JPH10122167A - スクロール圧縮機 - Google Patents

スクロール圧縮機

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JPH10122167A
JPH10122167A JP8282483A JP28248396A JPH10122167A JP H10122167 A JPH10122167 A JP H10122167A JP 8282483 A JP8282483 A JP 8282483A JP 28248396 A JP28248396 A JP 28248396A JP H10122167 A JPH10122167 A JP H10122167A
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昌之 角田
Minoru Ishii
稔 石井
Takeshi Fushiki
毅 伏木
Kenji Suzuki
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 材質に応じて適正な強度を確保し、用途に応
じた容積比を得る、死容積の極小化を図ったスクロール
圧縮機を提供する。 【解決手段】 半径Rsfの小円円弧部と半径Rlfの大円
円弧部とで形成した固定スクロ−ルと、半径Rsoの小円
円弧部と半径Rloの大円円弧部とで形成した揺動スクロ
−ルとを備え、Rsf=Rs−X、Rlf=Rl+X、Rso=
Rlf−r、Rlo=Rsf+rであるスクロ−ル圧縮機。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は冷凍・空調用途に用
いられるスクロール圧縮機に関し、特にスクロール圧縮
機の渦巻歯形状に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のスクロール圧縮機は、固定スクロ
ール100、揺動スクロール200の渦巻中央巻始めの
先端部が渦巻歯切削時のバイトとの干渉などにより図
9、図10に示すように鋭角的な形状となっていた。ま
た、特開昭59−99085号公報では、固定スクロー
ル100、揺動スクロール200の渦巻中央巻始め部が
図11、図12に示すように、
【0003】
【数1】
【0004】で決定される小円円弧半径Rsの小円円弧
と大円円弧半径Rlの大円円弧で接続した形状が提案さ
れている。また、図13、図14に示すように渦巻中央
巻始め部であるインボリュートの巻始め点3,4の間を
適当な半径Rscの小円円弧と半径Rlcの大円円弧と
で接続した形状が提案されている。以下、簡単のため図
9、図10に示すような巻始め部の形状を“バイト干
渉”形状、図11,図12、図13、図14のようにイ
ンボリュート巻始め点の間を円弧で接続したような形状
を“球根”形状と呼ぶ。特に、図11、図12の形状を
“基本球根”、図13、図14に示すような“球根”形
状を“従来球根”と呼ぶことにする。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】図10に渦巻巻始め部
を拡大して示した“バイト干渉”形状は、中央の圧縮室
c0とその外側の圧縮室c1a,c1bの間の渦巻歯側面接触
点が移動してきて、図中の巻始め先端点pf,poに到達
すると歯側面の接触は終了し、最内室c0と第2室c1a,
c1bは連通する(図10の(c))。この時点における
最内室c0の容積は、死容積となって損失を生じる。ま
た、“バイト干渉”形状は先端部の曲率が大きいため、
この部分に作用する差圧が大きいような運転条件におい
ては応力集中を生じ、渦巻の強度上問題があった。
【0006】“基本球根”は“バイト干渉”形状のこの
ような問題点をクリアするために提案されたものであ
る。すなわち図11に示すように、渦巻先端が“バイト
