JPH10130701A - 金属間化合物複合材料及びその製造方法 - Google Patents

金属間化合物複合材料及びその製造方法

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JPH10130701A
JPH10130701A JP28862996A JP28862996A JPH10130701A JP H10130701 A JPH10130701 A JP H10130701A JP 28862996 A JP28862996 A JP 28862996A JP 28862996 A JP28862996 A JP 28862996A JP H10130701 A JPH10130701 A JP H10130701A
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Japan
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metal
substrate
alloy
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JP28862996A
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Inventor
Junji Imai
順二 今井
Tadashi Hamada
糾 濱田
Shinji Fujimoto
真司 藤本
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Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 靱性に優れると共に硬度が高く耐摩耗性に優
れ、しかも基材に対する金属間化合物の密着性が高い金
属間化合物複合材料を得る。 【解決手段】 表面よりつながった空孔2を体積率にし
て1〜30%有するポーラスな金属あるいは合金の基材
1に、この基材1の主成分となる金属と金属間化合物を
形成し且つこの金属より低融点である元素を主成分とす
る金属あるいは合金を溶浸させる。次に基材1及びこの
溶浸材3が反応して金属間化合物4を形成する条件で加
熱することによって、基材1と溶浸材3の界面で元素の
相互拡散を生じさせて金属間化合物4を形成させる。基
材1と複合させた金属間化合物4によって硬度を高めて
耐摩耗性を向上させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歯車や軸受け等の
機構部品や、刃物、特に摺動を繰り返す刃物、その他工
具等に利用される金属間化合物複合材料及びその製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】歯車や軸受け等の機構部品や、刃物、特
に摺動を繰り返す刃物、その他工具には、工具鋼、高炭
素ステンレス鋼、析出硬化型ステンレス鋼等が利用され
ている。しかしこれらの金属材料は靱性には優れるが、
表面硬度はあまり高くないため、耐摩耗性が悪く、消耗
が激しいという問題があった。このために表面硬度が高
いセラミックスの利用も考えられているが、セラミック
スは靱性に欠け、また加工も困難であるため、実用的な
利用は難しい。
【0003】また、上記の合金等の金属材料にアルミナ
などをPVDやCVD等によりコーティングして表面硬
度を高めたものも提供されている。しかしこのもので
は、表面に形成される表面硬質層の厚さが0.1μmオ
ーダーと極薄であり、しかも基材に対する表面硬質層の
密着性の問題もあるため、表面硬質層で耐摩耗性等の特
性を改善するまでには至っていない。
【0004】一方、金属あるいは合金の基材に、セラミ
ックスあるいは金属間化合物を分散させることによっ
て、セラミックスあるいは金属間化合物の高い硬度によ
って基材の表面硬度を高めることが試みられている。そ
してこのような金属あるいは合金の基材にセラミックス
あるいは金属間化合物を分散させた材料は、セラミック
スあるいは金属間化合物の粉末に、基材となる金属ある
いは合金の粉末を混合し、これを焼結して焼結体を形成
することによって製造されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このように粉
末粒子を混合して焼結することによって製造を行なう場
合、焼結温度を高くしないと、セラミックスあるいは金
属間化合物の分散粒子が脱落するおそれがあり、また焼
結体に製造した時点では硬度が高くなっているので、後
加工が困難であるという問題があった。
