JPH1012232A - ニッケル正極板の製造方法 - Google Patents

ニッケル正極板の製造方法

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JPH1012232A
JPH1012232A JP8155764A JP15576496A JPH1012232A JP H1012232 A JPH1012232 A JP H1012232A JP 8155764 A JP8155764 A JP 8155764A JP 15576496 A JP15576496 A JP 15576496A JP H1012232 A JPH1012232 A JP H1012232A
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drying
electrode plate
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JP8155764A
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Hitoshi Kato
人士 加藤
Akitomo Shirakawa
亮偕 白川
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Furukawa Battery Co Ltd
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Furukawa Battery Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 正極板の活物質合剤層中における気泡の発生
を抑制し、活物質合剤の充填密度を高め、また充放電時
における活物質合剤の脱落を抑制することができるニッ
ケル正極板の製造方法を提供する。 【解決手段】 水酸化ニッケルを主体とするペースト状
正極活物質合剤を導電性基材に充填して正極板前駆体を
形成し、正極板前駆体を乾燥したのち圧延することによ
りニッケル正極板を製造するニッケル正極板の製造方法
において、乾燥時の温度を漸次上昇させていく。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ニッケル正極板の
製造方法に関し、更に詳しくは、正極活物質合剤層中の
気泡を減らすことにより活物質合剤の充填密度を高め、
もって、設計基準の容量を有するニッケル正極板を製造
する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ニッケル・カドミウム電池,ニッケル・
亜鉛電池,ニッケル・鉄電池,ニッケル・水素電池等の
正極として組み込まれるニッケル正極板は、導電性基材
に正極活物質合剤が担持された構造になっている。ニッ
ケル正極板に用いられる導電性基材としては、例えば、
網状,繊維状,発泡状などのニッケル多孔体のような3
次元構造をしたものが広く用いられている。
【0003】また、前記ニッケル多孔体に担持される正
極活物質としては、水酸化ニッケルが主成分をなし、必
要に応じて酸化コバルトのようなコバルト化合物の粉末
などを混合した混合粉末が用いられている。上述したよ
うな構造のニッケル正極板は、通常、以下のようにして
製造されている。
【0004】すなわち、まず、前記正極活物質の混合粉
末に対して、水、増粘剤、必要に応じて結着剤を添加し
て全体を撹拌することにより、粘稠なペースト状正極活
物質合剤を調製する。そして、所定形状の3次元網状構
造ニッケル多孔体に前記ペースト状正極活物質合剤を充
填塗布して、正極板前駆体を形成する。尚、前記増粘剤
としては、カルボキシメチルセルロース(CMC),メ
チルセルロースなどのセルロース系高分子、ポリビニル
アルコール,ポリアクリル酸ソーダなどの合成高分子な
どが用いられる。また、前記結着剤としては、ポリテト
ラフルオロエチレン(以下、PTFEという),テトラ
フルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合
体,パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体など