と干渉”しない範囲で渦巻のインボリュート形状を点2
を中心とする小円Rsと点1を中心とする大円Rlに接続
することにより先端部が鋭角的になることを防ぐととも
に、Rs,Rlを前述の式を満たす値とすることにより接
触点が小円Rsと大円Rlの接続点5に至るまで側面接触
が継続するので、図12に示すように死容積をほぼゼロ
とすることが可能となる。しかし、内部容積比が無限大
しか選択できないので運転条件によっては過圧縮ロスを
生じたり、渦巻巻始め部の肉厚が厚くなる分、吐出ポー
トを設けるためのスペースが不足し、吐出圧損の増大を
招きやすくなったりする。また、揺動渦巻と固定渦巻の
巻始め先端部形状が同一となるので揺動スクロールと固
定スクロールを異なる材料で構成した場合など、材料強
度の低い方の応力が許容レベルになるようにRs,Rlを
決めると、もう一方にとっては過剰設計となるという問
題もある。
【0007】図13に形状を示した“従来球根”は、巻
始め点3,4の間を二つの円弧で接続しているという点で
は“基本球根”と同様であるが、点1cを中心とする大円
Rlcと点2cを中心とする小円Rscは、図14に示すよう
に接触点が点3,4に至った時点(図14の(a))で歯
側面の接触が終了し、最内室と第2室とが連通する(図
14の(b))関係寸法となっている。したがって連通
時の最内室容積が死容積となる。また円弧部分では接触
しないので、固定スクロールの大円Rlcfと揺動スクロ
ールの大円Rlco,固定スクロールの小円Rscfと揺動ス
クロールの小円Rscoが同一寸法となることが必要とい
うわけではなく、材料強度が異なる場合にはそれに応じ
てRscfとRscoに差をつけることもできる。しかし、内
部容積比が渦巻の巻数と巻始め点3,4の関係で一義的に
決まり、巻始め点を内側に寄せるにも現実的な限界があ
るので、冷凍用など高圧縮比の条件で運転される用途に
用いる場合、渦巻の巻数を増やして圧縮比と容積比のマ
ッチングを図ることになる。巻数増は渦巻の外径が大き
くなる分、ガス圧による軸方向のスラスト荷重の増大を
招くので、摺動損失などの面で望ましくない。また、空
調用でも高低圧差が大きくなる冷媒R410Aなどを用いた
場合には、渦巻先端部の強度確保のため巻始め点を外周
よりに設定して小円の径を大きくすると、所定の容積比
を得るために巻始めに応じて巻終わりも外側にずらす必
要があるので、見かけの巻数としては増大しなくても渦
巻の外径は大きくなる。外径の大きな渦巻はコンパクト
性で劣るのみならず、前述のごとくガス荷重によるスラ
スト摺動損失の面で不利となる。
【0008】本発明は以上のような問題点を解決するた
めになされたもので、材質に応じて適正な強度を確保し
ながら、用途に応じた容積比を得るために外径が不必要
に大きくなるのを防ぎ、死容積の極小化を図りながら吐
出流路を確保して圧損の増大を抑制できるような渦巻を
備えた、小型で高性能,高信頼性のスクロール圧縮機を
提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の発明のス
クロール圧縮機は、台板の片側の面に板状渦巻歯を形成
し,該板状渦巻歯の中央巻始め部は外向面曲線に滑らか
接続する半径Rsfの小円円弧部と該小円円弧部と内向面
曲線とに滑らかに接続する半径Rlfの大円円弧部とで形
成した固定スクロールと、該固定スクロールと組合わさ
れて圧縮室を形成する板状渦巻歯を台板の片側の面に形
成し,該板状渦巻歯の中央巻始め部は外向面曲線に滑ら
かに接続するRsfとは異なる半径Rsoの小円円弧部と該
小円円弧部と内向面曲線とに滑らかに接続するRlfとは
異なる半径Rloの大円円弧部とで形成し,前記固定スク
ロールに対して半径rで揺動運動する揺動スクロールと
を備え、Rsf=Rs−X、Rlf=Rl+X、Rso=Rlf−