【0006】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、靱性に優れると共に硬度が高く耐摩耗性に優れ、
しかも基材に対する金属間化合物の密着性が高い金属間
化合物複合材料を得ることを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る金属間化合
物複合材料は、表面よりつながった空孔を体積率にして
1〜30%有するポーラスな金属あるいは合金の基材
に、この基材の主成分となる金属と金属間化合物を形成
し且つこの金属より低融点である元素を主成分とする金
属あるいは合金が溶浸されると共に、基材及びこの溶浸
材が反応して金属間化合物を形成する条件で加熱され
て、基材と溶浸材の界面近傍で金属間化合物が形成され
て成ることを特徴とするものである。
【0008】本発明に係る金属間化合物複合材料の製造
方法は、表面よりつながった空孔を体積率にして1〜3
0%有するポーラスな金属あるいは合金の基材に、この
基材の主成分となる金属と金属間化合物を形成し且つこ
の金属より低融点である元素を主成分とする金属あるい
は合金を溶浸させ、次いで基材及びこの溶浸材が反応し
て金属間化合物を形成する条件で加熱することによっ
て、基材と溶浸材の界面で元素の相互拡散を生じさせて
金属間化合物を形成させることを特徴とするものであ
る。
【0009】また請求項3の発明は、上記の表面よりつ
ながった空孔を体積率にして1〜30%有するポーラス
な金属あるいは合金の基材は加圧して形成されたもので
あることを特徴とするものである。また請求項4の発明
は、上記の表面よりつながった空孔を体積率にして1〜
30%有するポーラスな金属あるいは合金の基材は焼結
して形成されたものであることを特徴とするものであ
る。
【0010】また請求項5の発明は、溶浸材の溶湯にポ
ーラスな金属あるいは合金の基材を浸漬することによっ
て、基材に溶浸材を溶浸させることを特徴とするもので
ある。また請求項6の発明は、ポーラスな金属あるいは
合金の基材に溶浸材の溶湯を加圧溶浸することによっ
て、基材に溶浸材を溶浸させることを特徴とするもので
ある。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。本発明において基材の材料として利用することの
できる金属あるいは合金としては、後述の低融点の金属
あるいは合金と金属間化合物を形成する金属元素を主成
分とするものであれば、特にその種類は問わないが、代
表的なものを例示すると、Fe,Ti,Cr,Ni,C
o,Al,Cu,Zr,Mnを主成分とする合金を挙げ
ることができる。
【0012】また本発明において基材に溶浸させる材料
として利用することのできる金属あるいは合金として
は、上記の基材の金属あるいは合金より低融点であり、
且つ、基材の主成分の金属元素と金属間化合物を形成す
る金属元素を主成分とする金属あるいは合金であれば、
特にその種類は問わないが、この主成分以外の金属元素
は、基材の金属あるいは合金の主成分又は基材の金属あ
るいは合金の成分と金属間化合物を形成する元素である
ことが望ましい。基材に溶浸させる材料の代表的なもの
を例示すると、Cu,Al,Pb,Sn,Zn,In,
Li,Mgを主成分とする合金、あるいは金属そのもの
である。
【0013】基材と溶浸材料の好適な組み合わせを挙げ
ると、Fe系合金の基材にAlを溶浸させる組み合わ
せ、Ti系合金の基材にAlを溶浸させる組み合わせ、
Fe系合金の基材にSnを溶浸させる組み合わせなどで
ある。勿論、上記の条件に適合するものであれば、この
組み合わせに制限されるものではない。基材に溶浸材料
を溶浸させるにあたって、本発明では基材1として図1
(a)の模式的な断面図で示すような、表面よりつなが
った蟻の巣状の空孔2を有するものを用いるものであ
る。このような空孔2を有する基材1は、上記の基材材
料の金属あるいは合金の粉末を加圧成形することによっ
て作製したり、金属あるいは合金の粉末を比較的低圧で
加圧成形した後に比較的低温で焼結することによって作
製したりすることができる。またこのように粉末を成形
・焼結する他に、金属あるいは合金のワイヤーを纏めた
り絡ませたりして加圧成形することによっても、空孔2
を有する基材1を作製することができる。
【0014】そしてこの基材1の表面よりつながった空
孔2に図1(b)に模式的に示すように、上記の溶浸材
料3の溶湯を溶浸させる。基材1に溶浸材料3の溶湯を
溶浸させるにあたっては、基材1を溶浸材料3の溶湯に
浸漬させて、空孔2に溶浸材料3の溶湯を浸透させるよ
うにして行なうことができるが、溶浸材料3の溶湯を加
圧溶浸させるようにすることもできる。基材1を溶浸材
料3の溶湯に単に浸漬させて溶浸させる場合には、溶湯
