、頭部と
ねじ部と前記頭部および前記ねじ部の間にあり前記ねじ
部の外径よりも小径の非ねじ部を有するねじ部材と、穴
を有する板状部材を有し、前記非ねじ部と前記穴とが嵌
合したねじ部材と板状部材の結合体において、前記ねじ
部材は熱処理がなされたものであり、前記板状部材は熱
処理がなされていないものであることを特徴とするもの
である。
【0017】請求項3に記載の発明においては、頭部と
ねじ部と前記頭部および前記ねじ部の間にあり前記ねじ
部の外径よりも小径の非ねじ部を有するねじ部材と穴を
有する板状部材を有し、前記非ねじ部と前記穴とが嵌合
したねじ部材と板状部材の結合体において、前記ねじ部
材と前記板状部材とは、相異なる表面処理をされ前記板
状部材が着色されたものであることを特徴とするもので
ある。
【0018】請求項4に記載の発明においては、請求項
1ないし3のいずれか1項に記載のねじ部材と板状部材
の結合体において、前記ねじ部材は、ボルトであること
を特徴とするものである。
【0019】請求項5に記載の発明においては、請求項
1ないし3のいずれか1項に記載のねじ部材と板状部材
の結合体において、前記ねじ部材は、小ねじであること
を特徴とするものである。
【0020】請求項6に記載の発明においては、請求項
1ないし5のいずれか1項に記載のねじ部材と板状部材
の結合体において、前記板状部材は、ワッシャであるこ
とを特徴とするものであるものである。
【0021】請求項7に記載の発明においては、請求項
1ないし5のいずれか1項に記載のねじ部材と板状部材
の結合体において、前記板状部材は、電線接続用端子片
であることを特徴とするものである。
【0022】請求項8に記載の発明においては、アース
線を有するワイヤーハーネスにおいて、請求項7に記載
のねじ部材と板状部材の結合体を有し、前記電線接続用
端子片が前記アース線の先端に接続されていることを特
徴とするものである。
【0023】請求項9に記載の発明においては、ねじ部
材と板状部材の結合体の製造方法において、頭部とねじ
部と前記頭部および前記ねじ部の間にあって前記ねじ部
の外径よりも小径の非ねじ部を有するねじ部材と、前記
ねじ部の外径よりも大きい穴径の穴を有する板状部材を
用い、前記非ねじ部と前記穴とを嵌合させた後、前記穴
の周縁部分を塑性変形させ、前記穴径を前記ねじ部の外
径よりも小さくすることを特徴とするものである。
【0024】請求項10に記載の発明においては、請求
項9に記載のねじ部材と板状部材の結合体の製造方法に
おいて、前記板状部材は、前記穴の周縁部分の少なくと
も一部分が前記穴の軸方向に鋭角で傾斜したものを用い
ることを特徴とするものである。
【0025】
【発明の実施の形態】図1は、本発明のねじ部材と板状
部材の結合体の第1の実施の形態の説明図である。図1
(A)は、組込前の状態の説明図であり、図1(B)は
組込後の説明図である。図2は、図1に示したボルトお
よびワッシャの単体の説明図である。図2(A)はボル
トの正面図、図2(B)はワッシャの平面図、図2
(C)はワッシャの正面断面図である。図中、2はワッ
シャである。
【0026】この実施の形態は、ねじ部材としてボルト
1を、板状部材としてワッシャ2を用い、ワッシャ2を
ボルト1に組込んだ結合体である。図2(A)に示すボ
ルト1は、従来例として図12(D)に示したボルト1
と同様なものである。図2(B),図2(C)に示す組
込前のワッシャ2は、リング状の平板面の穴の周縁が皿
状になっており、周縁が穴の中心軸方向に角度α(鋭
角)で傾斜したものを用い、穴径は、ボルト1のねじ部
1aの外径よりも大きい。
【0027】図1(A)に示すように、ワッシャ2を、
その凸方向、すなわち、穴の穴径の小さい側を下にして
ボルト1のねじ部1aに挿入し、非ねじ部1bに嵌合さ
せる。この時点では、ワッシャ2の穴の内径がボルト1
のねじ部1aの外径より大きいため、ワッシャ2はボル
ト1に対し着脱可能な寸法関係になっている。ワッシャ
2の穴の周縁の皿状の部分を塑性変形させると、図1
(B)に示すように、ワッシャ2の穴径が前記ねじ部の
外径よりも小さくされて、ワッシャ2が組込まれる。
【0028】図2(A)に示したボルト1は、組込前に
おいて、浸炭,調質などの熱処理がされたもの、また、
メッキ等の表面処理がされたものを用いることができ、
その後にワッシャ2を組み込むことが可能となる。その
ため、ボルト1およびワッシャ2は、独立に熱処理,表