r、Rlo=Rsf+rなる関係を満たし、Rsを基本球根
の小円円弧半径、Rlを基本球根の大円円弧半径、Xを
定数とするスクロール圧縮機としたものである。
【0010】また、本発明の第2の発明のスクロール圧
縮機は、第1の発明のスクロール圧縮機において、圧縮
後の流体を吐出する吐出ポートを固定スクロールの小円
円弧部と揺動スクロールの小円円弧部のうち、円弧径が
小さい方の小円円弧部を有するスクロールの方に設けた
ものである。
【0011】また、本発明の第3の発明のスクロール圧
縮機は、互いに台板の片側の面に形成された板状渦巻歯
を組み合わせて圧縮室を形成し、それぞれの前記板状渦
巻歯の中央巻始め部が外向面曲線に滑らかに接続する小
円円弧部と該小円円弧部と内向面曲線とに滑らかに接続
する大円円弧部とで構成した固定スクロールと揺動スク
ロールとを備え、前記固定スクロールと揺動スクロール
が組合わされた時、前記固定スクロールと揺動スクロー
ルのそれぞれの小円円弧部と大円円弧部とが圧縮室を形
成する圧縮継続部と圧縮最内室へ連通する連通部とから
構成されているものである。
【0012】また、本発明の第4の発明のスクロール圧
縮機は、第3の発明のスクロール圧縮機において、板状
渦巻歯の中央巻始め部の圧縮継続部と連通部のうち、少
なくとも一方の小円円弧部と大円円弧部の円弧径が固定
スクロールと揺動スクロールとでは相違するようにした
ものである。
【0013】また、本発明の第5の発明のスクロール圧
縮機は、第4の発明のスクロール圧縮機において、圧縮
後の流体を吐出する吐出ポートを固定スクロールと揺動
スクロールのそれぞれの連通部の小円円弧部のうち、円
弧径が小さい方の小円円弧部を有するスクロールの方に
設けたものである。
【0014】また、本発明の第6の発明のスクロール圧
縮機は、第1または第4の発明のスクロール圧縮機にお
いて、固定スクロールと揺動スクロールに異なる材質を
用いたものである。
【0015】また、本発明の第7の発明のスクロール圧
縮機は、第6の発明のスクロール圧縮機において、固定
スクロールの材質を鉄系鋳物材とし、揺動スクロールの
材質をアルミニウム系材としたものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.図1は本発明の実施の形態1の“球根”
形状説明図,図2は同じく動作説明図である。図1にお
いて、300は固定スクロールの渦巻中心部,400は揺動ス
クロールの渦巻中心部を示し、破線は固定スクロールの
基礎円と巻始め点以内の渦巻曲線を表わしている。点3
f,4fと3o,4oはそれぞれ固定スクロールと揺動スクロ
ールの“球根”定義角βで定まる巻始め点である。固定
スクロールは板状渦巻歯の中央巻始め部である点3f,4f
間を点1fを中心とし半径Rlfの大円(大円円弧部350)
と点2fを中心とし半径Rsfの小円(小円円弧部340)で
接続し、大円Rlfと小円Rsfの接続点は点5fである。大
円Rlfは点3fで内向面曲線330と滑らかに接続し、小円
Rsfは点4fで外向面曲線320と滑らかに接続する。外向
面曲線320と内向面曲線330とはインボリュート曲線であ
る。揺動スクロールは、中央巻始め部である点3o,4o間
を点1oを中心とし半径Rloの大円(大円円弧部450)と
点2oを中心とし半径Rsoの小円(小円円弧部440)で接
続し、大円Rloと小円Rsoの接続点は点5oである。大円
Rloは点3oで内向面曲線430と滑らかに接続し、小円Rs
oは点4oで外向面曲線420と滑らかに接続する。外向面曲
線420と内向面曲線430とはインボリュート曲線である。
大円,小円の径Rsf,Rlfは、“基本球根”の小円Rs,
大円Rlに対して、定数xによりRsf=Rs−x,Rlf=
Rl+xおよびRso=Rlf−r,Rlo=Rsf+r(rは
揺動半径)と決められている。このように大円,小円を
