JPH1013180A - 積層型lc複合部品 - Google Patents
積層型lc複合部品Info
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- JPH1013180A JPH1013180A JP8177515A JP17751596A JPH1013180A JP H1013180 A JPH1013180 A JP H1013180A JP 8177515 A JP8177515 A JP 8177515A JP 17751596 A JP17751596 A JP 17751596A JP H1013180 A JPH1013180 A JP H1013180A
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- Japan
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- coil
- capacitor
- coils
- sheets
- conductor
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- Filters And Equalizers (AREA)
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 素子数の増大を伴うことなく、良好に急峻な
減衰特性もしくは所望の周波数特性を得る。 【解決手段】 シートA1〜A6によってコンデンサ1
8が形成されている。シートB1〜B10によって、コ
イル14,16が並列的に形成されている。コイル1
4,16とコンデンサ18はT型フィルタを構成し、コ
イル14,16は入出力電極10,12に、コンデンサ
18はGND電極24にそれぞれ接続されている。コイ
ル14,16は磁束が互いに打ち消し合うように結合し
ており、負の相互インダクタンスが形成されている。こ
れによって得られた疑似的なコイルは、コンデンサ18
と直列共振回路を構成する。この共振回路の共振周波数
は、コイル14,16の距離を変更することで周波数特
性の減衰域となるように調整される。
減衰特性もしくは所望の周波数特性を得る。 【解決手段】 シートA1〜A6によってコンデンサ1
8が形成されている。シートB1〜B10によって、コ
イル14,16が並列的に形成されている。コイル1
4,16とコンデンサ18はT型フィルタを構成し、コ
イル14,16は入出力電極10,12に、コンデンサ
18はGND電極24にそれぞれ接続されている。コイ
ル14,16は磁束が互いに打ち消し合うように結合し
ており、負の相互インダクタンスが形成されている。こ
れによって得られた疑似的なコイルは、コンデンサ18
と直列共振回路を構成する。この共振回路の共振周波数
は、コイル14,16の距離を変更することで周波数特
性の減衰域となるように調整される。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、コイル(インダ
クタ)及びコンデンサ(キャパシタ)を含む積層型LC
複合部品の改良に関する。
クタ)及びコンデンサ(キャパシタ)を含む積層型LC
複合部品の改良に関する。
【0002】
【背景技術と発明が解決しようとする課題】積層型LC
複合部品は、高周波用のフィルタ回路などに使用されて
いる。図8(A)には、その一例としてT型LCフィル
タの等価回路が示されている。同図に示すように、入力
電極110と出力電極112との間に、コイル114,
116が直列に接続されており、コンデンサ118が並
列に接続されている。すなわち、コイル114,116
の接続点からGND(アース)に対してコンデンサ11
8が接続された構成となっている。
複合部品は、高周波用のフィルタ回路などに使用されて
いる。図8(A)には、その一例としてT型LCフィル
タの等価回路が示されている。同図に示すように、入力
電極110と出力電極112との間に、コイル114,
116が直列に接続されており、コンデンサ118が並
列に接続されている。すなわち、コイル114,116
の接続点からGND(アース)に対してコンデンサ11
8が接続された構成となっている。
【0003】このような理想的なT型LCフィルタの構
成で、例えばコイル114,116を160nH,コン
デンサ118を127pFとすると、周波数特性は同図
(B)に示すような減衰特性となる。なお、同図の横軸
は対数目盛となっている。この図のように、30MHz
すぎから利得の減衰が始まっており(カットオフ周波数
fC=50MHz)、1GHzで約80dBの減衰とな
っている。
成で、例えばコイル114,116を160nH,コン
デンサ118を127pFとすると、周波数特性は同図
(B)に示すような減衰特性となる。なお、同図の横軸
は対数目盛となっている。この図のように、30MHz
すぎから利得の減衰が始まっており(カットオフ周波数
fC=50MHz)、1GHzで約80dBの減衰とな
っている。
【0004】ところで、このような特性のLC複合部品
をフィルタとして使用する場合は、カットオフ周波数f
Cからの減衰が急峻であるほどよい。このような急峻な
特性を得るための手法としては、LC複合部品の素子
数を増やす,コイル114,116に並列にコンデン
サを接続し、あるいはコンデンサ118に直列にコイル
を接続してそれぞれ共振回路を構成し、共振点をカット
オフ周波数fCの位置に設定する,という手法がある。
しかしながら、いずれにおいても、全体として素子数が
増大し、近年の小型化や軽量化の要請に相反することに
なる。別言すれば、背景技術によって少ない素子数で急
峻な減衰特性を得ることは困難である。
をフィルタとして使用する場合は、カットオフ周波数f
Cからの減衰が急峻であるほどよい。このような急峻な
特性を得るための手法としては、LC複合部品の素子
数を増やす,コイル114,116に並列にコンデン
サを接続し、あるいはコンデンサ118に直列にコイル
を接続してそれぞれ共振回路を構成し、共振点をカット
オフ周波数fCの位置に設定する,という手法がある。
しかしながら、いずれにおいても、全体として素子数が
増大し、近年の小型化や軽量化の要請に相反することに
なる。別言すれば、背景技術によって少ない素子数で急
峻な減衰特性を得ることは困難である。
【0005】本発明は、これらの点に着目したもので、
素子数の増大を伴うことなく、良好に急峻な減衰特性を
得ることができる積層型LC複合部品を提供すること
を、その目的とするものである。
素子数の増大を伴うことなく、良好に急峻な減衰特性を
得ることができる積層型LC複合部品を提供すること
を、その目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、この発明は、コンデンサ用導体が形成されたシート
を積層することによってコンデンサを構成し、コイル用
導体が形成されたシートを積層するとともに、コイル用
導体を接続導体(例えばビアホール,スルーホールなど
の接続手段)によってシート間で接続することでコイル
を構成した積層型LC複合部品において、シートの積層
体に少なくとも2つのコイルを近接して形成することに
よって負の相互インダクタンスを形成し、これによって
得た疑似的なコイルと前記コンデンサを利用して共振回
路を構成したことを特徴とする。
め、この発明は、コンデンサ用導体が形成されたシート
を積層することによってコンデンサを構成し、コイル用
導体が形成されたシートを積層するとともに、コイル用
導体を接続導体(例えばビアホール,スルーホールなど
の接続手段)によってシート間で接続することでコイル
を構成した積層型LC複合部品において、シートの積層
体に少なくとも2つのコイルを近接して形成することに
よって負の相互インダクタンスを形成し、これによって
得た疑似的なコイルと前記コンデンサを利用して共振回
路を構成したことを特徴とする。
【0007】主要な態様には、次のようなものがある。
前記コイルは、シートの積層体に並列的又は直列的に形
成される。コイル用導体はシート間で重なるように形成
してもよい。前記コンデンサ用導体は、接続導体又は積
層体外部の接続電極によってシート間で接続され、更に
はコイル用導体にも接続される。他の態様によれば、前
記コンデンサ用導体の一部に微小コイルが形成され、こ
の微小コイルに前記疑似的なコイル及び前記コンデンサ
を加えて共振回路が構成される。
前記コイルは、シートの積層体に並列的又は直列的に形
成される。コイル用導体はシート間で重なるように形成
してもよい。前記コンデンサ用導体は、接続導体又は積
層体外部の接続電極によってシート間で接続され、更に
はコイル用導体にも接続される。他の態様によれば、前
記コンデンサ用導体の一部に微小コイルが形成され、こ
