JPH10130062A - 圧電セラミックス用原料粉体の製造方法 - Google Patents

圧電セラミックス用原料粉体の製造方法

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JPH10130062A
JPH10130062A JP8299603A JP29960396A JPH10130062A JP H10130062 A JPH10130062 A JP H10130062A JP 8299603 A JP8299603 A JP 8299603A JP 29960396 A JP29960396 A JP 29960396A JP H10130062 A JPH10130062 A JP H10130062A
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忠 関谷
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 圧電セラミックス用原料粉体の製造方法を提
供する。 【解決手段】 圧電性ペロブスカイト型化合物またはそ
の固溶体の組成を有する共沈粉体の製造方法であって、
金属の無機塩の混合物をアミンを含む有機溶媒中で加熱
しつつ分解することにより沈澱物を生成させたのち、そ
れを500℃以上の温度で加熱焼成することによって、
さらに残留している酸化物以外の物質を蒸発または分解
させて除去することを特徴とする圧電性ペロブスカイト
型化合物またはその固溶体の単一相からなる粉体の製造
方法。 【効果】 本発明方法によれば、粒子の組成、粒子径及
び粒子形状の均一性に優れた微細で焼結性の良い圧電セ
ラミックス用原料粉体が安価で簡単な製造工程で製造で
きるだけでなく、他の酸化物系機能材料の製造も可能で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アクチュエータ材
料として重要な圧電セラミックスの原料粉体の製造法に
関するものであり、微細で分散性の良い原料粉体を得る
ことによって圧電セラミックスの焼結性を高め、その機
械的強度の向上及び圧電変位量の拡大を図ることを目的
としている。この技術の適用により圧電セラミックスの
さらに過酷な条件下での使用が可能となり、新たな用途
分野の拡大が期待できる。
【0002】
【従来の技術】圧電セラミックスとは、外力を加えると
分極が生じて電荷が誘起され、逆に電圧を加えると電圧
に比例した歪みが誘起される性質をもつセラミックスの
ことである。圧電セラミックスの応用分野は、超音波発
振子、フィルタ共振子、電気音響変換素子、マイクロフ
ォン、音響センサなどのようにその振動特性を利用した
ものがほとんどであるが、最近はアクチュエータとして
の需要が急速に高まり、ポジショナ、圧電ダンパ、超音
波小型モータ等として実用化されている。これらのアク
チュエータは、元々、軽量物を変位させるように設計さ
れたものであり、通常の固相反応法によって得られるセ
ラミックスでほぼ目的が達成されている。一方、最近、
自動車、鉄道、船舶、航空・宇宙、土木・建築等の分野
で巨大機械・システムの振動抑制や姿勢修正等のヘルス
ケアリングをセラミックアクチュエータで行おうとする
機運が高まっているが、現状技術による圧電セラミック
スをこうした巨大機械・システム用のアクチュエータと
して適用しようとした場合、その機械的強度及び変位量
が絶対的に不足している。
【0003】現在最も広く用いられている圧電セラミッ
クスは、ペロブスカイト型化合物のジルコン酸鉛(Pb
ZrO3 、PZ)とチタン酸鉛(PbTiO3 、PT)
を約53:47の割合で固溶させたいわゆるPZT系セ
ラミックスであり、通常、酸化鉛(PbO)、酸化ジル
コニウム(ZrO2 )及び酸化チタン(TiO2 )の混
合物を高温で反応させて焼結する固相反応法によって製
造される。また、チタン酸バリウム(BaTiO3 、B
T)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3、S
T)、ニオブ酸マグネシウム鉛(PbMg1/3 Nb2/3
3 、PMN)、ニオブ酸ニッケル鉛(PbNi1/3
2/3 3 、PNN)等のペロブスカイト型化合物がP
ZT系セラミックスの特性改善のための固溶成分として