面処理を施すことができる。したがって、このワッシャ
2は必ずしも熱処理をされなくてよいから、熱処理工程
に適さない材質のワッシャを組み込むことも可能であ
る。
【0029】なお、図2(A)中のAで示されたボルト
1の転造素材径の外径、図2(B)中のaで示されたワ
ッシャ2の板厚(凸部の高さ)、bで示された板厚(底
板の厚み)、dで示された穴径、底板のリング内径
1 、底板のリング外径r2 の具体的な数値例は、後述
する実施例の項で説明する。
【0030】図3は、本発明のねじ部材と板状部材の結
合体の製造方法の説明図である。図3(A)はプレス前
の状態の説明図であり、図3(B)はプレス後の説明図
である。図中、図12,図1と同様な部分には同じ符号
を付して説明を省略する。11はプレス型、12は基台
である。
【0031】図2(A)に示したボルト1に、図2
(B),図2(C)に示したワッシャ2を組み込むため
のプレス工程である。図3(A)に示すように、基台1
2上にボルト1の頭部1cを載置する。図1(A)と同
様に、ワッシャ2をボルト1に挿入し、ワッシャ2の穴
の凸方向を下にして頭部1cの裏面上に載置する。プレ
ス型11の内穴の水平断面は円形であり、この内穴をボ
ルト1にかぶせ、ワッシャ2をプレス型11で押圧す
る。ワッシャ2は、ボルト1の頭部1cとプレス型11
とに挟まれて、穴の皿状の周縁部が塑性変形し、ワッシ
ャ2の内径の縮小が進行する。
【0032】図3(B)は、図1(B)と同様に、ワッ
シャ2の塑性変形が完了した状態を示す。この時点で、
ワッシャ2の穴の内径は、ボルト1のねじ部1aの外径
よりも小さくなり、ワッシャ2はボルト1から脱落する
ことはない。また、ワッシャ2の穴の塑性変形前の内径
は、非ねじ部1bの外径と同じかまたは若干大きくなる
ように設定されている。なお、ボルト1のねじ部1aの
外径とプレス型11の内径との間の隙間は、なるべく小
さくする方が好ましい。
【0033】図4は、本発明のねじ部材と板状部材の結
合体の別の製造方法の説明図である。図中、図12,図
1と同様な部分には同じ符号を付して説明を省略する。
この実施の形態は、図3に示した製造方法と比較して、
ワッシャ2の凸方向を上にし、プレス型11がワッシャ
2の凸方向側に当接するようにしたものであり、同様の
作用効果が得られる。そのため、ワッシャ2のリング状
の平板面が頭部1cの裏面上に載置されることが可能と
なるように、ワッシャ2および頭部1cの寸法を設計す
る必要がある。しかし、頭部1cの周囲にこの頭部1c
の裏面とほぼ同じ高さとなるものを設け、これでプレス
型11の圧力を受け止めるようにすれば、上述したよう
な設計上の制約はない。
【0034】図5は、本発明のねじ部材と板状部材の結
合体の第2の実施の形態に用いるワッシャの説明図であ
る。図5(A)は平面図、図5(B)は図5(A)中、
切断線Aに沿った正面断面図である。図中、21はワッ
シャ、21aは突起部である。
【0035】この実施の形態は、図1ないし図4に示し
たものに比べ、ワッシャの穴形状を変えたものである。
穴の周縁の一部において、略Y字状に形成された突起部
21aが2個対向し、穴の中心軸方向に角度α(鋭角)
で傾斜している。突起部21aの首部分がくびれ、リン
グ状の平板面とつながるために塑性変形しやすい。した
がって、傾斜角αが0°、すなわち、ワッシャ21の全
体が平板状であっても、ワッシャ21をボルト1のねじ
部1aに挿入する際に、突起部21aが塑性変形して穴
径が広がり非ねじ部1bに嵌め込むことが可能である。
その後さらに逆方向に塑性変形させればワッシャ21を
ボルト1に組込むことができる。
【0036】図6は、本発明のねじ部材と板状部材の結
合体の第3の実施の形態に用いるワッシャの説明図であ
る。図6(A)は平面図、図6(B)は図6(A)中、
切断線Aに沿った正面断面図である。図中、22はワッ
シャ、22aは突起部である。
【0037】この実施の形態は、図5に示したものに比
べ、ワッシャの穴形状をさらに変えたものである。穴の
周縁の一部において、中心を外れた方向に線状の突起部
22aが4個、90°の点対称で設けられ、穴の中心軸
方向に角度α(鋭角)で傾斜している。全体としては、
卍型に穴が開けられている。突起部22aは細いため塑
性変形しやすい。したがって、図5に示したワッシャ2
1と同様に、傾斜角αが0°、すなわち、ワッシャ22