の微小コイルに前記疑似的なコイル及び前記コンデンサ
を加えて共振回路が構成される。
【0008】本発明によれば、2つのコイルが電磁的に
結合して負の相互インダクタンスが形成される。そし
て、これによって作り出された疑似的なコイルとコンデ
ンサを利用して共振回路が構成される。2つのコイルの
距離を変更することで相互インダクタンスの結合係数が
変化し、共振回路の共振周波数も変化する。この共振周
波数において、大きな減衰量を得ることができ、素子数
の増加を伴うことなく、急峻型の減衰特性を持った積層
型LC複合部品を得ることができる。
結合して負の相互インダクタンスが形成される。そし
て、これによって作り出された疑似的なコイルとコンデ
ンサを利用して共振回路が構成される。2つのコイルの
距離を変更することで相互インダクタンスの結合係数が
変化し、共振回路の共振周波数も変化する。この共振周
波数において、大きな減衰量を得ることができ、素子数
の増加を伴うことなく、急峻型の減衰特性を持った積層
型LC複合部品を得ることができる。
【0009】この発明の前記及び他の目的,特徴,利点
は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、発明の実施の形態につい
て、実施例を参照しながら詳細に説明する。本発明にか
かる積層型LC複合部品は、特に高周波帯のフィルタと
して好適であり、携帯電話,自動車電話,パーソナルコ
ンピュータ,液晶テレビなどの各種の電子機器に利用さ
れる。
て、実施例を参照しながら詳細に説明する。本発明にか
かる積層型LC複合部品は、特に高周波帯のフィルタと
して好適であり、携帯電話,自動車電話,パーソナルコ
ンピュータ,液晶テレビなどの各種の電子機器に利用さ
れる。
【0011】
【実施例1】最初に、図1〜図3を参照しながら実施例
1について説明する。この実施例1は、図2(A)に示
すようにT型フィルタの例で、入出力電極10,12間
に、コイル14,16が直列に接続されており、コンデ
ンサ18が並列に接続された構成となっている。すなわ
ち、コイル14,16の接続点からGND(アース)に
対してコンデンサ18が接続されている。更に、コイル
14,16間には、相互インダクタンスMが存在する。
部品の外観は、例えば図1(C)に示すようになってい
る。
1について説明する。この実施例1は、図2(A)に示
すようにT型フィルタの例で、入出力電極10,12間
に、コイル14,16が直列に接続されており、コンデ
ンサ18が並列に接続された構成となっている。すなわ
ち、コイル14,16の接続点からGND(アース)に
対してコンデンサ18が接続されている。更に、コイル
14,16間には、相互インダクタンスMが存在する。
部品の外観は、例えば図1(C)に示すようになってい
る。
【0012】図1(A)には、このようなT型フィルタ
を構成するLC複合部品の積層構造が示されている。同
図に示すように、上部の6層によってコンデンサ部20
が構成されており、下部の10層によってコイル部22
が構成されている。コンデンサ部20は、複数の絶縁体
シートとコンデンサ用導体によって構成され、コイル部
22は複数の絶縁体シートとコイル用導体によって構成
されている。コンデンサ部20のシートA1〜A6とし
ては誘電体材料が使用されている。
を構成するLC複合部品の積層構造が示されている。同
図に示すように、上部の6層によってコンデンサ部20
が構成されており、下部の10層によってコイル部22
が構成されている。コンデンサ部20は、複数の絶縁体
シートとコンデンサ用導体によって構成され、コイル部
22は複数の絶縁体シートとコイル用導体によって構成
されている。コンデンサ部20のシートA1〜A6とし
ては誘電体材料が使用されている。
【0013】しかし、コイル部22のシートB1〜B1
0としては、使用する周波数によって、誘電体材料又は
磁性体材料が使い分けられる。例えば、カットオフ周波
数fCが100MHz以下の場合には、コイル部22と
して磁性体材料が使用され、100MHz以上において
は、コイル部22もコンデンサ部20と同様に誘電体材
料が使用される。
0としては、使用する周波数によって、誘電体材料又は
磁性体材料が使い分けられる。例えば、カットオフ周波
数fCが100MHz以下の場合には、コイル部22と
して磁性体材料が使用され、100MHz以上において
は、コイル部22もコンデンサ部20と同様に誘電体材
料が使用される。
【0014】更に、必要があれば、コンデンサ部20と
コイル部22の間に、コンデンサ部とコイル部の使用材
料と異なる絶縁材料によるシートCを異種接合材として
入れるようにしてもよい。コンデンサ部20として誘電
体材料を用い、コイル部22として磁性体材料を用いる
場合、それらのシートを重ね合わせて一体焼結すること
により積層体が形成される。この焼結において、誘電体
シートと磁性体シートの間で相互反応が起こり、誘電体
材料や磁性体材料中の成分元素が相互に拡散する可能性
がある。すると、コンデンサあるいはコイルの性質に悪
影響を及ぼし、特性が変化してしまう。そこで、誘電体
層と磁性体層の境界部分に結合用シートCを設け、これ
によって誘電体層及び磁性体層間の成分の拡散を防止す
る。
コイル部22の間に、コンデンサ部とコイル部の使用材
料と異なる絶縁材料によるシートCを異種接合材として
入れるようにしてもよい。コンデンサ部20として誘電
体材料を用い、コイル部22として磁性体材料を用いる
場合、それらのシートを重ね合わせて一体焼結すること
により積層体が形成される。この焼結において、誘電体
シートと磁性体シートの間で相互反応が起こり、誘電体
材料や磁性体材料中の成分元素が相互に拡散する可能性
がある。すると、コンデンサあるいはコイルの性質に悪
影響を及ぼし、特性が変化してしまう。そこで、誘電体
層と磁性体層の境界部分に結合用シートCを設け、これ
によって誘電体層及び磁性体層間の成分の拡散を防止す
る。
【0015】次に、上層から順に説明する。まず、コン
デンサ部20から説明すると、シートA1は保護層であ
る。シートA2,A4には、一方のコンデンサ用導体D
1がそれぞれ形成されている。これらのコンデンサ用導
体D1は積層シートの前後に露出しており、図1(C)
に示すGND電極24に接続されている。シートA3,
A5には、他方のコンデンサ用導体D2がそれぞれ形成
されている。これらのコンデンサ用導体D2は、略中央
付近でビアホール(又はスルーホール)D3(接続線で
表示)によって接続されている。すなわち、上述したコ
ンデンサ用導体D1の略中央部分が空いており、この部
分を通過するビアホールD3によって上下のコンデンサ
用導体D2が接続されている。
デンサ部20から説明すると、シートA1は保護層であ
る。シートA2,A4には、一方のコンデンサ用導体D
1がそれぞれ形成されている。これらのコンデンサ用導
体D1は積層シートの前後に露出しており、図1(C)
に示すGND電極24に接続されている。シートA3,
A5には、他方のコンデンサ用導体D2がそれぞれ形成
されている。これらのコンデンサ用導体D2は、略中央
付近でビアホール(又はスルーホール)D3(接続線で
表示)によって接続されている。すなわち、上述したコ
ンデンサ用導体D1の略中央部分が空いており、この部
分を通過するビアホールD3によって上下のコンデンサ
用導体D2が接続されている。
【0016】次に、コイル部22を説明すると、シート
B1は保護層である。シートB2〜B9には、コイル用
導体が形成されている。シートB2には、略コ字状のコ
イル用導体E1,F1が形成されている。これらのコイ
ル用導体E1,F1は連続しており、その接続部分が、
シートB1,C,A6を貫通するビアホールD4によっ
てコンデンサ用導体D2に接続されている。
B1は保護層である。シートB2〜B9には、コイル用
導体が形成されている。シートB2には、略コ字状のコ
イル用導体E1,F1が形成されている。これらのコイ
ル用導体E1,F1は連続しており、その接続部分が、
シートB1,C,A6を貫通するビアホールD4によっ
てコンデンサ用導体D2に接続されている。
【0017】シートB3には、略コ字状のコイル用導体
E2,F2が、反対側に開口が向くように形成されてい
る。そして、それらの一端は、ビアホールG1,H1に
よってそれぞれコイル用導体E1,F1に接続されてい
る。同様に、次のシートB4には、略コ字状のコイル用
導体E3,F3が、開口が向くように形成されている。
そして、それらの一端は、ビアホールG2,H2によっ
てそれぞれコイル用導体E2,F2に接続されている。
以下のシートB5,B7には、シートB3と同様のコイ
ル用導体E2,F2がそれぞれ形成されている。また、
シートB6,B8には、シートB4と同様のコイル用導