決定することにより、固定と揺動各々の大円と小円が滑
らかに接続し、かつ固定の大円Rlfと揺動の小円Rso,
揺動の大円Rloと固定の小円Rsfの接触が保証されてい
る。その動作は図2に示すようになり、圧縮,吐出が完
了するまで渦巻側面の接触が継続し、死容積は極小とな
る。しかも上述のように“球根”形状を決定しているの
で、固定スクロールと揺動スクロールで肉厚の異なる
“0球根”(即ち死容積が極小となる)となっている。定
数xの値には設計的自由度があり、x>0なら固定の
“球根”が揺動より小さくなり、x<0ならばその逆と
なる。xの絶対値を大きくするほど固定,揺動の小円半
径の差が大きくなるので、本実施例では固定スクロール
の素材である鋳鉄材と揺動スクロールの素材のアルミ材
の材料強度の差に見合う肉厚となるようにx(>0)を決
定して、肉厚が薄い方の固定スクロール側に吐出ポート
を配置し、吐出流路の面積を確保するようにしている。
これにより実施の形態1のスクロール圧縮機では、渦巻
素材の材料強度に見合った“球根”の寸法を決めること
により過剰設計を避けつつ、“球根”部に干渉しない範
囲でできるだけ大きな吐出ポートを設けることにより、
図7に示すように破線の“基本球根”の場合よりも吐出
ポート360(基本球根の吐出ポートは110)が大きくなっ
て、吐出圧損の増大を抑制することが可能となってい
る。
【0017】本実施の形態では、“球根”部が“基本球
根”同様に死容積を極小に保ちながら、固定スクロール
と揺動スクロールで“球根”部の径が異なる渦巻を用い
ているので、異なる素材を用いる場合にはその材料強度
に応じて、より肉厚を必要とする方の“球根”小円の径
を他方の小円よりも大きい径に設定でき、双方の“球
根”部を適正な強度に保ち過剰設計を避けることが可能
となっている。また、固定スクロールと揺動スクロール
で小円の径が小さく大円の径が大きい方の渦巻に吐出ポ
ートを設けることにより、吐出ポートの流路を確保で
き、吐出圧損の増大を抑制することが可能となってい
る。
【0018】実施の形態2.図3において、500は本発
明の実施の形態2に基づく固定スクロールの渦巻中心
部,600は揺動スクロールの渦巻中心部を示し、破線は
固定スクロールの基礎円と巻始め点以内の渦巻曲線およ
びベースとなる“基本球根”の形状を表わしている。固
定スクロール側において点4〜9〜10は半径Rsの円弧4〜
9と半径(Rs−dR)の円弧9〜10を接続した小円(小
円円弧部540),点3〜8〜10は半径Rlの円弧3〜8と半径
(Rl+dR)の円弧8〜10を接続した大円(大円円弧部
550)である。前記大円と小円とで板状渦巻歯の中央巻
始め部を形成する。小円の半径変化量と大円の半径変化
量をdR(>0)で同一とし、それぞれを半径Rsの円弧4
〜9と半径Rlの円弧3〜8に滑らかに接続するように(R
s−dR)の円弧9〜10の中心点7と(Rl+dR)の円弧
8〜10の中心点6を決定することにより点10における滑ら
かな接続が保証される。なお、半径Rsの円弧、半径Rl
の円弧、点4から外側の外向面曲線、点3から外側の内
向面曲線は基本球根と同じものである。また、揺動スク
ロール側においても、前記の固定スクロールと同様であ
る。即ち、半径Rsの円弧と半径(Rs−dR)の円弧を
接続した小円(小円円弧部640)と、半径Rlの円弧と半
径(Rl+dR)の円弧を接続した大円(大円円弧部65
0)を形成する。
【0019】このように構成した渦巻の動作は図4に示
すようになり、接触点が半径Rsの円弧と半径Rlの円弧
上にあるdβの範囲(圧縮継続部であり、固定スクロー
ルでは560、揺動スクロールでは660)では“基本球根”
同様に圧縮が継続され、それ以降はdRだけ半径を変化
させているために中心室と第2室は連通する(連通部で