用いられている。
【0004】固相反応法の場合、原料混合物を少なくと
も950℃以上の温度で加熱することによってペロブス
カイト相を形成させ、次にその成形体を1200〜12
50℃辺りの温度で焼結するという2段階の加熱プロセ
スが必要である。特に、ペロブスカイト相の形成段階で
は、単一相を得るために加熱後、再粉砕、混合し、また
加熱するといった手順を繰り返す必要がある。固相反応
法は、焼結温度が高いため異常粒成長が起きたり、焼結
体中に気孔が取り残されることが多く、緻密な焼結体を
得る上で適した方法とは言い難い。さらに機械的強度及
び変位量の大きなセラミックアクチュエータを得るため
には、従来以上に粒子の組成、粒子径、粒子の形状、粒
界相等の組織制御を厳密に行った気孔を含まない緻密な
焼結体を得ることが前提条件であり、その点を考慮した
原料粉体の合成法の確立が不可欠である。
【0005】一方、一般の圧電セラミックスは酸化鉛を
主成分としたペロブスカイト型化合物またはその固溶体
であるため、焼結体製造過程での酸化鉛の蒸発による組
成のずれが問題となっており、焼成用鞘の構造を工夫し
たり、酸化鉛を化学量論量よりも過剰に添加するなど一
定の対策が必要である。このような煩わしさを軽減する
ためにも、微細で分散性に優れ、より低温度でペロブス
カイト相が生成し、且つ焼結可能な圧電セラミックス用
原料粉体の製造法の確立がますます重要となっている。
【0006】高純度で微細なセラミック原料粉体を得る
ための一般的な方法として、金属の無機塩を水に溶解
し、アンモニア等のアルカリを添加して加水分解させる
共沈法が知られている。しかし、水溶液法の場合、水の
存在がかえって分散性の良い粉体を得る上での障害とな
っていることが多い。すなわち、これは、水溶液法で
は、沈殿物が水酸化物または水和水酸化物であることが
多く、水酸基(OH基)を介した水素結合が生じて沈殿
粒子が凝集しやすくなるためである。分散性を高めるた
めに、界面活性剤を添加する等の工夫がなされている
が、必ずしも完璧な方法ではない。また、水溶液法で
は、沈殿を完全に行うためのpH調整の煩わしさがある
上、沈殿物の水洗及び濾別操作が必要なため化学量論組
成からのずれの問題が常に存在する。
【0007】一方、溶液から沈殿を製造するもう一つの
方法として、アルコキシド加水分解法がある。これは、
金属アルコキシドを有機溶媒に溶かし、何らかの形で水
を作用させて加水分解するもので、アルコキシドの種類
やアルコキシド溶液の濃度を適当に選ぶことによって粒
径と分散性が制御できる。水溶液法よりも微細で分散性
の優れた沈殿粒子が得られることが特徴であり、その理
由として、加水分解反応が緩慢であることと、水が少量
しか存在しないために水酸化物が生成しにくいことが考
えられている。現在、アルコキシド加水分解法は、組織
制御された機能性セラミックスを得る上で最も優れた原
料粉体製造法として注目されているが、アルコキシドが
高価であることと、全般的に不安定であるため空気中で
の取り扱いには注意を要するという欠点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】圧電セラミックスの応
用分野がますます拡大しつつある現状を考えると、でき
るだけ安価な原料を用いた簡単な製造法による微細で分
散性が良く、低温度で焼結可能な原料粉体の製造法の開
発が望まれる。そのような製造法を考える場合、従来法
の問題点を把握し、それを改善する方法を探るのが妥当
である。粒子径、分散性が簡単に制御できる点で、溶液
沈殿法に勝るものはない。金属の無機塩は比較的安価で
広く市販されており、出発原料として検討する価値があ
る。従って、圧電セラミックス用原料粉体の製造方法と
しては、溶液沈殿法であって、且つ出発原料が無機金属
塩である従来よりもさらに微細で分散性の良い粉体が製
造できる技術が確立されれば産業界に対して大きな波及
効果が期待できる。
【0009】そこで、本発明者らは、上記前提条件を基
に、如何にして微細で分散性の良い圧電セラミックス用
原料粉体が得られるかについて鋭意検討した結果、金属
無機塩を非水溶媒中で分解して共沈する方法を見出し、
本発明を完成するに至った。ここで、非水溶媒としては
アミンを含む有機溶媒を用いる。アミンはアルカリ性の
ため金属無機塩と反応し、酸化物の沈殿を生成する役割