体E3,F3が形成されている。シートB9には、略コ
字状のパターンを左右の端縁にそれぞれ延長したコイル
用導体E4,F4がそれぞれ形成されている。ホール接
続も、前記シートと同様である。
E2,F2が、反対側に開口が向くように形成されてい
る。そして、それらの一端は、ビアホールG1,H1に
よってそれぞれコイル用導体E1,F1に接続されてい
る。同様に、次のシートB4には、略コ字状のコイル用
導体E3,F3が、開口が向くように形成されている。
そして、それらの一端は、ビアホールG2,H2によっ
てそれぞれコイル用導体E2,F2に接続されている。
以下のシートB5,B7には、シートB3と同様のコイ
ル用導体E2,F2がそれぞれ形成されている。また、
シートB6,B8には、シートB4と同様のコイル用導
体E3,F3が形成されている。シートB9には、略コ
字状のパターンを左右の端縁にそれぞれ延長したコイル
用導体E4,F4がそれぞれ形成されている。ホール接
続も、前記シートと同様である。
【0018】以上の各部のうち、コイル用導体E1,E
2,E3,E4及びビアホールG1,G2によってコイ
ル14が構成されている。また、コイル用導体F1,F
2,F3,F4及びビアホールH1,H2によってコイ
ル16が構成されている。そして、シートB9のコイル
用導体E4,F4が積層シートから左右に露出してお
り、図1(C)の入出力電極10,12にそれぞれ接続
されている。なお、最下層のシートB10は保護層であ
る。
2,E3,E4及びビアホールG1,G2によってコイ
ル14が構成されている。また、コイル用導体F1,F
2,F3,F4及びビアホールH1,H2によってコイ
ル16が構成されている。そして、シートB9のコイル
用導体E4,F4が積層シートから左右に露出してお
り、図1(C)の入出力電極10,12にそれぞれ接続
されている。なお、最下層のシートB10は保護層であ
る。
【0019】上述したコンデンサ用導体,コイル用導
体,ビアホール用導体は、例えばAg,AgーPd,C
uなどのペーストをスクリーン印刷などの手段でシート
表面に塗布し、これを乾燥することによって形成しても
よいし、スパッタリングや蒸着などの手段によって形成
してもよい。
体,ビアホール用導体は、例えばAg,AgーPd,C
uなどのペーストをスクリーン印刷などの手段でシート
表面に塗布し、これを乾燥することによって形成しても
よいし、スパッタリングや蒸着などの手段によって形成
してもよい。
【0020】次に、以上のようにしてコンデンサ用導
体,コイル用導体,ビアホールがそれぞれ形成されたシ
ート,保護用のシート,あるいは接合用のシートは、図
1(A)に示す順に積み重ねられる。そして、その後成
形,圧着,焼成されて積層体となる。この積層体の左右
端にはコイル用導体E4,F4が引出電極として露出し
ており、前後端にはコンデンサ用導体の引出電極が露出
している。これらの電極部分には、Ag,AgーPdな
どのペーストが塗布され、焼き付けされて電極10,1
2,24がそれぞれ形成される。もちろん、スパッタリ
ングや蒸着などの手法を用いて形成してもよい。このよ
うな工程によって、積層型LC複合部品が得られる。図
1(A)に対応して等価回路を示すと、同図(B)に示す
ようになる。
体,コイル用導体,ビアホールがそれぞれ形成されたシ
ート,保護用のシート,あるいは接合用のシートは、図
1(A)に示す順に積み重ねられる。そして、その後成
形,圧着,焼成されて積層体となる。この積層体の左右
端にはコイル用導体E4,F4が引出電極として露出し
ており、前後端にはコンデンサ用導体の引出電極が露出
している。これらの電極部分には、Ag,AgーPdな
どのペーストが塗布され、焼き付けされて電極10,1
2,24がそれぞれ形成される。もちろん、スパッタリ
ングや蒸着などの手法を用いて形成してもよい。このよ
うな工程によって、積層型LC複合部品が得られる。図
1(A)に対応して等価回路を示すと、同図(B)に示す
ようになる。
【0021】ところで、本実施例では、図1(A),
(B)に示すように、コイル14,16のスパイラルの
方向が逆向きとなっている。このため、入出力間で流れ
る電流によって発生する磁束は、両コイル14,16の
電流の向きが逆になるため、同一方向となる。例えば、
コイル14で下向きの磁束が発生したとすると、コイル
16でも下向きの磁束が発生する。更に、コイル14,
16は、同一積層体に近接して形成されている。このた
め、一方のコイルの磁束が他方のコイルを通過するよう
になり、両者は電磁的に結合した状態となっている。
(B)に示すように、コイル14,16のスパイラルの
方向が逆向きとなっている。このため、入出力間で流れ
る電流によって発生する磁束は、両コイル14,16の
電流の向きが逆になるため、同一方向となる。例えば、
コイル14で下向きの磁束が発生したとすると、コイル
16でも下向きの磁束が発生する。更に、コイル14,
16は、同一積層体に近接して形成されている。このた
め、一方のコイルの磁束が他方のコイルを通過するよう
になり、両者は電磁的に結合した状態となっている。
【0022】この実施例では、両コイル14,16のい
ずれにおいても、内部コア(コイル用導体に囲まれたシ
ート部分)に発生する磁束の向きは下向きである。すな
わち、図1(B)にその様子を示すように、コイル14
では矢印FAで示す向きに磁束が発生し、コイル16で
は矢印FBで示す向きに磁束が発生する。これらの磁束
は、コイル14,16の外部コア(他のコイルの内部コ
アも含む)を通って閉じなければならない。このため、
一方のコイルで発生した磁束の一部が他方のコイル内を
通過するようになる。
ずれにおいても、内部コア(コイル用導体に囲まれたシ
ート部分)に発生する磁束の向きは下向きである。すな
わち、図1(B)にその様子を示すように、コイル14
では矢印FAで示す向きに磁束が発生し、コイル16で
は矢印FBで示す向きに磁束が発生する。これらの磁束
は、コイル14,16の外部コア(他のコイルの内部コ
アも含む)を通って閉じなければならない。このため、
一方のコイルで発生した磁束の一部が他方のコイル内を
通過するようになる。
【0023】このため、コイル14には、矢印FAで示
す自己の磁束と、コイル16で発生した矢印FBで示す
磁束とが通るが、両者は逆向きとなっているため打ち消
し合うようになる。他方、コイル16には、矢印FBで
示す自己の磁束と、コイル14で発生した矢印FAで示
す磁束とが通るが、この場合も両者は逆向きとなってい
るため打ち消し合うようになる。従って、コイル14,
16間において負の相互インダクタンスが形成されるよ
うになる。
す自己の磁束と、コイル16で発生した矢印FBで示す
磁束とが通るが、両者は逆向きとなっているため打ち消
し合うようになる。他方、コイル16には、矢印FBで
示す自己の磁束と、コイル14で発生した矢印FAで示
す磁束とが通るが、この場合も両者は逆向きとなってい
るため打ち消し合うようになる。従って、コイル14,
16間において負の相互インダクタンスが形成されるよ
うになる。
【0024】ここで、コイル14,16とそれらの間の
相互インダクタンスMを、図2(B)に示すように等価
コイル14A,16A,26MによるT型の等価回路で
表わしたとする。コイル14,16のインダクタンスを
LA,LBとし、相互インダクタンスをMとすると、等
価コイル14Aのインダクタンスは「LA−M」,等価
コイル16Aのインダクタンスは「LB−M」,等価コ
イル26Mのインダクタンスは「M」となる。すなわ
ち、相互インダクタンスが負であるため、+Mのインダ
クタンス素子26Mが発生することになる。
相互インダクタンスMを、図2(B)に示すように等価
コイル14A,16A,26MによるT型の等価回路で
表わしたとする。コイル14,16のインダクタンスを
LA,LBとし、相互インダクタンスをMとすると、等
価コイル14Aのインダクタンスは「LA−M」,等価
コイル16Aのインダクタンスは「LB−M」,等価コ
イル26Mのインダクタンスは「M」となる。すなわ
ち、相互インダクタンスが負であるため、+Mのインダ
クタンス素子26Mが発生することになる。
【0025】等価コイル26Mはコンデンサ18と直列
となり、これによってL,Cによる直列共振回路が構成
される。この共振回路の共振周波数は、等価コイル26
Mのインダクタンスによって変化する。従って、コイル
14,16間の距離を調整して両者の結合度を変化させ
れば、共振周波数を調整することができる。
となり、これによってL,Cによる直列共振回路が構成
される。この共振回路の共振周波数は、等価コイル26
Mのインダクタンスによって変化する。従って、コイル
14,16間の距離を調整して両者の結合度を変化させ
れば、共振周波数を調整することができる。