あり、固定スクロールでは570、揺動スクロールでは67
0)。圧縮継続角dβは0°以上∠4-2-5(=∠3-1
-5)以下の範囲であれば選択には設計的自由度が有る
ので、巻終わりに対する内部容積比,巻始め部の強度な
どを考慮して最適な値を設定することが可能である。ち
なみにdβ=∠4-2-5(=∠3-1-5)とすると“基
本球根”と同一形状となり、dβ=0°は前述の“従来
球根”と同一形状を与える。すなわち“基本球根”と
“従来球根”は“4円弧球根”の特殊な場合であるとい
うことができる。また、固定スクロールと揺動スクロー
ルのどちらか少なくとも一方が“4円弧球根”になって
いれば、相手側が“基本球根”のまま,すなわちdR=
0でもdβの間だけ圧縮を継続しその後連通するという
動作は同じである。また、固定スクロールと揺動スクロ
ールが両方とも“4円弧球根”の場合で固定側の半径変
化量dRfと揺動側の半径変化量dRoが異なっていても
連通動作に変りはないので、dRf,dRoは連通後の流
路面積や巻始め部の強度などの観点から最適な値を決定
することができる。
【0020】本実施の形態においては、設定圧力比に見
合う内部容積比を得るために巻数のみで対応して渦巻大
径化によるスラスト摺動損失の増大を招くことがないよ
うに圧縮継続角dβを設定し、連通後の小円円弧部の半
径変化量dRf,dRoは各々固定スクロール材の鋳鉄と
揺動スクロールのアルミ材に応じた強度を確保できる範
囲でできるだけ大きく設定して中心室部分に空間を確保
して、図8に示すように破線で示したベース球根(“基
本球根”)側(吐出ポート110)或いは径変化量の小さ
い側(揺動スクロール)に吐出ポートを配置したときと較
べて、吐出ポート580として吐出流路における圧損の増
大を抑制している。
【0021】本実施の形態では、固定スクロールの大円
部と揺動スクロールの小円部,揺動スクロールの大円部
の固定スクロールの小円部で互いの接触を保てるような
“球根”形状を採りながら、固定スクロールと揺動スク
ロールの少なくとも一方は圧縮完了に至る途中で小円の
径が小さく,大円の径が大きくなるので、径が変化する
点で最内室と第2室の連通が行なわれる。したがって、
円弧部での圧縮継続範囲の設定を操作することにより内
部容積比の設計自由度が、巻数の調整のみで行なうもの
より、大きくなっている。また、概略“球根”形状とな
っているので死容積は極小に近く、それにともなう損失
も小さい。小円の径が小さく,大円の径が大きくなって
いる部分を、吐出ポートを設けるためのスペースに充て
られるので、吐出流路の確保にも有利となっている。
【0022】また、固定スクロールと揺動スクロールに
異なる素材を用いるもので各々の“球根”径変化量が異
なっている場合も、固定スクロールの大円部と揺動スク
ロールの小円部、揺動スクロールの大円部と固定スクロ
ールの小円部で互いの接触を保ちながら、圧縮完了まで
の途中で小円の径が小さく、大円の径が大きくなる“球
根”径変化点で最内室と第2室の連通が行われるのは同
様である。
【0023】実施の形態3.図5は実施形態3の渦巻中
心部を示す。図において、固定スクロール700側の点4f
〜9f〜10fは半径Rsfの円弧4f〜9fと半径(Rsf−dR
f)の円弧9f〜10fを接続した小円(小円円弧部740),
点3f〜8f〜10fは半径Rlfの円弧3f〜8fと半径(Rlf+
dRf)の円弧8f〜10fを接続した大円(大円円弧部75
0)である。揺動スクロール800側は点4o〜9o〜10oが半
径Rsoの円弧4o〜9oと半径(Rso−dRo)の円弧9o〜1
0oを接続した小円(小円円弧部840),点3o〜8o〜10oが
半径Rloの円弧3o〜8oと半径(Rlo+dRo)の円弧8o
〜10oを接続した大円(大円円弧部850)である。それぞ
れ小円と大円とで板状渦巻歯の中央巻始め部を形成す