のポリテトラフルオロエチレン誘導体、三フッ化塩化エ
チレン樹脂,フッ化ビニル樹脂などのフッ素樹脂が用い
られる。
【0005】ついで、前記正極板前駆体は、乾燥工程に
移送され、乾燥手段によりペースト状活物質合剤の乾燥
固化が行われる。乾燥手段としては、例えば、熱風炉、
赤外線ヒータ炉等の乾燥炉が用いられる。前記正極板前
駆体は、所定温度に保たれた当該乾燥炉中に導入され、
所定時間保持されることにより充填されたペースト状正
極活物質合剤の乾燥が行われる。ここで、前記乾燥炉の
乾燥温度は、ペースト状正極活物質合剤の水分を充分に
蒸発させ、当該ペースト状正極活物質合剤を固化させる
ために、通常、200〜300℃と比較的高い温度に設
定される。そして、この乾燥温度は、乾燥工程の最初か
ら最後まで常に一定に保たれている。
【0006】このようにして、ペースト状正極活物質合
剤の乾燥固化が終了した正極板前駆体は、ローラープレ
スにより、圧延処理が施され、厚さの調整が行われる。
以上のようにして、ニッケル多孔体の表面から内部にか
けて正極活物質合剤層を担持して成るニッケル正極板が
形成される。ここで、本発明における正極活物質合剤層
とは、3次元網状構造ニッケル多孔体の内部および表面
部に保持されている正極活物質合剤の全体をさす。
【0007】得られたニッケル正極板は、負極板、セパ
レータ、電解液等とともに電池の外装缶内に組み込ま
れ、電池が形成される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記したペ
ースト状正極活物質合剤の調製時に行う撹拌操作により
当該ペースト状正極活物質合剤には空気が混入するた
め、正極板前駆体に充填塗布されたペースト状正極活物
質合剤層にも、その内部に空気が混入している。当該空
気は、乾燥処理でペースト状正極活物質合剤層の表面か
ら順次抜けていくが、前記したように高い温度でペース
ト状正極活物質合剤層の乾燥を行うと、中心部の空気が
抜けきる前にペースト状正極活物質合剤層の表面が急激
に固化してしまい、ペースト状正極活物質合剤層の中
に、当該空気が閉じこめられてしまう場合がある。この
ように閉じこめられた空気は、散逸できずにそのまま層
内に残留し、その状態でペースト状活物質合剤層の乾燥
が進んで全体が固化してしまうので、得られた正極活物
質合剤層内には多数の気泡が形成されることになる。こ
のような状態の正極活物質合剤層が担持されている正極
板では、活物質合剤の充填密度が低くなっていて、電池
の高容量化にとっては好ましいことではない。
【0009】また、この正極板を組み込んだ電池におい
ては、充放電時に生起する正極板の膨張収縮により、活
物質合剤層の前記気泡を起点にして当該活物質合剤層に
亀裂が生じるおそれがある。そして、このように亀裂が
生じると、そこから活物質合剤が脱落する場合があり、
そのことにより、正極活物質合剤の担持量が設計時の管
理幅よりも減少し、目的とする容量の電極として機能し
なくなることがあり、その結果、サイクル寿命が短くな
るといった不都合が生じたり、脱落した活物質合剤が電
池の外装缶内に堆積して正極側部材と負極側部材とを短
絡するということも起こる。
【0010】本発明は、ペースト状活物質合剤を用いた
正極板の製造方法における上記した問題、とりわけ乾燥
時に発生する上記した問題を解決し、正極板の活物質合
剤層中における気泡の発生を抑制し、活物質合剤の充填
密度を高め、また充放電時における活物質合剤の脱落を
抑制することができるニッケル正極板の製造方法の提供
を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明では、水酸化ニッケルを主体とするペースト
状正極活物質合剤を導電性基材に充填して正極板前駆体
を形成し、当該正極板前駆体を乾燥したのち圧延するこ
とによりニッケル正極板を製造するニッケル正極板の製
造方法において、前記乾燥時の温度を漸次上昇させてい
くことを特徴とするニッケル正極板の製造方法が提供さ
れる。
【0012】また、本発明のニッケル正極板の製造方法
においては、前記乾燥時の温度を室温近傍の低い温度か
ら目的とする最終の処理温度まで連続的に上昇させてい
くことが好ましい。更に、本発明のニッケル正極板の製