は基材1の表面近くでは空孔2に完全に充填されるが、
基材1の内部に行くほど空孔2への溶湯の充填率が下が
っていく。これに対して、溶浸材料3の溶湯を加圧溶浸
させる場合には、基材1の表面付近でも内部でも均一に
溶浸材料3を溶浸させることができる。
【0015】加圧溶浸は、底部に脱気のための孔を設け
た上面が開口する加圧容器に、基材1をその側面が加圧
容器の内面に全面接触するように入れ、その上に溶浸材
料3の溶湯を入れた後、上から加圧容器内を加圧し、溶
浸材料3を基材1の空孔2に強制的に浸透させるように
したものであり、加圧圧力は特に制限されるものではな
いが、0.2〜50MPaの範囲が好ましい。
【0016】上記のように基材1に溶浸材料3を溶浸さ
せた後、基材1の材料と溶浸材料3が反応して金属間化
合物を形成する条件で加熱処理することによって、基材
1の材料と溶浸材料3の界面で元素の相互拡散を生じ、
図1(c)に模式的に示すように、基材1中に蟻の巣状
に複合した金属間化合物4を形成させることができるも
のである。このように高硬度の金属間化合物4を基材1
中に複合形成させることによって、基材1の硬度を高め
ることができるものであり、靱性に優れた材料で基材1
を形成することによって、靱性に優れると共に表面硬度
が高く耐摩耗性に優れた金属間化合物複合材料を得るこ
とができるものである。
【0017】ここで、基材1に溶浸材料3の溶湯を溶浸
させるにあたって、上記のように基材1を溶浸材料3の
溶湯に単に浸漬させて溶浸させる場合には、溶湯は基材
1の表面近くでは空孔2に完全に充填されると共に基材
1の内部に行くほど空孔2への溶湯の充填率が下がる。
従ってこのものでは基材1中の金属間化合物4の比率が
表面ほど高く、内部ほど低くなるようにすることがで
き、硬度が表面に近いほど高くなるというような金属間
化合物複合材料を製造することができるものである。他
方、基材1に溶浸材料3の溶湯を加圧溶浸させる場合に
は、基材1には表面付近でも内部でも均一に溶浸材料3
を溶浸させることができるので、基材1中の金属間化合
物4の比率を均一にすることができ、表面部及び内部で
硬度が均一な金属間化合物複合材料を製造することがで
きるものである。
【0018】そして上記の基材1の表面よりつながった
空孔2の体積率は、基材1の全体の1〜30%の範囲に
設定するのがよい。空孔2の体積率が1%未満では、空
孔2内に溶浸材料3が完全に溶浸充填されたとしても、
熱処理によって得られる金属間化合物の量が不足し、充
分な硬度を得ることはできない。逆に空孔2の体積率が
30%を超えると、得られる金属間化合物の量が逆に過
多になり、あるいは溶浸材料3で充填されない残存空孔
2が多くなり、靱性を損なうという欠点を生じる。
【0019】次に、本発明をさらに具体的に説明する。
析出硬化型ステンレス鋼の粉末をポリビニルアルコール
のバインダーとともに直径30mmの金型に入れ、プレ
スにて直圧成形した後、1000〜1100℃で1〜3
時間保持して真空中で焼結し、表面からつながった空孔
が体積率5〜15%有する基材を得た。この基材にAl
溶湯を加圧溶浸し、基材の空孔にAlを溶浸させた。次
にこれを析出硬化型ステンレスの硬化温度である470
〜490℃で加熱して30〜2時間保持し、空孔に溶浸
したAl元素と基材中のFeとを界面で拡散・結合さ
せ、基材中に均一にAl3 FeやAl5 Fe2 等のAl
−Fe系金属間化合物を体積率8〜20%で蟻の巣状に
形成し、靱性、強度共に優れたAl−Fe系金属間化合
物複合Fe系合金を得た。
【0020】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
する。 (実施例1)析出硬化系ステンレス鋼(Fe−16Cr
−4Ni−4Cu−0.3Nb;数値は重量%−以下同
じ−)の粉末を600MPaの圧力で直圧成形し、真空
中で1200℃の温度で3時間焼結することによって、
表面につながる空孔を体積率にして約15%有する基材
を得た。次に、この焼結した基材にAl−5Fe合金の
800℃の溶湯を50MPaの加圧条件で加圧溶浸させ
た。次にこの素材を所定の形状に加工した後、大気中で
480℃の温度で1時間加熱処理した。この加熱処理で
FeAl3 やFe2 Al5 等の金属間化合物を形成さ
せ、基材内に均一に約20%の体積率で金属間化合物が
蟻の巣状に複合した金属間化合物複合材料を得た。この
ようにして得た金属間化合物複合材料のブリネル硬度は
B (10/3000)=約700であり、また後述の
比較例2のものより摩耗量が少なかった。
【0021】(実施例2)析出硬化系ステンレス鋼(F
e−17Cr−7Ni−1.2Al)のワイヤーを10
00MPaで加圧成形し、表面につながる空孔を体積率