【0026】例えば、コイル14,16間の距離を近づ
けるようにすれば、一方のコイルで発生した磁束が他方
のコイルを通りやすくなり、磁束の打ち消し量が増して
相互インダクタンスの値を大きくすることができる。す
ると、コンデンサ18の容量が一定のため、共振周波数
は低周波側に移動するようになる。このように、コイル
14,16の結合度を調整することで、等価コイル26
Mとコンデンサ18による共振回路の共振周波数を調整
することができる。
けるようにすれば、一方のコイルで発生した磁束が他方
のコイルを通りやすくなり、磁束の打ち消し量が増して
相互インダクタンスの値を大きくすることができる。す
ると、コンデンサ18の容量が一定のため、共振周波数
は低周波側に移動するようになる。このように、コイル
14,16の結合度を調整することで、等価コイル26
Mとコンデンサ18による共振回路の共振周波数を調整
することができる。
【0027】本実施例では、この共振周波数が所望のフ
ィルタ特性(減衰特性)における減衰域側の遮断周波数
fC付近となるように、コイル14,16間の結合度が
調整されている。このため、遮断周波数付近で急峻な減
衰特性を得ることができる。図2(C)には、そのよう
なフィルタ特性の一例が示されており、矢印PAで示す
100MHz付近の減衰ピークが共振回路によって形成
されている。
ィルタ特性(減衰特性)における減衰域側の遮断周波数
fC付近となるように、コイル14,16間の結合度が
調整されている。このため、遮断周波数付近で急峻な減
衰特性を得ることができる。図2(C)には、そのよう
なフィルタ特性の一例が示されており、矢印PAで示す
100MHz付近の減衰ピークが共振回路によって形成
されている。
【0028】図3には、本実施例に関して試作した積層
型LC複合部品の挿入損失特性の実測例が示されてい
る。同図(A)が本実施例の特性であり、コイル14,
16のインダクタ値は205nH,コンデンサ18の静
電容量は90pF,コイル14,16間の結合係数はK
=0.08である。同図のグラフにおいて、矢印PBで
示す100MHz付近の極は、コイル14,16の相互
インダクタンスとコンデンサ18との直列共振によって
発生したものである。矢印PC,PDでそれぞれ示す5
00MHz及び1.5GHz付近の極は、インダクタンス
部の自己共振などによるもので、広帯域にわたって大き
な減衰量が得られている。
型LC複合部品の挿入損失特性の実測例が示されてい
る。同図(A)が本実施例の特性であり、コイル14,
16のインダクタ値は205nH,コンデンサ18の静
電容量は90pF,コイル14,16間の結合係数はK
=0.08である。同図のグラフにおいて、矢印PBで
示す100MHz付近の極は、コイル14,16の相互
インダクタンスとコンデンサ18との直列共振によって
発生したものである。矢印PC,PDでそれぞれ示す5
00MHz及び1.5GHz付近の極は、インダクタンス
部の自己共振などによるもので、広帯域にわたって大き
な減衰量が得られている。
【0029】比較例として、同図(B)に、コイル1
4,16が結合していない場合の実測例が示されてい
る。これら図3の2種類の挿入損失特性を比較すれば明
らかなように、従来のLC複合部品によるフィルタより
本実施例のLC複合部品によるフィルタの方が急峻な減
衰特性となっている。
4,16が結合していない場合の実測例が示されてい
る。これら図3の2種類の挿入損失特性を比較すれば明
らかなように、従来のLC複合部品によるフィルタより
本実施例のLC複合部品によるフィルタの方が急峻な減
衰特性となっている。
【0030】このように、本実施例によれば、2つのコ
イルの間に相互インダクタンスが形成され、これがコン
デンサと共振回路を構成する。このため、新たな素子を
追加することなく、良好に急峻な減衰特性を得ることが
できる。
イルの間に相互インダクタンスが形成され、これがコン
デンサと共振回路を構成する。このため、新たな素子を
追加することなく、良好に急峻な減衰特性を得ることが
できる。
【0031】
【実施例2】次に、図4を参照しながら実施例2につい
て説明する。図4(A)は、上述した図1(A)に対応す
るもので、実施例2のLC複合部品の積層構造が示され
ている。この実施例も、T型フィルタの例である。同図
に示すように、上部の6層によってコンデンサ部30が
構成されており、下部の10層によってコイル部22が
構成されている。結合用シートC及びコイル部22は、
上述した実施例1と同様の構成となっている。
て説明する。図4(A)は、上述した図1(A)に対応す
るもので、実施例2のLC複合部品の積層構造が示され
ている。この実施例も、T型フィルタの例である。同図
に示すように、上部の6層によってコンデンサ部30が
構成されており、下部の10層によってコイル部22が
構成されている。結合用シートC及びコイル部22は、
上述した実施例1と同様の構成となっている。
【0032】コンデンサ部30のうち、シートA1,A
2,A4は、導体パターンも含めて上述した実施例1と
同様である。しかし、シートA10,A12にそれぞれ
形成されているコンデンサ用導体D10が、前記実施例
1と異なっている。すなわち、前記実施例ではシート表
面にベタに導体D2を形成したが、本実施例では中央の
微小コイル部DAと、その左右の平坦部DBとによって
コンデンサ用導体D10が構成されている。そして、シ
ートA10,A12の微小コイル部DAがビアホールD
3によって接続されており、更にはビアホールD4によ
ってコイル部22にも接続されている。なお、微小コイ
ル部DAが形成されたシートA10,A12には、誘電
体材料や低透磁率材料が使用される。
2,A4は、導体パターンも含めて上述した実施例1と
同様である。しかし、シートA10,A12にそれぞれ
形成されているコンデンサ用導体D10が、前記実施例
1と異なっている。すなわち、前記実施例ではシート表
面にベタに導体D2を形成したが、本実施例では中央の
微小コイル部DAと、その左右の平坦部DBとによって
コンデンサ用導体D10が構成されている。そして、シ
ートA10,A12の微小コイル部DAがビアホールD
3によって接続されており、更にはビアホールD4によ
ってコイル部22にも接続されている。なお、微小コイ
ル部DAが形成されたシートA10,A12には、誘電
体材料や低透磁率材料が使用される。
【0033】図4(B)には、本実施例におけるLC複
合部品の等価回路が示されている。図2(B)に示した
実施例1の等価回路とほぼ同様であるが、相互インダク
タンスによる等価コイル26M,コンデンサ32と直列
に、微小コイル部DAが接続された構成となる。すなわ
ち、微小コイル部DAも共振回路の一部となる。ここ
で、微小コイル部DAにおける絶縁シートA10,A1
2の材料としては、上述したように誘電体や低透磁率材
料が用いられている。このため、微小コイル部DA,等
価コイル26Mのインダクタンス値(相互インダクタン
ス値)を比較すると、微小コイル部のインダクタンス値
<相互インダクタンス値の関係となる。
合部品の等価回路が示されている。図2(B)に示した
実施例1の等価回路とほぼ同様であるが、相互インダク
タンスによる等価コイル26M,コンデンサ32と直列
に、微小コイル部DAが接続された構成となる。すなわ
ち、微小コイル部DAも共振回路の一部となる。ここ
で、微小コイル部DAにおける絶縁シートA10,A1
2の材料としては、上述したように誘電体や低透磁率材
料が用いられている。このため、微小コイル部DA,等
価コイル26Mのインダクタンス値(相互インダクタン
ス値)を比較すると、微小コイル部のインダクタンス値
<相互インダクタンス値の関係となる。
【0034】このような性質から、コイル14,16間
の結合状態を調整することによってある程度の周波数範
囲に減衰極を持っていき、次に微小コイル部DAの導体
の幅や長さを変化させてインダクタンス値を微調整し、
望む周波数に共振点の極を位置させるというような調整
手法が可能となる。以上のように、本実施例によれば、
コンデンサ部30に微小コイル部を形成し、この部分を
利用して共振周波数の微調整を行うことによって、共振
周波数を容易に望む周波数値に移動することができる。
の結合状態を調整することによってある程度の周波数範
囲に減衰極を持っていき、次に微小コイル部DAの導体
の幅や長さを変化させてインダクタンス値を微調整し、
望む周波数に共振点の極を位置させるというような調整
手法が可能となる。以上のように、本実施例によれば、
コンデンサ部30に微小コイル部を形成し、この部分を
利用して共振周波数の微調整を行うことによって、共振
周波数を容易に望む周波数値に移動することができる。
【0035】
【実施例3】次に、図5を参照しながら実施例3につい