の全体が最初から平板状であってもよい。
【0038】上述した説明では、ワッシャの外周形状を
円形としたが、外周形状は円形に限らず、多角形その他
の異形でもよい。穴形状についても、穴の周縁部が塑性
変形し、ねじ部1aのねじ山外周に干渉するものであれ
ば、上述した形状に限らず、多角形その他の異形でもよ
い。
【0039】図7は、本発明のねじ部材と板状部材の結
合体の第4の実施の形態の説明図である。図中、図12
と同様な部分には同じ符号を付して説明を省略する。3
1は着色されたワッシャである。この実施の形態は、ボ
ルト1の表面処理と組込ワッシャ31の表面処理を変え
たもので、具体的には、組込ワッシャ31の表面の色と
ボルト1の表面の色とを異ならせたもので、ワッシャ組
込ボルトの視認性を高めることができる。さらに、外径
寸法が同一または類似で材質だけが異なる数種類のボル
ト1を識別するために、材質に応じてワッシャ31の表
面の色相を変えるようにして識別性を高めることが可能
である。
【0040】なお、組込ワッシャ31は、着色以外の表
面処理を併用したものでもよい。また、ボルト1側を表
面処理しない場合には、従来の技術であっても、表面処
理したワッシャをボルト1に通し、その後、ねじ部1a
を形成することが可能であるが、ボルト1側にワッシャ
側とは異なる表面処理をすることは従来の技術では不可
能であった。
【0041】図1ないし図7を参照して説明した実施の
形態においては、ねじ部材と結合する板状部材としてワ
ッシャを例示したが、穴の周縁部が塑性変形し、ねじ部
1aのねじ山外周に干渉するものであれば、ワッシャに
限られない。
【0042】図8は、本発明のねじ部材と板状部材の結
合体の第5の実施の形態の説明図である。図中、図12
と同様な部分には同じ符号を付して説明を省略する。4
1はL型ブラケットである。この実施の形態は、板状部
材としてL型ブラケット41を用いたものである。従来
のブラケットにおいて、ボルトや小ねじを通す穴の周縁
部を図1ないし図4を参照して説明したワッシャ2,図
5,図6を参照して説明したワッシャ21,22と同様
な形状にして、ボルト1を通した後に周縁部を塑性変形
させたものである。
【0043】このL型ブラケット41の用途としては、
壁面や床面などに垂直に平板を取り付けるのに用いるこ
とができ、必要に応じてナットを用いる。図示の例で
は、2カ所にボルト1を通しているが、一方のみに通
し、他方は従来の同様の穴にして別体のボルト単体を通
してもよい。また、L型ブラケット以外にも、任意の形
状のブラケットを用いることができ、大型のものでもよ
い。
【0044】図9は、本発明のねじ部材と板状部材の結
合体の第6の実施の形態の説明図である。図中、図12
と同様な部分には同じ符号を付して説明を省略する。5
1は平板パネルである。この実施の形態は、板状部材と
して平板パネル51を用いたものである。従来の平板パ
ネルにおいてボルトや小ねじを通す穴の周縁部を、図1
ないし図4を参照して説明したワッシャ2,図5,図6
を参照して説明したワッシャ21,22と同様な形状に
し、ボルト1を通した後に周縁部を塑性変形させたもの
である。この平板パネル51は、例えば、これよりも若
干小さな開口部を覆うものであって、開口部の4隅に設
けられたねじ穴にボルト1をねじ込んで開口部を塞ぐの
に用いることができる。
【0045】図10は、本発明のねじ部材と板状部材の
結合体の第7の実施の形態の説明図である。図中、図1
2,図13と同様な部分には同じ符号を付して説明を省
略する。61は電線接続用端子片、61aは圧着部、6
1bは爪である。
【0046】この実施の形態は、板状部材として電線接
続用端子片61を用いたものである。この電線接続用端
子片61は、図13に示した電線接続用端子片61と同
様に、爪61b付きの圧着部61aを有するが、ボルト
1cを通す穴の周縁部を図1ないし図4を参照して説明
したワッシャ2,図5,図6を参照して説明したワッシ
ャ21,22と同様な形状にして、ボルト1を通した後
に周縁部を塑性変形させ、ボルト1に電線接続用端子片
61を組込んだものである。したがって、電線接続用端
子片61は、熱処理やメッキ等の表面処理後が完成した
後にボルト1への組込が可能となる。その後、電線接続
用端子片61の圧着部81aにおいて爪81bにより電
線端末の絶縁被覆62および銅線63を圧着する。