造方法においては、前記乾燥時の温度を、まず、室温近
傍の低い温度に所定時間保持し、その後、所定温度まで
昇温し、当該温度に所定時間保持したのち、次の段階の
温度に昇温し、当該温度に所定時間保持する段階的な昇
温を繰り返すことにより、目的とする最終の処理温度ま
で数段階に分けて上昇させていくことが好ましい。
【0013】本発明のニッケル正極板の製造方法は、ペ
ースト状活物質合剤層を乾燥する際に、乾燥温度を室温
近傍の低温域から高温域である目的の最終処理温度にま
で昇温していくので、ペースト状活物質合剤層の乾燥は
緩徐に進んでその表面が急激に固化することはない。そ
のため、その過程で活物質合剤層の中に混入していた空
気は表面から散逸することができるので、乾燥終了時に
気泡の発生は抑制される。したがって、活物質合剤層の
充填密度を高めることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明のニッケル正極板の製造方
法においては、まず、従来から行われているような所定
の方法で調製したペースト状活物質合剤を3次元網状構
造を有するニッケル多孔体(導電性基材)に充填塗布し
て正極板前駆体を形成する。ここで、本発明で用いられ
る3次元網状構造のニッケル多孔体は、従来から用いら
れているものであれば何であってもよく、格別限定され
るものではないが、ペースト状活物質合剤の充填量を多
くすることができるという点で、例えば、多孔度94〜
97%で孔径50〜500μmの連通孔を有する発泡状
ニッケル多孔体を好適なものとしてあげることができ
る。
【0015】本発明においては、前記正極板前駆体に対
し、以下に示す乾燥処理を施す。すなわち、まず、前記
正極板前駆体を乾燥炉に導入し、充填されているペース
ト状正極活物質合剤を乾燥させる。当該乾燥炉として
は、従来から用いられているものであれば格別限定され
るものではなく、例えば、熱風炉や赤外線ヒータ炉が用
いられる。
【0016】乾燥の手順としては、前記乾燥炉中に前記
正極板前駆体を導入し、炉内の温度(乾燥温度)を漸次
上昇させていき目的とする最終の処理温度に到達させ
る。ここで、乾燥のスタート時の乾燥温度があまり高温
であるとペースト状正極活物質合剤層の表面が従来と同
様に急激に固化してしまい、内包される空気の散逸が阻
害されるので、乾燥のスタート時の乾燥温度は、室温近
傍の低温域に設定することが好ましい。具体的には、3
0℃程度の温度であることが好ましい。このように乾燥
温度が低いと、ペースト状正極活物質合剤層は軟質な状
態をしばらく保つので、この乾燥初期に内部の空気は抜
けていく。そして、その後、当該乾燥温度を漸次上昇さ
せていき、最終的に200〜300℃の処理温度に到達
させ、気泡の少ない状態で正極活物質合剤層を乾燥固化
させる。
【0017】昇温のパターンとしては、図1に示すよう
に、直線パターン(a)であればよい。このとき、ペー
スト状正極活物質合剤層の乾燥を緩徐に進めるために、
目的とする最終の処理温度に到達するまでの時間、すな
わち乾燥時間は、長い方が好ましいが、この乾燥時間を
あまり長くすると生産効率が低下するので、生産性に見
合った適当な乾燥時間が設定される。前記適当な乾燥時
間内でより効果的に空気を散逸させるためには、特に、
低温の状態で長く保持することが好ましいので、b線で
示すように、二次関数的な昇温パターン(b)を採用す
ることがより好ましい。
【0018】しかしながら、上記のような昇温パターン
を採用することはかなり複雑な温度制御のシステムが必
要になる。そのため、実際の乾燥処理時間においては、
図2に示すような昇温パターン、すなわち、乾燥温度を
室温近傍の低い温度から200〜300℃の目的とする
最終の処理温度まで数段階に分けて上昇させていくこと
が好ましい。
【0019】この場合、ある温度で所定時間保持した
後、次の段階の温度まで昇温し、当該温度で所定時間保
持する。そして、更に次の段階の温度に昇温するといっ
た操作を繰り返す段階的な昇温パターンにより漸次乾燥
温度を上昇させていく。この方法は、オン・オフ制御だ
けで温度制御を進めることができるので簡便であり工業
的には好ましい。このとき、段階数および各段階におけ
る設定温度は任意に設定して構わない。また、各段階に