る。実施形態2の“4円弧球根”が“基本球根”すなわ
ち等径の“0球根”をベースにしているのに対して、本
実施の形態は、ベースを実施の形態1の“異径0球根”
にして“4円弧球根”化した、所謂“異径4円弧球根”
であるので、圧縮を継続する小円円弧部分4f〜9f(圧縮
継続部760)と4o〜9o(圧縮継続部860)及び大円円弧部
分3f〜8f(圧縮継続部760)と3o〜8o(圧縮継続部860)
から径が異なっていることが特徴である。中央巻始め部
で前記圧縮継続部を除いた部分が連通部である(固定ス
クロール770、揺動スクロール870)。
【0024】図6はこのように構成した渦巻の動作を示
したものであるが、dβだけ圧縮を継続しその後連通す
る動作は実施の形態2と同様で、片方の“球根”部の肉
厚が他方よりも厚くなっている。圧縮継続角dβの選択
に設計的自由度が有り巻終わりに対する内部容積比,巻
始め部の強度などを考慮して最適な値を設定可能である
こと、固定スクロールと揺動スクロールのどちらか少な
くとも一方が“異径4円弧球根”になっていれば相手側
がベース球根(“異径0球根”)のままでもdβの間だけ
圧縮を継続しその後連通するという動作が同じであるこ
と、また、固定スクロールと揺動スクロールが両方とも
“異径4円弧球根”の場合で固定側の半径変化量dRf
と揺動側の半径変化量dRoが異なっていても連通動作
に変りはないのでdRf,dRoは連通後の流路面積や巻
始め部の強度などの観点から最適な値を決定することが
できること、等も実施の形態2の場合と同様である。
【0025】本実施の形態においては、設定圧力比に見
合う内部容積比を得るために巻数のみで対応して渦巻大
径化によるスラスト摺動損失の増大を招くことがないよ
うに圧縮継続角dβを設定し、連通後の小円半径変化量
dRf,dRoは各々固定スクロール材の鋳鉄と揺動スク
ロールのアルミ材に応じた強度を確保できる範囲ででき
るだけ大きく設定して中心室部分に空間を確保して、図
8に示すように破線で示したベース球根側(吐出ポート
110)或いは径変化量の小さい側(揺動スクロール)に配
置したときよりも吐出ポートを大きくして(吐出ポート
580)、吐出流路における圧損の増大を抑制しているの
は実施の形態2と同様であるが、両“球根”部の強度を
最適化するにあたって径変化量dRf,dRoだけでなく
ベース球根の小円Rsf,Rsoも含めて調整されているの
でより設計自由度が大きく、細やかな最適化が可能とな
っている。
【0026】本実施の形態では、固定スクロールの大円
部と揺動スクロールの小円部,揺動スクロールの大円部
の固定スクロールの小円部で互いの接触を保てるような
“球根”形状を採りながら、固定スクロールと揺動スク
ロールの少なくとも一方は圧縮完了に至る途中で小円の
径が小さく,大円の径が大きくなるので、径が変化する
点で最内室と第2室の連通が行なわれる。したがって、
円弧部での圧縮継続範囲の設定を操作することにより内
部容積比の設計自由度が、巻数の調整のみで行なうもの
より、大きくなっている。また、概略“球根”形状とな
っているので死容積は極小に近く、それにともなう損失
も小さい。小円の径が小さく,大円の径が大きくなって
いる部分を、吐出ポートを設けるためのスペースに充て
られるので、吐出流路の確保にも有利となっている。
【0027】また、固定スクロールと揺動スクロールに
異なる素材を用いるもので各々の“球根”径変化量が異
なっている場合も、固定スクロールの大円部と揺動スク
ロールの小円部、揺動スクロールの大円部と固定スクロ
ールの小円部で互いの接触を保ちながら、圧縮完了まで
の途中で小円の径が小さく、大円の径が大きくなる“球
根”径変化点で最内室と第2室の連通が行われるのは同
様である。
【0028】
【発明の効果】以上説明したとおり第1の発明のスクロ
ール圧縮機は、固定スクロールと揺動スクロールが死容