を果たす。しかもアミンのアルカリ性はアンモニアのそ
れよりも低いため、無機塩との反応が緩慢であり、微細
な沈殿物が得られやすい。有機溶媒としてアミンのみで
も構わないが、より均質で微細な沈殿を形成させるため
には他の有機溶媒、例えばアルコールのようなもので薄
めた方がよい。特に、アルコールは、無機塩に含まれる
結晶水を脱水し、水酸化物の生成を防ぐと共に沈殿物の
分散性を高める効果があるため、薄め液としては最適と
考えられる。ここで、沈殿粒子の径は、アミンの濃度、
無機塩の仕込量、加熱温度等を変化させることによって
制御できる。
【0010】すなわち、本発明は、上記知見に基づい
て、金属の無機塩の混合物をアミンを含む有機溶媒中で
加熱しつつ分解して沈澱物を生成させたのち、それを5
00℃以上の温度で加熱焼成することによって圧電性ペ
ロブスカイト型化合物またはその固溶体の組成を有する
共沈粉体を製造するものであって、微細で分散性に優
れ、より低温度でペロブスカイト相が生成し、且つ焼結
可能な圧電セラミックス用原料粉体の製造法を提供する
ことを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明は、圧電性ペロブスカイト型化合物またはその固溶体
の組成を有する共沈粉体の製造方法であって、金属の無
機塩の混合物をアミンを含む有機溶媒中で加熱しつつ分
解することにより沈澱物を生成させたのち、それを50
0℃以上の温度で加熱焼成することによって、さらに残
留している酸化物以外の物質を蒸発または分解させて除
去することを特徴とする圧電性ペロブスカイト型化合物
またはその固溶体の単一相からなる粉体の製造方法、で
ある。
【0012】
【発明の実施の形態】次に、本発明についてさらに詳細
に説明する。本発明は、従来の水溶液沈殿法における水
をアルコールに、アンモニアをアミンに置き換えた沈殿
反応によって従来技術の問題点を解決しようとするもの
である。出発物質としては、鉛、ジルコニウム、チタ
ン、バリウム、ストロンチウム、マグネシウム、ニオビ
ウム、ニッケル等を含有する無機塩を用いる。これらの
無機塩を分解後ペロブスカイト型化合物またはその固溶
体組成となるような割合で秤量した混合物を適当量のア
ミン及びアルコール、さらに少量の有機系界面活性剤と
共に還流しながら加熱する。沈殿反応が完了したなら
ば、冷却器を還流から蒸発捕集に切り替えて有機溶媒を
沈殿物から除去する。ここで、有機溶媒を蒸発させるた
めであれば、真空等他の方法を用いることもできる。次
に、沈殿物を500℃以上好ましくは550℃辺りの温
度で仮焼することによってまだ残留している酸化物以外
の物質を完全に蒸発させる。このように仮焼によって酸
化物以外の残留物を除去する必要があるため、無機塩と
しては、硝酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、炭酸塩等が適し
ている。
【0013】アミンは、プロピルアミン、ブチルアミ
ン、エタノールアミン等の一般に市販されているもの
で、アミノ基がついた有機化合物であれば、第一アミ
ン、第二アミン、アルコールアミンといった違いは本質
的なことではない。しかし、沈殿反応が十分進行する必
要があることとその後の取り扱い易さの点で、100〜
150℃あたりに沸点を有するものが望ましい。アルコ
ール類は、沈殿反応終了後回収してリサイクルすること
を考慮すると、アミンとしてプロピルアミンを用いたと
きは、プロパノール、ブチルアミンを用いたときはブタ
ノールといった具合に同一基のものを用いることが望ま
しいが、これも本質的なことではない。このように、本
発明方法は、金属無機塩に含まれる結晶水以外の水は一
切使用しないことと、蒸発とさらに高温での加熱によっ
て有機溶媒とその他の残留物を除去し、純粋な沈殿物を
取り出すことを特徴としており、仕込み組成が最終生成
物まで正確に受け継がれる利点がある。
【0014】
【作用】上記手順による粉体製造法に従えば、圧電セラ
ミックスとして重要なジルコン酸チタン酸鉛(PZT)
はもとより、その端成分であるジルコン酸鉛(PZ)及
びチタン酸鉛(PT)、PZTの特性改善のための固溶
成分として重要であるチタン酸バリウム(BT)、チタ
ン酸ストロンチウム(ST)、ニオブ酸マグネシウム鉛
(PMN)、ニオブ酸ニッケル鉛(PNN)等のペロブ