おける保持時間も、条件に応じて適宜設定してよく、例
えば、1秒〜10分間程度であればよい。
【0020】ここで、例えば、ペースト状正極活物質合
剤が充填塗布されている正極板前駆体を、第1段階とし
て30℃で10分間、第2段階として80℃で5分間、
第3段階として150℃で5分間、第4段階として25
0℃で1分間と順次乾燥温度を段階的に上昇させていっ
た場合、ペースト状正極活物質合剤層は、以下に示すよ
うに乾燥固化が進んでいく。
【0021】すなわち、まず、第1段階、第2段階で
は、比較的低い温域で乾燥が進行するので、活物質合剤
層の表面が急激に乾燥して固化することはなく、徐々に
乾燥固化が進んでいく。このとき、活物質合剤層は、軟
質な状態にあり、活物質合剤層中の空気は、比較的動き
やすくなっている。しかも、前記空気は加温されている
ので膨張し、その膨張圧で外部に散逸しやすい状態にな
っている。このため、前記空気は、外部に抜けていき、
活物質合剤層中に閉じこめられることが抑制されること
になる。
【0022】その後、第3段階では150℃にまで乾燥
温度が上昇し、その5分間の間にペースト状正極活物質
合剤層から水分が蒸発していき、正極活物質合剤層の表
面から内部にかけて徐々に乾燥固化が進んでいく。そし
て、第4段階においては、乾燥温度が最終の処理温度
(250℃)に到達し、水分が充分に蒸発し、活物質合
剤層の全体が完全に乾燥固化させられる。
【0023】上記したように、乾燥処理の初期段階で、
比較的低い温度で長時間の乾燥処理を行うと、活物質合
剤層から空気が抜けていくことは阻害されない。このた
め、従来のように、最初に活物質合剤層の表面が固化し
てしまい、空気が抜けていくことが阻害される不都合は
回避することができる。ここで、活物質合剤に含まれて
いる水酸化ニッケルは、通常、不定形の粒子が用いられ
ているが、不定形の場合、当該粒子の配列具合により空
気を閉じこめてしまうデッドスペースを形成してしまう
ことがあり、空気の抜けが悪くなる不都合を生じること
がある。このような不都合の発生を抑制するために、粒
径が均一な球状水酸化ニッケル粒子を用いることが好ま
しい。球状水酸化ニッケル粒子の場合、空気の流れに対
する抵抗が少なくデッドスペースを形成しにくいので、
活物質合剤層中に残留した空気が外部に出やすいからで
ある。この球状水酸化ニッケルの形態は、球体、楕円
体、鶏卵状の球体等である。そして、本発明における球
状水酸化ニッケルとしては、前記形態のものが1種類で
あるもの、あるいはこれらが集合したものが使用され
る。
【0024】以上のようにして乾燥が終了した正極板前
駆体は、引き続き、ロールにより厚さ方向に加圧され、
厚さの調整が行われ、所定形状の正極板となる。以上の
ようにして得られた正極板は、従来通り、公知の負極
板,セパレータ,電解液等とともに電池の外装缶内に組
み込まれ、電池が形成される。
【0025】
【実施例】
実施例1 粒径が5〜50μmの、Zn,Coが固溶した球状水酸
化ニッケル粉末100重量部に対し、ニッケル粉末10
重量部、CoO粉末5重量部、カルボキシメチルセルロ
ース2重量%水溶液50重量部、PTFE60重量%分
散液1重量部を混合してペースト状正極活物質合剤を調
製した。
【0026】一方、孔径が100〜500μm,多孔度
95体積%で、厚さ1.2mm,縦87mm,横216
mmの発泡ニッケル多孔体を用意し、これに、前記ペー
スト状正極活物質合剤を真空含浸法で充填し、正極板前
駆体を形成した。ついで、当該正極板前駆体を熱風乾燥
炉に導入し、乾燥を行った。このときの乾燥条件として
は、まず、50℃で5分間保持し、その後150℃で5
分間保持し、最後に250℃で1分間保持するように3
段階の昇温パターンを採用した。
【0027】次に、乾燥が終了した正極板前駆体の全体
に対して圧下率約48.8%でロール圧延を行って、厚
さを0.615mmにした。その後、更に活物質合剤層
の結着性を高めるために、当該正極板前駆体をPTFE
60重量%分散液に浸漬し、再び乾燥した後、圧下率約
0.81%でロール圧延を行って、厚さを0.61mm
にした。その後、プレス打ち抜きを行い、縦42mm、
横72mmの正極板を作製した。
【0028】ここで、得られた正極板に対して充填容量