【0047】したがって、電線接続用端子片61をボル
ト1に通す作業負荷の低減がはかれるだけでなく、ボル
ト1に熱処理や表面処理をする場合などには、従来は使
用不可能であった黄銅製やアルミニウム製の電線接続用
端子片61の組込も可能になる。また、電線接続用端子
片61には爪61bのある表と平板状の裏があるが、こ
の裏表の向きを誤って組込んでしまうことを防止するこ
とができる。電線接続用端子片61と電線の圧着接続
は、ボルト1に組込む前に行なうことも可能である。
【0048】この電線接続用端子片61をアース端子と
して使用する場合には、例えば、導電性のシャーシ,ボ
ディ,フレームなどにねじ穴を開け、この電線接続用端
子片61を組み込んだボルト1をねじ込んて取り付けれ
ばよい。アース端子の締め付け作業の負担が低減される
が、特に、自動車内の車体へのアース作業に利用する場
合には、あらかじめアース線の先端に電線接続用端子片
61を圧着接続することにより、電線接続用端子片61
とボルト1との結合体をワイヤハーネスに組込んでおく
ことができる。
【0049】あらかじめ電気配線をまとめたワイヤーハ
ーネスは、配線ケーブルが混み入っており、また、狭い
作業空間で配線接続作業をする場合が多いため、アース
取り付け作業時にボルト1に電線接続用端子片61の組
込作業を要しないということは作業性の向上に大きく寄
与する。もちろん、アース端子としての利用に限らず、
例えば、このような電線接続用端子片61を有する電線
同士を中継用の電線接続器の導体のねじ取付部にねじ込
んで両者を電気的に接続することも可能である。
【0050】上述した説明では、リング状の電線接続用
端子片61を例示したが、リングの内径の周縁の一部分
が180°未満にわたって切り欠かれたものでもよく、
周縁部に傾斜部を設けて塑性変形させることにより、リ
ング状の場合と同様にボルト1への組込みができる。
【0051】上述した各実施の形態においては、ねじ部
材として図12を参照して説明したボルト1を用いた場
合、すなわち4Tボルトを用いた場合について説明し
た。しかし、雄ねじ部を有するものであればよく、小ね
じ類、例えば、ビス,タッピングねじ,木ネジなどでも
よい。熱処理や表面処理の有無は問わない。
【0052】上述した説明では、転造加工されたねじ部
を前提として説明した。しかし、旋盤やダイスによりね
じを切った場合でも、頭部に隣接する非ねじ部の外径を
ねじ部の外径よりも細くしてあれば、ワッシャなどの板
状部材を挿入し塑性変形させてワッシャの穴径をねじ部
の外径よりも小さくし、ねじ部材と板状部材を結合させ
ることができる。
【0053】
【実施例】図2に示したボルトおよびワッシャの具体例
について説明する。ボルト1がM6転造ボルトの場合、
図2(A)中、Aで示した転造素材径は、5.3mmφ
である。一方、図11は、ワッシャの寸法の説明図であ
る。図11(A)は、プレス前のワッシャ2の寸法の説
明図、図11(B)は、図3を参照して説明したプレス
工程において、荷重と塑性変形後のワッシャ2の寸法の
関係を示す説明図である。プレス前において、ワッシャ
2の板厚(凸部の高さ)aを1.9mm、板厚(底板の
厚み)を0.8mm、穴径dを6.2mmφ、底板のリ
ング内径r1を9mmφ、底板のリング外径r2 を12
mmφとした。
【0054】荷重2.15(kN)でプレスした場合、
皿状の凸部が塑性変形されてほぼ平板状になり、板厚a
は1.03(mm)、穴径は5.43(mm)となっ
た。また、荷重6.02(kN)でさらに強くプレスし
た場合、板厚aは0.82(mm)、穴径は5.43
(mm)となった。穴径は、転造素材径よりも大きく雄
ねじの外径よりも小さくなり、ボルト1とワッシャ2と
を結合してワッシャを組込むことができた。
【0055】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項
1に記載の発明によれば、板状部材は、穴の穴径がねじ
部の外径よりも大きい状態で非ねじ部に挿入された後、
穴の周縁部分が塑性変形されることにより穴径がねじ部
の外径よりも小さくされたものであることから、ねじ部
材の締め付け作業時に、ねじ部材と板状部材の組み付け
作業を要しないという効果がある。ねじ部材と板状部材
に、熱処理およびまたは表面処理を個別に独立して施す
ことができ、ねじ部材および板状部材に適した熱処理お
よびまたは表面処理を選択することができるという効果