積が極小となる渦巻形状を採用しているので、高圧縮比
運転に適応しながら、両スクロールの中央巻始め部の円
弧径が異なっているので、両スクロール間で、異素材の
採用及び吐出ポートの設置が適応性良く行える。
【0029】第2の発明のスクロール圧縮機は、小円の
円弧径の小さい方のスクロールに吐出ポートを設けたの
で、吐出圧損の増大を抑制した高効率のスクロール圧縮
機が得られる。
【0030】第3の発明のスクロール圧縮機は、板状渦
巻歯の中央巻始め部が円弧からなる圧縮継続部と円弧か
らなる連通部とで構成しているので、圧縮継続部と連通
部の加工が容易であるとともに、円弧部での圧縮継続範
囲の設定を操作することにより内部容積比の設定自由度
が、巻数の調整のみで行うものより大きくできる。
【0031】第4の発明のスクロール圧縮機は、板状渦
巻歯の中央巻始め部の圧縮継続部と連通部のうち、少な
くとも一方の小円円弧部と大円円弧部の円弧径が固定ス
クロールと揺動スクロールでは相違するようにしている
ので、固定スクロールと揺動スクロール間で異素材の採
用や吐出ポートの設置に対応性のよいスクロール圧縮機
が得られる。
【0032】第5の発明のスクロール圧縮機は、第4の
発明において、圧縮後の流体を吐出する吐出ポートを固
定スクロールと揺動スクロールのそれぞれの連通部の小
円円弧部のうち、円弧径が小さい方の小円円弧部を有す
るスクロールの方に設けるようにしているので、吐出ポ
ート面積が確保でき、吐出圧損の増大を抑制した高効率
のスクロール圧縮機が得られる。
【0033】第6の発明のスクロール圧縮機は、第1ま
たは第4の発明において、固定スクロールと揺動スクロ
ールに異なる材質を用いるようにしているので、固定ス
クロールと揺動スクロール間で、材質に応じて円弧径を
変えることができ、それぞれの中央巻始め部の強度が過
度になったり、弱すぎることがなく適正化できる。
【0034】第7の発明のスクロール圧縮機は、第6の
発明において、固定スクロールの材質を鉄系鋳物材と
し、揺動スクロールの材質をアルミニウム系材とするよ
うにしているので、第6の発明の効果に加えて、揺動ス
クロールを軽量化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1の“球根”形状説明図
である。
【図2】 本発明の実施の形態1の動作説明図である。
【図3】 本発明の実施の形態2の“球根”形状説明図
である。
【図4】 本発明の実施の形態2の動作説明図である。
【図5】 本発明の実施の形態3の“球根”形状説明図
である。
【図6】 本発明の実施の形態3の動作説明図である。
【図7】 本発明の実施の形態1における吐出ポート配
置図である。
【図8】 本発明の実施の形態2、3における吐出ポー
ト配置図である。
【図9】 従来のスクロール圧縮機の動作原理図であ
る。
【図10】 従来のスクロール圧縮機の中央部拡大動作
説明図である。
【図11】 従来のスクロール圧縮機の“基本球根”の
形状説明図である。
【図12】 従来のスクロール圧縮機の“基本球根”の
動作説明図である。
【図13】 従来のスクロール圧縮機の“従来球根”の
形状説明図である。
【図14】 従来のスクロール圧縮機の“従来球根”の
動作説明図である。
【符号の説明】
300 固定スクロール(板状渦巻歯)、320 外向
面曲線、330 内向面曲線、340 小円円弧部、3
50 大円円弧部、360 吐出ポート、400 揺動
スクロール(板状渦巻歯)、420 外向面曲線、43
0 内向面曲線、440 小円円弧部、450 大円円
弧部、500 固定スクロール(板状渦巻歯)、520
外向面曲線、530 内向面曲線、540 小円円弧
部、550 大円円弧部、560 圧縮継続部、570
連通部、580 吐出ポート、600 揺動スクロー
ル(板状渦巻歯)、620 外向面曲線、630 内向