て説明する。図5(A)は、上述した図1(A)に対応す
るもので、実施例3のLC複合部品の積層構造が示され
ている。この実施例も、T型フィルタの例である。同図
に示すように、上部の6層によってコンデンサ部20が
構成されており、下部の9層によってコイル部50が構
成されている。コンデンサ部20及び結合用シートC
は、上述した実施例1と同様の構成となっている。
て説明する。図5(A)は、上述した図1(A)に対応す
るもので、実施例3のLC複合部品の積層構造が示され
ている。この実施例も、T型フィルタの例である。同図
に示すように、上部の6層によってコンデンサ部20が
構成されており、下部の9層によってコイル部50が構
成されている。コンデンサ部20及び結合用シートC
は、上述した実施例1と同様の構成となっている。
【0036】コイル部50を説明すると、シートJ1
は、実施例1と同様に保護層である。シートJ2〜J8
には、コイル用導体が形成されている。シートJ2に
は、略コ字状のコイル用導体K1,L1が形成されてい
る。これらのコイル用導体K1,L1は渦巻き状に連続
しており、その接続部分が、シートJ1,C,A6を貫
通するビアホールD4によってコンデンサ用導体D2に
接続されている。
は、実施例1と同様に保護層である。シートJ2〜J8
には、コイル用導体が形成されている。シートJ2に
は、略コ字状のコイル用導体K1,L1が形成されてい
る。これらのコイル用導体K1,L1は渦巻き状に連続
しており、その接続部分が、シートJ1,C,A6を貫
通するビアホールD4によってコンデンサ用導体D2に
接続されている。
【0037】シートJ3には、略コ字状のコイル用導体
K2,L2が、向き合った開口が一部重なるように形成
されている。そして、それらの一端は、ビアホールM
1,N1によってそれぞれコイル用導体K1,L1に接
続されている。同様に、次のシートJ4には、略コ字状
のコイル用導体K3,L3が、向き合った開口が一部重
なるように形成されている。そして、それらの一端は、
ビアホールM2,N2によってそれぞれコイル用導体K
2,L2に接続されている。以下のシートJ5,J7に
は、シートJ3と同様のコイル用導体K2,L2がそれ
ぞれ形成されている。また、シートJ6には、シートJ
4と同様のコイル用導体K3,L3が形成されている。
シートJ8には、向き合った開口が一部重なった略コ字
状のパターンを左右の端縁にそれぞれ延長したコイル用
導体K4,L4がそれぞれ形成されている。
K2,L2が、向き合った開口が一部重なるように形成
されている。そして、それらの一端は、ビアホールM
1,N1によってそれぞれコイル用導体K1,L1に接
続されている。同様に、次のシートJ4には、略コ字状
のコイル用導体K3,L3が、向き合った開口が一部重
なるように形成されている。そして、それらの一端は、
ビアホールM2,N2によってそれぞれコイル用導体K
2,L2に接続されている。以下のシートJ5,J7に
は、シートJ3と同様のコイル用導体K2,L2がそれ
ぞれ形成されている。また、シートJ6には、シートJ
4と同様のコイル用導体K3,L3が形成されている。
シートJ8には、向き合った開口が一部重なった略コ字
状のパターンを左右の端縁にそれぞれ延長したコイル用
導体K4,L4がそれぞれ形成されている。
【0038】以上の各部のうち、コイル用導体K1,K
2,K3,K4及びビアホールM1,M2によってコイ
ル52が構成されている。また、コイル用導体L1,L
2,L3,L4及びビアホールN1,N2によってコイ
ル54が構成されている。そして、シートJ8のコイル
用導体K4,L4が積層シートから左右に露出してお
り、図1(C)の入出力電極10,12にそれぞれ接続
されている。なお、最下層のシートJ9は保護層であ
る。
2,K3,K4及びビアホールM1,M2によってコイ
ル52が構成されている。また、コイル用導体L1,L
2,L3,L4及びビアホールN1,N2によってコイ
ル54が構成されている。そして、シートJ8のコイル
用導体K4,L4が積層シートから左右に露出してお
り、図1(C)の入出力電極10,12にそれぞれ接続
されている。なお、最下層のシートJ9は保護層であ
る。
【0039】図5(B)には、以上のようなコイル部5
0を、積層方向から見た状態が示されている。この図の
ように、コイル用導体及びビアホールによって構成され
たコイル52,54は、一部が重なるように、別言すれ
ば内部コアの一部分56が重なるように形成されてい
る。
0を、積層方向から見た状態が示されている。この図の
ように、コイル用導体及びビアホールによって構成され
たコイル52,54は、一部が重なるように、別言すれ
ば内部コアの一部分56が重なるように形成されてい
る。
【0040】ところで、本実施例では、コイル52,5
4のスパイラルの方向が同一となっており、実施例1と
異なっている。このため、入出力間で流れる電流によっ
て発生する磁束は、両コイル52,54の電流の向きが
逆になるため、相反する方向となる。例えば、コイル5
2で下向きの磁束が発生したとすると、コイル54では
上向きの磁束が発生する。従って、コイル52,54が
重なった部分56では、一方のコイルの磁束によって他
方のコイルの磁束が打ち消されるようになり、両者は電
磁的に結合した状態となる。この結果、コイル52,5
4間に相互インダクタンスが生じ、これがコンデンサ1
8と直列接続となって共振回路を構成する。よって、本
実施例でも、上述した実施例1,2と同様に、急峻な減
衰特性を得ることができる。
4のスパイラルの方向が同一となっており、実施例1と
異なっている。このため、入出力間で流れる電流によっ
て発生する磁束は、両コイル52,54の電流の向きが
逆になるため、相反する方向となる。例えば、コイル5
2で下向きの磁束が発生したとすると、コイル54では
上向きの磁束が発生する。従って、コイル52,54が
重なった部分56では、一方のコイルの磁束によって他
方のコイルの磁束が打ち消されるようになり、両者は電
磁的に結合した状態となる。この結果、コイル52,5
4間に相互インダクタンスが生じ、これがコンデンサ1
8と直列接続となって共振回路を構成する。よって、本
実施例でも、上述した実施例1,2と同様に、急峻な減
衰特性を得ることができる。
【0041】なお、コイル52,54の重なり部分56
の面積を変えることにより、コイル52,54間の結合
度を変化させることができ、共振周波数を移動させるこ
とができる。このような調整を行うことで、所望の急峻
な減衰特性を得ることができる。
の面積を変えることにより、コイル52,54間の結合
度を変化させることができ、共振周波数を移動させるこ
とができる。このような調整を行うことで、所望の急峻
な減衰特性を得ることができる。
【0042】
【実施例4】次に、図6を参照しながら実施例4につい
て説明する。前記実施例は、いずれも、図1(C)に示
すように、入出力電極10,12が積層部品の左右に形
成され、GND電極24が前後に形成された外観構成と
なっている。しかし、この実施例4では、図6(B)に
示すように、前後のGND電極のうちの一方が、コンデ
ンサ部とコイル部の接続のための接続電極60となって
いる。この接続電極60に対する接続部分を除く他の部
分は、前記実施例1と同様である。
て説明する。前記実施例は、いずれも、図1(C)に示
すように、入出力電極10,12が積層部品の左右に形
成され、GND電極24が前後に形成された外観構成と
なっている。しかし、この実施例4では、図6(B)に
示すように、前後のGND電極のうちの一方が、コンデ
ンサ部とコイル部の接続のための接続電極60となって
いる。この接続電極60に対する接続部分を除く他の部
分は、前記実施例1と同様である。
【0043】図6(A)には、実施例4の積層構造が示
されている。同図において、上部の6層によってコンデ
ンサ部62が構成されており、下部の11層によってコ
イル部64が構成されている。コンデンサ部62から説
明すると、シートP1,P6は保護層である。シートP
2,P4には、一方のコンデンサ用導体Q1がそれぞれ
形成されている。これらのコンデンサ用導体Q1は積層
シートの後側に露出しており、図6(B)に示すGND
電極24に接続されている。シートP3,P5には、他
方のコンデンサ用導体Q2がそれぞれ形成されている。
これらのコンデンサ用導体Q2は、積層シートの前側に
露出しており、図6(B)に示す接続電極60に接続さ
れている。
されている。同図において、上部の6層によってコンデ
ンサ部62が構成されており、下部の11層によってコ
イル部64が構成されている。コンデンサ部62から説
明すると、シートP1,P6は保護層である。シートP
2,P4には、一方のコンデンサ用導体Q1がそれぞれ
形成されている。これらのコンデンサ用導体Q1は積層