がある。例えば、一方にのみ熱処理およびまたは表面処
理を施したり、互いに異なる熱処理や表面処理を施した
りすることができる。
【0056】請求項2に記載の発明によれば、ねじ部材
は熱処理がなされたものであり、板状部材は熱処理がな
されていないものであることから、熱処理に適さない材
料の板状部材を用いることができるという効果がある。
【0057】請求項3に記載の発明によれば、ねじ部材
と前記板状部材とは、相異なる表面処理をされ板状部材
が着色されたものであることから、ねじ部材と板状部材
の結合体の視認性が高くなるという効果がある。ねじ部
材の材質等に応じて着色する色相を異ならせた場合に
は、識別性を高めることが可能である。
【0058】請求項4に記載の発明によれば、ねじ部材
は、ボルトであることから、あらかじめワッシャ等の板
状部材を組み込んだボルトを得ることができるという効
果がある。
【0059】請求項5に記載の発明によれば、ねじ部材
は、小ねじであることから、あらかじめワッシャ等の板
状部材を組み込んだ小ねじを得ることができるという効
果がある。
【0060】請求項6に記載の発明によれば、板状部材
は、ワッシャであることから、あらかじめワッシャを組
み込んだボルト等のねじ部材を得ることができるという
効果がある。
【0061】請求項7に記載の発明によれば、板状部材
は、電線接続用端子片であることから、あらかじめ電線
接続用端子片を組み込んだボルト等のねじ部材を得るこ
とができるという効果がある。
【0062】請求項8に記載の発明によれば、請求項7
に記載のねじ部材と板状部材の結合体を有し、電線接続
用端子片がアース線の先端に接続されていることから、
手作業でねじ部材に電線接続用端子片を挿入する場合に
比べ、ワイヤーハーネスが混み入っていても、また、狭
い作業空間でアース取り付け作業をする場合でも、作業
性が良好であるという効果がある。
【0063】請求項9に記載の発明によれば、頭部とね
じ部と頭部およびねじ部の間にあってねじ部の外径より
も小径の非ねじ部を有するねじ部材と、ねじ部の外径よ
りも大きい穴径の穴を有する板状部材を用い、非ねじ部
と穴とを嵌合させた後、穴の周縁部分を塑性変形させ、
穴径をねじ部の外径よりも小さくすることから、請求項
1に記載のねじ部材と板状部材の結合体を容易に製造す
ることができるという効果がある。
【0064】請求項10に記載の発明によれば、板状部
材は、穴の周縁部分の少なくとも一部分が穴の軸方向に
鋭角で傾斜したものを用いることから、塑性変形により
容易に穴径をねじ部の外径よりも小さくすることができ
るという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のねじ部材と板状部材の結合体の第1の
実施の形態の説明図である。
【図2】図1に示したボルトおよびワッシャの単体の説
明図である。
【図3】本発明のねじ部材と板状部材の結合体の製造方
法の説明図である。
【図4】本発明のねじ部材と板状部材の結合体の別の製
造方法の説明図である。
【図5】本発明のねじ部材と板状部材の結合体の第2の
実施の形態に用いるワッシャの説明図である。
【図6】本発明のねじ部材と板状部材の結合体の第3の
実施の形態に用いるワッシャの説明図である。
【図7】本発明のねじ部材と板状部材の結合体の第4の
実施の形態の説明図である。
【図8】本発明のねじ部材と板状部材の結合体の第5の
実施の形態の説明図である。
【図9】本発明のねじ部材と板状部材の結合体の第6の
実施の形態の説明図である。
【図10】 本発明のねじ部材と板状部材の結合体の第
7の実施の形態の説明図である。
【図11】ワッシャの寸法の説明図である。
【図12】従来のワッシャ組込4Tボルトの成形工程の
説明図である。
【図13】電線接続用端子片をボルトに組み込む場合の
従来の説明図である。
【符号の説明】
1…ボルト、1a…ねじ部、1b…非ねじ部、1c…頭
部、2…ワッシャ、11…プレス型、12…基台、2
1,22…ワッシャ、21a,22a…突起部、31…
着色されたワッシャ、41…L型ブラケット、51…平
板パネル、61,81…電線接続用端子片、61a,8
1a…圧着部、61b,81b…爪、62…絶縁被覆、
63…銅線、71…線材、72…ヘッダ加工済線材、7
3…ワッシャ、82…鍔付きボルト。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 頭部とねじ部と前記頭部および前記ねじ