密度を求めた。正極板の充填容量密度は、以下のように
して求めた。すなわち、前記正極板の重量を測定し、こ
の正極板の重量から、予め求めておいた前記正極板と同
寸法の発泡ニッケル多孔体の板の重量を差し引き、正極
板に担持されている正味の活物質合剤の重量を求め、そ
の値と活物質の単位重量当たりの理論容量から、前記正
極板1枚当たりの容量を求めた。そして、前記容量を前
記正極板の体積で除し、正極板の単位体積当たりの容量
を求め、この値を前記正極板の充填容量密度とした。そ
の結果を表1に記載した。尚、前記充填容量密度は、ニ
ッケル正極板100枚について測定を行い、その平均値
を表1に記載した。
【0029】次に、まずアーク溶解法で、組成:MmN
3.2 CoAl0.2 Mn0.4 (Mmはミッシュメタル)
で示される水素吸蔵合金を製造したのち、これを粉砕し
て150メッシュ(タイラー篩)下の水素吸蔵合金粉末
とした。その後、前記水素吸蔵合金粉末95重量部に、
結着剤としてのPTFE5重量部を添加し、均一に混練
することによりPTFEを繊維化し、これにイオン交換
水を100重量部加えて合金スラリーを調製し、この合
金スラリーを、縦42mm、横108mm、厚さ0.0
65mm、開孔率38%で、表面にニッケルメッキが施
してあるパンチングメタルシートの両面に圧着して、全
体の厚さが0.42mmである水素吸蔵合金負極を製造
した。
【0030】次に、ポリアミド系樹脂不織布をポリオレ
フィン樹脂系不織布で挟み込み、3kg/m2 の圧力を
かけながら温度80℃で1時間保持し、一体化して、厚
さ0.18mm、目付量60g/cm2 のセパレータを
形成した。このとき、ポリアミド系樹脂不織布とポリオ
レフィン系樹脂不織布との厚さの比は、1:1とした。
【0031】以上のようにして製造したニッケル正極を
前記セパレータを介して前記水素吸蔵合金負極と交互に
重ね合わせ、正極板、セパレータ、負極板がそれぞれ均
一に面接触した状態の極板群を形成した。ついで、電解
液として、NaOH:0.6N,LiOH:1N,KO
H:7Nから成るアルカリ溶液を用意し、当該電解液と
前記極板群とを電池の外装缶に入れ、従来法に基づき、
定格容量1200mAhのAA型ニッケル・水素二次電
池を組み立てた。尚、上記電池は、10000個製造し
た。
【0032】これらの電池につき、温度20〜25℃に
おいて0.1CmAで150%充電した後、0.2Cm
Aで電圧が1Vになるまで放電を行う作業を1サイクル
とし、この作業を繰り返すサイクル試験を行った。この
とき、100サイクル毎に放電容量を測定し、サイクル
試験前の放電容量(1200mAh)に対する当該測定
値の割合を求め、この割合を容量維持率とし、その推移
を図3に示した。更に、前記サイクル試験終了後の電池
を解体し、電池缶内に脱落している正極活物質合剤の重
量を測定し、その重量の平均値を活物質合剤の脱落量と
して表2に示した。
【0033】また、上記電池と同様にして定格容量12
00mAhのAA型ニッケル・水素二次電池を更に20
00個組み立てた。得られた電池に対して、下記の仕様
で短絡の発生率を求めた。すなわち、まず、得られた電
池に対して、充電,放電,エージングを行い当該電池を
活性化させた後、個々の電池について開路電圧を求め、
その電圧値が規格電圧以下である電池を抜き出した。つ
いで、抜き出した電池を解体し、脱落した正極活物質合
剤が正極側部材と負極側部材との間を掛け渡してしまっ
ているものを短絡が発生した電池として計数した。そし
て、製造した電池の総数(2000個)に対する短絡が
発生した電池の個数の割合を求め、この割合を短絡の発
生率(%)とした。この結果を表2に併記した。
【0034】実施例2 正極活物質合剤に用いられる水酸化ニッケルとして、不
定形の水酸化ニッケル粒子(径1〜200μm)を使用
したことを除いては、実施例1と同様にしてニッケル正
極板を製造した。得られたニッケル正極板に対して、実
施例1と同様にして充填容量密度を求めた。その結果を
表1に併記した。
【0035】更に、当該ニッケル正極板を用いたことを
除いては、実施例1と同様にしてニッケル水素二次電池
を製造した。得られた電池に対して、実施例1と同様に
して、サイクル試験における容量維持率の推移、サイク