にして約20%有する基材を得た。次に、この基材をA
lの700℃の溶湯に浸漬することによって、基材にA
lを溶浸させた。次にこの素材を大気中で565℃で9
0分間加熱処理した後、空冷することによって、FeA
3 やFe2 Al5 等の金属間化合物を形成させた。こ
のものでは基材内で表面から内部へと体積率が傾斜的に
小さくなるように金属間化合物が形成されており、基材
内に全体として約25%の体積率で金属間化合物が蟻の
巣状に複合した金属間化合物複合材料を得た。このよう
にして得た金属間化合物複合材料のブリネル硬度は、表
面付近でHB (10/3000)=約700、中央部付
近でHB (10/3000)=約500であり、また後
述の比較例2のものより摩耗量が少なかった。
【0022】(実施例3)マルエージング鋼(Fe−1
8Ni−12Co−4Mo−1.7Ti−0.1Al)
の粉末を500MPaの圧力で直圧成形し、真空中で1
150℃で3時間焼結することによって、表面につなが
る空孔を体積率にして約30%有する基材を得た。次
に、この焼結した基材にAlの750℃の溶湯を1MP
aの加圧条件で加圧溶浸させた。次にこの素材を所定の
形状に加工した後、大気中で510℃の温度で3時間加
熱処理した。この加熱処理でFe2 Al5 やFeAl3
等の金属間化合物を形成させ、基材内に均一に約35%
の体積率で金属間化合物が蟻の巣状に複合した金属間化
合物複合材料を得た。このようにして得た金属間化合物
複合材料のブリネル硬度はHB (10/3000)=約
750であり、また後述の比較例2のものより摩耗量が
少なかった。
【0023】(実施例4)ニッケル合金(Ni−15C
r−7Fe)の粉末を900MPaの圧力で直圧成形
し、真空中で1150℃で3時間焼結することによっ
て、表面につながる空孔を体積率にして約15%有する
基材を得た。次に、この焼結した基材にAlの750℃
の溶湯を10MPaの加圧条件で加圧溶浸させた。次に
この素材を所定の形状に加工した後、大気中で1000
℃の温度で10分間加熱後空冷した。この加熱処理でN
3 AlやNiAl等の金属間化合物を形成させ、基材
内に均一に約20%の体積率で金属間化合物が蟻の巣状
に複合した金属間化合物複合材料を得た。このようにし
て得た金属間化合物複合材料のブリネル硬度はHB (1
0/3000)=約700であった。
【0024】(実施例5)チタン合金(Ti−6Al−
4V)の粉末を1200MPaの圧力で直圧成形し、真
空中で1200℃で3時間焼結することによって、表面
につながる空孔を体積率にして約10%有する基材を得
た。次に、この焼結した基材をAlの800℃の溶湯に
浸漬することによって、基材にAlを溶浸させた。次に
この素材を所定の形状に加工した後、大気中で1100
℃の温度で15分間加熱後空冷した。この加熱処理でT
iAl等の金属間化合物を形成させた。このものでは基
材内で表面から内部へと体積率が傾斜的に小さくなるよ
うに金属間化合物が形成されており、基材内に全体とし
て約20%の体積率で金属間化合物が蟻の巣状に複合し
た金属間化合物複合材料を得た。このようにして得た金
属間化合物複合材料のブリネル硬度は、表面付近でHB
(10/3000)=約750、中央部付近でHB (1
0/3000)=約600であった。
【0025】(実施例6)高炭素ステンレス鋼(Fe−
14Cr−1.0C−0.9Mn)の粉末を1500M
Paの圧力で直圧成形し、表面につながる空孔を体積率
にして約25%有する基材を得た。次に、この基材にS
nの400℃の溶湯を0.3MPaの加圧条件で加圧溶
浸させた。次にこの素材を所定の形状に加工した後、大
気中で1000℃の温度で10分間加熱後水冷した。こ
の加熱処理でFeSn2 やFeSn等の金属間化合物を
形成させ、基材内に均一に約40%の体積率で金属間化
合物が蟻の巣状に複合した金属間化合物複合材料を得
た。このようにして得た金属間化合物複合材料のブリネ
ル硬度はHB (10/3000)=約700であり、ま
た後述の比較例2のものより摩耗量が少なかった。
【0026】(比較例1)析出硬化系ステンレス鋼(F
e−16Cr−4Ni−4Cu−0.3Nb)の厚さ8
mmの板を用意した。そしてこの板を所定の形状に加工
した後、窒素雰囲気中で1040℃に加熱して30分間
保持した後、水冷し、さらに大気中で480℃で1時間
加熱した。このように処理した材料のブリネル硬度はH
B (10/3000)=約450であった。
【0027】(比較例2)高炭素ステンレス鋼(Fe−
13.5Cr−1.2Mo−0.4C−0.3Si−
0.3Mn)の厚さ2mmのシートを用意した。そして
このシートを所定の形状に加工し、Ar雰囲気中で10