    部の間にあり前記ねじ部の外径よりも小径の非ねじ部を
    有するねじ部材と、穴を有する板状部材を有し、前記非
    ねじ部と前記穴とが嵌合したねじ部材と板状部材の結合
    体において、前記板状部材は、前記穴の穴径が前記ねじ
    部の外径よりも大きい状態で前記非ねじ部に挿入された
    後、前記穴の周縁部分が塑性変形されることにより前記
    穴径が前記ねじ部の外径よりも小さくされたものである
    ことを特徴とするねじ部材と板状部材の結合体。
  2. 【請求項2】 頭部とねじ部と前記頭部および前記ねじ
    部の間にあり前記ねじ部の外径よりも小径の非ねじ部を
    有するねじ部材と、穴を有する板状部材を有し、前記非
    ねじ部と前記穴とが嵌合したねじ部材と板状部材の結合
    体において、前記ねじ部材は熱処理がなされたものであ
    り、前記板状部材は熱処理がなされていないものである
    ことを特徴とするねじ部材と板状部材の結合体。
  3. 【請求項3】 頭部とねじ部と前記頭部および前記ねじ
    部の間にあり前記ねじ部の外径よりも小径の非ねじ部を
    有するねじ部材と穴を有する板状部材を有し、前記非ね
    じ部と前記穴とが嵌合したねじ部材と板状部材の結合体
    において、前記ねじ部材と前記板状部材とは、相異なる
    表面処理をされ前記板状部材が着色されたものであるこ
    とを特徴とするねじ部材と板状部材の結合体。
  4. 【請求項4】 前記ねじ部材は、ボルトであることを特
    徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のねじ
    部材と板状部材の結合体。
  5. 【請求項5】 前記ねじ部材は、小ねじであることを特
    徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のねじ
    部材と板状部材の結合体。
  6. 【請求項6】 前記板状部材は、ワッシャであることを
    特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のね
    じ部材と板状部材の結合体。
  7. 【請求項7】 前記板状部材は、電線接続用端子片であ
    ることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に
    記載のねじ部材と板状部材の結合体。
  8. 【請求項8】 アース線を有するワイヤーハーネスにお
    いて、請求項7に記載のねじ部材と板状部材の結合体を
    有し、前記電線接続用端子片が前記アース線の先端に接
    続されていることを特徴とするワイヤーハーネス。
  9. 【請求項9】 頭部とねじ部と前記頭部および前記ねじ
    部の間にあって前記ねじ部の外径よりも小径の非ねじ部
    を有するねじ部材と、前記ねじ部の外径よりも大きい穴
    径の穴を有する板状部材を用い、前記非ねじ部と前記穴
    とを嵌合させた後、前記穴の周縁部分を塑性変形させ、
    前記穴径を前記ねじ部の外径よりも小さくすることを特
    徴とするねじ部材と板状部材の結合体の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記板状部材は、前記穴の周縁部分の
    少なくとも一部分が前記穴の軸方向に鋭角で傾斜したも
    のを用いることを特徴とする請求項9に記載のねじ部材
    と板状部材の結合体の製造方法。
JP28625596A 1996-10-29 1996-10-29 ねじ部材と板状部材の結合体およびその製造方法 Pending JPH10131938A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011069439A (ja) * 2009-09-25 2011-04-07 Yazaki Corp ネジ締め締結構造
JP2012087848A (ja) * 2010-10-18 2012-05-10 Kobe Steel Ltd スタッドボルト及びスタッドボルトを備えた構造体

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