ル試験後の活物質合剤の脱落量、短絡発生率を測定し、
その結果をそれぞれ図3、表2に示した。 比較例1 正極板前駆体を乾燥温度200℃、保持時間10分と1
段階だけで乾燥したことを除いては、実施例1と同様に
してニッケル正極板を製造した。得られたニッケル正極
板に対して、実施例1と同様にして充填容量密度を求め
た。その結果を表1に併記した。
【0036】更に、当該ニッケル正極板を用いたことを
除いては、実施例1と同様にしてニッケル水素二次電池
を製造した。得られた電池に対して、実施例1と同様に
して、サイクル試験における容量維持率の推移、サイク
ル試験後の活物質合剤の脱落量、短絡発生率を測定し、
その結果をそれぞれ図3、表2に示した。 比較例2 正極板前駆体の乾燥条件として、まず、250℃で1分
間保持し、その後、150℃で5分間保持し、最後に1
00℃で5分間保持したことを除いては、実施例1と同
様にしてニッケル正極板を製造した。得られたニッケル
正極板に対して、実施例1と同様にして充填容量密度を
求めた。その結果を表1に併記した。
【0037】更に、当該ニッケル正極を用いたことを除
いては、実施例1と同様にしてニッケル水素二次電池を
製造した。得られた電池に対して、実施例1と同様にし
て、サイクル試験における容量維持率の推移、サイクル
試験後の活物質合剤の脱落量、短絡発生率を測定し、そ
の結果をそれぞれ図3、表2に示した。
【0038】
【表1】
【0039】表1の結果から次のことが明らかとなる。
すなわち、乾燥工程において乾燥温度を低い温度から段
階的に高い温度へ上げていった実施例1、2の正極板の
充填容量密度は、乾燥温度を200℃と一定にして乾燥
させた比較例1や乾燥温度を高温(250℃)から低温
へ段階的に下げて乾燥させた比較例2の正極板の充填容
量密度に比べて高い値を示している。これは、実施例
1、2においては、ペースト状活物質合剤層を乾燥する
際に、正極板前駆体を最初から高温(200〜250
℃)で乾燥させずに低温で長時間かけて乾燥を行ったの
で、ペースト状正極活物質合剤層の表面が急激に固化す
ることがなく、空気を活物質合剤層内部に閉じこめてし
まう不都合を回避することができたため、気泡の数が減
り、活物質の充填密度を高めることができたからであ
る。それに対し、比較例1、2は、乾燥の初期にペース
ト状正極活物質合剤層の表面が固化してしまい、内部に
空気が閉じこめられて、活物質合剤層中に気泡が生じて
しまい、そのため、充填容量密度が低下してしまったた
めと考えられる。
【0040】尚、実施例2の正極板においては、不定形
の水酸化ニッケルを使用しているので、実施例1の球状
水酸化ニッケルに比べて空気を閉じこめてしまうデッド
スペースが生じてしまったために、実施例1の正極板よ
り気泡が多くなり、その分実施例1より充填容量密度が
低くなっている。また、図3の結果より、実施例1の正
極板を組み込んだ電池の500サイクル経過後の容量維
持率は95%、実施例2の正極板を組み込んだ電池の5
00サイクル経過後の容量維持率は90%と高い値を示
しているのに対して、比較例1の正極板を組み込んだ電
池の500サイクル経過後の容量維持率は72%、比較
例2の正極板を組み込んだ電池の500サイクル経過後
の容量維持率は68%と低くなっている。
【0041】これは、実施例1、2においては、気泡の
少ない正極板を使用しているので、充放電が繰り返され
て正極板が膨張収縮しても、前記気泡を起点として活物
質合剤層に亀裂が生じ、それが原因で活物質合剤が脱落
することは抑えられているからである。それに対し、比
較例1、2は、最初から高い温度で正極板前駆体の乾燥
を行い、ペースト状正極活物質合剤層の表面を急激に固
化させているので、活物質合剤層中には気泡が多数存在
しており、このため、充放電が繰り返されて正極板が膨
張収縮すると、前記気泡が起点になって活物質合剤層に
亀裂が生じ、それが原因で活物質合剤が脱落し、所定の
容量を確保することができなくなったためと考えられ
る。
【0042】
【表2】
【0043】表2の結果より、実施例1、2の活物質合
剤の脱落量は極めて少ないことがわかる。それに比べ、
比較例1、2の活物質合剤の脱落量は多くなっている。
それにともなって、短絡の発生率も、実施例1、2は、