50℃で5分間加熱後、毎秒60℃の降温速度で冷却を
行なった。このように処理した材料のブリネル硬度はH
B (10/3000)=約550であった。
【0028】(比較例3)アルミナ粉末を700MPa
の圧力で直圧成形した後、Ar雰囲気中で1600℃で
5時間加熱することによって焼結し、これを所定形状に
加工した。この材料のブリネル硬度はHB (10/30
00)=測定不能であり、ビッカース硬度はHV =約2
000であった。
【0029】(比較例4)高炭素ステンレス鋼(Fe−
14Cr−1.0C−0.9Mn)の粉末を800MP
aの圧力で直圧成形し、表面につながる空孔を体積率に
して約35%有する基材を得た。次に、この基材にAl
の700℃の溶湯を0.2MPaの加圧条件で加圧溶浸
させた。次にこの素材を所定の形状に加工した後、大気
中で1000℃の温度で10分間加熱後水冷した。この
加熱処理でFeAl3 やFe2 Al 5 等の金属間化合物
を形成させ、基材内に均一に約70%の体積率で金属間
化合物が蟻の巣状に複合した金属間化合物複合材料を得
た。このようにして得た金属間化合物複合材料のブリネ
ル硬度はHB (10/3000)=約750であった
が、同時に脆くもなった。
【0030】(比較例5)析出硬化系ステンレス鋼(F
e−16Cr−4Ni−4Cu−0.3Nb)の粉末を
1200MPaの圧力で直圧成形し、真空中で1380
℃の温度で3時間焼結することによって、表面につなが
る空孔を体積率にして約0.8%有する基材を得た。次
に、この焼結した基材にAlの750℃の溶湯を40M
Paの加圧条件で加圧溶浸させた。次にこの素材を所定
の形状に加工した後、大気中で480℃の温度で1時間
加熱処理した。この加熱処理でFeAl3 やFe2 Al
5 等の金属間化合物を形成させ、基材内に均一に約1%
の体積率で金属間化合物が蟻の巣状に複合した金属間化
合物複合材料を得た。このようにして得た金属間化合物
複合材料のブリネル硬度はHB (10/3000)=約
500であった。
【0031】上記の実施例1〜6にみられるように、表
面よりつながった空孔を体積率にして1〜30%の範囲
で有する基材を作製し、この基材に溶浸材を溶浸して加
熱処理することによって金属間化合物を形成させるよう
にした金属間化合物複合材料は、硬度が高く、耐摩耗性
が向上している。一方、析出硬化系ステンレス鋼や高炭
素ステンレス鋼を熱処理したに過ぎない比較例1や比較
例2のものでは硬度が低く、またアルミナを焼結した比
較例3では硬度が高いものの、非常に脆いものであっ
た。
【0032】さらに、基材に溶浸材を溶浸して加熱処理
することによって金属間化合物を形成させるにあたっ
て、基材として空孔の体積率が30%を超えるものを用
いた比較例4では、硬度が高くなるものの脆くなり、基
材として空孔の体積率が1%未満のものを用いた比較例
5では、硬度を高める効果を充分に得ることができない
ものであった。
【0033】
【発明の効果】上記のように本発明は、表面よりつなが
った空孔を体積率にして1〜30%有するポーラスな金
属あるいは合金の基材に、この基材の主成分となる金属
と金属間化合物を形成し且つこの金属より低融点である
元素を主成分とする金属あるいは合金を溶浸させ、次い
で基材及びこの溶浸材が反応して金属間化合物を形成す
る条件で加熱することによって、基材と溶浸材の界面で
元素の相互拡散を生じさせて金属間化合物を形成させる
ようにしたので、基材と複合させた金属間化合物によっ
て硬度を高めて耐摩耗性を向上させることができると共
に、金属あるいは合金によって靱性高く形成することが
できる基材によって、靱性にも優れたものに製造するこ
とができるものであり、しかも金属間化合物は空孔に溶
浸させた溶浸材と基材の材料の相互拡散で形成されてい
るために、基材に対する金属間化合物の密着性を高く得
ることができるものである。さらに、基材はポーラスに
形成することができるために緻密に製造する必要がな
く、高圧での成形や、高温での焼結の必要がなくなるも
のであり、また基材の段階ではまだ金属間化合物が形成
されておらず、硬度が高くないので、加工性が良好であ
って、生産性を向上させることができるものである。
【0034】また、上記の表面よりつながった空孔を体
積率にして1〜30%有するポーラスな金属あるいは合
金の基材は加圧して形成するようにしたので、ポーラス
な基材は緻密に製造する必要がなく、高圧での成形が不
要になって生産性を向上させることができるものであ
る。また上記の表面よりつながった空孔を体積率にして
1〜30%有するポーラスな金属あるいは合金の基材は
焼結して形成するようにしたので、ポーラスな基材は緻
密に製造する必要がなく、高温で焼成することが不要に