シートの後側に露出しており、図6(B)に示すGND
電極24に接続されている。シートP3,P5には、他
方のコンデンサ用導体Q2がそれぞれ形成されている。
これらのコンデンサ用導体Q2は、積層シートの前側に
露出しており、図6(B)に示す接続電極60に接続さ
れている。
【0044】次に、コイル部64を説明すると、シート
R1,R11は保護層である。シートR2には、略L字
状のコイル用導体S1,T1が形成されている。これら
のコイル用導体S1,T1は連続しており、その接続部
分が、積層シートの前側に露出して図6(B)に示す接
続電極60に接続されている。すなわち、接続電極60
によって、コンデンサ部62とコイル部64との接続が
行われている。
R1,R11は保護層である。シートR2には、略L字
状のコイル用導体S1,T1が形成されている。これら
のコイル用導体S1,T1は連続しており、その接続部
分が、積層シートの前側に露出して図6(B)に示す接
続電極60に接続されている。すなわち、接続電極60
によって、コンデンサ部62とコイル部64との接続が
行われている。
【0045】シートR3,R5,R7,R9には、図1
(A)に示した略コ字状のコイル用導体E3,F3がそ
れぞれ形成されている。また、シートR4,R6,R8
には、図1(A)に示した略コ字状のコイル用導体E
2,F2がそれぞれ形成されている。更に、シートR1
0には、図1(A)に示した略コ字状のコイル用導体E
4,F4がそれぞれ形成されている。そして、コイル用
導体S1,E2〜E4は、ビアホールG1,G2によっ
て接続されており、これらによってコイル66が構成さ
れている。また、コイル用導体T1,F2〜F4は、ビ
アホールH1,H2によって接続されており、これらに
よってコイル68が構成されている。
(A)に示した略コ字状のコイル用導体E3,F3がそ
れぞれ形成されている。また、シートR4,R6,R8
には、図1(A)に示した略コ字状のコイル用導体E
2,F2がそれぞれ形成されている。更に、シートR1
0には、図1(A)に示した略コ字状のコイル用導体E
4,F4がそれぞれ形成されている。そして、コイル用
導体S1,E2〜E4は、ビアホールG1,G2によっ
て接続されており、これらによってコイル66が構成さ
れている。また、コイル用導体T1,F2〜F4は、ビ
アホールH1,H2によって接続されており、これらに
よってコイル68が構成されている。
【0046】このように、本実施例によれば、コンデン
サ部62とコイル部64(コイル66,68の接続部
分)の接続が、ビアホールではなく、部品側面に露出形
成された接続電極60によって行われている。このよう
な構成によっても、コイル66,68間の結合には何ら
影響はなく、上述した実施例と同様に急峻な減衰特性を
得ることができる。
サ部62とコイル部64(コイル66,68の接続部
分)の接続が、ビアホールではなく、部品側面に露出形
成された接続電極60によって行われている。このよう
な構成によっても、コイル66,68間の結合には何ら
影響はなく、上述した実施例と同様に急峻な減衰特性を
得ることができる。
【0047】
【実施例5】次に、図7を参照しながら実施例5につい
て説明する。この実施例5のコンデンサ部は、前記実施
例4と同様となっている。しかし、コイル部は、コイル
の導体パターンが縦積み構成となっている。すなわち、
前記実施例1〜4では、結合するコイルが並列的に形成
されているが、本実施例では上下に積み重ねるように直
列的に形成されている。また、本実施例は、図6(B)
に示す外観となっている。
て説明する。この実施例5のコンデンサ部は、前記実施
例4と同様となっている。しかし、コイル部は、コイル
の導体パターンが縦積み構成となっている。すなわち、
前記実施例1〜4では、結合するコイルが並列的に形成
されているが、本実施例では上下に積み重ねるように直
列的に形成されている。また、本実施例は、図6(B)
に示す外観となっている。
【0048】同図(A)に示すように、コイル部70
は、上側(コンデンサ側)に積層形成されたコイル72
と、下側に積層形成されたコイル74によって構成され
ている。コンデンサ部62と接続するための接続電極6
0には、シートU1,V1側が接続される。また、シー
トU5,V6側が入出力電極10,12のいずれかにそ
れぞれ接続される。シートU,U6,V7は、いずれも
保護層である。
は、上側(コンデンサ側)に積層形成されたコイル72
と、下側に積層形成されたコイル74によって構成され
ている。コンデンサ部62と接続するための接続電極6
0には、シートU1,V1側が接続される。また、シー
トU5,V6側が入出力電極10,12のいずれかにそ
れぞれ接続される。シートU,U6,V7は、いずれも
保護層である。
【0049】接続電極側から順に説明すると、シートU
1,V1には、略L字状のコイル用導体W1,X1が、
前側に露出するようにそれぞれ形成されている。シート
U2,U4には、略コ字状のコイル用導体W2が形成さ
れており、シートV2,V4には、略コ字状のコイル用
導体X2が形成されている。また、シートU3には、略
コ字状のコイル用導体W3が形成されており、シートV
3,V5には、略コ字状のコイル用導体X3が形成され
ている。更に、シートU5には、略コ字状のパターンを
右の端縁に延長したコイル用導体W4が形成されてお
り、シートV6には、略コ字状のパターンを左の端縁に
延長したコイル用導体X4が形成されている。そして、
コイル用導体W1〜W4が交互にビアホールY1,Y2
によって接続されており、コイル用導体X1〜X4が交
互にビアホールZ1,Z2によって接続されている。
1,V1には、略L字状のコイル用導体W1,X1が、
前側に露出するようにそれぞれ形成されている。シート
U2,U4には、略コ字状のコイル用導体W2が形成さ
れており、シートV2,V4には、略コ字状のコイル用
導体X2が形成されている。また、シートU3には、略
コ字状のコイル用導体W3が形成されており、シートV
3,V5には、略コ字状のコイル用導体X3が形成され
ている。更に、シートU5には、略コ字状のパターンを
右の端縁に延長したコイル用導体W4が形成されてお
り、シートV6には、略コ字状のパターンを左の端縁に
延長したコイル用導体X4が形成されている。そして、
コイル用導体W1〜W4が交互にビアホールY1,Y2
によって接続されており、コイル用導体X1〜X4が交
互にビアホールZ1,Z2によって接続されている。
【0050】以上の各部のうち、コイル用導体W1〜W
4及びビアホールY1,Y2によってコイル72が構成
されている。また、コイル用導体X1〜X4及びビアホ
ールZ1,Z2によってコイル74が構成されている。
そして、シートU5,V6のコイル用導体W4,X4が
積層シートから左右に露出しており、図6(B)の入出
力電極10,12にそれぞれ接続されている。
4及びビアホールY1,Y2によってコイル72が構成
されている。また、コイル用導体X1〜X4及びビアホ
ールZ1,Z2によってコイル74が構成されている。
そして、シートU5,V6のコイル用導体W4,X4が
積層シートから左右に露出しており、図6(B)の入出
力電極10,12にそれぞれ接続されている。
【0051】このように、本実施例では、図7(B)に
等価回路を示すように、コイル72,74が積層方向に
重ねて形成されており、上述したいずれの実施例とも異
なっている。しかし、入出力間で流れる電流によって発
生する磁束は、矢印FC,FDで示すように両コイル7
2,74で相反する方向となっている。従って、一方の
コイルで発生した磁束と他方のコイルの磁束とが打ち消
し合うようになり、コイル72,74間に負の相互イン
ダクタンスが生ずる。これが、接続電極60を介してコ
ンデンサと直列接続されているので、前記実施例と同様
に共振回路が構成され、同様に急峻な減衰特性を得るこ
とができる。
等価回路を示すように、コイル72,74が積層方向に
重ねて形成されており、上述したいずれの実施例とも異
なっている。しかし、入出力間で流れる電流によって発
生する磁束は、矢印FC,FDで示すように両コイル7
2,74で相反する方向となっている。従って、一方の
コイルで発生した磁束と他方のコイルの磁束とが打ち消
し合うようになり、コイル72,74間に負の相互イン
ダクタンスが生ずる。これが、接続電極60を介してコ
ンデンサと直列接続されているので、前記実施例と同様
に共振回路が構成され、同様に急峻な減衰特性を得るこ
とができる。
【0052】なお、2つのコイル72,74間には、何
も導体が形成されていない保護用の絶縁体シートUが介
在している。このため、シートUの厚みや、導体が形成
してある他のシートと異なった透磁率の絶縁体をシート
Uとして使用することにより、コイル72,74間間の