面曲線、640 小円円弧部、650 大円円弧部、6
60 圧縮継続部、670連通部、700 固定スクロ
ール(板状渦巻歯)、720 外向面曲線、730 内
向面曲線、740 小円円弧部、750 大円円弧部、
760 圧縮継続部、770 連通部、800 揺動ス
クロール(板状渦巻歯)、820 外向面曲線、830
内向面曲線、840 小円円弧部、850 大円円弧
部、860圧縮継続部、870 連通部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 賢志 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 台板の片側の面に板状渦巻歯を形成し,
    該板状渦巻歯の中央巻始め部は外向面曲線に滑らか接続
    する半径Rsfの小円円弧部と該小円円弧部と内向面曲線
    とに滑らかに接続する半径Rlfの大円円弧部とで形成し
    た固定スクロールと、該固定スクロールと組合わされて
    圧縮室を形成する板状渦巻歯を台板の片側の面に形成
    し,該板状渦巻歯の中央巻始め部は外向面曲線に滑らか
    に接続するRsfとは異なる半径Rsoの小円円弧部と該小
    円円弧部と内向面曲線とに滑らかに接続するRlfとは異
    なる半径Rloの大円円弧部とで形成し,前記固定スクロ
    ールに対して半径rで揺動運動する揺動スクロールとを
    備え、 Rsf=Rs−X、Rlf=Rl+X、Rso=Rlf−r、Rlo
    =Rsf+rなる関係を満たすスクロール圧縮機。ただ
    し、 Rs:基本球根の小円円弧半径、Rl:基本球根の大円円
    弧半径、X:定数
  2. 【請求項2】 圧縮後の流体を吐出する吐出ポートを固
    定スクロールの小円円弧部と揺動スクロールの小円円弧
    部のうち、円弧径が小さい方の小円円弧部を有するスク
    ロールの方に設けたことを特徴とする請求項1記載のス
    クロール圧縮機。
  3. 【請求項3】 互いに台板の片側の面に形成された板状
    渦巻歯を組み合わせて圧縮室を形成し、それぞれの前記
    板状渦巻歯の中央巻始め部が外向面曲線に滑らかに接続
    する小円円弧部と該小円円弧部と内向面曲線とに滑らか
    に接続する大円円弧部とで構成した固定スクロールと揺
    動スクロールとを備え、 前記固定スクロールと揺動スクロールが組合わされた
    時、前記固定スクロールと揺動スクロールのそれぞれの
    小円円弧部と大円円弧部とが圧縮室を形成する圧縮継続
    部と圧縮最内室へ連通する連通部とから構成されている
    ことを特徴とするスクロール圧縮機。
  4. 【請求項4】 板状渦巻歯の中央巻始め部の圧縮継続部
    と連通部のうち、少なくとも一方の小円円弧部と大円円
    弧部の円弧径が固定スクロールと揺動スクロールとでは
    相違することを特徴とする請求項3記載のスクロール圧
    縮機。
  5. 【請求項5】 圧縮後の流体を吐出する吐出ポートを固
    定スクロールと揺動スクロールのそれぞれの連通部の小
    円円弧部のうち、円弧径が小さい方の小円円弧部を有す
    るスクロールの方に設けたことを特徴とする請求項4記
    載のスクロール圧縮機。
  6. 【請求項6】 固定スクロールと揺動スクロールに異な
    る材質を用いたことを特徴とする請求項1または請求項
    4記載のスクロール圧縮機。
  7. 【請求項7】 固定スクロールの材質を鉄系鋳物材と
    し、揺動スクロールの材質をアルミニウム系材としたこ
    とを特徴とする請求項6記載のスクロール圧縮機。
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