スカイト化合物の粉体であって、且つ優れた焼結特性を
示す粉体の製造が容易にできる。得られた沈殿物は、
(1)極めて微細、(2)分散性が良い、(3)混合状
態が良い、(4)反応性が高い、等の特徴を有し、その
ために沈殿物を550℃程度の温度で仮焼した段階でペ
ロブスカイト相の単一相が得られる。
【0015】このペロブスカイト相の生成温度は、従来
技術のものと比較して驚異的に低い。その理由は、沈殿
粒子が微細なコロイド状で、その反応性が極めて高いた
めと考えられ、このことが、本発明方法の特徴と言え
る。水溶液沈殿法では、沈殿物を仮焼する過程で粉体の
凝集がさらに進行し、それが焼結体中への気孔取り込み
の原因となるが、本発明方法による沈殿物は、550℃
で仮焼しても、(1)極めて微細、(2)分散性が良
い、(3)焼結性が良い等、緻密な焼結体を製造する上
で本質的な粉体の特徴は維持されたままである。上でも
述べたように、固相反応法によってペロブスカイト相の
焼結体を得るためには、950℃辺りでの加熱によるペ
ロブスカイト相の形成と、さらにそれを1200〜12
50℃辺りの温度で焼結する2段階の加熱過程が必要で
ある。鉛含有ペロブスカイト相の場合、焼結過程で酸化
鉛の蒸発に注意を払わなければならないという問題があ
る。しかし、本発明方法による粉体を用いれば、こうし
た従来技術の問題点を大きく改善することができる。
【0016】すなわち、本発明方法による粉体は既にペ
ロブスカイト相から成るものであり、しかも優れた焼結
性を示すので、従来技術の焼結温度を大幅に引き下げる
ことができ、酸化鉛蒸発の問題にしてもさらに簡単な対
策で解決できる。また、本発明方法による粉体を用いれ
ば、簡単な成形法と1100℃といった低温度での焼結
でも実用上妥当な圧電特性(電気機械結合係数)を示す
焼結体が得られる。このように、本発明は、緻密で機械
的強度が高く変位量の大きな圧電セラミックスを得る上
で重要な微細で分散性に優れ、且つ焼結性の良い原料粉
体を得るための安価で簡単な製造方法を提供するもので
あり、この発明により、圧電セラミックスの応用分野が
さらに拡大するものと思われる。
【0017】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をさらに具
体的に説明するが、本発明は当該実施例によって何ら限
定されるものではない。 実施例 出発原料の無機金属塩としては硝酸鉛Pb(N
32 、塩基性酢酸鉛Pb(CH3 COO)・Pb
(OH)2 、硝酸ジルコニルZrO(NO3 2 ・2H
2O、酢酸ジルコニルZrO(CH3 COO)2 、シュ
ウ酸チタニルアンモニウム(NH4 2 TiO(C2
4 2 ・2H2 O 、硝酸バリウムBa(NO3 2
シュウ酸バリウムBaC2 4 ・2H2 O、硝酸ストロ
ンチウムSr(NO32 、シュウ酸マグネシウムMg
2 4 ・2H2 O、シュウ酸ニッケルNiC2 4
2H2 O、シュウ酸水素ニオブNb(HC2 4 5
2H2 O等を用いた。これらの無機金属塩を分解後ペロ
ブスカイト組成となるような割合で約20〜30g秤量
し、その混合物を500mlのセパラブルフラスコにア
ミン100ml及びアルコール100ml、界面活性剤
ブリジー35耳かき一杯と共に入れ、2〜3時間攪拌と
還流を続けながら加熱し、沈殿物を生成させた。沈殿反
応終了後、冷却器を切り替えて有機溶媒を蒸発させて捕
集し、蒸発がほぼ終了した段階でフラスコのカバーを取
り外し、フラスコをマントルヒーター上に移し、溶液の
沸点よりも多少高い温度で加熱し、有機溶媒を完全に蒸
発させた。次に、沈殿物を白金坩堝に入れ、約550℃
の温度で仮焼することによってさらに残留している酸化
物以外の物質を蒸発または分解させて除去した。こうし
て得られた粉体については、X線回折によって生成相を
調べた。また、圧電体組成の粉体については、成形器を
用いて錠剤に成形した後、1100℃で焼結し、相対密
度及び圧電特性を測定した。表1に、出発組成、沈殿生
成条件及び550℃で仮焼した結果を示す。
【0018】
【表1】
【0019】これらの実施例のうち、1〜8は参考例と
して示したもので、1〜4が実際に圧電性を示すペロブ
スカイト相PZTの端成分にあたるペロブスカイト型化
合物、5〜8がPZTの特性改善のための固溶成分とし
て重要なペロブスカイト型化合物に関するものである。