0%と短絡事故が発生していないのに対して、比較例
1、2では、短絡の発生率が高くなっている。
【0044】これは、本発明方法により製造した正極板
を用いている実施例1、2の電池においては、当該正極
板中における気泡が少ないため、気泡に起因する活物質
合剤の脱落を抑制することができ、短絡の発生も抑制で
きることを示している。それに対し、比較例1、2の電
池においては、正極板中に気泡が多数存在するので、こ
れを起点として亀裂が生じ、活物質合剤が脱落し、それ
により短絡事故が発生している。
【0045】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
おけるニッケル正極板の製造方法は、ペースト状活物質
合剤層の乾燥工程において、乾燥温度を室温に近い比較
的低い温度から段階的に上げていき乾燥を行う。このた
め、表面が急激に固化し活物質合剤層中の空気が閉じこ
められることは抑制され、当該空気は表面からスムーズ
にぬけていく。よって、正極活物質合剤層中において
は、前記空気が残留することにより生じる気泡を少なく
することができ、活物質の充填密度を高めることができ
る。したがって、本発明におけるニッケル正極板の製造
方法を採用すると、高容量の正極板を得ることができ
る。また、本発明により得られる正極板は、亀裂の起点
となる気泡が少ないので、充放電を繰り返しても正極板
からの活物質合剤の脱落を抑制することができる。その
ため、本発明による正極板を用いると、サイクル寿命特
性に優れ、短絡事故の発生も極めて少ない電池を得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における乾燥温度の昇温パターンを示し
たグラフである。
【図2】本発明において数段階に分けて乾燥温度を上昇
させていくときの昇温パターンを示したグラフである。
【図3】容量維持率とサイクル数との関係(サイクル寿
命特性)を示すグラフである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水酸化ニッケルを主体とするペースト状
    正極活物質合剤を導電性基材に充填して正極板前駆体を
    形成し、当該正極板前駆体を乾燥したのち圧延すること
    により正極板を製造するニッケル正極板の製造方法にお
    いて、 前記乾燥時の温度を漸次上昇させていくことを特徴とす
    るニッケル正極板の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記乾燥時の温度を室温近傍の低い温度
    から目的とする最終の処理温度まで連続的に上昇させて
    いく請求項1のニッケル正極板の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記乾燥時の温度を、まず、室温近傍の
    低い温度に所定時間保持し、その後、所定温度まで昇温
    し、当該温度に所定時間保持したのち、次の段階の温度
    に昇温し、当該温度に所定時間保持する段階的な昇温を
    繰り返すことにより、目的とする最終の処理温度まで数
    段階に分けて上昇させていく請求項1のニッケル正極板
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記水酸化ニッケルが球状水酸化ニッケ
    ル粒子である請求項1乃至3のニッケル正極板の製造方
    法。
JP8155764A 1996-06-17 1996-06-17 ニッケル正極板の製造方法 Pending JPH1012232A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004342519A (ja) * 2003-05-16 2004-12-02 M & G Eco Battery Institute Co Ltd ペースト式薄型電極を用いた電池とその製造方法
WO2024049139A1 (ko) * 2022-08-29 2024-03-07 주식회사 엘지에너지솔루션 이차전지용 전극 제조 방법

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