なって生産性を向上させることができるものである。
【0035】また溶浸材の溶湯にポーラスな金属あるい
は合金の基材を浸漬することによって、基材に溶浸材を
溶浸させるようにしたので、空孔への溶浸材の充填率が
基材の表面近くでは高く、基材の内部に行くほど下がる
ように、空孔に溶浸材を溶浸させることができ、この結
果、基材中の金属間化合物の比率が表面ほど高く、内部
ほど低くなるようにすることができるものであり、硬度
が表面に近いほど高くなるというような金属間化合物複
合材料を製造することができるものである。
【0036】またポーラスな金属あるいは合金の基材に
溶浸材の溶湯を加圧溶浸することによって、基材に溶浸
材を溶浸させるようにしたので、基材の表面付近でも内
部でも均一に溶浸材を空孔に溶浸させることができ、基
材中の金属間化合物の比率を均一にすることができるも
のであり、表面部及び内部で硬度が均一な金属間化合物
複合材料を製造することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例を示すものであり、(a)は基材
の模式的な断面図、(b)は溶浸材を溶浸した状態の基
材の模式的な断面図、(c)は金属間化合物複合材料の
模式的な断面図である。
【符号の説明】
1 基材 2 空孔 3 溶浸材料 4 金属間化合物

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面よりつながった空孔を体積率にして
    1〜30%有するポーラスな金属あるいは合金の基材
    に、この基材の主成分となる金属と金属間化合物を形成
    し且つこの金属より低融点である元素を主成分とする金
    属あるいは合金が溶浸されると共に、基材及びこの溶浸
    材が反応して金属間化合物を形成する条件で加熱され
    て、基材と溶浸材の界面近傍で金属間化合物が形成され
    て成ることを特徴とする金属間化合物複合材料。
  2. 【請求項2】 表面よりつながった空孔を体積率にして
    1〜30%有するポーラスな金属あるいは合金の基材
    に、この基材の主成分となる金属と金属間化合物を形成
    し且つこの金属より低融点である元素を主成分とする金
    属あるいは合金を溶浸させ、次いで基材及びこの溶浸材
    が反応して金属間化合物を形成する条件で加熱すること
    によって、基材と溶浸材の界面で元素の相互拡散を生じ
    させて金属間化合物を形成させることを特徴とする金属
    間化合物複合材料の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記の表面よりつながった空孔を体積率
    にして1〜30%有するポーラスな金属あるいは合金の
    基材は加圧して形成されたものであることを特徴とする
    請求項2に記載の金属間化合物複合材料の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記の表面よりつながった空孔を体積率
    にして1〜30%有するポーラスな金属あるいは合金の
    基材は焼結して形成されたものであることを特徴とする
    請求項2に記載の金属間化合物複合材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 溶浸材の溶湯にポーラスな金属あるいは
    合金の基材を浸漬することによって、基材に溶浸材を溶
    浸させることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに
    記載の金属間化合物複合材料の製造方法。
  6. 【請求項6】 ポーラスな金属あるいは合金の基材に溶
    浸材の溶湯を加圧溶浸することによって、基材に溶浸材
    を溶浸させることを特徴とする請求項2乃至4のいずれ
    かに記載の金属間化合物複合材料の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100734416B1 (ko) 2005-02-28 2007-07-03 인하대학교 산학협력단 이방성 다공질 금속간화합물 및 그 제조방법
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AT16903U1 (de) * 2019-10-25 2020-11-15 Miba Sinter Austria Gmbh Verfahren zur Herstellung eines Sinterbauteils

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