結合度を変化させることができ、共振周波数を移動させ
ることができる。これにより、上述した実施例と同様
に、所望の急峻な減衰特性を得ることが可能となる。
も導体が形成されていない保護用の絶縁体シートUが介
在している。このため、シートUの厚みや、導体が形成
してある他のシートと異なった透磁率の絶縁体をシート
Uとして使用することにより、コイル72,74間間の
結合度を変化させることができ、共振周波数を移動させ
ることができる。これにより、上述した実施例と同様
に、所望の急峻な減衰特性を得ることが可能となる。
【0053】
【他の実施例】この発明には数多くの実施の形態があ
り、以上の開示に基づいて多様に改変することが可能で
ある。例えば、次のようなものも含まれる。 (1)前記実施例は、いずれもT型フィルタに本発明を
適用したものであるが、例えばダブルπ型回路など、コ
イル素子が2つ以上あるような回路に対して本発明は適
用可能である。 (2)前記実施例に示したシートの積層数,導体パター
ン,回路定数の数値も、必要に応じて適宜設定してよ
い。また、周波数特性のグラフも一例である。 (3)その他、前記実施例を組み合わせるようにしても
よい。例えば、図5〜図7の実施例に、図1の実施例に
示したコンデンサ部を適用する,あるいは図4の実施例
に示した微小コイル部を有するコンデンサ部を適用する
などである。
り、以上の開示に基づいて多様に改変することが可能で
ある。例えば、次のようなものも含まれる。 (1)前記実施例は、いずれもT型フィルタに本発明を
適用したものであるが、例えばダブルπ型回路など、コ
イル素子が2つ以上あるような回路に対して本発明は適
用可能である。 (2)前記実施例に示したシートの積層数,導体パター
ン,回路定数の数値も、必要に応じて適宜設定してよ
い。また、周波数特性のグラフも一例である。 (3)その他、前記実施例を組み合わせるようにしても
よい。例えば、図5〜図7の実施例に、図1の実施例に
示したコンデンサ部を適用する,あるいは図4の実施例
に示した微小コイル部を有するコンデンサ部を適用する
などである。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば次
のような効果がある。 (1)2つのコイル間に負の相互インダクタンスを形成
してコンデンサとの間に疑似的なコイルを形成し、これ
によって共振回路を構成することとしたので、新たな素
子を必要とすることなく、大きな減衰特性を得ることが
できる。 (2)2つのコイル素子間の結合度を変更することによ
って相互インダクタンスの値を変えることができ、共振
回路の共振周波数を簡便に移動して所望の特性を得るこ
とができる。
のような効果がある。 (1)2つのコイル間に負の相互インダクタンスを形成
してコンデンサとの間に疑似的なコイルを形成し、これ
によって共振回路を構成することとしたので、新たな素
子を必要とすることなく、大きな減衰特性を得ることが
できる。 (2)2つのコイル素子間の結合度を変更することによ
って相互インダクタンスの値を変えることができ、共振
回路の共振周波数を簡便に移動して所望の特性を得るこ
とができる。
【図1】この発明の実施例1を示す図である。(A)は
積層構造を示す分解斜視図、(B)は回路図、(C)は概
観を示す斜視図である。
積層構造を示す分解斜視図、(B)は回路図、(C)は概
観を示す斜視図である。
【図2】実施例1を示す図である。(A)及び(B)は等
価回路を示す回路図、(C)は特性例を示すグラフであ
る。
価回路を示す回路図、(C)は特性例を示すグラフであ
る。
【図3】実施例1と背景技術の特性を比較するグラフで
ある。
ある。
【図4】実施例2を示す図である。(A)は積層構造を
示す分解斜視図、(B)は回路図である。
示す分解斜視図、(B)は回路図である。
【図5】実施例3を示す図である。(A)は積層構造を
示す分解斜視図、(B)はコイル部分を示す図である。
示す分解斜視図、(B)はコイル部分を示す図である。
【図6】実施例4を示す図である。(A)は積層構造を
示す分解斜視図、(B)は外観を示す斜視図である。
示す分解斜視図、(B)は外観を示す斜視図である。
【図7】実施例5を示す図である。(A)は積層構造を
示す分解斜視図、(B)は回路図である。
示す分解斜視図、(B)は回路図である。
【図8】背景技術を示す図である。(A)は等価回路を
示す回路図、(B)は特性例を示すグラフである。
示す回路図、(B)は特性例を示すグラフである。
10,12…入出力電極 14,16,52,54,72,74…コイル 14A,16A,26M…等価コイル 18,32…コンデンサ 20,30,62…コンデンサ部 22,50,64,70…コイル部 24…GND電極 56…コイルの重なり部分 60…接続電極 A1〜A6,A10,A12,B1〜B10,J1〜J
9,P1〜P6,R1〜R11,U〜U6,V1〜V7
…シート C…結合用シート D1,D2,Q1,Q2…コンデンサ用導体 DA…微小コイル部 DB…平坦部 D3,D4,G1,G2,H1,H2,M1,M2,N
1,N2,Y1,Y2,Z1,Z2…ビアホール E1〜E4,F1〜F4,K1〜K4,L1〜L4,S
1,T1,W1〜W4,X1〜X4…コイル用導体 FA〜FD…磁束の方向を示す矢印 PA〜PD…減衰極
9,P1〜P6,R1〜R11,U〜U6,V1〜V7
…シート C…結合用シート D1,D2,Q1,Q2…コンデンサ用導体 DA…微小コイル部 DB…平坦部 D3,D4,G1,G2,H1,H2,M1,M2,N
1,N2,Y1,Y2,Z1,Z2…ビアホール E1〜E4,F1〜F4,K1〜K4,L1〜L4,S
1,T1,W1〜W4,X1〜X4…コイル用導体 FA〜FD…磁束の方向を示す矢印 PA〜PD…減衰極
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年1月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正内容】
【0004】ところで、このような特性のLC複合部品
をフィルタとして使用する場合は、カットオフ周波数f
Cからの減衰が急峻であるほどよい。このような急峻な
特性を得るための手法としては、LC複合部品の素子
数を増やす,コイル114,116に並列にコンデン
サを接続し、あるいはコンデンサ118に直列にコイル
を接続してそれぞれ共振回路を構成し、共振点をカット
オフ周波数fCに近い位置に設定する,という手法があ
る。しかしながら、いずれにおいても、全体として素子
数が増大し、近年の小型化や軽量化の要請に相反するこ
とになる。別言すれば、背景技術によって少ない素子数
で急峻な減衰特性を得ることは困難である。
をフィルタとして使用する場合は、カットオフ周波数f
Cからの減衰が急峻であるほどよい。このような急峻な
特性を得るための手法としては、LC複合部品の素子
数を増やす,コイル114,116に並列にコンデン
サを接続し、あるいはコンデンサ118に直列にコイル
を接続してそれぞれ共振回路を構成し、共振点をカット
オフ周波数fCに近い位置に設定する,という手法があ
る。しかしながら、いずれにおいても、全体として素子
数が増大し、近年の小型化や軽量化の要請に相反するこ
とになる。別言すれば、背景技術によって少ない素子数
で急峻な減衰特性を得ることは困難である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正内容】
【0022】この実施例では、両コイル14,16のい
ずれにおいても、内部コア(コイル用導体に囲まれたシ
ート部分)に発生する磁束の向きは下向きである。すな
わち、図1(B)にその様子を示すように、コイル14
では矢印FAで示す向きに磁束が発生し、コイル16で
は矢印FBで示す向きに磁束が発生する。これらの磁束
は、コイル14,16の外部(他のコイルの内部コアも
含む)を通って閉じなければならない。このため、一方
のコイルで発生した磁束の一部が他方のコイル内を通過
するようになる。
ずれにおいても、内部コア(コイル用導体に囲まれたシ
ート部分)に発生する磁束の向きは下向きである。すな
わち、図1(B)にその様子を示すように、コイル14
では矢印FAで示す向きに磁束が発生し、コイル16で
は矢印FBで示す向きに磁束が発生する。これらの磁束
は、コイル14,16の外部(他のコイルの内部コアも
含む)を通って閉じなければならない。このため、一方
のコイルで発生した磁束の一部が他方のコイル内を通過
するようになる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正内容】
【0023】これにより、コイル14には、矢印FAで
示す自己の磁束と、コイル16で発生した矢印FBで示