これらは、無機塩、アミン及びアルコールの種類に関係
なく、550℃での仮焼によっていずれもペロブスカイ
ト相の単一相を形成した。特に注目すべき点は、本来合
成が非常に困難といわれている複合型ペロブスカイト型
化合物PMN及びPNNの単一相合成が可能であったこ
とであり、この結果からも、本発明方法を用いてPZT
はもとより、PZTに上記ペロブスカイト型化合物を組
み合わせた固溶体の合成が可能であることは容易に想像
できる。実施例9〜12で示したように、予想通り、種
々の条件下でPZTの単一相が得られている。
【0020】実施例9〜12で得られたPZT粉体は、
粒径が0.1μm以下の粒子から成っており、これらを
約200Mpaの圧力で直径12mmの円板状にプレス
成形し、1100℃で2時間の加熱処理によって焼結体
を作製し、その相対密度を測定したところ、いずれも9
6%近い値を示した。一般に、プレス成形の他に冷間靜
水圧成形を併用して焼結密度を理論値まで近づけたセラ
ミックスの例はよく知られているが、本実施例の成型法
と焼結条件を考えると、本実施例の焼結密度は必ずしも
低い値ではなく、さらに高密度化できる余地は残されて
いる。また、こうして得られた焼結体について、分極処
理を施した後、電気機械結合係数を測定したところ、実
施例9、10、12は0.5前後、実施例11は0.6
5を示した。実施例11が高い値を示した理由は、圧電
体組成により近づけたためと思われる。これらの値は、
様々な固溶成分を添加して特性向上が図られた市販のP
ZT系セラミックスのものと比較して遜色のない値であ
る。
【0021】
【発明の効果】以上述べたように、本発明は、水溶液沈
殿法の難点である粒子の凝集性と組成ずれの問題を改善
し、焼結体製造における気孔取り込みを避けることによ
って緻密な圧電セラミックスを得ること目的としてなさ
れたものである。本発明方法によれば、粒子の組成、粒
子径及び粒子形状の均一性に優れた微細で焼結性の良い
圧電セラミックス用原料粉体が安価で簡単な製造工程で
製造できるだけでなく、他の酸化物系機能材料の製造も
可能である。また、本発明方法による粉体は既にペロブ
スカイト相から成るものであり、しかも優れた焼結性を
示すので、本発明方法による粉体を用いれば、簡単な成
形法と1100℃といった低温度での焼結でも実用上妥
当な圧電特性を示す焼結体を得ることができる。しか
も、本発明方法は、低価格化、量産化を容易にする特徴
を有しているため、その工業的価値は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例9の方法によって得られたPZT組成の
沈殿粉体の仮焼後のX線回折図である〔仮焼温度:
(a)450℃、(b)550℃、(c)650℃〕。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電性ペロブスカイト型化合物またはそ
    の固溶体の組成を有する共沈粉体の製造方法であって、
    金属の無機塩の混合物をアミンを含む有機溶媒中で加熱
    しつつ分解することにより沈澱物を生成させたのち、そ
    れを500℃以上の温度で加熱焼成することによって、
    さらに残留している酸化物以外の物質を蒸発または分解
    させて除去することを特徴とする圧電性ペロブスカイト
    型化合物またはその固溶体の単一相からなる粉体の製造
    方法。
JP8299603A 1996-10-24 1996-10-24 圧電セラミックス用原料粉体の製造方法 Expired - Lifetime JP3041411B2 (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100470733B1 (ko) * 2002-03-18 2005-03-09 학교법인 동의학원 공침전법을 이용한 압전세라믹스 제조방법

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KR100470733B1 (ko) * 2002-03-18 2005-03-09 학교법인 동의학원 공침전법을 이용한 압전세라믹스 제조방법

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