す磁束とが通るが、両者は逆向きとなっているため打ち
消し合うようになる。他方、コイル16には、矢印FB
で示す自己の磁束と、コイル14で発生した矢印FAで
示す磁束とが通るが、この場合も両者は逆向きとなって
いるため打ち消し合うようになる。従って、コイル1
4,16間において負の相互インダクタンスが形成され
るようになる。
示す自己の磁束と、コイル16で発生した矢印FBで示
す磁束とが通るが、両者は逆向きとなっているため打ち
消し合うようになる。他方、コイル16には、矢印FB
で示す自己の磁束と、コイル14で発生した矢印FAで
示す磁束とが通るが、この場合も両者は逆向きとなって
いるため打ち消し合うようになる。従って、コイル1
4,16間において負の相互インダクタンスが形成され
るようになる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正内容】
【0032】コンデンサ部30のうち、シートA1,A
2,A4は、導体パターンも含めて上述した実施例1と
同様である。しかし、シートA10,A12にそれぞれ
形成されている導体D10が、前記実施例1と異なって
いる。すなわち、前記実施例ではシート表面にベタに導
体D2を形成したが、本実施例では中央の微小コイル部
DAと、その左右の平坦部DBとによって導体D10が
構成されている。そして、シートA10,A12の微小
コイル部DAがビアホールD3によって接続されてお
り、更にはビアホールD4によってコイル部22にも接
続されている。なお、微小コイル部DAが形成されたシ
ートA10,A12には、誘電体材料や低透磁率材料が
使用される。
2,A4は、導体パターンも含めて上述した実施例1と
同様である。しかし、シートA10,A12にそれぞれ
形成されている導体D10が、前記実施例1と異なって
いる。すなわち、前記実施例ではシート表面にベタに導
体D2を形成したが、本実施例では中央の微小コイル部
DAと、その左右の平坦部DBとによって導体D10が
構成されている。そして、シートA10,A12の微小
コイル部DAがビアホールD3によって接続されてお
り、更にはビアホールD4によってコイル部22にも接
続されている。なお、微小コイル部DAが形成されたシ
ートA10,A12には、誘電体材料や低透磁率材料が
使用される。
Claims (7)
- 【請求項1】 コンデンサ用導体が形成されたシートを
積層することによってコンデンサを構成し、コイル用導
体が形成されたシートを積層するとともに、コイル用導
体を接続導体によってシート間で接続することでコイル
を構成した積層型LC複合部品において、 シートの積層体に少なくとも2つのコイルを近接して形
成することによって負の相互インダクタンスを形成し、
これによって得た疑似的なコイルと前記コンデンサを利
用して共振回路を構成したことを特徴とする積層型LC
複合部品。 - 【請求項2】 前記コイルを、シートの積層体に並列的
に形成したことを特徴とする請求項1記載の積層型LC
複合部品。 - 【請求項3】 コイル用導体がシート間で重なるように
形成したことを特徴とする請求項2記載の積層型LC複
合部品。 - 【請求項4】 前記コイルを、シートの積層体に直列的
に形成したことを特徴とする請求項1記載の積層型LC
複合部品。 - 【請求項5】 前記コンデンサ用導体を接続導体によっ
てシート間で接続するとともに、コイル用導体に対して
も接続導体によって接続したことを特徴とする請求項
1,2,3又は4記載の積層型LC複合部品。 - 【請求項6】 前記コンデンサ用導体を積層体外部の接
続電極によってシート間で接続するとともに、コイル用
導体に対しても接続電極によって接続したことを特徴と
する請求項1,2,3又は4記載の積層型LC複合部
品。 - 【請求項7】 前記コンデンサ用導体の一部に微小コイ
ルを形成し、この微小コイルに前記疑似的なコイル及び
前記コンデンサを加えて共振回路を構成したことを特徴
とする請求項1,2,3,4,5又は6記載の積層型L
C複合部品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8177515A JPH1013180A (ja) | 1996-06-18 | 1996-06-18 | 積層型lc複合部品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8177515A JPH1013180A (ja) | 1996-06-18 | 1996-06-18 | 積層型lc複合部品 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1013180A true JPH1013180A (ja) | 1998-01-16 |
Family
ID=16032267
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8177515A Pending JPH1013180A (ja) | 1996-06-18 | 1996-06-18 | 積層型lc複合部品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1013180A (ja) |
Cited By (14)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000299227A (ja) * | 1999-04-15 | 2000-10-24 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | インダクタアレイ |
WO2002056322A1 (fr) * | 2001-01-15 | 2002-07-18 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Filtre antiparasite et appareil electronique comprenant ledit filtre |
JP2003031416A (ja) * | 2001-07-12 | 2003-01-31 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | コモンモードノイズフィルタ |
WO2005101626A1 (ja) * | 2004-03-31 | 2005-10-27 | Tdk Corporation | ノイズ抑制回路 |
US6970057B2 (en) * | 2004-04-02 | 2005-11-29 | Chi Mei Communication Systems, Inc. | Lowpass filter formed in a multi-layer ceramic |
US7002434B2 (en) * | 2004-03-16 | 2006-02-21 | Chi Mei Communication Systems, Inc. | Lumped-element transmission line in multi-layered substrate |
JP2010021321A (ja) * | 2008-07-10 | 2010-01-28 | Murata Mfg Co Ltd | Lc複合部品この発明は、複数の誘電体層の積層体内にインダクタ及びキャパシタを構成してなる、例えば帯域通過フィルタ等のlc複合部品に関するものである。 |
US7859364B2 (en) | 2007-01-30 | 2010-12-28 | Tdk Corporation | Layered low-pass filter |
WO2012061960A1 (zh) * | 2010-11-12 | 2012-05-18 | Wu Weimin | 特定频率电流旁路的滤波器 |
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WO2019187251A1 (ja) * | 2018-03-27 | 2019-10-03 | 株式会社村田製作所 | コイル部品および、これを含むフィルタ回路 |
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US11811381B2 (en) | 2019-09-06 | 2023-11-07 | Murata Manufacturing Co., Ltd. | Filter element |
-
1996
- 1996-06-18 JP JP8177515A patent/JPH1013180A/ja active Pending
Cited By (25)
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20010821 |